先日、荻窪のよみうりカルチャーでの元東京スポーツ編集局長桜井康雄氏の昭和プロレス講座に出席。席上、桜井先生から「今日の夜、後楽園ホールでの新間寿氏のイベントに君は行くの」と尋ねられた。
すっかり忘れていたが、そう言えば先月の講座の時に、そんなお話がチラッとでてメモにも書き留めてあった。桜井先生もトークショーに招かれているそうなので、急遽、行くことにした。
午後6時半から9時半までの3時間。入場料は一番安い4000円の席にしたが場内は満席1254人の入り。最近の新日本プロレスは女性ファンが半分を占めるそうだが、さすがに昭和プロレスファンは9割方、中高年の男性ファン。
テレビ朝日が新日本プロレスを金曜午後8時の今の「ミュージックステーション」の枠で放映していた全盛期に流された当時の名試合がふんだんに流れた。人間は思い出をとかく美化しがちだ。そういう意味もあって昔の名勝負を見なおす事を避けてきたが、今見ても、どの勝負も十分に面白かった。
「猪木、坂口組対ルー・テーズ、カール・ゴッチ戦」「初代タイガーマスク対ダイナマイトキッド戦」は懐かしかった。司会は、当時テレ朝の名アナウンサーで古館伊知郎氏の師匠にあたる舟橋慶一氏。かつてのレスラーも坂口征二、藤波辰巳、初代タイガーマスクの佐山聡を始め多くの懐かしい顔ぶれが揃った。
舟橋氏、新間氏と桜井先生らとのトークショーも面白かった。新間氏は「新日本プロレスの発展は坂口征二の度重なる我慢の成果」など坂口征二氏持ち上げ発言が目立った。確かに、これは事実。
会場には猪木が東京プロレス時代にジョニー・バレンタインから奪ったUSヘビー級タイトルの展示もあった。猪木とバレンタインの日本初対決は誰に聞いても凄い試合だったと言われる伝説の試合。残念ながら動画は勿論、カラー写真も残っていない。
当時、日本では、まだ無名に近い23歳の猪木が新団体、東京プロレスのエースになって戦った初試合。厳しい試合で相手に嫌がられたバレンタインに真っ向から向かった猪木のファイトを見て関係者も度肝を抜かれたと言われる。
残念ながら私も、この試合は見ていない。誰か8ミリでも撮っていないかなと言われる。この日のイベントは進行などに、やや不手際もあったが、会場のファンも好意的で面白かった。
それにしても初代タイガーマスクの佐山聡は、プロレスでも天才、総合格闘技の修斗の創設者としても凄い。たぐいまれな才能の持ち主だなと改めて感心。
桜井康雄先生が「プロレスは勝ち負けや綺麗な技の攻防を見るのではなく戦っている者同士の魂のぶつかり合いを見るもの」とよく言われるが、全く同感。
私がジャンボ鶴田に感情移入出来なかったのは、魂のぶつかり合いが感じられなかったからだ。全日プロ系の選手では唯一、小橋建太が、そういった試合ができた選手。
今の新日本プロレスは業の攻防は素晴らしいが、単なる技の品評会。勿論、否定はしないが、どうしても感情移入は出来ない。それは個人の好み。ともあれ、面白いイベントだった。来年3月京王プラザホテルで2回目を行う予定だそうだ。