よい子さんのマイ★ベストレストラン 2012

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広い日本を楽しもう! 酒好きよい子の、旅するグルメガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

小料理 石蕗 (天文館通、いづろ通、朝日通 / 居酒屋、郷土料理、しゃぶしゃぶ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2012/02訪問 2020/08/22

〔薩摩〕地元の人に、心から愛される居酒屋さん。雰囲気は満点以外、付けようがない!

[鹿児島市]
2012/2/25(土)
鹿児島の繁華街、天文館にある居酒屋さん。
一般的な居酒屋料理に加え、郷土料理を提供しており、
地元のお客さんと観光客とが混在する、あたたかい空間だ。

食べログでのレビューを見て、これは私の求めるお店では…と期待して訪問。
アーケードのある天文館通りから脇道に入り、雑居ビルの地下1階。

中の様子が分からないので、入るのに多少勇気を要するが…
結果、思い切って入った価値は、十分すぎるほどあった。

扉を開けて店内に入ると、調理中なのか? お店の人が見当たらない。
事前にバーでお酒を入れてきたのも幸いしたか、
勢いに任せ、そのままカウンターの真ん中に陣取る。

奥から現れた女性店員さんに、
「鹿児島の方が、普段飲む芋焼酎は何ですか?」と質問してみる。
答えは、白金の露。
ああ、関東や中部のスーパーでもお馴染みのアレ、地元で愛されているんだなあ。
お湯割りで、お願いする。

お通しは、枝豆のような器で出てきた。
さつまあげ、帆立バター焼、ウインナー、ツブ貝。
いろいろな味、そのどれもが、芋焼酎のお湯割りに合うんだよなぁ。

それと… 郷土料理好きな私にとって、外せないのが「とんこつ」。
豚のあばら肉、洋風に言えばスペアリブ、中華風に言えば排骨、琉球風に言えばソーキ…を
味噌でじっくり煮込んだ、薩摩の味。

腰の据わった、どっしりとした味わいは、なるほど薩摩らしいと感じる一方で、
これはまさか、もしかして…
「八丁味噌を使ってます」と、先ほどの女性店員さん。実はこのお店のママだった。

八丁味噌!!
鹿児島まで来て、私の故郷(愛知)の味に出会うとは、思ってもみなかった。
感涙にむせびながら(笑) 八丁味噌のとんこつと、白金の露のマリアージュを楽しむ。

「ところで、鹿児島の醤油は甘いと聞いたんですけど…」と話しかける私に、
「そうですね、あんまり好きじゃないんで、うちは普通の醤油を使ってるんです」と、ママさん。
「私は八丁味噌好きなので、とんこつにも使ってるんですよ。」

聞くとはなしに、2つ隣の席の話し声が聞こえてくる。
どうやら、このお店の常連さんらしい。
昔は予約なんかしなくても入れたのに、いまやこんな人気店になって…と
嬉しいんだか、悔しいんだか分からないようなお話をなさっている。

ふと、隣の席にその方が移っていらっしゃった。
「どちらからいらっしゃったんですか?」
「ええ、神奈川から…」

あとは 3席隣の方から お通しの一部をご馳走していただき、
あれよあれよと、楽しい酒盛のはじまりである。

焼酎が空になり、次のを注ぎ、
酔った頭で、つまみには「カツオの腹皮焼き」を注文。

鹿児島の南西・枕崎はカツオの水揚げで名を馳せる港、
そちらで水揚げされたカツオの、トロといわれる…脂が乗った腹の部分を、塩焼きにしたもの。
旨くないわけがない。

「今は福岡に住んでるんですけどね、昔なら天文館のこの店には通ってました。
 もう、何十年も前から」
その方が話すと、カウンターの向こうでママさんが微笑みを返す。
「好きなんですよねぇ、この店が。」
「いい店ですよね。 …初めて来たんですけど、分かる気がします」
「どうです? まだ一杯やっていきませんか?」
気付けば、店の閉店時間はすっかり過ぎてしまっていた。

本来なら、ここでレビューは終わるはずなのだが、
鹿児島の夜はまだまだ終わらない。
隣にある系列店、スナック「Dunhill」に舞台を移して…

店員さんやお客さんたち、店の人にしか見えないお客さん(笑)を交えて、
時間を忘れるような、賑やかな夜が始まった。

いまとなっては、幻の一夜であったかのような…

それでも、"店の人にしか見えないお客さん"が書いてくれた、
おすすめの芋焼酎リストは、今も私の手元にしっかりと残っている。

私の部屋から、はるか 950km離れた鹿児島の地。
なぜだか身近に感じられるのは、あの日のお客さんたちがいたから。

もう一度、白金の露を飲み交わしたい、
忘れられない鹿児島の夜が、ここには確かにあった。

  • やっぱり食べたいのは、郷土料理のとんこつでしょう! なんと、八丁味噌を使用、こんなところで故郷の味と出会うとは(感涙)
  • カツオの腹皮焼き。カツオのトロ身ならではの旨味、これで芋焼酎をいただく格別の一時
  • お通しはさつまあげ、帆立バター焼、ウインナー、ツブ貝とバラエティに富む

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2位

バー アルシェ (阿波富田 / バー)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 -
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2024/08訪問 2024/08/29

徳島の夜を彩る、珠玉のカクテルたち。12年と変わらぬ居心地の良さ。

[徳島市][来訪回数:4回]
2024/8/12(祝)
徳島の夜、12年ぶりに訪れる Bar Arche。
詳細は 1回目の「行った」をご参照あれ。

阿波おどりに沸き立つ徳島の歓楽街で、
以前と同じマスターがお店を守っていらっしゃった。
土日を含め、定休日なしでの営業。

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■徳島ハイボール
ライムの代わりに、特産のすだち を搾り、
和三盆糖を加えてシェイクしたあと、ソーダでアップ。
一般的なハイボールにコクとまろやかさが加わり、見事に調和した美味しさ!

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■Garden City
シンガポールで行われたカクテルコンペで好成績を収めたレシピ。
Midori(メロンリキュール)・ココナッツ・マンゴーウォッカなどを使用。
鮮やかなグリーンが印象的。国際的な潮流に合わせ、甘口でトロピカルな味わい。

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■Prucian Blossom
梅のリキュール「プルシア」を軸に据えたオリジナルカクテル。
ジンで強さを与え、ストロベリーとヨーグルトのリキュールで華やかな香りをプラス。
いちごヨーグルトのようなスイーツ感の中に、プルシアの香りが際立つ一杯。

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■Arche
店名を冠した、淡青色のオリジナルカクテル。
カルバドスをベースに、グレープフルーツ、ライチ、ピーチリキュールなどをシェイク。
「雨上がりの青空をイメージしました」 その言葉にまた納得。
心に虹がかかるような、爽やかな飲み口のショートカクテル。

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■ギムレット
シメの一杯も、こちらのバーでは 徳島らしく…
冒頭のハイボール同様、和三盆とすだちを使用。
口当たりがまろやかで、あとを引く味わい。
「和三盆の色が付くので、好みによるんですけどね」とマスター。
いや、土地らしさが出て、味わいも完璧だと思います!
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沼津から来たことを伝えると
「Frank と Tom’s Bar のマスターとは 2週間前にお会いしました」と
意外すぎる接点が!
あるバーテンダーが国の勲章を授与されることになり、東京でパーティーがあった際に会ったのだとか。
全国にネットワークを持つNBAバーテンダーならではの繋がりである。

さらに聞けば、2009年に沼津御用邸で行われた
「静岡茶を使ったカクテルコンペ」で見事優勝された経歴があるそうで
店内に、某 川勝知事の賞状が飾ってあった。
そのカクテルをぜひ飲んでみたかったが、いまお店に抹茶が無いそうで残念。
次の徳島旅行には、静岡産の抹茶を持参しようと心に決めた。

あまりに居心地が良くて、2夜連続で通ってしまった。
確かな技術のカクテルと、一流のホスピタリティを味わえるお店。
徳島の夜には、想像以上の楽しさがあった。
[徳島市] [来訪回数:2回]
2012/6/2(土)
徳島随一の歓楽街、栄町にあるバー。

大小はともあれ…どんな街にも、夜の盛り場というのはあるものである。
徳島の場合は、それが栄町だ。

阿波尾鶏とビールで軽く酔った頭に、その喧騒が心地良い。
以前から調べておいたバー。
素敵な空間が迎えてくれることを願いつつ…。

扉を開けたのは、23時も過ぎた頃。
奥までは見えないが、ほぼ満席に近い雰囲気。
これは入れないかな、と躊躇した矢先、
女性バーテンダーさんが笑顔で招き入れてくれた。

カウンターの中央を空けていただく。
この日、バーテンダーさんは3名。
BGMは、静かに流れるクラシック。

1杯目。
徳島らしいもの…何かありませんか?
スノースタイルで、甘夏のカクテルを出していただいた。
甘さ・酸味ともにほど良く、さっぱりといただける一杯。

お通しは、生りんごと、
玉子サラダを乗せたクラッカー。

隣では、年配の女性が気分良さそうに、カクテルを楽しまれている。
「彼女はね、全国大会で2位になったのよ」
指さす方を見れば、真新しい賞状が一枚。

なんと、先週(5/27)新潟で行われたばかりの
NBA全国バーテンダー技能競技大会で、準優勝されたのだという。
http://www.asahi.com/news/intro/OSK201206070161.html?id1=2&id2=cabcagai

まるで自分のことのように嬉しがる女性の姿を見て、
このバーテンダーさんが、いかに愛されているかを知った。

カクテルの腕もさることながら、良いお客さんに恵まれている。
店作りまで含め、一流のバーテンダーさんだと言えよう。

アルシェという店名の由来を尋ねると、
アーチ、架け橋という意味とのこと。

2杯目に頂いたカクテルは、その「Arche」。
クール・ド・リヨン・ブランシュ・ド・ノルマンディというカルバドスをキーに、
グレープフルーツ、ライチ、ピーチリキュールなどをシェイク。
店のイメージカラーでもある、ほんのり白みを帯びたブルーが美しい。

「雨上がりの青空をイメージしました」 その言葉にまた納得。
心に虹がかかるような、爽やかな飲み口のカクテルだ。

3杯目は、ニッカのアップルブランデー「弘前」をストレートで。
バックバーには多数のスピリッツ&リキュールが並ぶが、
中でも、カルバドスの充実ぶりが目を引く。

4杯目は、徳島ハイボール。
ライムの代わりにすだちを使い、阿波和三盆糖で味を調えた、爽快な一杯だ。
この店を立ち上げる前、長年勤めた「Bar 鴻」で発案されたレシピと聞いた。

彼女は徳島に生まれ、徳島で育ち、
ずっと徳島のバーにこだわってきた。

大阪や東京に出ようと思ったことはありますか? と尋ねると、
「徳島のお客様に育てて頂きましたから、ずっと徳島でやりたい気持ちが強いんです」
と、迷いのない答えをいただいた。

見た目に反して、バーテンダー歴15年。
過去5回 徳島代表に選ばれたという、錚々たるキャリアをお持ちである。
お客さんに向ける、屈託のない笑顔だけを見ていると、とてもそうは見えないのだが。

ラストはもちろん、
全国大会で披露されたばかりの、そのカクテルを。
L'Alliance ~結婚指輪~
NBA全国バーテンダー技能競技大会(2012) 総合準優勝作品

グレイグース・オレンジ(ウォッカ)、ラ・デュセス(レッドカシス)、
ローズシロップ、レモン、オレンジビターのシェイク。
オレンジの花言葉「花嫁の喜び」に、祝福の薔薇を添えて。

6/8でオープン一周年を迎えるという、バー・アルシェ。
リーフレットに記された "more best" の文字に、揺るぎない決意がにじむ。

ここまでの名店に出会えるとは、思ってもみなかった。
そして、これほどの名バーテンダーを生み出す、徳島という街の奥深さ。

遠くない将来、また必ず訪れたい。

-----
p.s.
6/3(日)ドライブのあとに再訪。
カルバドスの飲み比べをさせて頂いたあと、数杯いただいたのだが、

すだちと和三盆を使ったギムレット、その完成度の高さに驚いた。
「甘さというより、奥深さを出すために使ってます」という和三盆。
確かに、ジンの尖った部分が丸みを帯び、味わいの深さが際立つ一杯だった。

なぜか写真を撮り忘れているのが、とても不思議なのだが…
バーテンダーさんの魔法に酔った、ということにしておこう。

  • オリジナルカクテル「Garden City」。国際的な潮流に合わせ、甘口でトロピカルな味わい
  • オリジナルカクテル「Arche」。カルバドスをベースに、グレープフルーツ、ライチ、ピーチが入る
  • すだちと和三盆を使ったギムレット。口当たりがまろやかで、あとを引く味わい

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3位

スモーレスト・バー (錦糸町、住吉、菊川 / バー、郷土料理)

1回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.2
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2015/05訪問 2020/08/22

山形の地ビール&郷土料理に、マニアックなテキーラが楽しめる癒し系Bar♪

[東京都墨田区] [来訪回数:35回]
2014/8/17(日)追記修正
錦糸町のカジュアルバー。月山ビールと、テキーラの品揃えが売り。
マスターの出身地・山形の郷土料理も、ちょこっとだけ食べられる。

墨東の不夜城、錦糸町。
駅の南西、雑居ビルが立ち並ぶエリアに、smalllest barはある。

「smallest」より、エルがひとつ多いのはマスターのこだわり。
最小の中の最小、といったところだろうか。

この場所に移転する前は、本当に小さい店だったという。
今はカウンター6席に加えソファー席と、それほど小さい印象は受けない。
初心忘るべからず、という気持ちがこもっているのだろう。

この店の存在を知ったのは、大阪のお気に入りテキーラバー「カクタス」で、
テキーラソムリエのいるバーを紹介した本を読んだのが きっかけ。
それ以来、月に1回以上通うようになってしまった。

これはやはり、綺麗かわいい店長さん(女性バーテンダー)の魔法にかかっている、と
言わざるを得ないだろう。

山形出身らしく、ほんわかとした雰囲気の方だが、テキーラに対する探究心は本物。
早い段階からテキーラ・マエストロとなり、メキシコテキーラ規制委員会(CRT)の認証を受けてもいる。
ひそかに、英語堪能な才媛でもある。

BGMはほど良くアップテンポ。明るい気分で、テキーラを楽しめる。
店長自ら、CDを入れ替えて選曲することもある。
時にはスクリーンに、バーバパパのアニメが流れていたりもする(笑)

そんなゆるい雰囲気のお店だが、テキーラの品揃えに関しては、
近辺で並ぶもののないレベルだと言える。
以下、今まで飲んで美味しかった酒と、この店ならではのフードを紹介していきたい。

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■月山ビール(ピルスナー)
山形・西川町の地ビール、がっさんビール。
コロナビールのように、瓶から直接ゴクゴクといこう。
苦味、香味がほど良く、一杯目の景気付けにぴったり。
黒ビールもあるので、気分に合わせて飲み分けできるだろう。

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■サングリータ
テキーラをストレートで飲むとき、メキシコではチェイサーとして
「サングリータ」を飲むのが一般的だという。
トマト&オレンジジュースをベースに、レモンと塩胡椒・スパイスで味を調整したものである。

最近、テキーラバーでは置いてある店が増えてきたが、まだまだ知名度が高いとはいえない。
店ごとに味わいが違うのも面白い。
ブラックペッパーを強く効かせる店もあるが、こちらのお店では柑橘の風味が立っている。

アガベ(竜舌蘭)100%のプレミアムテキーラは、間違っても一気飲みする酒ではない。
サングリータをお伴に、ちびりちびり、舐めるように味わいたい。

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■La Tierra(¥1000)
メキシコの赤い大地をイメージしたテキーラカクテル。2014大阪フェスタ2位。
ルバーブとローズマリーを使った、意欲的な創作。

ベースには、ドン・フリオのレポサドを使用。
ルバーブのコンポート・グレープフルーツ・レモンジュースとともにシェイク、ソーダでアップ。

仕上げとして、フレッシュローズマリーを添える。
このローズマリーの香りが爽やか!

ほのかなテキーラの芳香、フルーツの酸味バランスも良く、
さっぱり飲めるカクテルだ。

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■仮面貴族
北海道のバーテンダーさんが創作し、2012年のテキーラフェスタでグランプリを取ったカクテル。

クエルボ1800(レポサド)という、金色に熟成したテキーラをベースに、
チョコクッキーシロップ・マンゴーシロップ・オレンジ・レモンをシェイクした、見事な創作。

基本的に甘いカクテルだが、バックに酸味が控えているため、くどさがない。
そして飲んだあとから、ふわりとナッツのような香ばしさが現れる。これが絶妙なのだ。

この複雑な風味、まさにカクテルならではの醍醐味。
チョコクッキーシロップという、あまり使われない素材を上手く活かしたレシピ、
これを考え出した方には、心から拍手を送りたい。

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■スリーワイズメン
ジャックダニエル・ハーパー・テキーラを等量混ぜて、シェイクするだけ。
これが予想外にすっきりして美味しい!

カクテル名の意味は「東方の三賢者」。
ウイスキーの香り高さと、テキーラの良い意味での癖が、ぶつかることなく融合する。

シェイクによって心地よく冷えるからか、アルコールの強さも感じさせない。
メニューにはないが、酒好きの方に是非オススメしたい。

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■テキーラクランベリー
こちらのお店、山口県産のこだわりクランベリージュースを仕入れている。
これとテキーラの相性が、また良いのである。

クランベリーの渋味と酸味が、テキーラが持つほのかな甘さとベストマッチ。
色もルビーレッドで美しいので、女性に特にオススメしたい。

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■テキーラかき氷
びっくりするようなメニュー。
フローズンマルガリータのように、凍らせて楽しむカクテルもあるのだから、
確かに、かき氷の上にテキーラをかけるのも、アリかもしれない。

もちろん原液そのままではなく、ライムで風味を付け、甘さを加えたものをシロップとしてかける。
さっぱりした味わいで、意外といけるのが面白い。

手動のかき氷器を使い、ママがガリガリ頑張って作ってくれるのも、
なんだか嬉しい(笑)

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■玉こんにゃく&テキーラ「アラクラン」
山形特産の玉こんにゃく。
マスターの地元愛が伝わってくるメニューだ。

無茶な注文と知りつつ、「こんにゃくに合うテキーラ」をストレートでお願いしてみる。
バーテンダーさん、ちょっと迷っていたが、そのあと何かひらめいた様子!

こんにゃくには、出汁の風味がよく染みている。
練り辛子の刺激がいい。
4玉一串なので、食べ応えもそこそこある。

お勧めいただいたテキーラは、アラクラン。未熟成、無色透明なブランコだ。
「日本酒の香りに似ているかなと思って…」
なるほど、そう言われてみると、吟醸酒や米焼酎が花開く香り(エステル香)に似ている気がする。

玉こんにゃくとテキーラブランコ、全く違和感ない…。
こんなマリアージュを体験できるのは、全国広しといえども、smalllest barだけではないか。

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■[夏限定] だし豆腐
キュウリ・なす・みょうがなどの刻み野菜を、冷奴の上に乗せて食べる、山形の郷土料理。
近年は牛丼屋でも採用されるなど、じわじわと全国的知名度を上げつつある。

さっぱりしていて、何にでも合う。
テキーラに合わせるなら、やっぱり透明感のあるブランコ(熟成のない透明品)かな。

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■[秋限定] 芋煮
山形の秋は、芋煮の季節。
美しく紅葉した川辺や広場に、みんなで鍋を持って集まり、
牛肉・里芋・こんにゃく・きのこ等を投入し、醤油味で煮込んで食べるのだ。

こちらの店では、その味を気軽に楽しむことができる。
ほっこり里芋に、豆腐・ごぼうも入って、身体が芯から温まる味だ。

月山ビールを合わせるのもいいが、テキーラだって意外と相性が良い。
ちなみに年によっては、山形まで移動して芋煮パーティーを開催することもあるんだとか!
一度、参加してみたい気もする。

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こちらのお店は、オーセンティックの本格派でもないし、常に賑やかなカジュアルバーでもない。
ちょうど中間のような絶妙の間合いと、バーテンダーさんのちょっとドジっ子なところが、
妙に癒される店なのだ。
先っぽが尖りすぎていない良さ、とでも言おうか。

見目麗しさだけでなく、その聞き上手なところも、実力のうちと思わせる。
これからもずっと、お世話になることでしょう。

  • La Tierra(¥1000)。ドン・フリオ(レポサド)をベースに、ルバーブとローズマリーを使った意欲的カクテル!
  • チャモイ・テキーラ(梅干し入りテキーラ)! 決して奇抜な味ではなく、マルガリータに見られるように、塩味とテキーラは相性が良い
  • メキシカンモヒート、略してメヒート。通常、ラム+ライム+ミント+砂糖で作るところ、ラムをテキーラに替えたもの

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4位

地酒喝采 かも蔵 (牛込神楽坂、神楽坂、飯田橋 / 居酒屋、日本酒バー)

2回

  • 夜の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 2.7
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2016/12訪問 2017/01/30

幅広い銘柄の日本酒を楽しみたいならココ。女性利き酒師の名物店長は卒業、新しい店長の采配にも期待♪

[東京都新宿区][来訪回数:20回]
2016/12/27(火)更新
神楽坂にある、日本酒の店。
店舗情報は、1回目の「行った」をご参照あれ。

カウンターとテーブル席があるが、せっかくこの店に来たなら、
多種多様な酒のラベルを見ながら呑めるカウンター席が一押しだ。

日本酒は、必ず和らぎ水(チェイサー)とともに供される点も、
酒を分かっている店ならでは(^-^)
二日酔いを予防し、楽しい酔いにするために、是非とも水分補給を忘れないようにしたい。

また、どんな銘柄のお酒でも、熱燗にして楽しめる。
自分で加減を調節できるので、温度を変えて味わいの変化をみるのも面白い。

料理は、A4用紙 1枚両面にまとめられ、シンプルで分かりやすくなった。
常に馬刺しがおいてあるのもポイント。
佐賀直送の「温泉湯豆腐」、最近流行りの牛カツも気になる。

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■秋田「新政 No.6 X-mas type」大吟醸(90ml¥1678)
クリスマスだから、高級酒に手を出しちゃう!
精米歩合40%、酒米は「美山錦」を使用。
あっさりした口当たりの微発泡。
生もと由来の、ほど良い甘酸っぱさが心地良いプレミアム酒だ。

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■地酒3種吞み比べ(72ml×3銘柄 ¥1111)
メニューに載る20種類ほどの酒から、好きな銘柄を3つ選んで楽しめる。

◎愛知・藤市酒造「菊鷹」純米吟醸
 愛知県産 夢吟香24%と、兵庫県産 山田錦のブレンド。熊本酵母使用。
 純米吟醸だが、生もと山廃(伝統的な製法)でどっしりした酸味。味の濃い酒だ。

◎奈良・油長酒造「風の森」純米
 無濾過無加水。純米らしい、やさしい甘さを堪能えきる。

◎福岡・白糸酒造「田中六五」純米
 うすにごり。原料米には、地元・福島県糸島産の山田錦を使用。

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■地酒3種吞み比べ(72ml×3銘柄 ¥1111)
…調子に乗って、もう1セット(笑)

◎新潟・逸見酒造「至」純米生酒
 佐渡島から海を渡って来た酒。お酒に強くない蔵元さんが醸しているそうな(^-^)
 飲み口は新潟系らしく、キリッとして綺麗な印象。
 精米歩合60%であるが、吟醸酒に近いクリーンさを感じる。
 今回は冷やでいただいたが、お燗でも良いとのこと。

◎岐阜・林本店「百十郎/黒面 くろづら」純米吟醸
 各務原で、女性杜氏によって醸される。
 秋田の酒造研究所で技術鍛錬されたつながりで、秋田米・五百万石を使用する。
 とってもあっさり、さらりとした淡麗な酒。

◎埼玉・南陽醸造「花陽浴 はなあび」純米吟醸 うすにごり
 こちらは羽生から参戦。米は八反錦を100%使用、少量生産。
 私の感覚が正しければ、パイナップルのようなニュアンスの香り。

※長野「幻舞Mari」
※伊賀「三重錦」純米酒60%・八反錦28年
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■本日のなめろう(¥885)
脂の乗ったカンパチを、味噌・刻み薬味とともに叩いた一品。
刻みみょうが・ねぎ・大葉・大根・人参がたっぷり。食感がよく、爽やかな風味。
コク深い味噌風味には、生もとの純米酒を合わせたい。

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■モツ煮(小¥658)
通常は、丼サイズでの提供という。
今夜はいろいろ食べたいので、¥113引の小サイズでお願いした。

一般的なイメージを覆す「コンソメスープのような透明の汁」に驚かされる。
たっぷりのねぎ・大根・ごぼう・人参が入り、隠し味に生姜の風味。
これはまさに「和風ポトフ」である。

中にはぷりぷりとしたマルチョウ(ホルモン)!
とろりと柔らかく上質な脂。クセは全くなくて美味しい。
ちょっと塩強めの味付けも、日本酒にぴったり合う。

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■栃尾ピザ(¥771)
新潟名物・栃尾の厚揚げを洋風に仕上げた一品。
たっぷり掛けられたチーズの風味が、意外と日本酒に合う。
お互い、発酵食品の仲間ですからね。

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■珍味盛り・お好み3点(¥1452)
数種類ある珍味から、自分の好きなものを盛合せに出来る。
少し値段は高いが、酒呑み垂涎である。

◎山うに豆腐
 福井県鯖江市で造られる「豆腐の味噌漬」(実際のウニではない)。
 まったりと柔らかく、チーズのような風味。本州版の "豆腐よう" とも言える。
 きゅうり・トマトと合わせてサラダ感覚で!

◎鯖のへしこ
 こちらも福井県の郷土料理。サバを塩漬にし、さらに酒粕に漬け込んだ旨味の多重奏。
 熟成によるものか、鮭のような紅色に仕上がっているのも興味深い。

◎かんずり酒盗
 カツオ胃の塩辛(酒盗)に、新潟特産の熟成唐辛子(かんずり)を加えて。
 かんずりには米麹が含まれるので、日本酒とは相性抜群。大根おろしでさっぱりと!

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■ブリ酒盗照焼(¥998)、ごはん(¥318)
ブリの照焼というだけで酒が進みそうなのに、さらに酒盗を加えているとは…
店ちょから「ごはんが合うよ!」と言われ、反射的にごはん追加(笑)
期待通りの味で、どんどん白飯が進む。
酒盗ダレがたっぷり絡んで、添えられた玉ねぎまで旨い!
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お会計はテーブルにて。
「上がりデザート一丁~」と言って、熱いお茶と、みかんを少し出してくれる。
これらも二日酔いを避けるために有効と思われるので、ちゃんと頂いてから帰りたい。

20回通った店なので、もちろん気に入っているのだが、あえて言えば…
料理の出るスピードが、混雑状況によっては遅く感じられることがある。
また お通し(¥567)、外税(8%)、サービス料(5%)が乗り、高めのお会計になることも否めない。

まあ、そういった点があるとはいえ、日本酒の品揃えは屈指であり、
「全国の杜氏さんから一目置かれる」店であることは確か。
店員さんもよく勉強され、日本酒専門店というに恥じない知識を持っておられる。

店長は 2016年12月末をもって退店され、新店長があとを受け持つとのこと。
今まで、店長の強力なキャラで常連さんを楽しませてきたが、もう一度「店舗」の魅力で勝負するときが来ている。
次なる店長の采配に期待大である。
[東京都新宿区][来訪回数:18回]
2015/12/6(日)更新
神楽坂上にある、日本酒に特化した居酒屋。

神楽坂上交差点の角、ビル2階にある。
最寄りは、都営大江戸線の牛込神楽坂駅。メトロ南北線の神楽坂駅からも近い。
JR飯田橋駅からは、(行きは)ちょっとした上り坂になるが、十分徒歩圏だ。

カウンター8席程度、奥にテーブル席が多数。宴会も可能な店である。
店内は全席喫煙可。

少人数で伺うなら、是非ともカウンターをお勧めしたい。
法被姿も眩しい美人店長(女性きき酒師)との会話で、お酒が数段美味しくなることは、請け合いである。
比較的客層が若く、女性客が多いのも、特徴といって良いだろう。

最初に立ち寄った時(2012年8月)に比べ、かなり混み合う店になったという印象。
カウンターにも奥のテーブル席にも、お客さんがぎっしり座る。
混雑時には、常連さんがカウンターの端にある箱に腰掛け、A-0卓と呼ばれるのも日常茶飯事である。

飲食店が密集する神楽坂にあって、この人気の秘訣は何だろうか?
日本酒専門店の中でも際立つ、さまざまなタイプの銘酒(200本程度?)を取り揃えていることはもちろん、
個性的なキャラクターの女性店長に、ファンが付いていることは間違いない。

店がお客さんで埋まってくると、店長はてんてこまい、
いわゆる「店ちょこまい」状態となり、右へ左へ慌ただしく動き回る。
その様子を客観的に眺めつつ、銘酒を嗜む。この店ならではの楽しみ方である(笑)

日本酒は 1杯 0.7合での提供。
1合単位で出てくる店(※)に比べ、より多くの種類を楽しめるのも嬉しい。
(※実際には1合入っていないケースが多いと聞くが…)

さすがだと思うのは、瓶にたっぷりのチェイサー(和み水)を用意してくれること。
どんなに美味しいお酒でも、悪酔いしては本末転倒。
この配慮は、日本酒専門店ならではだと感心させられる。

料理も実に幅広い。三鷹など近郊からの直送野菜、馬肉の質にもこだわりがある様子。
郷土料理好きの私としては、地域の特徴ある肴と合わせて、その土地の酒を愉しむ…
これが最高のチョイスと考える。

混んでいるときは、料理が出るのに相当な時間が掛かるので、
最初にまとめて頼んでおくのが良いだろう。
たとえば今夜、卵焼きを頼むと、3時間くらい待つとのこと!
さすがにこれは、冗談だろうが…(笑)

なおメニューは外税かつ、サービス料(5%)が掛かる点に注意したい。
お通しは¥565となる。

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■徳島「三芳菊 TAKE A WALK ON THE WILD SIDE」 純米にごり
重陽の節句(旧暦 9月9日)にちなみ、グラスに菊花をひとひら浮かべて。
さすがは店長、粋な計らいだ。

日本酒らしからぬ、アニメ調のラベルが印象的だが、味わいの方もちょっと個性的。
甘酸っぱさが前面に出た、フルーティな味わい…
日本酒のイメージからは離れるが、こういうのも、アリだと思う。

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■愛知「蓬莱泉」純米大吟醸・生酒
生酒ではない純米大吟醸「空」も出していただき、贅沢な飲み比べをさせて頂いた。
さすがに、いずれも香り高い!
あえていえば、生でない方は、幾分香り・味わいともに「落ち着いて」いるように思う、

店主は、奥三河の山中にある蔵の見学まで行っている。
研究熱心な店主に、乾杯である。

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■三重「瀧自慢」純米大吟醸(¥896)
伊賀の酒。精米歩合45%(伊賀産山田錦)、自家培養酵母を使用。
アルコール感、後味にちょっと大人の苦味を感じる。

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■きゅうり漬け(¥658)
早く出てくるかなと思い、注文してみた。
瓜の香りがあるので、吟醸系の酒にも向くと思う。
さっぱりした中に、塩味・旨味もしっかりある。

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■広島「旭鳳」純米・仕込第一号(¥669)
今年初めての搾り。扁平精米・2015年新米使用。
米の旨味を活かした、どっしりと厚みのある味わい。

こちらの杜氏さんは、このお店に何度も来店されており、
以前は同じカウンターで酒を呑ませて頂いたこともあるが、
この蔵での造りは、今年をもって卒業とのこと。今後の展開に期待したい。

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■滋賀・喜多酒造「天保正一」平成8年秘蔵酒(¥998)
19年貯蔵された日本酒。
長期貯蔵のウイスキーに比べると、年数の割に色は淡め。
木樽の風味が出ているというより、酒そのものの熟成による風味変化を
そのまま楽しめる点が、日本酒古酒の特徴だと言えそう。

まろやかな甘酸っぱさ、口当たりまろやか。
前述のチーズとよく合う!

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■あわ麩のアーモンドバター焼(¥639)
私の好きな「麩」に興味を惹かれ、目新しいデザートを頼んでみた。
見た目にも可愛らしく、麩が3個並ぶ。酒浸りのフィグが乗っかって。
口に入れるともっちり、本当に餅のような食感だ。

断面は鮮やかな黄色。原料がアワ(粟)だということ、視覚的にも分かる。
甘さは控え目でしつこくなく、まろやかだ。

店主のお勧めに従い、岐阜県の古酒「達磨正宗」と合わせる。
これは… 店主オススメの組合せだけあって、今までにない味わいに唸らされる。
熟成を経た古酒は、個性的で複雑な香り。
その香りを、まろやかなアーモンドバターと、ふっくらもちもちとした麩が包み込む。
これはきっと、日本酒の新しい楽しみ方…

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■クリームチーズの酒粕漬け(¥567)
デザートのような上品な甘味。マスカルポーネを思わせる。
ほのかな甘酸っぱさがあるので、酸のある純米酒、あるいは古酒に合わせてみると
面白いマリアージュが楽しめる。

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■チョコレート(¥431)
マイルド系とビター系の板チョコ2種盛り。
日本酒とチョコの相性が楽しめるのは、日本酒専門店ならでは!

マイルド系と古酒は、甘・酸・苦・渋味が交じり合い、なかなかの相性。
逆に、ビターチョコと古酒を合わせると、かえって渋みが強く出ることに気付く。

これは、どういったお酒に合わせるとぴったり来るだろうか?
研究意欲をかき立ててくれる、一風変わった酒の肴である。
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お会計のあと「上がりデザート」ということで、温かい番茶とオレンジが供される。
最後に身体を温め、改めて水分・ビタミンを補給する。
前述のチェイサーと同様、悪酔い知らずで日本酒を楽しむための嬉しい配慮である。

この店で特筆すべきは、やはり若き店主のキャラクターだろう。
福岡出身らしく、さっぱり明るく、サバサバした物言い。
特に常連客のあしらいは、それを見ているだけで酒の肴になる(笑)

冗談なのか 本気なのか、帰り際の常連さんに「明日来るよね?」と声をかける店主。
それを適当にかわすお客さん、見ているこちらが、にやにやしてしまう…

もちろん専門店の店主、利酒師として、日本酒の知識も十分。
はっちゃけ感だけじゃなく、気配りも忘れていない。
この人でなければ、このカウンターの雰囲気は出せないかもしれないなぁ。

ある日の閉店間際には、女性客がひとりでふらりとご来店。
聞けば、長野の酒蔵の、醸造責任者であるという。

深く正しく日本酒を知り、お客さんに勧められる力量を持つ店主だからこそ、
各地の蔵元さんから、かくも信頼が厚いのであろう。

日本酒を呑むと、私はどうも酔いやすいようだが…
いつまでも長居したくなる、神楽坂の魔法が、ここにある。

  • 手慣れた手つきの店長、チャキチャキの福岡っ子です
  • クリームチーズの酒粕漬け(¥567)を、「天保正一」平成8年秘蔵酒(¥998)と合わせる
  • チョコレート(¥431)。まるで実験室のように、日本酒とチョコの相性を試せる

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5位

和田乃屋 本店 (徳島、佐古 / 甘味処、和菓子、カフェ)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/06訪問 2020/08/22

錦竜水の流れを愛でつつ、心静かに抹茶を一服。記憶に残るロケーション!

[徳島市]
2012/6/2(土)
眉山の麓、お寺と神社に囲まれて佇む甘味処。
「滝の焼餅」と、錦竜水で立てた抹茶で知られる名店。

徳島の象徴である眉山(びざん)。
どの方向から見ても、眉のようななだらかな曲線を描いて見えるから、というのが
その名の由来だという。

その山麓から流れ出す、錦竜水(きんりゅうすい)。
阿波おどり隆盛の立役者でもある、阿波の殿様・蜂須賀公が
天正13年(1585)、名水の使用を許したことで生まれた名物が「滝の焼き餅」。

変わらぬ味を今に受け継ぐのが、ここ 和田乃屋である。

入口からして、日常世界から隔絶された空間。
滝薬師と春日神社のあいだ、その石段を登ってゆくと、
和田乃屋の看板が見つかる。

店頭では、女性店員さんが餅を焼きながら、「いらっしゃいませ」。
さっそく店内に入ると、カウンターのみ 5席という、こじんまりとした空間(※)
いちばん窓側に座ることができた。

※あとで調べたら、奥に座敷もあるようだ。

このロケーション、期待をはるかに上回る素晴らしさ。
滝の流れ、池に遊ぶ鯉を見やる、特等席だ。

カウンターの向こうには、鉄器でぐらぐらと湧かされるお湯。
静かに流れるBGM… 尋常ならざる、雰囲気の良さである。

ここは是非、抹茶をいただきたい。
それも、気軽にいただける冷抹茶。

冷抹茶と焼き餅3枚のセット(¥700)をお願いする。

カウンターの向こうで、店員さんが抹茶を立てて下さる。
シャカシャカシャカ…
こんな音を聞くのも、いつ以来だろうか?

氷で一気に冷やして、出来上がり。
「錦竜水で立てた抹茶でございます…」

水の違いが分かるほど、繊細な味覚は持っていないが、
霊水と聞けば、おのずと気分が高まるというもの。

それに口をつける間もなく、ふわりと、香ばしさが立ち昇った。
焼きたてのお餅である。

餅は薄く焼き伸ばされており、ほど良くついた焦げ目の、パリパリ感がいい。
菊紋の押し型が、焼き付けられている。

独特な形の4つ又フォークは、餅をぴったりホールドできる。
中には粒あん。
餅そのものが薄いから、あんの量は少なく、自然と甘さも控えめになる。

滝の流れを眺めつつ、実にゆったりとした気分で過ごすことができた。
笑顔の美しい店員さんも、かなりの好印象。

ごちそうさまのあと、店内から見上げた景色を確かめてみようと、
脇の石段を少しだけ登る。

錦竜水が流れ落ちる小滝、その傍らには聖観音堂。
旅の幸運を願い、お参りした。

この風情、私が食べログを始めて以来、甘味処としては最高である。
縁結びの場所としても、知られているそうだが…さもありなん。

阿波おどり会館やJR徳島駅ビルでも同じものは食べられるが、
もう断然、こちらの本店がお勧め。

徳島を訪れる際には、是非とも足を運んでいただきたい名店である。

  • 焼き餅を食べるための、専用の器具。二又フォークが上下二段になったような…厚さもぴったり、餅とのフィット感はさすがです
  • 錦竜水で立てられた、香り高い抹茶! アイスなので飲み方に気を使う必要もなく、気軽に楽しめます
  • 挟み付けるように焼くことで、ぺったんこになる焼餅。プレーン、抹茶、胡麻の三色です。菊の焼印がいいですね

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6位

ブラジル屋 (木更津 / 喫茶店)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 ¥1,000~¥1,999

2018/03訪問 2018/03/23

木更津に輝く、珈琲一番星! 本格的な品揃えと、テーブルセッティングの美しさに惚れる。

[千葉県木更津市][来訪回数:2回]
2018/3/11(日)更新
JR木更津駅の東方(文京3)にある、コーヒー専門店。

場所は… JR木更津駅の東口から駅前通りを直進し、紳士服コナカの角を右折。
小川(矢那川)に掛かる橋を渡り、すぐ右奥に駐車場がある。
店舗は、そこから川沿いに少し歩いたところにある。
JR木更津駅(東口)から徒歩15分。

6年前に訪れ、そのときの印象が非常に良かったので再訪。
当時と変わらず、元気に営業されていたので安心した。

小川沿いに歩いていくと、最初に目に入るのは、コーヒー豆の持ち帰り窓口である。
その右側に、小さいけれど良く手入れされた和風庭園があり。その奥にカフェが隠れている。
いかにも店舗然としていない様子に、奥ゆかしさを感じる。

客席は 4人掛けテーブル×6卓。全席禁煙。BGMはクラシック。

メニューの一部を紹介すると…
〔ブレンド〕 オリジナルブレンド、橘ブレンド、フレンチブレンド
〔ストレート〕ブルーマウンテン、ハワイカウExファンシー、パナマダイヤモンドマウンテン
       パナマゲイシャ、ガヨマウンテン、イエメンマタリNo.9、ドミニカドンファンSP
       バリ神山、インドモンスーン、パプアニューギニアシグリAA、キリマンジャロ
〔ドリンク〕 カフェオレ、アイスコーヒー、アイスカフェオレ、抹茶
〔甘味〕   レアチーズ、くずきり、みつまめ、ぜんざい、冷しぜんざい

珈琲豆は産地ごとに分類され、コーヒー専門店と呼ぶにふさわしい品揃えである。
一杯の価格は高めであるが(¥550~)、ポットサービス(¥800~)にすればたっぷり楽しめて
かえってお得感があるかもしれない。

ケーキの種類は少なめだが、和の甘味も扱っているのが特徴。
抹茶と合わせるのは勿論、コーヒーとの相性を試してみるのが、この店ならではの楽しみと言えそうだ。

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■トラジャカロシ(¥750)、みつまめ(セット¥450)
6年前と同様、テーブルセッティングの美しさに惚れ惚れする。

カップ&ソーサーは、紫を基調としたペイズリー柄。珍しくてインパクトが強い。
東南アジアの濃密な空気を感じる絵柄。今回はインドネシアの珈琲豆を選んだので、丁度しっくり来る。
銘は "其泉"。海外産かと思いきや、実は有田焼の窯であった。

みつまめは、ゴールドが目を引くきらびやかな器で登場。
こちらも銘は同じ。蓋を開けるとまた、キラキラとしたフルーツの宝石箱である(^-^)
添えられた紅梅は、季節の香りを運ぶ小道具。
同行者のテーブルセットには、白梅が花開いていた。二人合わせて紅白で縁起が良いこと。

◎トラジャカロシ
 インドネシア・スラウェシ島の高級豆。植民地時代、英国・東インド会社に育まれた歴史がある。
(ちなみに上述のペイズリーはイギリスで広まった柄らしいので、その意味でもぴったりだ)

 カップになみなみと注がれており、サービスの良さを感じる。
 説明文にある通り、酸味は全く感じられず、あくまでも穏やかな第一印象。
 しかし、後味にはしっかりと苦味が来る。このコントラストが鮮やかな一杯。

◎みつまめ
 フルーツいっぱい、彩りいっぱい♪
 いちご・みかん・キウイ・パイン・赤えんどう豆。
 いちごがハート型に飾り切りしてあるのも楽しい。

 琥珀色に輝く寒天は、もっちり感が際立っている。
 黒蜜の甘さも上品で、フルーツの甘酸っぱさに違和感なく寄り添う。
 これは文句無しに美味しい!
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この立地が不思議に思えるほど、上品かつ上質なコーヒー専門店。
前回訪れた時には感動したが、今回改めてその印象を確かなものにした。

木更津を訪れる際、ちょっと遠回りしてでも寄って頂きたい名店といえる。
[千葉県木更津市]
2012/11/25(日)
木更津のコーヒー専門店。
結論から言えば、一言、とにかくお勧めの店である。

JR木更津駅・東口から1km弱。
晩秋の夕陽に照らされる街を、歩いて店まで向かった。

川のほとりに、ぽつんと佇むお店を発見。
店に近付けば、コーヒーの素晴らしい香りが鼻をくすぐる。
コーヒー好きならば、入らずにはいられないほどの芳しさだ。

矢那川の土手道に面しているのは、併設された焙煎工房。
喫茶店はその右手。 小さいけれどよく整えられた、庭園の奥に位置する。

店内は、4人掛けのテーブルが6卓。
…予想以上の素晴らしい空間に驚いた。

ウッディなテーブルには、クリスマス気分を高める、赤いテーブルクロス。
窓からの眺めは、落ち着いた風情の和風庭園。
BGMは、ゆったりとしたイージーリスニングの定番ナンバー。
非常にセンスが良く、大人のための静かな空間だ。

家族経営のようで、スタッフの方はアットホームな感じ。

手渡されたメニューには、産地ごとのコーヒーが 17種類、ずらりと並ぶ。
インド産というのもあり、どんな味なのか、興味を引かれる。
ブレンドは 4種。さらにカフェオレ・カフェロワイヤル、アイスコーヒーが 2種。

デザートは、和風と洋風を取り揃えるのがユニーク。
確かにこの店の雰囲気なら、和風の甘味というのもしっくり来る。
 ・くずきり  ・ぜんざい  ・みつ豆
 ・レアチーズケーキ  ・季節のケーキ  ・手づくりアイスクリーム  ・珈琲ゼリー

甘味セットは、コーヒー1杯とデザートを自由に選べて ¥1000。
珈琲セットは、コーヒーがポットサービスになって ¥1300。

私は名前に惹かれて「カリブの風」ブレンドと、レアチーズケーキのセットをお願いした。

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出てきたとき、思わず「すごいですね…」と声が出てしまった。
ただのケーキ&コーヒーセットではない。ホテルにでも来たかのようだ。

甘味セットは、木製のお盆に乗って登場する。
彩りにグリーンの葉っぱが添えられ、お冷やはワイングラスでのサービス。
ステム(グラスの脚)には、小さなクリスマスツリーの飾り。

一方、お盆に敷かれているのは和紙で、七宝の箸置きにフォークが置かれている。
和洋折衷のコーディネイト。お盆全体が、ひとつの作品に見える。

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■「カリブの風」ブレンド
脚付きのコーヒーカップで登場。

「風」というだけあって、あっさりと爽やかな飲み口。
単に薄いのとは違うが、アメリカンに近い印象も受ける。
これならコーヒーポット一杯でも、飽きずに飲めそう。

ただ、濃厚なチーズケーキに合わせるなら、
もう少しパンチのあるコーヒーにした方が、相性が良かったかな?

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■レアチーズケーキ
白いチーズケーキにブルーベリーソース、いちご・キウイ・柿が添えられる。
五色の彩りで、まずは眺めて満足。
(ただひとつ抜けている「青」を、皿の絵柄で補っている点も見逃せない)

味の方も期待通り。
濃厚なチーズ感! これは、もっと食べたい!(笑)
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お会計は店内を抜け、焙煎工房のカウンターにて。
赤いポイントカードを作ってもらった。

最初から最後まで、客は私ひとりだけ。
静かな喫茶店というのは嬉しいものだが、
ちょっと… 大丈夫かな? と要らぬ心配をしてしまった。

コーヒー豆の品揃え、丁寧に作られた甘味、店の雰囲気。
どれもが期待以上で、自信を持ってお勧めできる店である。

ちょっと遠い隣町の喫茶店だが、再訪確実!

  • トラジャカロシ(¥750)。酸味がなくて穏やか、後からしっかり渋み・苦味が訪れる
  • 宝石箱みたいなみつまめ(セット¥450)。黒蜜の甘さも上品で、これは美味しい!
  • 同行者とは色違いのカップ&ソーサー。互いに紅梅と白梅を配置するセンスも素敵です

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7位

うに むらかみ 函館本店 (函館、市役所前(函館)、函館駅前 / 海鮮、海鮮丼、居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 -

2012/12訪問 2012/12/21

口の中でとろける、天然の「甘旨さ」。生ウニの風味に大満足。函館駅にも近く、是非立ち寄るべき店!

[北海道函館市]
2012/12/9(日)
函館朝市にある、ウニを中心とする海鮮料理店。
日本でただ一つの、生うに加工会社直営店だという(札幌に支店あり)。

函館旅行の最後を飾る食事!
ホッケ・イカと来て、最後はウニの専門店で締めたい。

17:55駅前発の、空港行きシャトルバスを気にしながら、
17:00開店直後に駆け込んだ。
(実際には雪で滑るのが恐いので、走れないが)

人通りもまばらな、夜の朝市。
しかしこちらは、かなりの人気店。
開店と同時に、私を含め4組のお客さんが入店である。

(形を保つための)ミョウバンを一切使わず、ウニの新鮮さで勝負する店。
米は、北海道の新世代米「ふっくりんこ」を使用。

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■サッポロクラシック、お通し
北海道での最後の食事も、やっぱりサッポロビールで。
お通しは、こんにゃくのたらこ煮。
薄味で上品に仕上げてある。たらこのぷちぷち感が良い。
次の料理に、期待が持てるお通しだ。

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■ウニの佃煮
ホットペッパーのクーポンで、無料でいただいた。
ウニを食べるのに、佃煮という調理法は初耳である。

口に入れてみると… 意外にも醤油辛くなく、奥ゆかしい味わい。
どこか、柔らかく煮付けたタラコにも似ているだろうか。
細心の注意を払って、仕上げてあるに違いない。

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■ウニ刺(¥1470)
これはもう、素晴らしいの一言。
美しいオレンジ色、粒のしっかり揃ったウニを見てください!

口の中でとろける、天然の甘さ。
しかも、ボリュームも結構ある。¥1470という価格は、決して高くないと(私は)感じた。

ウニというと高級品で、よく有難がられるが、
心から美味しいと感じられるウニが、どの程度あるだろうか。
私個人としては、東京・蒲田の初音鮨でいただいたウニ以来かなぁ。

正直… 函館といえばイカという認識で、ウニというのはノーマークだった。
期待を大きく上回る味わいに、満足度は急上昇である。

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■うに屋のウニグラタン(¥680)
「うに むらかみ」の名物、ミルキーで、自然な甘さが嬉しい。
アツアツのうちに、スプーンでいただこう。

クリームとウニとの好相性を、再確認できる一品。
パスタに絡めても美味しいだろうと想像できる。

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■トマトとアスパラのサラダ(¥735)
ひんやり冷やされたトマトとアスパラ。
北海道が誇る野菜たち、そのままでも十分に甘味があって美味しい。

ドレッシングは2種類。
醤油ベースで酸味の効いたドレッシングと、クリーミーなウニドレッシング。
前者はスタンダードではあるが、酸味のバランスが絶妙で、
むしろ、ウニドレッシングより気に入ってしまった (^-^)

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■北海道産じゃがいものフライドポテト(¥450)
1日目の店で食べた じゃがいもが美味しかったのと、
うに塩とウニバターが気になり注文。

カラッとハードめに揚がったポテトは、歯触りも心地よい。中身はホクホク。
そこにウニバターがとろけ、風味を添える。

定番のケチャップはもちろん、うに塩で食べてもいける。
(そこまでウニの風味が前面に出ることはなく、あくまで隠し味だ)
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このほか、殻付きのうに焼き、ウニルイベ、うにだし巻き、うにコロッケ、うにいなり焼きも気になったが…
ここでバスの時間となり、グルメ旅行はこれにて終了!

お会計は、¥3800(クレジットカード利用不可)
店員さんのサービスも良く、短い時間であったが満足度の高い食事となった。

東京を中心とした、各地のデパートで開かれる物産展にも出店するという。
そのときは生ウニ丼も食べられるそうなので、ぜひお邪魔してみたい。

  • ウニ刺(¥1470)もう素晴らしいの一言。粒のしっかり揃ったウニを見てください!
  • お通しは、こんにゃくのたらこ和え。薄味で上品に仕上げてある
  • サッポロクラシックとウニの佃煮。佃煮という調理法は珍しい、醤油辛くなく上品な味わいです

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8位

茶房 菊泉 (末広町(函館)、大町、十字街 / 甘味処、カフェ、郷土料理)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/12訪問 2020/08/22

古建築のぬくもり、街を見下ろせるロケーション。函館の正月料理・くじら汁は、心も身体も温まる一杯!

[北海道函館市]
2012/12/9(日)
元町地区の甘味処・和カフェ。
古い酒屋の木造建築を転用した、リノベーションカフェである。

八幡坂のてっぺんから望む函館港は、この地を代表する景色のひとつ。
その坂を登りきり、右手に進んだところにある。

ふと店頭の貼紙が目に入り、「鯨汁」というのに興味を引かれた。
港町では、昔から鯨食が盛んであるはずだが、こと汁物というのは目新しい。
吹き付ける寒風から逃れるように、さっそく入店。

かつて「菊泉」という酒を商っていた旧家。
家なので、靴を脱いでお邪魔する。

入って左手には掘りごたつのように座る、変形のカウンター席。
右手の戸を開ければ、掘りごたつのある座敷席と、港を見下ろせるテーブル席(こちらは全席禁煙)。

このロケーションと、店内の雰囲気だけでも、☆4確定の素晴らしさである。
下調べリストには無かったが、これは嬉しい出会い。
どちらかといえば、カップルや家族向けだが、一人でも特に臆することはない。

メニューは和カフェ的で、甘味からパフェ、喫茶店的な軽食まで幅広く揃う。
主なメニューは以下の通り。

 ・抹茶  ・スイートポテト  ・ゴマアイス
 ・とうふ白玉ぜんざい  ・フルーツぜんざい  ・おしるこ
 ・冬のパフェ(スイートポテト・ぜんざい入り)  ・黒蜜パフェ
 ・野菜ナンサンド  ・小倉トースト
 ・デミグラオムライス  ・ブラックオムライス(いかすみ使用)
 ・ナポリタン  ・いかすみパスタ
 ・くじら汁と赤飯、おにぎりのセット

私は、くじら汁を単品でお願いした。

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■くじら汁(¥500)
薄切りにされた鯨肉と、たっぷりの野菜・山菜。
海の幸と山の幸がお椀の中で出会う、郷土料理だ。

味付けはシンプルな塩味(やや強め)。
以下の通り、具だくさん。
大根、人参、白こんにゃく、姫たけのこ、ふき、(おそらく)芋の地下茎。
特に、ふきの香りが際立つ。

くじらは極薄切りで、かつ少量である。
皮のすぐ下の脂身を、塩漬けにして使用。
単独で口に入れると、プルプルした食感が感じられる。
特に癖はない。このくじらが、汁全体にコクをプラスしているように感じられる。

函館では、正月に家族みんなで集まり、くじら汁を食べる習慣があるのだという。
甘納豆で炊いた赤飯とともに、北海道ならではの、ハレの食卓と言えるだろう。
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最後に、酒屋の半纏をまとったお店の方と、少し話をさせてもらった。
菊泉という酒は今はなく、松竹梅か(何か)に吸収合併されてしまったそうだ。
かつての当主は二科展に入選する実力派の画家でもあり、その作品は今でも店内で見ることができる。
建物は100年来の歴史があるそうだ。

旅人の心も身体もあたためてくれる、くじら汁。
八幡坂を登る機会があれば、ぜひ一度この店ものぞいてみてほしい。

  • 鯨汁(¥500)。山菜がたっぷり入って具沢山!心も身体も温まります
  • 中央にある縦長のびろーんとした物体が、鯨さんです
  • 旧函館区公会堂の近くにある和カフェ「菊泉」。「鯨汁」の貼紙に興味をひかれて入店

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9位

宇佐美商店 (旦過、平和通、小倉 / 郷土料理)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2012/07訪問 2012/10/18

百年ずっと熟してきた、ご自慢の糠床。これはすごい、ごはんに合いすぎ!

[福岡県北九州市]
2012/7/24(月)
旦過市場にある、郷土料理「ぬか炊き」とぬか漬けのお店。
季節をまたいで続けてきた北九州グルメレビューも、これが最後!

「ぬか炊き」とは、サバやイワシを、糠床(ぬかどこ)でコトコト炊き込んだ料理。
かつての小倉城主が信州松本から移ってきたとき、好物のぬか漬けを松本から持って来させた。
それがきっかけで、小倉の地にぬか漬け文化が根付いたという(小倉城パンフレットより)。

旦過市場には、ぬか炊きの専門店も複数ある。
どこで買おうか迷ったが、「百年床」という看板に引かれて宇佐美さんへ。

戦後すぐの開業、それだけでもかなりの老舗といえるが、
使っている糠床は、創業者の家で百年以上前から受け継がれてきたものだという。

うなぎのタレなどと同様、少しずつ使っては注ぎ足し、混ぜ合わせることで、長年の味わいを守っている。
昔は家庭の味だったというが、今も店ごとに異なる味わいのぬか炊きが、市場の店頭を賑わせている。

ぬか炊きはサバ・イワシの2種類。
宇佐美さんの場合、さらに通常と辛口、どちらかを選べる。
辛口は唐辛子の分量が多く、ピリ辛味だという。

通常のサバと、辛口のイワシを購入。
ともに真空パックに入っているので、持ち運びやすく、日持ちがする。お土産にぴったりだ。
(地元の方向けには、パック入りでない「素」のものもある)

さて、宇佐美さんの店頭には、ぬか炊きだけでなく、野菜のぬか漬けも並ぶ。
キュウリ、人参、茄子、キャベツなどお馴染みの面子に混じり、こんにゃくがいらっしゃる。
これは珍しい!
定番のキュウリと、こんにゃくをお買い上げ。
こちらは長持ちしないので、帰ったら早めに口に入れたい。

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■サバのぬか炊き
自宅に戻り、さっそく真空パックを開封。
中からは、ごろんと大きなサバの切り身、
タレの中には、いくつも山椒の粒が含まれているのが見える。

レンジでチンと温めて、さっそくごはんのおかずにする。
うーん、これは旨い!
旨味が「濃い」!
ごはんとの相性は、良すぎるほどである。

ぬかの味といっても、食べるまでは想像がつかなかったが、
基本的にはサバの味噌煮を想像して頂ければ、大きくは外れない(と個人的に思う)。
漬物用のぬかとは異なり、砂糖や醤油などで程よく味付けされているからだ。

味噌煮ほど味噌が主張せず、脂の乗ったサバの旨味が前面に出る。
つまり「ぬかの味」は主役ではなく、引き立て役に徹している。
そこへ山椒の香りや、唐辛子のピリ辛が加わる。

じっくり時間をかけて炊かれるため、骨まで柔らかくなっており、
残さず綺麗に食べられるのも良い。
隅から隅まで、美味しく平らげてしまった。

好みで、軽くほぐしてお茶漬けの具にするのも良い。

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■イワシのぬか炊き(辛口)
シャンと背筋の伸びたイワシ。
口に入れれば、青魚ならではの濃い味がする。
肝のほろ苦さも含め、丸ごとイワシの味わいが楽しめる。

辛口は、唐辛子の配合が多いという説明だったが、
それだけでなく、砂糖の甘味が抑えられているように感じた。

通常のは甘辛い感じ、辛口は甘さを抑えてスパイシーな感じの仕上がりだと言える。
好みに応じて買い分けたい。

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■野菜のぬか漬け
野菜のぬか漬けは、新聞に包んで売ってくれる。
そんな気取らないところに味わいがある。

キュウリは、まさにあっさり味。
漬物にありがちな、塩辛さは全く感じない。
サラダ感覚で、パリパリと食べられる。

こんにゃくもまた、あっさり味。
表面には細かく切り込みが入れられ、糠床の旨味が染み込みやすくしてある。
そのためかキュウリに比べ、ぬかの複雑な酸味が分かりやすい。
くにゅくにゅした食感が楽しい。

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このぬか炊きは、私の好みにぴったりはまった。
小倉を訪れた際には、ぜひ忘れず買い求めてほしい品のひとつである。

  • 旦過市場・百年床のぬか味噌炊き「宇佐美」昭和21年から営業。嫁入り道具の「ぬか」から始まった
  • 旦過市場・宇佐美の「サバのぬか炊き」これは絶品です!!
  • サバのぬか炊きでお茶漬けを作ってみました。ワサビとか海苔とかないので、なんか殺風景です(笑)

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10位

パティスリークリコ (歌津 / ケーキ)

1回

  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/11訪問 2012/11/08

ふんわり生地に、豊かな風味のクリーム。意表を突く「生わかめロール」に、パティシエールの地元愛を感じた!

[宮城県南三陸町]
2012/11/3(土)
志津川湾を見渡す歌津半島の先端部、旅館「ニュー泊崎荘」の洋菓子部門。
手作りのロールケーキをメインに扱っている。

テイクアウトのみで、場所も旅館フロント脇の土産物売り場であるが、
楽天市場の通販・イベントへの出品など、旅館とは独立して活動されているので、別に紹介させていただく。

こちらのパティシエさんは、旅館経営者の娘さん。
子供の頃は旅館のCMにも出演していたそうで、地元ではちょっとした有名人でもあるようだ。
仙台市内のホテルで修行のあと、パティシエとして独立。

「絆ロールケーキ」のことは震災直後から知っており、興味を持っていたが、
一人暮らしでは一本食べ切れるかどうか…と通販での購入に踏み切れずにいた。
今回現地を訪れたところ、ワンカット単位で販売されていたので、迷わず購入。
なお価格も、通販より安く設定されている。

このロールケーキ、種類豊富なのが特長のひとつ。
どれにしようか、普通なら迷ってしまうだろう。
 ・プレーン  ・メープル  ・バニラ  ・キャラメル
 ・ごま  ・小倉  ・モカ  ・くりちゃんコーヒー
 ・ずんだ  ・かぼちゃ  ・くるみ  ・チョコ  ・抹茶
 ・わかめ  ・生わかめ

ん? 最後の2種類、これは…
一風変わった食品に目がない私。
まさに、私のために作られたロールケーキだとさえ感じてしまう(勘違い)。

購入時は冷凍状態で、自然解凍されたところを頂く。
解凍後の日持ちは2日が目安。

わかめと生わかめ、さらに焼き菓子をひとつ買い求め、旅館を出発。

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■絆ロール(生わかめ)
今年9月、満を持してリリースされた最新作。
三陸が誇る豊かな海の幸を、なんとか洋菓子作りに生かしたい。
新しい地域の名物を…とパティシエさんが奮闘した様子が窺える。

わかめをロールケーキに入れるとなると、まず思い浮かぶのは、生地に練り込むことだ。
そのプランが後述の「わかめ」である。
一方、生クリームに混ぜてしまったのが、こちらの「生わかめ」。
実に大胆な発想と言えよう。

車の中でさっそく試食。
ほんわり柔らかなスポンジ。冷凍商品ではあるが、食感は全く問題ない。
冷たい生クリームが、口の中で心地良くとろける。

そこで現れる生わかめ。
これが、適度な塩気をもって、ロールケーキの味を引き締めるのだ。
塩スイーツの変化球、といえばご理解いただけるだろうか。

意外や意外、相性は悪くないのだ。決してゲテモノではない。
(私個人としては、ゲテモノの方が嬉しかったりするのだが・笑)
わかめだけでなく、県産「伊達の旨塩」を加えて、味を調整しているようだ。

また塩気だけでなく、生クリームの中にコリコリとした食感をプラスするのが面白い。
三陸のわかめは身が締まっていて、最高級品の一つとして知られる。
これは味噌汁にしても旨いだろう… などと、あらぬことを考えてしまう。

いずれにせよ、かなりの冒険作であることは間違いないが、
出来上がりは、思いのほか手堅くまとまっている。

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■絆ロール(わかめ)
こちらは、生地にわかめパウダーを練りこんだ一品。
ほうれん草のような、落ち着いたグリーンの色味が、見た目にもなかなか美味しそう。

意識して食べてみたが、わかめ独特の風味というのは、特に感じられなかった。
普通にクリーミーで、美味しいロールケーキだ。

生わかめほどのインパクトはないが、こちらはより万人受けする優等生といったところ。
普通のロールケーキより、ミネラルが豊富そう。

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■くりちゃんチュイル(胡麻・アーモンド)
チュイルとは薄焼きクッキーの一種で、フランス語で「瓦」という意味らしい。
フランスに屋根瓦があるというのも、なかなかに意外だが…
基本的に円形の焼き菓子だが、くるんとついた反り目が、瓦のカーブに見えなくもない。

旅館に泊まった際、胡麻入りのチュイルをいただいた。
胡麻の香ばしさが立っていて、落ち着いた甘さ加減も良い。
洋菓子にして、緑茶との相性もなかなか。
焼き菓子なので見た目は地味だが、これは思った以上にいける一品だ。

旅館の土産物売り場で、今度はアーモンド入りを購入。
こちらもパリッ、パラッという軽快な食感。
アーモンドの淡白な風味が、コーヒーとぴったり合う感じ。

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なお、パティスリークリコさんの商品は、
店頭(ニュー泊崎荘)のほか、楽天市場でも購入できる。
http://www.rakuten.co.jp/patisserie-kuriko/

通販ではワンカット単位での販売はないが、
その代わりに、一切れずつ12種類の詰め合わせがあり、
いろいろ試したい方には、特にオススメだ。

また、南三陸さんさん商店街「産直ショップ りあん」でも取り扱いあり。
http://www.sansan-minamisanriku.com/

私個人の希望としては…
次はぜひ、名産の志津川タコを使ったロールケーキを食べてみたい!
よろしくお願いします (^-^)

  • 美しい三陸の海、志津川湾で生まれた生わかめロール!
  • こちらはわかめロールケーキ。パティシエさんの地元愛が伝わる一品です
  • 生わかめロールケーキ!塩スイーツの変化球という感じで、意外といけます(特別価格¥245)

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