よい子さんのマイ★ベストレストラン 2014

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広い日本を楽しもう! 酒好きよい子の、旅するグルメガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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まずは、1年半という期間限定で「仙台に住む」という素晴らしい機会をいただき、
自分の人生経験・食経験を飛躍的に豊かにできたことに感謝申し上げたい。
期間限定ゆえに、1日1食たりとも無駄にしないよう、心して外食に励んだ1年であった。

食べログを積極的に書くようになり、未知の飲食店に対する好奇心が一段と高まった。
それだけでなく、以前であれば、入るのに躊躇したであろうお洒落な店にも、
今日こそ取材するんだと心を決めて、一人で突入できるようになった。

この「レビュアーハイ」と呼べる効果により、お気に入りの店をいくつも見つけることができた。
その店内では美味しさだけでなく、話好きな人々の明るい笑顔が待っていた。
私にとって、食べログレビュアーを続けてきたことへの最大のリターンは、
こうした人々と出会い、交流する機会を得られたことだと考えている。

またこの1年間、東北各地を旅する中で、たくさんの美味しいものに出会うことができた。
中でも、津波被害・原発事故からの復興を目指す方々の意気込み、
それぞれが生まれ育った郷土の味と文化を守り、地域の賑わいを取り戻そうという取組みに
触れるたび、心が震えるような共感を覚えた。

私は微力ではあるが、食べログというプラットフォームを通じて、
そうした方々の地道な努力・明日に向かう想いを伝える一助になりたいと考えている。

東北に限らず、各地域が多様な個性を発揮し、活気ある日本であり続けますように。
私はこれからも旅し、味わい、発信し続けていきたい。

マイ★ベストレストラン

1位

カフェ エ バール ドゥー (勾当台公園、広瀬通、青葉通一番町 / カフェ、ダイニングバー、ヨーロッパ料理)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 ~¥999

2014/12訪問 2014/12/08

私の中では、仙台ナンバーワン! 2014年12月末で移転、またお会いしましょう(^-^)

[宮城県仙台市] [来訪回数:51回]
2013/12/2(月)
中心市街地・勾当台公園のカフェ&バー。
ガレット(蕎麦粉のクレープ)をいただけるお店だ。

この日は近くの缶詰バーで、あらかじめアルコールを 2杯注入。
ほろ酔い気分で、以前から気になっていたこちらのお店へ探検に入った。

なんとなくお洒落な店…という感じがして、今まで一歩を踏み出せずにいたのだ。
飲食店の少ない界隈、「2」という看板が温かく灯る。

階段を上り扉を開けると、思った以上に、良い感じの空間が広がっていた。
カウンター8席(厨房向き4席、窓向き4席)、2人掛けテーブル×3卓、4人掛け×1卓。

先客は、お一人様の男性に、ペアが2組。
(後日伺った際は、5~6人の女子会が開かれていた。女性ペアが多いのも、お店の特徴か)

少し迷ったが、店員さんと向かい合うカウンターに座らせてもらった。
落ち着いた雰囲気で、なかなか私好みだ。

カウンターの中には、女性と男性の店員さんが1人ずつ。
お二方とも、若い感じである。

カウンターの上方には、さまざまなリキュールやスピリッツが並ぶ。
まずは… ワインからスタートかな?

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■グラスワイン・シャルドネ(¥525)、お通し(¥420)
フルーティな香りと、すっきりした酸味が喉を潤してくれる。

今日のお通しは、オリーブオイルを絡めた生ハム。
これだけで十分、ワイン一杯が空になる(^-^)

一息ついて、まったりと、店内の雰囲気を味わう。
店員の女性は、丁寧かつフレンドリーに話し掛けてきてくれる。
ほどなく自然と、隣席のお兄さんも含め、会話の輪が出来上がっていた。

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■自家製サングリア(¥609)
りんご、グレープフルーツ、オレンジ、ベリー類を漬け込んだ赤ワイン。
今回は冷たいのをお願いしたが、冬場はホットでも良さそうだ。

フルーツ由来の甘さと、赤ワインの渋さがブレンドされ、軽やかな中に大人の味わいがある。
クローブの香りが、隠し味。

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■Deuxの定番ニース風サラダ(¥819)
レタス・パプリカ・ブロッコリー・ゆで玉子などを、ハニーマスタードソースで和えたサラダ。

アンチョビの塩辛さ、ブラックオリーブの油分、さつまいもの甘さが、味わいに変化を与えてくれる。
葡萄色のプレートもお洒落。ハーフサイズも可能とのこと。

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■とろーり玉子ときのこのガレット(¥997)
宮城県南・村田町「ほたる舞ファーム」の蕎麦粉を使った焼きクレープ。
中にはとろ~り半熟玉子と、たっぷりのしめじが包まれている。

ガレットの存在は知っていたが、あまり食べる機会はなかったので、目新しい。
食感はカリッとした感じではなく、思いのほか柔らかい。

強い味付けはされておらず、オリーブオイルでマリネされた しめじの風味と食感が生きている。
どんなお酒に合わせても、邪魔しない感じだ。

そこで、ガレットに合うオススメのお酒を尋ねたところ…

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■シードル
林檎を発酵させた炭酸酒。
シャンパンより気軽で、ワインより特別な感じが、なかなか良い。

円みのある、心地良い酸味。
口の中がさっぱりして、食中酒にぴったりの一杯だ。

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■国産豚肩ロースのバルサミコソース(¥997)
こってりと煮詰めたバルサミコ酢を使ったソース。
カウンターに現れると、食欲をそそるビネガーの香りが立ち上る。

豚肉ならではの、脂の旨みがワイルドな一品だ。
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気付けば、閉店時間まで長居してしまった。

男一人では入りにくい店と思っていたが、明るい店員さんのおかげで
思いのほか居心地がよく、今宵の探検は大成功♪

少し覚えにくい店名だが、自分の中では「バールドゥー」と呼ぶことにして、
いつもの寄り道リストに、書き加えることを決定した。

p.s.
一人飲みでも、いつしか常連さんの輪に加われる雰囲気も魅力。
ひとえに、明るくて気が利く店員さんの雰囲気作り。これに尽きるところだろう。

私の中では迷うことなく、ここが仙台のナンバーワン。
この街で、楽しく一人暮らしできるのは、この店のおかげといっても過言ではない。

  • キーマカレー(サラダ・スープ付き¥864)。さっぱりとした中にも、スパイスの確かな刺激!
  • ランチのサラダ。明るい店内で食べると、なんだか不思議と健康的な気分!
  • 〔日替ランチ〕ワンタンスープのランチ(¥780)。これがまた期待以上に美味しく、具沢山!

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2位

バーポラリス (勾当台公園、広瀬通、青葉通一番町 / バー)

3回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.2
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2022/04訪問 2022/05/27

10周年おめでとうございます! 激動の時代でも、変わらず続く店にはワケがある。

[宮城県仙台市][来訪回数:54回]
2022/4/29(祝️)
国分町近く、稲荷小路にあるオーセンティックバー。
店舗情報は、1回目の "行った" をご参照あれ。

客席は L字カウンターのみ 7席。
全席喫煙アリ。BGMはジャズ。

私が初めてこの扉をあけてから、はや8年半。
あの頃と全く変わらないマスターが、にこやかに微笑む。
以前ほどではないが、手描きの可愛らしいイラストが店内に見え隠れする。
なんだか、帰ってきたなぁ、という感じがする。

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■お通し
 ケークサレ(甘くないケーキ)と果物を出すのが、以前から変わらぬこの店の流儀。
 今宵は、キーマカレーのケークサレと、旬先取りの山形産「佐藤錦」。
 実に 2年ぶりのケークサレに、しっとりと懐かしさがこみ上げる。

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■カクテル
◎ダージリンクーラー
 私がこの店で初めて知ったカクテル。
 紅茶とラズベリーのリキュール、レモンとジンジャーを合わせたお洒落な味わい。

◎サイレントサード
 カクテル "サイドカー" のブランデーを、ウイスキーに替えた一杯。
 こちらも、この店で初めて知った味。別名、ウイスキーサイドカー。
 ショートカクテルにおける黄金比(スピリッツ2:ホワイトキュラソー1:レモン1)なので
 当然のごとく、完成された味わい。

◎チョコミントみたいなリキュール
 グラスホッパーのアレンジで、底にチョコリキュールを沈めてある。
 ほど良い甘さ、ミントの清涼感。
 スイーツ店も静まり返った時間帯、夜更けのデザートとして如何だろう。

◎jazz blue
 1991年から開催され、街中の音楽イベントとして定着した "定禅寺ジャズフェスティバル" を
 モチーフにしたオリジナルカクテル。
 柑橘ピールと、柑橘系ブルーキュラソーの相乗効果で、
 ケヤキ並木を吹き抜ける秋の風のような、爽やかな後味。

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■ウイスキー
◎ニッカ シングルモルト「宮城峡」
 北海道余市に続いて、1969年にニッカが開設した宮城峡蒸留所(仙台市青葉区)。
 以来 50年を超えて、東北を代表するウイスキーであり続けている。
 余市に比べるとピート香が控えめで、バランス重視のシングルモルトとなっている。

◎ニッカ ブレンデッドウイスキー「伊達」
 単式蒸留器のモルトと、連続式蒸留器のグレーンをブレンド。
 ともに宮城峡蒸留所で造られる原酒なので、伊達という名も伊達ではない。
 シングルモルト以上に、甘い香りが印象に残る。

◎ブレンデッドウイスキー「チェリーウイスキーEX」
 福島県郡山市・笹野川酒造。
 もともと日本酒蔵で、いまも "笹野川" という清酒を醸造しているが、
 ウイスキーブーム到来のはるか前、1946年からウイスキーを造り続けているという。
 ピートを焚いておらず、クセがなく飲みやすい味わい。
 品名はもとの会社名(山桜酒造)から取ったもので、さくらんぼが入っているわけではない。
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お会計は、クレジットカード利用OK。

聞けば、先日10周年を迎えられたとのこと。
自分も並行して歳をとったということだが、
決してそうは見えないマスターを羨みつつ、心からお慶び申し上げたい。

震災後の混乱期からコロナ禍を経て、無事に今ここにある…
そのことの貴重さ、大変さ、素晴らしさ。

掌のグラスに、甘い経験も辛い経験も、ほんのりと溶け出していくような…
2022年、思い出深い仙台。
[宮城県仙台市][来訪回数:52回]
2019/8/10(土)
一番町・稲荷小路にある、オーセンティックバー。
店舗情報は、1回目の "行った" をご参照あれ。

場所は… 東北随一の歓楽街として知られる、国分町の一角。
仙台駅方面から広瀬通を西進、東二番丁通(旧国道4号・現国道286号)を渡り、
一番町アーケードを通り過ぎ、次の吉野家の角を右折。
稲荷小路に入り、虎屋横丁を通り過ぎ、少し歩いて右手 "仙台第五協立ビル" 4階。
地下鉄南北線・勾当台公園駅(南3出口)から徒歩4分。JR仙台駅から徒歩20分。日曜・連休最終日は定休。

扉を開ければ、照明が落とされ、上品な雰囲気の空間。
コンパクトな店内、カウンターのみ7席。全席喫煙アリ。

オレンジ色の灯りが、並べられたリキュールの小瓶を温かく照らす。
手渡されたおしぼりは、以前と変わらず、ふわりと良い香り。

紺のベストをぴしっと着こなした、献血好きの女性マスター。
1年ぶりの訪問になるが、お元気そうで何より。
最近、趣味のマンガは描いていらっしゃるのでしょうか。

私が仙台に引っ越して 2日目、新しい部屋に段ボールを山のように積み残して
こちらに初めて訪れたこと、つい最近のように思い出される…

物思いに耽っていると、向かいのカウンターでは生粋の仙台人たちが
「だっちゃ、だっちゃ」と賑やかなローカルトーク(^-^)
仙台に帰ってきたという実感が、アルコールとともに身体中をあたたかく巡る。

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■お通し
いつもの定番、ケークサレ(塩味の食事ケーキ)と季節のフルーツ。
瑞々しい桃、ワンカット。

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■メタルパンチ(オリジナルカクテル)
仙台を代表するカクテルといえば、おそらく "レゲエパンチ" が挙げられるだろう。
国分町のバーテンダーが、レゲエ好きの女性客に、アルコール弱めで飲みやすいカクテルとして
提供したと伝えられている。最近では缶入りでも販売されており、仙台名物として知名度を上げつつある。

レゲエパンチは、ピーチリキュールをウーロン茶で割るだけの、簡単なロングカクテルなので、
あまり本格的なバーで頼むものではない。
とはいえ、せっかく仙台に来たのだから… と作っていただいたのがこちら。

基本のレシピに、ブラックティーのリキュールを加え、"ウーロン茶×紅茶" でお茶感を強調。
さらにオンザロックのスタイルとし、酒好きにぴったりの強めなカクテルに仕上げた。
メタル好きもびっくりの味である♪

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■ダージリンクーラー
こちらも仙台発祥のカクテル。 
紅茶リキュール・フランボワーズ・レモンをシェイクし、ジンジャーエールでアップ。
ほんのわずかな、紅茶のほろ苦さがアクセント、
スターターにぴったりの、爽やかな飲み口だ。

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■サイレントサード
スコッチウイスキー・ホワイトキュラソー・レモンをシェイクするショートカクテル。
不思議と、グレープフルーツみたいな爽快感。

 "輝く液体がなみなみと注がれ、
  甲高い金属音とともに、最後の一滴がカクテルグラスに落ちる。
  あのキレのある動作を見るのが、私は大好きだ"

3年前に書いた文章と全く同じことを、
今夜の私も、また変わらず思っている。

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■ブロンクス
ジン・ベルモット・オレンジジュースを加えてシェイクするショートカクテル。
こちらの店で初めて知り、その美味しさに驚いた一杯。

見た目はほんわり、みかん色に仕上がる。
一口目こそ甘口だが、二口目・三口目と香りの印象が変わってゆくようだ。
ジンとベルモットが、互いの香りを競い合うような華やかな一杯。

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■ラムネ風のオリジナルカクテル
夏っぽいカクテルを所望し、作っていただいたのがこちら。
バナナリキュールとブルー・トニックを合わせた「ラムネ風」のカクテル。
マスターの遊び心が光ります♪

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■ブラッディメアリー
ウォッカをトマトジュースで割る、スタンダードカクテル。
夏の栄養補給に…
一般にビルドで作るカクテルだが、こちらではシェイクしてくれるので味わいがまろやか♪

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■チナール
アーティチョークのリキュール。
原料を聞くだけでは、ちょっと味を想像できないが、苦味系のハーブリキュール。
ロックでいただくと、マイルドな苦みを楽しめる。
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仙台に輝く、ただひとつの北極星。
その価値が分かる大人に、是非ドアを開けていただきたい隠れ家だ。
[宮城県仙台市][来訪回数:48回]
2016/10/20(木)更新
国分町通の東隣、稲荷小路にある小さなオーセンティックバー。

繁華街にあって幾分控えめに、七色のイルミネーションを放つ仙台共立第五ビル。
エレベーターで4Fに上がると、ポラリスさんへの扉がある。

この街に引っ越して 2日目、段ボールだらけの部屋を抜け出し、飲みに来たのが最初の出会い。
自分の好みぴったりで、我ながら「引きの良さ」に驚いたものだ。
それ以来、私にとってはこの街のメインバー、不動の位置にある。

扉を開ければ、照明が落とされ、上品な雰囲気の空間。
コンパクトな店内、カウンターのみ8席程度。
オレンジ色の灯りが、並べられたリキュールの小瓶を温かく照らす。

たいがい先客は一人か二人。
もちろんお酒の出る店だから、たまに騒がしいこともあるけれど、
至って落ち着いた、良い雰囲気であることがほとんどだ。
女性のお一人様も、ときおりお見掛けする。

カウンターに立つのは、紺のベストをぴしっと着こなした女性マスター。
にこやかで丁寧な接客が、オーセンティックの空気にぴたりとはまる。

おしぼりは清潔感があり、優しい香りで好印象(これ重要)。
店内のPOPに描かれた、ほのぼのかわいい自筆イラストにも注目だ。

お通しは旬のフルーツひとくちと、店内で焼かれたケークサレ(塩ケーキ)。
お酒を楽しむバーだけに、あくまで少量に抑えられている。

黒オリーブ、蟹、サーモン、チーズ…
今日は、どんな種類のケークサレが出てくるだろうか。
数回通うと、そんな楽しみも味わえる。

ドリンクメニューは置かれていない。
バックバーを見て指さすも良し、気分を伝えてカクテルを作っていただくも良し。

私が知るバーの中では、マルティニークのアグリコールラムが、比較的品揃え豊富だ。
ほかにはカルバドス、薬草酒あたりを攻めるのも面白い。
もちろん、カウンターに飾られたフレッシュフルーツを使ったカクテルもオーダー可能だ。
一般によく見る二段振りとは違う、安定感あるシェイクを見せて下さる。

輝く液体がなみなみと注がれ、
甲高い金属音とともに、最後の一滴がカクテルグラスに落ちる。
あのキレのある動作を見るのが、私は大好きだ。

既にこのお店で、150杯程度は飲んでいるが、
有名なスタンダード以外で、特に印象に残ったカクテルを紹介したい。

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■ダージリンクーラー
マスターによれば、仙台のバーテンダーさんが開発したカクテルとのこと。 
紅茶リキュール・フランボワーズ・レモンをシェイクし、ジンジャーエールでアップ。
ほんのわずかな、紅茶のほろ苦さがアクセント、
スターターにぴったりの、爽やかな飲み口だ。

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■ラ・フランスのカクテル
山形特産の洋梨をすりおろし、洋梨のリキュールとともにショートカクテルに仕上げて下さる。
高貴な香り、なめらかな口当たり。
東北の魅力がきらめくカクテルだ。

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■サイレント・サード
ホワイトレディのジンを、スコッチウイスキーに変えたショートカクテル。
XYZ・バラライカ・サイドカー…
ベースのスピリッツごとにさまざまな呼び名があるが、
サイレントサードというのは、この店に来るまで知らなかった。

スピリッツ・ホワイトキュラソー・レモンをシェイク。
ウイスキーベースにしても、「鉄板」のバランスだけに、キリっと香り高いカクテルに仕上がる。

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■ブロンクス
ジンをベースに、ベルモット・オレンジジュースを加えてシェイクするカクテル。
見た目はほんわり、みかん色に仕上がる。
一口目こそ甘口だが、二口目・三口目と香りの印象が変わってゆくようだ。
ジンとベルモットが、互いの香りを競い合うような華やかな一杯。

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■紅茶とウイスキーのカクテル
バックバーに、Fortnum&Masonの紅茶缶があったので、マスターに尋ねてみると
「お酒を飲まれない方に出したり、あとはカクテルに使ったりします」とのこと。
興味を持って、そのカクテルをオーダー。

紅茶と、ブレンデッドウイスキー「カティサーク」のブレンド。
かつて中国からイギリスまで、一番茶をいかに早く届けるかを競った帆船 “ティークリッパー” たち。
その中の一隻、カティサークの名を冠するウイスキーを、紅茶に溶かし込んで。
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バーに行き慣れると面白いのは、ある程度遊び心あるオーダーでも許されるところで、
先日は、いちごミルメークのイメージで、カクテルを作っていただいた。
もちろん、あんまりな注文はマスターを困らせるので、ほどほどに…(^-^;)

実はマスター、私とほぼ同い年であり、話が合う。
何かとマニアックな話ばかりする私だが、いつ行っても楽しませて頂けるのはさすがである。
物腰柔らかだが、芯の強さを感じさせる立ち振る舞い。
それでいてマニアック(笑)

いつだったか、酔っ払って将来の計画など伺ってしまったところ、
「架空ですけど、目標とするバーテンダー像があるんです」と語って下さった。
いつの日もぶれることなく、はるかかなた輝き続ける北極星=polarisに、
自らの理想を重ねているのかもしれない。

今夜もまた、そんな北極星を目印に…
つかの間の幸福を求め、私はまた酒場へと足を運ぶのである。

  • サイレントサード。サイドカーのブランデーをウイスキーに替えた一杯、このバーで初めて知った味
  • 「チョコミントみたいなリキュール」。グラスホッパーのアレンジで、底にチョコリキュールを沈めてある
  • jazz blue。定禅寺ジャズフェスティバルにちなんだオリジナル、ピール&柑橘の爽やかな後味

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3位

鶴の湯温泉 (仙北市その他 / 料理旅館、郷土料理)

1回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/06訪問 2014/06/01

風に踊る湯煙は、心地良い硫黄の香り。江戸時代の旅籠に迷い込んだような、極上の温泉宿です。

[秋田県仙北市]
2014/5/24(土)
秋田・八幡平の山中にある、乳頭温泉郷を代表する湯治宿。
日本秘湯を守る会会員。

以前から一度は行ってみたいと熱望していたが、今回ついに実現した。
2月に電話を入れたところ「すみません、5月なら空いていますよ。」
土曜泊ということで競争率が高かったせいもあるが、大人気の温泉宿である。

所在地は、仙北市の国有林内。
JR田沢湖駅から、車で40分ほど。
(あるいは田沢湖駅から羽後交通バス利用、アルパこまくさ停留所から宿の送迎あり。
 およそ1時間1本、要予約)

前半はペンション村・スキー場へ向かう快走路、後半はでこぼこの山道。
路面状態はかなり悪いが、道幅は比較的広く、すれ違いにも苦労しない道である。
社長自ら、中古のショベルカーを駆って拡げた道なのだという。

以下、1人1泊¥8640(+入湯税¥150)のプランについてご紹介。
なお冬期間は、暖房費(¥1080)が追加で必要。

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■施設
入口からして、ほかの湯治場にはない雰囲気に圧倒される。
まるで、江戸時代の旅籠(はたご)に迷い込んだかのようだ。

両脇に宿泊棟が立ち並び、どこへ行くべきか戸惑うが、
少し進むと事務所(フロント)が見えてくる。
係りの方は笑顔かつ、大変親切に案内して下さる。

事務所には売店が併設され(21:50まで営業)、
流水で冷やされたビールやりんごジュース、ウーロン茶などを購入可能。

建物は歴史を感じる造りだが、同時にきわめて清潔。
山中にあって、自然界からの訪問者が建物内に侵入していないのは不思議なほど。
(5月という季節のせいか?)自然任せのこちらとは対照的である。
この点、秘湯初心者にも薦めやすい宿だ。

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■客室
湯治場の風情を残す3号館へ。
文字通りの「ワンルーム」5.5畳。

窓からは、すぐそばを流れる小川のせせらぎが、止まることなく聞こえてくる。
遠く、鳥のさえずり。

トイレ・洗面所は共同。
(共同とはいえウォシュレット装備で、何の不便もない。
 ちなみに1980年代から、ウォシュレットを導入したそうだ。すごい)

客室内の設備といえば、魔法瓶とファンヒーターのみ。
テレビ・ドライヤーはないが、コンセントはあるので携帯などの充電は可能。
湯治場は、これで十分。1週間程度の滞在をする人がいるのも頷ける。

部屋の鍵は掛かるが、 ロッカーはないので、
気になる貴重品があれば、袋に入れてフロントへ。

歓迎菓子は、あんこ玉。
微妙な見た目に反して(笑)なかなか風味が良く、あなどれない。

布団は、夕食後に敷きに来て下さる。

ちなみに携帯の電波は届かないと聞いたが、
ドコモ(3G)は問題なくつながった。

近くの部屋の話し声や、2階の物音が聞こえるのはやむを得ないところ。
逆に、自分が周りの迷惑にならないよう、湯治場マナーはきちんと心得ておきたい。

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■温泉
24時間入浴可。
まずは何をおいても、この宿のシンボルである川沿いの混浴露天風呂を目指したい。

◎混浴露天風呂
 まずは内湯(男女別)で浴衣を脱ぎ、掛け湯をしたのち、混浴露天風呂へ。
 女性専用露天が 2つあるので、こちらは実質男性用エリアとなっている。

 かなりの広さがあるので、入浴客が多くても、混雑感は全くない。
 水色めいた乳白色が、なんとも魅惑的。
 蔵王のように強烈ではないが、いかにも温泉らしい硫黄の香りが漂う。

 指を垂直に沈めると、中指の付け根が見えなくなるくらいの濁り感。
 泉質は、含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型)。ほぼ中性、溶存物質2,696mg/L。
 湯温を下げるための加水あり。

 底には丸砂利が敷き詰められており、
 至るところから、気泡がぽこぽこと上がる様子が観察できる。
(湯面にでこぼこと突き出た、岩のすき間からも気泡が!)

 湯が湧き上がってくる部分はわずかに高温だが、ほかは全般にぬるめ。
 無理なく、長湯可能な環境となっている。

 完全な露天だが、一部に屋根が設けられているので、
 小雨であれば、入浴に支障はない。

 なお朝10時になると、日帰り入浴のお客さんが殺到するので
 やはり宿泊でなければ、本来の風情は味わえないと考える

◎白湯、黒湯(いずれも男女別)
 含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。
 どちらも乳白色に見えるが、温まりの効果が強い湯だという。
 少しなめてみたら、ゆで卵のような味がした(硫黄の味)。

 黒湯の方は、2人も入ればいっぱいになる浴槽。
 白湯は、もうちょっと大きい。

◎内湯(男女別)
 2人入ればいっぱいになりそうな、小さな風呂。
 それゆえに、名湯を独り占めする快感が味わえる。
 またこちらでは、シャンプーが使える。

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■夕食
本陣の会食場で、18時から。
卓の配置を見ると、お一人様もかなり多いことが分かる。
(グループ客とは別の会食場になるよう、配慮があるのかもしれない)

配膳はおばちゃん一人なので、結構時間がかかる。
そこは湯治場、ゆったりと気長に待ちたい。
ご飯はセルフで。

◎岩魚骨酒(2合¥1080)
 盃を進めるごとに、得も言われぬイワナの旨味が溶け出して、
 山中ならではの酔い心地。

 ほかに何か香るな…と思ったら、
 自分自身の手のひらから、ほわりと硫黄の香り(^-^)

 呑み終わったあとにも、楽しみがある。
 酒器の中からイワナの中骨を取り出せば、
 まだ食べられる部分が、結構残っている♪

◎舞茸とえのき茸のホイル焼き
 バターの風味で、山の幸をシンプルに味わう一品。
 下に敷かれたさつまいもが、旨味を受け止める。

◎揚げ米と唐揚げのあんかけ
 丸っこい方は、米と長芋の団子を揚げたもの。
 もっちりしたお米(もち米?)の中には、山芋や椎茸。しっかりひと手間加えてある。

 もう一方は、鶏の唐揚げ。このお膳で唯一の肉類である。

◎山菜 3鉢
 みず(?)おひたし、こごみの胡麻和え、たけのこ醤油煮の3種。
 みずはサクッとした食感、こごみは自然のほろ苦さ、たけのこはお馴染みのコリコリ感。

 いずれも、ごく薄味で仕上げられているため、
 おかずやつまみというよりは、野趣と風味を楽しむ品々。

◎山の芋鍋
 乳頭温泉郷の名物鍋。
 食事処の一角、囲炉裏に掛けられた大鍋から給仕して下さる。

 おそらく味噌+醤油ベースで、もっちりと練り上げられた山芋団子を煮込む。
 汁までとろーりしており、これはなんとも精がつきそうだ。
 山のきのこたち(しめじ・えのき)、シャキシャキのねぎとともに。

◎がっこ(漬物)
 いぶりがっこ(スモークたくあん)は、燻し具合も深く、日本酒との相性は格別。
 秋田に来た、という喜びを味わえる一品だ。

 人参も単なる漬物ではなく、スモークにした「いぶり人参」。
 かなりの燻香があり、ご飯にもお酒にも相性が良い。

お一人様の多い会食場だったので、最初は極めて静かに食事が進んでいたが、
後からいらっしゃった、隣のお席の老紳士に「どこから来たんですか?」と
尋ねられ、会話が始まった。

聞けば、遠く宮崎県から、飛行機と新幹線を乗り継いでいらっしゃったという。
こちらで一週間、滞在されるとのこと。

その隣の老婦人は、横浜からお越し。
既に常連さんで、次も3ヶ月先の予約を入れているという。
皆に愛される、乳頭温泉郷・鶴の湯なのである。

老婦人が仰る「ここの料理は、何も残すものがないから気に入っているのよねぇ。
おなかにもたれず、朝も美味しく食べられるし。」
なるほど納得。

私としても腹八分。健康のために温泉に来たなら、このくらいがちょうど良いのである。
腹十三分くらい食べさせてくれる宿とは対極の、まさに湯治場らしいコンセプトだと感じた。

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■夜の過ごし方
夜の帳が下りる頃、宿はさらに素晴らしい光景に包まれる。
温かく灯る、オレンジ色のあかり。
紫色に染まる夜空に、漆黒の建物が浮かび上がる。

感動し、何枚も写真を撮って回りたくなる。
この雰囲気は泊まりでないと味わえない。
ぜひ日帰りではなく、泊まりで訪れてほしい宿である。

その光景を堪能したら、売店で秘湯ビール(¥620)を購入し、部屋に戻ってゴクリ。
日本初、ブナ天然酵母を使ったビールだという。
フルーティーな香味をもつ、やや甘口で華やかなビールだ。

つまみには温泉玉子もいいが、4個入りはさすがに食べきれないので、
1個から買える山形の半熟燻製玉子「スモっち」がお勧めだ。
あるいは、青森のスタミナ源「たれ」で味付けした さきいかなんてのも渋い。

少し酔いが醒めたら、再び温泉へ。
昼は男性天国だった混浴露天も、夜は女性が自然に入れる雰囲気になっている。
お邪魔にならぬよう、あさっての方向を向きつつ、浸かる露天のぬくとさよ。

一灯にほのか照らされ、風に踊る湯煙。
聞こえるはただ、止めどなく流れる小川のせせらぎ。
これで星空が見えたら、なおもって格別なことだろう…と、贅沢なことを考えてみる。

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2014/5/25(日)
4時過ぎのアラームで目覚めると、少しずつ窓の外が明るくなる頃だった。
雨音に窓を開けると、それは雨ではなく、川のせせらぎであった。
あたりは白く霞み、山の朝がゆっくりと幕を開ける。

ホー ホケキョ
BGMかと疑ってしまうが、そんなはずもない。
正真正銘・本物のウグイスが、その美声を披露してくれているのだ。

身支度を整えて、また露天風呂へと出掛けよう。
水色に煙る湯面には、人影が3~4名。
広々と空間を分け合い、それぞれの朝を満喫する。

朝食の時間まで、しばし二度寝するのが
また気持ち良い。

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■朝食
夕べと同じ食事処にて、7時から8時まで。

知らない方と向かい合いに座るのは、お見合いのようで落ち着かないが、
これもまた湯治場の常。

夜と違い、座る場所の表示はないが、
連泊の方は食事内容が違ったりするようなので、
忙しく動き回っている宿の人に聞いてから座ろう。

◎山菜の醤油漬
 行儀良く並んだ山菜は、わらびだろうか?
 驚くほどとろみがあり、そしてほろ苦い。

◎とろろ芋
 秋田名物のとんぶりがトッピングされている。
 醤油を掛けていただけば、白いご飯にベストマッチ。

◎豆腐
 出来立てなのだろう、まだ温かい豆腐。
 豆乳と一緒に召し上がれ。

◎鮎の甘露煮
 全体の中で、この一品だけが濃い味で、コントラストが明確。
 山椒風味で仕上げてある。

◎蕗の味噌汁
 ふきの入った味噌汁は初めて。
 敷地内を流れる小川沿いには、見事に蕗が茂っており、そのイメージを彷彿とさせる。
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食後はチェックアウト(10時)まで、さまざまなお風呂を巡り、余韻を楽しもう。
もちろん、部屋に寝転がってのんびりするも良し。

この内容で ¥8640 というのは、稀に見るコストパフォーマンスだ。
むしろ、敬意を感じるほど。

多大な努力で維持された歴史的建物、湯治場の風情を残す美しい露天風呂、
丁寧に作られた食事、全体を通した清潔感。

日本の美が結集したかのような、乳頭温泉郷・鶴の湯。
自信をもってお勧めできる、「泊まるべき宿」である。

  • でこぼこ山道を乗り越えて…一度は訪れてみたかった鶴の湯温泉に到着!
  • 左が本陣、右が二号・三号館。本陣は国の登録有形文化財でもあり、黒一色の外壁が美しい
  • まずは事務所(フロント)へ。開湯三百五十年、乳頭温泉郷・鶴の湯ここにあり!

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4位

Bar ねもと (資生館小学校前、すすきの(市電)、すすきの(市営) / バー)

1回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 -
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2016/01訪問 2016/02/08

はるかに期待以上…この店を選んで大正解。女性マスターが奏でるひとときの魔法に、心溶かして。

[北海道札幌市][来訪回数:2回]
2014/7/5(土)初訪、2016/1/22(金)微修正
すすきの/南4西5にある、オーセンティックバー。
誰もが認める実力派、女性マスターの店である。

190万の人口を擁する、北の大都会・札幌。
ニッカおじさんが見守る「すすきの交差点」には、大勢の人々がひっきりなしに行き交う。
あとで写真を見てみたら、道行く人が、みな笑顔だったので驚いた。
短い夏の到来。人々は思い思いのスタイルで楽しんでいるようだ。

レンガ色の札幌東急REIホテルから見て、市電の走る大通りの向かい側。
アコムの赤い看板のある、つむぎビル。
バーに興味のある人でなければ、ほぼ見つけ出すことは困難なほど、
控えめに「Bar ねもと」の看板が出ている。

地下1階への階段を下りる。
想像される硬めの雰囲気と相反する、ゆるい丸ゴシック体で記された看板。

中が全く想像できない、何の情報も得られない木の扉。
まるで「会員制」とでも書かれていそうな…。
どんな店だか分からないが、寸刻前に飲んだサッポロビールに勢いをもらって
ぐっと扉を前に押す。

両側の壁に沿うように、カウンターが二列並ぶ。14席程度であろうか。
その中 1席だけが、辛うじて空いていた。
まだ片付けも済んでおらず、先客が去ったばかりのようだ。

照明は暗めで、その中に紳士・淑女の会話が交錯する。
カウンターに立つのは、柔らかい笑顔の女性マスター。
アシスタントは置かず、すべての注文に一人で対応されている。

味わいのある、どこか可愛らしい手書きのメニュー。
ウイスキーベースだけでも、6~7種はあったように思う。
毎週バーに通うような私にとっても、初めて聞く名のカクテルが多数ある。
これだから、バーというのは面白い。

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■カリラ 5y
バックバーに置かれた小さな木樽が、とても気になったので注文。
木樽からテイスティンググラスへ、直接注がれる。度数高め。

この銘柄は、アイラの中ではピート(泥炭香)控えめだと認識していたが、
こちらは、しっかりピーティーな香りが楽しめる。
5年ものということだが、そうは思わせない豊かな香りがある。

木樽の中で熟成するんですかね、と尋ねたら
「んー、結構新しいお酒を補充しますからね~」と明朗なご回答。
ふむふむ、では新酒の時点で結構美味しいのか…
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店内はますます賑わいを増し、一組がチェックしたかと思えば、
入れ替わるように別のお客さんが現れる。
それでも、うるさくなりすぎないところは、それなりに歴史を重ねたバー、
良い意味で「客を選んできた」ことが見て取れる。

琥珀色にきらめくウイスキーを、じっくりとストレートで味わっていると
左隣の席が空き、代わりに初老の紳士が止まり木についた。
大通公園でシティジャズフェスティバルが始まったようだ、とマスターに報告なさっている。

「シティジャズ、行ったことありますか?」と、マスターが軽く、私に話題を振ってくる。
「いや、札幌は 2回目で」
「どちらから、いらっしゃったんですか?」
初老の紳士との会話は、そこから弾んでゆく。

そのうち北見市の話題になり、ハッカで有名な町ですよね、とお話したら
今は国産ハッカはほとんどなく、輸入品を使った加工業に切り替わっているのだとか。
代わりに回転寿司や、厳寒の焼肉まつりが人気を博しているらしい。

そんなつながりで、ハッカ入りの… ミントジュレップをオーダー。
爽やかな夏の味に、北海道にわたる風をイメージしながら。

紺のベストをまとったマスターは、凛とした基本線を保ちつつも、笑顔を絶やさず柔らかな接客だ。
戦場のような土曜の夜、これも彼女にとっては、ありふれた日常の一コマなのだろう。

なにしろ、この地下に店を構えること 13年。
酒好きなら誰もがその名を知る、札幌の超有名店で修行され、
マスターに認められた上で、20代にして自分の店を持ったというのだから、驚きだ。

ついつい話も弾んで、3杯目へと進んでしまう。
バックバーに目を移すと、普段は見掛けない紺色ラベルの「余市」が見つかる。迷わずそちらで。

グラスが手もとに運ばれる、
ドライフルーツの盛合せが、卓上にさりげなく供される。
マスター・根本さんの、屈託のない笑顔とともに。

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■ニッカ「余市」へビリーピーテッド
北海道を訪れたら、やはり余市を飲みたくなる。
通常の余市より、ピートを効かせたヴァッテッド(泥炭香に重きを置いたブレンド)。

スコットランドにも通じる冷涼な自然の中で、幾重にも香りをまとう酒。
その芳香は流石の貫録、造り手のプライドが伝わってくるような味。

ピートが強めとはいえ、ラフロイグやアードベッグのようにガツンと効かせるのではなく、
後味にふわりと香るところが、メイドインジャパンの奥ゆかしさか。
サントリーとは対照的に、ウイスキーが持つピート香を大事にしてきたニッカらしさを感じる一杯だ。

出して頂いたドライフルーツの中で、特に気に入ったのは、パイナップルの芯を砂糖漬けにしたものだ。
その抑制されたフルーティーさが、ウイスキーが持つほのかなフルーツのニュアンスと共鳴し、
ウイスキーを一層味わい深く味わえるのである。
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初老の紳士は、超有名店のオリジナル「ゴールデンフレンド」をオーダー。
少しだけ味見させていただく。
アマレット・ダークラム・レモンにコーラ。
甘口な中にもさっぱりとキレのある… 女性ならではの柔らかな所作を映し出すような一杯。

4杯目、多くのお客さんは帰途につき、いつしか店内はのんびり、アットホームな雰囲気に。
奥の方から、秘蔵のお酒を出してきて下さった。
いいんですか?
写真は載せないが、これがまた絶品。うっとりするほど、香り高い…

閉店間際、私もさすがに酔いが回って、どれだけのことをお喋りしたか?
グラスを傾けながら、とりとめもなく…
初老の紳士も、可愛らしいマスターを前に絶好調である。

気付けば、店内には私たち 3人だけが残っていた。
チェック、¥5620。

一期一会。
24時過ぎ、これからがススキノの夜。

忘れられない一夜への道案内、
これからも札幌を訪れるたび、私がこの店を外すことは、もはや絶対に無いだろう。

  • ニッカ「余市」ヘビリーピーテッド。創立時からピート香を大事にするニッカらしい一品だ
  • フレッシュバナナのカクテル。チョコレート&クリームでミルキーに、かつ甘すぎず調製
  • ミックスナッツにドライフルーツ、ひとかけらのチーズ。ドライパインとウイスキーの相性が絶妙

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5位

仙台牛焼肉 と文字 (勾当台公園、広瀬通、青葉通一番町 / 焼肉、居酒屋、牛タン)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2015/02訪問 2016/09/23

東北初の立ち食い焼肉店! 仙台牛を1切れから注文可、一人でも気軽に七輪焼肉を楽しめる(^-^)

[宮城県仙台市][来訪回数:3回]
2014/11/11(火)
繁華街・一番町にある、立ち食い焼肉店。
2014年11月11日オープン。

場所は一番町四丁目、東一市場の東側出口。
仙台三越の南側にあたる。

近くには、ラム肉とラム酒のダイニングバー「Mary's RUM」や牛タン屋もあり、
徐々に、肉肉ストリートになりつつあるエリアだ。

私自身、立ち食い焼肉というのは初経験。
ひとり焼肉は、生まれてこのかた 3回目。

一人食を嗜む者として、立ち食いというスタイルにより、
気軽なひとり焼肉が可能となることは歓迎したい。

オープン日ということで、店内はほぼ満席。
カウンター立ち席 15名分。全席喫煙可。

メニューがまた、興味深い。
なんと「肉を 1切れ単位で」注文できるのである。
加えて、仙台牛の希少な部位も取り揃えている。
1切れ単位ということで、多少お高めな部位でも気軽に試せるところが嬉しい。

その一例を紹介すると…
〔盛合せ〕仙台牛盛合せ5種、朝引き牛ホルモン盛合せ、気仙沼ホルモン盛り
〔肉単品〕肩サンカク、コサンカク、ブリスケ
  ウワミスジ、ミスジ、クリ、ザブトン、三角バラ、ロース芯
  和牛大トロ牛タン、牛タンサガリ
  ホルモン各種(こてっちゃん、ミノ、ミノサンド等)
〔一品〕牛レバテキ、ハチノス刺し、センマイ刺し、和牛塩煮込み、と文字クッパ etc.

上述のように「1切れ単位」が売りの店だが、
特に指定しない場合は、一皿 3切れとして提供される。

ドリンクは、超炭酸ハイボールや、Wレモンサワー、
完熟トマトのレッドアイなどが面白いだろうか。

焼きは、カウンター卓上に置かれた七厘で。
排煙設備を完備。

またカウンター正面には、寿司でいうところのネタケース(冷蔵ケース)があり、
さまざまな肉の部位が並べられている。
1切れから注文できるシステムと合わせ、立ち食い寿司店のような発想で
作られたことが分かる。

店長は、笑顔が素敵なナイスミドル。フレンドリーな接客も良い。

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■生ビール(¥594)
中ジョッキ。銘柄はモルツ・ザ・ドラフト。
くっと飲み干して…(笑)
お通しは出ないので、一杯だけでも高くつくことはない。

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■仙台牛ミスジ(1枚¥410)
長細いカットで出てくる。
霜降りで、柔らかい部位とされる。

肉には予め味付けがされており、食べるときにはタレを使わない。
にじみ出る脂が旨い! これぞ焼肉の魅力。
もう、ライスの誘惑が…

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■仙台牛トウガラシ(1枚¥356)
関東ではトンビと言われる部位。楕円形のカットで出てくる。
ミスジとは赤身。肩の一部だがモモの肉質。
赤身とはいえ、こちらも脂の乗り方が旨い!

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■仙台牛・中落ちカルビ(1枚¥270)
「骨と身の間に挟まれた部位」とのこと。
豪快な厚切りで、鋭い切り込みが入れられている。

じっくり七輪で焼いて食べてみると、仙台牛ならではの脂がジュッと滴る。
甘辛味噌味の漬けダレが、その旨味をさらに高めてくれる。

一般的なカルビと異なり、コリコリとした筋のある部位だが、
前述の通り包丁が入れられているので、食べにくさはない。
この食感が好きな人と、もっと柔らかい高級部位が好きな人と、嗜好の分かれるところだろう。

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■赤身牛タン(1枚¥194)
牛タンシリーズの中で、最も安価な一品。
それでも牛タン専門店に負けない、かなりの厚切り。
一般的な焼肉店にある、ペラペラの牛タンとは全くの別物。

タンの焼き加減に関しては、しっかり焼いた方が旨味が出るとのこと。
ほど良く焦げ目もついたところで、頬張る。

漬けダレが味噌ベースなところに、まず驚かされる。
少し焦げた味噌が非常に香ばしく、そこから牛タンならではのブルンブルンとした弾力が楽しめる。

いわゆる「トロのような牛タン」がある中で、マグロで言うところの「赤身」にあたる部分の
美味しさも知ってほしい…といったところだろうか。
安いけれども、牛タンの醍醐味を堪能できる一皿。

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■こてっちゃん(1枚¥130)
牛小腸。ホルモンの代表的部位である。
3枚頼むと、一見キムチのように、綺麗に盛られて出てくる。

金網に乗せると、とたんに脂がしたたり落ち、もうもうと白煙が上がる!
ほど良くお焦げが付く程度で、白飯の上へ。

噛み締めるとじゅわっと弾ける脂、これは旨い。
思い出しただけで、なんだかご飯が欲しくなる(笑)
味付けがまた、上手なんだよなぁ。

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■ライス(¥250)、白菜キムチ(¥410)
やっぱり、頼んでしまった…(笑)
勝手に、仙台牛焼肉+キムチ+白飯の丼を作ってしまう。
これは…最強の味! そして深夜食としては最凶!(^-^;;)

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■まかない炒め(¥410)
ホルモン各種・長ネギ・椎茸の炒めもの。
味付けは、いわゆる焼き肉のタレを連想させるもので、お店独自の辛味噌だという。

ホルモンはコリコリ感が強く、それゆえに食べ応えがある。
甘辛い味付けは、ビールにも、マッコリにもよく合う。

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■玉子クッパ(¥518)
ホルモン入りでパンチの効いた「と文字クッパ」とは対照的に、あっさり塩味のクッパ。
特に、脂身の多い肉を相手にする時には、名パートナーとなるだろう。

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■と文字スープ(¥410)
ホルモン入りのユッケジャンスープ、とでも言おうか。
韓国風の辛味スープに、てっちゃん・レバー・ハラミなどのホルモン肉、
椎茸・ネギを加え、玉子を溶いて仕上げられる。

真っ赤な色が食欲をそそる!
激辛ではないので、誰にでも食べやすい。
そして、ホルモンの旨味脂が出ているためか、旨味が濃厚(^-^)

ホルモンが入っているので、値段の割にボリューム大。
塩味も比較的しっかりなので、白飯のお供にもぴったり。
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初回の訪問では、ビールとマッコリを 1杯ずつ飲んで ¥4148。
2回目の訪問では、ホルモン焼とつまみ、マッコリ1杯で \1501。

東北初の立ち食い焼肉店。
出だしは上々、早速お気に入り店に仲間入りである。

  • トウガラシとミスジ、絶賛焼きまくり中!
  • 仙台牛トウガラシ(3枚¥1068)。赤身で、肩の一部だがモモの肉質
  • こてっちゃんを網の上に。途端に脂したたり、立ち上る白煙!

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6位

アイスクリンカフェ アーク (本部町 / ジェラート・アイスクリーム、カフェ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/09訪問 2014/10/29

パフェもロケーションも素晴らしい! 美ら海水族館方面へ行くなら絶対外せない、最強の素敵スポット。

[沖縄県本部町]
2014/9/14(日)
本部町の中央付近、高台にあるアイスクリンのお店。
客席の窓からは、東シナ海に浮かぶ伊江島をはじめ、特上の眺望を楽しむことができる。

場所は、那覇・名護方面から美ら海水族館に向かう途中。
国道449号を北上、本部港を越えて、さらにしばらく進んだところ。

カーナビによっては、かなり細い山道を案内する場合がある。
少し遠回りして、信号のある浜元集落の方から向かう方が無難だ。

いずれにせよ、途中の道はすれ違い不可能な幅なので、
高台の下で駐車可能な場所を探し、そこから歩いて登った方が安心だ。

さて、高台の上に佇む夕覧舟は、予想以上に立派な建物。
喫茶店というより、海を望むレストランのような?

そこそこ急な登り坂を上るにつれ、その全貌が明らかになってくる。
こんな辺鄙な場所に、よくこんな店を建てたものだ。

入口には、アイスクリンの移動販売車が、
現役なのか退役済か分からないが、モニュメント代わりに停められている。

沖縄の主要道路沿いにパラソルを出し、バイトのお姉さんが販売する「アイスクリン」。
乳脂肪の少ない、シャーベットに似た風味が特徴。
横浜馬車道で生まれ、今日では高知・沖縄のご当地スイーツとして根強い人気がある。
そのアイスクリン「ビックアイス」の製造元が、こちらのお店を経営しているのである。

建物は3階建て。
入口と主な客席は2階にあり、店員さんも2階にしかいない。

ただ、2階のテラス部分、3階部分にも座れる席が多数あり、
好みによっては、外に出て食べることも可能だと思う。
この日は灼熱の暑さで、とてもそんな気分にはならなかったが…。

2階は海に面したカウンター席、テーブル席が多数。
内側には、海が見えない席もある。

有名店なのか、店内はお客さんでいっぱい。
間一髪で、海側のカウンターに座ることができた。
(海が見えない席になってしまう場合もある)

ガラス窓がはめられていないため、何も遮るものなく、海が見渡せる。
見渡す限り一面に、東シナ海の蒼い海が広がる。
そして、シルエットとして浮かぶのは、7~8km離れた伊江島。
ぴょこんと飛び出す城山の特徴的なシルエットは、一度知ったら二度と忘れないはず。

エアコンはなく、扇風機で涼を取る。
坂道を登ってきて、とにかく暑かったので、この風がとても有り難い。
直射日光が遮られると、徐々に涼しく感じられてくるのが不思議だ。

メニューは、基本となるアイスクリンを中心に、パフェやカフェ的なメニューを揃える。
 ・アイスクリン(12種類のフレーバー) ・アイスクリンたべほーだい
 ・夕覧舟虹色カフェ ・和風パフェ ・3種盛アイスクリン&フルーツ
 ・ふわふわスノーアイスクリンぜんざい ・チーズケーキ&アイスクリン
 ・夕覧舟スペシャル(炭火焼ポーク&チーズ&野菜onライス)
 ・和風おろしそパスタ ・ココナッツミルクのイエローカレー

人気店のため、注文したものが出てくるのには時間が掛かる。
が、この景色を見ながらであれば、それも不満には感じられないだろう。
キラキラと輝く海面、まさに美ら海。

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■夕覧船虹色パフェ(¥800)
ビアジョッキのような大型の器で出てくる。
飾られたハイビスカスが、期待通りのリゾート気分。

トップに乗るのは、キラキラ輝くオレンジゼリー。
綺麗ですね~とお話しすると、「伊江島に沈む夕陽をイメージしたんです」と店員さん。

入っているのは、オレンジ・バナナ・グレープフルーツ・キウイ・マンゴー。
マンゴーはごく小さなカットであるが、それでもちゃんとマンゴーの味がするのが素晴らしい。
きっと沖縄産の完熟マンゴーなのだろう。

バニラのアイスクリンに、ブルーベリーソースが掛かる。
さらにその下には、(おそらく)いちごのアイスクリン。
味の違いは分かりにくいが、いずれもあっさり、涼しげな味わい。

食感に変化を与える、サクサクとしたウエハース的なものは、
コーン(アイスクリンの取っ手部分)を砕いたものだった。

ジョッキサイズのパフェだったが、あっさりした味わいと、さまざまなフルーツの彩りで
あっさり完食♪
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食後はぜひ、屋上(4階)テラスまで出てみよう。
そこには文字通り、360度のパノラマが広がる。
緑のやんばる、青い空と海、その向こうに浮かぶ伊江島のシルエット。
沖縄に来て良かった、と思える景色がここにある。

この建物、構造がとても面白く、あちこち歩き回って探検するのも楽しい。
今は使われていない1階部分を含め、100席は取れそうな広い店内。
本来はカフェでなく、結婚式の二次会などを前提に建てられたレストランではないか?と推測を巡らせる。
なんでもこの建物、オーナー自らの手で建てたものだとか。

パフェの美味しさはさることながら、さまざまな驚きが詰まった「夕覧舟」。
美ら海水族館を訪れるならば、全力でお勧めしたいスポットである。

  • 夕覧舟虹色パフェ(¥800)。オレンジゼリーを、東シナ海に沈む夕焼けに見立てて
  • バナナにグレフル、キウイにマンゴー、ブルーベリーソースにチョコソース
  • これで店内。沖縄を飛び越えて、バリ島にいるようなリゾート感

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7位

むじ汁専門店 万富 (安里、牧志、おもろまち / 沖縄料理、オーガニック、薬膳)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/09訪問 2014/09/17

田芋の茎がたっぷり、上品な甘さの味噌仕立て… これぞ沖縄の郷土料理、むじ汁に心打たれた!

[沖縄県那覇市]
2014/9/12(金)
栄町市場の郷土料理店。「まんぷ」と読む。
むじ汁、肝しんじ汁など、沖縄ならではの珍しい汁物をいただける。

場所は、ゆいレール安里駅から北東方面へ徒歩3分。
戦後の空気感を残す、これぞ沖縄という社交街を通り抜けて、
その奥にある栄町市場へと迷い込んでゆく。

市場は何本もの小道が通り、通り抜けるだけでも楽しい空間。
こちら「万富」さんは赤一色の派手な外観で、すぐに見つかることだろう。

暖簾がはらりと掛かっているだけの、常に開け放たれたドア。
沖縄らしく、鮮やかな紅色のカウンターは全9席。
テーブル席は無し、全席禁煙。
BGMは、AMラジオが流れる。

カウンターの中には、上品な感じの琉球婦人がひとり。
沖縄県が定める「地産地消おきなわ食材の店」に認定されている。

メニューは 4品。
 ・むじ汁 ・肝しんじ汁 ・てびち汁 ・今帰仁産の牛汁

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■むじ汁定食(¥700)
田芋の茎=むじをふんだんに使った、味噌仕立ての汁。
お惣菜三点(大根甘酢、ブロッコリーとちくわの胡麻酢、にんじんともやしの胡麻和え)に
加え、古代米ご飯が付く。

お盆にまとめて、コンパクトに供される。
沖縄食堂の大盛上等な感覚に慣れると、この量はかなり控えめに思える。
しかしこれ、実際には食べ応え十分なのだ。

汁の中には、「ぎっしり」と言っていいほどむじが入る。
さらに田芋(子芋)そのものや、大きめカットの島豆腐も入り、非常に具沢山の汁物に仕上がっている。

田芋というのは粘りの強いタロイモ系で、本土の里芋に近い存在。
里芋が畑で育つのに対し、田芋は水田で育つ点が異なる(主に金武町・宜野湾で栽培される)。
その茎であるから、本土でいえば「ずいき」にあたる。
低カロリーかつ、食物繊維豊富な食材。

一番の魅力は、なんといっても むじのザクザクという快い食感だろう。
ザクザク、ザクザク…
噛むたびに、茎の中から味噌汁の旨味が染み出てくる。

汁はほのかに甘みがあり、明らかに白味噌と思い伺ったら
「信州味噌と数種類の味噌をブレンドしたものに、豚骨やカツオのダシを加えています」とのこと。
なるほど…言われてみれば、味噌だけでは出せない旨味に富んでいる。

「昔は茎に加えて芋まで、完全にどろどろになるまで煮込む料理だったんですが、
今の時代に合わせて、食感を残すようにしています」
茎のえぐみを除きつつ、食感を強める独自の調理法についても伺うことができた。

「田芋には子芋がたくさん出来るので、子孫繁栄に通じるおめでたい料理として
お祝いごとに使われるんです。
お店に鍋を持ち込んで、20人分という注文も受けてます」

沖縄のお祝いには肉が付き物、むじ汁にも本来は豚三枚肉が入るというが、
この店では、脂分をカットするためあえて入れていない。
慶事向けには、「別に肉屋さんで買って入れて下さいね」と言うそうだ。
まわりは市場だから、確かにそれが一番良さそうだ(^-^)

さらに、試しに作ってみたという「へちまのピクルス」をサービスしていただいた。
へちまの味噌炒めは、沖縄家庭料理のスタンダードであるが、ピクルスにしたのは初めて見る。
果肉は柔らかく、尖った酸味のないまろやかな味が、店主の穏やかな性格を映したもののように思えた。
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ちなみに肝しんじ汁の方は、豚レバーを煎じ、ハンダマ(紫色の菜っぱ)やニガナを入れた薬膳スープ。

牛汁というのは、親戚が営む今帰仁産の牛肉を内臓ごと煮込み、
1日置いて浮かんでくる牛脂を完全に取り除き、あっさり味に仕上げたものらしい。
いずれも非常に興味深い。

食後のゆんたく(おしゃべり)も非常に充実していたし、これは再訪確実な店。
旅行初日にして、次回の沖縄旅行が楽しみになってきた(笑)

  • むじ汁定食(¥700)。田芋の茎がごろごろと入り、小さいけれど食べ応え十分の逸品!
  • 上品な甘みのある味噌風味。各種ブレンド味噌と、豚骨・鰹出汁を用いた味の深み!
  • 田芋(たーんむ)リフト。粘りが強く、紫色した里芋のイメージ

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8位

おしか商店 (亘理 / 海鮮、郷土料理)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/10訪問 2014/11/08

郷土の味を力強く伝える、亘理名物はらこめしの名店。鮭の風味がご飯に染みて「旨い」の一言!

[宮城県亘理町]
2014/10/28(火)
県南・亘理町(わたりちょう)にある、鮮魚料理店。
1970年創業。郷土料理の「はらこめし」は、特に定評がある。

仙台から車で南下すること、50分弱。
国道6号を少しそれ、旧国道6号(陸前浜街道)に沿って町中へと入る。

すっかり暗くなった街道沿い、ぽつんと明るく灯る照明。
看板に「おしか」の文字を確認し、隣の駐車場(3台程度)に車を停める。

電車利用であれば、JR亘理駅から南西方向に、徒歩25分である。

中に入ると、店番の男性がひとり。
店内には看板商品のはらこめしのほか、多数の惣菜が並ぶ。
 ・焼魚(鮭や赤魚など) ・白身魚のフライ ・自家製コロッケ
 ・鯛みそ ・蟹みそ ・イカ耳キムチ ・冷凍干物など

鯛みそと蟹みそは、県知事賞などを受賞した自信作のようだ。
鯛みそは仙台味噌(赤味噌)ベース、蟹みそは白味噌ベース。

基本的に持ち帰りの店だが、カウンター席がいくつか設けられており、
その場で食べていくことも可能なように見える。

はらこめしと鯛味噌を買い求めると、
「ありがとうございました!」と丁寧なご挨拶をいただいた。

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■はらこめし(中¥1200)
「元祖はらこめし 味くらべグランプリ」に輝いた一品。

はらこめしとは、秋に遡上する鮭の身とはらこ(イクラ)を炊き込んだ、亘理の郷土料理。
生のイクラを乗せるのではなく、鮭の旨味が溶けだした出汁でごはんを炊くところに、
一般的な鮭イクラ丼との明確な違いがある。

ちなみにこちらのお店、WebサイトのURLは harakomeshi.com。
はらこめしに掛ける意気込み、自信のほどが伺えるドメインだ。

まずパッケージを開けると、甘辛いような醤油の香りに、激しく食欲をそそられる。
等間隔に5枚、整然と並んだ鮭の身。
その間を埋めるように、キラキラと輝くはらこの粒々。

まず、飯が旨い。
醤油やみりん、それに加えてしっかりと出汁の風味が感じられる。
鮭やはらこの味わいが、余すところなくご飯に染み込んでいる。
濃すぎず、薄すぎず、絶妙な味加減がまた心憎い。

そして鮭がまた、柔らかくて優しい味わい。
口に入れたあと、不思議なくらい香りが追っかけてくる。
ここで、大盛りを買ってくれば良かったと後悔(^-^;)

宮城の地酒、ひやおろしや秋あがりを合わせれば、
最高に贅沢な時間を過ごせること、請け合いである。

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■鯛みそ(¥735)
仙台味噌をベースに、鯛の身を贅沢に混ぜ込んだ一品。
2012年、宮城県の品評会にて知事賞を受賞。

見た目には分かりにくいが、細かくほぐされた鯛が入っている。
賞味期限が長いので、家で食事する回数が少ない私でも、安心して買い求められる。

これは迷うことなく、白いごはんに合わせるべきだろう。
あとひく甘さの、おかず味噌。
塩辛さはあまり感じない。

旨味の詰まった甘さは、おにぎりの具にしても良さそう。
地味ではあるが、海辺ならではの味わい深いご馳走である。
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ちなみに、こちらのお店が辿ってきたストーリーについては、
地元紙「河北新報」に記事があるので、店を訪れる前にご一読いただきたい。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140911_15014.html

はらこめしグランプリの名に恥じない、素晴らしい風味。
宮城の秋を代表する、誇りの味だと言って良い。

  • 秋あがり(ひやおろし)と合わせる。これぞ秋の贅沢!
  • 亘理名産・おしか商店のはらこめし(¥1200)。自信をもってお勧めできる一品
  • おしか商店の鯛みそ(¥735)。宮城県知事賞を受けた自慢の品

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9位

たらこcafe (宮城野通、五橋、仙台 / カフェ、海鮮、食堂)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/11訪問 2014/11/09

美味しい「たらこ」宮城にもあるんです。たらこcafeで、たらこ三昧の昼下がり♪

[宮城県仙台市]
2014/11/8(土)
若林区新寺にある、たらこ専門店。

石巻のたらこ製造メーカー・マルイチ高橋商店が、仙台市内に「たらこcafe」なるものを
出店していると聞き、以前から激しく気になっていた。
同社のアンテナショップ的な役割を果たしているというのである。

仙台駅東口から南東方向へ、徒歩15分弱。
ちょっとした散歩には、丁度良い距離だ。

新寺1丁目の五差路、セブンイレブンの左手にある細い道へと折れる。
周囲は住宅街であり、目立たない場所だ。

店頭に立てられた、たらこの看板が目を引く。
店内に入ると、まずたらこの販売コーナーがあり、その奥にカフェスペース。

メインは和定食なのだが、木材が多用された内装はカフェっぽい。
紅茶缶・ティーカップ・ワイングラス・砂時計などが配された、フェミニンな空間。

実は、たらこ屋(マルイチ高橋商店)の娘さんがアクセサリー製作をしていた事務所を
改装したものらしい。一念発起して、家業に転向したとのこと。
飲食店にしては分かりにくい立地にも、なるほどと納得(^-^)

大きなテーブルのカウンター×3席、2人掛けテーブル×4卓、4人掛け×2卓。
全席禁煙。

BGMは無し…と思ったら、途中から思い出したようにスイッチON、
ボサノヴァが流れ始めた(´▽`)

土曜の正午、テーブルは全卓埋まる人気ぶり。
老若男女、客層も幅が広い。
想像以上の人気を見せていた。

メニューは豊富。よくこれだけ開発したものだ、素晴らしい。
 ・たらこ定食 ・さんま明太子定食
 ・たらこ麦とろ丼 ・たらこキンピラ丼
 ・手作りコロッケぷれーと(たらこコロッケ&たらこマヨ)
 ・レンコンぷれーと(レンコン&豆腐のカツ)
 ・たらこリゾット ・たらこパスタ

定食のご飯は、白米・麦ご飯・玄米から選べ、大盛り無料。
手作りケーキもあるが、さすがにたらこスイーツはないようだ(^-^;)

さんま明太子が人気のようだが、迷った末、
一番豪華なセットを注文してみた。

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■たらこ味わいセット(¥1600)
三種のたらこ、麦とろごはん、吸物、小鉢(高野豆腐・じゃがいもの煮物)、サラダ、スイーツのセット。
定食に比べ、とろろ・スイーツが追加となる豪華版。

◎薄色塩たらこ
 あっさり塩味で仕上げられたたらこ。
 塩味が強くないので、魚卵そのものの旨味をストレートに楽しめる。

 山芋とろろを掛けた、麦ごはんとともに頂く。
 お店のオススメ通り、塩味×とろろのぬるぬる感、この相性はなかなか良い(^-^)

◎辛子明太子
 綺麗なピンク色の断面に、みっしりと詰まった卵たち!
 唐辛子の辛さはあくまで控えめ、上品な味わいが、
 材料の新鮮さ・上質さが際立つように思う。

◎たらこしぐれ煮
 抑え目の甘さが奥ゆかしい。
 いわゆる田舎風の、甘辛さが前面に出た甘露煮とは一線を画す。
 熱が通ったことで、生のたらこに比べ、魚卵ならではのプチプチ感が際立っている。

◎吸物
 青魚(いわし?)のつくね、わかめ、三つ葉が入る。
 しっかり魚の味がするつくねも美味しいが、何よりびっくりしたのは、わかめの食感。
 三陸の高品質わかめだろうか? コリコリとした歯応え、脇役とは思えない存在感。

◎黄ニラの甘酢漬け
 日陰での栽培により、黄色い葉に仕上げるニラ。
 通常の青ニラに比べ、柔らかい食感が特徴。
 岡山の名産だが、最近は仙台でも栽培されているそうだ。
(においが強いので、食後に注意)

◎スイーツ
 手作り感のある、ほっこりプリン。
 卵感が強く、キャラメルもしっかり作ってある。
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店員さんはやや素人っぽい感じだが、
それもまた、好感が持てると言えなくもない。

ちなみに店頭では、以下のような商品を販売。
 ・たらこ、明太子、たらこのしぐれ煮 ・さんまの明太漬け
 ・皮なしつぶつぶたらこ(パスタ用) ・金華サバ ・黄ニラの酢漬け

本社工場(石巻)は津波で全壊し、2年にわたり塩竈で仮稼働していたが、
2013年6月、HACCP準拠の新工場を建てて復興を果たしたそうだ。

石巻は、たらこ生産量がかつて「日本一」だった港町。
たらこや明太子というと、福岡や北海道のイメージが強いけれど、
宮城にも、美味しいたらこ、ありました。

  • たらこ味わいセット(¥1600)。定食に加え、とろろ・スイーツが付く豪華版
  • 左から「薄色塩たらこ」「辛子明太子」。右下に「たらこのしぐれ煮」
  • 魚卵がぎっしり凝縮された明太子。辛さはマイルドで、なめらかな口あたり

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10位

本格酒処シマウマ酒店 (広瀬通、勾当台公園、青葉通一番町 / 居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 -

2014/08訪問 2014/08/31

中華料理と日本酒の相性やいかに? 熱燗の新しい魅力が花開く、実験的 'SAKE BAR'

[宮城県仙台市][来訪回数:2回]
2014/4/9(水)
中心街・一番町四丁目にある、中華料理と日本酒のお店。

「中華料理×日本酒」という取り合せの面白さに惹かれ、予約をして2名で訪れた。
人気店のようで、予約は必須とみられる。
なお、席は 2時間半の制限時間がある。

一番町アーケードから一本東側、いわゆる1.5番丁といわれる通り。
店頭には「SAKE BAR」の看板。
中へ入ると、既に多くのお客さんで賑わっていた。

カウンター6~7席、4人掛けテーブル×3卓。
こじんまりとした店に、焼き立ての餃子であろうか、食欲をそそる香りが漂う。

カウンターがあるので一人でも大丈夫だが、
賑やかな雰囲気なので、2人客・グループ客向きのお店だと感じた。

日本酒は、銘柄ごとに冷や/燗を選べる。
中華料理に合わせるなら、甘酸っぱさが活きる燗酒が良いかもしれない。
どこか、温めた紹興酒に近いテイストも感じられそうだ。

もちろん日本酒だけではなく、ビール・サワー・焼酎類も用意されている。

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■どぶソーダ割り&お通し
どぶろくのソーダ割り。
「一杯目から日本酒は… かといってビールでは普通すぎる」という気分にぴったり。

日本酒感は抑えられ、あっさりした飲み口。
サワーのように癖がない感じ、酒好きとしてはもう少し濃い目が好みかな?

お通しは赤くて辛そうな、厚揚げと大根の中華風。
食べてみると、見た目ほど辛くなく、旨みの深いつまみである。

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■豆苗の炒め物
シャキシャキと、あっさりイメージの料理だが、
にんにく風味がしっかり効いて、ビールにぴったり合う感じ。
どぶソーダとの相性も、なかなか。

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■野菜と海鮮の炒め物
メニューには「辛炒め」とあったのだが、同行女子が辛いもの苦手だったので
厨房に伝えてもらい、辛み抜きで!
臨機応変な対応は、ポイント高い。

とろみある衣をまとった、海老のぷりぷり感。
野菜の食感も心地良く、中華料理の魅力が詰まった一皿だ。

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■日本酒「扶桑鶴」純米生原酒 冷や
島根・桑原酒場から。一升瓶から注いでくれる。 
ビールのように苦味がない分、口の中をリセットする力はやや弱いが、
甘み・コクのある料理との相性は良いと思う。

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■ハーフプレート〔油淋鶏と腸詰め〕
Aグループ、Bグループの料理から一品ずつ選べる。
いろんなつまみを、ちょっとずつ摘まめるシステムは嬉しい。

ユイリンチーは、ご飯が進むランチの定番だが、純米酒に合わせても面白い。
腸詰めはほんのり甘辛く、どこか和の風味が感じられる。

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■日本酒お燗
ちろりでの提供。
この頃には国道趣味に関する一人トークも弾み、
味わいの深いところまで覚えていないのが正直なところだ(^-^;)
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お酒を3杯ずつ飲んで、お代は 2名で¥6000くらい。

今回はおしゃべりメインだったので、
餃子や麻婆豆腐、海老玉、ザーサイ入りポテトサラダも食べてみたかったが、
それはまた今度のお楽しみとしておこう。

コンセプトが面白く、なかなかに活気ある店なので、
一度試してみる価値はあると思う。

  • どぶソーダとお通し。厚揚げと大根の中華風、旨味たっぷりの一皿
  • お通しは肉味噌豆腐。古酒のような黄金の日本酒!
  • 豆苗の炒め物。この一皿で、なんだかとてもヘルシーな気分になれる(^-^)

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