よい子さんのマイ★ベストレストラン 2016

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広い日本を楽しもう! 酒好きよい子の、旅するグルメガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

成吉思汗だるま 本店 (すすきの(市電)、すすきの(市営)、資生館小学校前 / ジンギスカン、韓国料理、焼肉)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2016/01訪問 2016/02/01

香ばしく焼き上がる赤身は、期待を超える感動の味! とろける上質な脂は、玉ねぎをご馳走に変える魔法。

[北海道札幌市]
2016/1/22(金)
すすきの/南5西4にある、ジンギスカン専門店。
1954(昭和29)年創業。

札幌でジンギスカンを食べるなら、真っ先に名前の挙がる店といって良いだろう。
本店、4・4店、6・4店、二階亭と 4軒の店舗があり、提供する料理はどこも同じ。
それでも最初だから、やはり本店に向かいたくなる。

すすきの駅、あるいは ニッカおじさんの交差点(南4西4)から徒歩4~5分。
これぞすすきの、という歓楽街の真ん中。
ビルとビルの間、雪に覆われた小路に「成吉思汗」の赤い看板が映える。

17時開店の少し後に伺ったが、店内は満席となり、行列が出来始めていた。
前の方に並べたが、一巡目が始まったばかりなので、しばらくは待つ覚悟が必要だろう。
幸い、今日の札幌は震えるほどの寒さではない。
列に並ぶ人々の半分以上は、アジアからの旅人である。

30~40分は待っただろうか、ようやく入店。
店内はコの字型カウンター、およそ15席。
隣との席間は極端に狭く、また背後の壁との空間(通路)も非常に狭い。

人々をかき分けて奥の席へ。
普通なら大変窮屈に感じるところだろうが、店の雰囲気か、不快には感じなかった。
キャリーバッグなど、大きい荷物の持込みは控えたい(物理的に入らない)。

卓上には七輪がスタンバイ。
店内の火鉢から新しい炭火が投入され、その上に鉄鍋がセットされる。

最初に飲み物を聞かれる。
ジンギスカンについては、何も言わずとも 1皿自動的に出てくる。

漬けダレは、甘辛い醤油と胡麻油を合わせたようなもので、表面に白胡麻が浮かぶ。
お店の方が、砕いた鷹の爪(唐辛子)と、おろしニンニクを出してくれるので、
それを好きなだけ、自分のタレに入れてかき混ぜる。

「ニンニクは、一杯入れた方が美味しいのよ」とおばちゃんが勧めてくる。
ここは、ぜひ豪快に。
唐辛子・ニンニクはこのあと引き上げられるが、お願いすればまた出してくれる。

お店はママさん、おばちゃん、バイトさん×2名程度で切り盛り。
狭いこともあって、店内は実に賑やかで、大声でなければ注文は通らない。

メニューは以下の通り。
〔焼肉〕ジンギスカン(肉おかわり)、野菜おかわり
〔飲物〕生ビール、焼き燗、サワー、ソフトドリンク
〔ご飯〕ライス大・中・小
〔酒肴〕キムチ、チャンジャ、焼き岩海苔

日本語を話さないお客さんにも、おばちゃんが適当に対応できるのは、
メニュー構成がシンプルなことも一因だろう。

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■生ビール(¥540)、お通し(¥216)
本店では「キリン一番搾り」を提供。from 千歳工場。
木で出来ているのか、驚くほど軽いジョッキに驚かされる。

寒い冬でも、暖かい店内で飲む冷たいビールはたまらない。
ジンギスカンとの相性は抜群だ。

お通しには、キャベツの浅漬けが付く。価格は良心的。

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■ジンギスカン(一皿¥848)
小皿に 5~6枚の羊肉が盛られてくる。
ラム(仔羊肉)ではなく、マトン(成長した羊肉)なのだという。
完全な赤身が 4枚程度と、比較的脂の多い部位が 2枚程度。

兜のような形状の鉄鍋、その周縁部に玉ねぎ・長ねぎが盛られる。
小高くなった中央部には、羊の脂が乗せられる。

鉄鍋はすぐに熱くなるので、脂と玉ねぎの間、傾斜のついた部分に
貼りつけるようにマトン肉を乗せて焼こう。

少し赤みが残る程度で食べるのがコツ。
焼きあがったら、先ほどのつけダレに漬けて、アツアツのうちに…

おお~ これは美味しい!
今まで食べたジンギスカンの中で、一番だ。
表面がカリッとして香ばしく、どこか甘い香りがあり、
赤身は歯切れよく、全くもってクセが無い。

最初は脂が足りなく思えるが、食べ進むうちに滴り落ちてきて
下に控える玉ねぎが、揚げ焼き状態になってくる。
箸で上下を入れ替えたりして、焦がさず均等に焼き上がるようにしよう。

一皿なら、軽く食べ終わる程度の量。
食べ終わったら、どんどん肉をお代わりしよう!

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■チャンジャ(¥324)
タラの胃を塩辛にしたもの。韓国料理の定番。
珍味のため少量。

コリコリと適度な歯応えで、塩辛過ぎず旨味がある。
ビールにも、ジンギスカンの箸休めに最適。

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■キムチ(¥378)
ママ自家製の白菜キムチ。
激辛ではなく、甘・酸・旨のバランスが取れた一品。
肉との相性が良いので、これは是非注文したい。

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■ライス大(¥324)
ジンギスカンには、やはりライスも必需品だ。
もりもり食べよう!

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■焼き燗(¥324)
鉄鍋を熱するコンロで、はと徳利ごと直火に掛け、日本酒を温める。

この安い値段も魅力的!
キムチより安いのだが、大丈夫だろうか(^-^;)

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■お代わり野菜(¥216)
たっぷりの玉ねぎと、長ねぎ少々。
マトンの上質な脂が溶け落ちて、玉ねぎに絡まる。
これが本当に甘くて美味しい!

レビュアーの皆さんが、玉ねぎの味について絶賛しているが
実際に食べてみると、非常に共感できる。

北海道だけに、玉ねぎそのものの品質も良いだろうが、
やっぱりマトンの脂。この旨さは本物といえよう。

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■焼き岩海苔(¥281)
おつまみ用の韓国海苔。
適度な塩加減、ごま油の風味。ごはんにもお酒にも合う。

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■ライス小(¥162)
最後のシメには、ぜひ「お茶漬け」をいただきたい。
必要条件は、玉ねぎなどの野菜と、焼き岩海苔を残した状態で、ライス小を注文すること。

メニューには無いのだが「お茶漬けみたいなの、出来ますか?」と尋ねると
「タレをご飯に掛けて、お湯を入れるやつですね」と応じてくれる。

まず、自分が使っているジンギスカンのタレを、ライスに注ぎ入れる。
「ちょっと濃いめの方が美味しいよ」とのこと。

そこに焼けた玉ねぎと、ちぎった岩海苔を投入。
(岩海苔をちぎると、手が油まみれになるので注意・笑)
最後に店員さんに、お湯を注いでもらって出来上がり!

ブラックな見た目だが、食べてみるとマイルドで美味しい。
玉ねぎとともにジンギスカンの脂が入り、"お茶漬け" をまろやかな味にするのだろう。
最初から最後まで「だるまワールド」に浸りきって、ご馳走さま(^-^)
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マトンを 3皿、ごはんを 2杯食べて満腹、大満足!
お会計¥5308(クレジットカード使用不可)。
一品一品の値段を見ていくと、実に庶民的でリーズナブル。

有名店の名に恥じず、さすがに美味しいジンギスカンであった。
これなら、並ぶ価値がある。
店内はちょっと狭いけど… 文句なしにお勧めできる店である。

  • この脂のとろけ具合! 漂うマトンの甘い香り、たまりません
  • ジンギスカン(1皿¥785)。ラムではなくマトン。赤身と脂身がバランス良く盛られてくる。どんどんお代わりを!
  • おろしニンニクと鷹の爪(唐辛子)が出されたら、自分の分だけタレに入れよう

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2位

常盤館 (下仁田 / 郷土料理、かつ丼、すき焼き)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2016/06訪問 2016/06/22

本場のこんにゃくフルコース、味は期待以上! 老舗旅館らしい枯れた設えも、実に味わい深い。

[群馬県下仁田町]
2016/6/12(日)
下仁田の料理旅館。
1913(大正2)年創業、103年の歴史を誇る。

群馬旅行の途中、ねぎとこんにゃくで有名な下仁田を訪れた。
町を歩くと、やさしく小さく、オルゴールの調べが聞こえてくる。

こちらの宿は、町の中心部に位置する。
上信電鉄の終着駅・下仁田駅から徒歩1分。
10台程度の専用駐車場あり。

お昼の営業があるかどうかも分からない、商売っ気のない店頭。
ガラガラと扉を開けるが、帳場には誰もいない。
奥へとお邪魔し、動き回っている仲居さんを呼び止める。

館内は、大変に年季を経た古旅館の風情。
その枯れ具合は、普段あまりお目に掛からないもので、この雰囲気も一つの見所といえる。

私のような一人客でも、中庭が見える個室へと案内してくれる。
照明は赤めいてレトロ。どこか、遊郭のような幻想さえ抱かせる。

エアコンは設置されておらず、自然の空気が行き来する。
個室での喫煙可、BGM無し。
(ちなみにお手洗いは現代化されており、極めて清潔である)

遠くから聞こえる宴会の気配。
それが止むと、しんと鎮まった静寂だけが、古旅館を包み込む。
一人で個室に佇み、料理を待つ間… たまらなく詫び寂びが感じられる。

昼食メニューは以下の通り。
 こんにゃく尽くし …¥2160、¥3240の二種
 かつ丼(玉子でとじないタレかつ丼)、鳥重(鳥の照り焼き丼)
 下仁田ねぎすき焼き:冬季のみ

かつ丼または鳥丼に、こんにゃくの刺身とこんにゃくサラダが付くセットも魅力的だ。
なお、こんにゃく尽くしに関しても、特に予約は必要としない。

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■青岩コース(¥2160)
こんにゃく料理 6品に、ごはん・味噌汁・お新香が付くコース。
まさに、こんにゃくマニア垂涎の内容といえる。
ほぼ同時に出てくるが、ぜひ温かいものから先に頂きたい。

◎刺身
 下仁田こんにゃくの実力が、遺憾なく発揮される一品。
 白と青海苔入りの二色を、酢味噌でいただく。
 いずれも透明感があり、見た目にも涼やかである。

 もちっもちっ、ザクザク。期待の上をいく食感、これは素晴らしい!
 辛子酢味噌もツンと効いて、実によい具合である(こんにゃく自体には味がないだけに、この点は重要)
 これは美味しい。本場を訪れた甲斐があった!

◎みそ田楽
 こんにゃく料理の王道。酢味噌と、山椒味噌の二色で。
 瑞々しくて、ぷりっぷり♪
 山椒味噌の方は、木の芽の香りが鮮やか。
 ほのかに感じられる、こんにゃく本来の香りが奥ゆかしい。

◎酒盗和え
 この店のオリジナル。細切りのこんにゃくに、かつお内臓の塩辛を絡めたもの。
 見た目的にも、イカ刺の代役をこんにゃくが担っているように見える。
 口に入れると、肝のほろ苦さとともに旨味が広がる。

 大人風味ではあるが、濃厚すぎないので比較的食べやすい珍味といえる。
 車でなければ、日本酒が欲しくなるところだ(´▽`)

◎白和え
 ポピュラーなこんにゃくの楽しみ方。すり胡麻の風味が濃厚。
 細長く切られたこんにゃくの一本一本が、その歯応えを主張する。

◎そうめん
 平たいので、そうめんというより「きしめん」のよう。
 青海苔が練り込まれ、山里の緑を映したような色あいである。

 私が感心したのは、つゆに山芋とろろが入っていた点。
 この一手間を掛けることで、こんにゃく麺の口あたり・味わいとも倍増している。
 つゆも辛すぎず、文字通り「つるっと入る」涼味。

◎いりとり
 鶏もも肉とともに、照り焼きにしたこんにゃく。
 まず、鶏肉はぷりっぷりの弾力で、これ単体でも最高の味。
(別メニューの鳥重・鳥丼も間違いなく美味しいだろう)

 こんにゃくの方は、鶏脂の旨味を吸い込んで、とても贅沢な味に仕上がっている。
 甘辛く、ごはんのおかずとして最高である(^-^)

◎食事
 ごはんには、ゆかり(紫蘇)が振りかけられており、きちんと美味しい。
 味噌汁は麩入り。アツアツで、身体に染みる美味しさ。
 お新香の白菜は、ちょっと塩が強いけれど、コース全体のバランスを考えたものかも。
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生で良し、煮て良し、茹でて良し。冷やしても温めても、さまざまな味付けで楽しめる万能選手・こんにゃく。
その上、カロリーゼロ!

決して豊かとはいえない山間の土地を耕し、生芋から時間を掛けて生み出される加工食品。
山里の宝石・こんにゃくの魅力を、本場・下仁田で改めて認識することが出来た。

  • 刺身。ぷるんぷるんの食感は期待以上! 辛子酢味噌の味も完璧です
  • 田楽は、酢味噌と山椒味噌で。茹でたこんにゃくの素朴な風味、アツアツを頂こう
  • ゆかりを乗せたごはん、三ツ葉・麩入りの味噌汁、お新香。脇役もきちんと美味である

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3位

ビッグベン (宇都宮、宇都宮駅東口 / バー)

1回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 -
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2016/04訪問 2016/05/17

カクテルの街・宇都宮に輝くホテルバー。重厚な雰囲気の中、伸びやかな発想のオリジナルカクテルを楽しむ。

[栃木県宇都宮市]
2016/4/29(祝)
「ホテル東日本宇都宮」のホテルバー。

場所は、中心市街地から北へ4kmほど進んだ上大曽町。
徒歩ではちょっと厳しい距離。
JR宇都宮駅または東武宇都宮駅から、タクシーで10分程度。

ホテルに宿泊する場合は良いが、中心街から向かう際は必ず、
二次会の貸切予定等が入っていないか電話を入れてから訪れたい。
そうしないと、往復¥1820のタクシー代が無駄足になる(^-^;)

宇都宮トップクラスのホテルなのであろう、堂々とした面持ちのロビー。
自動演奏のピアノが、軽やかにクラシック音楽を奏でる。

エレベーターで、最上階の10階へ。
(実はここで結婚式二次会の集団と出くわし、約1時間待機するはめに…)

ホテルバーらしく、シャンパーニュなどのボトルが並び、風格のあるエントランス。
そこから奥へ入ると、団体様向けのソファー席が多数。右手にカウンター席がある。

カウンターは 5席ほど。こちらは、意外にこじんまりとした造りだ。
かなり若い女性バーテンダーさんがお一人。例の有名な方ではなさそうだ。
先客は男性一名。二次会の騒がしさがようやく引けて、バーらしい空気感を取り戻した時間帯。

「何かつままれますか?」
という問い掛けで、満腹ではあったがミックスナッツを注文。

まずはカティサークのハイボールを一杯。
次に、ジャックローズをお願いした。
バックバーに並ぶ、ビッグベンというウイスキーも気になったが…

窓の外には、宇都宮郊外の静かな夜が広がる。
中心街を向いていないので、キラキラしたネオンは見られないが、なんだか落ち着く街の灯である。

「夕暮れが、とても綺麗に見えるんです」
バーテンダーさんが、スマートフォンで撮った写真を見せて下さった。
「ちょうど店をあける準備の頃、夕焼け空を一人占めできるんです」と笑顔。

あとからお客様が一名増え、カウンターの雰囲気も熟してきた。
落ち着いた客層、弾むけれども騒がしくない会話の雰囲気は、さすがホテルバー。

北関東は地形的に、雷の多い土地として知られる。
中でも宇都宮は「雷都」の別名をもつほどである。
「雷の日は、この窓から稲妻が走るのが見えて、写真を撮りたいと思うんですが…なかなか」
そんなわけで、雷をイメージしたカクテルをお願いしてみた。

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■雷様(らいさま)
栃木では「かみなりさま」ではなく「らいさま」と言うそうだ。
ブルーキュラソーで青い稲妻を表現。ここまでは予想通り。

口に含むと、どこかしらメロンのような、華やかな香り。
ベースのジンがもつボタニカルの香気と、キュラソーがもつ柑橘のアロマが広がる。

でも、それだけではないようだ。
答えは、山椒。

カクテルの水面に山椒を振りかけ、和の清涼感をプラス。
実際に辛みまでは感じないが、電撃にあたり痺れるイメージ?
ピカッ、ゴロゴロな雷様を、遠くに連想させる味わいではないか。

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■マザーズハンド
お母さんの温かい手をイメージした作品。
色合いから「ミルキーはママの味」を連想する。

アマレット(杏仁)と、カネラ(シナモン)を香りの基軸に、ミルクでほんわりと包み込んだ。
ディンプルウイスキーと、グレープフルーツピールの香りが、隠し味。

「私、ウイスキー好きなので、ついウイスキー入りのレシピを考えてしまうんですよ」
ウイスキーの複雑な香りを、カクテルという形で味わえるのはバーならではの楽しみ。

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■フェアリーツリー
バーの止まり木をイメージした作品。
三角グラスに、渋いブラウンの色彩。
「ネーミングは、ちょっと納得いってないんですけど… 笑」

ウイスキーに、パトロンカフェ(テキーラベースのコーヒーリキュール)を加えたレシピ。
「普通のコーヒーリキュールだと甘くなりすぎるので、パトロンを使いました。
 知人には(アルコール度が)強いのを作ったね、とよく言われます・笑」

ウイスキーとテキーラの混和については「スリーワイズメン」というショートカクテルがあり、
実際飲んでみても違和感は皆無。

一般にカクテルというと華やかなイメージを持ちがちだが、
若くしてこういった「渋い」カクテルを作ってしまうところに大器の片鱗を感じる(^-^)
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隣のお客様に供された、フレッシュとちおとめのカクテルも、この土地ならではの美味しそうな一杯であった。

5杯いただいて¥5821。
お会計は、店を出てエレベーターへと向かう通路に設けられたレジにて。

ホテルバーらしい重厚な雰囲気を持ちつつ、若手バーテンダーさんの発想は実に伸びやか。
「カクテルの街・宇都宮」を、大いに堪能させていただいた。

  • 雷様(Oさんオリジナル)。ブルーキュラソー&ジンで青い稲妻を表現、香りのアクセントに山椒を振った意欲作
  • マザーズハンド(Oさんオリジナル)。アマレットとシナモンをミルクで包み込む。ウイスキーとグレープフルーツピールの隠し味
  • フェアリーツリー(Oさんオリジナル)。ウイスキーにパトロンカフェを加え、バーの止まり木を表現

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4位

最北端 (稚内市その他 / 食堂、ラーメン、海鮮丼)

1回

  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 2.7
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2016/08訪問 2016/08/10

旅人の夢、「日本最北の食堂」に到達! 宗谷岬で食べるラーメンは感慨深い味、丁寧な接客も好印象。

[北海道稚内市]
2016/8/1(月)
日本の最北端・宗谷岬にある食堂。

宗谷岬の最北記念碑の向かい側、海鮮丼の「てっぺん市場」と並んで建っている。
どちらかといえば… てっぺん市場の方が、わずかに北にあるような気がしないでもない。

丘の上には「間宮堂」という評判の良い食堂があり、どこに入るかは微妙であるが…
ここは初志貫徹、店名の格好良さにも惹かれ、最北端に入ることを決意した。

カウンター席はなく、3人掛けテーブル×3卓、8人掛け×1卓、小上がり4人席×5卓。
全席禁煙。BGMなし!

朝7時頃からの営業。
グループの行楽客もいれば、バイク乗り・マラソンランナーなどお一人様もいる。客層も老若男女さまざまだ。

店員のおじちゃんの接客は丁寧で、とても好感がもてる。
お冷やはセルフと書かれているが、余裕のあるときなら店員さんが出してくれる。
厨房ではおばちゃん2人が朗らかに料理を作っている。

メニューを紹介すると…
〔ラーメン〕ほたてラーメン、もずくラーメン、塩バター、みそ、しょうゆ
〔そば〕  天ぷらそば、かけそば
〔ご飯もの〕ウニ丼、カレー、カツカレー

注文後、たった2~3分での超速提供!
特にバスでの訪問など、時間が気になる場合には嬉しい店といえるだろう。

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■もずくラーメン(¥1200)
もずく入りの醤油ラーメン。
全部もずくという訳ではなく、ちゃんと麺も入っているのでご安心あれ(^-^)
まあ、ちょっと観光地価格という感じはあるが… 旅先では財布の紐がゆるみがち(笑)

麺を持ち上げると、一緒にもずくが絡んでくる。
もずくはたっぷり入っており、いかにも身体に良さそうだ!

スープは醤油強めだが、まろやかでなかなか旨い。
表面に油の層があり、これがまろやかさの秘訣のようだ。
動物性の脂というより、もっとさらりとした油に見える。

麺は中太で縮れがあり、コシ強め。つまり、茹で時間が短いと思われる。
そこにもずくならではの、コリコリ・ボリボリといった楽しい食感が加わる。
また適度なとろとろ感があるのも、もずくらしいところ。
ほかの具としては、なると・メンマ・刻みねぎが入る。

肉は全く入っておらず、ラーメンといえどヘルシー志向な一杯。
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最北端の岬、最北端の店で食べたもずくラーメン。
遠くサハリンを望む景色とともに、私の心に深く刻まれる一食となった。

[おまけ] よい子調べ
日本最北端の店 北海道宗谷岬「最北端」
日本最東端の店 北海道納沙布岬「鈴木食堂
日本最南端の店 沖縄県波照間島「kukuru cafe
日本最西端の店 沖縄県与那国島「リストランテ・テツ」 ※昼はモイストロールカフェ として営業

  • もずくラーメン(¥1200)。一瞬、麺の代わりがもずくなのか?と思うほどだが、麺も下に隠れてます
  • 麺を持ち上げると、一緒にもずくが絡んでくる。コリコリとした食感が楽しい
  • のれんを見る限り、ラーメンの麺は旭川から仕入れているようです

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5位

八輪 (黒崎駅前、黒崎、西黒崎 / 焼肉、ホルモン、韓国料理)

1回

  • 夜の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 -

2016/12訪問 2016/12/23

眠らない街・北九州黒崎。炭火に炙られ、キラキラと脂滴る上カルビが… 深夜の食欲を急加速させる!

[福岡県北九州市]
2016/12/10(土)
黒崎にある焼肉店。
深夜3時まで営業、安くて確かな品質の「和牛上カルビ」が人気。

JR黒崎駅前から大通り(ふれあい通り)を進み、熊手三丁目交差点を左折してすぐ右手。
だいどころ通りと名付けられた、夜も賑やかな飲食街の一角。
駅から徒歩6分、月曜定休。

中華料理フルコースの宴会が終わり、別の店で餃子を食べてから、
まだまだ食べ足りない、飲み足りないと訪問。
「八輪」という店名は、七輪の一歩先を行くという意味だろうか?

カウンター7席、4人掛け小上がり×2卓。
卓上には七輪(中は成形炭)がスタンバイ。全席喫煙アリ。
小上がりは排気ダクトが完備されており、排煙面に問題は感じなかった。
カウンターは少し煙たいらしい(笑)

店内には、陽気な沖縄音楽が流れる。
マスターの趣味であろうが、そういえば泡盛が置いてあり、メニューには「ミミガー」がある。

すでに深夜1時をまわっているが、店内はぎっしり満席!
若い人々が多く、実に活気がある。
二次会・三次会で焼肉を選択してしまう、北九州人の胃袋には恐れ入る(笑)

メニューの一部を紹介すると…
〔焼肉〕上カルビ、上ロース、上タン、ハラミ、和牛ホルモン、ミノ、シマ腸、センマイ、ハツ、レバー
    豚なんこつ、豚トロ、地鶏モモ肉、鶏セセリ、きのこバター、チーズはんぺん、厚揚げ、焼き野菜
〔一品〕桜ユッケ(馬肉)、ハツ刺、センマイ刺、ミミガー
    ピリ辛サラダ、白菜キムチ、チャンジャ、ホウレン草サラダ、大根酢の物、焼きおにぎり

看板メニューの和牛「上カルビ」は、1名あたり2人前までの限定品。

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■肉専用ジントニック(¥500くらいかな?)
ビーフィーター(BEEFEATER)ドライジンを使った、ジントニック。
男らしく大ジョッキで登場!

確かに「BEEFEATER」=牛肉を食べる者というブランド名なので、
これ以上、焼肉にふさわしいジンも無いだろう。
(本来はロンドン塔を守る近衛兵のことで、単純に肉を食べる人という意味ではない)

ポイントは、表面にブラックペッパーが振り掛けられていること。
このワイルドさが加わることで、ジントニックと焼肉との距離が一気に縮まる。
ジン自体、さまざまなボタニカル(植物)の香りがブレンドされたものだから、
ブラックペッパーが加わっても違和感は無い。

バーで飲むジントニックは、トニックの苦みを効かせたものが多いが、
こちらは豪快に飲む仕様ゆえ、少し苦みを控えめにしてあるような気がした。
甘さがなく、ドライでさっぱりした味わい。
猛牛のごとく、豪快に飲み干したい一杯だ。

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■上カルビ(1人前¥421)
A4ランクの和牛がこの値段! 見るからにいい色をしている。
網に乗せると、ジュワ~と食欲をそそる音が立ち上る。
1枚、また1枚。滴る脂、もうもうと立ち上る煙!
(あまりに煙がすごい場合は、店員さんに氷を所望し、それで消火しよう)

キラキラと輝く肉、決して硬くしてはならない。ほど良い具合でキャッチ♪
タレと山椒塩。二通りの楽しみ方があるのは嬉しい。

最初は山椒塩かな。
アツアツの脂と塩が溶け合い、柔らかいところをハフハフ、得も言われぬ幸福感…
いまが午前1時だろうと、2時だろうと関係ない(笑)

次にタレ。こちらは甘めの味付けで、カルビのこってり感を一層堪能できる。
これくらいこってりしている方が「肉専用ジントニック」の相方としては丁度いいかも。
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これだけ楽しんで、たった¥1000ちょっと! 恐縮です…

もっと様々な肉を楽しみたいところだが、今回はハシゴ酒のため、これにて終了とする。
そう言っている間にも、新しいお客さんが扉を開けては、満員だと言って断られている。
さあ、次なるBEEFEATERのために、席を譲ろう。

深夜まで止まらない、眠らない街・北九州黒崎。
そのパワーの源は、意外と焼肉だったりするかもしれない。

  • 上カルビ(3人前¥1263)。A4ランクの和牛がこの値段!
  • 網に乗せると、ジュワ~と食欲をそそる音が立ち上る
  • 肉専用ジントニック。ビーフィーター(BEEFEATER)ロンドンドライジンを使用

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6位

甘味茶屋 ぶどうの木 (片原町(高松)、高松築港、瓦町 / 甘味処、カフェ、郷土料理)

1回

  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2016/11訪問 2016/11/30

香川にしかない郷土料理「あんもち雑煮」! 塩の効いた白味噌つゆと、粒あんが絶妙のバランス♪

[香川県高松市]
2016/11/12(土)
中心街・ライオン通り(百間町)にある甘味処。
香川の郷土料理「あんもち雑煮」目当てで訪れた。

場所はライオン通り商店街の北端付近、三越に近い側。
ことでん片原町駅から徒歩4分。JR高松駅から徒歩15分弱。

カウンター4席、8人掛けテーブル×2卓。
11:30~14:30は全席禁煙。BGMはジャズ。
店員さんは女性お二人。
生花が飾られ、郷土玩具などが置かれる。

メニューの一部を紹介すると…
〔ランチ〕ぶどうの木弁当、きのこと野菜のカレー、讃岐のあんもち雑煮
〔パフェ〕抹茶プリンパフェ、白玉パフェ、コーヒーゼリーパフェ、カスタードプリンパフェ
     和風ヨーグルトパフェ、抹茶オーレパフェ etc.
〔甘味〕 抹茶&あべ川もちセット、クリーム白玉ぜんざい、ヨーグルトぜんざい etc.

パフェを中心とした甘味屋さんだが、ランチにも使える店のようだ。

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■讃岐のあんもち雑煮(¥670)
白味噌ベースの汁に、粒あん入りの丸餅が入る雑煮。
香川県の郷土料理である。

愛知で生まれ育った私には、味噌ベースの雑煮、丸餅そのものが初めてである。
(名古屋風は醤油ベースに角餅、ほかには青菜と鰹節しか入らない)

醤油ベースのつゆに、甘い餅が入るパターンとしては、岩手県久慈の「まめぶ汁」が挙げられるが、
こちらは白味噌ベースという点で、全国でここにしかないユニークな味。

外見は、まるでじゃがいものポタージュのよう。
味噌ベースだけにとろりとして、旨味たっぷりの味わい。
ベースには確かに、鰹出汁の香りを感じる。

中を探ると、大きい丸餅が一個。どっしりとした存在感!
びょ~ん、粘りしっかり、よく伸びる餅である (^-^)
内側には粒あん、これがとろりとした白味噌と、絶妙な甘辛バランスを醸し出している。

餅のほかには、大根と人参だけ。そういう意味ではシンプルな雑煮ともいえる。
青海苔をパラリと振って、風味をプラスしてある。

食べ進んでいくと、比較的しっかりとした塩辛さが感じられてくる。
これはある意味、東北にも通じる感覚。

箸休めとして、醤油豆が添えられる。
皮ごと煎ったそら豆を、甘辛いタレに漬け込んで作る讃岐名物。
硬めに炊きあげてあるから、そら豆の風味が生きている。
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かつて讃岐の名産であった、砂糖・塩・木綿。
それらは幕府への租税あるいは献上品であり、
特に砂糖については、庶民が自ら口にできるものではなかった。

「正月くらいは砂糖を食べたい」
そういった心理から、あんもち雑煮が生まれたとされる。
(徳島県鳴門市では、同じ理由から赤飯に胡麻塩ではなく、砂糖を掛けて味わうという)

一般庶民のささやかな願いが、ひとつのお椀に込められている。
讃岐国の歴史にも、想いを馳せながら味わう一膳であった。

  • 中には粒あん。とろりとした白味噌つゆと、絶妙な甘辛バランスを醸し出す
  • びょ~ん、粘りしっかり、よく伸びる餅である
  • 口直しとして、香川の郷土料理・醤油豆が添えられる。甘辛味のそら豆です

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7位

ベーカリーショパン 三ノ輪本店 (運動公園前、小池、東田坂上 / パン、カフェ、ピザ)

2回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2018/04訪問 2018/04/23

これぞ、日本最高峰のちくわパン! 第2弾のちくわッサンは、明太子ソースにもこだわりアリ。

[愛知県豊橋市][来訪回数:2回]
2018/4/21(土)更新
JR豊橋駅の南東(三ノ輪町)にあるベーカリー。
ちくわパンを語る上では、外せない店。

場所は… 豊橋駅前の大通を、そのままずーっと道なりに進んだところにある。
アピタの横を通り、隣接するゴルフ練習場が目印になる。
豊橋駅から車で10分(3km)。火曜定休。
徒歩圏に電車の駅は無いが、豊鉄バス・本興寺停留所が最寄りとなる。

こちらのお店は相当な人気で、ひっきりなしに車が出入りする。
駐車場の出入りには気をつけて!

店員さんは「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」等の声掛けが徹底しており、
前回訪問時より、溌溂とした印象を受けた。

店内にはイートインスペースがあり、その場で食べていくことも可能。
今回はテイクアウトし、浜松のフラワーガーデンで藤棚を眺めながらいただいた(^-^)

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■ヤマサ磯ちくわ(¥170)
豊橋名産ヤマサのちくわを、パン生地で包んで焼いた一品。
私は全国でちくわパンを食べ歩いているが、今のところ、最も好印象なのがコレである。

ちくわパンというと、通常は穴の中にツナマヨなどを詰めることが多いが、こちらの商品には何も詰められていない。
その代わり、ちくわの下に「塩昆布」が敷かれている。これが最大のポイント!
塩昆布で味付けが明瞭になり、塩味が付くだけでなく旨味がぐっとプラスされる。

また、ちくわの上には青海苔入りの天かすが振られ、商品名通り磯の風味を添えるとともに、
カリカリと軽い食感を付与している。

ちくわに詰め物をしていない分、ちくわそのものの味が試されるが、
そこは本場のブランドちくわを使っているから問題なし!
ちくわの強い旨味と弾力をそのまま感じられる、素晴らしい出来のちくわパンである。

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■ヤマサちくわッサン(¥190)
大好評「ヤマサのちくわシリーズ」第2弾!
今回のテーマ(?)は、デニッシュ生地とちくわの邂逅。
ちくわの中は、明太マヨネーズ。しかも、博多 "ふくや" の明太子を使うこだわりようである。

そもそも、淡白な中に旨味の詰まったちくわと、デニッシュの油脂分(バター)は
相互補完的で、とても相性が良い。
ふくやの明太子は焼かれてもピリッとした辛さを示し、全体を引き締める。

西洋の食文化と東洋の食文化が1:1で、互いに違和感なく交わったデニッシュ。
この美味しさには、きっと海の向こうのヨーロッパ人も舌を巻くに違いない(^-^)

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■ブラックサンダーコッペ(¥200)
真っ黒なコッペパンにホイップクリームと、お馴染み「ブラックサンダー」を一本そのまま挟んである(^-^)

ブラックサンダーの製造元・有楽製菓の本社は東京都小平市であるが、豊橋市内に大規模工場を有している。
そのつながりで、ベーカリーショパンとのご当地コラボが実現。
温まるとクリームが溶けてしまうので、夏に向けては要注意(^-^;)

食べてみると、ブラックサンダーのサクサク感が際立っている。
チョコレート&生クリームという組合せ自体に驚きはないが、
この食感が加わることで「また食べたくなる」一品に仕上がっている。
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なかなか気軽に行ける場所ではないが、豊橋ならではのプレミアムなちくわパンは、
改めてレベルの高さを見せてくれた。
この調子で、ヤマサのちくわ第3弾の開発にも期待したい(^-^)
[愛知県豊橋市]
2016/8/11(祝)
三ノ輪町のベーカリー。
「ちくわパン」目当てで訪れた。

場所は… JR豊橋駅の正面、市電通り(県道143号)を真っ直ぐ道なりに進む。
アピタ向山店を右手に見て進み、小川を越えたところの右手にある。
豊橋駅から車で10分(3km)。火曜定休。

私は心から「ちくわパン」を愛しており、全国のちくパを食べ尽くしたいと考えている。
愛知県内で、ちくパを売っていそうなパン屋を検索したところ、こちらのお店がヒットした。

豊橋といえば、老舗「ヤマサのちくわ」で知られる、ちくわの町。
その町のちくパが、美味しくない訳がない!
名古屋から90km弱、高速道路を使って 1時間半のドライブになるが、迷うことなく訪問を決意(^-^)

15台ほどは入りそうな、十分広い駐車場を備えるが、それがほぼ満車状態。
地元の皆さんに愛されている様子が伺える。
(ちなみに 2016年9月には、豊橋西店がオープンするそうだ)

入って左側がパン売場、右側がイートインスペース。
BGMはショパンの調べ… という訳ではないようだ(^-^;)

パンの種類は豊富。日にもよるが、80~90種類ほどあるそうだ。
お店のオススメは「もちもちショパン」「ふわふわチョコ棒」「匠のカレーパン」。
普段なら、何にしようか迷うところだが、今日に限ってそれはない。
私が求める、ちくわパンはあるのか? 期待に胸の鼓動が高まる。

…あった!!
棚の上段に 3本並べられた「磯ちくわ」。
これを口にするために、はるばるレンタカーを借りて名古屋からやって来たのだ。
思わず頬が緩み、ニヤニヤ顔でちくパをトレイに乗せる。

イートインスペースは、カウンター数席と、2人掛けテーブル×4卓程度。
決して広くはないが、清潔に保たれており、入れ替わり立ち替わり来店するお客さんでほぼ満席。

特筆すべきは、ホットコーヒーや冷たいお茶の無料サービスがあること。
(私はそれを知らず、お茶のペットボトルを買ってしまったが…)
地元の皆さんに愛されるのも頷ける、素晴らしいサービス精神だ。

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■ヤマサ・磯ちくわ(¥183)
豊橋名産「ヤマサのちくわ」とのコラボ商品。
一般的なちくわパンと比べ、4つの特徴があると考える。

1点目、使っているちくわのブランド名を明らかにしている点が珍しい。
日本広しといえども、おそらくここだけであろう。

2点目、形状。
典型的なちくわパンは「ロールパンの中央をちくわが貫通する」形が多いが、
こちらは柔らかいパン生地で、ちくわをふんわりと包み込んでいる。
ちくわは丸のまま一本使われており、その上に青海苔と天かす(?)が振られている。

3点目、ちくわの中に何も詰められていないこと。
一般にはツナマヨ、ほかにはチーズなどが入るが、そういった詰め物は一切不要、
高品質なちくわの味そのものを楽しんでほしい、というお店の自信が感じられる。

食べてみると、これが本当に美味しい。
ちくわの甘みと旨味、持ち味の弾力性が存分に感じられ、そこへ青海苔の香り、天かすのコクが加わる。

4点目、特に驚かされた点は、ちくわの下に「塩昆布」が敷かれていること!
昆布の塩気が、味わいのバランスを盤石にし、ちくわと別方向から旨味をプラスする。

数店舗のちくパを食べ歩いてきたが、塩昆布とちくわ、この組合せは最強と言っていい。
マヨネーズなど味の強い調味料に頼らず、ちくわの魅力を最大限に引き出す。
無駄なく、完全に計算された組合せ… これには脱帽です(^-^)
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さすがはちくわ国の首都(?)、豊橋のちくパは一味も二味も違う!
こんなに美味しいちくパを作ってくれている、ショパンさんに感謝。

いつの日か「全国ちくわパンサミット」を開催し、
全国の皆さんに、こんなに美味しい食べ物があることを知っていただきたい、と思う今日この頃である。

  • ヤマサ磯ちくわ(¥170)。天気の良い日は、外で食べるともっと美味しい!
  • デニッシュ生地とちくわの邂逅、素材の良さが引き立て合う一品
  • ブラックサンダーコッペ(¥200)。1本丸ごと入ったサンダーの、さくさく感がたまりません♪

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8位

五郎 古町店 (白山、新潟、上所 / 居酒屋、海鮮、郷土料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2016/03訪問 2016/03/25

新潟の旨い酒に、旨い肴が揃う店! のどぐろ塩焼き、南蛮海老、必殺の五郎めし… 人気にも納得です。

[新潟市]
2016/3/18(金)
繁華街・古町の居酒屋。
海鮮料理と日本酒の品揃えが豊富。

新潟の夜… まずは何といっても、美味しい日本酒と美味しい肴に出会いたい。
地元女子から事前に仕入れた、オススメ情報をもとに訪問。

場所は、古町通(ふるまちどおり)8番町。
古町バス停から徒歩4~5分、JR新潟駅から徒歩30分(2km強)。

目立たないビル1Fの通路奥、隠れ家的な立地であるが、
歩道に看板が出ているので、特に迷うことはなかった。

新潟駅に近い万代店もある。また日本酒に特化した系列店「十郎」も展開する。
食べログの評価では、3軒とも新潟居酒屋Top5に入る人気店。
早い時間は、予約必須といえる。

深夜1時までの営業なので、私のような夜型人間にはぴったりである。
この日は予約なしで22時過ぎに伺ったところ、カウンターの隙間に滑り込むことが出来た。

店内はかなり暗めの、雰囲気のある照明。
慣れるとこれは落ち着く(写真を撮るには不向きだが…)。

客席は、L字掘りごたつカウンター10席、6人掛け掘りごたつ×3卓。
全席喫煙アリ、BGMはジャズ。

店内装飾として漁網が掛けられており、魚介が得意な店だと静かにアピールする。
一人でもグループでも楽しめる空間だ。

居酒屋というよりバーのような、良い意味で距離の近い接客もポイント高い。
最初からジンソーダを注文し、バー的な使い方をしているお客さんもいらっしゃる。

気になるメニューを、一部紹介すると…
〔魚〕佐渡メバル刺、フナベタ刺、ハタハタ一夜干し、柳カレイ一夜干、活タコ漬け炙り串
   ホンビノス貝酒蒸し、山北アワビ肝バター炒め、山北岩モズク酢、新メカブ汁
〔他〕うどみそ、くじら味噌漬け、朝日豚ベーコンステーキ、スモークポテト
   あさつき天ぷら、五泉の里芋コロッケ、五郎酒の酒粕とマスカルポーネのアイス

日本酒は、もちろん新潟産を中心に揃っており、十分満足できる品揃え。
グレフルと日本酒のカクテル「雪見酒」も気になるところ。

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■村上「〆張鶴」"純" (¥832)
するりと入るクセのない味。
純米のコクがありつつ、べったりした甘さがなく、後味すっきり(キレが良い)。

言い換えれば、新潟らしい淡麗辛口の流れを汲みながらも、
ただ辛いだけの(旨味がない)酒ではなく、コクが感じられる。
「品がある美味しさ」という宣伝文句も頷ける。

お通しは、長芋わさび・青菜お浸し・イワシ梅煮の三点盛り。
イワシの下にはセリが敷かれており、この香りがまた良し。

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■南魚沼「鶴齢」純米吟醸(¥832)
最高級コシヒカリで知られる日本一の米どころ、南魚沼発の日本酒。
先ほどの「〆張鶴」より米の風味が強い。より日本酒らしい風味が前面に出る。

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■南蛮エビ刺(6匹¥907)
刺し盛りをオススメされたが、今日は南蛮海老を集中的に攻めたい気分。
醤油は付けずに、天然の甘さを味わう。頭殻の海老味噌を味わいつつ…

ワサビがツンと効くのは、基本的なことながら大事なポイント。
付け合わせのわかめも、しっかりした食感で好印象。

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■佐渡ナマコ酢(¥605)
ファーストインプレッションは硬いのだけど、さくっと抵抗なく歯が通る快さ。
酢は強すぎず、旨味がとても強い。

今までに食べたナマコの中で、一二を争う美味しさ。
値段も高くないし、これは素晴らしい(^-^)

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■栃尾の油揚げ(ハーフ¥702)
特産・栃尾の油揚げ。新潟に来たら、これも外せない!
「ちょっと大きいのでハーフにしましょうか? 納豆入っているけど大丈夫ですか?」とアドバイスあり。
親切で好感が持てる。

素焼き・ねぎ味噌・納豆入りの3種が味わえるので、よりお買い得に感じられる!
一番気に入ったのは、やはり納豆入り。
納豆のとろん感と、油揚げのサクサク食感、豆腐の淡白な味わい。
これは日本酒に合うね~(^-^)

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■のど黒塩焼(1匹¥2916)
言わずと知れた、北陸を代表する高級魚(アカムツの別名)。
高いけど、やっぱり注文してしまう(^-^;) 年間を通して味わえる。

その日のサイズによって値段が異なる。一人なので、一番小さいのでお願いした。
カリッと香ばしく、身離れもよく食べやすい。
脂と塩のコンビネーション。シンプルながら贅沢な美味しさ!

特に背側は、白身のトロと言われるにふさわしいとろとろ感。
骨だけになるまで、食べ尽くしたい一品だ。

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■五郎めし(味噌汁付¥626)
出汁で下味を付けたごはんに、バター・鰹節・筋子・明太子・鮭・梅わさび・納豆・手作り塩辛・たくあん・卵黄が乗る。
新潟版・スーパーご馳走TKG!

運ばれてきたら、まずは豪快にかき混ぜて。
幾重にも重なる旨味のオーケストラ。
改めて材料を見れば、いずれも深い旨味成分を持つものばかり。確信犯的な美味しさだ。

特に手作り塩辛の複雑な旨味は特筆すべきもの。
塩味も効いて、まさに酔っぱらいの求める味!

魚介の出汁をしっかり効かせ、南蛮海老の甘みが抽出された味噌汁(潮汁?)も、旨み深く絶品。
これは間違いなく、新潟で食べるべき一品!
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お会計 ¥4660、のどぐろが入っているのに、思いのほか安い。
なんだか会計が間違っているのでは…と伺ったが、これで良いとのこと。
とにかく、文句なしに満腹!

日本酒売りの店なので、飲み手のコンディションを考えて、
和らぎ水(チェイサー)が最初から付けば、さらに文句なしである。

落ち着いて呑めて、新潟名物も美味しい良店。
新潟居酒屋トップクラスに君臨するのも、納得の内容であった。

  • 南蛮エビ刺(¥907)。新潟では、甘海老のことをこう呼ぶ
  • のど黒塩焼(1匹¥2916)。北陸を代表する高級魚、今夜は贅沢に!
  • 五郎めし(¥626)。鰹節・筋子・明太子・鮭・納豆・塩辛を混ぜて食す、文句なしに美味!

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9位

あら浜 亘理店 (亘理 / 日本料理、海鮮)

1回

  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2016/10訪問 2016/10/29

5年の歳月を経て、ふるさと亘理に戻った「あら浜」。1時間20分の行列に耐えて頂く、至福のはらこめし♪

[宮城県亘理町]
2016/10/23(日)
荒浜にある和食店。
宮城を代表する秋の味「はらこめし」目当てで訪れた。

場所は、常磐道・鳥の海スマートICから海側へ進み、荒浜中学校の手前へ。
鳥の海SICから車で5分(2km)、JR亘理駅からタクシーで12分(5km)。

今回は仙台でレンタカーを借りて、片道1時間弱のドライブを楽しんだ。
仙台と福島県境のほぼ中間、阿武隈川の河口に位置する亘理町(わたりちょう)。
春にはいちご栽培が盛んで、秋になれば鮭といくらの炊き込みご飯「はらこめし」が食卓を賑わせる豊かな土地柄。

鳥の海からわずか700mに位置する「あら浜 本店」。
津波で全壊、やむなく仮店舗を仙台市中心街に移し、営業を再開。
震災から5年を経た 2016年8月10日、ついに故郷・亘理に本店を再建。
以前と全く同じ場所に、ようやく里帰りを果たしたのである。

津波に耐え、唯一破壊されず残った店の看板は、再び本来の役目を果たすようになった。
なお仙台本町店は一時的にお休みとなっているが(食べログでは掲載保留になってしまったが…)
落ち着き次第、2店舗体制で営業継続となるようだ。

日曜の12:30、到着すると20組待ちの大入り満員(´▽`)
いまが旬のはらこめし、かつ5年ぶりの故郷凱旋、この人気ぶりにも納得できる。
15台くらい停められるゆったりした駐車場は当然満車、その隣の第3駐車場は辛うじて空きがあった。

名前を書き、車内にて食べログをやりつつ待機。
12:20から 1時間20分待ちでご案内。
ちなみにランチ営業は14時までで、そこから中休みに入る。

カウンター8卓、4人掛けテーブル×8卓程度、ほかに個室あり。
全席禁煙。BGMはクラシックピアノ。

店員さんのTシャツには、大きく潔く「感謝」の二文字。
ものすごく忙しそうだが、その接客には丁寧さが感じられる。
出来立てホヤホヤの建物は美しく、お手洗いも最新型で清潔そのもの。
バリアフリーにも対応している。

ランチメニューは…
〔四季飯〕はらこ飯(9~11月)、かき飯(冬)、ほっき飯(12~4月)、しゃこ飯(5~6月)、あなご飯(7~8月)
〔セット〕三昧小丼(はらこ飯・天丼・うどん)、はらこ飯&天ぷらセット、はらこ飯&刺身セット、はらこ飯&握りセット
〔定食〕 あら浜御膳(煮魚 or 焼魚)、刺身定食、天ぷら定食、お任せ握り
〔海鮮丼〕漁師丼、仙台漬け丼、三色丼、いくら丼、鉄火三昧丼、なめろう丼
〔天丼〕 浜っ子天丼、びっくり海老天丼

はらこ飯は、一人前とハーフがある。
また、ご飯大盛りだけでなく、はらこ(いくら)の大盛も可能。
店頭にはお土産のはらこ飯が並んでおり、行列を待てない場合は、これを買って帰るという手もありそうだ。

ちなみに、はらこ飯だけでなく、漁師丼の盛り付けも見事なもの(´▽`)
これも一度は食べてみたい。
箸は柿色の漆が塗られたもので、その美しさが目を引く。

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■はらこ飯(一人前¥1620)
鮭といくら(腹子)の炊き込みご飯「はらこめし」。
宮城の秋を代表する郷土料理である。
サラダ・あら汁・小鉢(きのこと菜のお浸し)・漬物付き。

一般的な鮭ごはんと異なるところは、鮭の煮汁を使って米を炊くことである。
この調理法により、脂の乗った鮭の風味が余すところなく引き出される。

ごはんの上で宝石のようにきらめくいくら。
このプチプチ感、天然のほのかな塩気がたまらない。
褐色に炊かれたご飯には香りがある。
調味料に頼りすぎず、あくまでもあっさり味。出汁を味わう料理といえる。

サラダはにんにくを効かせたドレッシング、
漬物は沢庵と柴漬、いずれもカリカリと食感が良く、吟味されている。

あら汁にも、鮭のアラが使われている。驚いたのは、白子が入っていたこと!
旬の鮭を、骨まで余すところなく楽しめる一膳に仕上がっている。
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1時間20分の行列もなんのその、
秋の宮城を一膳に凝縮したような、納得の旨さであった。

阿武隈川の堤防強化、かさ上げ道路の建設など、震災からの復興は確実に進んでいる印象だ。
穏やかな鳥の海、涼やかな秋風。
なんだかほっとする風景が、ここにある。

  • 亘理の宝石、はらこ(いくら)がたっぷり! 全国で一般的な醤油漬とは違い、出汁に通してある
  • 「鮭の出汁で炊かれた」ご飯… これこそがはらこめしの特徴
  • はらこ飯(一人前¥1620)。柿色の漆箸も美しい

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10位

ピエール・ガニェール (六本木一丁目、溜池山王、虎ノ門ヒルズ / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2016/07訪問 2016/07/18

和の食材を、意外な形で組み合わせる現代フランス料理。スペシャリテがないことが、この店のスペシャリテ!

[東京都港区]
2016/7/16(土)
赤坂一丁目・ANAインターコンチネンタルホテル東京にあるモダンフレンチ。
2010年に青山から移転オープン、2016年版ミシュランでは、2つ星☆☆の評価を受けている。

メトロ溜池山王駅(13番出口)から徒歩1分、六本木一丁目駅(3番出口)から徒歩2分。
首都高C1の脇にそびえる、37階建のシティホテル。
館内には、寿司・鉄板焼・日本料理・中華料理・ステーキハウス・メインバー・シャンパンバー・ラウンジ・カフェなど、飲食施設が充実。
2階には、ピエールガニェール直営のベーカリーもあるので、帰り道に是非立ち寄りたい。

ロビーから 36階へ上がる。
紫色が印象的なエントランスには、オーナー・ガニェール氏の写真が掛かる。

奥行きのある店舗。
ゆるやかなカーブに沿って展望が開け、多くの客席は窓に沿う形で設けられている。
2人掛け席の一部は、窓を向いた横並びのソファー席となっており、デートや記念日の利用にはぴったりな感じ。
カーテン仕切りの個室が 3エリアあり、少人数での食事会にも使える。

ドレスコードは「スマートカジュアル」とのこと。
男性の場合、冬ならスーツかジャケットスタイルが無難だと思う。
夏はノータイ可、ジャケットはあっても無くても大丈夫な感じだ。

東京タワーと赤坂・六本木の街並みを見下ろす、都会の眺望。
遠くには、お台場のフジテレビを望める。
席によって見える方角が異なるが、冬の晴れた日には富士山まで見通せるという。

椅子は柔らかな藤色、カーテンは淡い紫、壁に飾られる絵画は、鮮やかなすみれ色。
伝統色「江戸紫」がテーマカラーとされているのである。
服装にこだわるなら、紫色のアクセントを取り入れるのが粋かもしれない(^-^)
カーペットにあしらわれた花火の柄も、日本・東京という地域感を取り入れようとする姿勢と感じる。

ピエール・ガニェール氏(現在66歳)は、フランスの前衛料理人として知られており、Wikipediaにページがあるほどである。
現在はフランス国内のミシュラン三つ星レストランをはじめ、世界の主要都市12ヶ所でレストランを経営する。

現代フランス料理というのは、バターや生クリーム・加熱調理を多用せず、
軽やかな調理で素材の味わいを引き出そうとする、ある意味では和食寄りのスタンスといえる。
さらに氏は、分子ガストロノミーという科学的なアプローチを研究中だという。

筆者は正直なところ、フランス料理の経験が少なく、その魅力を正確に伝えられる自信はないが、
いろいろと特徴的な点があったので、それをお伝えできればと思う。

・日本の食材、意外性ある食材の組合せ
・ランチと思えない圧倒的な品数(特にデザート)
 特徴的な構成「カクテル・ド・ポッシュ」
・ソースの使い方 ~料理は絵ではない~
・あえて、スペシャリテを持たない

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■エスキスコース(税・サービス料込¥13800)
エスキスとはフランス語で「素描」のこと。
日本では建築方面でよく多用される言葉で、本格的な設計図を描く前の、ざっくりとしたイメージ図面を指す。

◎はじめに
 席には、予め巻物のようにしたナフキンが準備されている。
 ナフキンを乗せた皿は、料理が出る前に下げられる。
 なお、普通におしぼりが出され、フィンガーボウル(指を洗う皿)など難しいものは出てこないので安心だ。

◎アミューズ
 フォーク等を使わず、手で摘んで食べる前菜(フィンガーフード)。一皿に4種類が乗る。

・いくらのカナッペ
 ブリヌイという煎餅のようなものに、キラキラのいくらが乗る。
 日本の食材を使った、目にも楽しい一品。

・アボカドと梅干しのソース、ローズマリーのグリッシーニで
 梅干しの酸味がはっきりと効いており、面白い。
 フレンチの敷居をいい意味で下げてくれて、リラックスできる一品。

・コンテチーズ、海苔と味噌とともに
 ハードタイプのチーズ。
 濃厚なコクと香りを、海苔と味噌が受け止めると… なんだか親しみのある味わいに(^-^)

・パルメザンチーズのサブレ
 一口サイズの焼きチーズ。見た目には、こちらが梅干しのよう!

◎三種のパン
 フランス産エシレバター(ピエールガニェールのロゴ付き)とともに。
 パンはあとから追加でいただける、つまりメインの肉料理を食べ終わるまで、食べ放題。

・天然酵母のカンパーニュ
 外はカリッと、中はもっちりとした食事パン。天然りんご酵母を使用、天然の酸味。

・ドライフルーツとナッツのパン
 いちじくのプチプチ感、マンゴーの甘酸っぱさ。
 表面には黒胡麻・白胡麻がぎっしり、中にも練り込まれており風味豊か。

・ミルクパン
 栗まんじゅうのような形がかわいい。
 エシレバターが練り込まれているそうだが、さっくり軽い食感と味わい。

◎カクテル・ド・ポッシュ
 5つの小皿(前菜)が一度に並ぶ。その様子は、和食の配膳に通じる部分も感じる。
 ピエール・ガニェールを象徴するスタイルと言われ、スープ・魚料理・肉料理からデザートまで含まれている。
 ポーションは小さいが、この前菜で一つのコースのような世界を展開する。

・白桃のソルベ
 食べてみると、不思議とほの苦い。グレープフルーツ? 何だろう?
 その正体は、カンパリ(薬草リキュール)でピンク色にマリネされたフェンネル。この発想は素晴らしい♪

・ココナッツミルクの香る赤ビーツの冷たいスープ
 細切りにされたビーツの上に、目の前でスープが注がれる。目にも鮮やかなマゼンタカラー!
 ココナッツミルクの香りに加え、日本の漬物にも似た、複雑な酸味が感じられる。
 パッションフルーツの種が、カチッと硬質な食感を添える。

・帆立貝のタルタル、胡瓜とキウイのジュレ
 刺身のツマとしてよく登場する、紫蘇の穂で可憐に彩られる。
 キウイの甘酸っぱさが夏らしく、ひとひねり効いている。

・香草の香るいわしのコンフィー、茄子のローストのテリーヌ
 マッシュルームの薄片とともに。
 いわしと茄子、いずれも和を感じさせる食材なのに、確かにフレンチ!

・黒毛和牛もも肉と剣先イカ、ミモレットの香るセロリのサラダ
 皿全体にミモレットチーズが散らされており、テーブルに登場すると同時に香りが立ち昇る。
 パプリカのピクルスが乗っており、この酸味が爽やか。
 イカの食感、セロリの香り、トマトソースと肉の旨味、ミモレットのコクが交錯する。

◎魚料理 ~グリエし、タイムバターでポッシェしたスズキ~
 赤や黄色のパプリカが刻みこまれたソースに、鮮やかな枝豆をトッピング。
 当然トマトソースだろうと思いきや、さにあらず。なんと「スイカ」を加えたソースである。
 淡泊なスズキの白身に、上品なスイカの甘さが重なる。
 味わいを下支えするのは、ベースとなるトマトソースと、玉ねぎ・オリーブ・パプリカなどの刻み野菜。

 添えられた小鉢は「ブイヤベースのロワイヤル」。海ぶどうがたった一房飾られている。
 中には黒いもの、これは「黒ニンニクを絡めたタコ」。鼻から抜ける海の香り。
 軟体の食感と、甘くフルーティーなニンニク、海ぶどうのぷちぷち感が一口に。

◎肉料理 ~セージの香る鹿児島産アベル豚~
 運ばれてくるときの、食欲をそそる香り。
 立体的な盛り付けは見事の一言。陰影だけで白樺を表現したプレートもお洒落!

 まずはそのまま、鹿児島産の黒豚を味わってみよう。
 肉質がしっかりしており、はちけるように元気な食感。これだけでも十分美味しい。
 トッピングされたスティック状のものは、細長いチーズを軽く揚げたもの。
 歯応えの良いジロール茸(しめじに似たキノコ)もたっぷり。さらにチョリソーソーセージ・アプリコットのアクセント。

 お楽しみはさらに続く。
 小鉢には、バジルで和えられた海老と、何やら細長いものが入っている。
 聞けば「豚の耳」つまりミミガーだという。フレンチではかなり珍しい食材だ。
 バジル和えというのも初めてだし、豚肉と豚耳を同時に出すという試みも面白い。

 さらに、とうもろこしを2~3粒乗せたスプーンが付いてくる。
 まろやかなポタージュ風味で、味の調整にコーヒーミルクが使われているという。
 シェフのおすすめは、豚肉・メインのソース・バジルのトッピング・ポタージュソースを「全部一緒に」口に入れること。
 食べ手の想像力を試す、味覚のちゃんぷるー状態。これは面白いね(^-^)

◎デザート
 なんと3品も登場!

・ローズジュレとクリームチーズのパフェ
 カクテルグラスで供される。薔薇の香りがふわり! 華やかで、最高に絵になるデザート。

・いちごのブラマンジェ
 バニラビーンズ、キルシュの香りを添えて。ムースは薄いホワイトチョコレートでコーティングされている。
 殻をパリパリと割りながら、甘酸っぱいいちごソースを絡めて。

・オペラ
 コーヒー&チョコレート風味のケーキ。コーヒーの苦味を効かせた、大人風味。
 本品に限っては、季節に関わらず常に供される定番デザートだという。
 シェフいわく「シメはチョコでしょ」とのこと(^-^)

◎コーヒー
 紅茶かコーヒーかを選べる(ホットのみ)。
 デザートを2品ほど食べ進んだところで登場。
 コーヒーは軽く泡立てたドリップで、特にオペラケーキとの相性良し。

◎プチフール&ハーブティー
 食後のコーヒーをゆったり楽しんでいると、なんともう一品スイーツが出てくるではないか!
 天然石のプレートに、5種類のちっちゃな甘味が乗る。手で摘まんで食べられる。
 見た目の可憐さには、男子である私も感嘆させられる。
 一つひとつは小さいが、それぞれに個性を主張する。

・抹茶のフィナンシェ
 抹茶のほろ苦さを強めに効かせた一品。

・パッションフルーツのメレンゲ
 可愛い黄色。こちらは酸味が強調されている。

・アプリコットのコンフィ
 ぷるんと可愛い杏さん。やさしい甘酸っぱさ。

・ココナッツ&レモン
 ココナッツの甘い香りが立ち上る。サラサラと溶けゆくシュガー。

・ライス入りチョコレート
 日本の食材を大切にする、ピエール・ガニェールらしいスイーツ。

・アイスハーブティー
 丸い氷を浮かべた、柑橘系のハーブティー。繊維質も入って、透明感のある香り。
 最後はさっぱり食後感を楽しんでほしい、というシェフのこだわり。
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終盤のデザート連発は圧巻で、これだけでもデザートコースとして成立しそうなほど。
パフェ隊長を務めたこともある私は楽しめたが、甘いものが苦手な男性は、持て余すかもしれない。

夜の予算は、税・サ込で¥20400~、それにドリンクを加えた価格となる。

皿はすべて白で統一されており、食材やソースの色がくっきり映えるものであった。
私が最も印象に残ったのは、ソースの使い方。
フレンチというと、まるで絵画のように、皿全体にソースを回し掛けるイメージがある。
だがこの店では、そういったソースの使い方はしない。
「料理は見た目じゃない」シェフの思いは揺るがない。

もう一つ、この店には「スペシャリテが無い」のだそうだ。
つまり、いつ来ても提供される一皿というのはない。
決して立ち止まらず、名声に安住せず、常に新しい料理を創造するのが、この店のシェフの定めだという。

フランス人シェフが、決して上手とはいえない日本語で、一生懸命料理の説明をしてくれる。
そのサービス精神も、ひとつのご馳走だ。

日常の食事では決して味わえない、興味深く価値ある体験をさせて頂いた。

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