よい子さんが投稿したピエール・ガニェール(東京/溜池山王)の口コミ詳細

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閉店ピエール・ガニェール六本木一丁目、溜池山王、虎ノ門ヒルズ/フレンチ

1

  • 昼の点数:3.7

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 3.7
      • |サービス 3.7
      • |雰囲気 3.7
      • |CP 3.7
      • |酒・ドリンク -
1回目

2016/07 訪問

  • 昼の点数:3.7

    • [ 料理・味3.7
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.7
    • | CP3.7
    • | 酒・ドリンク-
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

和の食材を、意外な形で組み合わせる現代フランス料理。スペシャリテがないことが、この店のスペシャリテ!

[東京都港区]
2016/7/16(土)
赤坂一丁目・ANAインターコンチネンタルホテル東京にあるモダンフレンチ。
2010年に青山から移転オープン、2016年版ミシュランでは、2つ星☆☆の評価を受けている。

メトロ溜池山王駅(13番出口)から徒歩1分、六本木一丁目駅(3番出口)から徒歩2分。
首都高C1の脇にそびえる、37階建のシティホテル。
館内には、寿司・鉄板焼・日本料理・中華料理・ステーキハウス・メインバー・シャンパンバー・ラウンジ・カフェなど、飲食施設が充実。
2階には、ピエールガニェール直営のベーカリーもあるので、帰り道に是非立ち寄りたい。

ロビーから 36階へ上がる。
紫色が印象的なエントランスには、オーナー・ガニェール氏の写真が掛かる。

奥行きのある店舗。
ゆるやかなカーブに沿って展望が開け、多くの客席は窓に沿う形で設けられている。
2人掛け席の一部は、窓を向いた横並びのソファー席となっており、デートや記念日の利用にはぴったりな感じ。
カーテン仕切りの個室が 3エリアあり、少人数での食事会にも使える。

ドレスコードは「スマートカジュアル」とのこと。
男性の場合、冬ならスーツかジャケットスタイルが無難だと思う。
夏はノータイ可、ジャケットはあっても無くても大丈夫な感じだ。

東京タワーと赤坂・六本木の街並みを見下ろす、都会の眺望。
遠くには、お台場のフジテレビを望める。
席によって見える方角が異なるが、冬の晴れた日には富士山まで見通せるという。

椅子は柔らかな藤色、カーテンは淡い紫、壁に飾られる絵画は、鮮やかなすみれ色。
伝統色「江戸紫」がテーマカラーとされているのである。
服装にこだわるなら、紫色のアクセントを取り入れるのが粋かもしれない(^-^)
カーペットにあしらわれた花火の柄も、日本・東京という地域感を取り入れようとする姿勢と感じる。

ピエール・ガニェール氏(現在66歳)は、フランスの前衛料理人として知られており、Wikipediaにページがあるほどである。
現在はフランス国内のミシュラン三つ星レストランをはじめ、世界の主要都市12ヶ所でレストランを経営する。

現代フランス料理というのは、バターや生クリーム・加熱調理を多用せず、
軽やかな調理で素材の味わいを引き出そうとする、ある意味では和食寄りのスタンスといえる。
さらに氏は、分子ガストロノミーという科学的なアプローチを研究中だという。

筆者は正直なところ、フランス料理の経験が少なく、その魅力を正確に伝えられる自信はないが、
いろいろと特徴的な点があったので、それをお伝えできればと思う。

・日本の食材、意外性ある食材の組合せ
・ランチと思えない圧倒的な品数(特にデザート)
 特徴的な構成「カクテル・ド・ポッシュ」
・ソースの使い方 ~料理は絵ではない~
・あえて、スペシャリテを持たない

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■エスキスコース(税・サービス料込¥13800)
エスキスとはフランス語で「素描」のこと。
日本では建築方面でよく多用される言葉で、本格的な設計図を描く前の、ざっくりとしたイメージ図面を指す。

◎はじめに
 席には、予め巻物のようにしたナフキンが準備されている。
 ナフキンを乗せた皿は、料理が出る前に下げられる。
 なお、普通におしぼりが出され、フィンガーボウル(指を洗う皿)など難しいものは出てこないので安心だ。

◎アミューズ
 フォーク等を使わず、手で摘んで食べる前菜(フィンガーフード)。一皿に4種類が乗る。

・いくらのカナッペ
 ブリヌイという煎餅のようなものに、キラキラのいくらが乗る。
 日本の食材を使った、目にも楽しい一品。

・アボカドと梅干しのソース、ローズマリーのグリッシーニで
 梅干しの酸味がはっきりと効いており、面白い。
 フレンチの敷居をいい意味で下げてくれて、リラックスできる一品。

・コンテチーズ、海苔と味噌とともに
 ハードタイプのチーズ。
 濃厚なコクと香りを、海苔と味噌が受け止めると… なんだか親しみのある味わいに(^-^)

・パルメザンチーズのサブレ
 一口サイズの焼きチーズ。見た目には、こちらが梅干しのよう!

◎三種のパン
 フランス産エシレバター(ピエールガニェールのロゴ付き)とともに。
 パンはあとから追加でいただける、つまりメインの肉料理を食べ終わるまで、食べ放題。

・天然酵母のカンパーニュ
 外はカリッと、中はもっちりとした食事パン。天然りんご酵母を使用、天然の酸味。

・ドライフルーツとナッツのパン
 いちじくのプチプチ感、マンゴーの甘酸っぱさ。
 表面には黒胡麻・白胡麻がぎっしり、中にも練り込まれており風味豊か。

・ミルクパン
 栗まんじゅうのような形がかわいい。
 エシレバターが練り込まれているそうだが、さっくり軽い食感と味わい。

◎カクテル・ド・ポッシュ
 5つの小皿(前菜)が一度に並ぶ。その様子は、和食の配膳に通じる部分も感じる。
 ピエール・ガニェールを象徴するスタイルと言われ、スープ・魚料理・肉料理からデザートまで含まれている。
 ポーションは小さいが、この前菜で一つのコースのような世界を展開する。

・白桃のソルベ
 食べてみると、不思議とほの苦い。グレープフルーツ? 何だろう?
 その正体は、カンパリ(薬草リキュール)でピンク色にマリネされたフェンネル。この発想は素晴らしい♪

・ココナッツミルクの香る赤ビーツの冷たいスープ
 細切りにされたビーツの上に、目の前でスープが注がれる。目にも鮮やかなマゼンタカラー!
 ココナッツミルクの香りに加え、日本の漬物にも似た、複雑な酸味が感じられる。
 パッションフルーツの種が、カチッと硬質な食感を添える。

・帆立貝のタルタル、胡瓜とキウイのジュレ
 刺身のツマとしてよく登場する、紫蘇の穂で可憐に彩られる。
 キウイの甘酸っぱさが夏らしく、ひとひねり効いている。

・香草の香るいわしのコンフィー、茄子のローストのテリーヌ
 マッシュルームの薄片とともに。
 いわしと茄子、いずれも和を感じさせる食材なのに、確かにフレンチ!

・黒毛和牛もも肉と剣先イカ、ミモレットの香るセロリのサラダ
 皿全体にミモレットチーズが散らされており、テーブルに登場すると同時に香りが立ち昇る。
 パプリカのピクルスが乗っており、この酸味が爽やか。
 イカの食感、セロリの香り、トマトソースと肉の旨味、ミモレットのコクが交錯する。

◎魚料理 ~グリエし、タイムバターでポッシェしたスズキ~
 赤や黄色のパプリカが刻みこまれたソースに、鮮やかな枝豆をトッピング。
 当然トマトソースだろうと思いきや、さにあらず。なんと「スイカ」を加えたソースである。
 淡泊なスズキの白身に、上品なスイカの甘さが重なる。
 味わいを下支えするのは、ベースとなるトマトソースと、玉ねぎ・オリーブ・パプリカなどの刻み野菜。

 添えられた小鉢は「ブイヤベースのロワイヤル」。海ぶどうがたった一房飾られている。
 中には黒いもの、これは「黒ニンニクを絡めたタコ」。鼻から抜ける海の香り。
 軟体の食感と、甘くフルーティーなニンニク、海ぶどうのぷちぷち感が一口に。

◎肉料理 ~セージの香る鹿児島産アベル豚~
 運ばれてくるときの、食欲をそそる香り。
 立体的な盛り付けは見事の一言。陰影だけで白樺を表現したプレートもお洒落!

 まずはそのまま、鹿児島産の黒豚を味わってみよう。
 肉質がしっかりしており、はちけるように元気な食感。これだけでも十分美味しい。
 トッピングされたスティック状のものは、細長いチーズを軽く揚げたもの。
 歯応えの良いジロール茸(しめじに似たキノコ)もたっぷり。さらにチョリソーソーセージ・アプリコットのアクセント。

 お楽しみはさらに続く。
 小鉢には、バジルで和えられた海老と、何やら細長いものが入っている。
 聞けば「豚の耳」つまりミミガーだという。フレンチではかなり珍しい食材だ。
 バジル和えというのも初めてだし、豚肉と豚耳を同時に出すという試みも面白い。

 さらに、とうもろこしを2~3粒乗せたスプーンが付いてくる。
 まろやかなポタージュ風味で、味の調整にコーヒーミルクが使われているという。
 シェフのおすすめは、豚肉・メインのソース・バジルのトッピング・ポタージュソースを「全部一緒に」口に入れること。
 食べ手の想像力を試す、味覚のちゃんぷるー状態。これは面白いね(^-^)

◎デザート
 なんと3品も登場!

・ローズジュレとクリームチーズのパフェ
 カクテルグラスで供される。薔薇の香りがふわり! 華やかで、最高に絵になるデザート。

・いちごのブラマンジェ
 バニラビーンズ、キルシュの香りを添えて。ムースは薄いホワイトチョコレートでコーティングされている。
 殻をパリパリと割りながら、甘酸っぱいいちごソースを絡めて。

・オペラ
 コーヒー&チョコレート風味のケーキ。コーヒーの苦味を効かせた、大人風味。
 本品に限っては、季節に関わらず常に供される定番デザートだという。
 シェフいわく「シメはチョコでしょ」とのこと(^-^)

◎コーヒー
 紅茶かコーヒーかを選べる(ホットのみ)。
 デザートを2品ほど食べ進んだところで登場。
 コーヒーは軽く泡立てたドリップで、特にオペラケーキとの相性良し。

◎プチフール&ハーブティー
 食後のコーヒーをゆったり楽しんでいると、なんともう一品スイーツが出てくるではないか!
 天然石のプレートに、5種類のちっちゃな甘味が乗る。手で摘まんで食べられる。
 見た目の可憐さには、男子である私も感嘆させられる。
 一つひとつは小さいが、それぞれに個性を主張する。

・抹茶のフィナンシェ
 抹茶のほろ苦さを強めに効かせた一品。

・パッションフルーツのメレンゲ
 可愛い黄色。こちらは酸味が強調されている。

・アプリコットのコンフィ
 ぷるんと可愛い杏さん。やさしい甘酸っぱさ。

・ココナッツ&レモン
 ココナッツの甘い香りが立ち上る。サラサラと溶けゆくシュガー。

・ライス入りチョコレート
 日本の食材を大切にする、ピエール・ガニェールらしいスイーツ。

・アイスハーブティー
 丸い氷を浮かべた、柑橘系のハーブティー。繊維質も入って、透明感のある香り。
 最後はさっぱり食後感を楽しんでほしい、というシェフのこだわり。
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終盤のデザート連発は圧巻で、これだけでもデザートコースとして成立しそうなほど。
パフェ隊長を務めたこともある私は楽しめたが、甘いものが苦手な男性は、持て余すかもしれない。

夜の予算は、税・サ込で¥20400~、それにドリンクを加えた価格となる。

皿はすべて白で統一されており、食材やソースの色がくっきり映えるものであった。
私が最も印象に残ったのは、ソースの使い方。
フレンチというと、まるで絵画のように、皿全体にソースを回し掛けるイメージがある。
だがこの店では、そういったソースの使い方はしない。
「料理は見た目じゃない」シェフの思いは揺るがない。

もう一つ、この店には「スペシャリテが無い」のだそうだ。
つまり、いつ来ても提供される一皿というのはない。
決して立ち止まらず、名声に安住せず、常に新しい料理を創造するのが、この店のシェフの定めだという。

フランス人シェフが、決して上手とはいえない日本語で、一生懸命料理の説明をしてくれる。
そのサービス精神も、ひとつのご馳走だ。

日常の食事では決して味わえない、興味深く価値ある体験をさせて頂いた。

  • 紫色が印象的なエントランス。ガニェール氏の写真が、笑顔で迎えてくれる

  • 壁に飾られる油絵も、鮮やかな紫色。服装にこだわるなら、紫をアクセントに入れてくるとお洒落かも

  • 窓からの景色。東京タワーが近くにそびえ、東京湾の花火大会も眺められそうだ

  • さりげない小物使い。ニンニクみたいなのはオブジェで、別に塩が入っているとかではありません

  • 初期状態のテーブルセッティング。ナフキンが巻物のように準備されています

  • 【アミューズ】最初に供される4種の前菜。どれから食べる?

  • ブリヌイに乗せたいくらのカナッペ、ローズマリー添え。日本の食材を使った、目にも楽しい一品

  • コンテチーズに海苔と味噌を乗せて。右奥は梅干しとアボカドのソース、酸味しっかり!

  • 【パン】天然りんご酵母のカンパーニュ。プレートではなく、ボウルで供されるのが個性的

  • ドライフルーツとナッツのパン。隠れている上面に、黒胡麻&白胡麻がびっしり♪

  • 栗饅頭みたいな可愛い形は、エシレバター入りのミルクパン。さっくり軽いです

  • 卓上に用意されているのは、エシレのバター。ピエールガニェールのロゴ入りです

  • 【カクテル・ド・ポッシュ】5種の前菜。スープ・魚料理・肉料理からデザートまで、小さく完結した世界です

  • 白桃のソルベ。上に乗るピンク色のフェンネルは、なんと「カンパリ」でマリネされている!

  • 白いプレートに、千切りビーツとココナッツのクランチ。そのまま食べるのかと思ったら…

  • 目の前で、大きなポットから注がれるビーツの冷製スープ。とろ~り

  • ココナッツミルクの香る赤ビーツの冷たいスープ。漬物のような複雑な酸味・旨味が広がる

  • 帆立貝のタルタル、胡瓜とキウイのジュレ。刺身のツマでお馴染み「紫蘇の穂」が効果的に使われる

  • いわしのコンフィー、茄子のローストのテリーヌ。和を感じさせる食材なのに、確かにフレンチ

  • 黒毛和牛もも肉と剣先イカ、ミモレットの香るセロリのサラダ。サマートリュフが添えられる

  • 【魚料理】グリエし、タイムバターでポッシェしたスズキ。当然トマトソースだと思いきや、さにあらず

  • トマトをベースに、夏の味・スイカを組み合わせた驚きのソース! オニオン・オリーブ・ブイヨンが風味を支える

  • ブイヤベースのロワイヤル、黒ニンニクを和えたタコ入り、海ぶどう乗せ

  • 【肉料理】セージの香る鹿児島産アベル豚。陰影だけで白樺を表現したプレートもお洒落!

  • 棒状のものは揚げたチーズ。二色のリーフをトッピング、立体的な盛り付けはお見事!

  • プリプリと弾けるような肉質。この白い肉を、二色のソースで味わう

  • 豚のグリルに添えられるのは、バジルで和えられた海老&豚耳(ミミガー)! 意外な食材の取合せ

  • 手前のスプーンは、とうもろこしのポタージュ風味クリーム。これも豚肉グリルの味変ソースとなる

  • 仏フォルジュ・ド・ライヨールのテーブルナイフ。曲線の美しさと鋭さに惚れ惚れ。もちろん切れ味抜群です

  • 【デザート】3品登場! ローズジュレとクリームチーズのパフェ。薔薇の香りが華やか!

  • マンゴーの甘酸っぱさと、まろやかなクリームチーズ風味のホイップ

  • いちごのブラマンジェ。バニラビーンズ、キルシュの香りを添えて。周りはホワイトチョコレート

  • オペラ。毎回出るという定番デザート、シガークッキーにもお店のロゴが描かれる

  • チョコレート&コーヒー風味、思った以上にビターなオトナ味♪

  • 【コーヒー】怒涛のスイーツ攻勢に対応すべく、しっかりした苦味をもつ

  • シュガー入れも可愛らしい。私は無糖派ですが… とりあえず撮影だけ

  • 【プチフール】さらにシメのプチフール&アイスハーブティー

  • 手前から→パッションのメレンゲ、アプリコットのコンフィ、ココナッツ&レモン、抹茶のフィナンシェ、ライスチョコレート

  • ANAインターコンチネンタル東京。ロビーは2Fです

  • 36階を目指しましょう。外壁をよじ登ったら、爽快だろうな

2016/07/18 更新

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