よい子さんが投稿した嗜季(石川/北鉄金沢)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

広い日本を楽しもう! 酒好きよい子の、旅するグルメガイド

メッセージを送る

この口コミは、よい子さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

掲載保留嗜季北鉄金沢、金沢、七ツ屋/日本料理

1

  • 夜の点数:4.0

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 3.5
      • |雰囲気 3.7
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 3.5
1回目

2017/02 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気3.7
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

旬を重ねて、季節を嗜む。美しい器の中で展開される、味×味・香り×香りの掛け算!

[石川県金沢市]
2017/2/24(土)
主計町茶屋街にある割烹「しき」。

場所は、金沢市の中心部を流れる浅野川沿い。
浅野川大橋の南詰・主計町茶屋街(かずえまち-ちゃやがい)の一軒。
JR金沢駅から右回り周遊バスなどで7分、橋場町バス停下車すぐ。

国道から脇道に逸れて "あかり坂" を下ると、
川沿いの小道に沿って木造旅館や、粋な設えの料理屋さんが並ぶ、金沢ならではの情緒豊かなロケーション。
特に夕暮れ、各店に灯りがともり始める頃の風情は格別なものがある。

こちらはランチ営業がお休み中で、夜は懐石料理をコースで提供(予約必須)。
18時に予約を入れ、一人で伺った。

割烹というと構えてしまいがちだが、こちらはカウンター(6席)もあるので一人でも馴染みやすい。
2階席は、浅野川と桜並木を望めるロケーションが人気。
全席禁煙。BGMはジャズ。

黒を基調に、ところどころシルバーをあしらった、モダン&シックな空間。
カウンターはダウンライトで照らされ、まだ見ぬ料理への期待感を高める。
割烹というより、オーセンティックバーを思わせる雰囲気。
目の前には鉄釜があり、料理人が柄杓で湯をすくい出すたびに、もうと湯気があがる。

店主の年頃は私と同じくらいだろうか、30代と思われる若き料理人。
それをお弟子さん1名と、女性店員さん(店主の奥様?)が支える。
火を使う調理は左奥の厨房で行われ、カウンターでは包丁仕事や、最後の仕上げが行われるようだ。

この日、カウンターの客は私を含めて2組のみ。
もう1組は常連さんのようで、店主とフレンドリーに会話しつつ、酒と料理を楽しんでおられた。
いいな、大人になったらこんな行きつけの一軒も持ちたいものだ(´▽`)

コースは¥7800、¥9800、¥11800の3種類から選択(いずれも外税)。
今回は中間、¥9800のコースをお願いした。
アレルギーや苦手な食材があれば、予約時に伝えれば外してもらえる。

--------------------------------------------------
■数馬酒造「竹葉」純米酒(¥1080)
能登町の地酒。石川県産の酒米を使用した地産地消の酒(五百万石95%、山田錦5%)。
竹葉のごとく、ほど良くシャープでキレが良い。

日本酒提供の際、こちらから求めなくても和らぎ水(チェイサー)を出してくださる点は好印象。
最近、日本酒の店ではこのポイントを重視している私である(^-^)

--------------------------------------------------
■宗玄酒造「宗玄」生原酒(¥1080)
奥能登の地酒。火入れをしない生酒なので、広がる香りが段違い!
甘い麹の香り。度数が高めなのも忘れ、次々と口に含んでしまう。

ダイヤモンドのような輝きを放つ酒器も、また素敵。
改めて日本酒の魅力を感じさせてくれる。

--------------------------------------------------
■懐石コース(¥10584)
およそ2品ずつ、こちらの食べるスピード感に合わせて提供してくれる。

◎新玉葱の天ぷらにウニ
 早速フォトジェニックで、思わず頬がゆるんでしまう(^-^)
 春が旬の新玉葱と、冬が旬のウニを同時に口に含む。
 一品目から、今まで体験したことのない食材の組合せ。

 衣はほろりと軽やか、それをサクリと通り抜けて、新玉葱の甘さが滲み出す。
 そこへウニの複雑な味わいが交差、全く異なる二つの甘みが徐々にひとつになり、消えてゆく。
 今起きたのは何だったのか? たった一口ゆえ、後から確かめる術がない味覚の一期一会。
 これが割烹か。面白い!

◎ホワイトアスパラのお浸しに、加能ガニとウズラのポーチドエッグ
 穂紫蘇の紫、カニの紅、アスパラの淡いクリーム色。
 ウズラ卵を割れば、そこにオレンジ色の彩りが加わる。
 九谷焼のパレットに展開される、食べるアート。

 ホワイトアスパラは洋の素材だが、そのお浸しはぐっと和に寄り添う。
 加能ガニは、加賀・能登沖で獲られるズワイガニのブランド名。
 口に入れた直後はあっさり、追ってウズラ黄身のまったり感、
 それから徐々に、出汁の風味とカニの旨味が染み出してくる。

◎真鯛の白味噌仕立て
 椀は輪島塗。蓋の表側には菊、裏側には加賀藩の象徴・梅があしらわれる。
 淡泊な味わいの真鯛を、白味噌のほのかな甘さと柚子の香りが引き立てる。
 冬が旬のかぶらは、噛めばぎゅっと甘みがあふれ出す。
 ほろ苦いタラの芽は、春の香りを野山から運んでくる。

◎白子豆腐
 冬の味覚に一手間加えた、贅沢な椀物。
 白子豆腐は餅のような食感で、しかも甘い!
 思わず、甘い甘いと連呼してしまう。

 汁は非常に薄味だが、出汁の香りがすごい!
 季節先取り、はしりの筍は、鹿児島から取り寄せたもの。
 フルーティーな黄色人参と、鶯菜と呼ばれる華奢な青菜が彩りを添える。

◎ヤナギザワラにいぶりがっこ
 "魚へんに春" 春を告げる魚、サワラ。
 金沢では "ヤナギザワラ" と呼ばれることが多いようだ。
 炭火で香ばしく炙ったサワラは、身の内側がほろっと柔らかく、とろけるような口当たり!
 九条ねぎ、柚子おろしを添えて。

 驚くべきは、「塩味を足す目的で」いぶりがっこを使っている点。
 スモーキーな香りが加わる上、カリカリした食感も楽しい。
 緻密な計算なのか、遊び心なのか。いぶりがっこの存在で、他では味わえないユニークな一品に仕上がっている。

◎梅貝に、生アオサのわさび醤油漬
 旬の終盤、なごりのバイ貝は、真っ白な素肌のように艶めかしい。
 わさび醤油で和えられた生アオサは、コリコリ感が魅力的!
 わさびの鮮烈な香りがありつつ、ツンツン来ることはないので食べやすい。
 さらに白胡麻の香りも重なる。
 どの器にも、香りと香りの足し算、掛け算が潜んでいるのがすごい。

◎のとてまりの天ぷらに生ハム、レンコンと椎茸の軸のチップス
 肉厚の椎茸は地元産で、"のとてまり" と呼ばれるブランドもの。
 直径10cm以上になる特大種で、松茸より高値が付くこともあるとか!
 これだけでも十分な贅沢なのに、さらにイタリア産の生ハムを乗せちゃう。
 先ほどのいぶりがっこと同じく "塩味を足すために付けました" とは店主の弁。
 肉厚椎茸の旨味×生ハムの旨味、天ぷらの油がコクを増幅させる。

 レンコンのチップスに加え、椎茸(のとてまり)の軸もチップスとして添えられ、
 全く異なる食感を提供する。これがポリポリとして、なかなか美味しい。
 香りのパートは、山椒とすだちが担当する。
 これは完成度の高い料理!

◎甘海老の手まり寿司
 焼海苔の上に、寿司飯と甘海老のむき身が "手まり" のように乗る。
 自分で手巻き寿司にしていただくと…
 甘い! 甘い! 先ほどの白子豆腐に続き、連呼してしまう。
 これは "海の砂糖" だろうか? すごい甘さ。ぷりぷりでとろとろ。
 タレには、旨味の詰まった海老味噌を使っているという。

◎ハマグリと牡蠣の吸物
 冬の牡蠣と、春のハマグリが一椀に同居。
 まさに季節の移り変わりを体現した一品だ。
 今年初めていただくハマグリは、ぷりぷりと充実した食感で嬉しくなる。
 大根の花と菜の花は、ふたり揃って春の訪れを告げる。
 あられが食感のワンポイント。

◎能登牛、ふきのとう味噌
 霜降りのコクと、赤身肉の旨味が同時に味わえる部位。
 牛肉の脂をふきのとうの苦味がカバーし、さっぱりといただける一品。
 ふきのとうの葉っぱ部分は天ぷらとして添えられ、旬の味を二通りで感じられる。
 脇を固めるのは、筍、ひろっこ(アサツキ)、松の実。
 少量だからこそ、あとを引く味わい。

◎うるいの酢の物
 春の山菜。浅めの酢でさっぱりと。

◎葉ごぼうと鮭の幽庵焼きごはん
 ここまでは "特上の味を少量ずつ" という趣だったが、最後に来て逆転ホームラン!
 男子には特に嬉しい、大ボリュームのご馳走が待っていた。
 釜ごと登場したごはん。結論から言うと、これが美味しすぎてびっくり!
 今宵の一等賞(^-^)

 ごはんの上にドンと乗っているのは、鮭の幽庵焼き。
 幽庵焼きというのは、柚子・醤油・みりんのタレで漬け焼きにする和食の技法。
 でっかいフィレだが、茶碗によそうときは身をほぐして提供される。

 初めていただく食材、葉ごぼう。大阪八尾から運ばれたものらしい。
 この菜っぱと鮭の相性が抜群で、たまらない美味しさ!
 細かく刻まれたごぼう部分(根っこ)も含まれており、これまた香り高い。
 米は、やや硬めの炊き具合が絶妙!
 柚子皮が香り、いかにも割烹でいただく、非日常のごはんという印象もある。

 おなかの具合に合わせて、茶碗によそって下さる。
「どのくらい召し上がりますか?」「たくさんお願いします!」
「女性ですと、1杯しか食べられない方もいらっしゃいますが、持ち帰りも出来るんですよ」

 私は釜がすっからかんになるまで、ガッツリ3杯いただいた(笑)
 割烹の食事では満腹にならない? この店なら、そんなことないですよ!
 おなかも大満足~♪

◎香の物
 釜飯に添えられた漬物まで、しっかりと心遣いが行き届いている。
 加賀野菜がもつ、五色の彩りを活かしたチョイス。

◎驚きの味噌汁
 見た目には、油揚げとねぎが入った、普通の味噌汁。
 ここへ来て普通の味噌汁か? …そうは問屋が卸さない(笑)

 口に入れた途端「蟹を呑んだのか」と勘違いする。
 ものすごいカニの風味! しかも汁物なので、直接舌に届く。
 実際のところ、本物のカニ以上に強い印象で迫ってくる。

 あまりにも驚いて、店主にお話を伺うと、
「相当な量の甲殻類を焼いて、出汁を取っています」
 洋食でいえば、ビスクのような技法だろうか。
 焼いているから、焼き蟹のような香ばしさが、そのまま汁に溶け込んでいる。
 これだけで白飯が食べられるような、魔法のような味噌汁!

◎お抹茶とデザート
 目の前で抹茶を点てて下さる。このパフォーマンスも風流でイイネ~
 抹茶カスタード、金柑、ビターチョコレート。
 "かんぺい" と呼ばれる、くるみ入りの蒸し羊羹。
--------------------------------------------------

人生初のひとり割烹であったが、
最後の最後まで、大満足のうちに終了。

この界隈、非常に風情がありますねとお話したら、
「ひがし茶屋街とは違う雰囲気を守るため、物販の店を入れない決まりにしているんです」と
教えてくださった。

冬のもの、春のものを巧みに交えた素晴らしいお料理は、"季を嗜む" という店名に
まさに恥じないものだった。
また必ず再訪したい。

  • 数馬酒造「竹葉」純米酒(¥1080)。こちらから求めなくても、和らぎ水(チェイサー)を出してくれる点が好印象

  • 最初に供される三品。まずは揚げたての天ぷら(手前)に箸を伸ばした

  • 新玉葱の天ぷらにウニ。二つの素材が持つ全く異質な「甘さ」が、口の中で統合され消えてゆく

  • ホワイトアスパラのお浸しに、加能ガニとウズラのポーチドエッグ。九谷焼のパレットに展開される、食べるアート

  • 器は輪島塗。蓋の表側には菊、裏側には加賀藩の象徴・梅があしらわれる

  • 真鯛の白味噌仕立て。冬のかぶら、春のタラの芽とともに

  • 白子豆腐。餅のような食感で、しかも甘い! 汁は極めて薄味だが、出汁の香りがすごい!

  • ヤナギザワラにいぶりがっこ。「塩味を足す目的で」いぶりがっこを起用したアイディアが光る

  • 炭火で香ばしく炙ったサワラは、身の内側がほろっと柔らかく、とろけるような口当たり! 九条ねぎと柚子おろしで

  • 梅貝に、生アオサのわさび醤油漬。わさびの鮮やかな香りを残しつつ、ツンツン来ないことに驚かされる

  • 宗玄酒造「宗玄」生原酒(¥1080)。ダイヤモンドのような酒器もお洒落☆

  • のとてまりの天ぷらに生ハム、レンコンと椎茸の軸のチップス。地元の特大椎茸は、松茸に匹敵する高級品

  • 肉厚椎茸の旨味×生ハムの旨味、天ぷらの油がコクを増幅させる

  • 甘海老の手まり寿司。旨味の詰まった「海老味噌」をタレに仕立ててある

  • 甘い! 甘い! この海老は、海の砂糖だろうか

  • うるいの酢の物。浅めの酢でさっぱりと

  • 能登牛、ふきのとう味噌。カラリと揚げたふきのとう天ぷら、松の実を添えて

  • 牛肉の脂を、ふきのとうの苦味がマスク。少量だからこそ、あとを引く味わい

  • 器は九谷焼。ついつい食事に夢中になるが、器も鑑賞に堪えるものばかりだ

  • ハマグリと牡蠣の茶碗蒸し。冬の牡蠣と春のハマグリが同居、まさに季節の移り変わりを体現

  • こんな贅沢な茶碗蒸し、見たことありません

  • 葉ごぼうと鮭の幽庵焼きごはん。おなかの具合に合わせて、茶碗によそって下さる

  • 土鍋炊きの混ぜご飯、お新香、味噌汁。ここに、最高のものが揃ってます

  • 葉ごぼうと鮭の相性が抜群で、たまらない美味しさ! 今宵の一等賞です☆

  • どこにでもある味噌汁に見えるでしょう? 違うんです。詳しくは本文参照(笑)

  • 加賀野菜の漬物。綺麗に五色取り揃え、琵琶の器というのも心憎い

  • いよいよ最後のデザートに突入! 和の趣でシメてくれます

  • 抹茶カスタード・オレンジ・ドライ金柑、影にはビターチョコレート

  • 金沢伝統のくるみ入り蒸し羊羹(かんぺい)もっちり♪

  • 抹茶は、店主自らその場で点ててくださる

  • リバービューの2階席もいいが、一人でも楽しめるカウンターこそ、やはり特等席!

  • 嗜季入口。ひとりで扉を開けるのは、少し勇気が要るけど… 入ったらもう大丈夫

  • 夕暮れの主計町は、実に風情豊か。金沢の良さが、染み込んできます

  • 夜が来たなら、あかり坂をトントン下って…

  • 浅野川沿い、夕闇迫る主計町

  • 主計町料理料亭街。主計町と書いて「かずえまち」と読みます

2020/08/22 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ