よい子さんが投稿したナクレ(宮城/仙台)の口コミ詳細

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移転ナクレあおば通、広瀬通、仙台/フレンチ

1

  • 昼の点数:4.0

    • ¥6,000~¥7,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 3.0
      • |雰囲気 3.5
      • |CP 3.7
      • |酒・ドリンク 3.5
1回目

2018/07 訪問

  • 昼の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス3.0
    • | 雰囲気3.5
    • | CP3.7
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人

玉ねぎをフルーツに進化させる "錬金術"。実験的手法のフレンチは、おのずから和食の風合いに。

[宮城県仙台市]
2018/7/28(土)
JR仙台駅西口(中央2)にある、モダンフレンチ。
"ミシュランガイド宮城2017" 1つ星★獲得店。

場所は… 仙台駅西口を出て、青葉通を真っすぐ西へ。
旧さくら野デパートを通り越し、三井住友信託の角(立ち呑み・大沼酒造の向かい)を右折。
クリスロードへ出る手前、左手にある雑居ビルの4階。
仙台駅から徒歩7分。月曜定休(月祝の場合は火曜休み)。

nacrée とは、フランス語で「真珠の光沢」を指す言葉。
(ちなみに真珠そのものは perle。別の単語が与えられている点に、フランスならではの美意識を感じる)

建築家・隈研吾氏による内装デザイン。
旅館や公共施設、最近では代々木の新国立競技場など、木材を巧みに用いた設計で知られる建築家だ。

12時オープンだが、その前から店内に入ることは可能な様子。
天井から吊るされた半透明なパイプ群が、ゆるやかなカーブを描く。
白と木材のナチュラルカラーで統一された内装は、確かに他にはないセンスを感じる。

客席は 4人掛けテーブルを中心に、非常にゆったりと空間をあけて配されている(全28席)
全席禁煙。BGMはピアノ、次いで陽気な感じのポップス。比較的大きな音量なのが特徴的。
ホールの店員は男性のみ。

ランチメニューは、以下の4通り。
 デジュネ(¥4320)、デジュネ+ワインペアリング(¥6340)
 セゾン(¥7560) 、セゾン+ワインペアリング(¥9860)

デジュネは肉料理が入らないコースとなる。
非常に迷ったが、公式サイトを見ると「魚料理」に只ならぬ情熱を注いでおられるようなので、今回あえて肉なしを選択。

料理は基本的に、食べて美味しければ良いと思うが、
この店を選ぶのであれば、ぜひ公式サイトを一読してから訪れることを勧めたい。

店舗コンセプトとして、食材の火入れに徹底的にこだわっている。
直火を使わず、全ての調理をIH(電磁調理器)でデジタルに行うというのは
非常に前衛的な考え方といえる。

加えて、魚に対しては圧縮空気を用いた瞬間神経締め、また切り身を水洗いせずに済む手法を開発。
「食材にできるだけ包丁を入れず、旨味を閉じ込める」信条から、皮目などに隠し包丁を入れない工夫もなされている。

結果として、食材そのものの旨味に鋭くフォーカスした、和食にも似た料理になりそうだが…
実食ではそのあたりに注目し、味わってゆくことにしたい。

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■デジュネ(¥4320)
料理4品+デザートの構成。

テーブルには、シャガールのショープレート(飾り皿)。
黄色い肌の女と、蒼い肌の男。
思わず、私自身が青い顔をしているのではないかと、心配になる(笑)

通常、コースが始まる前にドリンクを聞かれるものであるが、
この店では問いかけなし(ペアリングコースが別に設定されていることが理由かも)

◎前菜 ~三陸産さくらかきと、海老の揚げ春巻

 牡蠣は石ころに乗って、春巻はローストしたナッツの殻に乗って登場。
 なかなか楽しい盛り付けである(^-^)

 三陸産さくらかき(牡蠣)は、58度の低温で火を通してあるという。
 見た目には生に見えるが、レア感を残しつつ、芯まで火が通っている。
「58度」という温度に、その秘訣があるのだろう。

 味付けはみりんと白醤油、そこにイタリアンパセリの香りを加えて。
 素材の味わいが主役、和食的な印象を残す。

 海老の揚げ春巻は、バジルとライムが爽やかに香る一品。
 パリパリッとクリスピーな衣、プリプリっと肉感豊かな海老。
 噛み締めると、本物の車海老の香りとともに、甘い八角の香りが立ち上る。
 中華点心のお手本のような一品。1個だけ供されるが、これは6個くらい一気にいきたい♪

 なんだか、お酒を飲んでいないからか、味覚が鋭敏になっているかもしれない(笑)
 これが、食前にドリンクを聞かないシェフの狙いか?


◎さっと炙った帆立 茄子のソース

 驚くほど立派な帆立貝柱!
"さっと炙った" という表現がぴったり。もっちりとして、刺身のようなレア具合。
 三陸らしい海の恵みに、シャッターを切る手が止まらない(^-^)

 茄子のソースというのは珍しいが、季節感ある素材の選択である。
 とろっとして、とても薄味で、後味にほのかに茄子の香りが捉えられる程度。
 ところどころに添えられたウニは、贅沢に貝柱を彩るソースの役目を担う。
 さらに三角形の蕎麦の実が配され、見た目と食感に変化を加える。

 帆立という繊細な食味の素材を活かすため、ソースも添え物も薄味で統一されている。
 素材の選択(ウニ・茄子・蕎麦の実)、漆黒に金箔・銀箔をあしらった食器のセレクトを含め、
 和食的感覚が強い一皿。
 前菜からの流れで、シェフの目指す方向性が強烈に伝わってくる。


◎白ワイン

 あまりの内容に、お酒なしでは耐えられなくなり、ホールの男性を呼び寄せる(笑)
 ワインのメニューはなく、ソムリエのお勧めに一任するスタイル。
 ちなみにノンアルコール系ドリンクの提供もなし。

 細いステム、うすはり(極薄ガラス)、大口径のグラスで提供。
 白ワインとしては珍しいが、はっきりとした意図を感じる。
 甘みは抑制的、はっきりと、果実の酸が快い。

 提供時、ワインのエチケット(ラベル)は見せられず、銘柄に関する説明は一切ない。
 一杯を飲み終える頃、答え合わせのようにボトルが提示される。
 ジャン・マルク・ブロカールの「シャブリ・サント・クレール」。
 事前情報を与えず、ブラインドテイスティングのように楽しませる。これまた実験的手法。


◎パン

 天然酵母のパン。レーズンのような香りで、酸味が強い。
 これに、塩味強め・香り豊かなバターを合わせる。
 酸味×塩味×香りの相乗効果。酸味強めの白ワインとよく合う。


◎4時間半加熱した玉ねぎ

 この店のスペシャリテ。素朴な木皿で運ばれてくる。
 櫛切りにされた玉ねぎの、重なった部分を一枚一枚はがした上で、
 各葉の裏表に岩塩とポルチーニのソースを塗り、また玉ねぎの形に組み立てる。
 温度をきっちりと管理しながら、4時間半じっくりと加熱する。
 非常に手の込んだ一品だ。

 テーブルに運ばれてきた瞬間から、ポルチーニの香りに圧倒される。
 加えて、タイムであろうか、ハーブの爽やかな香り。
 口に入れてみると、フルーツ、あえて言えばメロンのような香りがするではないか!

 玉ねぎをフルーツに進化させる錬金術。
 4時間半の加熱を経てなお、ザクッザクッと元気な歯触り。
 中まで、しっかりと旨味が染みており、玉ねぎの甘さが見事に引き出されている。
 玉ねぎでここまで唸らされる、スペシャリテの風格に満ちた一品。


◎鯛のロースト チョリソー添え

 皮目を上に向けて登場。
「シェフが目指すところは、刺身と焼魚の中間なんです」と説明が入る。
 こんがり焼けた皮を見れば焼魚、桜色の断面を見れば刺身、あるいは "タタキ" が連想される。

 身の表面には薄い脂の層ができ、プリズムのように光を跳ね返す。
 実は、店名のナクレ(真珠の光沢)は、この様子を表現したものであるという。
 火入れに並々ならぬ情熱を傾ける、シェフならではの命名といえよう。

 一口目の印象は、塩加減がナチュラルで、非常に塩梅が良いこと。
 大洋を泳ぐ魚を、海水と共に、そのまま食べているような印象。
 前述した "瞬間神経締め" のメリットが確かに感じられる。
 皮目はカリッとさくっと、軽やかに焼き上げられている。

 その下には、ひらりと薄くスライスされたチョリソーが添えられる。
 魚と肉を一皿の中で組み合わせるというのも、非常にユニークな手法。
「魚料理の塩加減を補うのと、動物性の旨味をプラスするため」と説明が入る。
 計算され尽くした一皿。


◎プチマドレーヌ、エスプレッソのムース

 小さな貝殻型が可愛らしいマドレーヌと、真っ白な白い泡。
 泡の方は、スプーンを入れると、中から褐色のエスプレッソが現れる仕掛け。


◎フルーツ盛合せ

 西瓜・プラム・メロン・ブルーベリーの盛合せ。少量ずつ、季節の味を楽しめる。
 先ほどのマドレーヌもそうだが、和の陶器に乗って登場。
 料理全体に和のテイストが流れるが、和洋折衷の器のセレクトにもそれが現れる。


◎出来立ての抹茶アイス、エスプレッソ(or 紅茶・ハーブティー)

 最後は華やかに、シャガールのカラフルな絵皿で大団円を迎える。
 抹茶のほろ苦さを効かせたアイスクリームは、溶けないうちに舌溶けを楽しみたい。

 センスの良いカップで、ぐっとエスプレッソを飲み干して、食後の余韻に浸る。
 同行者のハーブティーは、南部鉄器の鉄瓶で供されていた。
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お会計¥13500(2名、ワイン込)。
驚きのある内容でこの価格、抜群のコストパフォーマンスと言える。

店主は間違いなく職人気質なのだろう。
男性スタッフのみで淡々とした(やや独特な)接客、すいぶんと和食に振れた料理構成など、
一般的なフレンチを好む層にとっては、好みの分かれそうな一軒。

それだけに、好奇心旺盛な食べ手にとっては、
予想外の展開を見せてくれる、驚きに満ちた一軒として記憶されるに違いない。

  • 最初の飾り皿はシャガール。抽象的な絵、男性は青い顔だが不健康そうには見えない(笑)

  • 前菜。58度で低温調理した三陸産桜牡蠣と、海老の春巻

  • みりんと白醤油で和食的に仕上げた一品。火は通っているが、生牡蠣の官能的な食感をそのままに

  • カリカリの皮! バジルとライム、本物の海老の香り、甘い八角の香りが一口で交錯する

  • 春巻を支えていたのは、ローストされたくるみとマカダミアナッツ。こちら、食べられません(^-^)

  • さっと炙った帆立、ウニ、茄子のソース、蕎麦米。金箔・銀箔をあしらった器もお洒落

  • 堂々とした帆立、ほぼレアでの提供。ソースの味も強くないので、「フレンチ風味の帆立刺」として頂ける

  • ウニが調味料のように使われる。とろりとした茄子ソースに蕎麦米、まさに和食の風合い2

  • 白ワインは広口のグラスで登場。うすはり、繊細なステム。果実の酸

  • ワインの銘柄は、飲み終わった後に答え合わせのごとく提示される。ジャン・マルク・ブロカールの「シャブリ・サント・クレール」

  • 天然酵母のパン。レーズンのような香りで、酸味が強い。白ワインに合う

  • 香り豊かなバター。そのまま食べても美味しそう(笑)

  • 4時間半加熱した玉ねぎ。素朴な木の器で運ばれてくる、この店のスペシャリテ!

  • ポルチーニとタイムの香り、まるで味の染みた「フルーツ」のよう!

  • 加熱する際は一枚一枚はがしてポルチーニソースを塗り込み、調理後に改めて玉ねぎの形に再構成するのだとか。手が込んでいます!

  • 低温で長時間加熱することで、玉ねぎらしい歯ざわりを残しつつ、玉ねぎの甘さを引き出し、ソースの味を染み込ませることが可能になる

  • 鯛のロースト、チョリソー添え。魚と肉を一皿の中で組み合わせるのは、非常にユニークな手法

  • 「刺身と焼魚の中間を目指した」という。皮目はサクッと軽やか、身は桜色のレア具合

  • シェフ自ら発案した締め方で、極限ともいえる鮮度を確保。流水で血抜きをする必要がないから、魚の旨味がそのまま乗ってきます

  • プチマドレーヌと、謎の白い泡(笑)ミルクムース

  • スプーンを入れると、中からエスプレッソが! ほろ苦さとミルキーさが、口の中で交じり合う

  • 西瓜・プラム・メロン・ブルーベリーの盛合せ。こちらは和風の陶器に乗って

  • 出来立ての抹茶アイスクリーム。最後は華やかに、シャガールの絵皿で大団円を迎える

  • シメのエスプレッソ。土星の輪っかのような、凝ったカップで登場

  • パン皿は気泡入りの手造りガラス。スマートな形状のバターナイフもお洒落!

  • フレンチではあるが、和の食器をアクセントとして取り入れる。こちらはお手拭き台(2人分)

  • 入口近くに置かれていた、南部鉄器の急須。どんなシチュエーションで使われるのだろう

  • カーテンレールからぶら下がる、透明なパイプ群。背景の色彩は最小限に留められ、モダンな印象

  • 整然と、またリズム感を持って並ぶ白いパイプ群。テーブル・椅子はナチュラルにまとめられている

  • 青葉通からクリスロードの方へ向かう途中。左手の白いビルに「ナクレ」が入る

  • 4階が「ナクレ」、地下1階が系列店の「カラク」。関係ないですが、1階にはクラフトビールの人気店

2018/09/17 更新

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