6回
2025/02 訪問
銀座 青空:すべてにおいてレベルが違う、異なる世界観
銀座の「鮨 青空」を訪問。5回目。
すべてにおいて洗練され尽くした体験で、ミシュラン三つ星にふさわしい内容でした。
店内はシンプルでありながら高級感漂う空間。一歩足を踏み入れた瞬間から、静謐で凛とした空気が流れ、特別な食事体験への期待が高まります。
店主の青空さんは、名店「すきやばし次郎」で修業され、2006年に自身の店「鮨 青空」をオープンしました。
伝統的な技術を守りつつ、丁寧かつ的確なおもてなしで、比較的年齢層の高い常連のお客様から支持されています。いきった若いお客さんがいないのがとても心地よい。
ネタの仕込みや管理に対するこだわりは群を抜いており、全国各地から取り寄せられる厳選された素材は、その品質の高さを物語っています。
今回もつまみからにぎりへのおまかせでお願いしました。
つまみは素材の持つ旨味を最大限に引き出す繊細な技術が際立っていました。あわびの火入れ感、とらふぐの繊細な歯ごたえと、深い味わいには感動しました。
握りは、シャリの温度とネタの質が完璧に調和しており、どれもまさに芸術品でした。
青空さんのシャリは、近年流行している赤酢ではなく、強めの白酢が用いられています。
はじめて青空にお邪魔したときに、シャリに塩っけを加えてるのかなと思うくらい衝撃的なしゃりでしたが、この日はクリアに白酢だけだとよくわかりました。
これが鮪の強い旨味にも負けない絶妙なバランスを生み出しています。赤身もくさみや血っぽい感じが一切なく、丁寧な下準備をしているのがよく分かります。
赤身やトロなどの鮪はもちろんのこと、特に穴子の握りは圧巻でした。口にした瞬間、シャリの上で穴子がふわりと解けて消えてしまうような食感。穴子だけでも訪れる価値があると言えるほどです。
あわびのこりこり感や穴子もふわふわ感、フレンチかと思うような火入れの技術にも圧倒されました。
この日のおまかせ
つまみ
⚪︎せりのおひたし
⚪︎まだこ
⚪︎トラフグ湯引き
⚪︎白甘鯛、とらふくの皮
⚪︎たい
⚪︎あわび
⚪︎さわら、わらやき
にぎり
⚪︎すみいか
⚪︎さより昆布締め
⚪︎かすぼだい
⚪︎赤身
⚪︎中トロ
⚪︎大トロ
⚪︎こはだ
⚪︎えび
⚪︎小柱
⚪︎うに
⚪︎はまぐり
追加
⚪︎しめさば
⚪︎穴子
⚪︎たまご
一流の技術と空間、そして旬の味覚が織り成す至福の時間を過ごすことができました。
次の予約が楽しみでなりません。
2025/02/23 更新
2024/10 訪問
銀座 青空:マグロに白酢シャリ
銀座8丁目の青空を再訪。
今回も職人技と食材の質の高さが際立つ特別なひとときとなりました。
店主は「すきやばし次郎」などでの修行を経て、33歳で独立、自らの店を銀座で構えました。今やミシュラン三つ星の正統派の江戸前鮨を提供する職人として広く知られています。
今回もつまみからはじめ、にぎりまですべておまかせ。
つまみ
北海道毛ガニと九条ネギのジュレ
七種のきのこ
淡路の鱧
さんま
松川カレイとかます
黒アワビ
カツオ、エシャレット
宍道湖うなぎ
にぎり
スミイカ
キス
赤身
中トロ(背びれ分かれ目)
大トロ
こはだ
小柱
車海老
いくら
ぶり
うに
ねぎとろ巻き
あなご(追加)
特に印象に残ったのは、赤身、中トロ、大トロとマグロのにぎり三連発です。
マグロの部位ごとに異なる味わいがよく理解できました。特に中トロはお腹部分と背中部分の中間だそうで脂がしっかり乗っているのにすじがまったくありません。
固めに炊かれた白酢のシャリとの絶妙なバランスには感動しました。
店主はその時季に最も良い産地から仕入れた最高級の食材を仕入れるために、毎朝市場に足を運んで選定しているとのことで、一切の妥協を許さない姿勢が反映されていました。
2024/12/25 更新
2024/02 訪問
圧倒的な技術力:強めの白酢と絶妙な塩加減による最高級のネタとのハーモニーを堪能
銀座にある寿司店『青空』を訪問。
ミシュラン三つ星でありながら、なぜか食べログはブロンズです。
大将の青空(はるたか)さんの最高級の食材の選球眼と卓越した技術で、極上の寿司がいただけます。
店内は落ち着いた和の雰囲気が漂い、カウンター席からは大将の技を間近で見ることができます。握りの一つ一つがまさに芸術品で、こだわりが詰まっています。
毎回、印象的なのは、白酢を使ったシャリとネタの絶妙なバランスです。
多くの高級寿司店が採用する赤酢のシャリとは一線を画し、『青空』のシャリは、強めの白酢と塩加減が特徴です。
このシャリがネタの風味をさらに引き立て、口の中で一体となることで、至福の味わいを実現しています。
また、サービスも三つ星にふさわしく、凛とした雰囲気ながら、丁寧で細やかな対応が心地よいです。
こだわりを感じるうつわ、洗練された空間、そして見事な味わいが融合し、非日常の特別な時間を過ごすことができました。
2024/08/30 更新
2023/11 訪問
圧倒的な技術力
旧友から誘っていただき青空(はるたか)さんを初訪問です。
店内は凛とした雰囲気です。カウンターは年齢層高めの男性オンリー。いい感じです。
つまみから。シャブリを合わせました。
どれも素材の味が活きています。計算して余計なことをしていないように感じました。
にぎりは、ネタのクオリティの高さはもちろん、しゃりに衝撃。固めのごはんに白酢。塩気を感じます。まぐろには赤酢と思っていましたが、見事に覆されました。口の中に入れて、しゃりの心地よい固さを感じたあと、塩気とネタが口の中に広がります。同時にシャリがほぐれ消えていきます。
はるたかさんがすべて握られていましたが、すばらしい技術をお持ちだと思いました。
次回も楽しみにしています。
2023/12/30 更新
銀座「青空(はるたか)」を再訪。
つまみから握りまでお願いしました。
最初に供されたのは枝豆。ほんのわずかな量でありながら、季節の訪れを告げるような清々しさがある。
続くアラの椀は、豊かな出汁の中にしっかりとした骨格があり、穏やかながらも記憶に残る味だった。真蛸はやわらかく、ふっくらと炊かれており、素材の持ち味をそのまま伝えてくれる。金目鯛の炙りは皮目の香ばしさが心地よく、脂の甘みとともに舌の上でとろけていく。
まこがれいは上品な弾力を持ちながら、儚げな甘みを残して消えていくような一貫。とり貝は花のように丁寧に開かれ、ひと噛みごとに貝の甘みと香りが広がる。鮑はしっとりと柔らかく蒸され、大根おろしとともに供されて涼やかな余韻が残った。かつおは藁の香りが控えめに立ち、酸味と燻香のバランスが印象的。焼き物ののどぐろは、ふくよかな脂に香ばしさが加わり、山椒塩が引き締め役として静かに寄り添っていた。
握りに移ると、あおりいかのなめらかな舌触りと自然な甘みに包丁の細やかな技が映え、きすでは初夏らしい淡さと香りが印象に残る。赤身から中トロ、大トロと続く展開では、素材の質と温度、握りの柔らかさがすべて整っており、舌の上で段階的に味が重なっていく。
かすごはほどよく酢で締められ、淡い香りと酸味が心地よく広がる。赤貝は芳香と歯応えが見事に調和し、くるまえびはみずみずしい身の甘みが際立ち、余計な演出を加えずに素材そのものの力で語ってくる。あじは皮目の香ばしさと身の滑らかさが好対照で、包丁の入り方からも丁寧な仕事が伝わってくる。貝の握りはしっとりと煮含められた甘さが際立ち、たれの艶やかな照りも美しかった。
なかでも圧倒的な存在感を放っていたのが赤うにだった。口に含んだ瞬間、とろけるように広がる甘みと濃厚さに、他の食材との明確な差を感じた。ひと口で、その日の記憶を決定づけるような力があった。
あなごもまた、忘れ難い一貫。舌の上でふわっと崩れ、とろとろに溶けていく。あまりの柔らかさに思わず大将に尋ねると、「あなごに脂がしっかり載っていないと、煮詰めるとカチカチになってしまうんです」と教えてくれた。火入れの加減だけでなく、素材の見極めと処理の巧さがあってこその味。脂の具合と煮加減のバランスが、まさに絶妙だった。
最後は鉄火巻き。香りのよい海苔に包まれた赤身の芯が、きりりと締まった印象を残してコースを終える。
一貫一貫が淡々と、しかし確かなリズムで供され、すべてが自然と記憶に染み込んでいくような時間だった。季節がひとつ動くたびに、またこのカウンターに戻りたくなる理由がある。青空はやはり、特別な寿司屋だとあらためて思わせてくれる。