無駄を削ぎ落した美しさ : 温石

シンプルさを追求していくとこういう形になる・・・そんなイメージが浮かぶ懐石料理店である。

店内には入口から入ることなく奥の庭を通って裏口から店内に入り、帰りは玄関から帰るのである。
私は無作法な人間なのでお茶の世界のことはよく分からないが、どうやらそういうところの作法から来ているらしい。

大将と言うか茶会でいう「亭主」のご挨拶の後、料理がスタートとなった。

焼茄子、イチジクずんだ和え

鯵のきゅうり巻　梅肉で

蒸したヒラアジ
冬瓜　出汁かけ

椀物
焼津の太刀魚
しいたけ

お造り
クエとアオリイカ

あさはた蓮根の揚げ団子
白味噌仕立て

ドウマンガニと殻で炊いたおじや

朝採れのブロッコリーの炭火焼き

金目鯛の炭火焼き
塩、実山椒ソースで

蕪の丸焼き

煮えばなご飯

蛤の卵とじ
磐田市の海老芋
壬生菜と

桜えびのご飯

白甘鯛の西京焼き


ワラサの漬けご飯

ラ・フランス
シャインマスカット

落花生餡のどら焼き
抹茶

大将の料理に対する真剣な眼差しを見ているとこちらの背筋も自然にピン！となってくる。
そんな心地良い緊張感を感じながら、食べ手としても真剣勝負で料理を味わうことができたのである。

素材を重ねることは最小限でほとんどの料理が素材の良さを素のまま楽しむことができるように工夫されている。サスエ前田の魚の旨さを最大限引き出しているのである。

また出汁は昆布をストレートに感じるやさしいものであり、関東によくあるカツオがガツンと来るものとは一線を画しているようであった。

こちらの料理を１００％理解するには茶道の心得が不可欠なんだろうな。私みたいな凡人にはまだまだ理解できない部分も多いだろうが、美味しさに関しては抜群である。

今後も通い続けて少しでも理解を深めたい、そんな割烹であった。

約半年ぶり3回目の訪問である。 前回までは夜であったが 今回は初のランチでの訪問となった。

こちらでは昼も夜も同じ料理が出てくるようなのでどちらでも良いのだが この日は都合によりランチにさせていただいた次第である。

温石の杉山大将は料理をしている時はいつも真剣勝負の顔で笑っている姿というのはほとんど見たことがない。 そんな時など 声をかけると怒られるのではないかと思うぐらいの気迫が出ているのである。

ただ 包丁を休めている時にはなんだか穏やかな顔をされており いかに料理に対して真剣に向き合っているかというのがわかるというものなのだ。

この日も入口を入ってから中庭を通り 奥の方からお店の中に入った。 そして12時半 一斉スタート であった。

この日は

アジ、梅肉で

ルッコラのおひたし
軽く炭火で炙った焼津ジンドウイカ

小イワシの唐揚げ

椀物
赤甘鯛、くだ牛蒡
ゆず

お造り
アラ、アオリイカ
茗荷

揚げ真丈、しば漬け

焼津のカマス
叩いたねぎ
モロヘイヤ

長時間かけて焼いたみずみずしいズッキーニ、トマト
三重県紀北町の炭を使用して

うろこ焼きした金目鯛の炭火焼き
実山椒のソース、塩

生食用のコリンキーの胡麻酢びたし

新生姜のご飯

エボダイ、オクラ、ナス
炊合せ

太刀魚の幽庵焼き、

甘長とうがらしのご飯

カツオの漬けご飯

山梨のもも

ズンダの翡翠餅
抹茶


私は無粋者なので 茶懐石の細かいルールというのは知らないのであるが、 そんな私でも 料理の美味しさだけはしっかりと楽しむことができた。

素材は静岡のものにこだわり 特に魚は焼津で上がったものを中心に揃えているようである。

サスエ前田から仕入れているのはあまりにも有名な話である。

毎回 金目鯛の炭火焼きを頂いているのだが ここより美味しい金目鯛というのは 私は食べたことがない気がする。素材の良さももちろんあると思うのだが その美味しさの大部分は杉山大将の
「焼き」の技術から来ているのだろうね。

今回も 最初から最後まで寸分の隙もない料理の数々を楽しませてもらった。 また次の訪問を楽しみに待ちたい。

いつもお世話になっている友人の席での訪問であった。約2年ぶりである。この日はたまたま隣が名古屋でグルメブログで有名なAトンさんのグループだったので何だかホームでの試合のような、そんな気持ちで楽しむことができたのである。

こちらはお店の名の通り茶懐石のルールに則っているようである。最初は中庭を通りわざわざ遠回りして庭を楽しみ奥からカウンター席に入っていく・・そして最後は抹茶で締めくくる。

私自身は茶道に関しての知識は皆無なのでよく分からないがどうやらそういう事らしいのである笑

この日は

先付け
焼津のおでんをイメージしておでん
蕪のふろふき
揚物

鯵のきぬた巻き
米麹ねぎと

椀物
白甘鯛

お造り
カンパチ

麻機蓮根（あさはたれんこん）
の揚物

焼津の太刀魚の蒸し寿司

浜名湖ドウマンガニ
内子のソース
栗のチップ
壬生菜のお浸し
焼き椎茸

焼物
炭火焼きのー金目鯛
実山椒と唐辛子で

お口直し
柿の白あえ

炊き立ての新米
にえばな

磐田の海老芋、ほうれん草
鱧のそぼろ餡
黒七味と

今朝焼津で採れた桜海老のご飯

新米の生からすみお握り

かぼちゃのきんつば

ラフランス

お抹茶

こちらの特徴は何と言っても全く飾り気がない料理だが、シンプルさの中にも恐ろしいほどの技が詰められており素材の良さを引き出すことに徹底されているようなのである。
そして地元の、特に静岡の素材に拘ってほぼすべての海の幸、山の幸は静岡の物であった。

また何と言ってもサスエ前田のほぼ1番の魚を使用しているので、そこに大将の腕により更なる高みに持っていっているのが大きなところなんだろう。

やはり前回同様金目の炭火焼きはぐうの音も出ないほどの美味しさだったし、浜名湖のドウマンガニも美味であった。

通常の割烹のコースよりは少し軽めなので「満腹過ぎて動けない・・」ということはない。最近だんだん食べる量が少なくなってきている私にとってはこれくらいがちょうど良いのである。


今回も思いっきり楽しませてもらうことができた。また機会があればお邪魔したい。

以前より行ってみたいと思っていた店である。今回はいつもお世話になっているラキテンさんの貸し切り会に参加させて頂くことができた。

いつもありがとうございます！！

こちらの店は今年ついに食べログゴールドを受賞され注目も集まり乗りに乗っているようなのである。
カウンター8席のみというこじんまりとした割烹ながら、この数というのは店主がきちんと仕事することができる目いっぱいの人数なんだろう。

店名の通り茶懐石の作法に則りお店に入るときには中庭を通って心を落ち着かせ、帰るときには玄関からという趣向もお茶の世界を感じさせてくれるものであった。

カウンターはL字状になっており端の方には炭火焼き用のコーナーが設置されていた。これは焼きの技を目で楽しむことができるようにとの粋な計らいであろう。

全員が集まり乾杯の後早速料理のスタートとなった。


この日は

■軽く炙ったジンドウイカ、芽キャベツ、プチベール
■鯖棒寿司、ルッコラ、粒マスタード
■ホワイトアスパラ
■アスパラ出汁スープ
■平目お造り、縁側お造り、浜防風、茗荷
■茹で鰆、玉葱の葉、黒七味
■太刀魚のすりおろし蓮根包み揚げ
■アカザエビ焼きしゃぶ
■原木椎茸炭火焼き、アカザエビの味噌と玉子のソース
■蒸しえぼ鯛、春菊、ゆず胡椒
■金目鯛鱗焼き、実山椒醤油
■口直し、水菜と薄揚げ、辛子胡麻ひたし
■蛤、筍、玉子寄せ
■鰆と筍の炊き込みご飯
■鰤ごはん、葱醤油
■いちご、かおり野、キラび香
■筍カステラ
■抹茶

こちらのメニューはいつものようにラキテンさんが食事の合間に一生懸命メモ書きして下さったもののコピペである。いつもホントに感謝してます。おかげで食事に集中することができました！！

いや～～素晴らしい料理の数々に思いっきりヤラれてしまった。どの料理も素材の良さに加えてしっかりと手を加えるもの、そして素材を生かすために最小限の手しか加えていないもの・・・素材を知り尽くしているからこそできる料理のような感じであった。

またこちらの素材はほとんどが焼津近辺の物のようであった。無口な店主は決して素材自慢などせずにあくまでも謙虚なのである。
時々うるさいほど自慢話をする店もあるからね～～そんな店とは対極にありあくまでも謙虚・・
「謙虚さは美徳」という古き良き日本の感覚を持っている大将であった。

軽く炙ったジンドウイカは細かい包丁が入れられてあり歯ごたえを残しながらも甘みが引き出され、極上物に仕上がっていた。
これぞ日本料理の神髄「割主烹従」なのであろう。包丁さばきで味が決まる、というのはまんざら誇張でもないということを教えてくれた料理であった。

また地元が名産の金目鯛のうろこ焼きはしっとりジューシー、うろこがパリッと焼き上がっていて人生で一番美味しい金目鯛を経験することができた。そこに合わせる実山椒ソースが良いアクセントになっていたのは言うまでもない。

活きた赤座海老を軽く火入れしたものも抜群に美味しかったし、山の幸で言えば原木椎茸の炭火焼きに先ほど食べた赤座海老の味噌を合わせて頂いたのは初の味わいであった。

ご飯も地元産のぶりを合わせたもの、鰆の炊き込みご飯等を楽しませてもらい終了。駿河湾の海の幸、山の幸を楽しませて頂いた。

焼津の地にこんな素晴らしい料理屋さんがあったとは驚きであった。また機会があればぜひ再訪したい。