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「シンガポールスリング」
シンガポールスリング
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winter556
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| 店名 |
Long Bar
|
|---|---|
| ジャンル | バー、パブ |
|
予約・ お問い合わせ |
(+65) 63371886 |
| 予約可否 |
予約可 |
| 住所 |
シンガポール1 Beach Road,Singapore 189673 |
| 交通手段 |
MRT City Hall(EW14,NS25)駅から徒歩5分 |
| 営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
| 予算(口コミ集計) |
¥2,000~¥2,999
¥3,000~¥3,999
※訪問時点の為替レート換算での金額になります。 利用金額分布を見る |
| 支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 QRコード決済可 |
| 貸切 |
不可 |
|---|---|
| 駐車場 |
無 |
| 空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり、ソファー席あり、ライブ・生演奏あり |
| ドリンク | カクテルあり、カクテルにこだわる |
|---|
| 利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
|---|---|
| ロケーション | ホテルのレストラン、隠れ家レストラン |
| ホームページ | |
| 初投稿者 | |
| 最近の編集者 |
|
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平成10(1998)年3月某日。
右も左もわからない初めてのシンガポールでの1泊2日の用務を終えて解散し一人になったのが午後まだ明るい時刻。福岡への帰りの飛行機は深夜発なので時間がある。
スーツは持参したが結局着用せずじまいだった。無駄な荷物を持ちまわっているのが癪に障る。暑いし草臥れてもいたが、居場所もない。だからといってサッサと空港へ行くのも勿体ない。でも観光する暇があるとは思っていなかったから、何の下調べもしていない。
乏しい知識といえば、モームやヘミングウェイが愛したというラッフルズホテルというホテルがあり、カクテルのシンガポールスリングはそこで生まれたらしいということと、チキンライスなどの安い現地メシならホーカーズセンターなる屋台由来の小店群を整理した屋内フードコート的な場所で漁れるらしい、ということのみ。
手近にあった大型書店などうろついてみてもすぐに好奇心は薄れたので、やっぱりラッフルズホテルを探して行ってみた。その中の昼間から営業しているロングバーというバーに入った。
ここがそうなのか。
ピーナッツを食い散らかしながら本家のシンガポールスリングを啜った。
シンガポールスリングというロングカクテルは、ラッフルズホテルで1915年に初めて作られたが、あまり売れずに1930年代に一旦廃れた。それと入れ替わるようにカクテル界の教科書的存在であるサヴォイによるサヴォイ流レシピのシンガポールスリングが世界的に流行。その後、1951年にラッフルズがラッフルズ流レシピを復活させた。というような経緯があるらしい。
日本では、シンガポールスリングといえば、サヴォイのレシピもラッフルズのレシピもどちらもよく普及しており、前者がシンプルでソーダ水多めでさっぱり爽やか、後者が濁ったパイナップルジュース多めで複雑で濃厚な甘みを特徴とする、というように大雑把に理解していた。
本家ラッフルズのシンガポールスリングをいただいてみると、同じレシピのはずなのに日本で飲んだことがあるラッフルズのレシピに忠実に作ったというものよりももっと甘い気がした。パイナップルの味の違いのせいだろうか。環境の違いだろうか。でもくどくなく軽やかな飲み口の、不思議なおいしさだった。グイグイいけてしまう。後味も悪くない。
それにしてもモームの月と六ペンスは馬鹿な中学生だったワシには鑑賞力が及ばなかった。苦労して字面を追っても何も頭に入らなかった。それっきりモームを敬遠。それどころか翻訳小説すべてに苦手意識を持つほどだった。
ヘミングウェイのキリマンジャロの雪は成人して読んだがうんざりした。傲岸不遜で自分には甘いオッサンが肉体を弱らせるやたちまち泣き言を垂れ流す物語。なーにがハードボイルドだ。オッサンが眺めるだけで登らなかった雪のキリマンジャロにワシは登ったんだからななめんなよコンニャロメ。こっちはこれから身じろぎすらできないエコノミークラスに詰め込まれて明朝福岡空港に着いても帰宅できずそのまま久留米に直行してヒィヒィいいながら夜まで働く予定なんだからなチクショー。などと急速に椎名誠と化していった。
モームはウイスキーソーダ、ヘミングウェイはモヒートとダイキリを好んだというから、シンガポールスリングのようなものは偶に嗜む程度だったと想像する。だからほかにそういうのもここで飲んでみたいと思うが、ヘミングウェイといえばアルコール依存・鬱・自殺コースの悪い見本みたいな人だから、ありがたく教訓とさせていただきここではシンガポールスリングだけにとどめておく。それでもまあ、いい経験になった。