ジュルっと飲めたら一人前！半熟玉子スープと共に迎えるシンガポールの夜明け : Ya Kun Kaya Toast Frasers Tower店

ヤクン・カヤ・トーストさんは旅行に行ったら食すべしローカルフードのお店として旅行ガイドに必ず載っているシンガポールを代表する喫茶店の一つ。

1926年、中国海南省にある海南島から当時15歳のLoi Ah Koon氏がシンガポールに船で渡り喫茶店で働き始めます。

喫茶店の仕事と金儲けに魅了されたAh Koon少年は遂には自分のお店を開きシンガポールで大成功を収めました。

Ah Koon氏はコーヒーの自家焙煎を始めた事でも有名でして、それはコーヒー豆にプランタ・マーガリンと砂糖を加えて焙煎するという独自製法。ヤクン珈琲の美味しさの秘訣です。

お気づきと思いますが、Ah Koon（アークーン）氏ご本人のお名前はヤクンという商号の由来となっています。

また、当時愛用していたカーキ色の半ズボンが同氏のトレードマークとなりましてその姿は店内に掲げられた看板に見ることができます。

お品書きはコーヒー、甘いトースト、サンドウィッチ、お菓子という構成。

シンガポールではローカル語でコーヒーをコピ（Kopi）と呼びます。

日本ではブラックコーヒーが前提でそこにミルクと砂糖を加える足し算方式ですが、シンガポールではコンデンスミルクと砂糖が最初から入っているのが基本。

コンデンスミルク（加糖・濃縮三倍）をエバミルク（無糖・濃縮二倍）に変更すると Kopi C（コピ・シー）という名前になります。コピシーの方が若干お値段が上がります。

ミルク入りでないコーヒーを飲みたい場合はオーを付けて Kopi O（コピ・オー）を注文。

コピオーは砂糖入りなのでまだ油断はできません。無糖ブラックを頼みたい場合はマレー語で『無し』を意味する Kosong（コソン）を付けます。

身体を冷やすことを嫌う中華系が人口の7割を占めるシンガポールでは、氷の量がやや少なめ。日本式のキンキンに冷えたアイスコーヒーを飲みたい場合には『モア・アイス（More ice = 氷多め）』を加えましょう。

ということで、キンキンに冷えたアイスブラックコーヒーが欲しい場合は『アイス・コピー・オー・コソン・モア・アイス』と注文します。

次にカヤトーストですが、玉子、ココナッツミルク、砂糖、パンダンリーフ（マレーシアの植物）から作られたカヤジャムが、薄くスライスされたサクサク食感トーストにバターと共にサンドされています。

結構な量のバターとジャムが挟まれていまして、健康を気遣って約半分を取り除いてから食べるのもお奨め。

注目度の高いコピとカヤトーストですが、実はセットメニューに付いてくる半熟玉子（２個！）が面白い。半熟玉子は１個じゃなくて２個なんです。半熟とは言っても白身も黄身もドロドロのスープ状態。

ウスターソース、塩、胡椒、出汁醤油の４つで味付けをします。

味を決めたら、ここから先は人それぞれ。

◯黄身と白身が分からなくなるまでスプーンでグルグルかき混ぜるミックスジュース派。
◯さっくり混ぜて黄身と白身の食感を楽しむフルーチェ派。
◯混ぜずに白身から食べ進める白身派。白身派の白身を食べる腕前はなかなかのもので黄身の表面を薄膜のように覆う白身さえ綺麗にこそぎ取り純粋無垢な黄身２個が最後にはお皿の上に残ります。

白身派は黄身の取り扱いに関して更に２つに分類されます。
・黄身はちょっと苦手。一切手を付けずに残して帰る黄身放置派。
・黄身が割れないようにスプーンで慎重にすくって飲み込む黄身パックンチョ派。

◯エスプレッソのように半熟玉子２個をカァーと一気飲みして立ち去るタマプレッソ派。

フルーチェ派が最も多いように思います。

グルグル混ぜられた半熟玉子２個分の液体はまるでコース料理の最初を飾るスープのよう。

皆さん美味しそうに小さなスプーンでこの半熟玉子スープをひと口ずつ飲み進めます。

小さなスプーンで一口ずつ飲むのは時間が掛かる。皿に口を付けてグビグビ飲む野獣系男女も良くお見掛けします。

これまで何度か自分でも試してきたものの半熟玉子スープは未だにちょっと苦手。

半熟玉子スープをズズズっと一気飲み出来た貴方はもう一人前！

●食べた物いろいろ　19年2月以降
〇半熟玉子２個スープ：シンガポール喫茶の代表選手。
〇カヤ・バター・トースト（おすすめ）：バターの量が凄め。
〇カヤ・ピーナツ・トースト：甘い！
〇カヤ・バター蒸しパン（おすすめ）：蒸された熱々のパン。これはお奨め！
〇フレンチ・トースト（おすすめ）：一緒に提供されるカヤジャムとフレンチ・トーストが高相性で病みつきに。
〇レンダン・チキン・トーストウィッチ：レンダンとはマレー料理。ローカル味を楽しめます。
〇ツナマヨ・トーストウィッチ：日本でも慣れ親しんだ味。刻みタマネギ入ってます。
〇チキン・チャーシュー・トーストウィッチ：中華圏の赤いチャーシュー。かなり甘い。
〇クリスピー・トーストサンド（ツナマヨ）：2019年6月の新商品。
〇シュガーバタートースト：やっぱりバターの量が凄め。
〇ドリアン・カヤジャム・トースト（2020年版）：8月の建国記念日に合わせて期間限定発売されるドリアン味のトースト。
〇チキンフライサンド（ブラックペッパー味）：期間限定商品。
〇チキンフライサンド（ホットカレー味）：期間限定商品。なかなかの辛さ。
〇オターのフレンチトーストウィッチ：オターというピリ辛なカマボコがフレンチトーストに乗っかってます。
〇チキンカレー・バオ：期間限定商品。マレーシア系チキンカレーのバオサンドです。
〇苺ジャム・フレンチトースト：クリスマスの期間限定品。甘くて美味しいです。
〇ポッキー（カヤトースト味、コピオー味）：期間限定商品。発売当時はSNSで少し話題になっていました。
〇クルミ黒糖ロール：まんずまんず。
〇パンダン・シフォン：鮮やかな緑色。パンダンはマレーシアの植物。
〇カヤ・ボール：中にカヤジャムぎっしり。
〇カヤ・マフィン：シンガポールならでは。
〇黒ごまロール：ゴマ香とゴマ味は優しめ。
〇カヤトースト・アイスクリーム（おすすめ）：ザラザラ食感でトースト感が演出されています。
〇オンデケーキとピーナツバターケーキ：期間限定商品。
〇コピ：コンデンスミルクの入ったコピがシンガポールの基本となるコーヒーです。
〇アイス・コピ・オー・コソン：ブラック無糖を頼む場合は『コピ・オー・コソン』を注文。
〇コピー・オー・コソン：ブラックコーヒーのホット。結構な濃さとニガさ。
〇タマリンドジュース：期間限定商品。タマリンドというプラムのような酸味のある果実で作ったジュースです。
〇薔薇豆乳サゴミルク：期間限定商品。ドピンク色をした薔薇味の豆乳ドリンクに小さな粒粒タピオカのようなサゴが入ってます。

●まとめ
・ローカル喫茶文化の代表格。
・あぁ...茹で玉子が食べたい。