理想的バランスの小籠包！香港ドラゴンによる本格飲茶 : Victor's Kitchen Chinatown Point

お店の創業者にて調理場を預かるヴィクター・レユン氏はもともと香港にあるホテルグループで飲茶のシェフとして20年の職人経験を持つ調理人。その後シンガポールに渡り、自らが腕を振るい作り上げる安くて旨い飲茶を提供したいという強い思いから小規模にとどめたフロア面積のお店を開業し今に至ります。

シンガポール最大のチャイナタウンにあるチャイナタウンポイントという商業施設の地下にあるお店はローカルの地味な飲茶店のような緩やかな雰囲気を醸すお店です。

どの飲茶もお値段が一皿５ドル前後（400～500円）とお求めやすい事もあってフラリと立ち寄って食べたのですが、テーブルに到着する飲茶を順次食べ進めるにつれ、これは只者ではないと感じるおいしさ。

本来であれば飲茶は大陸東南部の庶民生活や地域文化に根付いた日常的な食べ物なのですが最近は飲茶店でも小籠包一皿が1000円以上する高級志向のお店が多く、庶民の食べ物ではなくなりつつありますので、ヴィクターズキッチンさんはリラックスして飲茶を頂くことができる貴重なお店です。

さて、頂いたこちらです。

●小籠包　22年4月（おすすめ）
ブリっと肉厚まん丸な小籠包は平均的な小籠包よりも二周り大きくて食べ応え十分。
薄皮で華奢な小籠包が多い中、ある程度の厚みのある生地で包まれたヴィクターさんの小籠包は弱々しさがなく、お饅頭的な力強い存在感を放ちます。
内部に仕込まれた肉汁は嫌な脂っこさがなくサラサラサッパリとしながら旨味成分も十分でして、食感、味、香りなどすべての面において優れた理想的なバランスの小籠包でした。

●貝柱と大根餅の蒸し物　21年10月（おすすめ）
創作性の高いオリジナルメニュー。貝柱と蟹の出汁が効いた蒸された大根餅はツルリとしてお口の中で溶けます。
一緒に提供されるタレと共に頂きます。

●鶏肉と貝柱の蒸しおこわ　21年10月
定番の葉っぱで巻いたチマキです。

●創作春巻き　21年10月
こちらは創作春巻きで皮の内側にはサクサクした揚げ物と野菜が巻かれています。

●鶏肉とピータンのお粥　21年10月
お粥は日本人には馴染みは薄いですが香港では定番の食べ方。お粥は胃に優しく体の調子が整う点も優れていると思います。シンガポールでは具をお粥の上部に乗せない場合が多く具は底に沈んでいます。写真と見た目が違うな～ということがお粥の場合は良くあります。

●海老蒸し餃子　22年4月（おすすめ）
実は海老の蒸し餃子は海老の独特な臭みが出る点があまり得意ではなかったのですが、ヴィクターさんの蒸し海老餃子は嫌な香りが全くありません。サイズも平均的な海老蒸し餃子よりも1.5倍くらいありまして、中に入っている海老の塊もデカい！たまらないブリブリ食感と食べ応えです。

●ポークリブ蒸しご飯　22年4月（おすすめ）
何げない蒸しご飯ですがご飯にうっすらと入っている味が素晴らしく米だけでバクバクいけちゃいます。
味を足したい場合は一緒に提供される醤油系のだし汁をご飯に掛けて頂きます。
蒸されたご飯はサラリとして喉ごしがスーイスイ。

●チョーフン（チャーシュー）　22年4月
腸粉とかいてチョーフンと読みます。
こちらも良く見かけるお料理の一つでして、ツルツルした滑らかな生地で何か食材を巻きいてタレで頂きます。

●海老ほうれん草蒸し餃子　22年5月（おすすめ）
海老とほうれん草の相性がこんなにも良いとは。
透明な生地で包んで透き通って見えるほうれん草の緑色は見た目にも華やか。

●チャーシュー・バター・ボーローヤオ　22年4月
ボーローヤオとは分かりやすく言いますと甘くないメロンパンのようなパンでして、パンの上面にはクッキーのようなサクサク感のある生地があり、下側はキメの細かな柔らかいパンという２部構成になっています。
切れ目を入れて分厚いバターやマーガリンを挟んでガブリと食べるか、内側にチャーシューなど餡を詰めて頂く２つの食べ方があります。
どでかいボーローヤオが２個提供され、これ一皿で胃袋の6割が埋まりました。

●揚げ大根もち　22年4月（おすすめ）
淡い味の大根もちですがこれを揚げることにより大根餅の甘さが最大限に引き出されていまして、こちらも優れた一品。
衣がブ厚く油が胃袋に少々堪えますが酸味のあるサウザンソースで頂くことでサッパリ感と油のバランスが取れています。

●潮州式クリスタル蒸し小包　22年5月（おすすめ）
あっさりとしておきながら海鮮ベースの旨味を感じさせる飽きのこない美味しい蒸し小包。透き通った生地が特徴の潮州式ヤムチャの一品で内側の具材が透き通ってみえるのが見た目にも美しい一品です。

●海老と豚肉の湯葉巻き揚げ　22年4月（おすすめ）
海老と豚肉の餡を湯葉で巻いて油で揚げた春巻き揚げ。こちらも飲茶の定番のお料理ではありますがなんせ味付けが良いので文句なく美味しいです。餡にはパクチーが入っており良いアクセントになっています。

●揚げ海老餃子　22年5月（おすすめ）
これは...うますぎる。
プリプリ歯ごたえの海老にジワーっと染みた中華ダシ系の旨味。

●海老豚肉シューマイ　22年4月（おすすめ）
海老と豚肉がゴロゴロ＆ブルンブルンで歯を立てるとプリっと割れるような食感を得られる凄い奴です。

●焼きチョーフン　22年4月（おすすめ）
通常は蒸して提供される米粉で作るチョーフンを焼いて提供するスタイル。
一緒に提供される貝柱で作ったタレと甘味噌ピリ辛タレでシンプルなチョーフンが抜群のおいしさに。

●鶏足の蒸し煮　22年4月
日本ではあまり食されませんが中華圏では人気というか極々一般的な食材の鶏足。俗にモミジなどと呼ばれます。
ゼラチン質で味は豚足に似てホロ甘ですが、いかんせん骨が多く身は少なめです。

●水餃子四川風ソース　22年4月（おすすめ）
香港出身の凄腕飲茶職人ヴィクター氏が作る四川風ソースですが、やはり味と香りは本場四川料理屋の味には及びません。
しかし水餃子の餡に仕込まれたレタスが秀逸でしてツルンとした水餃子にシャリサク食感を与える神業が光ります。

●黄身クリーム饅　22年4月（おすすめ）
シンガポールで根強い人気の黄身クリーム饅で甘いデザートです。不注意に噛り付くとトロミがなくサラサラとした熱々の黄身クリームがブシャッと飛び出てくるのでご注意を。

●エッグタルト　22年5月（おすすめ）
エッグタルトの生地はデニッシュ系とクッキー系がありますが、ビクターさんのエッグタルトはクッキー系。
正直言ってエッグタルト専門店のエッグタルト以上の美味しさ。
甘味の強いクッキー生地にあっさりしたエッグプリンの組み合わせ。

●豚足の酢醤油煮込み　22年5月
真っ黒な酢醤油で骨付き豚足を柔らかく煮込んだ一品。
酢醤油は砂糖は殆ど入っていないので甘味はなくスッキリとした味。
酢が８割、醤油が２割くらいな印象のかなり酸っぱい独特な味付けでした。

●中華ソーセージと干し貝柱の蒸しおこわ　22年5月（おすすめ）
お料理の英語名はLup Cheong Conpoy Glutinous Rice。
Lup Cheong（ルプチェオン）が中華ソーセージ、Conpoy（コンポイ）は干し貝柱だそうです。
見た目と味が一致する醤油味ベースのおこわ。
ルプチェオンの独特な香りと油感がご飯に染み出て大変おいしゅうございました。

●まとめ
・コスパと美味しさという点ではシンガポール国内でも別格の優良店と思います。
・味と香りだけではなく緻密に計算された飲茶の『食感』が鳥肌モノです。