果物以上に濃厚フルーティー！行列の絶えない伝統の中華デザート屋さん : AH CHEW DESSERTS

アーチューデザートさんはその名を知らぬシンガポール人はいないと思われるくらいに有名かつ一般的なデザート専門店でして、居酒屋でもないのに昼過ぎから営業を開始した後はなぜか夜中12時まで営業するという不思議な営業時間なのですが、何度か通っておりますと理由が分かってきまして、何時に尋ねてもお客さんでお店が賑わっているようです。

日本人は20時や21時にデザートを食べに行こうという人は比較的少ないと思いますが、シンガポールでは夕方の遅い時間にもかかわらず車でお店の横に乗り付けて家族でデザートを食いに来る、あるいは、家族や友人用に幾つかのデザートを夜に買って帰る、という人たちが沢山おりまして、夕方の遅い時間に尋ねても30分待ちなどと言われて諦めたことが何度かありました。

こちらのお店、日本人の間ではマンゴーサゴが美味しいお店として一定の人気を誇っているようですが、実際にお店の中でシンガポール人が食べているのは特にマンゴーサゴが多いわけではなく、万遍なく人それぞれが色々なデザートを楽しんでいる模様でした。

さて、聞き慣れないサゴですが、ヤシの樹木から抽出したデンプンで作った小さな粒々の食べ物で主にマレーシアとインドネシアで大量に生産され、東南アジア諸国に供給されているようです。食感は粒が小さいこともあり、タピオカ程の強い食感はなく、難なく噛むことができまして、やはりスープ系のデザートとの相性が良いように思います。

お店の仕組みは最初に席を確保し、席に置かれた黄色い紙に自分が確保したテーブル番号とメニュー表に記載されているデザートの番号を書いてレジに行き、お会計を行うシステムになっております。

●ドリアンサゴ　21年8月（おすすめ）
初来店のこの日、店員さんにお奨めを訪ねますと、ドリアンサゴかマンゴーサゴとの事。
ドリアンの美味しさが分かってきた昨今、思い切ってドリアンサゴを注文してみた所、これが超超超うまい！
一口食べて、うわああああああああ、となりました。
ドリアン以上にドリアンとはこの事かと。
糖分などで味全体を整えられたマンゴーサゴの濃厚さ、香り、甘さは想像を超えた美味しさ、そして、とにかく濃厚なんです。
全体としては下側のスープ部分とアイルクリームのように乗っけられた塊の２種類に分かれているのですが、下側はスープと呼べない程にポッテリ濃厚でクリームチーズ程の粘度、そして、上の乗った塊は更に濃厚なチーズケーキ程の重さと固さがありまして、ゴツゴツした食感、強烈な味と香りを放ちます。
サゴは沢山入っているのだと思いますが、濃厚なポッテリ感なので噛んでいてもサゴの存在がわかりません。
このドリアンサゴの特に良い所は、生のドリアンよりもあの独特な香りが程よく抑えられておりまして、食べやすいところです。
量も多く、軽めな大盛りご飯を食べた程度の食後感がありました。

●マンゴーサゴ・ポメロ入り　21年9月（おすすめ）
お店の代表作。サラサラのマンゴースープにサゴが混ざり、さらにポメロ（柑橘のハッサクとほぼ同じ）のほぐした実が入っています。ポメロを入れようかそれとも純粋にマンゴーだけを味わおうか迷いましたが、結果的には入れて良かったなと。
小粒よりやや大きめの氷が沢山入っておりまして、爺になり知覚過敏を発症中の鮨人には思わぬカウンターパンチとなりましたが、味全体のまとまりは文句の付けようがありません。
シンガポール人は比較的控えめな甘さのデザートを好むため（なぜか飲み物は凄く甘いのですが…）、こちらのサゴも控えめな甘さなので、かなりの量があるにも関わらず、サラーっと頂くことができました。

●溶き玉子入り白クワイスープと薬草ゼリー　21年10月
日本では余り馴染みがない白クワイですが、シャリシャリとした食感の白クワイを煮て甘さを加えたスープに全卵を溶かし入れ、そこに薬草ゼリーを足した冷たいデザートです。
これはハッキリ言って全く口に合わないデザートだったので量が多いこちらを食べきるのは苦労が要りましたが、異文化との交流、味覚範囲の拡大という意味では貴重な経験となりました。
その味を日本にある食材で例えますと、片栗粉でとろみをつけたお湯に砂糖を入れ、玉子を解き入れ、シャリシャリした蓮根を加え、しっかり冷やした後に苦いゼリーを入れたデザート、といった風になります。
中華圏ではこのデザートのように日本人には甘味と食事の中間物のように感じる食べ物がデザートとして親しまれる食文化があるのが面白いところ。

●アロエと苺入りの蜂蜜ライムスープ　21年12月（おすすめ）
こってり系デザートが得意かと思ったら爽やかで果実味たっぷりなスープ系デザートも一流なアーチューさん。
サクサク食感のアロエに苺が酸味を添えます。熱いシンガポールの気候にぴったりな清涼感あふれるデザートです。

●牛乳と卵白の蒸し物の小豆添え　21年12月
中華圏では小豆は甘さ控えめに炊きます。ホロホロと柔らかく炊かれた小豆は皮の香りが引き立ちます。

●スイカとメロンのハニージュー＆ヤム芋アイス追加　22年7月
ミルク感たっぷりな冷製ミルクスープにカットされたスイカとメロンが浮かぶ涼しくも美味しい一品。
赤道直下でホットなシンガポールの気候にぴったりなスイーツです。

●まとめ
・強烈濃厚なドリアンサゴ、そして、絶対王者的おいしさのマンゴーサゴはお奨めです。