シェフの生い立ちからストーリーをたどるサプライズなメニュー : RAW

台湾出身で、世界的な名声を獲得した

アンドレ・チャンさんのレストランで、

現在ミシュラン2つ星です。


かねてより、次回、台北に行くときには、

ぜひ訪問したいと思っていましたが、

要約実現しました。


ビルの1階で、ガラス貼りのエントランスを

一歩入ると、木製の流線形をした巨大な

バーカウンターが目に飛び込みます、

船をイメージしたデザインらしく、

松を細かくカットした木材を組み合わせて

創った、なんとも素晴らしい造形です。


テーブルに案内されると、

なんと、そのテーブルの中央に、

缶が置いてあります。

蓋を開けたい衝動をぐっと

我慢すると、ほどなく、

サービスの方が、

「どうぞ、開けてください」と。

中には、円形のメニュー、

シェフの幼いときからの写真が数枚、

シェフの生い立ちにまつわる小物などが

入っています。

というのも、メニューは、シェフのこれまでの

軌跡をたどる構成になっているのです。

例えば、1品目は、シェフの生まれた士林の

屋台に着想を得たお料理。

そして、シェフが幼少期を過ごした日本の

甲府にまつわるお料理も。

15年ものフランスでの修行時代からのお料理や、

しっかり辛味が効いた四川料理まで、

台湾素材を活用した世界のテイストを

楽しませてくれます。


では、「Nature&Craft」がコンセプトのもと、

二十四節気の考えを取り入れたお料理の

内容です。

コース　　5888台湾ドル
　　　　　季節のフィー　480台湾ドル
　　　　　約32000円　税別


１，＊士林　台北　台湾
　　　1976年
　　　シェフの生まれた年と場所です。
　　　「ナイト　マーケット」
　　　蒸した玉蜀黍をロール状にし、
　　　串刺しにして、夜市風に。
　　　
　　　玉蜀黍、ポップコーン。
　　
　　＊甲府　山梨　日本
　　　1990年
　　　「ママ」
　　　餃子
　　　　日本滞在中は、お母さまから料理の
　　　　手ほどきを得たらしく、
　　　　「餃子」ですが、もちろん、
　　　　ただの餃子ではありません。
　　　　中身は、帆立貝、イカ、玉蜀黍で、
　　　　黒トリュフも。
　　　　テイクアウト用発泡スチロール箱を
　　　　模した器で、輪ゴムで止めて
　　　　登場。

２，モンペリエ　ラングドック　フランス
　　1996年
　　「ル　ジャルダン　デ　サンス」プルセル

　　　オマール海老のテリーヌです。
　　　滑らかなムースに、オマールの身も
　　　たっぷり。

３，ロアンヌ　パリ　フランス
　　2001年
　　「トロワグロ
　　　ガニエール
　　　ロビュション
　　　バルボ」

　　　フランスで修行をした4店を
　　　テーマにした４料理が登場。
　　　・茄子のゼリー　キャビア添え
　　　・エスカルゴ
　　　・トマト、蟹、アボカドのレイヤー
　　　・春巻　シンガポールのＸＯ醤

４，バンコク　タイ
　　2002年
　　「デ　サンス」
　　ケフィアライム
　　コンソメ
　　
　　登場したのは日本風の蓋付塗り椀。
　　蓋をとると、蟹身が入っていて、
　　あとから、鉄瓶に入ったコンソメを
　　注いでくれます
　　RAW風トムヤムクン。

5、上海　中国
　　2003年
　　「サンス＆バン」
　　酔っ払い海老
　　スパイスを効かせていて、
　　かなりヒリヒリします。

6、マヘ　セーシェル
　　2005年
　　「マイア」
　　鯛、バナナリーフ
　　バナナの葉の上に、
　　かなりスパイシーな衣を
　　まとわせた鯛。
　　その脇には、ココナッツのサラダ

7、ブキパソ　シンガポール
　　2008年
　　「レストラン　アンドレ」
　　　メモリー

　　　ここが、アンドレシェフが、初めて
　　　作ったレストランで、あっという間に、
　　　世界的名声を得たところです。
　　　そして、「メモリー」という料理は
　　　スペシャリテです。
　　　フォアグラのフランに、トリュフのスープ。
　　　何も言えません。本当にコクがあり、美味。

8、台北　台湾
　　2014年
　　「RAW」
　　ダーティチキン、旨味の爆発

　　鶏肉をスパイシーな照り焼きにした料理。
　　トリュフパウダーを。
　　昆布、トマト、烏賊、茸で、
　　旨味を。

9、成都　四川　中国
　　2016年
　　「橋」
　　担々麺
　　これも爽やかなスパイシー使いで、
　　盛りつけも一工夫。

10、＊コタイ　マカオ
　　　2017年
　　　四川の月
　　　「氷粉」

　　　アイスゼリーと呼ばれる四川省の
　　　デザートです。透明の大きなゼリーが
　　　プルプルで、よく形状を保っていると
　　　いうぐらい、ギリギリで固めています。
　　　メロンのソースとレモンピールが
　　　やさしい仕上げ。

　　＊宣蘭　台湾
　　　「故郷」
　　　・金柑の砂糖漬け
　　　・メロンとモヒート
　　　・タンジェリン　ムース
　　　・タロ芋
　　　・ピーナッツなどを巻いた
　　　　お菓子

11、コーヒー
　　アイスで。
　　こだわりのコーヒー豆を4種類
　　紹介してくれました。
　　その中から、コロンビアを。

＊パン
　クラムがフワフワでとても美味。
　バターには、チョコレートとベリーを
　添えて。


ノンアルベアリング
5杯　1680台湾ドル

1．バニラ、ミルク、マンゴーペパー
2、マンゴー、フェンネル、マサラ
3、ガランガル、ココナッツ、シャルドネー
4、黒トリュフ、バクテー、東方美人
5、シラー、プーアル、カシス

4のバクテーを使用したドリンクが
独創的でした。
半ばエスニックなスープのようで、
複雑な香りのマリアージュ。


若いスタッフさんたちが、とても

頑張っていて、店内も活気があります。


食後、キッチンも案内してくださいました。

客席のスペースと同等の広さがあるとのこと。


コンセプト設計が、ユニークで、

これだけのあらゆる要素をまとめ上げるのが

大変かと思いますが、

読後感としては、とても楽しい体験でした。


台北訪問時は、再訪したいものです。