台中有数の格式高い酒店で、気軽に本格飲茶ランチ！ : 長園中餐廳

台湾第三の都市、台中(タイジョン)。
台中站から真っすぐ延びる台湾大道は道幅も広々としていて、なんとなく街の雰囲気が名古屋に似ているか。
首都・台北は東京に、古都・台南は京都に、そして高雄は大阪にそれぞれ譬えられることがあって、位置関係としても、台中はちょうど名古屋の位置にあるわけです。

台中站からはかなり離れた場所にあるのが、台中のなかでも洒落た雰囲気の漂う「精明一街」。
その精明路にも近い台湾大道沿いに建つのが、長栄桂冠酒店(エバーグリーンホテル)という、台中のなかでも、結構格式高い酒店。
ホテル内にはなかなか良いお店があるというので、たまには飲茶のランチでも良かろうと、二楼にある広東式レストラン「長園」さんへ。
広いロビーから上がり、ファサードをくぐると、ずらり並ぶ円卓。
大きな硝子越しに、広々と台湾大道を見下ろす眺めはなかなかですね。

白磁のポットで供されるのは、香り高き烏龍茶。
暑い中を歩き疲れた時には、温かいお茶が一番ですね。
せっかくの飲茶レストランですから、まずは蒸かしたての饅頭(マントゥ)でも食べてみましょうか。

お店のお姉さんが蒸篭の蓋を取ると、勢いよく湯気が立ち上ります。
熱々のところを手にとり、ふかふかの生地を割ると、褐色の餡。
これ、そこらの饅頭とは大違い、ものすごく旨い！
豚の角煮を細かくしたモノは判るのだけれど、それ以外にいろいろ入っています。
この絶妙な旨さ、いったいどうやって作る、何の餡なのだろう・・・？

前菜に出してくれたのは茎若布。
とても良い塩梅で、こりこり、しっとり。
茎若布や昆布など、台湾の人たちは実に良く食べるのですが、このあたり、琉球食文化との共通項を感じますね。

それから、もう一つくらい飲茶をと、海老の水晶包子を。
プルンプルンの弾力ある、皮の食感からしてたまりませんね。
プリプリの大きな海老と、百合根等々。
これ、二種の醤につけて食べるのですが、特にXO醤は、一期一会のようなとびきりの味。
会計の傍らで売っていたのをなぜ買ってこなかったのか、今もって悔やまれます。

ランチだから、そんなに高価な単品料理も頼みませんでしたが、一応、焼きそばと炒飯くらいは。
メニューの日語訳も、常に的を得ているとは限らないので、何となくカンの勝負という感じで・・・・

客家板條(平打ち米粉)の海鮮焼きそばを頼んでみると、これが大成功。
全体の味付けのベースは中華醤油なのでしょうが、至極上品で特別な感じ。
大海老、それにナマコ、ハタのような旨い魚、烏賊等々、まさに海鮮がこれでもか！と大盛り。
平打ちの米粉は弾力があって、厚手でもっちもち！
丁寧に芽や脚が取り除かれた細もやしはシャキシャキです。

いろいろな具の中でも、特に印象深かったのが海鼠(なまこ)。
巨大な干しシイタケのような外観は、何だろう？と、一瞬考えてしまいました。
蒟蒻みたいだけど、明らかに違う実に心地よい弾力がある。
詳しくないのですが、偶に日本の中華街などでも見かける、あの海参を戻しているのでしょうか。

肉絲炒飯、ぱらぱら！
レタス、玉子、肉絲、ジャポニカの米粒・・・
油の廻り方が、尋常でないほど素晴らしい。
もう、これはいちいち能書きをたれる必要もないでしょう。

サービスしてくれた、瑞々しい各種フルーツ。
特にドラゴンは、街かどで買い求めるものとはまた違ったサクサクの新鮮さ。
甘味、香りとも申し分ない、さすがホテルユースのフルーツです。

さすがは一流ホテル、レベルが高いですね。
ホスピタリティも大したもので、現地の上客で混み合う中、我々を日本人と見るや窓際の良い席に案内してくれたり、記念写真を取りに来てくれたり・・・
料理人の腕もさすが！の一言ですね。
日本人にとって希少な素材にお目にかかれることは勿論、それらの組み合わせにも、当然必然性があるわけだし、一見個性の強そうな素材たちも、それは見事に昇華されています。

屋台で食べる小吃には、当然台湾料理の醍醐味があるけれど、高級中華には、やはりここでしかできない品のある良さ、繊細さ、そしてダイナミズムがありますね。
それに、高級だと言ったところで日本で食べるよりは遥かにお手軽価格な本格中華。
今回も、全部でTWD1,000でたっぷりお釣りがきたと思います。
台湾に行ったなら、是非躊躇なく体験したいものですね。