『 暹羅国奇談 完 』「路傍の飯」 : T&K Seafood

見知らぬ異国の裏通りに迷い込んだ初老の男達。
人通りが途絶えた迷路のような路地に、男達は漠然とした不安を覚える。
暑く重苦しい熱帯の夜を彷徨いながら、薄暗い街角を曲がった男達の目前に、
ネオン煌くチャイナタウンのメインストリートが忽然と現れた。

「ウォ〜！こりゃスゲ〜！」

熱帯夜に不夜城の如く輝く、チャイナタウンの威容に三匹のオヤジ共は大コーフンだゼ！

バンコク来てるし、50オヤジ。

愉しかったバンコクも今日が最終日。
最後だから、なんか旨いモン喰おうゼ！って、チャイナタウンにやって来た。
三人共に昼間のチャイナタウンは知ってたけど、夜は初めて来た。
近くのフアランポーン駅から歩いて来たら、知らぬ間に人気の無い薄暗い裏通りに迷い込んでしまい、
チョイ焦ったゼ〜。
対照的にメインストリートは、車と人の喧騒に満ち溢れている。
歩道いっぱいに各種屋台が並び、行き交う人がすれ違うのも苦労する。
スキだわ〜こういうの、なんかワクワクするナ〜！

ほんで、やって来たのは《 T&K SEAFOOD 》だ。
ココも歩道に目いっぱいテーブル席を並べ、一際賑わっている。
そのテーブル席のすぐ後ろの車道を、車や歩行者が絶え間無く行き交っている。
オォ〜！スゲ〜な！
こんな歩道の専有率は、日本じゃ有り得ないゼ！
人気店らしく、満席で既に15人程並んでる。
でも、回転早いみたい。
「Outside？ Inside?」って、店のオッチャンが聞いてきた。
Insideは、店内で冷房効いてるらしい。
熱帯夜を歩いて汗まみれだけど、俺らは勿論「Outside Please !」だ！
やっぱ、コノ喧騒を愉しまない手はナイでしょ？
10分位で、Outsideに御案内〜。

早速、キッチリ冷えたSINGHAでカンパ〜イ！
クゥ〜！ウメェ〜！
んでもって、色々頼んだヨ。

● グン・チェー・ナンプラー

《 生海老のナンプラー和え 》だってさ。
海老をナンプラー＋プリッキーヌー＋ニンニクetcで和えて、山盛りのバジルやミントと共に、
イタダキマ〜ス！

ウオォ〜！な、なんじゃコリャ〜⁈
シンプルな料理だけど、滅茶苦茶旨いゼ〜！
海老が新鮮ってのもあるんだろうけど、タレにも秘密があるんじゃネ？
ふと気付けば、オヤジ1号が二の足踏んでいる。

「コノ店、衛生的にどーなんですか？」

コイツは、何度かバンコク来てるにもかかわらず、屋台来たコトがナイ根性無しだ。
またぞろ、ビビってやがるナ。

「さあね〜、こんだけ繁盛してんだから大丈夫なんじゃネ？
オマエヨ〜、そんなコト言ってたら亜細亜じゃナ〜ンモ喰えないゼ！
喰わないんなら、俺が喰うから残してイイヨ〜！」

ちとイラッとした俺は、鋭い一暼と共に冷たく突き放す。

「ちょ、ちょっと言ってみただけですヨ〜！」

俺のイラチー地雷を踏みそうになったコトを敏感に察知したオヤジ1号は、慌てて海老を喰い出した。

「アッ、旨いですコレ〜！」

だろ〜？
オヤジ1号ヨ〜、せっかくこーいうトコ来てんだからさ、愉しまないと損だと思わネ？


● ホイケーン

コレも人気の品だってさ。
赤貝の一種みたい。
茹でたてのコイツは、二種のつけダレでイッテみる。
赤は、赤唐辛子＋ナンプラー系。
緑は、青唐辛子＋ナムソム（酢）＋バジルソース系
どちらも辛いけど、緑のナムソムが優しい酸味でイイカンジ〜！
確かに赤貝に似てるけど、チョイ苦味走った旨味が癖になる。
こりゃウメェ〜！堪んねーゼ！

● パックブーンファイデーン

毎度お馴染みの空芯菜炒め。
超スタンダードなタイ料理だけど、ココの空芯菜のシャキシャキ感はスゲ〜ゼ！
また、オイスター＋プリッキーヌー＋ニンニクの風味も、ちょっとしたモンだヨ〜。

「コノ空芯菜、超旨いっス〜！」

野菜嫌いのオヤジ2号も喜んでるし …

● 鱸の清蒸

俺の大好きな清蒸のバンコクバージョンの登場だゼ！
魚型の器で、デカイ鱸がやって来た。
バジル＋生姜＋プリッキーヌーがテンコ盛り。
その威容にオヤジ三匹は大コーフン！
（ コノ器カワイイじゃん！超欲しい〜！）

んでもって、はんなりした白身は、旨味たっぷりでイイカンジ〜！
オイスターソース系のスープにプリッキーヌーの辛さが白身の旨味を引き立てる。
広東風清蒸もイイけど、バンコク清蒸もスキだワ〜！
3人共、ウメェウメェで、アッという間にデカイ鱸は骨だけになったゼ！


● 蟹の揚げ物

蟹肉を甲羅に詰めて揚げたヤツ。
コレまたシンプルな料理だけど、タレがイイカンジ〜！
胡瓜とタマネギのソムタム（酢）漬けだ。
胡瓜の風味が移ったソムタムを蟹肉にかけると、ア〜ラ不思議。
なんか、ガラっと上品な味わいに大変身。
オォ〜！コノ優しい酸味と胡瓜の風味、コリャ揚げ物に合うナ〜！

オッ？オヤジ2号は、胡瓜ソムタムかけないで、そのまま喰おうとしているゼ？

「オイ、タレかけたほうが絶対ウマイゼ？」

「いやぁ〜前にも言いましたけど、野菜嫌いのボクが、この世で一番嫌いなのは胡瓜なんデス〜。
忘れないで下さいヨ〜！
50オヤジさんの云うコトでも、コレばっかりは御容赦の程を〜！」

って、必死に拒むオヤジ2号。
オッ、そうだっけ？
そもそも、オマエの好き嫌いなんか、あんまし興味ナイからナ〜。
でもオヤジ2号よ、この旨さにトライしないって、それはそれは不幸なコトなんだゼ〜？

しかし、胡瓜のコトそんだけ嫌うって …
オマエ、前世で胡瓜とナンカあったんか？

熱気とカプサイシンで汗だくオヤジが、追加SINGHAをプッハー！とやれば、周囲は宴もたけなわ、超盛り上がり。
一段と喧騒が高まっているヨ〜！
俺らの席のすぐ横を大勢の通行人やトゥクトゥクが通り過ぎて行く。
なんか、こういうのコーフンするナ〜。

オォ〜シ！俺らも、まだまだ飛ばすゼ〜！

● 蟹の卵炒め

要は、天津飯のカニ玉だ。
見た目ザックリとした仕上がりだけど、中身は意外にしっとりとした食感で味わい深い。
甘辛いタレがイイじゃん！
コレは侮れないゼ！

● イカのカレー炒め

「カレー喰いたいっス〜！」

胡瓜嫌いなオヤジ2号が言い出した。
それなら海鮮系カレー喰いたいゼ！って探してたら、コイツが目に留まった。
イカと魚卵（イカの卵？）のカレー炒め。
ピリッと辛いゲソがイイカンジ〜！
コレはビールが進むナ〜。

「ご飯にかけたいっス〜！」

確かにオヤジ2号の言うとおりなんで、コレ頼んだヨ。


● カオパット プー

香米のカニ炒飯だゼ〜。
やっぱタイメシの〆にゃ、香米喰わなきゃおさまらない！
そのまま喰っても良し、ナムソムやナムプリックかけても良し、コノ香りたまんないヨ〜！
勿論、俺らはゲソカレーライスや、蟹玉のっけて天津飯でも愉しんだ。


オォ〜喰った喰った〜！
熱気とカプサイシンで汗ダクだけど、なんか爽やか気分のオヤジ達。
コノ暑さと喧騒の中でのウマイメシ、こりゃ日本じゃ絶対味わえないシチュエーション。
コノ店、ラフな佇まいからは想像できない旨さだった。
バンコク中華は、奥が深いナ〜。
オヤジ旅の最後を飾るに相応しい店だったゼ〜！

大満足なオヤジ達、さて、コレからどーしよう？
相変わらずノープランなオヤジ1号2号に、50オヤジから御提案。

「オマエら、《 カオサン通り 》行ったコトある？
バックパッカーの聖地で、中々面白いトコだヨ。
ココから、タクシー乗れば近いからサ。
そこ散歩してから、《 暁の寺院ワット・アルン 》が見えるリバーサイドのシャレオツなOPEN BAR
で打ち上げってのは、どうだ？›

「それイイっスね〜！行きましょうヨ〜！」

汗ダクオヤジ達は、バンコク最後の夜を愉しむべく、期待を胸にカオサン通りを目指し歩き出した …


後期
いゃあ、バンコクオヤジ旅、超楽しかったナ〜！
気心知れたオヤジ共だから、気兼ねしないのが良かったのかもネ〜。

また行きたいナ〜。
行っちゃうんだろうナ〜 俺 …


★ 御注意事項

今回、コーフンして星5付けちゃったけど、屋台的なトコロが好きなヒト限定の満点デス〜。
辛いの苦手なヒトや、清潔さに拘るヒトには向かないカモ〜。
ご参考程度に捉えて下さいマセ〜。