『暹羅国綺談３』「彷徨える日本人　前編」 : Thompson Restaurant and Wine Bar

バンコク来てるし50オヤジ。

ナニがカッタルイかって、旅先で道に迷うコトが一番カッタルイ。
ましてや、不案内な海外なんかは尚更だゼ。
昔は海外行くときゃ、その土地の地図とコンパスやガイドブックは必需品だったよナ。
昨今は、幸いスマホナビって便利なモンが有るんだけど、コイツがイマイチ信頼性に欠けるシロモノだ。
大まかな位置情報は把握できるんだけど、詳細位置となると時々間違えやがる！
今もコイツは、タニヤ通りのイカガワシイ区域をアッチだコッチだとオヤジ共を引き廻す…
深夜のタニヤ通りは、まだまだ暑くて汗が止まらない。
現地の奴らは汗ひとつかかないが、冬の東京から来た運動不足のオヤジ共にゃ、ちとキツイ〜！
ハァハァと俺の後ろを歩くオヤジ2号の息も上がって来た。
肥満体のコイツは、暑いの苦手・歩くの苦手・階段苦手の三重苦オヤジ。
コイツ、そろそろ限界か〜？って、思ってたら

「シャッチョ〜！オッパイイカガデスカ〜！○✖️□デ△□♢◎！メニメニスペシャルサービスベリ〜グッドネ〜！」

迷えるオヤジ達を格好の獲物と見て、ポン引き共が血に飢えた鮫のように群がって来る。
タイ女性の素晴らしさ、そのスペシャルサービスの何たるかを情熱を持ってプレゼンするポン引き共に取り囲まれ、
彷徨えるお疲れオヤジ達は、タニヤ通りで途方に暮れるのであった…


その日の午後、プールサイドの昼寝から目覚めたオヤジ共は、其々自由行動の後に現地集合
で晩飯喰いに行くコトにした。
50オヤジは《 ジム・トンプソン 》までお買物。
1人で行くつもりだったけど、オヤジ2号が付いて来たヨ。

「ソコは行ったコトないっス〜！」

「別にイイけどさ〜、サイアムの駅からチョイ歩くけど、暑いだの疲れただの文句言うんじゃねーゾ！」

「昨晩、ゆっくり休んだから大丈夫っス〜！」

昨夜は、タクシーでボラれて大爆発した50オヤジ。
今日は、ホテルのシャトルボートで、最寄りのBTSサパーンタクシン駅まで行くコトにしたゾ。
ホテル前の船着場から、シャトルボートに乗り込み出発だ。

約20人乗りくらいの木造ボートは、軽快にエンジンを響かせ《 チャオプラヤー河 》を進んで行く。
晴天の下、波をかき分け進むボートに50オヤジ達はチョイ胸が高鳴るゼ！
旅先で船乗ると、無闇にコーフン50オヤジ。
好きだワ〜こういうの！

10分程で、BTSサパーンタクシン駅に直結した船着場に到着した。
周辺のホテルからのシャトルボートや路線ボートがひっきりなしに発着し、活気があり中々賑わってる。
ここからBTSに乗りかえた50オヤジ達は、サイアム駅に降り立った。
さすがバンコク1番の繁華街、この辺は東京の街並みとさほど変わらない。
ココから歩いて15分程で《 ジム・トンプソン 》なんだけど、どうやって行くんだっけ…
3度目の訪問だけど、物覚え悪い50オヤジは大体のトコロしか覚えて無いヨ〜。
しからばって、スマホナビの出番だゼ。
瞬時に位置情報と道順を示してくれるんだけど、進行方向がわからない。
目印となる建物や道路表記が、タイ語や英語だとイマイチよくわからん。
こういうトキは、とりあえず目星を付けた方向に歩き出す。
50m程歩くと、GPSで進行方向が合っているか判断できる。
大抵間違ってるコトが殆んどなのは、どういうコト？
なんとか方向が分かったんで、歩き出した50オヤジ達だけど、後を歩くオヤジ2号が早くも遅れがち…
タオルで汗をフキフキ歩くコイツの足取りは、なんか重そうだ。
コノ暑さじゃ仕方ないんだけど、ちと早くネ？

それでも懸命に歩いていると、幹線道路から入る路地の先に《 ジム・トンプソン 》が見えて来た。

シルク王 ジム・トンプソンの邸宅敷地内にSHOPが併設されている。
バンコク観光のお約束なトコだけど、ココのシルク製品はセンスが良くて上質だ。
奥方へのお土産買わないと、ご機嫌ナナメになるから、50オヤジはバンコク来ると必ず寄るトコロ。
同じ敷地内には、イイカンジなレストランも併設されている。

「オ〜！シャレオツじゃナイっスか〜！」

アラ⁉︎先程まで汗ダルマだったオヤジ2号が、妙に喰いついて来たヨ〜。

「このシャレオツな店で、ルービー呑みましょうヨ〜！」

「シャレオツ・ルービーって、オマエは昭和の業界人か〜！でもまぁ、俺も喉乾いたから、そうすっか〜。」

んで、テラスの窓際席に陣取り、頼んだルービーは
《 SINGHA Light 》汗かいて乾いた喉に染み渡る〜！ウメェ〜！
アテに頼んだ鳥の唐揚げも、中々どうしてウメェじゃねーか！

コノ店初めて入ったけど、確かにシャレオツ。
中々センスがイイ佇まい。
店のスタッフも洗練された物腰でイイカンジ〜。
次回来るコトあったら、ディナーなんかに来てもイイカモ〜。

池の鯉を眺めながら、オヤジ2匹は和みタ〜イム！
汗が引いたトコロで、オヤジ2号が邸宅見学したいと言い出した。
俺は3度目だけど、まぁイイか〜って、お付き合い。
やっぱ、ココは何度来てもイイカンジ〜。
ジム・トンプソンって、元は建築家だけあってセンスがイイしディテールも拘ってる。
何よりも、空間の切り取り方が素晴らしいゼ！
オヤジ2号もシャレオツ連発して喜んでるし。

見学とお買物を済ませ、向かったのは夕闇迫る《 シーロム 》駅。
オヤジ1号と落ち合って、ルンピニ公園屋台村を目指して出発だ！
駅から歩いて15分程、ルンピニ公園の外れに
バンコク市内でも有名な屋台村が在る。
イサーン地方の鍋料理が有名なトコ。
レストランもイイけど、やっぱバンコク来たら屋台行きたいじゃん！
んで、汗をかきかきオヤジ三匹は、屋台村に御到着〜って …
やってナイじゃん‼︎
屋台の什器類が畳んで置いてあるけど、真っ暗で人っ子一人いない …
年中無休じゃナイの？どういうコト⁉︎
通りがかりの地元の兄ちゃんに聞いたトコロ、亡くなった《 プミポン国王 》の喪に服し休業なんだって 。
そーゆーコトなら仕方ないけど、コレからどうしよう …

目的地を失い、途方に暮れる三匹のオヤジ共。

その時、夕闇に潜みオヤジ共を虎視眈々と窺う謎の男がいた。
どうやらオヤジ共、誰も気付いていないようだ。

誰だ？何者だ？

怪しい謎の男に狙われている事など露知らず、バンコクの暑い夜を彷徨うオヤジ達の運命は如何に？

次回『彷徨える日本人 後編 』に乞うご期待願います。