中国4000年の歴史に新たなページが加えられた : 茶禅華

東京都は広尾にある中華、dancyuで特集が組まれており、非常に美しいメインのビジュアルに惹かれて、予約してしまいました（笑）
友人と広尾駅で待ち合わせし、時間があったので、歩いてお伺いしましたが、距離的に結構ありますね。

お店に行きますと、お店の前でお出迎えの方が待っていらっしゃいました。
住宅街の中にあり、一軒家で、さすがに風格がありまして、飛び込みで入ろうとは思わないスタイルです（笑）
料理長は、中華料理の麻布長江で10年、そして日本料理の名店龍吟に2年、その後、龍吟台湾の副料理長として2年働かれていた方でして、龍吟での修行歴が非常に気になるところです。

広々としたダイニングフロアは、テーブル数は少なく、昨今の流行であるオープンキッチンではありません。
食事に集中して楽しむ場所が創られており、竹が見えるダイニングの雰囲気も和中折衷といった印象を受けます。
コースはお任せ18,000円で税とサービス料別となっておりますが、飲み物はペアリングをチョイスしてこそこちらのお店の良さがわかるものと思います。
今回は、アルコールとお茶のペアリングをバランスよく出していただくようお願いしました。

最初の一皿は茶油素麺でして、緑茶のオイルが垂らしてあります。
食べたことがない領域にいきなり引きこまれた感がありますね、その優しさたるや…
前菜には２種類のペアリング。のっけから全力ですな～（笑）
衣笠茸に入れられた毛蟹はダイレクトに美味しい、素材の良さが出ています。
メニューはシンプルに表記されていたので、期待度が低かったチャーシューですが、火入れの妙。
味付けの妙、素材の妙、自分史最高のチャーシューでしたし、今後もこれを超えるチャーシューを食べる機会はないかもしれません。
クラゲも、滋味深い味わいは和の奥深さもプラスされている気がしますね。
ここに出てきたのは東洋美人のスパークリング、このお茶の力が凄まじい…
車海老真丈の春巻きも、ここの来ての揚げ物、優しかったコースに強弱を付けるためには良いタイミング。海老の旨さが引き出されていて、一つでは物足りなく感じる美味しさでした。
雉の産地から来ましたが、これだけ丁寧に作られたスープとはなかなか会うことができないでしょう、杏仁の香りに感動…素晴らしいスープ。これは和の素地があるからこそのスープではないでしょうか。
これまで、比較的和に寄った味付けでしたが、中華を意識したのが、大和豚の四川の香り炒め。
ガツッと食べる中華料理らしい一品でして、お肉の骨との間が超絶美味しいんです～。
口の中が辛かったのですが、メニューに載っていない無花果で口直し。大好物のサプライズでテンションアップ↑
ふかひれ姿煮も気仙沼産の国産高級ふかひれを惜しげもなく出してくださいます。
ふかひれってアリバイチックに出されて、美味しくないこともあるのですが、このふかひれは素晴らしかった～。
濃厚な味付けですが、全く凭れる感じはありません。食感にも全面降伏だ。
あ、ここで出されたティーペアリング、桃の香りがするお茶には参った参った。
こんなに美味しいお茶があるんだなと感動しきりでした。
金目鯛の焼物は葱と生姜のソースで、The中華とはまた違った手法により調理されており、皮目の焼きと中のふっくらした仕上がりは、和のそれ。
残ったソースを御飯にかけていただきたいな～と思ってしまいました。
続いては広東白菜の腐乳炒めでして、日本に中国野菜を創る専門の農園があるとのことで、そちらからの仕入れです。
確かに今まで出会ったことがない野菜、しかし輸入ではない鮮度と質の良さをしっかりと感じることができました。
そして、dancyuでそのビジュアルに一目惚れした小鳩が出てきましたが、うーむレフェで食べた鳩に匹敵する美味しさで、これは国境を超えた美味しさであると言えるでしょう。
お店のスペシャリテと思うので、ここにお伺いして鳩を食べないのは勿体ないと思います。
冷やし坦々麺は、量を選べる優しい仕様、ノーマルの量でお願いしましたが、こちらは辛さはそこまで強くなく、胡麻の風味が優しい担担麺でした。
メインディッシュの後に食べることを計算している担担麺と言えるでしょう。
台湾式のライチ紅茶も家で飲みたいオシャレ紅茶。
最後の杏仁豆腐は、二種類の杏仁。温度感で違いを作っていまして、これまたエンターテイメント性の高い一品でした。

既存のヌーベルシノワ系はフレンチに寄せ過ぎようとして、本来の良さがなくなっていたり、また小手先だけでオリジナリティが欠けてしまう部分もありました。
こちらの中華料理は、中華料理の新しいページを開いたと言っても良い料理の数々で、特に小鳩は継続的に出して行っていただきたいスペシャリテだと思います。
また、ワインもペアリングしてもらいましたが、断然に感動をくれたのはお茶のペアリングの方です。

総額で一人当たり32,000円程度で、決してお安くはありませんが、中華シーンに現れた新しい境地に達した中華を是非味わってみてください。