2回
2022/01 訪問
独創的な摘みと一味違う種が素晴らしい
「鮨 浩也(ひろや)」は異色の鮨屋だ。独創的な摘みと一味違う種が素晴らしい。
場所は浜松町駅から徒歩で10分程。小さな店で、個室は無く、8人掛けのカウンターのみ。石の壁と木のカウンターの組み合わせが斬新だ。ジャズ ピアノがBGMとして流れている。夜の二回転で、一斉開始。
大将の名前は浩也でなく本橋拓也氏と言い、店名はご自身の名前と父君の名前から一字づつ取ったそうだ。
大将はかなりの日本酒好きで、大将お勧めの日本酒のペアリングを頼んだ。ペアリングの酒量は少な目で(批判しているのではない)追加の日本酒も頼んだ。
摘みと握りを合わせるとかなりの品数なので、感想は一部についてのみ。
最初の摘みで心を掴まれた。白子を白味噌で味付けしたもので、上品でありながらネットリとした食感。
握りの舎利は少なめ。若干硬めに炊き上げ、赤酢と黒酢を使い分けている。酢は控えめで、舎利が強く主張するのではなく、種と合わせて美味しさを感じさせる。
最初の握りは何と鯖の棒鮨。棒鮨を切り分ける直前にバーナーで燻り、香りを付ける。視覚的にも面白いし、香りを纏った味も見事。
帆立貝の摘みは、フランス料理みたいなジュレを合わせている。
小肌の握りは他店に比べて酢は控えめで、むしろ微かな甘味を感じさせる。
摘みの3品目も面白い。薩摩芋の上に人参と苺から作ったピュレを掛けている。上品な甘味だ。
真鯛の握りとメカジキの握りも上質。
河豚は摘みと握りの中間みたいな品。多少硬めなリゾットみたいなご飯の上に焼いた河豚が載っており、独創的。
車海老の握りは、軽く揚げることにより香りが増している。
鮨屋にしては珍しく鯨も握られる。鮪に勝るほどの凝縮した鉄分感で、少し馬肉を思わせる。
筍の摘みは、微かな苦味が心地良い。
江戸前鮨屋では余り見られない鱒寿司は、上品な脂身。
鯵の握りは、青魚ならではの香りと程良い脂に陶然とする。
トロと雲丹を合わせた「トロたく雲丹」は、滑らかな食感。
追加で頼んだ穴子は、正統的な江戸前で、煮切りが見事。
締めの玉子に合わせて特別な日本酒が出される。大将のお勧め通り両者を合わせて口に含ませると、不思議なことにプリンみたいな味がする。
全体的に摘みが素晴らしい。握りに使うような素材をそのまま出すのではなく、キチンと仕事をしている。
握りは高級素材に偏らずとも、とても満足できるものだ。
「鮨 浩也」は個性的かつ素晴らしい鮨屋だ。
2022/01/23 更新
「鮨 浩也(ひろや)」に訪れたのは2年振り2回目だが、最近店の性格が変更したようだ。
系列店として高級点の「浩也 東京前」を開き(僕は未訪問)、創業者の本橋拓也氏は現在そちらを仕切っているという。元々の「鮨 浩也(ひろや)」は、少し価格帯を下げて、摘みの創作色を少なくし、後進の方が握っていた。加えて、立ち食いで更に価格帯を下げた店も開いたとのこと。精力的な展開だ。
場所は浜松町駅から徒歩で10分程。小さな店で、個室は無く、9人掛けのカウンターのみ。石の壁と木のカウンターの組み合わせが斬新だ。ピアノがBGMとして流れている。夜の二回転で、一斉開始。2回転目に臨んだが、20:30になるまでは店の外で待つので、雨が降ったら少し辛そうだ。
握りは以下の種。
かすご鯛
鮪赤身
金目鯛
烏賊
喉黒
鯵
車海老
帆立貝
鮪中トロ
それらの合間に供される摘み等は、以下のようなもの。
太刀魚とどんこ椎茸の椀
白海老と酒盗
魚の擂り身をパンに挟んで焼いたもの(握りての出身地である長崎の名物だそう)
蛍烏賊の茶碗蒸し
最後にプリン
以前と比べると、摘みが普通になったが、独創的な摘みは新たな旗艦店で供するのだろう。
握りも中々のもの。後進の握り手の腕は確か。シャリは酢を強目に効かせ、空気を間に含ませた握り方。握りを付け台に置くと、種の重みでシャリが少し縮む。
特に美味しかったのが喉黒で、シャリに海苔の佃煮を塗り、揚げた喉黒を手巻き寿司にして、手渡しする。脂を湛えた喉黒を揚げるという意外な手法が効果的。
穴子が無かったのが少し残念だが、今の東京で税込15,000円という価格を鑑みれば、お値打ちな鮨だと思う。