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「鮨 きのした」は、六本木の国立新美術館から西麻布に少し下った所に在る。大将の名前は、店名と異なり中村慎亨氏という。 集合住宅(マンション)の2階に在る店は、7人掛けのカウンターのみ。明るくも侘びを感じさせる内装。種のケースの代わりに保管棚が有り、冷蔵庫で冷えた種の温度をここで少し戻してから握るという。 魚介類の摘み数種の後に握りが続く。品数が多いので、感想は一部についてのみ。 僕はシャコを余り好まないが、この店のシャコの摘みは、タレが良いこともあって、美味しく感じた。 鮑の摘みは弾力感が有る。肝から作ったソースは、少し卵黄を混ぜており、ネットリとした背徳感のある食感。これは素晴らしかった。 鰻は蒸すのでなく焼いて、パリっとした食感にしているのが良い。 握りの舎利は、程よく酢を効かせており、舎利が強い個性を主張するのでなく、種を引き立てるような感じ。 烏賊の握りは、弾力と柔らかさのバランスが良い。 鮨屋で余り見かけないキスも、意外と鮨でも行ける。 コハダも僕は余り好まないが、この店のは酢の効かせ方が強すぎないので、楽しめた。 僕は個人的に大トロより赤身の方が好きだが、鮪の赤身の握りは鉄分を感じさせる上質なもの。 雲丹とイクラは鉄板の美味しさ。 穴子の握りは口の中で解れていく。煮切りのタレも美味しい。 玉子は工夫を凝らしている。椎茸などを細かく刻んだトロミのある出汁を添えており、これが効果的だ。 最後はトロたくの太巻きを手渡しで。 巨峰と洋梨のデザートは上品な味。 摘みも握りも水準が高い。大将と二番手は快活で、場の雰囲気が和む。満足した。 「鮨 きのした」は、六本木の国立新美術館から西麻布に少し下った所に在る。大将の名前は、店名と異なり中村慎亨氏という。 集合住宅(マンション)の2階に在る店は、6人掛けのカウンターのみ。明るくも侘びを感じさせる内装。種のケースの代わりに保管棚が有り、冷蔵庫で冷えた種の温度をここで少し戻してから握るという。 魚介類の摘み数種の後に握りが続く。品数が多いので、感想は一部についてのみ。 摘みの蛤は驚くほど大きく、程よい弾力感が心地良い。上品な出汁も素晴らしい。 甘鯛の松笠焼きは、皮のパリパリした感じが見事。 鮑の摘みは弾力感が有る。肝から作ったソースは、少し卵黄を混ぜており、ネットリとした背徳感のある食感。これは素晴らしかった。 鰻は蒸すのでなく焼いて、パリっとした食感にしているのが良い。 握りの舎利は、程よく酢を効かせており、舎利が強い個性を主張するのでなく、種を引き立てるような感じ。 烏賊の握りは、弾力と柔らかさのバランスが良い。 赤貝の握りはかなり大きく、味も見事。 僕は個人的に大トロより赤身の方が好きだが、鮪の赤身の握りは鉄分を感じさせる上質なもの。 金目鯛の握りは、脂の乗り方が良い。載せた薬味が味にアクセントを付けている。 雲丹の軍艦巻きは、二種類の雲丹を混ぜた独特のもの。 穴子の握りは口の中で解れていく。煮切りのタレも美味しい。 最後はトロたくの太巻きを手渡しで。 多くの鮨屋は最後に玉子をデザート代わりに出すが、この店は玉子をコースの中程で出し、最後は甘いデザートを出す。この日のマンゴーは美味しかった。 摘みも握りも水準が高い。大将と二番手は快活で、場の雰囲気が和む。満足した。
2024/11訪問
2回
Xera(店員はシェラと発音していた)Restaurantはバルセロナのグラシア通りの南から少し逸れた路地に在る。気楽な雰囲気でタパスと多めの料理の両方を供する店だ。 Google MapやTripadvisorの評価がかなり高いのに惹かれて訪れた。店内はクラブ ミュージックが大き目の音量で流れており、客達の会話の音量も高め。一瞬不安を覚えたが、料理はとても良かった。 焼いてかつ(恐らく)揚げてある薄いパンにトマト ソースを載せた突き出し。何気ない品だが、食感もソースもとても良い。 イベリコ豚のハムは、素材がとても良く、とろける柔らかさ。ワインが進む。 焼いた帆立貝は、自然な甘みが引き出されている。グリーン アップルなどから作ったソースも美味しい。 大きな蛸の脚。素材は柔らかくかつ弾力感がある。ソースの作り方を訊かなかったが、洋梨みたいな微かな甘みがする。これが蛸と意外に合う。 店の名物らしい豚の頬肉。牛の頬肉を食べたことはあるが、豚の頬肉は初めてだ。これが、とろけるような柔らかさ。薩摩芋のソースも柔らかい食感で、頬肉とソースが渾然一体となった食感が見事。 ここまでで終えるつもりだったが、隣の客がメニューに載っていないパエリアを注文していたのを見て、少し苦しいけれど追加した。米に具材が染み込んだ感じが素晴らしい。 デザートは、マンゴーなどの果物を、ブツ切りとメレンゲにしたもの。食感の対比が良く、爽やかな甘みと酸味。 Xera Restaurantは気楽な雰囲気で、料金も手頃。高級食材に頼らずとも、シェフのセンスで見事な料理を供している。 クレジット カードの非接触決済に対応しているので、Apple Payで迅速に決済できた。日本の多くの飲食店より進んでいる。
2023/01訪問
1回
13年振り2回目の訪問。 「ぎおん 阪川」は文字通り祇園の和食店だ。店内は8人掛けのカウンターと個室が2室。固定客を掴んでいるのか、コロナ ウィルスの緊急事態宣言が発出されている中でも客入りは良かった。 和食店にしては珍しく、アラカルトを提供している。一年中供していると思われる品に加えて、季節の魚介類を複数の調理方法で供しており、品数は目移りするほど多い。 注文に関わらず供される最初の皿は鱧の揚げ物。衣がとても軽く、中に詰められた梅肉の程よい酸味も相まって、素晴らしい出来だ。この先はお好みで。 蛸の造りは弾力感が見事。 いちじくの酒蒸しは、柔らかく微かに甘い。添えている白味噌が味わいを更に豊かにしている。 子持ちの鮎の塩焼きは、単純そうで滋味深い。 かなり大きな喉黒の塩焼きは、素材も焼き加減も最上。 スッポン鍋は筆舌に尽くし難い美味しさ。出汁は上品かつ力強く、出汁だけでも何杯も飲めてしまう。 唐墨は滅多に食べられない美味しさ。酒呑みにとっては堪らない品だろう。 ここまでが余りに素晴らしかったので、調子にのって人生で初めて鮒ずしを頼んだ。チーズを遥かに超える強烈な匂いで、興味深い経験だったということにしよう。 締めは鯛茶漬けで。 明るい大将は客に積極的に話し掛けてくれる。実際の調理を弟子が担当する場面も多いが、それでも料理の水準が高いのは、チーム全体の技量が高いからだろう。 阪川は、和食店ながらアラカルトを提供し、酒の当てになる品も多い。料理は美味しく、大将も明るい性格。 カウンターの和食店として理想的だ。
2021/09訪問
1回
銀座四丁目交差点に在り、テラスから和光の時計台を眺められる素晴らしい立地。料理は全般的にプレゼンテーションが練られており、素材や食感の対比が良く考えられている。現代的に軽くても印象に残る味。 3回目の訪問。 L'ARGENT(ラルジャン)は銀座四丁目交差点に在る。立地も料理も素晴らしい。 内装の基調色は黒と灰色と白。禁欲的な内装に花が華やかさを与えている。現代的な高級感に溢れる内装だ。 アミューズ ブーシュ的な品が二皿。先ずは、ムール貝をペーストに閉じ込め、焼いた生地で包んだ品。柔らかいペーストと生地の軽い食感の対比が見事だ。 ゴールドラッシュというトウモロコシの品種から作ったパンケーキみたいな品。白鱒の筋子を添えている。ホッコリとした柔らかい食感。 子羊のスペアリブという変化球。何と味噌や黒胡椒などで味付けしてある。下世話に寄りながらも洗練とした味わい。 メレンゲに閉じ込めた牡丹海老は、上品な甘味。胡瓜やディルの青臭さが変化を付けている。メレンゲの食感は儚い。 フォアグラは普通のそれとは異なる。掛川茶のソースとの組み合わせにより、しつこさを感じさせず、適度にネットリとした味わいだ。 ここで自家製のパンが出てくる。蒸した上で焼いており、中身はフワフワだが、外側はカリッとしており、単なる添え物でなく、料理としても成り立つようなものだ。 シェフのスペシャルテだという発酵マッシュルーム。薄切りにした生のマッシュルームを、ソースの上に浮かべている。このソースは発酵させたマッシュルームに卵を混ぜており、香りと食感が良い。 明石の蛸を揚げた生地で包んだ品。蛸の程よい弾力感と、生地の軽い食感との対比がとても良い。付け合わせのジャガイモは丁寧に漉してある。 鴨は焼き方が適切で、蜂蜜で少し甘味を付けたソースも美味しい。鴨にオレンジで甘味を付ける手法はしばしば見られるが、蜂蜜で甘味を付けるという手法が斬新。 スプマンテで覆った、口直しのパッション フルーツ。強烈な酸味と爽やかな甘味。冷やした温度感も適切。 マンゴーのデセールは、果肉、アイスクリーム、ソースそして下に敷いたフレンチ トースト風の生地の多重奏。 食後のお茶の際にはテラスに移動した。対角線上に和光の時計塔が見える景色は贅沢だ。 料理は全般的にプレゼンテーションが練られており、素材や食感の対比が良く考えられている。現代的に軽くても印象に残る味だ。接客は親しさを感じさせつつもプロフェッショナル。 立地、内装、料理、接客の全てが高い水準にある店だ。 2回目の訪問。 L'ARGENT(ラルジャン)は銀座四丁目交差点に在る。立地も料理も素晴らしい。 内装の基調色は黒と灰色と白だが、床は明るい茶色で、単調にはなっていない。テーブル クロスは無いものの、現代的な高級感に溢れる内装だ。 コースは品数に応じて二種類有り、我々は品数の少ない方を選んだが、少食の僕にとってはこれで十分だった。ワインはお任せのペアリングにした。アミューズ ブーシュとミニャルディーズの際に、シェフが挨拶に来てくれた。 菊芋のアミューズ ブーシュは、極限まで薄く揚げた皮の内側にネットリとしたペーストが盛られて、その上に削ったトリュフが掛けられている。食感の対比が素晴らしく、少量ながら印象に残る。 マリネしたカンパチは、上に薄く削った青リンゴを載せ、更に山葵などを練り込んだソースが掛かっている。様々な食感と味の組み合わせが見事。 パテアンクルートは、一転して古典的な味。美味しいが、他の皿に合わせて、もう少し現代的に料理しても良かったと思う。 ここで自家製のパンが出てくる。蒸した上で焼いており、中身はフワフワだが、外側はカリッとしており、単なる添え物でなく、料理としても成り立つようなものだ。 シェフのスペシャルテだというマッシュルーム。薄切りにした生のマッシュルームを、ソースの上に浮かべている。このソースは発酵させたマッシュルームに卵を混ぜており、香りと食感が良い。 クロムツは皮を微かに焦がした焼き方が見事で、シェリー ヴィネガー ソースが味にアクセントを付けている。添えた野菜は美味しくかつ美しい。 ホロホロ鶏は淡白になりがちな素材だが、トリュフ ソースが味に深みを与えている。少しレアな感じを残した焼き方も見事。 ラム レーズンのデセールは、液体窒素で粉状にしたホワイト チョコレートが掛かっている。適度に濃厚でありつつ食感が軽く、出色の出来だった。 お茶とミニャルディーズを楽しむ祭は、テラスに移動した。気温は若干低かったが、コートを羽織り、電気ストーブも付けてもらったので、和光の時計を眺めながら寛げた。 料理は全般的にプレゼンテーションが練られており、素材や食感の対比が良く考えられている。現代的に軽くても印象に残る味だ。接客は親しさを感じさせつつもプロフェッショナル。 立地、内装、料理、接客の全てが高い水準にある店だ。 L'ARGENT(ラルジャン)は銀座四丁目交差点に在り、素晴らしい立地だ。1年程前までティエリーマルクス東京店が在った場所だが、居抜きでなく、内装は完全に新調している。2020年12月に開店したが、その直後にコロナ ウィルスの第二次緊急事態宣言が発出され、多難な出だしとなってしまった。 内装の基調色は黒と灰色と白だが、床は明るい茶色で、単調にはなっていない。テーブル クロスは無いものの、現代的な高級感に溢れる内装だ。料理はお任せのコースで、ワインもお任せのペアリングにした。 アミューズ ブーシュの一皿目は、薄い生地の上にアオリイカやキャビアを載せたもの。生地の軽い食感とアオリイカのねっとりとした食感の対比が良く、微かな塩味の塩梅も見事だ。 アミューズ ブーシュのニ皿目は、 サブレに挟んだ鶏のムース。ムースの滑らかな喉越しに対して、サブレの食感は恐らく意図的に粗くしてある。 三皿目はうすい豆という豆を使った料理。一皿の中に、軽く茹でた豆と、豆から作った滑らかなソースと、豆を衣のように揚げた部位が入っており、豆の様々な味や食感を楽しめる。 四皿目は、鯛のマリネに粉末状にした緑色の野菜を添えている。詳しく訊かなかったが、鯛は恐らく昆布か何かで締めており、深みのある味だ。 ここで自家製のパンが出てくる。蒸した上で焼いており、中身はフワフワだが、外側はカリッとしており、単なる添え物でなく、料理としても成り立つようなものだ。 五皿目は、シェフのスペシャルテだというマッシュルーム。薄切りにした生のマッシュルームを、ソースの上に浮かべている。このソースは発酵させたマッシュルームに卵を混ぜており、香りと食感が良い。 六皿目は、リドヴォー(仔牛の胸腺)。リドヴォーの揚げ方が見事。 七皿目は、ソテーした平目をパイ生地で包み、野菜から作った色鮮やかなソースを添えている。パイ生地は極めて薄く、ソースもとても良い。 八皿目は羊。一見単にローストしただけみたいだが、中にニンニクを練り込むなど、芸が細かい。肉汁から作ったソースも丁寧な仕事振り。 デセールの一皿目は、ヨモギを粉末状にしている。上品な甘みと軽い食感。 デセールの二皿目は、チョコレート。驚くほど大きいが、液体窒素を使って膨らませているので、しつこさは感じず、アッサリと食べられる。添えた苺のソースも上質だ。 お茶とミニャルディーズを楽しむ祭は、テラスに移動した。気温は若干低かったが、コートを羽織り、電気ストーブも付けてもらったので、和光の時計を眺めながら寛げた。 料理は全般的にプレゼンテーションが練られており、素材や食感の対比が良く考えられている。現代的に軽くても印象に残る味だ。接客は親しさを感じさせつつもプロフェッショナル。 立地、内装、料理、接客の全てが高い水準にある店だ。
2023/07訪問
3回
宮川は札幌の鮨の名店で、札幌市街からタクシーで10分程だ。 夜の2回転制で、全ての客が同じ時刻から食べ始める。 店内は凛とした白木の8人掛けのカウンター一つのみだ。 摘みと握りを合わせて全部で20品程度が供される。 全てに感想を記すのは大変なので、先ずは摘みの幾つかについて。 帆立貝の摘みは、細切りにした帆立貝に葛を使ってとろみを与えている。 雲丹の摘みは、トマトから抽出したジュレを添えている。雲丹のねっとりした食感とジュレの甘みが良く合う。和食では珍しい技法だが、ジュレの抽出方法はフランス料理を参考にしているそうだ。 鮑の摘みは、鮑自体もソースも素晴らしい。ソースは乳製品を用いているかのようなコクが有るが、鮑の肝のみ用いているそうだ。 脂の乗った鰊と水茄子を和えた摘みは、清涼感が有る。 続いて握りの幾つかに付いて。握りは全般的に細長い。シャリは硬すぎもせず柔過ぎもせず、酢の使い方も控えめで、シャリが単独で存在感を出してくるのでなく、ネタと合わせて美味しくなるようなシャリだ。 細かく包丁を入れた烏賊の握りは、適度な弾力感がありながら、食べ易い。 鯛の握りは、脂の乗り方も弾力感も良い。 鮪の握りは、醤油に漬けており、熟成させたような深みの有る味だ。 小肌の握りは、余り酢を感じさせず、円やかな味わいだ。 鯵の握りは、脂の乗り方が素晴らしい。 摘みに出てきた雲丹が、今度は握りとしても供される。この握りが独特で、握りに鶏の卵の白身を掛けて、とろみを付けている。卵掛けご飯に雲丹を載せたような品だが、とろりとした食感が見事だ。 穴子は太巻き風にして供される。 鰹節でなく魚の骨から出汁を取ったという味噌汁は、力強い味わいだ。 追加で頼んだ時不知(ときしらず)は、柔らかくかつ脂が乗っている。 締めの玉子は、魚も練り込んだハンペン風。 全ての摘みと握りが高い水準にある。 ご主人や他の職人達も、穏やかな人柄で話し易い。
2020/08訪問
1回
立地、内装、料理、ワイン、接客の全てが高い水準
2020/02訪問
1回
長島は白金の鮨屋だ。 とても美味しく、かつ、現在の東京の水準を鑑みると料金は割安だ。 8人掛けのカウンターのみ。夜の2回転制の2回目に臨んだ。 魚介類の摘みを何品か供した後に、握りを供するというスタイル。品数が多いので全般的な感想のみ。 種の質は高く、白身や青物は弾力感を感じさせる。摘みの鰹などは微かな燻製香がアクセントを与えている。舎利は、硬さや酢の利かせ方が適切で、良いと思う。 大将は一見怖そうだが、実は話好き。この日は我々を含めて初訪問の客が大部分で、最初のうちは客席に緊張感が有ったが、大将が話好きと判ってきたら、雰囲気が和やかになった。 公共交通で訪れるのは不便で、最寄りの白金高輪駅からも12分掛かる。この立地ゆえか、味の水準を鑑みると料金は割安で、予約も取りやすい。再訪したい。
2025/11訪問
1回
Metis 六本木は、六本木に在る薪焼きのフランス料理店だ。 店の構造は複雑で、1階にカウンターと客席、2階に厨房が有る。下ごしらえは2階の厨房で行うが、薪焼きと盛り付けは1階のカウンターで行い、そのままシェフが客に皿だしする。 Amuses・Bouches/食の始まり 爽やかなメロンのガスパチョ。鰹は薪で香りを付けている。鮎は、味の組み立ては鮎と内臓と胡瓜という定石に沿ったものだが、素材をいったんパテにして練り込んで独特な食感にしており、出色の出来だった。 Secret../ひみつの…. 饅頭の中にフォアグラが入っている。 Thon de " Chu toro" d'Ehime cuit à la bâche avec Légumes de saison 愛媛県產 本鮪中卜口 薪燒 旬野菜 鮪は良質で、野菜は瑞々しい。何気ないが美味しい一皿。 Beignet d'Artichaut de France et Crevette tigrée de Kagoshima à la bûche Mascarpone, Caviar Osciètre et Pousse de Coriandre sauce Bisque de Crevette フランス産アーティチョーク 鹿児島県産車海老焼 福岡県産マスカルポーネ オシェトラ・キャビア マイクロコリアンダー ビスク これは凝った一皿だ。アーティチークと車海老という意外な組み合わせが効果的だ。車海老から取ったと思われるビスクも濃厚で、全体的に味に凝縮感がある。 Filet de Poisson Savre cuit au charbon avec Fèves sauce Lie de Saké aux Paloudes et à l'Aneth 千葉県竹岡産釣り太刀魚蚕豆 福光屋酒造大吟醸酒粕 九十九里浜産蛤ディル 太刀魚は淡白な素材で、フランス料理で使うのは難しい。無理に味を重ねるのでなく、薪で香りを付けて、淡白な素材に自然に変化を付けている。蛤は、適度な弾力感の絶妙な食感だ。酒粕を用いたソースは、主張は強くないが、滋味あふれる味わい。和食とは異なる手法で太刀魚の魅力を引き出している。 Carré d'Agneau de Sistron, France cuit à la bûche Fèves au Riz malté et au Piment フランスシストロン産仔羊背肉寿焼 発酵蚕豆 主菜の肉は幾つかの選択肢が有り、僕は羊を選んだ。シンプルに焼いてソースを添えたものだが、素材も焼き方もソースも見事だった。 Risotte de riz Carnaroli au Pot-au-feu de Langue de Wagyu fumé avec Truffes noires australiennes イタリア産カルナローリ米 黒毛和牛タン燻製ポトフ オーストラリア産黒トリュフ 締めの感覚でリゾットが出される。牛タンもとても良く、トリュフの香りと相まって、満足のいく締めくくりだった。 Granité à la Prune verte et au Shiso rouge avec compote de Prune et Fleur de Shiso 和歌山県産青梅”パープルクイーン” 赤紫蘇 花穂紫蘇 口直しのグラニテ。紫蘇の花を散らすのは、かなり手間が掛かっていそう。 Mangue bien mûre et Fruit de la passion Sorbet à la Noix de Coco, Piment d'Espelette, Citron vert 宮崎県産マンゴー 沖縄県産パッションフルーツ ココナッツ ピマンデスペレット ライム デセールも印象的だった。甘みと酸味が複雑に組み合わさっている。メレンゲには唐辛子も掛かっており、辛さのアクセントも加わっている。 お茶菓子も上質なもの。 シェフは薪焼きと盛り付けに専念しており、他の下ごしらえは部下が担当している。薪焼きの台は滑車で高さが調節でき、シェフは台の高さを頻繁に変えて火力を調整している。その点について食後にシェフに聞いてみたら、「これ(台の高さを変えて火力を調整すること)が無いと、単にキャンプファイアになってしまうので...」と矜持を感じさせる返事。 薪焼きを多用しつつも、味わいは単調になっていない。異なる素材や食感を組み合わせる構成能力が高く、薪焼きが無くても美味しい料理に、更に薪焼きが魅力を重ねるという感じだ。開業して1年でミシュランの一つ星を取ったのも納得する水準の高さ。
2025/06訪問
1回
apothéose(アポテオーズ)は、虎ノ門ヒルズ ステーション タワーに在るフランス料理店だ。 エレベーターを何回か乗り換えて最上階まで登ると、観賞用のプール越しに、息を飲むような夜景が広がる。この時点で気分が上がる。 内装は白を基調としたシックなもの。天井が高く、開放感がある。テーブル10卓と個室。メニューの各皿には詩的な名前が付けられている。 旅のはじまり 秋の詩 フランスが誇る...ジャガイモなのに 3種類のアミューズ ブーシュ。グジュールのしっとりとした食感。クレープ状の生地にほうれん草で味付けするなど、芸が細かい。プレゼンテーションも斬新。 森の恵み 蝦夷鹿 葉山椒 木の子とコンソメ スープ。コンソメには鹿の旨みが凝縮されている。葉山椒の微かな辛さが、味にアクセントを与えている。 主役が逆に 佐々木ファームのキャベツとキャベツ キャベツなどのパイ包みと甲殻類のソース。普通なら主役となる甲殻類をソースとして使っているから「主役が逆に」と題されている。パイ生地のさっくりとした感触に技量の高さが伺われる。ソースの香りに陶然とする。 根セロリの可能性 函館帆立 青柚子 シプレットオイル 根セロリや帆立貝を細かく組み合わせている。ソースの酸味が心地良い。 大地と海の共鳴 牛蒡 菊芋 函館白子 コヤリイカ 多様な食材をまとめ上げて、複雑な味を生み出している。 十勝 食肉料理人集団の魂 野菜マスター達からの贈り物 上質な鹿肉を適切な火入れで。添えた野菜も美味しい。 米ミネラル ここで意外な一皿が。シェフが前週に焼き鳥屋を訪れた際に締めの麺が気に入って、急遽メニューに付け加えたそうだ。素麺みたいな食感の麺を元に、オリーブ油で味に捻りを加えている。 山のこくわ こくわ ピンクグレープフルーツ ローゼル 新生姜 「こくわ(猿梨)」という食材を食べるのは初めてだが、キウイに似た果物だそうだ。「こくわ」やグレープ フルーツなどを、凍らせて細かく砕いたり、アイスクリームにしている。デセールながら、生姜の辛味がアクセントとなっている。 ほろ苦い余韻 キャラメルワールド かなり濃厚なキャラメル。複数のデセールの中で、淡白な味から濃厚な味へ繋がる流れを生んでいる。 お茶に添えられたチョコレートも良かった。 シェフは青山の高名なイノベーティブ系フランス料理店でキャリアを開始し、その後10数年間フランスで働いていたそうだ。パリのある店でシェフに就任して、2019年にミシュランの一つ星を獲り、2023年に当店のシェフとなるべく、スーシェフとパティシエとソムリエを伴って日本に戻って来た。 給仕達の制服はベージュ色で足元はスニーカー。シックな店ながら、接客は適度に親しげ。 料理は多様な食材の組み合わせが良く練られている。立地、料理、接客とも高い水準にある。開店して1年でミシュランの一つ星を獲ったのも納得。
2024/12訪問
1回
古典の基礎を踏まえながら現代的な凝った料理
2024/11訪問
1回
L'ARGENT(ラルジャン)は、かつて銀座四丁目交差点に在ったが、去年霞ヶ関に移転した。前の店舗を含めると通算4回目の訪問。 新店舗は、長いカウンターとテーブル2卓に個室1室。カウンターも客の間には十分余裕が有る。天井が高く、黒や灰色を基調色とした内装はシック。クラブ ミュージックがBGMとして流れている。 先ずは、デンマークのエブルスキーバーという品。チョウザメを傷つけずに採卵するサスティナブルキャビアとワサビの組み合わせをパンケーキで包んでいる。ワサビの鼻に抜ける微かな辛さが心地良い。 ニシンのマリネは脂が乗っている。 静岡県の地金目は昆布締めにし、皮を炙っている。更に梅のジュレや、液体窒素でパウダー状にしたホースラディッシュも添えられ、複雑な味となっている。 フォアグラは普通のそれとは異なる。掛川茶のソースとの組み合わせにより、しつこさを感じさせず、適度にネットリとした味わいだ。静岡産の食材が多いのは、シェフの出身地だから。 シェフのスペシャルテだという発酵マッシュルーム。薄切りにした生のマッシュルームを、ソースの上に浮かべている。このソースは発酵させたマッシュルームに卵を混ぜており、香りと食感が良い。 鹿児島県の赤座えびは、杉の木で包んで香りを移している。ソースは、シーバックソーンという柑橘類を使い、微かな酸味が有る。多彩な味や香りの要素が、絶妙のバランスを保っている。 和歌山のマナガツオは、香ばしく火を入れている。レモンをアクセントに、マグロの出汁と合わせている。付け合わせのズッキーニ(?)は、緑色と黄色が折り重なり、色彩設計も考えられている。 主菜は豚のスペアリブ。濃厚な旨味の赤身と、非常に融点が低い脂を合わせ持つ素材。脂身はしつこさが無く、美味しく食べられる。かなり攻めた品だが、肉で個性を出せる店は少ないので、こういう試みは良いと思う。 一つ目のデセールは、種子島のパッション フルーツと月桃に、泡状のソースを載せている。この店は酸味の使い方が上手い。 二つ目のデセールは、アイスクリームと蜂蜜の組み合わせ。食用花が添えられている。スタッフが花を盛り付けている様子がカウンターから見られるが、気が遠くなるような細かい作業だ。 食後の飲み物が何種類か有り、緑茶を選んだ。良いお茶だろうが、抽出をもう少し薄くした方が良いと思う。お茶菓子も上質。 カウンターを活かして、シェフが直接接客するスタイルに変わった。 料理は全般的にプレゼンテーションが練られており、素材や食感の対比が良く考えられている。現代的に軽くても印象に残る味だ。
2024/09訪問
1回
SéRieUX? (セリュー)は六本木のフランス料理店だ。ラルジャンの系列店なので期待して訪問したが、期待に応える素晴らしい店だった。 立地は六本木ミッドタウンと新国立美術館の中ほど。かなり大きなカウンターと、テーブルが2卓有る。カウンターは盛り付けや配膳に使われて、調理はその奥の厨房で行なうが、厨房と客席との仕切りはガラスで、調理の様子を遠くから眺めることができる。カウンターの色は灰色で、天井は黒。簡素だがモノトーンの内装はカッコいい。テクノ調のBGMが流れている。 コースが皿数に応じて2種類有り、皿数の多い方を選んだ。メニューのそれぞれの皿に素材の産地が記されているのは、ラルジャンと同様。 ペアリングは量に応じて3種類有り、480mlを選択したが、ソムリエが継ぎ足ししてくれたり、ラルジャンが好きと言ったらデザート ワインをおまけしてくれたので、全体ではかなりの量になった。 先ずは小さなフィンガー フードが五つも供される。 キャビアを載せたスミイカは、スミイカのねっとりした食感とキャビアの粒立ち、そして下に敷いた揚げたチップスとの組み合わせの食感が心地良い。 車海老は揚げており、全て食べられる。 フォアフラは少量で、アイスクリームのコーンのようなものに詰めており、しつこさを感じない。 穴子も毛蟹も堅実な味。 蛤の前菜は印象的だった。下に漉したジャガイモで作ったソースを敷き、ホワイト アスパラガスなどを添える。そこに火入れが浅いが高温の蛤とその汁を掛け、更に海草で作ったソースを掛ける。蛤と海草が香り高い。蛤の弾力感、ジャガイモの漉した滑らかさにアスパラガスがアクセントを加え、複雑な食感が生み出されている。 次は蕎麦粉のガレットという変化球。ペアリングはシードルという遊び心。 色々な魚介類のアラから引いたスープドポワソンは、上品な濃厚さ。蛍烏賊も美味しい。 アカハタは、身が半生で皮が微かに焦げているという卓抜な火入れ。ハーブなどから作ったソース ヴェルドレットは爽やかな味。 猪は出色だった。豚よりは旨みが有りながらも、臭みは全く無い。脂身は軽く揚げており、脂身が苦手な僕も食べられた。オレンジやワインから作ったソースは、軽いが存在感の有る味。 キウイとフロマージュ ブランシェで口直し。 抹茶とピスタチオとショコラの組み合わせは、適度に濃厚。抹茶とショコラの組み合わせは相性が良い。 系列店のラルジャンと同様に、食材の組み合わせや食感が良く考えられている。未だ知名度が低いせいか、料理の質を鑑みると料金は安め。再訪したい。
2024/03訪問
1回
パリで日本人として初めてミシュラン三つ星を獲得した小林圭氏。その小林氏が監修するレストランが、日本に増え始めている。店によって系列が異なり、御殿場のMaison Kei(メゾン ケイ)は、小林氏と和菓子の「とらや」のコラボレーションによるものだ。 僕は数年前にパリに訪れた際に、パリの本店の予約が取れなかったので、本店に一番味が近いと言われる御殿場店に訪れることにした。御殿場は期待に応える素晴らしい店だった。 東京から電車で訪れるのは難しく、我々はクルマで昼食に訪れたので、ワインは飲まなかった。給仕の話では、ワインを飲みたかったら、御殿場のアウトレット モールまでバスで訪れて、そこからタクシーで店まで来ることもできるとのこと。 交通が不便な代わりに眺めは良く、木の生い茂る庭が有るし、天気が良ければ富士山も眺められる。 先ずは4種のフィンガー フード。夏だけか一年中なのか聞きそびれたが、少し甘いソルベが夏の食事の導入部として嬉しい。 ガスパチョは何気ない感じだが、色々な素材が入っており、複雑な味わいだ。微かな苦味とメロンに起因する甘みに加えて、酸味も有る。てっきりグリーン トマトが入っているのかと思い、給仕に聞いてみたが、そうではなく、紫蘇やバジルが入っているのでそう感じたのではとの答え。 本店で定番の野菜のサラダ。写真は良く見るものの、食べるまで味が想像できなかった。レモンから作った泡が載っており、それを野菜とかき混ぜてから食べる。先ず野菜に力が有る。レモンの泡が、味と食感の両方に変化を与えている。鮪みたいな食感の素材が有ったので給仕に聞いてみたら、鱒とのこと。素材の力、そして味と食感の複雑さが生み出す逸品だ。 馬肉のタルタル。もちろん臭みは全くない。馬肉はネットリとした食感で、周りを覆うパイは、とても軽い食感。見事な対比だ。 魚と肉は複数から選べた。僕が選んだ鮎は出色だった。日本人のフランス料理シェフは、鮎に胡瓜などの瓜系の味を合わせる人が多いが、この店はその選択肢は取らない。肝から作ったソースが鮎の周りを覆うのは、しばしば見られる手法だが、この店のソースは平凡な店を遥かに凌駕する深みの有るものだ。サマー トリュフの香りも効果的。 肉は鳩を選んだ。素材と火入れはもちろん素晴らしいが、肉汁と味噌を使ったソースに驚いた。味噌の主張は控えめで、味に円やかさを加えることに徹している。フランス料理店の主菜は肉をシンプルに焼いたものが多いが、この店は独自の変化を付け、かつ高い完成度で纏めている。本店でも味噌は良く使うそうだ。 アヴァン デセールは、柔らかいフロマージュでベリー系の果物を包んだもの。オリーブ オイルが味に変化を与えている。食事の続きからデセールへの導入部にもなるような品だ。 デセールはパッション フルーツとメレンゲ。強い酸味と儚い食感の組み合わせ。「とらや」の餡が変化を加えているが、奇を衒った感じはせず、自然な組み合わせとなっている。 この店のシェフは、パリの本店で数年間スーシェフを務めた日本人で、小林氏も時々味見に訪れるそうだ。 どの皿も、様々な食材と味が組み合わされ、味わいが複雑ながら完成されている。和食の素材を取り入れているのが日本人ならではが、元となるフランス料理の腕が極めて高く、その上で和食の素材も取り入れている。素晴らしい料理だった。