「日本料理」で検索しました。
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13年振り2回目の訪問。 「ぎおん 阪川」は文字通り祇園の和食店だ。店内は8人掛けのカウンターと個室が2室。固定客を掴んでいるのか、コロナ ウィルスの緊急事態宣言が発出されている中でも客入りは良かった。 和食店にしては珍しく、アラカルトを提供している。一年中供していると思われる品に加えて、季節の魚介類を複数の調理方法で供しており、品数は目移りするほど多い。 注文に関わらず供される最初の皿は鱧の揚げ物。衣がとても軽く、中に詰められた梅肉の程よい酸味も相まって、素晴らしい出来だ。この先はお好みで。 蛸の造りは弾力感が見事。 いちじくの酒蒸しは、柔らかく微かに甘い。添えている白味噌が味わいを更に豊かにしている。 子持ちの鮎の塩焼きは、単純そうで滋味深い。 かなり大きな喉黒の塩焼きは、素材も焼き加減も最上。 スッポン鍋は筆舌に尽くし難い美味しさ。出汁は上品かつ力強く、出汁だけでも何杯も飲めてしまう。 唐墨は滅多に食べられない美味しさ。酒呑みにとっては堪らない品だろう。 ここまでが余りに素晴らしかったので、調子にのって人生で初めて鮒ずしを頼んだ。チーズを遥かに超える強烈な匂いで、興味深い経験だったということにしよう。 締めは鯛茶漬けで。 明るい大将は客に積極的に話し掛けてくれる。実際の調理を弟子が担当する場面も多いが、それでも料理の水準が高いのは、チーム全体の技量が高いからだろう。 阪川は、和食店ながらアラカルトを提供し、酒の当てになる品も多い。料理は美味しく、大将も明るい性格。 カウンターの和食店として理想的だ。
2021/09訪問
1回
料理は素材も調理もとても良い。出汁が見事。適度に気軽な雰囲気の中で、食事を楽しめる。 山玄茶(さんげんちゃ)は、祇園の和食店だ。 8人掛けのカウンターに加えて、個室が二つ在る。我々はカウンターに通された。 先付けは、滑らかな豆腐と弾力のある鮑とゼンマイの食感の組み合わせ。 走りの鱧の碗は見事だった。出汁は薄口ながら印象に残る。梅肉の酸味を加えた鱧も蕗も良質。 平目、烏賊、蛸などのお造りは、素材がとても良い。三種類の薬味で食べるが、その内のマスカルポーネが良く合うのに驚いた。 お勧めされた島根県の溪という酒は、切れと深みが両立しており、気に入った。 鰹のタタキは、身がキラキラ光って美しい。辛子と紅葉おろしの二種類の味付けで楽しむ。 餅米みたいな食感のご飯に乗せた喉黒は、適度な脂身。 鮎は出色だった。身が小さく稚鮎かと思ったが、琵琶湖(大将は滋賀県出身)の鮎は成魚でも小さいとのこと。微かな苦味が心地良く、骨まで難なく食べられる。山菜から作ったという緑のソースも鮎の味を引き立てている。 八寸は、鯛のちまきや蟹真薯や空豆や玉子など様々な品が楽しめる。 巻き寿司は、鮪の漬けと雲丹とイクラのとろける食感に陶然とする。 ここで、ホワイト アスパラガスの揚げ物という変化球が投げ込まれる。天麩羅専門店並みの揚げ方。並んだロースト ビーフも美味しい。 最後の鍋も素晴らしかった。蛤や筍やワカメが良質で、花山椒の上品な辛味が効いている。何より出汁が見事。 ご飯には色々な薬味を掛けて、味の違いを楽しめる。最後はご飯に濃厚な玉子を掛けたが、これは背徳感のある食感だ。 甘味が数種類。先ずはマンゴーのゼリーと苺。マンゴーのゼリーは、和食としては濃厚で、印象に残る。苺はそのまま出すのではなく、一手間掛けて周囲にゼリーを塗っている。 腹に余裕が有れば、更に甘味を追加できる。蕨餅とヨモギは上品な甘さ。最後の水羊羹は驚くほど柔らかい。締めは抹茶で。 接客は親しげで、積極的に話しかけてくれる。 料理の質を鑑みると、値段は手頃。 山玄茶(さんげんちゃ)は、祇園の和食店だ。 6人掛けのカウンターに加えて、個室が二つ在る。我々はカウンターに通された。 先付けは蟹や雲丹の酢の物。酢がとても美味しい。 煮物は鱧と帆立しんじょうと松茸の椀。出汁の味と香りが素晴らしい。 烏賊や鯛の造りは、素材の質が高く、弾力感のある食感だ。 戻り鰹のタタキは、辛子とぽん酢の二種類で食べる。微かな燻り方が適切だ。 鮑と餅米は、トロミのある出汁との食感の組み合わせが見事だ。 マナガツオの幽庵焼きも上質。 すすきなどで飾った八寸は見目麗しい。 変化球として投げ込まれた鮪の鮨は、鮨専門店に匹敵する出来。 大きな葉っぱで蒸し焼きにした牛肉と松茸と銀杏は香り高い。 炊き合わせは出色だった。冬瓜の茶碗蒸しだが、中にはフカヒレが入っている。滑らかな茶碗蒸しに、フカヒレの繊維感が変化を与えている。 白米に加えて、鰻の佃煮お茶漬けも頂いたが、これらも中々のもの。 甘味は二皿。 最初の皿はシャイン マスカットとオレンジのゼリー。ゼリーは極めて滑らか。 最後の水羊羹は驚くほど柔らかい。 接客は親しげで、積極的に話し掛けてくれる。 料理の質を考えると、価格は手頃。自宅の近くだったら、しばしば通いたいところだ。
2022/05訪問
2回
「炭火割烹 いふき」は祇園の和食店だ。黒い壁の伝統的な建物。店内はカウンターと個室が数室。我々は個室に通された。 先ずは少しずつ五品が供される。フランス料理のアミューズ ブーシュみたいな感覚だ。海老にカダイフ(中東の細い麺)を纏わせて揚げた品は、サクッとした食感と味噌のねっとりとした食感の対比が出色だった。炭火で焼いた鶉は、旨味が凝縮されている。蟹も上質。 続く造りは、グジと鮪の赤身。グジは表面を軽く焼いているのが効果的だ。醤油と塩の二種類で食べるが、塩も意外と良く合う。 鱧と松茸の椀は、上品だが淡白過ぎない出汁が出色。 伊勢海老は、海老の味噌と白味噌を合わせたソースがとても美味しい。 茄子と雲丹の皿は、茄子を軽く揚げてから焼いており、複雑な食感だ。これが雲丹と良く合うのが驚きだ。 焼き物は、4-5種類から二品選ぶ。僕はスッポンと喉黒を選んだ。 スッポンの焼き物は初めて食べた。上質な焼き鳥みたいな感じで、旨味が凝縮されている。 喉黒は柔らかいながらも、適度な弾力が有り、見事な焼き方だ。 焼き物は、真空パックで水分を抜いた後に炭火で焼いているという。 口直しの鮎の素麺は、サッパリとした感じ。 この後のご飯には、揚げた鱧とイクラが添えらている。ご飯の炊き方もとても良く、満腹に近かったが完食した。 甘味は二種類。数種類の葡萄に蜂蜜を掛けた品も、黒糖を乗せたアイスクリームも上品な甘さ。 板長は、ずっと和食の世界で生きており、他分野での修行歴は無いそうだが、和食の伝統に固執せずに、新たな要素や技法を積極的に取り入れている。和食を前進させながらも、完成度が高い。 接客はとても丁寧で、好感を抱く。
2021/09訪問
1回
4回目の訪問。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、曙橋の小さな和食店だ。最近の東京の飲食店でしばしば見られる現象だが、外国人観光客が多かった。英語で接客できる人が店員として入り、外国人観光客に対応していた。 鯛などの蕪蒸し。丁寧に漉した蕪のフワリとした食感と、出汁のトロミの対比が素晴らしい。 河豚の白子は、ネットリとした食感。微かな焦げ目の付け方も絶妙。 大阪の秋鹿という酒は想像以上に辛口だった。 めじ鮪の刺身は、脂が乗っている。 椀は、澄んだ薄口の出汁に、バチコの塩気がアクセントを付けている。 新鮮な河豚の切り身を熱い石に数秒間乗せると、身に締まりが出る。鮟肝と共にポン酢に付けて食すと、酒が進む。 山形政宗は芳醇で、好みに合っていた。 八寸はかなり手が込んでいる。 魚の焼き物は数種類から選べる。僕が選んだスッポンは、かなり脂が強いが、滑らかな喉越し。 海老しんじょうの練り加減は、周りのトロミの有る出しとの食感の対比が良い。辛子も味にアクセントを付けている。 締めの親子丼は、卵の半生の加減が絶妙。 デザートは果物のゼリー。和食店にしては甘味が強めで、個人的にはこういう味が好みだ。 料理は工夫が凝らされており、食感が良く考えられている。大将は控え目な性格だが、調理の合間に時々話しかけてくれる。満足した。 3回目の訪問。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、曙橋の小さな和食店だ。大将を含めて三人体制で回している。8席のカウンタが満席だった。 鯛を蒸した餡掛け。上に乗った山葵を解すと、良い香りが立ち込める。百合根も加わっており、渾然一体の食感が素晴らしい。 虎河豚の刺身。若干燻った河豚は、心地良い弾力感。肝を添えたぽん酢に付けて食べる。 めじ鮪の刺身は、山葵でなく辛子に付けて食べるが、この相性が意外と良い。 福島の「おだやか」という酒は、スッキリとした飲み口。 金目鯛の椀。金目鯛の皮を微かに焦がした焼き方が見事。出汁も上品。 香箱蟹は、蒸して身を解した上で、再度殻に詰めている。柔らかく、かつ凝縮感のある食感。 八寸。干柿でなんとバターを挟んでいる。和食に囚われない発想。この品や牡蠣の燻製などは、酒の当てにもってこい。 海老芋の椀は白味噌が上品。 モロコの揚げ物は、パリッとした食感が見事。 焼き物の魚は三種類から選べた。食べる方としては嬉しいが、食材の管理は大変だろう。僕が選んだキンキは、少し脂の乗った素材を、皮に微かに焦げ目が付いた見事な焼き方で焼いている。 スッポンの鍋。スッポンの身はトロリとした食感。出汁は上品かつ存在感がある。 ご飯は選択肢が幾つかあり、僕は白魚の土鍋を選んだ。 デザートは果物のゼリー。和食店にしては甘味が強めで、個人的にはこういう味が好みだ。 この日のコースは量が極めて多く、後半はキツかったが、美味しかったので頑張って完食した。品数をもう少し減らしても、満足度は変わらないと思う。 素材も調理法もとても良く、満足した。 半年振り2回目の訪問。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、6席のカウンターと一卓のテーブルのみという小さな店だ。二種類のコースの内、品数の少ない方にしたが、量は十分だった。 お茶に次いで供されたカマスの椀は上品な味わい。 フグの白子はネットリとした食感。下に敷いたお粥との相性も良い。 刺身が二皿続く。 あん肝と微かに炙った虎ふぐ、そして鰤も上質。 椀の出汁はしみじみとした味わい。 メヒカリの揚げ物は、軽い食感が出色。 八寸は様々な品が楽しめる。 穴子の焼き物は適度に脂が乗りながら、カリッとした食感。 月の輪熊の椀は、控えめな野趣が丁度良い。 ご飯に次いで供されたデザートは、芋とアイスクリームの組み合わせの妙。 料理は全般的に堅実な美味しさだ。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、6席のカウンターと一卓のテーブルのみという小さな店だ。二種類のコースの内、品数の少ない方にしたが、量は十分だった。 最初の皿は、蟹の身や雲丹にジュレを掛けたもの。有りがちな品だが、茹でて冷やしたホワイト アスパラガスを添えているのが斬新だ。 椀は燻った金目鯛と椎茸。燻った香が良く、出汁も上品。 造りが二皿続く。最初は上質なマコガレイと鮟肝。 続くイサキは、軽く炙っており、卵の黄身を溶いた醤油に付けて食べる。余り見かけない食べ方だが、炙ることによりイサキの脂が更に美味しくなり、黄身との相性も良い。 新鮮そうな蛍烏賊が三杯出てきて、刺身で食べるのかと思いきや、その横に熱した石が置かれる。蛍烏賊を片面ずつ15秒程石の上に置くと、微かに煙が立ち上り、味噌が溶け出してくる。この味噌が素晴らしい。視覚的にも楽しい。良くぞ、こういう調理を思いついたものだ。 空豆、海老、じゅん菜、平目のちまき寿司などの八寸も上品。 稚鮎は焼いた後に軽く揚げており、複雑な食感を生み出している。 肉厚の太刀魚は、焼いた後に軽く炙っているのが効果的。 アイナメは、葛餡仕立てだが、この餡もとても良い。 ご飯は、白米と親子丼の二種類があり、後者を選択した。卵のトロミに陶然とする。 デザートは複数の果物のジュレ仕立て。なんとトマトも入っているが、違和感の無い自然な甘さ。 料理は素材も良く、また他の店では見かけないような少し変わった調理法も上手く用いている。再訪したい。
2025/01訪問
4回
太月は表参道の表通りから少し奥まった所に在る。店内はカウンターと個室3室だ。コースを頼み、シャンパーニュ(Bruno Paillard)のグラスに続いて日本酒も頂いた。 先ずは薄い椀で出汁が供され、この店の味の基調を知る。 最初の皿は蓮根餅。供された瞬間に生姜の良い香りが立ち込める。感触はモチモチしており、香箱蟹を使った餡のトロミに陶然とする。 次の前菜は、春菊の白和え、海鼠、金柑、押し鮨など複数の品が盛られており、それぞれに丁寧な仕事が施されている。 椀は出汁が見事だ。スッポンを練り込んだ豆腐や軽く焦げ目を付けた下仁田葱などの具も美味しい。 刺身は、軽く燻った金目鯛が印象に残った。 鰆の焼き物は、味噌の甘味が良いアクセントとなっている。 鰤は標準的な味。 次に供されたのは「のりたまうどん」。文字通り、うどんの上に濃厚な卵、その更に上に磯の香り高き青海苔が掛かっている。意表を突く組み合わせだが、これが癖になるような美味しさだ。 締めの直前は猪鍋。猪は癖も少なく、出汁も濃厚ながら上品だ。これに濃厚な卵の黄身を好みに応じて掛ける。下世話と洗練の狭間で絶妙なバランスを取った逸品だ。 締めの金目鯛のご飯も美味しかったが、かなり満腹になり、半分程は包んでもらった。 和食店のデザートは淡白なものが多いが、この店のデザートはフランス料理のそれのようだ。アイスクリーム最中や栗のケーキが、ハッキリとした印象を残す。 店員は愛想が良く、気軽な雰囲気で美味しい食事を楽しめる。
2020/12訪問
1回
店は西麻布の交差点の近くにある。店内はカウンターと個室があり、この日は個室に通された。流行っており、夜2回転の営業だ。 肉を主体としつつ、他の色々な素材も提供するというスタイルで、皿数は13皿にも及ぶ。店員に聞いたところ、日本酒よりワインを選ぶ客が多いそうだ。確かにワインに合う味だ。 肉は神戸から、魚などは豊洲から仕入れているそうだ。肉の質は高く、刺しが過度に入らず赤身の感覚を味わえるのが良い。全体としてかなりの分量の肉を食べるが、調理法が多彩で、飽きることが無い。
2019/09訪問
1回
鮨 はつめは恵比寿の気軽な寿司屋だ。 少し変わった構造となっており、本店と姉妹店が隣合わせとなっており、両者がバックエンドを共有している。本店は6人掛けのカウンターと2人掛けのテーブル1卓。店内は明るく軽音楽が鳴っている。2回転制の1回目に臨んだ。 品数が多いので、全般的な感想のみ。客単価が安い店なので使える素材に限度はあるが、その制約の中で中々の鮨を提供している。鮪と白身と光り物をバランスよく握る。舎利の酢の利かせ方は控えめで、強い個性は無いが、好き嫌いが分かれないもの。穴子を握る際に笹の葉を巻き付けて、客の目の前でバーナーで炙って香りを付けるなど、エンタテインメント性も意識している。握りの合間に摘みが幾つか供されるが、これらは伝統的な鮨屋とは一味異なる。例えば、海老にカダイフ(中東の極細の麺)を巻き付けて揚げたものなど、工夫を凝らしている。 握り手の安齋勝氏は、(年齢は訊かなかったが)若そうで真面目な青年。鮨屋の料金が高騰した東京において、手軽な料金で楽しめる鮨屋は有難い。
2025/07訪問
1回
八雲うえずは、目黒区の八雲という住宅地に在る和食店だ。一般的には不便な立地だが、目黒区区民の僕にとっては訪れやすい。 店内は白木のカウンター。壁はモノトーンで、伝統的な和食店に比べて現代的な雰囲気が有る。調理と接客合わせて4人で、8人の客に対応していた。 冒頭の品は印象的だった。干し海鼠と椎茸を葛餡にし、表面は春菊で色を付けている。滑らかな葛庵の中で、干しナマコの弾力感が変化を与えている。 八寸が早い段階で供された。唐墨や海鼠などは酒のアテにも良い。 刺身は独特のプレゼンテーション。複数の刺身が、金属製の丸い器に載って供される。それぞれは味付けされており、醤油に付けない。質も良いし、鮃にビーツを載せるなど、和食の伝統に捉われない工夫を凝らしている。 蕪の白味噌和えは素晴らしかった。滑らかな食感と自然な甘み。 新潟の鄙願は、超辛口で、食中酒としては若干難しいと感じた。 皮に適度な焦げ目を付けた鰤の照り焼きは、家庭料理的な品をプロの腕で昇華させている。胡桃が味に変化を与えている。 和食店ながら主菜は牛肉。質も火入れも的確。 クエの炊き込みご飯は、具材の味の沁み方が良い。食べきれなかった分はお土産にしてくれた。 普通の和食店ならここで味噌汁が出てくるところだが、代わりに何とモリーユ茸のスープが供された。深い味わいで、香りも良い。味噌汁より美味しい。 デザートは蕨餅。柔らかく上品な甘さ。 八雲うえずは伝統に捉われず、工夫を凝らして、新たな和食を生み出している。接客も丁寧。
2025/02訪問
1回
炎水(えんすい)は中目黒の和食店。駅から少し離れ、飲食店が無さそうな所に店を構えている。 8人掛けの白木のカウンターと個室。大将は気さくな人で、場が和む。 この日は松茸尽くしのコースだった。大将は仕入れの際に余り注文は付けずに、届いた食材を見てから調理を考えるそうだ。松茸も、複数の生産者から仕入れたものを使い分けている。 先付は、6時間蒸した鮑に、胡麻豆腐と若芽と松茸。鮑は柔らかさと弾力感が両立している。 前菜は、全国各地より取り寄せた野菜を、様々な調理法で盛り付けている。八寸みたいな感じがする。 SP(スペシャル?)と題した皿は、気仙沼の吉切鮫ふかひれを唐揚げにして、蒸したご飯と合わせている。とても熱く舌が火傷しそうだったが、印象的だった。 ここで削った鰹節が生で、その後、出汁がそのまま供され、味の基調を知る。 鱧と松茸の椀。鱧は夏の魚だと思っていたが、この時期も意外と有るそうだ。鱧の骨切りは完璧。松茸の香りが良い。出汁は上品な薄口。 お造りは、明石の活〆真鯛と鹿児島出水の墨小イカ。真鯛は松茸で挟んでいる。お造りの素材には微かな弾力感が有る。 徳島県の白甘鯛は、衣を少し立たせた焼き方。紀州備長炭胡瓜の南蛮漬けを添えて。 箸休めと題して、薄く切ったすだちを浮かべた手打ちそば。出汁が上品。 鴨ワンタンは、フランス料理のようなインパクトを狙ったものでなく、優しい味わい。これも松茸で香りを付けている。 締めは松茸ご飯。そのまま食べても良いし、いくらや和牛しぐれ煮を掛けて楽しむこともできる。量がかなり多いが、食べきれなかった分は、お握りにお土産にしてくれる。 デザートはシャイン マスカットとババロア。和食らしい優しい味わい。 僕は普段余り松茸を食べないので、こういう松茸尽くしは新鮮な体験だった。料理は上質な素材を確かな腕で調理している。
2024/10訪問
1回
「浩也 東京前」は、「鮨 浩也」の大将だった本橋拓也氏が、2024年春に開いた新たな店だ。店名の「浩也」はご自身の名前と父君の名前から一字づつ取り、「東京前」は江戸前を進化させるという意味を込めている。 最近系列店が幾つかできたが、それらの関係は以下のようになる。 「鮨 浩也」: 元々の鮨屋。2024年春から、かつての二番手が一番手に昇格し、価格帯を若干下げた 「浩也 東京前」: 2024年春に開店。創業者は現在こちらを仕切っている。鮨も出すが、摘みの比重が高くなっている 「立喰い鮨 浩也」: 2024年春に開店。立喰いにして、手軽な価格を実現した鮨屋 さて、「浩也 東京前」。黒っぽい灰色を基調色とした内装でクラシカル音楽がBGMとして流れており、通常の鮨屋とはかなり異なる雰囲気だ。 鮨の数は減ったが、やはり美味しいと思う。種も良質だし、舎利も良い。舎利は硬めに炊き上げ、酢をやや強めに利かせている。空気を多めに含んでおり、鮨を付け台に置いてから、鮨が少し下に沈む。脂の乗った鯖を炭で燻って香りを付けた一貫は、特に印象的だった。大きな赤貝や脂の乗った金目鯛も良かった。 摘みの量が増え、むしろ摘みが主役となっている。 トマトや潤菜をジュレ仕立てにした品は、初夏に相応しい爽やかな味。 春巻は皮が薄く食感が軽い。 白子に中華料理風の麻婆を和えた品まで出てくる。 個人的には、鮨をもっと食べたかったとも思うが、摘みも魅力的だ。「浩也 東京前」は、摘みに凝った鮨屋というより、美味しい鮨も供するイノベーティブ料理店と言えよう。
2024/06訪問
1回
神楽坂まる富は、神楽坂の坂を登り切った所に在る和食店だ。 カウンターと個室2室の店内は、簡素だが凛とした雰囲気。我々は調理の様子が見えるカウンターを選んだ。ジャズが低い音量で流れている。 座附 冷やし茶碗蒸し 海胆めかぶ花穂 美味出汁ジュレ 海胆やめかぶなど複数の食材が、滑らかかつ微妙に異なる食感を紡いでいる。 椀 清汁仕立て 毛蟹真薯姫竹 木の芽 出汁が良かった。薄口ながら印象的。丁寧に解した毛蟹真薯の食感も素晴らしい。 造里 金目鯛 アオリ烏賊 鰹 藁焼き 行者大蒜 造りは二皿供される。 金目鯛とアオリ賊は素材の質の高さを感じさせる。 鰹は、藁焼きする様がカウンターから眺められる。かなりの量の藁を使って、かつ焼きすぎないように気を付けながら、香りを付けていく。行者大蒜の苦味が、味に複雑さを加えている。 焚合せ たい子 筍 若布 鯛の稚魚は初めて食べた。上品な味わいが凝縮されている。筍は軽く揚げて、食感に変化を加えている。 揚肴 岩手 天然山菜 タラの芽 こしあぶら こごみ 乾略富来 檸檬 幾つかの山菜を揚げて、苦味を楽しむ。ミシュランの星を取ってから外国人観光客が増えたが、山菜を説明するのに苦労すると、女将は苦笑いしていた。 肉肴 和牛ヒレ肉 炭火焼 山椒たれ 花山椒 しどけ酢味噌和え 親方(と女将が呼んでいた)の実家が精肉業を営んでいるそうで、そこから仕入れた上質な牛肉。花山椒の苦味や香りが味に変化を与えている。 食事 鯛 炊き込みご飯 香の物 味噌汁 鯛を贅沢に盛り込んだご飯も美味しい。食べきれなかったので、折に入れてお土産にしてもらった。 デザート くず餡玉 さくらんぼ 枕杷 デザートはアッサリとした味。 料理は奇を衒わず、正攻法で上質。手数が掛かっている。女将の接客はとても丁寧。
2024/05訪問
1回
明寂(みょうじゃく)は麻布の和食店だ。 8人掛けのカウンターと個室が2室で、意外と大きい。カウンターはかなり広く、隣の席との間隔は十分。カウンターは最後の仕上げや皿出しの為に使われ、調理の過程の大部分は隣の厨房で行われる。夜の2回転性で2回目に臨んだ。 品数が多いので 、感想は全般についてのみ。 出汁は鰹節や昆布から引かず、それぞれの皿の食材から水のみで引いている。出汁はとても上品かつ繊細。ご主人は理由を二点挙げていた。一つは、鰹節や昆布の生産量が減ってきている現状への対応(サステナビリティ的な観点か)。もう一つは、鰹節や昆布から引いた出汁は、出汁の味が強くなり、素材の味とぶつかってしまうとのこと。 気に入った皿の一つは鰤大根。鰤は皮にのみ火を入れ、程よく脂の乗った身はレアに近い卓抜な火入れ。 香箱蟹も良かった。外側を少し揚げており、中に解した身が詰まっている。 出汁を用いていない皿も、とても上品かつ繊細なので、食べ手の理解力が試される。僕の理解力は足りないと感じた。 接客は付かず離れずだが、必要な時には直ぐに対応してくれ、水準が高いと思う。
2023/11訪問
1回
珀也(びゃくや)は神楽坂の和食店だ。店名は大将の名前かと思ったが、(陽の沈まない)白夜をもじったそうだ。 簡素な内装。8人掛けのカウンターのみという小さな店を二人で回している。ピアノのジャズがBGMとして流れている。品数の少ないコースを頼んだ。 最初は上質なイクラがご飯の上に載っている。滑らかな食感。 走りだという銀杏は、上品でビールのおつまみに良い。 鯛の椀は、蕎麦との組み合わせで、堅実な味。 鰹の刺身は、辛子や塩で食べるが、これが中々のもの。 揚げたての茄子の煮浸し。万願寺唐辛子と組み合わせて。素材自体は淡白な味だが、恐らく意図的に出汁を濃いめにしてある。 鰻は本日最も印象に残った。蒸すのでなく焼いてあり、皮がクリスピーで香ばしい。 蛸や南瓜の椀。蛸は弾力があるのは良いが、噛み切るのに苦労したので、もう少し薄く切った方が良いと思う。 最後のご飯には、おかずとして焼いた鮭が添えられているが、意外と量があって、満腹になった。 大福餅にシャインマスカットを詰めたデザートは、上品な甘さ。 付かず離れずだが、適度に客達の会話に加わってくる接客は好印象。 コロナ禍の2020年に開店したそうだ。少しずつ客足が伸びてきているのは何よりだ。
2023/09訪問
1回
「鮨 きのした」は、六本木の国立新美術館から西麻布に少し下った所に在る。大将の名前は、店名と異なり中村慎亨氏という。 集合住宅(マンション)の2階に在る店は、7人掛けのカウンターのみ。明るくも侘びを感じさせる内装。種のケースの代わりに保管棚が有り、冷蔵庫で冷えた種の温度をここで少し戻してから握るという。 魚介類の摘み数種の後に握りが続く。品数が多いので、感想は一部についてのみ。 僕はシャコを余り好まないが、この店のシャコの摘みは、タレが良いこともあって、美味しく感じた。 鮑の摘みは弾力感が有る。肝から作ったソースは、少し卵黄を混ぜており、ネットリとした背徳感のある食感。これは素晴らしかった。 鰻は蒸すのでなく焼いて、パリっとした食感にしているのが良い。 握りの舎利は、程よく酢を効かせており、舎利が強い個性を主張するのでなく、種を引き立てるような感じ。 烏賊の握りは、弾力と柔らかさのバランスが良い。 鮨屋で余り見かけないキスも、意外と鮨でも行ける。 コハダも僕は余り好まないが、この店のは酢の効かせ方が強すぎないので、楽しめた。 僕は個人的に大トロより赤身の方が好きだが、鮪の赤身の握りは鉄分を感じさせる上質なもの。 雲丹とイクラは鉄板の美味しさ。 穴子の握りは口の中で解れていく。煮切りのタレも美味しい。 玉子は工夫を凝らしている。椎茸などを細かく刻んだトロミのある出汁を添えており、これが効果的だ。 最後はトロたくの太巻きを手渡しで。 巨峰と洋梨のデザートは上品な味。 摘みも握りも水準が高い。大将と二番手は快活で、場の雰囲気が和む。満足した。 「鮨 きのした」は、六本木の国立新美術館から西麻布に少し下った所に在る。大将の名前は、店名と異なり中村慎亨氏という。 集合住宅(マンション)の2階に在る店は、6人掛けのカウンターのみ。明るくも侘びを感じさせる内装。種のケースの代わりに保管棚が有り、冷蔵庫で冷えた種の温度をここで少し戻してから握るという。 魚介類の摘み数種の後に握りが続く。品数が多いので、感想は一部についてのみ。 摘みの蛤は驚くほど大きく、程よい弾力感が心地良い。上品な出汁も素晴らしい。 甘鯛の松笠焼きは、皮のパリパリした感じが見事。 鮑の摘みは弾力感が有る。肝から作ったソースは、少し卵黄を混ぜており、ネットリとした背徳感のある食感。これは素晴らしかった。 鰻は蒸すのでなく焼いて、パリっとした食感にしているのが良い。 握りの舎利は、程よく酢を効かせており、舎利が強い個性を主張するのでなく、種を引き立てるような感じ。 烏賊の握りは、弾力と柔らかさのバランスが良い。 赤貝の握りはかなり大きく、味も見事。 僕は個人的に大トロより赤身の方が好きだが、鮪の赤身の握りは鉄分を感じさせる上質なもの。 金目鯛の握りは、脂の乗り方が良い。載せた薬味が味にアクセントを付けている。 雲丹の軍艦巻きは、二種類の雲丹を混ぜた独特のもの。 穴子の握りは口の中で解れていく。煮切りのタレも美味しい。 最後はトロたくの太巻きを手渡しで。 多くの鮨屋は最後に玉子をデザート代わりに出すが、この店は玉子をコースの中程で出し、最後は甘いデザートを出す。この日のマンゴーは美味しかった。 摘みも握りも水準が高い。大将と二番手は快活で、場の雰囲気が和む。満足した。