肉団子は母の得意料理です。
五十年ぐらい前に中華料理店(理華菜館)で教わった下拵えで作っています。
その店は、JR国分寺駅南口 ロータリーに面したとても美味しい中華料理店でしたが、現在は営業していません。表にリーズナブルな店を構え、その横に高級中華料理店がありました。一階は仕切りのあるテーブル席で、二階にお座敷の宴会もできる部屋がいくつかあり、何度も利用しました。お酒を飲めるようになって父から白酒(パイチュウ、高粱を原料とした蒸留酒)を勧められ、飲んだ途端にクラっとして椅子から立ち上がることができなくなった思い出があります。
母は、肉団子を作るのが上手でしたが、この店の肉団子は外側がパリッとして中身がフワッとしていてとても美味しいのですが作り方が分かりません。ある時、父が女主人に「家で作ると硬くなってしまうのですが、どうしてですかねぇ」と聞いてくれました。そしたら「それは捏ねが足らないのでしょう」との返事をもらい、母は納得していました。
材料は、豚挽き肉、生姜、酒、塩、醤油だけです。
これをとことん捏ねます。中華鍋で180℃に熱した油(本当はラードが適している)で表面がきつね色になるまで揚げて完成です。白髪葱を添えて熱々のところを頬張ると絶妙な香りが鼻腔を抜け、ビールが進みます。
母曰く、「中華鍋を使うと上手に揚がるのよ」でした。