『【我が家のお節料理】大晦日に女衆が総出で作ります。』oggeti209さんの日記

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“食”は、生理的欲求であり、自己実現の欲求でもある。

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oggeti209 (男性・東京都) 認証済

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我が家では毎年大晦日におせち料理を作ります。

今日、料理屋、寿司屋、フレンチレストラン、イタリアンレストラン、百貨店、コンビニストア、スーパーマーケット、通販など何処でも扱っていますが、日本人でありますから伝統文化を伝承するため、八十八歳の母が指揮をとり、嫁、娘、孫娘と一緒に伝家の味を作ります。(四家族18人分)

私の役目は、包丁研ぎと基本出汁を引くことです。
出刃義久、本焼きの薄刃、牛刀コスミック鋼團十郎、鎌型日本鋼梅治、かね惣業務用洋包丁、かね惣ペティナイフの6本です。初めの2本以外は毎日使っていますので三日に空けず研いでいます。購入初期に比べかなり包丁の刃が細くなってきました。俎に柄を握っている指が当たるようになると使いずらくなるので御用納めとなります。
出汁は、10Lぐらい入る大鍋に一杯作ります。香深の昆布、鮪節、鰹節削り節を使い瓢亭の出汁を引く方法に倣い静かに引きます。二番出汁も同時に取りますので1時間以上掛かってしまいますが、出汁の香りが家中に広がり、いよいよお節料理を作り始めるという気構えができます。

黒豆だけは、五日間掛かりますので築地の山本商店から購入した豆を12月26日に水に浸した後、四日間弱火で炊き、甘蜜に二度浸けて大晦日に仕上ります。乾燥状態では真ん丸だった黒豆がラグビーボール状になるのが不思議です。

殆どの食材は、青山の紀ノ国屋で購入し、慈姑、漣痕、八つ頭などは事前に予約を入れておいて型の良いものを確保してもらいます。これらを一種類ずつ目方を量り、出汁と調味料の分量を決め、丁寧に煮〆ていきます。甘過ぎず、素材の甘みと旨みが凝縮している母が自慢の煮〆です。下茹でから味付けまで、火加減に神経を使いますので目が離せません。焦げてしまっては、全てが台無しになってしまいます。

数の子も紀ノ国屋ですが、日頃から鮮魚担当者と仲良くなっておくことで、売り場で型の良いものを選ってもらうことができます。高級食材マーケットといえども日頃のコミュニケーションの大切さを感じます。今年の数の子は例年に増して品質が良く、とても美味しく仕上がりました。

膾と菊花蕪の出来は、包丁の切れ味と比例します。ご覧のように大根も京人参も桂剥きをすることによって歯触りが全く異なってきます。しなやかでありながらパリッとした食感と酸味と甘みは、春の訪れを感じさせてくれます。

我が家ではNHKのあかしろ歌合戦は全く興味がないので観ません。最近はテレビは朝のBSニュースの時だけしかスイッチオンにしないので、静かにクラシック音楽が流れる中で調理が進んでいきます。午後7時には全ての料理が整い、それぞれの家庭に小分けされ、残る作業は調理器具の洗いだけとなり、最期に年越し蕎麦を茹でて、一番出汁で作った蕎麦ツユでもりそばを手繰りました。

おやすみなさい。
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