7回
2025/03 訪問
「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうか Vol.5 (お昼のコース料理編 )
雲丹とsauce beurre blanc
ソバージュのsauce beurre blanc ソース ブール・ブラン掛け
帆立貝の サフランソース掛け
車海老 Sauce Américaine
舌平目を三枚に下ろして上身下身を合わせてポアレする
ハンバーグ・ステーキ (ドゥミグラス demi-glace 掛け)
ビーフシチュー (ドゥミグラス demi-glace 煮込み)
パンナコッタ、清美オレンジジュース
焼きたてフロランタン
小川軒の料理本
表表紙
裏表紙
2025/10/11 更新
2021/02 訪問
「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうか Vol.4 (オムライス編 )
前回のレビューに「私も常連客として "オムライス" や "芝海老のあつあつピラフ" だけをいただき、この何処までも快適に設計された落ち着きのある空間、三重の白いクロスが敷かれたテーブルセッティング、外光とライティングが織りなす陰影礼讃、上質な調度品・什器類、そして、客と店が奏でる "さんざめき" を楽しみながら午後の "ひととき" をひとり静かにゆっくり過ごしたいと強く思います。」と、書きました。
また、「私はカウンターが主体の店が苦手です。」と、書いたのは、「瓢亭 本店」のレビュー最新版です。
https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B32042732/#126336371
私は、こちらの常連ではなく、ようやく、オーナー小川忠貞シェフに顔を覚えていただいた程度の訪問しかしていないのですが、今回は敢えて "苦手なカウンター席" を指定して「オムライスを食べたい。」と、訪問前日に電話を入れました。
***
三十歳の時に立てた計画に十年遅れて六十二歳で若隠居した私は、ほぼ毎日、朝、昼、晩の料理を作っています。おいしい料理を作ることは創造的で刺激があり、とても楽しいです。イタリアに住む娘の家に滞在すると料理好きな娘と競争してキッチンに立つのですが、イタリア料理は娘に敵う訳がなく、素材の使い方、調理方法など教えてもらうことが多いです。日本では、未だ現役の妻から「あなた、すし屋と天ぷら屋へ行くと目が矢印になっているわよ。」と、注意されることが何度もありますが、それだけプロの料理人の仕事が気になって仕方がないということです。こんな理由があり、カウンターで食べさせる Innovative 日本料理、フランス料理、イタリア料理、中華料理は、ほとんど経験がありません。
***
【アラカルトでいただいたもの】
・アミューズブーシュ (筍の素揚げ)
・オードブル三点
(グリーンアスパラガスのsauce beurre blanc ソース ブール・ブラン掛け)
(鮃のカルパッチョ、マスタードが少し入った小川軒基本の白いドレッシング掛け)
(帆立貝のサフランソース掛け)
・コンソメ (Meißen ブルーオニオンのカップ入り)
・オムライス
・焼き菓子 (カカオのスフレ)
・カフェ (小菓子付き)
今回は、オムライスを所望しましたので、これについて書きます。
この日は、オーナー小川忠貞シェフ以下七名の料理人が、必要最小限に照明を落とされた大きく清潔な整頓の行き届いた厨房で、極力音を立てず、大きな声も発せず調理をしている様子を具に見ることができました。厨房のコンダクターは、小川忠貞シェフです。フロア係から入ってくるオーダーメモを見ながらコンサートマスター役をこなしている副料理長(?)が私の目の前で全体の流れを淀みなく組み立てています。各人の力量が備わっているからこそ出来る無駄のない動きを追うことに私の 目は "矢印" になっていたのに相違ありません。この一流レストランの厨房は、映画「Dinner Rush」↓とは全く異なる景色でした。素晴らしい!
https://www.youtube.com/watch?v=CqFPBgQas_Y
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
本日の私のメイン料理は、 "オムライス" 。こんな衝撃的においしいオムライスを食べるのは、生まれて初めてです。
世界文化社出版の「小川軒の西洋料理」には、「オムライスはオムレツ料理のひとつ。具のピラフと周りの卵が同じくらいの柔らかさになるのが理想的です。トロリ半熟、のためには、何より手際とスピードが欠かせません。」とあります。
私の目の前で副料理長(?)が、玉葱を剥がして重ね、みじん切りを始めました。ここでは詳細を書けませんが、全ての仕事が丁寧で確かです。小川軒自家製の "ピラフの素"(赤ピーマン、ロースハム、玉葱などから作る) と "トマトケチャップ"(完熟トマト、玉葱、米酢などから作る) を加えながら具のピラフがフライパンの中に出来上がったと思ったら、大きなガスコンロ台(1.8m × 5.0mぐらいある) の反対側で鉄のフライパンを構えていた小川忠貞シェフに具のピラフが入ったフライパンごと渡すではありませんか。シェフの一瞬の技により見事なオムライスが完成しました。ふたりのトップ料理人が連携して作った極上のオムライスは、私にとって贅沢過ぎてナイフを入れることができず、暫しその全容に釘付けとなりました。
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私にとってカウンター席での食事は、興味深く、新たな知見を与えてくれましたが、料理が運ばれると、食べることと観察することの両立ができず、落ち着きのないものとなてしまったのは仕方がありません。できれば、滑り止めシートとプレイスマットを二重に敷いていただければ、心の平穏を保てたかもしれません。
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世界文化社「小川軒の西洋料理」表紙にあるメインダイニング
裏表紙にカウンターと厨房が載っている
筍の素揚げ
グリーンアスパラガスのsauce beurre blanc ソース ブール・ブラン掛け
鮃のカルパッチョ、マスタードが少し入った小川軒基本の白いドレッシング掛け
コンソメ (Meißen ブルーオニオンのカップ入り)
本日のメイン料理 オムライス
矢印が鶏肉、左枠がライス、右枠が玉葱、ほぼ同じ大きさに揃っている。ナイフとフォークを使ってゆっくり食べる。
世界文化社「小川軒の西洋料理」より転載、オムライスの作り方
熱々の焼き菓子 (カカオのスフレ) 大好き!
良い香りが立ち上る
小匙を入れると内圧が抜け、膨らみが萎む
2021/03/20 更新
2020/08 訪問
「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうか Vol.3 (オックステイルシチュー編 )
私も常連客として "オムライス" や "芝海老のあつあつピラフ" だけをいただき、この何処までも快適に設計された落ち着きのある空間、三重の白いクロスが敷かれたテーブルセッティング、外光とライティングが織りなす陰影礼讃、上質な調度品・什器類、そして、客と店が奏でる "さんざめき" を楽しみながら午後の "ひととき" をひとり静かにゆっくり過ごしたいと強く思います。
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この日、以前からお付き合いしている美しい女性をお連れし、ふたりでお昼の料理をいただきました。この店が初めてのその方に "究極のドゥミグラス" を召し上がっていただきたいと思い訪問の五日前に電話を入れると「申し訳ございません。時節柄、ハンバーグ、ビーフシチュー、タンシチューの用意がありません。」とのことで残念でした。が、「どうしてもご希望とあれば店主に確認しますので後ほどこちらから折り返しさせていただきます。」との言葉をいただき、期待が膨らみました。
【いただいたもの】
・白グラスワイン(Muscadet、彼女)
・ペリエ(レモン添え、私)← 公共交通機関ではなく車を使ったため、アルコールは飲めなかった残念
・アミューズブーシュ
・メルバトースト
・パンとカルピスバター(有塩)
・グリーンアスパラガス(アメリケーヌソース掛け)
・鮃のカルパッチョ(白いドレッシング和え)
・焼き帆立貝 (sauce beurre blanc ソース ブール・ブラン)
・パルマ産プロシュット、無花果添え
・アイナメのフリット (ラタトゥーユのソース)
・パリソワール、コンソメゼリー
・オックステイルシチュー
・レタスのサラダ (紫蘇、白いドレッシング和え)
・グレープフルーツゼリー
・巨峰とデラウェアの果汁とクレーム・ド・カシスのソース葛切り
・プティ フルール (焼きたてフロランタン)
・カフェ
三代目オーナーシェフ小川忠貞氏が、特別に用意してくれた料理は「オックステイルシチュー」でした。
この日は、ショーファードリブンで来店された老紳士(猛暑の中でもダークスーツにネクタイ姿)を囲む食事会が一階の奥の仕切られた部屋で催されていたので、たぶん、そのお裾分けをいただけたのではないかと思います。幸運でした。
さて、オックステイルシチューは如何に。
娘の住んでいるトリノの肉屋には、ガラスケースに1.0m以上もある皮を剥かれたオックステイルがドンと並んでいることがあります。これを大鍋に入る長さに切ってもらい、スパイスや香味野菜と共に長時間煮込んでテイルスープ (Zuppa di coda di bue) にしますが、関節の多いこの部位の肉は滋味深く、ゼラチン質が唇にまったりして身体が温まります。
「レストラン 代官山小川軒」のオックステイルシチューはドゥミグラス仕立てでした。大きな骨にまとわり付いている肉の量は充分であり、骨と筋から抽出される旨味とコラーゲンは脛肉よりも香りが穏やかであり、ナイフとフォークを使って簡単に外すことができます。
この肉にドゥミグラスの酸味、苦味、甘味、旨味が絡まり、素晴らしくおいしい! 私たちは会話も交わさず、本日のメイン料理をゆっくり味わいました。「料理には、ふたつのものしかない。うまいかまずいか。それを決めるのはお客さんだよ。」と仰るオーナーシェフ小川忠貞氏の言葉を借りれば「うまい」であり、「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうかと改めて感じました。
初めてお連れした美しい女性は、全ての料理に感激し「どのプレートも全ておいしいですが、こんなにおいしいオックステイルシチューが世の中に存在するのかと驚きました。」とのことです。私も二口分の米飯をもらい、ドゥミグラスを絡めるようにしていただきましたが、誰も見ていなかったら骨を手掴みし、舌で舐めてきれいにしたいくらいの仕上がりです。
敢えてもう一つ記述させていただくならば、「焼き帆立貝(sauce beurre blanc ソース ブール・ブラン)」の滑らかなソースについてお伝えいたします。
前回いただいた「帆立貝 サフランソース掛け」のソースは、泡立て器で30分ぐらい掻き混ぜて滑らかにしていたのですが、今回の sauce beurre blanc ソース ブール・ブラン は帆立のエキスが混ぜられ滑らかに仕上がっています。このような仕事を電動泡立て器やミキサーなどを使わず料理人が手間を掛けて手仕上げしているところに「レストラン 代官山小川軒」の素晴らしさがあります。
(私が調理する時も電動の器具は一切使わず、おろし金や擂鉢で調理するのですが、余分な熱の発生がなく、時間をかけた分おいしくなります)
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グリーンアスパラガス(季節外れだが良いものが使われている)
ヒラメの薄造り 白いドレッシング掛け、4mm角に切った青紫蘇
焼き帆立貝(sauce beurre blanc ソース ブール・ブラン)
切りたてのパルマ産プロシュット、皮を剥いたイチジク
アイナメのフリットをラタトゥーユのソースで
滑らかなパリソワール
コンソメゼリーが沈んでいる
長時間煮込まれたオックステイルシチュー
二口分の米飯をもらう
吉田健一氏。お父様は "人を喰って" 元気でしたが、ご本人はオックステイルシチューがお好みでありました。
グレープフルーツのゼリー
巨峰とデラウェアの果汁とクレーム・ド・カシスのソース葛切り
カフェ、焼きたてフロランタン添え
エントランスの奥に男女別の大きなWクロゼットがある
これは自宅の朝顔。毎朝、咲いてくれる。自然は素晴らしい。
2021/02/27 更新
2019/09 訪問
「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうか。 Vol.2 (ビーフシチュー編 )
主に "内食" を中心とした我が家の日常 "ケ" にあって "外食" することは "ハレ" であります。
朝昼晩、毎日調理していますので、日々の食事を "外食" や "買ってきたもの" で済ませている方に比べれば、その回数が多いとは言えません。数少ない "外食" で味の確かな店を選ぶ役目は私にあり、食事後の数日間、否、それ以上 何年経っても「おいしかったなぁ。」と、思い返すことのできる "ほんもの" の店を選んだ時、同席した家族の満足した顔を見るのは大きな喜びです。
では、どんな店が好みであるかと言うと、
1、永く営業している店(何十年何百年という歴史を持っていること)
2、自前の建物もしくは適切な賃料の店であること
3、パトロン(出資者)の店ではなくオーナー経営であること
4、誠実な店であること
5、清潔でナチュラルで居心地の良い空間であること
"おいしい" ことは当然であり敢えて挙げていませんが、 日本で "5番目の条件" を満たす店は少ないです。それは個人の体験と知識から生まれる価値観によって変わるものであり千差万別です。穴蔵のような空間を好む方も体育館のような無機的で広い空間に身を委ねるのが好きな方もいるし、三畳の茶室が良いという人もベルサイユ宮殿が好きだという人もいて、"好みの問題" と言ってしまえばその通りです。
私は、「レストラン 代官山小川軒」の一階フロアの空間が好きです。
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下書きの途中でうっかりアップしてしまいました。
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添付写真をご覧いただき、「料理には、ふたつのものしかない。うまいかまずいか。それを決めるのはお客さんだよ。」と仰るオーナーシェフ小川忠貞氏の言葉を借りれば「うまい」であり、「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうか。と、この店を訪れ、ご賛同いただければ嬉しいです。
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全ての料理が愛情を込め丁寧に作られ、塩梅が絶妙です。全く喉の渇きを覚えさせず旨味を凝縮させる調理はどのようにするのでしょうか。BGMの流れていないこのテーブル席からカップボードを挟み少し離れた大きな厨房には小川忠貞親方の指示の下、八名ほどの料理人が静かに、且つ、心地良い "さんざめき" のような音を立て客の食べ進む具合に合わせて調理をしている様子がカップボードと衝立の隙間から見えます。
どの料理も満足できる完璧なものですが、この日、ひとつだけ挙げると「焼きたての絶品マロンスフレ」です。ぜひ、添付の recipe をお読みください。
【追加】コメント欄から転用
私の評価で「5.0」を付けている店はたくさんあり、必ずしも各ジャンルで一軒ではないのですが、それらの中から「もう、他所の店へ行かなくて良い。」という店は少ないです。
日本だと「瓢亭 本店」と「レストラン 代官山小川軒」の二つ。
日本以外だと「Schwarzwaldstube」「The Four Seasons Hotel Milano」「Il Salumaio di Montenapoleone」の三つだけです。
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ナスのマリネとメルバトースト(奥)
この日のラタトゥイユは、今までいただいた中で一番おいしかった。
拡大、程よく冷たく甘く滑らかでおいしい!!!
ヒラメの薄造り 白いドレッシング掛け
カップボードを挟んで大きな厨房が見える
切りたてのパルマ産プロシュット・メロン
帆立貝 サフランソース掛け
泡立て器で30分ぐらい掻き混ぜて滑らかにしていた。素晴らしい食感!
鱧のフリット
酢橘を掛けてもフリットらしい香ばしさは変わらない
滑らかな南瓜のクリームスープ コンソメジュレ
ビーフシチュー ドゥミグラス
おいしい!!!!!
牛フィレ肉
ひと口のご飯をもらって最高のドゥミグラスを平らげる
グレープフルーツのゼリーで口直し
焼きたての絶品マロンスフレ、添えられたアイスクリームも生まれて初めてのおいしさだった。
ぜひ、recipe をお読みください
カップの敷紙
コーヒー
焼きたてフロランタン 焼き菓子はケーキの基本です。
きれいなテーブルクロスといつまでも座っていたい椅子
ナスのマリネ recipe
白いドレッシング recipe
ラタトゥイユ recipe
マロンスフレ recipe
2020/03/01 更新
2018/09 訪問
オードブル(7品)、スープ、ミニッツステーキ、デザート、コーヒー、プティ フルール、ワイン
学生の頃、先輩に連れられて行った新宿駅西口側の「ぼるが」という店で、焼き鳥を2本とチューハイを2杯頼んで二時間ぐらい粘り、恥ずかしながら天下国家を論んじていました。先輩が払った勘定は、ひとり300円以下、時間当たり価格は150円です。喫茶店の珈琲一杯120円で二時間以上議論していたこともあります。(45年前のことです)
「外食」して、偶に『時間単価の高い店はどこかなぁ。』と考えることがあります。
神様の耳が遠くなった頃から ”おまかせ” になってしまった「すきやばし 次郎」のレビューを見ると15分で3万円以上と書かれたものもあり、これだと時間当たりの価格は12万円を超えます。以前(25年ぐらい前)は、プラっと寄って "おこのみ" で好きなすし種を握ってもらいながら二郎親方と和やかに話をして一時間近く席に座っていました。現在、一本百万円もするワインをポンポン開ける店を除けば、この店の時間単価が日本一かもしれません。
「内食」では、パンとチーズとワインとルッコラがあれば、妻と二人で一時間でも二時間でも過ごすことができ、高価なワインを開けなければ時間当たりの価格は1,000円ぐらいです。ところが、蕎麦を茹でて5分で平らげてしまったら、それは2,000円を超え、腹は膨れますが、あっけなく終わってしまいます。忙しない日本人の食事は、お茶漬けさらさら、TKGスルスル、讃岐うどんズルズル、おにぎりパクパク、沢庵パリパリと簡単に済ますことが多いのかもしれません。
***
私は、食事をしながらゆっくり歓談する時に選ぶ店として「すし屋」と「そば屋」は適さないと考えますが、近頃は店の形態が変化して「割烹料理すし屋」や「懐石料理そば屋」が出現し、コミュニケーション好きで長っ尻の客が好んで使っているようです。この場合、時間当たりの価格は、前者で20,000円、後者で8,000円ぐらいでしょうか。カウンター席のすし屋、天ぷら屋では目の前に職人が立っていますし、横には他人が座っていますから、当たり障りのない会話しかできません。
一緒にいて楽しいひとを連れてゆっくり食事をしたい時は、静かなレストランか料亭の座敷が宜しいです。
「oggetiさん、ここ音楽が流れていませんね。」
「レストラン 代官山小川軒」には、BGMが流れていません。
何処までも快適に設計された空間、上質な調度品・什器類・テーブルセッティング、客と店が織りなすさんざめき、楽しい会話、これらがあればBGMは要りません。
お茶を飲んでいる最後に言われました。嬉しいです。
【この日、いただいたもの】
・白グラスワイン(Muscadet)
・冷たいラタトゥーユ
・メルバトースト
・パンとカルピスバター(有塩)
・鮃のカルパッチョ(白いドレッシング和え)
・蟹肉のチーズグラタン
・無花果、パルマ産プロシュット
・赤ワイン(Gevrey-Chambertin、ハーフボトル)
・ハムの入ったスモークモッツァレラのキッシュ
・帆立貝のサフランと肝のソース和え
・蕪のソース仕立て
・パリソワール(コンソメゼリー)
・A5級牛フィレ肉のミニッツステーキ https://www.kyounoryouri.jp/recipe/3588_ミニッツステーキ.html
・レタスのサラダ、紫蘇、白いドレッシング
・グレープフルーツゼリー
・巨峰とデラウェアの果汁とクレーム・ド・カシスのソース葛切り
・プティ フルール
・カフェとハーブティー
どの料理も満足できるものです。
今まで、牛フィレ肉のミニッツステーキを避けていたのですが、添えられた辛子醤油を少し塗って食べると、もの凄くおいしいことに気付きました。やはり基本は、"洋食屋" です。次回は、200gぐらい食べようかな。
***
お金の話は野暮ですから書きたくなかったのですが、この日の時間当たり価格は、丁度 10,000円でした。この内容と店の設え、サービスの質、雰囲気、ロケーションを考えると適正であります。
・
エントランスの生花が美しい
世界文化社 出版
冷たいラタトゥーユの作り方
鮃のカルパッチョ(白いドレッシング和え)
蟹肉のチーズグラタン
無花果、パルマ産プロシュット
ハムの入ったスモークモッツァレラのキッシュ
帆立貝のサフランと肝のソース和え
蕪のソース仕立て
パリソワール(コンソメゼリー)
A5級牛フィレ肉のミニッツステーキ
レタスのサラダ、紫蘇、白いドレッシング
口直し、グレープフルーツゼリー
ぶどうの葛切り
巨峰とデラウェアの果汁とクレーム・ド・カシスのソース葛切り
夜の光に照らされて
白いドレッシングのレシピ
ぶどうの葛切りレシピ
2018/09/17 更新
2018/04 訪問
風薫る季節の中で
東京は午前5時を過ぎた頃に日の出となり、樹木の芽吹いた葉から香りのある樹液がパチンと飛び散り、雨戸を開けると外気と共に良い匂いがスーッと部屋に入ってきます。
バスタブに湯を貯めながら米を研ぎ炊飯器のセットを済ませ、朝の散歩に出かけます。大凡1時間の決まったコースは6kmぐらいを歩くこととなり、程よく汗を掻き、そのままシャワーを浴びてゆっくりバスタブに身を沈めると窓からの鳥のさえずりが朝の静けさを感じさせます。
大きな公園と街路樹の多いこの街の表情は日毎に変化しますが、私はキラキラと眩しい新緑の季節が一番好きです。
現役の頃は、毎年のようにゴールデンウィークを挟んで海外旅行をしていました。今は出掛けたい時に観光ビザで滞在できる最大90日間/過去180日の期間内(シェンゲン協定加盟国)を自由に楽しむようにしています。従って今年は久しぶりに日本のGWを体験しています。街は意外と静かです。
***
この日、妻を誘い「代官山 小川軒」で昼食をいただきました。二日前の予約でテーブル席がひとつ空いていたため、ゆったりと過ごすことができましたが、当日はカウンター席もほぼ埋まっており、皆さん思い思いの昼食を楽しまれていました。最初に入り、アルコールもいただき、私たちが最後に店を後にすることになりました。心地良く、時の過ぎることを忘れさせてくれる空間は、いつ訪れても変わりません。おいしい!!!!!
【お昼のコース料理】
・湯剥きして冷やされたフルーツトマト
・メルバトースト
・筍の素揚げ(下味を付けた筍、銀座天一本店の天ぷらに似ている)
・温かいパンとカルピス有塩バター
・グリーンアスパラガス(火の通し方が素晴らしい、緩いベシャメルソース)
・石鯛のカルパッチョ(小川軒伝統レシピの”白いドレッシング”掛け)
・白魚のフリット(淡い焦げ味が軽妙)
・パルマ産プロシュット、メロン添え
・コンソメ(ロイヤルコペンハーゲンのティーカップに入っていたが、小さいスープ皿からスプーンで掬った方が良いと感じた)
・レタスのサラダ(”白いドレッシング”で万遍なく和えられている、不思議なおいしさ)
・舌平目のポアレ(骨なし、アンチョビ・バタークリーム)・妻はフィレステーキ(和牛A5級)
・グレープフルーツのゼリー(口直し)
・ババロア・オレンジジコンフィ(主デザート)
・カフェ ・妻はティザンヌ(Tisane)
【飲み物】
・シャンパン(Laurent Perrier Brut ハーフボトル)
・グラス赤ワイン(Bourgogne Cuvée Latour Rouge)
・グラス白ワイン(Muscadet-Sèvre et Maine)
・マール(Eau de vie Marc)
・Perrier
四月は、年度替りの月です。
新緑の頃に心がウキウキするのは、学生時代の記憶を引きずっているのかもしれません。新しい仲間、席替え、初めての授業、真新しい本の匂い、可愛い新入生、春の香り、眩しい光。
代官山 小川軒にも新人が二人配属されていました。
蝶ネクタイ姿が何処となくぎこちなく、先輩から教わりながら客に給仕しています。いいですね。たくさんの良き料理人とメートル ドテルを輩出してきた歴史と伝統のある店で基本を仕込まれることは、掛替えのない技量が身に付くはずです。
私は、緊張を解すように声を掛けました。
「新人は何人いらっしゃるのですか?」
「私と彼の二人です。」 ホッとした表情が顔いっぱいに広がりました。
湯剥きして冷やされたフルーツトマトとメルバトースト
筍の素揚げ
拡大
グリーンアスパラガス
石鯛のカルパッチョ
白魚のフリット
パルマ産プロシュット、メロン添え
カップに入ったコンソメ
おいしいドレッシングが塗れたレタス
舌平目のポアレ
アンチョビ・バタークリーム
グレープフルーツのゼリー
ババロア・オレンジジコンフィ
ラリック風ガラスパーテーションとピカソ写し壺(エントランスには本物もある)
外観(二階建て)
併設の菓子売り場で買ったシュークリーム
目黒 小川軒のシュークリームに比べ素朴なおいしさを感じさせる
2021/02/26 更新
2017/08 訪問
衝撃的な旨さ、代官山 小川軒のドゥミグラスソース(sauce demi-glace)
自宅でドゥミグラスソース(sauce demi-glace)を作るのは大仕事です。
ヘレン・ミレン主演の映画「マダム・マロリーと魔法のスパイス」↓に五つの基本ソースとして出てくる https://www.youtube.com/watch?v=Dvuz3ni1cJM
・ベシャメルソース(sauce béchamel)
・オランデーズソース(Sauce Hollandaise )
・ヴルーテソース(Velouté sauce )
・トマトソース(Tomato sauce)
・エスパニョールソース(Espagnole sauce)
この最後のエスパニョールソースの派生の一つが、ドゥミグラスソースです。
フォン・ド・ヴォーをベースにし、決して焦がさず三日間から四日間かけて作りますが、出来上がりを想定して途中は薄味にするところに豊かな想像力を必要とし、経験を積まないと味がグチャグチャになってしまい、出来上がった時に『なんか変だぞ』状態になり頭が混乱し、全て台無しになるのです。失敗すると不機嫌になり、早く忘れようと努力しなければならない羽目に陥ります。
***
この日の午前中、新宿副都心で用事のあった私は、前日に予約しました。
「お昼は、コースメニューとアラカルトのご用意がありますが如何いたしましょうか?」
「ぜひ、ハンバーグステーキをいただきたいのですが、ご用意は可能でしょうか?」
厨房へ確認する間をおき、「明日のランチですね。ご用意できます。」との返事をいただき、私は久しぶりにウキウキした気持ちになりました。この店のハンバーグステーキに使う牛のミンチ肉は、牛ステーキ肉を整える時に生じる良質の肉を使うため、一日に用意できる数量が限られています。
***
1905年創業、三代目店主 小川忠貞親方の声が響く厨房が一階フロアの半分以上を占め、隅々まで整った落ち着きのある洗練された空間です。奥に個室、二階にもいくつかの個室があり、大切な会食に利用されることでしょう。厨房には小川シェフを含め五人の調理人が真っ白なコックコートとコック帽を纏い、その静かな姿を鏡張りになった壁に写しています。
厨房と客間の間に背の高いカップボードが置かれ、その空隙から調理の様子が遠目で見えるように工夫されており、客と調理人との微妙な一体感を伴ったレストランです。両者を取り持つフロア係は、男性三人です。立て襟のシャツに蝶ネクタイを締めていますが、妙に気取ったところがなく自然体であり、料理や飲み物に関する問いに対しても即答できる知識を備えています。
最近の新進気鋭のフレンチでは礼儀正しく背筋を伸ばし、チョット格好つけた給仕スタイルが一般的ですが、私は少し窮屈さを感じることもあり、この店のようにナチュラルで良いのではないかと思います。
アラカルトの前菜として冷製のラタトゥーユとホタテの貝殻ポアレをいただきました。
ラタトゥーユは、少量ながら野菜ひとつずつの味が生かされ、全体としての野菜の旨味がやさしい塩味で引き出されています。私はこれを食べ、この店の調理が、「本物」であることを知らされました。
ホタテの貝殻ポアレはどのように作られているのでしょうか。
軽くフライパンでホタテの表面を焦がし、貝殻に移してから強火のオーブンで短時間焼いているのでしょう。貝殻についた細い海藻が焼けていました。しかし、ナイフで切ってみると中はレアであり、貝としての甘みが極限の状態に調理された絶妙な火の通し加減です。バターソースがこれをコーティングしています。美味しい!
さて、待望のハンバーグステーキは如何に。
直径100mm、厚さ60mmはあろうかと思われる大きな肉塊にたっぷりとドゥミグラスソースが掛けられ、クレソンが彩りを添えています。
まずは、暫し眼福です。こんなに大切に作られた料理をパクパク口に入れたら神様の罰が当たります。このプレートにどれだけの人の情熱と思いと時間が込められているのでしょうか。神だけが作ることのできる素材の数々、これらを収穫し厨房に運ぶ人々の思い、そして美味しい料理に仕上げる調理人の感性と技。私は、なんて幸せなのでしょうか。
ドゥミグラスソースは、想像を絶する仕上がりです。どのように仕込んだらこんな美味しいソースが出来上がるのか不思議です。肉と野菜の旨味、酸味、甘味、完璧な薄い塩加減、滑らかさ、香ばしさ、色、粘度、雑味のない本物だけが醸し出す最高のドゥミグラスソースです。
ハンバーグステーキは、焼いた肉の香りが芯の部分の肉にもありますが、焦げ目は僅かです。これもどんな調理をしているのか知りたくなりました。当然、最上級の牛肉が使われているのですが、断面を見ていただいてお分かりのように、一般的に表現される「中から肉汁がたっぷり出てくる」タイプではないのです。あの肉汁とは、閉じ込められた余分な脂身がカットした時に溢れてくるのであり、脂身の多い牛肉が使われている証です。この店の牛肉は違います。厚くこんもりしたこの形にヒントがありそうです。
素人が作るとフライパンで焼いてオーブンで火を通している間に”割れ”が生じ形が崩れてしまうのですが、カチッと仕上がりながら表面も芯までもフワッと柔らかく肉の香ばしさが際立つハンバーグステーキです。美味しい!!!
マッシュドポテトが添えられ、さらに残ったドミグラスソースをスプーンで絡めながらいただきましたが、写真のように残っています。自宅であればパンで拭ってきれいにするところですが、やめておきました。
テーブルで会計を済ませ、自然な笑顔で素敵な受付の女性に見送られ店を後にしました。
また食べに来よう。
ハンバーグステーキ1 (4,320円)
ラタトゥーユ
ホタテの貝殻ポアレ
ハンバーグステーキ2
ハンバーグステーキ3
ハンバーグステーキ4
カルピスバター(有塩)
レタスと青紫蘇
美味しいパッションフルーツ
プチロールケーキとカフェ
ハッシュドビーフ(ハヤシライス)
2021/01/21 更新
前回投稿以降、何度も訪問している最も気に入りの「レストラン 代官山小川軒」へは "おひとりさま" 若しくは、気心の知れた方をひとりお連れしています。おいしい料理を口に含んだ時に会話を要求されると喋るために口中にある物を急いで嚥下しなければならず 小川忠貞 シェフの繊細なメッセージを逸してしまうことが勿体なく、ゆっくり食べて表情だけで意思表示してくれる方と行くようにしています。
居酒屋、焼き鳥屋、おでん屋、カウンター日本料理店、イノベーティブ料理店へ行かない私の脳は神経を集中させる作業を同時にいくつか行うとどれも疎かになってしまいます。子供の頃から集中力は高いのですが CPUの処理能力が不足しているのかもしれません。そろそろ AMD Ryzen 9 9950X3D もしくは Intel Core Ultra 9 285K に交換しなければなりません。(笑
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4年間で食べた全ての料理については記載できず写真を撮るのも憚れる雰囲気があり、順不同ですが少しだけ添付いたします。
【いただいた料理】
・茸形パンとカルピスバター (有塩)
・ゆで卵(3分)、アクセントに小さなサイコロビーツ煮
・雲丹とsauce beurre blanc
・ソバージュのsauce beurre blanc 掛け
・舌平目の帆立貝入りムース、sauce beurre blanc 掛け
・鮃薄造り白いドレッシング掛け
・太刀魚のポアレ(poêlé)、アンチョビとケイパーのソース
・車海老 Sauce Américaine (車海老の殻と香味野菜を炒め fumet de poisson を加えて煮詰めて海老ミソを加える)
・車海老のファルシ (farcir、海老の腹に帆立貝と芝海老のフィリングを詰めてフライにしたもの)
・コンソメ
・舌平目を三枚に下ろして上身下身を合わせたポアレ(poêlé) アンチョビバター
・ハンバーグ・ステーキ (ドゥミグラス demi-glace 掛け)
・ビーフシチュー (ドゥミグラス demi-glace 掛け)
・レタスのサラダ、白いドレッシング掛け
・苺のグラニテ
・パンナコッタ、清美オレンジジュースに浸して
・焼き菓子 (カカオのスフレ)
・小さなチーズケーキ
・カフェ
・グラスシャンパン、グラス赤ワイン、グラッパ
・ペリエ
全て素晴らしく厳選された素材、丁寧で卓越した寸分狂わぬ調理の技、フロア係と調理場の連携の良さ。「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうか。
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