30回
2021/10 訪問
はまぐり蕎麦
再訪。半年振り。29回目。
この日のヒット作は、「はまぐり蕎麦」。
はまぐりのお出汁と返しとのバランスがとても綺麗。
一般的に、はまぐりのお出汁とそばつゆのお出汁とのバランスが綺麗なお店は散見されるが、
そこに返しが加わるとバランスが総崩れになってしまうケースが非常に多い。
はまぐりの磯臭さが強調されてしまうのだ。
ところが、こちらの「はまぐり蕎麦」は返しの効かせ具合がとても良い。
返しを主張させず隠し味程度にすることで、はまぐりの磯臭さが綺麗になくなっている。
それと。
返しを少なめにすることで、温かい蕎麦としての完成度も高くなった。
というのも。
個人的に、こちらのお店のかけそばはとても美味しいと思っているのだが、
不満があるとすれば返しが強過ぎる点で、とても勿体無いと思っていた。
かけそばを美味しく感じる味のポイントは人それぞれなので何がいいとか論ずるのは無粋だが、
少なくとも今回の「はまぐり蕎麦」のそばつゆは僕が美味しく感じるポイントずばりだった。
ただ、今回の蕎麦自体は、新そばに切り替わる直前だったためか、
味わい的には非常に弱く、あまり印象に残らなかった。
最後の「せいろ」も同様。
今はもう新そばに切り替わったようなので、美味しくなっているものと思う。
2021/11/21 更新
2021/04 訪問
玄蕎麦が美味しいと、そばがきも美味しい
再訪。28回目。
この日の大ヒット作は、「そばがき」。
玄蕎麦が美味しいと、そばがきはここまで美味しくなるのか、と感動。
ただし、美味しく頂ける食べ方のトップゾーンは非常に狭い。
以下、詳細。
そばがきは、お店によって提供の仕方は千差万別。
こちらでは、小鍋に蕎麦湯を張りそこにそばがきを入れた状態で提供される。
そこから、客が、そばがき(固体)と、蕎麦湯(液体)を蓮華で掬い取り、
小鉢に移してから、そばつゆ、塩、醤油といった好みの味で楽しむというスタイル。
楽しみ方のバリエーションが実に豊富。自由度が高い。
一般的に、そばがきは、使用する玄蕎麦の種類や状態やその挽き方や、
作る過程での水分量や温度やかき混ぜ速度によって、味が大きく変わる。
客からすれば、その日のそばがきはどんな状態なのか分からないので、
提供されてから、何口か食べてみて、どういう食べ方がよいか、
どういう味わい方がよいか(どこに味覚を集中させればよいかなど)、
を即座に判断する必要がある。
更にこちらのお店では、小鍋で温めながら提供されるので、
そばがき自体の味がどんどん変化していくので、難易度が増す。
しかしながらだ。
こちらのお店は、そばがきは楽しみ方のバリエーションが実に豊富であり、
その選択の自由は客側に委ねられているので、
味のピンポイントに上手く嵌ったときに、素晴らしい味の世界が開ける。
この日のそばがきは、小鍋の中で長めに温めて、
蕎麦湯とかなり馴染んだ状態までもっていって、とろとろになる寸前がベストな状態。
ここまでくると、蕎麦の味が開き、香りも開いてくるので、
そばつゆでも、塩でも、醤油でも、何でも合う状態になる。
お店のご好意で山盛りにしてくれたそばがきが、あっという間になくなった。
蕎麦割烹ならではの、そばがきの楽しみ方。
だからこそ、巡りあえた味。
2021/07/11 更新
2020/12 訪問
今回も腹パン
再訪。27回目。
4ヶ月ぶり。
こんなに間を空けてしまったのは初めてかも。
仕事が忙しくてなかなか行けなかっただけなんだけれど。
当日予約。「今日なんですけど、1名、入れますか」
鴨鍋を組み込んだコース。
こちらのお店の看板メニュー。
そういえば、初めて利用したときも、鴨鍋だった。
それから通いも通ったり27回目。
他の季節も良いけれど、やっぱり冬だよね。
鴨鍋があるし、魚介も美味しいし、蕎麦も美味しい。
「鴨鍋」は、鴨肉のクオリティがとても良く、鴨らしい味わい。
お鍋のつゆの出汁も、さすが蕎麦屋の出汁といった感じで綺麗。
そして、たっぷりの芹(せり)。強めの返しを芹がしっかりと受け止める。
芹の根っこも出汁と返しとしっかり馴染んでとても良い状態に。
こういう鴨鍋を1人客でも存分に楽しめるだけでも満足なのに、
更に「牡蛎フライ」が相変わらず素晴らしい出来栄えで悶絶。
じゅうろく定番の広田湾(陸前高田市)の大振りの牡蛎。
貝柱までしっかり。えぐみは一切なく、甘くてミルキー。
そしてやっぱり「蕎麦」。この日は少し硬めの方向性の仕上がり。
しっかりとした旨み。香り。トータルのバランスもとても良い。
この日は、八寸が素晴らしく豪華になっていた。
お造りも最高。
腹パン。
コースの途中で、鮨とか、雑炊とか、鴨鍋のそばがきとか、芋とか、
炭水化物がちょくちょく入るので、
次回はちょっと出し方を調整してもらおうと思う。
2020/12/28 更新
2020/08 訪問
蕎麦の美味しさが更に上がった
再訪。26回目。
一般的に、蕎麦は夏を迎えると急激に味が落ちると言われている。
そんな中、こちらのお店は、夏でも美味しい蕎麦を頂ける。
ただ、それでも、こちらのお店の2月3月のピーク時の味を知ってしまうと、
その後はどうしてもあの味を期待してしまうので、夏の蕎麦には
何となく物足りなさを感じていた。(誤解がないように言うが、
それでも他店より遥かに美味しい)
しかしながら、今回頂いた今年の夏の蕎麦は一体何なのだ。
全然味が落ちていないじゃないか。
どういうことだよ。(笑)
蕎麦を茹でる際に、美味しさがピークになるタイミングで引き上げられている。
そしてその状態の変化がゆっくりと進行するように冷水で締められている。
冷やしすぎてしまうと、蕎麦の味が広がらないので、
そうならないように丁度いい温度の冷水で締められている。
完璧。
蕎麦の味は、蕎麦そのものだけでなく、つゆだけでもなく、
この最後の茹でる工程と水で締める工程ですべてが決まる
といっても過言ではないことが如実に分かる。
素晴らしい完成度。
信じられないくらいに美味しいです。
それと。
今回スペシャルバージョンで出して頂いた松茸蕎麦が、
とてつもなく美味しかった。
もちろん松茸の味と香りが綺麗に乗っかっている点も良かったのだが、
それはどうでもいいと思えるくらいに、そばとつゆの出来栄えが完璧。
かけそばとして見たとき、
僕がこれまで全国で頂いてきた温かい蕎麦の中でダントツ。
蕎麦のゆで加減も抜群なら、つゆの返しと出汁のバランスも見事で、
そして、それらが合わさったときに、素晴らしいかけそばの世界が広がる。
浅草じゅうろくは、やっぱり蕎麦の店だよね。
2020/09/04 更新
2020/05 訪問
そしてまた新たな名物の誕生
再訪。24回目。
もう好きすぎてしょうがない。(笑)
コロナ自粛営業中のはずなのに、
また新たな名物が誕生していた。www
「鹿カツ」
以前にも鹿カツはあり、これも絶品の美味しさだったが、
今回仕入先を変えられ、また違った方向の絶品の美味しさ。
サラサラとした旨みと、キラキラとした華やかさがあり、
後口が綺麗に終わってくれる鹿カツだ。
これを鹿だと言わなければ鹿だと分かる人はあまりいないんじゃないかと思うような、
従来の鹿のイメージを根底から覆すような味わい。
蕎麦も、この時期なのに殆ど味が落ちていない。
また腕を上げられたのではないかと思う。
2020/06/28 更新
2020/04 訪問
鮨コースも美味
再訪。23回目。
今回は、普段のコースではなく鮨メインのコースにて。
(コロナ自粛中の特別メニューです)
じゅうろくの鮨の美味しさは、
土日のランチのみの営業形態「じゅうしち」で確認済み。
普段の夜のコースの中でも鮨を数貫を追加していただくこともあるが、
結論から言えば、
こうして鮨メインでコースを組み立てていただくのも、アリだなと思った。
コースの構成は、
鮨の前に、いつもの八寸、そして刺身。
鮨の合間合間に、何品かおつまみ。
そして最後に、定番の蕎麦とデザート。
やはり、鮨を多く頂くと、気持ちの高揚感が違ってくる。
コースの中に1貫だけ穴子の握りがあるのも嬉しいし(一点集中のぶっとぶ旨さ)、
コースの中に5貫ほどの握りがあるのも嬉しいし(その日の厳選素材のぶっとぶ旨さ)、
コースの中に10貫ほど握りを追加するのも楽しいけれど(一度やりました)、
最初から鮨ありきで組み立てられたコースの場合は、
序盤で鮨を楽しむための味覚の下地を作り、
中盤からはどの土台の上で鮨の旨さをたっぷりと堪能できるのだ。
味覚の準備もしっかりできているし、更に気持ちが段々と高ぶってくるので、
コースを終えたときに何ともいえない充実感がある。
金目鯛の握り、超絶的に美味しかったです。
車海老の握りも、最高。
うに、赤貝の握りは、言わずもがな。
どれもこれも、最高の産地の最高の食材です。
久々にまた「じゅうしち」に行こうかな。
2020/06/28 更新
2020/03 訪問
いつも僕の食欲を満たしてくれる
再訪。22回目。
これだけ通うには理由がある。
いくつも理由があるが、今回は、食欲に対する満足度について述べたい。
食欲には、大きく3つの要素があるのではないかと思う。
(1)美味しいものを食べたい
(2)お腹いっぱい食べたい
(3)いろいろ食べたい
じゅうろくは、コースの最初から最後まで、決して脇道に逸れることなく、
(1)も(2)も(3)もすべてを満たしてくれる。
僕は他の人よりも大食いなので、他のお店のコースではボリュームが足りなくて、
実は他店では幾ら美味しいお店でも欲求不満を抱えたままお店を後にすることが殆ど。
(1)(3)は満たせても、(2)は満たされない。
そこで追加のものを頼んだりしても、スペシャルなものが出てくることはなく、
単にお腹を満たすためだけに食べることになる。
そうすると、(2)と(3)は満たせても、(1)は満たされなくなる。
なので、僕にとっては、結構難しいことなのだ。
しかしながらじゅうろくは、
コース自体が結構ボリュームがある上に、
追加で出てくる料理も一流の味で出てくるので、
思う存分、美味しい料理でお腹を満たすことができるのだ。
今回追加で出てきた鮨も、蛤の椀も、カキフライも、超一流。
というか、カキフライは日本一だと思うし、
ウニの鮨も、こんなに美味しい馬糞ウニの鮨が出てくる鮨屋を他に知らない。
ちなみに。
今回の一番のヒットは、実は、白魚の天ぷら。
これはやばいわ。
白魚の美味しさを引き出すために、あえてこの衣にされているのだろう。
そんなわけで、何度訪れてもいつも新しい発見がある。
そうそう、食欲には、4つめの要素もあるんだよね。
(4)今まで経験したことがない味に出会いたい
そんな感じで、じゅうろくは、いつも僕の4つの食欲を満たしてくれる。
2020/06/28 更新
2020/03 訪問
コースの後でも蕎麦をお代わり
再訪。21回目。
少し間が空いてしまって3ヶ月ぶりの訪問。
蕎麦が一番おいしい時期を逃してしまったものの、
まだまだその名残が存分に残っており、
あまりにも美味しかったので、今回、コースの後に蕎麦を3枚。
最後は、山盛りにしてくれた。笑
まだ胃に入ったけれど、他のお客さんがお代わりできなくなりそうなのでストップ。笑
今回のハイライトは、蕎麦ももちろん美味しかったが、断然、金目鯛。
旨みに溢れた金目鯛。こんな美味しい金目鯛を頂いたのは、人生で初めて。
そして、もう1品。あん肝。
何これ、という感じでネットリしていて旨みに溢れている。
こんなに美味しいあん肝を頂いたのは、人生で初めて。
そして、添えられた奈良漬との相性が抜群にいい。
2020/03/30 更新
2019/12 訪問
クエのあらをしゃぶり尽くす
再訪。20回目。
ほぼ月1回ペースでの訪問。
これまでの僕のパターンでいえばそろそろ飽き始める頃なのだが、まったく飽きる気配がない。笑
さて。
今回は、クエ鍋コースで。
クエは鍋だけかと思っていたら、刺身でも、握り鮨でも。
結果、クエ三昧。
同行のお連れがクエに詳しく、食べ方を色々指南してくれた。
刺身は、つける醤油の量で旨さが激変する。
たっぷりつける。
分厚いスライスなのでたっぷりつける。
鍋の切り身は、火の通し加減で旨さが激変する。
たっぷりと火を通す。
脂こってりなのでたっぷりと火を通す。
鍋のあらは、どこまで食べるかで旨さが激変する。
たっぷりとしゃぶり尽くす。
骨の周りが旨いので可食部がなくなるまでたっぷりとしゃぶり尽くす。
今まで経験したことがない味わい。
僕の中でクエに対する世界観が広がった。
めっちゃ旨い。
そしてここまで食べ尽くすとめっちゃ気持ちいい。
2020/01/06 更新
2019/10 訪問
そしてまた新たな看板メニュー
再訪。19回目。
もう楽しくてしょうがない。
何がって。
行く度、行く度、新たな発見と新たな感動があるからだ。
この日は、「アジフライ」
これ、やばいやつだよ。まじで。
従来のアジフライの概念を全く覆す味わい。
鰺(アジ)は、肉厚で、そして鮨に使えるクラスの高貴な味わい。
こんな鰺をアジフライに使うお店なんて初めてだよ。
そして、この鰺を半生の状態に仕上がるように揚げる。
衣はカラッとさせた上で、だ。
とんかつとかなら分かるよ。豚肉は火が通りにくいから半生にしやすいよね。
でも、鰺って簡単に中まで火が通っちゃうから、こうした半生仕上げは難しいはず。
しかしながら、こうして半生仕上げにするからこそ出せる味がある。
中心部は、鰺の刺身から鰺の臭みが抜けて鰺の旨みだけが浮かび上がるイメージ。
周りは、鰺の軽いソテーのような、鰺の脂が活性化したような旨みが出るイメージ。
そして、ざっくりとした衣が、全体を纏め上げる。
いやはや凄い。
新たな看板メニューだ。
ちなみにこの日は、鴨肉の炙りも出色の出来栄えで、悶絶ものだった。
鴨肉でこんな味わいを出せる日本料理店は他にないのではないだろうか。
この日は、同行者の誕生日のお祝いでの訪問。
とても楽しく過ごさせていただき、感謝感謝です。
2019年で最も嬉しかった日になりました。
2019/12/30 更新
2019/09 訪問
チャラくない松茸蕎麦
再訪。18回目。
お店のFacebookに松茸蕎麦が載っていて、
なんでこんなチャライ蕎麦を出すようになったんだろうと思っていた。
松茸の香りで蕎麦の香りが台無しじゃないか、と思っていた。
ところがだ。
間違ってたよ。僕が。
全然チャラくないじゃないか。
それどころか、松茸と蕎麦は相性抜群じゃないか。
まぁ当然、この味を出せるのは、この蕎麦を、
この打ち方で、このつゆで、この茹で加減で、
正確に狙ったように調整して出せる技術と
出したい味の明確なビジョンがあってこそ。
いやはや、すごいな。
それにしても、蕎麦には厳しい時期なのに、
この松茸蕎麦もせいろ蕎麦も、旨みをしっかり引き上げて出してくれる技術は
改めてやっぱりすごいと思う。
鴨焼きの旨さも神がかっている。
2019/10/13 更新
2019/09 訪問
通常利用外口コミ
この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。
(備忘録)好みのシャリ
再訪。17回目。
土日のランチ限定で鮨を出すようになり、気になっていた。
鮨の美味しさは、ディナーのコースでたまに出てくる穴子の握りで確認済み。
今回、諸事情あり、特別に夜に鮨を握っていただいた。
結論から言えば、かなり好みのシャリ。
赤酢がとてもいい染み込み具合。ご飯にいい感じに馴染んでおり、
赤酢の酢酸の酸味とご飯の炭水化物の甘味がいいバランス。
急遽の訪問だったので、シャリを温めなおして下さるなど、
お店側にはかなり厳しい条件ではあったが、とても良かった。
以前の穴子の握りのときのシャリとも違っており、さらに進化した感じ。
シャリがようやくビシッと決まったということなので、
これから徐々にタネがこのシャリに合わせていかれるのだと思う。
この相性がビシッと決まったら、すごい鮨になるように思う。
2019/10/13 更新
2019/06 訪問
今日も楽しかったじゅうろく
再訪。16回目。
今回も、蕎麦が素晴らしかった。
この時期、玄蕎麦の味も香りもだいぶ弱くなっている筈なのだが、
様々な工夫によりそれを充分にカバーしており、
むしろ逆にそれにより個性的な蕎麦に昇華されていらっしゃる。
毎回、毎回、蕎麦の表情が異なる。
そもそも蕎麦に正解はない。
だから、「あぁこの方向で来たか」「あぁこれはこの方向で来たか」
という楽しみがある。
今回の2種類の十割蕎麦もその個性をしっかり堪能した。
じゅうろくは、基本的なコースの流れはほぼ毎回同じだ。
他店がこれをやると、僕はきっと飽きると思う。
でも、じゅうろくだと僕は全然飽きたりしない。
むしろ、それが好き。
何故だろうね。
通えば通うほど、好きになっていくんだよね。
今回、僕の誕生日会で利用した。
とても楽しくて、美味しくて。
ありがとう。
2019/06/22 更新
2019/06 訪問
蕎麦つゆが美味しくなった
再訪。15回目。
蕎麦つゆが美味しくなった。
これまで、正直、蕎麦の美味しさに対してつゆが若干合わないなと感じていたのだけれど、今回はベストマッチ。
蕎麦の前の天ぷらで出てきた天つゆのときからいつもと違うことに気づいたけれど、蕎麦つゆで確信。
醤油の枯れた感じが加わり、つゆがグッと良くなった。
香りがいつまでも続き、味わい的にも一本芯が通ったようなどっしり感。
そのまま飲んでも、蕎麦を浸けても、蕎麦湯で割っても、オールマイティに美味しい。
また、空になった器も、いつまでも香りが続いてくれる。
器で鼻と口を覆うようにして鼻で息してみてほしい。その良さがすごく良くわかるから。
今回の蕎麦も素晴らしい出来栄え。
毎回、微妙に蕎麦の性格が異なっていて、引き出しの多さに驚かされるんだけれど、今回は特にビックリした。
長野の小布施の「せきざわ」の蕎麦にそっくりの蕎麦が出てきたから。
この方向性の蕎麦は「せきざわ」でしか出せないと思っていたけれど、ここじゅうろくで出てくるなんて。
このつゆと蕎麦があれば、東京ではオールシーズン無敵だろう。
鱧のお腕のお出汁も実に見事だった。
こういう出汁でお腕を出してくれるお店は東京では皆無ではないだろうか。
2019/06/17 更新
2019/05 訪問
ヒレカツもやばい
再訪。14回目。
この日は、久々にヒレカツを頂いた。
およそ1年ぶりだったのだが、更に美味しくなっていてビックリした。
衣が変わりましたよねと訊いてみると、変えていないとご主人。
いえ、1年前の写真と比べると、明らかに違っております。
大井町の「丸八」のような手法を一部採り入れましたよね。
これにより、ヒレ肉と衣の一体感が更に増し、衣のサクサク感も楽しめるようになって、
ヒレ肉の味わいが更に広がるようになった。
日本で一番美味しいヒレカツではないかと思う。お世辞抜きで。
蕎麦も相変わらず素晴らしく美味しかった。
「黒」の出来栄えが秀逸。香りの出し方がすごくいい。
しっかりとした蕎麦の旨みが土台にあり、更にこの香りがくるなんて。
啜っても美味しく、咀嚼しても美味しい。全包囲網で美味しい。
「白」の方が美味しいという声が多いそうだが、僕個人的には、
この「黒」の個性は他の蕎麦屋には全くないものなのでとても気に入っている。
この日も大満足。
2019/06/02 更新
2019/03 訪問
通常利用外口コミ
この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。
(備忘録)うどんの会
再訪。12回目。
今回は、特別営業のうどんの会にて。
以下、備忘録として。
コース内容:
(1)若竹煮
(2)うどんのフリッターとコプラ(?)のサラダ★
(3)生うにとホタルイカ
(4)かまかけ★
(5)牛ステーキとアスパラ
(6)豆腐
(7)ざるうどん★
(8)かまあげ★
注)★がうどんメニュー。
(2)のうどんのフリッターは、衣が強すぎるのでうどんの味がぼやけてしまう。
コプラ(?)のサラダは、ココナッツの風味と食感が面白い。
ソースはエスニック風。生唐辛子ベース(?)で、素晴らしくおいしかった。
このソースが、この日一番のヒット。
この手のソースとしては、エスニック専門店を遥かに凌駕するくらいに美味しかった。
(4)かまかけは、つゆに改善の余地アリか。麺もいいし、つゆもいいんだけれど、
相性的にあまり合わない印象。
(5)の牛ステーキは流石の逸品。アスパラも美味しい。
ふきのとうのソースも良かった。
(7)は、あえて太さを乱切りされていたが、逆効果。食感的に均一でないことよりも、
うどんから抜ける塩分が均一でないことが気になった。
上に乗ったひもかわはとても美味しかったので、ポテンシャルはあると思う。
(8)かまあげが、この日頂いたうどんの中では最も良かった。
ただ、つゆをつけるとうどんの味がつゆに負けるので、うどん単独でちょうどいい感じ。
2019/06/02 更新
2019/02 訪問
丸岡在来種も美味
再訪。11回目。
今回は久々に4名利用。
鴨鍋コースに刺身を付けて。(8,500円+1,500円+税)
それと、日本酒と追加そばを。(プラス3,000円くらい)
今回も良かった。
今回のハイライトは、ズバリ、蕎麦。
蕎麦粉は、丸岡在来種。前々回の大野在来種があまりにも素晴らし過ぎたので、
それと比べると酷な面もあるが、今回の丸岡在来種もかなり美味しかった。
蕎麦の旨み、甘み、香り、がすべて際立っていた。
際立ちすぎて、胡麻や山葵といった薬味を寄せ付けず、
また、つゆの旨みをも寄せ付けないほど。
何も要らない、蕎麦だけでそのまま啜って頂くのがベストな蕎麦。
つゆとのバランスで美味しくなる蕎麦も良いが、
単独で頂く方が美味しい、個性が際立つ蕎麦も良い。
まぁ、突き抜けていれば何でもアリだ。
そして、常連客限定の、
かなり無理を言っても出してくれるかどうか分からない「かけそば」も久々のヒット。
これは蕎麦単独ではなく、蕎麦と出汁と返しのバランスが見事。
今回は私の好みに合わせて返しの濃さと温度を変えて下さったのだと思う。
空気を含ませながらズズッと啜って、
軽く咀嚼して(というより上顎と舌で蕎麦を軽く押しつぶす感じ)、
口の中でそれをゆっくりと繰り返しながら味覚を研ぎ澄ましていると、
蕎麦の旨みと甘みがじんわりと広がっていく。その様がとても綺麗。
「鴨鍋コース+刺身」の構成は以下。
(1)八寸
(2)若竹煮
(3)穴子の握り寿司
(4)刺身
(5)鴨鍋
(6)カキフライ
(7)酢の物
(8)蕎麦せいろ
(9)デザート
(1)八寸は、鴨の燻製が今回のヒット作。鴨の旨みがたっぷり。
上質な鴨肉だからこそ、そして丁寧に調理されているからこそ出せる味。
(2)若竹煮は、繊細な筍の味わいが木の芽と合わさることによって、
温かいミルクのような香りを伴う旨みに変化する。お出汁が淡いからこそ出せる味。
(3)穴子の握り寿司は、前回感じた酢飯の違和感が改善されていて、一体感が出ていた。
(4)刺身は、真鯛とウニ。この馬糞ウニはやばいね。臭み一切なしで蕩ける。
これ、鮨屋で出てきたら一体幾らになるんだろうか。
(5)鴨鍋は、今回の鴨肉はじゅうろく史上最高レベル。
身の柔らかさ、身の旨み、鴨ならではの滋味、脂のコクがあるのにクリアな旨み。
よく火を通しても、身は柔らかく、旨みも消えず、すごくいい状態。
(6)カキフライは、巨大サイズ。前回以上のサイズ。
個人的には、前回の方が塩分濃度的にはベストな状態。
ただこればかりは個体差があるので、致し方なし。
それでも、ここまで美味しいカキフライを出すお店はなかなかないと思う。
(7)酢の物は、くらげの酢の物。
薬味が強くなくて、今回の塩梅は個人的にベストと思う。
(9)デザートは、今回もとても美味しい苺と水羊羹。
苺は、甘味と酸味のバランスがとても良いものが選ばれている。
いや~、今回も充実。
また行きます。
2019/03/12 更新
再訪。30回目。
約5年ぶり。
奥浅草にある蕎麦屋。
おまかせ+鮎追加+蕎麦追加+日本酒3合。
2万円ちょっと。
久々だったけど、方向性は変わらず。
素材重視。あまり手を加えない。必要最低限。
そればかりだと単調になるが、相変わらずトンカツは旨いし、
なんと言っても蕎麦が旨い。そう、ここはやはり蕎麦屋なのだ。
少しボリュームを減らしたとのことだが、正解だと思う。
以前は、蕎麦に辿り着く前に炭水化物が多めだったので、
蕎麦前で腹パンなんてことがよくあった。
今回は、いい感じにお腹が膨れた状態で蕎麦に突入。
追加蕎麦までいただく余裕もあった。
蕎麦がとびきり美味しいので、蕎麦を美味しく頂きたいし、
蕎麦でお腹いっぱいになりたいという欲求を叶えてくれた。
以下、料理の寸評です。
ただ、後半は、少し辛口です。
蕎麦。
玄蕎麦は、福井県大野産。やはり大野は旨い。
この時期(6月中旬)なのに、旨みがしっかり残っている。
玄蕎麦の水分量が少ないのか、あるいは、残った風味を引き出すためか、
打たれた蕎麦自体も水分量少なめの仕上げ。少しモソモソ食感。
そのため、細打ちだけれど、咀嚼する方向で楽しみます。
ただ逆に、そういう楽しみ方だと、辛汁の濃厚さがかなり強く感じられる。
辛汁、以前と変えられましたよね。返しがプンプンに香り立つ以前の辛汁の方が好きでした。
ヒレカツ。
相変わらず美味しい。
レア加減に仕上げながらも、豚肉臭さが全くなく、ヒレ肉の滋味が存分に楽しめる。
八寸。
シンプルながら、全く手抜きのない丁寧な調理。
ここ「じゅうろく」の魅力は、この八寸にこそあると思う。
以前はこの八寸だけで1時間くらい楽しめる内容だったが、
最近は時間半分くらいに短縮傾向の内容なので、元に戻してくれると嬉しい。
とはいえ、じっくりと向き合えば、この手間のかかった調理とか、
素材の選び方とかその魅力とか、いろいろな発見があるので、個人的に大好きな八寸です。
あっという間に食べ終わってしまっては非常に勿体無いです。
鮎。
じっくり炭火で焼いた天然鮎。
ただ、個人的には、この鮎の炭火焼とは、あまり相性がよくない。
恐らく僕が、焦げた部分の味を感じ易い味覚だからだと思うのだけれど、
鮎自体の味よりも、焦げた部分の味を強く感じてしまうので、
川の違いによる鮎の味の違いはよく分からないし、あまり美味しいと思わない。
ごめんなさい。
デザート。
アイスクリームは、以前よりも良くなっていた。
ただやはり、蕎麦の後に乳製品は合わないと思う。
日本酒。
いつも「日高見」をオーダー。今回も。
それは、日高見がこのお店の料理の方向性に最も合っていると思うから。
食中酒として日高見がこの上なく優秀だし。
ときどき浮気して他の日本酒銘柄を試してみるのだけれど、やはり日高見。
というか、お店の品揃えが、酸味を感じる系統が少し弱い気がします。
すみません、これは個人的な好みです。
以前はマニアックな嗜好の人が主な客層だったのが徐々に客層が大衆化して、
その味覚に合わせるとこういう方向になるのかな、という事情も察しながら、
いろいろ考えさせられた訪問でした。
応援しています。