1回
2010/12 訪問
いつ行っても素晴らしい料理、皆さんの気遣い、人柄
夫婦松葉蟹盛り合わせ
鱧の骨切包丁(くろぎ)
お造り、氷の上で涼やかに(くろぎ)
雲形の器で
琵琶湖の若鮎
目の前で作ってくれる葛きり
いちじく
丹波の松茸
この開いているのは香りが最高
あんきもポン酢
焼きでいただきました
八寸
松茸のフライ!
赤足エビの味噌漬け
焼きなすの香り
くりごはんのお食事
くろぎ自家製の栗むしようかん
くずきり
くろぎのモンブラン!
お昼の鯛茶漬け
掛け軸
うすい豆お浸し
紫うに、バフンウニ、赤うに
蛍烏賊の沖漬
香りの良い手取川
うすいまめのお浸し
蕗のごま豆腐
筍
白子筍
冷たいお茶まで美味しい。
こんなうまい栗ご飯はくろぎでしかない。
梅山豚、柚子胡椒添え
2016/04/08 更新
今年も終わりですね。
年末の訪問】
今月は風邪で体調を崩して会食を前々日にキャンセル。
「ぜんぜん、お気遣いなくー。」とのやさしい言葉に
電話の向こうに深々と頭を下げる僕。
全くもう、風邪でも何でも、体調を崩すのは会食の相手にも失礼だし、
当然、席を突然空けられた方だっていい迷惑だろうに
機嫌良く電話で応対してくださるなんてありがたい限り。
しかも、おかみさんのほうで気を遣ってくれて
上手に再訪問の日程調整してくれ、会食の実現にいたりました。
他の月の席はすでに一緒に行く方が決まっているだけに
この月を狙って待っていた知人は流れたと思っていた席が
再設定され、大喜び。会食の実現になりました。
ただ、席がいつものカウンターではなく
カウンターの後ろの席に。
ここは、一度だけ座ったことがあるけれど
久しぶりに座ります。
改めて思いますが、
料理の写真の照明はむしろこちらの方がきれいに写る感じ。
しかも、カウンターの予約客が7時くらいからだったらしく、
5時~入った僕たちは、カウンター内との会話もいつものように
充分楽しむことができました。
焼きごま豆腐から始まり、
ウニののった蒸したもち米。
何故かこれが抜群に旨い。
いつものくろぎなのに何故か卒倒するほどうまいのです。
それから、体の温まるスッポンの鍋、
実はこれは
「普通に来ると味わえないけれど
いつも来ていると何度も味わえる。」
なぞなぞのようなくろぎの定番中の定番。
今回は茄子が浮いていましたが、風邪が治った後とあってか
今までくろぎで出されたスッポン鍋の中で
一番、体に浸み渡りうまいと思いました。
聖護院かぶらも歯ごたえが残りながら
味が本当に浸み入り素晴らしい味わい。
白子のフライは本当にピュアで純粋でうまくて、たまりません。
ごはんはズワイ蟹(香箱蟹)ごはん。
驚かせない、びっくりさせない。
でも正統派の本物の日本料理、京料理を伝承する
くろぎならではの素晴らしい食事でした。
月一回の訪問】
月一回の予約席は持っているものの、
他の友人の席にも呼ばれたり、なんだかんだで月2回は来ている計算になる。
といっても今年は松茸のシーズンに4回も訪問。
もしかすると来月も初旬なので残り松茸が並ぶかもしれない。
香箱蟹の季節も近いし、楽しみな季節になりますね。
今年はいくらの皮肌が硬くならずに良いいくらがまだあるんです。
と今月も鮭いくらの親子飯を出してくれた。
これが何とも旨いんです。
季節を食事の献立で感じる。
本当に幸せな時間です。
再訪問】
一ヶ月ぶりのくろぎ、家にかえってきた雰囲気。
お互いの話しが楽しい。
女将さんは辣腕CFO(笑)
のっけから美味い。
松露を食べさせていただきました。
外部はコリコリしてて、きくらげにも似た食感。
なかはクリームのような滑らかさ。
シンプルなあじで、楽しませてくれる。
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くろぎは期間を開けずに訪問してもいつも他の人とは違う料理で対応してくれる。
その苦労はたいへんだと思う。
気遣いがありがたい。
月に一度のくろぎです。自分の席以外でも来ることがあるので年間15,6回は来ているかもしれません。
くろぎのレビューはもうほとんど載せていないのですが、久しぶりに…。
新年明けて、遠州流茶道の初釜に参加。
その後に、流れで仲間を連れて行きました。
全国から集まってくれた友人達です。
今回の参加は陶芸家が二人、食べログでも高評価の石川の名店料理屋さんが二人。
全国でも知れた骨董屋が一人。
世界文化遺産の寺のお坊さんが一人の合計7人でした。
僕にとっては月に一度のくろぎでも、皆さん初めての方も多く、
とても華やいだ楽しい会になりました。
皆さんカウンターでもかしこまらずにくつろいで旨いものを普通に食べる。
これが、僕にとってのくろぎの真骨頂。
八寸の羊が今年を印象付け、
毎年ながら七草ごはんの青い香りがとても印象的でした。
どうもごちそうさまでした。
再訪問】
また、アジア出張の前に訪問です。
香箱蟹の季節になってきました。
美味しい蟹を存分にいただきます。
それからさまざまなサービスが本当にうれしい。
素とした風情の料理に力強い本筋がくろぎの料理の特徴です。
八寸で見るバラエティもいつも楽しませてくれます。
最後は牡蠣飯で締めくくりました。
黒木さん、里依さん、岡部さんは素晴らしい時間をくれます。
そして、いつも迎えてくれてこころから温かいスタッフの皆さんありがとう。
再訪】
行っています。海外から帰ってくるタイミングでくろぎさんを訪問するのが常になってきています。
最近、行くたびに知っている人がいます。とはいってもいわゆる著名人、有名人の方々。
僕はあまり表舞台には出ていないので、彼らは僕を認識できないはずです。
とはいっても僕自身もテレビなどを基本的に見ないタイプなので
有名人、著名人には興味ゼロ。
同席した友人に言われて、「ああそうだった?分らなかった。」とか
「そんな芸能人知らないなぁ。」というので同席した友人達もあきれ顔(笑)
それにしても、黒木さんの人柄はいい。
僕の紹介した大事な人をとても大事にしてくれるし、
いつも大事にしてくれる。これがくろぎの素晴らしさでしょう。
再訪】
行っています。月に一回のくろぎ詣で、月に二回行く月もありますが、
なかなか席が取れません。
行けばいくほど、味が出る店で、季節ごとの料理がとにかく楽しみ。
黒木さんやお店の皆さんと会って話をするのが楽しみ。
みんなの顔をみるのが楽しみ。
今回は特に季節を織り込んださくらえびのかき揚げや
京都の白子タケノコの終わりころに当たるのか、
素晴らしい料理でした。
奇跡の初訪問から2年以上経過するけれど、
来ている人もなんとなく知り合いになってしまっているけれど
いつも基本に忠実でかつ新鮮な驚きを供してくれる
それでもまだまだ発展途中を感じさせるポテンシャルのすばらしい店。
再訪】
いったんもう書きすぎかと思い、書かずにおこうかと思ったが、書かずにはいられない。
くろぎは通えば通うほどによくなるお店。
行けばいくほど、その日のその場の料理が出てくる。
献立の紙にない自由自在の料理。
これは儲からないだろうと思い、申し訳なくなってしまう。
これは本当に楽しい。
黒木さんは人生をしっかり楽しんでいる
経験を大事にしているだからこそ、おとなの楽しさを分かっているのだろう。
ああ、楽しかったおいしかった。
いつも、原価のかかりすぎる客ですみません。
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再訪問がかさみ過ぎて、もうあまり書かないようにしたい。
僕が評価すべき店ではないような気がする。
ただ、ひたすらにいい。
黒木さんが求めているのは一組ずつ、一人ずつのお客さんを
大切にし、美味しく楽しい時間をお客さんに過ごしてもらいたいとの思いが伝わってくる。
このお客さんをこの人を大事にしたいという心が伝わってくる。
そんな時間を過ごさせてくれる店はそんなにはない。
料理を超えるものがある。だからこそ黒木さんの店はいい店。
来るお客さんにいつも特別な素材でとっておきの料理を
用意していてくれる。
料理も人間としても学び続ける黒木さん。
魅力のある人の周りには人が多く集まる。
完成しているかどうかではなく、向き合う姿勢素晴らしさ。
お客さんも黒木さんを大好きな人が多いし、
周りのスタッフも本当に素晴らしい。
だからお店の雰囲気も本当にいい。
毎月お伺いしているが、もっと頻繁に行きたいくらい。
再訪】
宮崎に帰ってきたとのことで「もう、お腹充分ですか?」
「まだ、お肉でも焼きましょうか?」といって宮崎牛を焼いてくれる。
「おお、旨い、柔らかい。」赤身の旨さが引き立つ、霜のあまり降っていない牛肉。
赤身の旨さを自信を持って食べさせてくれる店の
なんと少ないことか。
料理の終盤に追加で焼いてくれたこの牛肉ならではの
旨さを充分に味わうためにはしつこい脂などは一切いらず
こういった柔らかい赤身のシャロレーのような味わいに限る。
「脂身の多いサシの入ったのは、そんなに興味なくって…。」
黒木さん、そうそうそうなんです。
僕も基本は赤身好き、本当の肉はこうでなくっちゃというもの。
「ヒレ肉?部位はどこなんですか?」
ヒレはヒレでも宮崎牛のシャトーブリアンだそうです。
くろぎは肉を出してくれてもうまいんだなー。
【再訪】
季節を感じに行く。
黒木さんの仕事に取り組む姿勢にいつも感激する。
心遣いが素晴らしい。
料理の一品一品に込められたおもてなしに感激。
席を一緒にした友人も感激。
本当にくろぎさんは素晴らしい。
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香りを纏わせた圧巻のシークエンス。
腰の低い黒木さん。
脳の髄まで美味しさが喜びとして伝わってくるこの感覚。
味だけではない何かを感じる。
ただ、普通に訪れるだけのお客なのに
本当に仲の良い友達に会うように接してくれる。
付き合いという連続性も噛みしめる。
本当に最高のもてなしをしてくれる。
そんなところにお店の真髄がある。
料理、サービス、付き合った時間の分、味わいも深くなる。
本当のところは通い続けることに意義があることが分かる。
それを支えるのは人間性という深み以外にはないんだな。
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最近は1ヵ月に一回のペースになっているくろぎさんへの訪問。
季節の微妙な変化を感じるのも一カ月に一回程度は
ちょうどいいのかもしれない。
黒木さんの鍛えられた体や、眼光からは妥協しないという
強さと、受け入れる許容量の多さを感じさせる感覚が混じる。
強さについて話をしていたら「世の中にはもっと強い人もいるんじゃないですかね?」と静かに
語っていたのが印象的。
物事に向き合う真摯な姿勢が素晴らしい。
河豚の白子を焼いたものを食べたが舌にまとわりつく感じが
まだ忘れられない。
刺身でボラをおいしくいただいたのは初めてだった。
すべての料理にきらりと光るポイントが感じられる。
見事な料理を出してくれるお店だ。
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くろぎさんで初めてお昼をいただいた。
友人を連れて、訪問。
僕の友人も透明に光るご飯を見て「すごいですよ。うまそう!」
と、一口、口に入れそのままご飯だけを平らげてしまった。
鯛茶漬けだというのに、ご飯だけで、何杯も食べてしまいそうなほど
おいしい。
鯛茶漬けの鯛も、胡麻を擂って練りゴマにし、それに味付けをしてあるものに
山葵を添えてあるのだが、そのまましっかりわさびを乗せて食べてしまうほど。
ご飯、鯛ともにお替り自由!という恐るべきサービス。
この上質な味と、お腹いっぱい感を味わうのになぜかわずか1000円。
もともと、常連さんの要望で、お昼をという意味で価格設定しているので
特別に安いのだ。
予約しないと不可能なお店。
また、人気過ぎて予約も不可能なお店。
そして黒木さんの輝く目が本当に未来を感じさせる。
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再訪しました。
このシーズンにくろぎさんにお伺いするのは初めて。
去年の12月に初のくろぎ体験だったので、まだ一年に満たない初心者の僕。
圧巻のスタートは意表をついていちじくからはじまった。
一緒に行ったメンバーはすでにスタートから唸るだけ。
すばらしい鮮度の初物のあん肝、きりっと角の立ったポン酢が
柔らかい淡白なほどの素直な味わいのあん肝に最高の絡み。
今朝、築地に行ってアンコウの肝だけ抜いて買ってきたとのこと。
これ以上はないという味に頭がくらっとする。
お造りは鯛、大トロ、鱧で梅肉かしょうゆで。
くろぎさんは今年何匹の鱧をきったのだろう。
焼きごま豆腐は山葵を載せて、めまいがし続ける。
丹波の松茸をばっちり焼いていただいて、歯ごたえ、味わいともに最高。
今年は松茸は随分高値で取引されているらしい。
これだけの量の松茸を仕入れるのはかなりの金額になっただろうという
下世話な想像まで。
土瓶蒸しも素晴らしい味わいと香り。
さらに松茸のフライを出していただいた。
意表をついてフライ!
これが、また油が香りの後押しをしてくれてうまいなんてもんじゃあない。
歯ごたえの素晴らしさも豪快さも半端ない。
これだけで原価おそらく8000円くらいしそうな分量。
黒米と大根を使っての細工を施したろうそくを添えた
八寸もそれぞれのほんの一口の料理が圧倒的なもの。
栗の細工がかわいらしくていい。本当に美しい八寸。
赤足エビの味噌漬け焼き、鱧と焼きなすの酢のもの。
栗ごはん。
そしてデザートもせっかくなので三品いただいてしまった。
栗むしようかん、くずきり、モンブラン。
香りの良い甘味を抑えた栗むしようかん。土産にしたいほど。
くずきりもほてった体をクールダウンしてくれるのに最高で、
モンブランは紫イモを使ったのか、お手製のとろける甘味のバランスの良い生クリームが絡んで
もう意識は遠のいてしまった。
何より素晴らしいのはくろぎさんの姿勢。
すべて常連客で埋め尽くされた店内をくまなく見渡し、
テーブル席にも目配せを忘れない。
調理もしながら、すべての顧客が「かまってもらっている。」感覚になっているはず。
この人の素晴らしさは学び続けているところ。
ほんとうに勉強し続ける探究心は見上げた超のつくプロフェッショナル。
こんな姿勢があればどんな仕事もうまくいくと思えるほどの人。
そして、そのほかの皆さんも本当にいい味出している。
配役を全うできている人ばかり。店の中のバランスがいい。
それをマネジメントしているくろぎさんは素晴らしい。
またまた、感動の4時間でした。
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頻度は月一回ほどで通っているくろぎ。
僕の顔を見るとうれしそうな表情になって下さるのがうれしい。
毎回、シンプルにすべての皿を大事に大事に味わう心づもりで訪問する。
台風の後に秋になる雨が気まぐれにふりあまりうれしくない天気。
店内は外のじめじめとは違ってカラリと乾いた気持ちよさ。
前回に引き続き夏の料理。夏の終わりと秋の始まりを予感する。
夏の鱧をさまざまな角度、表情に変化させて僕らの前に出してきてくれ、
さまざまな秋の初物も味合わせてくれる。
先付けはセレベスや八つ頭などの茎。
いわゆる芋茎(ずいき)いりこだしを吉野葛でとろみをつけて深い味わいが口の中で柔らかくひろがる。
とろみのついた温かさが、外のじめじめ感から解かれて冷えてきたからだを芯から暖めてくれる。
最初のお造りは五島列島の迷い鰹のたたき。素晴らしいポン酢としっかりとした赤身と脂の乗った鰹が
繊細でポン酢を良くからめてくれる野菜と最高のバランス。
卵の殻をカットした料理に「意見を聞かせてください。」と出してくれたものも
その黒木さんの耳を傾ける姿勢には敬服してしまう。
「鱧は豊かな魚と書くくらいで本当に全部食べられるんです。」肝や浮き袋までも出してきてくれて、
食べ方も、土瓶蒸しの進化系、松茸の香りと鰹のだしにくぐらせて食べる鱧しゃぶ、
炙って軽い焼き目をつけ香ばしさを纏わせた、たたき、大間の鮪の凄い大トロ。
何気なく揚げた蛸の食感とあふれる滋味も最高。
ススキの穂を使って出してくれた月見八寸も。
盛夏と違って晩夏の子持ち鮎を蓼酢でいただく。
「身はまずくなっているので、どうぞ卵だけ召し上がっても結構です。」とのことだが
身も実は干物然としていて、カリッと焼けていてこれはこれでいける。
甘味はとろけるわらびもちとお抹茶で〆。
この蕨もち、有料でもいいから、お土産にするといいのにというほど柔らかくとろけた。
良い表情で仕事をし、接客の場であるとともにくろぎさん以下のすべてのスタッフの
仕事場であり、修行の場。そこで成される会話や動作。
お店に入った新人の方も厳しい良い職場に入ったもんだ。
迷いつつも、苦しみながらも必死になって学ぶ黒木さんの背中を見てがんばれば
必ずやいける。これは世界共通。Leaders Shadow(リーダーズ シャドー)
堂々と長所を伸ばし、学び、がんばれ未来の巨匠!
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最初の出会いから、およそ1.5ヶ月に一回は通っている「くろぎ」いつも素晴らしい仕事を見せてくれる。
4回目のくろぎ。
一本芯の通った目線で料理、客と向き合っている。
この若く、真摯な、妥協しない姿勢がくろぎさんの持ち味だ。
全て美味しいし、全て美しいし、会話も全て楽しいので、
何も文句のつけようもない。
全ての皿に最上級の季節が盛り込まれる。
全て書くときりが無いので、お造りと鮎のことを少し、
たこ、鱧、鯉などが盛られている。
鱧の骨きりが目の前で繰り広げられる。
シャクシャクといい音がしながら、実に細かく鱧に包丁が入る。
「もって見てください。包丁の重みだけで切って、鱧の皮は切らないんです。」
持ち上げて見せてくれた鱧の川は薄い表皮1枚で見事につながり僕らの前にぶら下がる。
それを皮目だけ炙って、刺身で出してくれる。
この柔らかさ、口どけ感はうなるしかない。
お造りに盛られているのは、鯉。
これを刺身で出してくる。
全く臭みのない鯉のあらい。
「酢味噌が断然合いますね。」とアドバイスをもらうが
梅肉、酢味噌、わさびとしょうゆ全て試してみる。
臭みが無いが鯉らしい鯉には全て合う。
僕はすりたてのわさびを包んで、軽くしょうゆをちょんちょんとしたのが
意外にも一番すきだったかもしれない。
たこも生きているままの身の固いこりこりっとしたものを出してくれる。
まさに、口の中でも生きているような反発がある(笑)
そう、何が言いたいかって全てに妥協していないということ。
鮎も良かった、今年の夏はいろんなところで
鮎を食べているが、くろぎのものはまた格別だった。
生きた鮎を目の前にもって来てくれて、それを炙って
「小さな鮎なので、香りはさほど出ていませんが、柔らかさはいいです。
頭から骨ごといけます。小さいので今日は2尾ずつご用意しています。」と言って
一尾食べ終わると、焼きたての一尾を皿に乗せてくれる。
確かに鮎の香りが薄めで、柔らかくほろりと崩れる鮎の身の感じと
骨の柔らかさほのかな鮎の香りと、はらわたの苦味と
強めに作った蓼酢の酸味と香りとのバランスが素晴らしい。
行く度に、いい仕事に感心する。
料理はすべて本気で向き合うとこんな感じになるのだろう。
ごまかさない、学び、向き合う姿勢。
次回以降の2回分の予約を取っておきました。
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この店にお伺いする機会が持ててとても幸せでした。
というのも僕の中での価値観が大きく拡大したからです。
レベルを比べるというよりもここまで本気、ここまで顧客目線に徹しているものを。
それは幸運なめぐり合わせでした。
なんとも偶然にも電話したところ「二席だけちょうど空きが出ていたところです。」と。
いい店だとは周辺から聞いていたので、「お客さんとお伺いする」由をお伝えしました。
18時という早い時間にお伺いできたので、店内も空いていたということもあり、
ご主人の黒木さんともそのほかのお店の皆さんとも少しですがお話できました。
このことも僕にとってはとても印象に残ることでした。
普通僕の場合献立を載せないで雰囲気やポイントだけを書くのですが、
この「くろぎ」の場合、全ての料理一品一品を詳細まで覚えています。
献立の紙を頂いたのも手伝って、今も味や食感までありありと覚えています。
それほどまでに印象的なお店でした。
もともと銀座の「京味」でお仕事されていたご主人32歳というご年齢。
実にお若くりりしく、真剣に仕事をしている男でした。
まず、この姿勢があまりにすばらしく、かなり印象的。
ということで普通書かない献立の内容と感動を記述します。
先付け
まず、最初に出てきた夫婦松葉ガニ盛り合わせにうなりました。
蟹子を混ぜ合わせた甲羅の中に入っていたかにの印象的なこと。
三杯酢も抜群の味。
この写真だけは取れたのですが、僕のお連れしたお客さんとの話、それから出てくる料理の印象で
これ以降、興奮状態に陥り、写真を撮るのを忘れるほど。
焼き胡麻豆腐 焼皮のぽんとした口当たり、中からとろけ出るふんわりとしたコクのある胡麻の風味の胡麻豆腐、
目の前でおろしたてのわさびを載せてくれているのでわさびの鮮烈な風味が胡麻豆腐のコクで
・・・なんという素晴らしさ。
京小松菜 滋味あふれる京小松菜 京蓮草に出汁をじゅうと含んだ細かい油揚げと食べる。
体が欲しがっていた味。
凌ぎ
棒寿司、ばちこ、ゆべし、からすみ
珍味の饗宴。ばちこはなまこの卵巣に塩をして乾燥させたものだそう。
三味線や琵琶のバチの形をしているので、ばちこと呼ばれると黒木さん。
ゆべしも今まであったことが無い味わい。くりぬいたゆずの中に味噌をつめ
じっくりと数ヶ月間に渡って干したものをトリュフのようにスライスして出してくれる。
なんだろう?と思い不覚にも一口で。じっくり噛んで食べたが、二度と戻らない珍味の
味わいに感心してしまった。
棒寿司の旨みも見事としか言いようが無い。どこも味の角が突出していないので
実に見事としか言いようが無い。からすみも新しい仕上がりながらも充分な味わい。
お椀
蔵王鴨みぞれ椀 ちょうど雪が解けてみぞれになったような汁の中に味わい深く柔らかい鴨、
固めの木綿豆腐、九条葱などが炊き合わせてある。
みぞれの絡み方が出汁と大根の味わいとでなんとも体の芯から、脳の奥まで染み渡る美味しさ。
塗りの椀も見事なもの。
お造り
鯛をあん肝ポン酢に絡めて食べる、しゃんとした肉質の白身にあん肝のまろやかさが絡みポン酢の酸味が後味を
大間のマグロにおろし立てのわさびを添えて食べる。
ねっとりと絡みつく素晴らしい烏賊に卵黄を濃くしたようなものを乗せて口に運ぶ、
味覚と食感が両方とも舌に絡みつく、なんともいえない食感自体が豊かな感触。
焼き物
岩手県産寒鰤塩焼き 七輪に乗った黄紅葉した桜の葉に乗っていぶしながら登場。
見た目も美しい。塩加減が軽く味が生きるだけにとどめた塩加減。中はふっくらジューシーに
たっぷりと旨みを閉じ込めていて柔らかい。皮目はパリッと焼けていてこれがまた旨い。
煮物
聖護院かぶら餡かけ ふたを開けると素晴らしいゆずの香りが立つ。
箸で切れるのにしっかり形があり噛み応えもあるのに
出汁がじっくり入り込んでいて柔らかいかぶらの味と香りがいい。
食事
牡蠣御飯。牡蠣を炊き込んだ御飯だが、その上にまたじっくり味をしみこませた牡蠣を乗せている。
炊き込まれているほうの牡蠣もプリプリとした食感がある。高温になると牡蠣は縮むので
炊き込んでいるというわけではなさそう。上に乗っかった牡蠣と御飯の味が何でこんなに合うのか
というほど相性がいい。「どんどんお替りしてください。」とおっしゃっていただいて、軽く三杯頂いてしまった。
止め椀
蟹味噌汁。なめこ、九条葱が入っている。味噌は白味噌で、まろやかな甘みがひろがる。
なめこ九条葱が絶妙に深い味わい。こちらも一杯お替りをしてしまった。
甘味
目の前でくずきりを作ってくれる。真っ白なくずの溶かしたものを、アルミのバットに流し込む
それをじっくり氷で冷やしておいて、薄くうすーく、くずきりを仕上げていくのだ。
それを甘すぎず深い味わいの黒蜜に浸けて食べる。黒蜜だけ、きな粉だけ、
黒蜜ときな粉それぞれを味わう。口に当てて吸うとするりと喉の奥のほうまで進んでいく。
しなやかなくずきりとはここまでうすく繊細なのだ。
この冷たさがどんどん食べて熱くほてってしまった体には最高の仕上げ。
お名刺を頂いたが、黒木純氏の素晴らしい世界を味わった読後感。
満足度はこれまでのどこにも無いほど振り切ってしまった。
食のレベルを極めるとここまで行くのだという感想。
黒木さん話をすると、自分を律して仕事に臨むタイプの本気の男。
黒木さんの成長とともにどういう風に料理が変化してくるかが楽しみ。
料理人の表現の域はやはり経験によって広がり、深まって行くのだ思う。
この人が見せる広がりや深まりはどんな世界なのか?
最後に点てていただいた抹茶を飲みながらいろいろ考えた。
2月末までは一杯だという予約。
残念だが3月まではお預けだということ。
帰り際に3月に予約を入れました。