2回
2010/09 訪問
なんとも言われぬ食感、甘み、うまさ。何種類ものそば粉を最適の甘みや香りなどの割合を考え、手挽きし...
再訪問】
やっぱり玄のそばはきりっとしていて、清冽な印象。
水そばにその真骨頂は極まっている。
そばがきの美味しさも他にない柔らかさと香り食感。
実にすばらしい。
予約をしていかないと準備されていないので
入れないことのほうが多いのだと思う。
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なんとも言われぬ食感、甘み、うまさ。
何種類ものそば粉を最適の甘みや香りなどの割合を考え、手挽きしつなぎも使わず打つ。
細切に切った田舎そばは絶品。口当たりに蕎麦の荒さと繊細さ細切りなのにもっちりした食感。
自然から恵まれた素材を大事に蕎麦に変換している感覚。
奈良の町の古民家で味わう。味、雰囲気、心全てつながる。
この五感で味わう感触こそ至上の蕎麦。
自分達で店を切り盛りし、商売を広げようなどという発想より、
うまいものを出し続けるという気持ちが前面に出ており素晴らしく居心地がいい。
最初はせいろで頂き、二枚目はおろし蕎麦で頂いた。ここに来たら3枚~4枚ほどは最低でも食べたいという蕎麦。
ただ、ドカ食いするのははばかられる落ち着いたいい雰囲気の座敷。
室内の家具も時代を重ねた道具をおいてあり古きやさしさに満ち満ちた場所。
日差しのある日に逃げ込むようにして訪れ、蕎麦を二~三枚味わいながら過ごす。
デートで仲間と、家族とはたまた1人で来ても全く違和感の無い店。
極上の時間にしては蕎麦1,050円~というのは圧倒的に安い。
夜がまたすごい。
そば懐石を食べてみるとそのすごさにうなる。
そば豆腐、そばがき、そばの実の入ったじゃこ御飯、更級そば、田舎そば
驚くほどのそばの味わいを365度の角度から最高の食べさせ方で味わえる。
こんな店ちょっと無い。
追記になるが、そば道を志す全国のそばうち職人のかた、そば屋さん
修行している方も、自分で極めたと感じている方も
ここに来てそばを召し上がってみるといいと思う。
そして、こちらの大将にお時間を作ってもらって食事に少しでも話をしてみるといい。
そうか、こういうことかと気付くことがたくさんあるのだ。
そばうちではなく全ての道を追及する方々に、玄の大将の言葉は響くと思う。
全国からそばの有名店、老舗の方々が勉強しに食べにくることからもそのすごさが解る。
2012/05/21 更新
島崎さんの蕎麦を食べ始めてはや14年。
違いがわかる人になってから14年ということ。笑
いつもながら、人生の先輩でもあり、親しき友人でもある古刹の僧侶と一緒に訪問する。
この訪問が4回目になるか。しかしながら10年以上ぶりなのはとても予約の取りにくいお店になったということ。
毎日が昨日までの過去を更新する最高の出来を目指すという大将の島崎さん。コースの中でそばの入っていない料理はカラマンダリンのオレンジジュースのみという蕎麦コース。
一品一品に感激する。
部屋の空間、照明の風合い、器、全てにこだわり、見事に仕上がる一品一品に集約される芸術のような食事。日本酒もマリアージュで出してくれるその楽しすぎる時間。
そばがきの柔らかさと自然の素材からくる甘味。人間の精度の究極系まで垣間見える蕎麦の細さを褒めると「細いのはまだまだ細くはできますけど、目指す食感や香りなんかを出すのに茹で時間も影響するので、それを追求した細さ。」とのこと。
もちっとしたなんとも感動する食感をどうやって出すのか?をお聞きしたら、「ざらっとしたのを作る日もありますしね、その日その日で最高のものを作りたくて、毎日を同じじゃないように楽しんで作ってます。」というあまりに凄いコメントをいただきました。
蕎麦粉のひきうすも探求した結果でたどり着いた話もその恐るべき探求度を知り感動する。他の蕎麦屋では製粉を機械でも自家製粉しているだけでも凄いのに、臼から手引きからメッシュの細かい蕎麦粉を挽くことにたどり着いた初期の話も、だからこんなに特殊な蕎麦が打てるんだ。だから香りが高いんだ、だからこんなに楽しそうに蕎麦を出してくれるんだ。と全てが納得。
気に入ったシェイプの箸を生産者が作らなくなったので自分で削って形を作り、漆を塗ってご自身が漆かぶれを何度もしている話とか。
蕎麦つゆもすごい。そのままや、水蕎麦も、梅もうまい。玄のそばはなんでこんなに心が揺れるほど感動するのか。
神は細部に宿るとはこういうことです。
玄に来て知ることができる領域が広がった。この変化は自分の中に明らかにあります。知らなければ比べようがない、比べる尺度は食べた経験値の範囲しかわからない。知らないことは想像すらできない。人の脳は面白いものです。