24回
2022/11 訪問
日々変わるも蕎麦の宿命
前回訪問では何ら訴えかけるものが無かったとレビュー。私は蕎麦職人との繋がりを大切にしつつも、ネガティブに感じた事はしっかりと表現し、伝えていく事が蕎麦喰いと蕎麦職人との良い関係だと言い切る。勿論、私の後追いをしてくれている多くの蕎麦ファンの皆様に対しても同様だ。
結論から述べるが、今回の蕎麦はかなり良かった。私が好きな黒島健介の蕎麦だった。
■十割もり 950円 千葉県産在来種秋新粗挽き
お茶目な盛り方は私を試したかな…(笑)画像では表現出来ないが、淡い緑色が美しい。絶妙なメッシュで振るった粗挽き粉で打つ、少しザラ付きのある乱切り気味の細蕎麦… 心地よい弾力と爽快な喉越し、鼻を近づければフワリ立つ生命感の香り、手繰ればその香りの後を追うように広がってくる滋味…
ホッとしたし、やはり旨い蕎麦を手繰れば顔も綻ぶ。
前回問うた「つゆ」の変遷も、思い当たる答えと理由を述べてくれた…なるほど。これが蕎麦職人と蕎麦喰いの良い関係。
私なりのやり方…会計時の声掛け。
今日は美味しかった!ご馳走様でした!また!
嗚呼… これだから蕎麦喰いは辞められない。
2022/12/08 更新
2022/11 訪問
蕎麦職人・黒島健介の新そば。
人員削減他による営業時間変更等で中々タイミングが合わず、ようやくの「新そば訪問」だ。
■十割 摩周産キタワセ 粗挽き 新そば
今年の特徴かな…青々しさは感じない新そば…ながらも、蕎麦本来の香りは表現。味わいは摩周産キタワセ特有の冷涼ながら、幌加内よりも長い余韻が保たれる塩梅。つゆは少し辛めにシフトしていた。その事を伝えると「変えていない」と言っていたが、私にはハッキリその変化は分かったよ。
私好み…なのが最大の理由ながら、黒島健介氏の蕎麦は「蕎麦粉のチカラを引き出す術を持った蕎麦」…現在は様々な産地の蕎麦粉を様々な打ち方で提供しており、それが楽しみの一つでもあるのだが、今回の蕎麦は少しパワーを感じなかった。勿論高いレベルでの評価ではあるのだが、次回に期待かな。
私が思う、ニューウェーブでは札幌三本の指に入る、魅力的な職人です。
2022/11/22 更新
2022/07 訪問
千葉県 夏の新そば 十割
【別誂】千葉県 夏の新そば 十割
7月になれば本州産夏新そばが登場。優劣は抜きにして、札幌ではこの夏新そばが味わえる機会が多くなりました。これは小さなムーブメントですが、手繰る側にとっては楽しい事。
ご主人の黒島健介氏は、蕎麦の味香を引き出し表現するテクニックがピカイチ。全道果てしなく蕎麦を体感しておりますが、味香の引き出しに関しては私の3本の指に入る職人ですね。
まだ荒削りな部分もありますが、近い将来、札幌はおろか北海道の蕎麦シーンを牽引する職人に一人になります。
ちなみに職人は自分の蕎麦以外はあまり知りません。勿論食べ歩いて勉強している方も多数居ますが、やはり職人の目線で見てしまいます。
すなわち蕎麦をそして職人をジャッジするのは、勿論食べる側の我々です。難しい知識は趣味で食べている人以外は必要無し。必要なのは美味しいと感じるか否か。
皆様もどんどん蕎麦を食べて、食べログで感想を述べて下さい。
2022/08/17 更新
2022/07 訪問
【蕎麦会】お江戸のモンスターと札幌の獅子
東京からのモンスターを迎えての通称「グリグラの会」…劇的に暑かった7月3日(日)夜の部に2名で参加。
グリーングラスとは…
名店「眠庵」で修行した関根氏が東京都新宿区にオープンさせた蕎麦屋で、ミシュランガイドにも掲載、十割蕎麦は産地別の味わいや香りを楽しむ事が出来て、静岡おでんや静岡のお酒も評判が高い。現在予約が中々取れない名店。
今回はグリーングラスから関根氏と女将さん、そして我らが蔵美庭の黒島氏とマリエさん、そして道内期待の蕎麦生産者が手を取り合い、魅惑の料理やお酒を提供する夢のコラボイベントだ。
【グリーングラス】
●美山椒肉味噌とお野菜
●静岡おでん
●そばがき〜R2産埼玉三芳在来手刈り天日干し
●蕎麦〜北海道蘭越産特別栽培キタワセ
〜北海道蘭越産キタミツキ
【蔵美庭】
●地鶏のづけとレバーパテ もなかの皮添え
●蕎麦天ぷら三種(大海老・ヤングコーン・芽キャベツ)
●そばがき〜栃木県産キタワセ(R4年度新そば)
●蕎麦〜北海道ニセコ産常陸秋蕎麦
〜北海道新得産キタワセ
この会には蕎麦の著書(本)を複数持つ、東京の蕎麦神的先生である太野祺郎氏を初めとした筋金入りの蕎麦喰い達や、今最も勢いのある札幌の気鋭蕎麦職人達が多数参加。早速厨房で腕を振るう両ご主人の一挙一動を見つめた。とは言え、会場は笑顔溢れる和やかな雰囲気で、まずはビールで乾杯し、振舞われる珠玉の日本酒で料理への期待を高めた。
関根氏は初めての厨房でも颯爽とオーラのある存在で、手捌きも滑らかだ。そして我らが黒島氏も慣れ使い込んだ厨房で飄々と作業をこなし。その姿にも又オーラを感じた。
先ずは挨拶代わりにはあまりにも大きな衝撃の蕎麦が登場。各々の店が持ち寄った塩で味わうスタイル。
グリーングラスはキタワセの粗挽き。まずその香りに驚き、手繰れば滑らかな麺線にて、噛めばふつり切れる優しさの中に、しなる様なコシの存在に驚き、粗挽きの粒子が解けるように現れるキタワセの上品な味わいに、角の丸い優しい粗塩が絶妙に絡みアシスト。初回からノックアウト級のインパクトだ。
蔵美庭は常陸秋蕎麦の粗挽き。これぞ黒島健介の魅力、そう、私が初めてここで食べた時にこれだ!と感じたスタイル。ザラリとした舌触りに噛めば軽く押し戻されるような弾力のコシ。これでもかと言わんばかりに流れ出るような蕎麦の甘味に悶絶。当然黒島氏もモンスターに負けていない。
先付けとなる皿は、山椒の効いた粗挽きの肉味噌が日本酒にバッチリで、青さ少なく滋味深い胡瓜ともナイスコラボ。静岡山葵の麹和えと蒟蒻も雰囲気あり。同じく雑味ないレバーパテはパリパリの最中と相性抜群で美味く、鶏肉も酒がススムあて。
次は楽しみにしていた静岡おでん。黒々しい出汁は実に優しく、塩加減も穏やかながら、深い出汁のコクと食感、そして付け合わせの牛筋とハンペンが見事に調和、薬味を合わせて素晴らしき一品。最後にトロリ添えられた蕎麦の実おでんが憎らし過ぎる演出。
後を追い登場は蔵美庭のリーサルウェポン、見事な逞しさと食感の大海老天ぷら。筋肉質でコクのある海老の身にサクリ上品な衣で、美味しくない訳が無い!自然な甘さの野菜達もナイスセレクト。
次はそばがきの登場。蔵美庭からは綺麗な薄緑色が印象的な夏新蕎麦。一足早い新鮮な香りは穀物本来の甘さと共に、暑い夏に爽やかな風となり吹き抜けた。
グリーングラスからは流行りの粗挽きスタイルで、蔵美庭とは真逆の二年熟成。じっくりと深く丸い旨味甘味に、粗挽きの舌触り、時より感じる香ばしい蕎麦の実が良きアクセント。
いよいよ千両役者達の共演だ。蔵美庭は新得産キタワセをやはり黒島氏らしい粗挽きにて。香り良く長い余韻、浅黒さと逞しさのある旨味で男らしく、コク深くも優しいつゆにも良く合う。グリーングラスは蘭越産キタミツキをオーソドックスに。滑らかで粘りある麺線は中々お目にかかれない新食感、それでいてぼやけずしっかりとした縁取りを保つ。キタワセを改良した品種らしく、淡麗ながらもフワリとした味香らしっかりと。
そしてこの日のために作ったという、つゆに驚き。どっしりと良く馴染んだコク出汁感に、真っ黒で角が丸くムチムチの旨味が特徴の返しがさりげなく融合して一体感を保つ。優しい味わいながらジワーっと波紋の様に口に広がる味わいには目を丸くした。
最後はそれぞれの蕎麦湯を味わいフィナーレ。それぞれの料理に合わせた静岡を含む各地の日本酒も素晴らしかった。そして東奔西走の如く解説、配膳をしてくれた両女将のセンスある仕事ぶりにも脱帽。忙しい中ストレス無くお酒を提供してくれ、我々も満足出来た。そしてグリーングラスの女将さんには退店後少し歩いたのに、わさわざ駆け足で我々を追いかけ、名刺を持って笑顔のご挨拶を頂き大変感謝感激。
最後に…
この度、素晴らしい会を企画運営してくれた両職人及び女将さんらに御礼申し上げます。そして大志を持つ生産者の方々、この会のきっかけを創ってくれた北見の重鎮、又、評論側の私を快く受け入れてくれている数々の素晴らしき蕎麦職人さん達、更にはお江戸の大先生や蕎麦小町さんを含めた沢山の蕎麦喰い仲間たちも、楽しい会と時間を本当にありがとうございました。これからも蕎麦活を含めたお付き合いをよろしくお願い申し上げます。
〜幸せな蕎麦時間と蕎麦ムーブメント〜
ここ数年、良い意味で蕎麦職人さんらの横の繋がりが高まり、更には彼らと生産者、そして我々蕎麦喰い達との前向きなコミュニケーションや情報意見交換の輪が着々と広がっているように感じます。そこから発生する幸せの蕎麦時間や夢のような企画の数々は、これから更に蕎麦ファンを増やし、更には生産者、提供者、消費者を巻き込んだ「蕎麦シーンの底上げ」に必ず繋がると信じます。
時には起こせよムーブメント♪
沢山創ろう、幸せの蕎麦時間!
長文レビュー… 最後までご高覧頂き、誠にありがとうございました。
炎天下の「グリグラの会」
両ご主人挨拶
お品書き
まずはビールで
グリーングラス 関根氏
グリーングラス〜北海道蘭越産特別栽培キタワセ
グリーングラス〜北海道蘭越産特別栽培キタワセ
蔵美庭 黒島氏
蔵美庭〜北海道ニセコ産常陸秋蕎麦
蔵美庭〜北海道ニセコ産常陸秋蕎麦
蔵美庭〜北海道ニセコ産常陸秋蕎麦
コラボなる一皿
蕎麦の著者・太野氏
静岡おでん
大海老天ぷら
蕎麦の実おでん
芽キャベツ
そばがき〜栃木県産キタワセ(R4年度新そば)
そばがき〜R2産埼玉三芳在来手刈り天日干し
そばがき〜R2産埼玉三芳在来手刈り天日干し
蔵美庭〜北海道新得産キタワセ
蔵美庭〜北海道新得産キタワセ
グリーングラスのつゆ
グリーングラス〜北海道蘭越産キタミツキ
グリーングラス〜北海道蘭越産キタミツキ
グリーングラスの蕎麦湯
2022/07/07 更新
2022/04 訪問
今現在、最注目の蕎麦職人。
昨年春の初訪問で衝撃を受け、年間17回の訪問は蕎麦屋としては久しぶりのヘビーローテーション店。大雪で今年初訪問は4月となってしまったが、今年は更に訪問回数が上がりそうだ。それだけ魅力的な蕎麦の提供を維持している。
ご主人、黒島健介の蕎麦は素晴らしい。この職人の特徴は、蕎麦の味香を引き出す術に長けており、そこに比重を置いている事。そして飄々としつつも内に秘めた細かいこだわりとプライドはかなり強く高い。
蕎麦は様々な産地と銘柄の実や粉を使用し、ひき方や打ち方を変える以上、技術云々抜きに差異が生じる。逆説的に言うならば瞬間最高視聴率かの如く、蕎麦により私が判断する「北海道一の蕎麦」が発生するのだ。
■ 唎き蕎麦セット 1,550円
【別誂え】福井県産 丸岡在来種粗碾き十割(京都じん六より提供)
【二八】群馬県産 常陸秋そば熟成粗碾き
まずはこの時季にこの色が映える。十割はモッチリもちもちの食感の後に、ジワリと深い滋味が波状に広がる。この時期においてこの味香と色味は奇跡的な感覚も受ける。男性的。京都じん六のパワーもしっかり享受。
二八も基本モッチリ滑らか。喉越しに長けると共に、二八だから出せる特融の味香が心地良い。繊細ながらも逞しさのある存在感。女性的。普遍的。
確立しつつある世界観。このポテンシャルの蕎麦を常時安定して提供出来るようになる頃は、もう北海道を代表する孤高の存在になっていくだろう。それを見届ける事が楽しみだ。
【別誂え】福井県産 丸岡在来種粗ひき十割
【別誂え】福井県産 丸岡在来種粗碾き十割
群馬県産 常陸秋そば
群馬県産 常陸秋そば
【別誂え】福井県産 丸岡在来種粗碾き十割
群馬県産 常陸秋そば
【別誂え】福井県産 丸岡在来種粗碾き十割
【別誂え】福井県産 丸岡在来種粗碾き十割
群馬県産 常陸秋そば
2022/04/10 更新
2022/03 訪問
スタッフの間借り営業で「出汁カレー」
後日談として聞いたのだが、ベロ酔い3人で現れたらしい。しかし基本は大人しい私が「おいカッキー!美味いカレーを食べさせるんだろうな?そうでなかったら支払いしないぞ!!ドーンッ!!」程度のようだが、カッキーは至極緊張したらしい。
「蕎麦切り春のすけ」での一大イベント「NIPPONオンラインコラボ蕎麦会」のスタートから日本酒を飲み続け、蔵美庭のご主人が「カッキーのカレーが本当に美味しいから!」との熱い語りから、参加者のうち3名で開始時間の21時まで更に飲み続け…訪問。
蔵美庭のスタッフであるカッキーが日曜日の21時から間借りとして放つカレー…評判も上々らしいから楽しみだ。皆ベロ酔いだけどね(笑)
【本日のカレー】鯖出汁混ぜカレー 1,200円
粘性ありザラ付きのあるルーは、旨味が主体ながらスパイスの広がりも上々だ。鰹節など和のエッセンスもある具材を混ぜ混ぜすれば、食感と味わいに変化が生まれて更に楽しさUP。私は無意識に蕎麦で食べたのだが、ライスでもTRYしたくなるような、思いもしない完成度だった。
酔い舌もあってか…
「カッキー!美味いけどもっと攻めろ!スパイスの主張ももっと!しかも少し温いぞっ」等と脅しをかけたらしい。
ごめんね、カッキー。皆半分は記憶無いと言ってたけど、カレーの旨味とその美味しさはしっかりと記憶しています。また食べたい!但し今レビューを打ち込みながら思ったのは、具材の盛り付け方に少し余裕が欲しいかな。少し固い印象だね。
2022/04/15 更新
2021/12 訪問
更なる高みへ。
蕎麦納め三店の中のひとつは蔵美庭(グラビティ)
今年ふらりと入り、かなり気に入り通った最注目店。そして私の今年の蕎麦活動の象徴とも言える店。
レビューを読み、興味を持ち訪問してくれた方々も多数おり感謝申し上げます。私自身の励みにもなりました。(N・W、ご両名にも会ってみたいぜ、ありがとう)
オーナー職人、黒島健介氏は江戸前蕎麦の歴史的暖簾である更科堀井で修行、京都のミシュラン店でも指導を受ける等の経歴を持つ。
先日の某情報番組の取材では、彼自身の蕎麦を「踊る蕎麦」と称し、来年は「蕎麦で皆様の心を豊かにしたい」と言い切った。
では私がこちらの蕎麦を例えるとすれば、それは「変幻自在に攻める蕎麦」だ。
道内他、全国の色々な産地から優れた蕎麦の実を仕入れ自家製粉、その粉の状態に合わせて様々な打ち方で蕎麦切りを表現する。その蕎麦はやはり味香に長けており優れている。
いわゆる新進気鋭の蕎麦職人と言え、男らしく飄々とした雰囲気は感性型のようにも感じるが、その経歴や特注の道具等も含め、心の奥には細心の拘りと理論を持っているはずだ。
今回頂いたのは2種食べ比べ。特に「積丹産新そば粗挽き十割」は蔵美庭らしいポテンシャル。薄緑色で凛としたエッジ、手繰れば押し寄せる蕎麦の力ある味香で実に美味しい。山葵もGOODだ。
今回はもっと味わいたく、おかわりをお願いした。こちらの蕎麦はいわゆる趣味蕎麦の領域であり、夜のお酒がメインの店、しっかりとお腹を満たす性質では無い事をご理解頂きたい。しかしながら、サイドのご飯などで調整は可能だ。
もう既に素晴らしい蕎麦ながら、私にはまだまだ伸びしろがあるようにも感じる。移転前の店舗でホップ、そして今年この店でステップ、来年は必ずジャンプする年になると私は予言する。
良い蕎麦の脇に良い職人あり、目の前調理のカウンターパフォーマンスにも注目したい店である。今年はこの店での良き出会いにも感謝。そして脇を固める2名の飛車角、そして関連の女将にも楽しいコミュニケーションをありがとう。
「蔵美庭、踊る蕎麦…打っています。日本酒もねっ」
2021/12/31 更新
2021/10 訪問
産地を巡る二本立ての蕎麦。
10月23日の昼下がり、十割は品切れとの事。実力店は人気店の称号も手に入れつつあるようだ。
■もり(二八)沼田産粗挽き新そば 800円
わさび抜き→100円引き=700円
目を惹く淡い翡翠色。真っ先に鼻を近づければ青々しさの中の香ばしさに期待は高まる。しっとりとして滑らかな麺線、箸でつまみそのまま口に含めば、秋風を背に新たなる生命感に溢れた沼田町の蕎麦畑が目に浮かぶかのように甘く深い。
儚くも強い蕎麦の影響だろうか、いつもより汁にメリハリを感じたが、感じ方に関しては自分由来の影響もあるので、それを含めて味覚精度磨きに精を出していきたい。
今年の新そばは確かに大人しいが、それは言い訳に過ぎないと感じる…と言い切ったご主人、確かに私が今季こちらで手繰った様々な産地の新そばは連戦連勝だ。
蕎麦の百貨店、仕入れと自家製粉の強みも大いに活かしたこの店は引き続き要注目店。
2021/11/13 更新
2021/09 訪問
【新そば】攻める蕎麦。
「攻める蕎麦」
現在における同店の蕎麦は、そんな言葉が良く似合う。闇雲にならずしっかりと吟味した蕎麦産地を手品のカードのように替え、それでいてカレー等のチャレンジメニューも登場する。
そう、攻めている蕎麦… そしてやはり味わいは本物だ。今回はInstagramにて道内産新そばが登場したと聞き、私の誕生日だったこの日、美味しいものを食べたく早速駆けつけた。
【別誂え】蘭越産新そば粗挽き十割
【もり】栃木県日光早刈り新そば微粉挽き二八
別誂えは、今年の道内新そばの特徴の表れか、青々しい香りはそこそこながら、やはりこの店はフワリと香ってくる。ほんのりと緑掛かり、しっとりとして良く繋がった十割、噛めば粗挽きの粒子が解けるように、新しい大地のエネルギーがググッと姿を表した。
気を良くして二八も注文。ご主人の目もより輝き気合いが増したよう。
ここでしか手繰れない、日光早刈りの二八。良い蕎麦が穫れるとされる大地からの恵みは、つなぎを味方につけると淡麗かつこれからを期待させるような新鮮な穀物味が穏やかながらも縁取り良く表れ、二八の醍醐味である喉越しと共に手繰る者を魅了する。
通常のもりが良いと、特別な存在設定である別誂えに明確な差異と更なる驚きを求めてしまうが、アグレッシブなご主人であればヒョウヒョウとこなしていくのだろう…いずれそこに期待。
どんどん攻める蕎麦、蕎麦に関しては今札幌で最も勢いがあると言える。
2021/11/13 更新
2021/09 訪問
「別誂え」で口福に。
蕎麦に銘酒 蔵美庭(グラビティ)にプレミアムな設定となる「別誂え(べつあつらえ)」が登場した。まずはその名称に特別感、高級感、そして雅を感じる。
お店側の解説によれば「特別な産地、特別な技法で打つ蕎麦を別誂えと表すことにしました」との事、もうこの時点でワクワク感がいっぱいだ。
■別誂え(100g) 950円 栃木県日光産早狩り新そば(十割)
蕎麦における秋の新緑色が目を惹く。鼻を近づければ、蕎麦畑に吹き抜ける爽やかな風の如く現れる清涼感でもう心はドキドキだ。十割で程々なる粗さの良く繋がった蕎麦、そのまま手繰れば早狩りの特性か、淡麗なる風味後にジワリと湧く大地の甘味がフィードバック、しっかりと口の中に福を齎してくれる。そのままで、塩で、そして優しく豊かな汁で、味わいも変幻自在。
ちなみに「別誂え」は100gとサラッとしたボリューム、例えるならば趣味蕎麦だ。お腹を満たしたい場合は新たにメニューインした「たぬきごはん」「とろろごはん」を組み合わせたい。そして扱う2種の蕎麦を食べ比べ出来る「唎き蕎麦セット」も興味深くてオススメだ。
…口福というタイトルは、その素晴らしき言葉を大切に愛用する、この店で以前ご一緒させて頂いた「蕎麦小町」さんに敬意と大いなる期待を込めて。
2021/09/14 更新
2021/08 訪問
駆け出しの蕎麦小町。
さくら千歳店から札幌へ…目指すはこちら蔵美庭だ。比較的スムーズに到着するも、いつも忘れ物の多い相棒(C)の影響で、市内ながらもトンボ帰り。予想時刻を大幅に遅れての入店だ。
扉を開けると、初めましての女性…そう、この日はSNS他での蕎麦好き繋がりによる偶然が複数重なり、突発的に接近遭遇する機会が出来たのだ。
にこやかに挨拶を交わし、まずはノンアルコールビールで乾杯。そして早速2種の蕎麦を手繰る事に。我々の向かいに「蕎麦小町さん」。持参した書籍「蕎麦手帳」を手元に置き、蕎麦を手繰るスタイルが小粋で…うん、札幌に新たなる蕎麦喰いの登場だ。しかし緑色のお召し物に、思わず「無限ピーマン」と例えてしまう失態付き(C)…粋な蕎麦喰いを自負するならば「新そばのような緑色」と称えるべきだっただろうと後から気付く☆
■群馬県産夏新蕎麦 微粉挽き 十割
画像では表現されないが、目を惹く淡い緑色に高揚。マッティで力強い食感、早熟のさりげない爽やかさと強く太いナッツ香、大地のエネルギーと穀物の甘さ、男性的で押して押してくる蕎麦。
■群馬県みなかみ在来種 微粉挽き 外一
しなやかなる優しい麵線、汁絡みの良いザラツキ、微量のつなぎで華開く蕎麦香は強いながらも爽やか。良く馴染んだ喉ごしにジワリ広がる上品な甘味の余韻長し。控えめながらもしっかりとした主義主張を持つ女性的。
あれこれ分析しながら楽しい手繰り。途中オーダーの無限ピーマンや蕎麦の実お浸しも定番の美味さ。
気付けば楽しい蕎麦談義も早や4時間… でも夢中で語るとあっと言う間。次にお会いするときは、もっともっと蕎麦について語りましょう!そして極めよう蕎麦喰い道。更にはやっかいな我々蕎麦マニアにも快くお付き合いしてくれた蔵美庭スタッフもありがとう(ご主人は所用あり蕎麦提供後早々に退店)またヨロシクなっ!
集え!蕎麦好きさん!
…嗚呼、だから蕎麦はやめられない …よね(笑)
群馬県産夏新蕎麦 微粉挽き 十割
群馬県みなかみ在来種 微粉挽き 外一
群馬県産夏新蕎麦 微粉挽き 十割
群馬県みなかみ在来種 微粉挽き 外一
ノンアルコールビール
森田さんの無限ピーマン
蕎麦の実お浸し
群馬県産夏新蕎麦 微粉挽き 十割
群馬県産夏新蕎麦 微粉挽き 十割
新そばの実
新そばの実
暑い日でした
2021/08/31 更新
2021/08 訪問
今回はイマイチでした。
この日はInstagram情報にて、埼玉県産夏新そばが登場するとの事だったので早速向かうも、最近は徐々にこの店の良い蕎麦が認知されてきたようで生憎の品切れ。
しかしながら追い打ちのタイミング、打ち立て・茹でたて…いわゆる「2たて」の蕎麦を味わう事が出来た。
■せいろ 800円 美山在来種
以前に手繰り、衝撃を受けた美山在来の第2弾。こちらで使用する美山在来は、京都の名店「じん六」から提供を受けた貴重な粉だ。
この粉は、強い大地のエネルギーを吸収したような味わいが特徴…が故に、強い蕎麦を打てば強い個性を放つが、蕎麦はやはり難しい…今回はその強い個性を支えるべく蕎麦の力強さは鳴りを潜め、故に粉の魅力を上手く表現出来ていないような印象を受けた。キビシイ言い方をすれば「蕎麦粉が泣いている」印象。
ここからは想像の世界とはなるが、この粉に関しては風味を花開かせるような優しいアプローチよりも、ダイレクトに味わい・甘味を表現するような、押せ押せの強いアプローチの方が似合うような気がした。
今回はイマイチでした…しかしながら高い高いレベルでね。美味しかった事は間違い無し。
2021/09/04 更新
2021/08 訪問
長崎県五島列島産 粗挽き外一
東京2020大会も、翌日の男子マラソン他でフィナーレ。猛暑の札幌、食べたくなったのはやはり蕎麦だった。
■せいろ 長崎県五島列島産 粗挽き外一 800円
良く繋がり角の立った、かっこいいルックスの蕎麦。蕎麦粉の細かい出自は確認出来ていないが、まったりとしたナッツ香、手繰れば広がりよりも深み、後味の甘味の余韻が長い。今回の蕎麦も「大地のパワー」を吸い上げたような力強さで実に美味しかった。そう、噛みしめて美味い蕎麦だ。
こちらの店は、日によって異なる蕎麦を提供。産地やスタイルをより意識する方は、電話にて確認するのが良いだろう。
2021/08/13 更新
2021/07 訪問
同じ粉で3種のバリエーション。
この日は同じ粉を3種のつなぎ割合で打つ蕎麦を提供していた。これは中々無いチャンス、好奇心から全てを食べ比べてみる事にした。
一般的には十割が最上位とされ、確かにその理由もあるのだが、私としてはそれぞれの割合で長所短所があり、その割合のポテンシャルを最大限に引き出された蕎麦が優秀な蕎麦だと思う。
十割で強く主張する蕎麦があれば、二八で香りが花開き、心地よい喉越しを演出する蕎麦もあるのだ。
◆鹿児島県産鹿屋在来 十割
◆鹿児島県産鹿屋在来 外一
◆鹿児島県産鹿屋在来 二八
十割は在来種らしい強さ、香ばしい香りのある蕎麦。但し今回はその強さがキュッと縛られてしまっているような印象も。
外一は十割に限りなく近いものの、食感と甘味の後追いがくっきりと鮮明、バランス感と押しに富む。
二八はやはり滑らかな麺線による喉越しが秀逸。味の強さ…と言うよりは、啜って花開くような香りが印象的だ。
僅かなつなぎ(小麦粉)で大きく変わる印象、今回に限って言えば、満足度は外一→二八→十割の順だった。
2021/09/03 更新
2021/07 訪問
一足先に「夏・新そば」を楽しもう。
一足お先に本州産の新そばが登場。(蕎麦はその日で変わります)この日は自家製粉石臼微粉挽き粉を外一(つなぎ一割)で打つ… この上ない楽しみ。
■もり 千葉県産 夏新そば 外一 800円
想像よりも緑掛かった「新そば色」にテンションアップ、青々しい香りは穏やかながらも香ばしい香りは十分だ。そして何よりも特徴的なのはその味わい…新そばと言うよりも、蕎麦粉自体の生命エネルギーが強く、味わい濃くて余韻も長い。大袈裟ながら旨味主体の辛汁(冷たいつゆ)は、その夏新そばの強い存在感に押され気味な印象だ。
嗚呼、だから蕎麦はやめられない。
2021/07/23 更新
2021/06 訪問
蕎麦の実の 威力・魔力・魅力。
こちらの蕎麦は日々変わるスタイルが個性かつ魅力的。ご主人が指導を受けたご縁で提供を受けた、京都ミシュラン蕎麦店「じん六」の蕎麦の実は本当に素晴らしかった。
この日はその実を石臼挽きし、粗挽き十割で打つ「まさに自分好み」の蕎麦の提供。Instagramでその情報を得て、居ても立っても居られずの訪問だ。
■京都産美山在来 粗挽き 外一 800円
■新政NO6 500円(お通し500円)
粗挽きの外一は野趣に富むルックス… 味わいを端的に言えば「押して押してくるタイプ」…そう、蕎麦の味わいの濃さがたまらない。噛む魅力のある食感が楽しく、香り・甘味…余韻長く口中に残るインパクトはもう「俺様!」な存在感。この方向性、大好きだな。
私は日本酒ビギナーなので、価値はそれほど解らないが、500円で味わえる「新政NO6」の限定版も実に旨く、蕎麦との相性が抜群なのだ。こちらの店では「酒」が蕎麦を更にアシストする。
店Instagramの情報では、じん六から再度「実」が届けられたとの事…おおお!今からその提供が楽しみだ。
2021/07/23 更新
2021/06 訪問
旨い、強い、貴重。今回の蕎麦はそれに尽きる。
「実に力強い味わいで旨い」…その時で変わる蕎麦が特徴のこの店、今回は貴重な蕎麦粉を使用との事で、私は早速飛びついた。
江戸の歴史的三大暖簾のひとつ「更科堀井」での修行経験のあるご主人は、京都のミシュラン老舗蕎麦店「じん六」で指導を受けたコネクションから、じん六で使用している美山在来種の玄蕎麦の提供を受けたとの事。
私もザッと調べた程度なので詳細は割愛するが、力強い蕎麦の実を、様式美的なプロセスよりも味わいにウェイトを置いて打つ味わい濃い蕎麦… 今回の蕎麦はそのスタイルに良く似ているような気がした。朝に石臼で挽き手打ちした、挽きたて・打ち立て・茹でたての「三たて蕎麦」の味わいは如何に。
■京都産美山在来微粉挽き 十割
■京都産美山在来微粉挽き 外一
まずは若干だけ太めの十割、この時期でこの色合いがまず目を惹く。そして箸にとり口に運んだ瞬間に蕎麦の香りがフワフワと主張、次に噛みしめた瞬間には穀物の甘味がスパークする…そして噛めば噛むほど波紋のように強く押し寄せる甘味…これは凄い!実に凄い。押しの強い一級品。ややもすればその甘味が強過ぎて、汁の甘味や旨味が加わるとクドイとまで思えるような印象。岩塩やそのままで食べても十分美味しい性質だ。
つなぎが若干入る外一蕎麦は、色合いも異なり少し細切りだ。力強さは変わらずとも、喉ごしや口当たり、そして蕎麦の魅力要素がバランス良く主張し、優し気な汁との調和もとれている。そしてやはりこちらも美味い。これはご主人も感想を解説していたが、つなぎが入る事によって蕎麦の味わい、特に風味が解けて感じやすくなる…正にその通り。汁を蕎麦湯で割った時に出汁が花開く感覚のような感じだ。
ほんの少しのつなぎと太さの違いでここまで変わるかと言う印象と共に、驚きの美味さに感心、感激。蕎麦の味わいは実(粉)の状態が殆どでありつつも、それを見極め、より良い状態で打ち、茹で、提供するセンスと技量も当然求められるが、こちらのご主人は、粒子サイズを指定した篩を特注で仕入れるなど強いこだわりを持ちつつも、様式や哲学に囚われず「食べた結果が美味しい蕎麦」に最ウェイトを置くタイプの職人なのだろう。
こちらは日々異なる性質の蕎麦を提供するので、印象も都度変わりがちだが、それはある程度高い次元での話なので、今は前向きに捉えたい。そして「わくわくの蕎麦ワンダーランド」から益々目が離せない。
尚、じん六から提供を受けた蕎麦の実は、今週いっぱい提供が出来そうと言う事なので、明日からの土日、興味がある方は是非味わってみて頂きたい。個人的には十割が凄い!…それほど魅力のある蕎麦です。
京都産美山在来微粉挽き 十割
京都産美山在来微粉挽き 十割
京都産美山在来微粉引き 外一
京都産美山在来微粉引き 外一
京都産美山在来微粉挽き 十割
京都産美山在来微粉挽き 十割
京都産美山在来微粉引き 外一
2021/07/06 更新
2021/06 訪問
旨い蕎麦にワクワクが止まらない。
ご主人はSNSでの情報発信も熱心。「今日は蕎麦打ち人生ベスト5に入る自信作」との投稿を見れば、もう行かずにはいられない… すぐに恋人(蕎麦)に会うようなワクワク感で車を軽快に走らせた。蕎麦の歴史的三大暖簾、お江戸「更科堀井」での修行経験のあるこだわりのご主人は今回、特注(目の細かさ)で届いた篩を駆使して蕎麦を打つ。店頭の黒板告知も解りやすくて文字も上手。
■もり 千葉県産 常陸秋蕎麦 外一 一枚半盛り 1,100円
タイミングで変わる蕎麦は、ご主人が状態ヨシと判断した日本三大栽培種である常陸秋蕎麦の玄蕎麦を一年熟成、石臼で丁寧に引いて手打ちし、更に1日寝かせた極粗挽き蕎麦だ。凛とエッジが立ち、透明感のある麵線には、白黒の粒子が川のように散りばめられ流れているよう。もうこの見た目で心はロックオン、ワクワクドキドキでいっぱいだ。
固過ぎず心地良い弾力のコシ、汁絡み良いザラつき、この時期での香りも主張しながら際立つのは「甘味」…そう、蕎麦本来の大地の滋味が口に広がった後に、じわりと舌に残り主張する甘味の余韻が長い長い。噛めば噛むほどに甘さを感じる幸せ。あえて言うなら、短めの蕎麦が若干目立ったが…
これは旨い!!実に良い!
冷た過ぎない〆具合も、甘味をより感じさせる狙いだろうか。そして甘味をより纏めるのは黒い外皮の縁取りある味わいのアクセント。
ちなみにこちらの汁は出しゃばらず、言わば蕎麦の長所を引き立てるような一歩引いた存在感なのだが、今回の蕎麦にはジャストマッチした印象。蕎麦の甘さと汁の旨味と甘さ…実に良くシンクロしていた。タイミングで満足の方向性も変わる蕎麦屋…それもこの店の魅力。
さて、こちらのご主人は、蕎麦に対する細かい拘りをかなりしっかりと持っているが、理論や哲学、美学以上に、その時々で「如何に美味しく食べられるか」にウェイトを置いた蕎麦打ちをしていると思う。私はこのようなタイプの蕎麦職人も大好きであり、蕎麦の美味しさと共に、今後益々興味が尽きないだろう。
2021/06/24 更新
突然の訃報…蕎麦関係者には全国的に名前が知られた蕎麦職人兼生産者である京都「じん六」のご主人が急逝された。蔵美庭のご主人である黒島氏はアドバイスや蕎麦粉の提供を受けるなど、密度ある関係があったというだけにショックを隠せなかったようだ。その師を忍ぶかのように直近まで提供された蕎麦粉を使用すると言うので、後輩HIRO’sと共に早速駆け付けた。
■十割もり 950円
■かけ 850円
■きき蕎麦セット 1,550円
■小エビの天ぷら 500円
十割はじん六さんから提供を受けた名寄産。まずは存在感のある色合いが素晴らしい。そしてじん六さんの粉の特性を熟知した黒島氏の打ち方がまた素晴らしい。もっちりとボディ感のある蕎麦であり、鼻を近づければ穏やかに香り、手繰れば熟成期における大地の滋味のような味わいが濃い。正に黒島氏のベスト的な蕎麦だ。これにはHIRO’sとも顔を合わせその美味さに頷いた。但しハッキリ言うが二八蕎麦に訴えかけは無かった…今回は役不足。
私はこの日の訪問で初めておかわりの「かけ」を注文する事を決めていた。ルックスにも江戸風情が感じられ、何より出汁が良い。雑味無く上品ながら、しっかりとした酸味旨味。こだからこそ返しが柔らかながらも不満無く、出汁の縁取りと返しのコク、そして決してトロトロにはならない蕎麦がバランスを保ち、舌に訴えかけてくる。これもやはり美味い。
一つもらった小エビの天ぷら、確かに小エビなのかもしれないが立派で肉質良く、旨味もしっかり。これで酒が飲みたかった。
やはり引き出しの多い「黒島ワールド」に今年も期待。