5回
2019/08 訪問
楚々として、凛として
京都は、仁王門通りにある日本料理屋さんです。
昨年開店し、1年1か月。
あっという間に、予約至難店へ。
今回4度目の訪問となります。
前回は、果敢な挑戦も見られましたが、
今回は、伝統に忠実に、また楚々とした構成でした。
相変わらず、細胞に染み入るお出汁です。
では、今回の内容です。
1、玉蜀黍豆腐
大きく鮮やかな緑の蓮の葉に、
ひとひらのピンクの花弁。
その下には、
豆乳で作った玉蜀黍豆腐に、
韓国南瓜
赤万願寺唐辛子
焼き蓮根
道安宝珠喜(どうあんほおずき)
見事な始まりです。
2、お造り
明石のアマテガレイ
淡路 由良の雲丹
肝ポン酢で
3、中トロのお造り
戸井の延縄 154kg
そろそろ、こちらの季節になりました。
やま幸さんのもの。
器は、400年ほど前の古萩で、蔵六型。
亀の形です。
見惚れるほどの美しさ。
4、お椀
噴火湾の毛ガニ真薯
味噌を射こんであります。
蟹身をのせて。
えもいわれぬお出汁。
5、鬼鯵寿司
淡路の大ぶりの鯵です。
身が厚く、美味。
6、石垣貝
焼き石にのせて、好みの焼き加減で、
3枚。
レアでいきましたが、甘味が心地よい。
7、城陽いちじく
どんこ椎茸と胡瓜の和えもの
8、愛媛の白甘鯛の焼き物
火入れが抜群で、脂がのっています。
9、淡路の天然車海老
焼き茄子
出汁で
この車海老が巨大
10、あこう鯛のしゃぶしゃぶ
分厚い切り身を目の前で、しゃぶしゃぶに。
ぷりっぷりの身で、皮目のコクが
なんともいえません。
11、ご飯
まずは、煮え花。
その後、お替りをしながら、
・香の物
・じゃこ
・削り立ての鰹節
12、桃の葛饅頭
13、お薄
お供は、梅酒のソーダ割。
壁には、邪気払いを意味する払子が。
季節を映した、料理、器、調度品。
すべてが、完璧でした。
玉蜀黍豆腐
玉蜀黍豆腐
お造り
お造り
お造り
親方
戸井の鮪
中トロ
中トロ
毛蟹真薯の椀
毛蟹真薯の椀
鬼鯵寿司
鬼鯵寿司
鬼鯵寿司
石垣貝
石垣貝を
石垣貝
城陽いちじくと和え物
白甘鯛
白甘鯛
車海老と茄子
車海老と茄子
しゃぶしゃぶ
あこう鯛のしゃぶしゃぶ
あこう鯛のしゃぶしゃぶ
あこう鯛のしゃぶしゃぶ
払子
煮え花
お釜
香の物
じゃこ
桃の葛饅頭
お薄
2019/08/24 更新
2019/06 訪問
京都次世代を担う大将の、さらなる挑戦
開店1年未満にして、早くも予約至難店になったこちら。
3回目の訪問となりました。
相変わらず、人懐っこい笑顔と、同時に、凛とした真面目な仕事。
今回も、どんな進化を見せてくれるのか、わくわくでした。
「人と同じことをやっていてもしょうがないので」と、
次々新たな素材などに、果敢に挑戦している姿は、
私の考え方ともあって、好ましいです。
が、今回は、あれ、これはちょっと? というのも、
正直ありました。
ま、果てしない挑戦を続ける以上、そういうときも
あるので、温かい目で見守りたいと思います。
では、あれ、ちょっと? も含め、
今回の内容です。
1、自家製胡麻豆腐
出汁のジュレと穂紫蘇
乳白色のきれいな胡麻豆腐。
箸をいれてびっくり。切れません。
ものすごい弾力です。
胡麻を炒ってペーストにし、
ここまで練り上げるのですが、
一からやっているところは少ないそう。
胡麻豆腐大好きな私としては、最高の
出だしです。
器は、百合の花を模した皿で、
松平不昧公のお抱え陶工のもの。
2、お造り
・明石のアマテガレイ(マコガレイ)
塩水に漬けて、もっちりさせています。
・由良の雲丹
品のある甘味
肝ポン酢と割醤油で。
このお皿もまさにセンスが光る骨董。
若手による、写しですが、
中国の呉須を使用しているとのこと。
藍のグラデが素晴らしく、うっとりします。
3、お造り
・剣先烏賊
旬真っ盛りで、ねっとりして、すごい旨味です。
・境港の鮪の背肩
この時期、烏賊を食べているので、烏賊と。
塩酢、醤油、アロエ添え
4、椀
淡路の赤穂鯛
オクラの水玉
これには、驚きました。
オクラの輪切りを球体にしたものが、マリモのように浮いています。
葛で寄せているのかと思いきや、ゼラチンで寄せ、企業秘密
とのこと。 あとで、いろいろ種明かしをしてくれましたが・・。
大将の研究熱心さの一端がわかります。
5、根室の毛蟹
蟹みそと海苔のペーストで
下には、少し酢飯を。
6、海うなぎ
これです、初素材。
間人産。
まだ使っているところは少ないとのこと。
私も初めてお目にかかりました。
しかも、超巨大。
鱗を取るだけで、30分はかかるそう。
1週間熟成させ、ふっくら炭火で焼きあがっています。
ものすごい弾力で、まるでうつぼのよう。
皮目を焦げるほどかなり焼いていますが、
皮の臭みはあり。
「好みが分かれるところです」と大将。
トライアル賞、ですかね。
7、白芋茎の胡麻酢
ムラメと
白芋茎の火入れがよく、さくさく。
8、煮鮑と上加茂の加茂茄子
茄子の出汁の餡かけで。
ここが茄子の出汁、というのが、潔い。
9、鱧
目の前で、巨大な鱧の骨切りを。
じ~~~~っと見ること数分。
鱧の骨切り独特の音だけが、店内に響きます。
1切れ目は、さっと出汁でゆがいて、
割醤油で。
2切れ目は、玉葱と出汁すきに。
卵黄と、緋山椒を。
季節の到来です。
10、ご飯
滋賀の夢ごこち
まずは、煮えばな。
次から、ご飯のお供と。
じゃこ、油揚げと割干し大根の煮つけ、
漬物、生からすみ、削り節、水茄子。
今回は、かなり御飯が柔らかめでした。
11、新ゆり根のきんとん
12、お薄
辻利の「栂ノ尾の昔」
お濃茶用を、かなりよく練ってお薄に。
とても香り高く、いい時間の〆にふさわしいです。
お供は、梅酒をソーダ割で
研究熱心な姿勢が表れる品々。
大将の真摯なお人柄にほれ込んでいるので、
ここは、まだまだポジティブに受け取りたいと
思います。
次回も、またどんな進化を遂げているのか、
楽しみです。
看板
店内
店内
梅酒のソーダ割
胡麻豆腐
胡麻豆腐
大将
由良の雲丹
アマテガレイと雲丹
アマテガレイと雲丹
皿
お造り
鮪と剣先烏賊
椀
椀
赤穂鯛とオクラの水玉
毛蟹
毛蟹
海うなぎ
大将
海うなぎ
海うなぎ
海うなぎの生
海うなぎの生
白芋茎の胡麻酢
鮑を調理中
鮑と加茂茄子
鮑と加茂茄子
鱧の骨切り中
鱧鍋
鱧
鱧
鱧
鱧すき
煮えばな
香の物
揚げと割り干し大根
じゃこ
鰹節
水茄子
新ゆり根きんとん
お薄
茶碗
2019/06/12 更新
2019/01 訪問
京都の次世代を担う店に
昨年に続き、ご縁あって、2回目の訪問となりました。
予想どおり、超人気店になるも、大将、中島さんは、
いい笑顔で、元気そう。
やはり、「料理が好き」というオーラを放っています。
今回も、またもや、あっという驚きや、
細部へのこだわりを見せてくれました。
1回目を軽く凌駕する、天才肌の技。
やはり、京都、日本料理界の次代を担う人と
なるでしょう。
では、今回の内容です。
香煎茶
1、白味噌の椀
ゆり根の茶巾
慈姑のクルトン
白味噌の品のあるコク。
慈姑のクルトンが驚きの味。
2、三関のせりと干しカズノコのお浸し
3、お造り
なんと、焼き石が登場。
以下を石の上で軽く炙る、という趣向。
冬ならでは、です。
炙ると、海老の甘味が増し、
香ばしい香りも。
*昆布〆の伊勢海老
海老味噌醤油で
*黒みる貝
柚子醤油
++ 皿は、天啓赤絵
(400年前の中国のもの)
4、鮪のユッケ
長崎、定置網144kg
「きょうは、そのままか、ユッケの用意もありますが、
どちらがいいですか?」と言われ、
ユッケを選択。
山中油店のごま油と鶉卵で。
これも、ひねり技でいいですね。
5、お椀
淡路産トラフグの身とかま焼きと白子
芽ネギ
具材の豪華さより、やはり、このお出汁の秀逸さに
言葉を失います
6、からすみの飯蒸し
自家製の半生からすみなのですが、
登場したとき、あまりのぶ厚いカットに、
私の乱視が進んだのかと、瞬きをして、
見直してしまいました。
厚さを確認すると、もう、母のような気持ちで、
原価を心配してしまうほど。
からすみの上には、板おみき。
酒粕のことですが、カスというのはよくないので、
とのこと。
7、若狭焼き
和歌山のクエの木の芽焼きです。
青み大根の味噌漬け
クエの焼き加減もパーフェクト。
青み大根の仕事に唸ります。
8、生しらす
「これ、おまけです」と言って、登場。
三重の生しらす
9、柴山の松葉蟹と菜の花のあんかけ
その上に、新竹の子が。
これがただものではない、新竹の子。
これは、根ぶちの竹の子といい、
春に根が出るように根切りしたあとに
わずかに出る竹の子で、この日から3日間
だけしかない、というラッキーな体験でした。
10、岐阜 網獲り鴨と大根の鍋
ここで、鉄製の巨大な炭火用焼き機が
中央に。 とにかく、大きいです。
そこに炭をたっぷりいれて、土鍋を設置。
大将、すごく楽しそう。
品よく炊いた大根と鴨。冬ならではです。
これを2回お替りしてから、
「次、まながつおにしましょうか?」
とのことで、これまた、鍋にさっと通して
から、いただきました。
まながつおは焼きだけではない、のです。
11、ご飯
煮えばなから順に少しづつ。
12、ご飯のお供
*天然海苔の佃煮
マービーという甘味料でほのかに甘味が。
*じゃこ
*香の物
*0.1mmの鮪節
13、生菓子
丹波の大納言小豆
備中白豆餡と山芋のきんとん
ここに、徳島産の種なし金柑をあしらって.
かなり珍しい種なし金柑です。
お供は、自家製梅酒のソーダ割。
「濃くないですか?」としきりに気にしていましたが、
濃くはなく、コクがあります。
基本に忠実なのですが、
どこかしらに、創意工夫を入れていて、
驚かせてくれます。 しかも、それが
やりすぎではなく、きちんと着地させている
ところに、感心します。
前回もそうでしたが、終始楽しそうな大将。
料理と食への愛を感じます。
これは、ますます目が離せません。
香煎茶
店内
酒器
梅酒のソーダ割
白味噌椀とお浸し
せりと干しカズノコのお浸し
白味噌椀
お造り
伊勢海老と黒みる貝
焼き石
海老味噌醤油と柚子醤油
伊勢海老を軽く炙って
鮪
鮪のユッケ
鮪のユッケ
お椀
お椀
お椀
お椀
からすみの飯蒸し
からすみの飯蒸し
若狭焼き
若狭焼き
生しらす
器
松葉蟹、菜の花、根ぶち竹の子
根ぶち竹の子
根ぶち竹の子
大将
網獲り鴨
土鍋
大根と鴨
大根と鴨
煮えばな
ご飯のお供
香の物
じゃこ
天然海苔の佃煮
まながつお
鮪節
ご飯と鮪節
お薄
生菓子
大将
2019/01/24 更新
2018/08 訪問
この才能、おそるべし
京都の底知れない日本料理界の奥行をまたもや
痛感した宵となりました。
こちらのオープンのことは半年前ほどから聞いており、
楽しみにしていました。
店名「道人」は、どうじん、と読みますが、
店主、中島道人さんの名前です。
「未在」で8年、その後、3年ほど老人ホームで食事を作っていた、
という異色の経歴。
そもそも、この道に進みたかったのは、自分が病気になり、
食事の大切さを思い知ったから、だそうです。
まだ若いながら、随所にきらりと光る技と、
自信に満ちたオーラ。
厨房にいるときが一番楽しい、そうで、
休日も市場を歩くのだそうです。
大宰府のご出身とのことで、この日もお母様から送られて
きた、かの地の素材が登場しました。
「未在」とは全く違う、独自のワールドを早くも形成。
一人ですべてこなしているので、カウンターは6名入れますが、
当面1組ほどしかとらない、とのこと。
大将は、茶道の心得もあり、奥には、茶室もあります。
さらに驚いたのは、私がお邪魔したある店の話になったときに、
その店名が、漢詩に由来することをすらすらと話されたのです。
あふれる教養が垣間見えました。
これは、楽しみなお店がまた増えました。
この日のコースです。 20000円。
1、白無花果
皮が柔らかすぎて市場にはでないもの。
向日町の農園まで買いにいくそうです。
この農園、田んぼのように畑に水を入れて
野菜を育てています。
2、太刀魚の炙り
ポン酢生姜餡で。
茗荷、葱、赤紫蘇
3、鮪
なんと、お造りは、鮪だけで勝負。
「やま幸」さんからの鮪で、ボストン産。
昆布醤油で。
4、天然鱸 小吸物
この出汁に唸りました。
昆布出汁のみで、塩は不使用。
薄い出汁に塩などを足すのではなく、
濃いめに作って薄めるのが、道人流。
昆布は、水出しで、一晩かかってます。
5、根室産赤雲丹の一口寿司
根室の毛蟹と。
味噌の替わりに雲丹を使うというアイデア
6、韓国南瓜(ほうば)と三島亭のヒレ
韓国南瓜はかぼちゃとズッキーニの間のような
食感。
実山椒のソースにまたまた唸りました。
実山椒をペーストにし、ご飯でとろみを。
7、煮鮑
実家から送られてきた里芋を揚げ物に。
赤と緑の万願寺唐辛子
新銀杏
栗をたっぷり削って。
銀餡 (塩で鰹節の旨味を引出し、醤油を2滴)
8、出汁すき
徳島産白ぐじと松茸
希少な白ぐじですが、徳島産が最も美味と。
卵をつけていただくと、すき焼きに。
*ここで、煮えはなを
9、伝助穴子
10、はぐら瓜、昆布、生からすみ
はぐら瓜は、歯がぐらぐらしていても
食べられるから。
ご飯は、滋賀の「夢ごこち」。
名前に惹かれたそう。
*ここで、ご飯のお供に、鮪の漬けも
登場。
11、呉豆腐
豆腐に、八重山の黒蜜
この黒蜜が美味なので、黒蜜を食べるための
豆腐。
12、シャインマスカット
一人ですべて仕切っていらっしゃるので、
時間はかかりますが、その「間」さえ、楽しみです。
考え抜かれた素材と素材の組み合わせ。
しっかりした基礎がありながら、それに
とらわれない柔軟な思考と発想。
いや、もう実にこれからが楽しみです。
外観
外観
店内
茶室
店内
店内
梅酒のソーダ割り
白無花果
白無花果
大将
太刀魚の炙り
太刀魚の炙り
鮪
昆布醤油と醤油
鮪のお造り
天然鱸の小吸物
天然鱸の小吸物
毛蟹と雲丹
毛蟹と雲丹
ヒレと韓国南瓜
ヒレと韓国南瓜
ヒレと韓国南瓜
栗を削る大将
煮鮑
煮鮑
出汁すき
出汁すき
出汁すき
煮えばな
お釜
はぐら瓜、昆布
伝助穴子
はぐら瓜、昆布
生からすみ
鮪の漬け
呉豆腐
お茶をたてる大将
お薄
お薄
シャインマスカット
2018/08/26 更新
昨年のオープン以来、5回目の訪問となりました。
淡々と仕事をする若き大将。
ちょっとはにかみながらも、
芯の強さを垣間見せます。
今回は、そんな大将の実力を、存分に感じた宵と
なり、これまでで最も素晴らしかったです。
ひとつひとつの仕事に、冴えと誠実さが見事に
表現され、この大将の底力を感じます。
では、この日の内容です。
1、新物のくもこ 白味噌仕立て
湯葉、黒七味、あられ柚子
2、雄の渡り蟹
加減酢
今季だけでも、いろいろな名店で
渡り蟹をいただきましたが、
この仕上がりには、驚嘆です。
ねっとりとしっとり。
大将に聞くと、
蟹のお腹に温度計を刺して、
正確に温度を把握するとのこと。
加減酢は、かけると全部その味になって
しまうので、下に。
3、お造り
・淡路の鯛
・はり烏賊
・白甘鯛 5日熟成
・浜中のバフン雲丹
白甘鯛を長めに切りつけ、
雲丹を巻けるように。
4、お椀
蟹真薯
丹波の松茸
5、カマスの小袖寿司
炙りバチコ
お皿は、江戸期、柿右衛門二代目
6、京菊菜の白和え
目の前で、豆腐を崩して和え、
作り立て白和えを。
豆腐は、服部豆腐
7、真名鰹 幽庵焼き
8、新物 富田林の海老芋
極薄で炊いています。
9、伊勢海老と自家製胡麻豆腐
カウンターに、鍋が登場。
頭をとったかなり大ぶりの伊勢海老が。
鍋で、伊勢海老と根三つ葉をさっと
煮て、胡麻豆腐とあわせていただきます。
反則的美味。
10、ご飯
煮えばな
香の物
じゃこ
削り立て鰹節
11、栗大福
もうなにも言えないほど、満足です。
12、薄茶
大将自ら、目の前でたててくれます。
お供は、日本酒
・風の森
いつもながら、趣味のよい骨董の器や皿には
感心しきり。
惚れ惚れします。
大将渾身の料理と、美術館級の器に囲まれ、
なんとも幸せな時間でした。