29回
2023/07 訪問
勢いのある京懐石
夏の末友さん。待合では涼しげな氷柱が出迎えてくれます。
先付(賀茂茄子の丸焼き)
八寸(黒もずく酢、鱧の煮凝り、蛸の柔か煮、丸十、枝豆、レンコダイの寿司)
椀物(鼈の雲呑)
向付(あこう、剣先いか、サザエ)
焼物(鮎、岩牡蠣)
鱧しゃぶ
若布ご飯
水物(ラズベリー・さくらんぼ・すいか等とラム酒のゼリー、無花果のアイス)
お薄
じっくり焼いた賀茂茄子からスタート。皮が完全に炭化するほど焼いた賀茂茄子と比べるとトロッとはしていませんが、賀茂茄子の果肉感はより感じられます。八寸は塩味・甘味・酸味が丁度良い塩梅。
お椀は鼈の雲呑。魚介系の椀種の時と比べるとしっかりした出汁でしたが、鼈のうま味と合わさると豊かな吸い地に。鼈のクリアな味わいだけが見事にピックアップされていました。向付のアコウはまずまずも、サザエはパッとしなかったかなと。
焼物は若鮎(安曇川)と岩牡蠣。鮎の塩焼きはこれ以上の焼き方はないのではないかと思ってしまったほど。しっとりと焼かれており、香りはもちろん、鮎のうま味・苦味もしっかり味わえました。岩牡蠣もジューシーで非常に美味しかったです。
鱧しゃぶは昆布出汁に潜らせて。当店のしゃぶしゃぶの出汁は、鱧の骨等を使うお店と比べると極めて淡白で薄味ですが、個人的には雑味のない、より洗練された味わいのように感じています。鱧のうま味を含んだしゃぶしゃぶの出汁は〆の若布ご飯に掛けていただいてもGood。
首を傾げてしまうような料理に出くわすこともありますし、色々な意味で安定感は高くないかもしれません。また、ギリギリの所を狙ったような料理もあるので、濃い味付けが好きな方には分かりにくく、お客さんを少し選ぶような気もします。
2023/10/11 更新
2022/12 訪問
勢いのある京懐石
冬の末友さん。この日の目当ては河豚。
先付(湯掻き立てのコッペ)
八寸(雲子、いかの塩辛、炙り鯖寿司、いくら、生のカラスミ、塩炒り銀杏等)
グジの蕪蒸し
向付(河豚)
お凌ぎ(百合根)
焼き河豚
焚物(海老芋)
紅葉ご飯、赤出汁、香の物
水物(ル・レクチェ等)
お薄
先付けはコッペ。手間を惜しまず湯がき立てのものを供してくれます。内子、外子、ほぐした身を別々に。手の込んだ八寸は季節感が大事にされています。味付けも過ぎない塩梅。
椀物はグジの蕪蒸し。吸い地は一口目こそやや物足りない位ですが、蕪蒸しを崩しながら食べ進めていくと、昆布主体の出汁に蕪や甘鯛のうま味・塩味・甘味が加わり豊かな吸い地に。最後まで味わいがピークアウトしない素晴らしい椀物でした。
向付と焼物は河豚。当店は潰し立てのものを使用されています。向付は食感、香り、味わいのいずれも素晴らしいものでした。
向付以上に印象に残ったのが焼き河豚。完璧な火入れで、大変ジューシー。自家製の橙も良い塩梅で、河豚の味わいを引き立ててくれます。焼き河豚は他店でもいただく機会がありますが、当店のものが一番美味しいと思います。
紅葉ご飯も美味しく、焚物以外は非常に満足。このレベルの満足度はそうそうないんじゃないかなと。
2023/01/14 更新
2022/07 訪問
勢いのある京懐石
夏の末友さん。寄付の氷柱が何とも涼し気に映ります。
先付(焼き賀茂茄子)
八寸(玉蜀黍のすり流し、すぐき、鱧の煮凝り、丹波の黒豆、もずく酢、鱧の粽寿司等)
椀物(蓮蒸し真薯)
向付(目板鰈、剣先イカ、サザエ、いさき)
焼物(鮎塩焼き)
蓴菜と黒蜜
鱧しゃぶ
生姜ご飯、赤出汁、香の物
水物
お薄
中がトロトロになった焼き賀茂茄子から。手の込んだ八寸とともに季節を感じさせてくれます。
お椀の出汁は鰹の主張を感じさせないもの。むっちりした蓮蒸し真薯を崩しながらいただいていくと、吸い地と真薯の味わいが増していきます。一口目から美味しすぎない塩梅の賜物でしょう。
美山の鮎はしっかり焼かれていますが、しっとりとした仕上がり。鮎の香りも感じられ美味しかったです。
鱧しゃぶは鱧を淡泊な出汁に潜らせて梅肉醤油と一緒に。美味しいには美味しいのですが、梅肉醤油だけだと飽きるので、他の選択肢もあると良いのではないかなと。
2022/09/17 更新
2022/04 訪問
勢いのある京懐石
春の末友さん。引き出しの多さは流石。
先付(ホワイトアスパラガスのすり流し)
八寸(鯛の白子・鯛の子、鯛の手毬寿司、蛸の桜煮、蜆時雨煮、一寸豆、南瓜寒天寄せ、蛍烏賊のテリーヌと湯葉チップス、うすい豆等)
椀物(アブラメ、筍、若布、木の芽)
向付(サヨリ、剣先イカ、赤貝)
焼き筍
焼きモロコ
花山椒と和牛のしゃぶしゃぶ
花山椒鍋(どじょう、新ごぼう)
氷魚ご飯、赤出汁、香の物
スイカのシャーベット、ぶんたん、桜餅
お薄
こちらの八寸はいたずらに塩気が強いということがなく、単なる酒の肴とは一線を画しています。鯛の白子と鯛の子は味付けが特に好みでした。
椀物の出汁は昆布主体で、鰹の存在を感じさせません。一口目は淡い塩梅で、椀種を引き立ててくれます。
向付の細魚や剣先いかはイマイチも、焼き筍は非常に美味しかったです。えぐみは一切なし。心地良い食感と凝縮した筍の味わいを堪能できました。
花山椒二種も好印象。特に花山椒と和牛のしゃぶしゃぶは非常に美味しかったです。過去にこちらでも同じ料理をいただいたことがあるのですが、今回のものは全くの別物。
どじょうと新牛蒡の花山椒鍋もほっこりする味わいで良かったです。〆の氷魚ごはんも滑らかな独特の食感と儚い味わいが印象に残るものでした。
2022/07/31 更新
2021/12 訪問
勢いのある京懐石
冬の末友さん。この日のメインはジビエ。
先付(鶉)
八寸(茶ぶり海鼠、蕪の葉とお揚げ、生の唐墨、トンブリ、銀杏等)
向付(鮃、いか)
椀物(カワハギの蕪蒸し)
焼物(真鴨)
強肴(海老芋の炊いたん)
強肴(唐墨大根)
でんふご飯
水物
お薄
八寸はどれも丁寧に仕上げられたもので、酒肴として丁度良い塩梅の味付け。塩味等は平均的なお店よりも控えめな部類に入るでしょう。
お椀はカワハギの蕪蒸し。肝まで使用しているからか、出汁は当店の平均的なものよりしっかりめとの印象。椀種との調和は素晴らしかったですが、グジの蕪蒸しの方が美味しいのではないかなと。
鴨は半身を丸々。赤ワインを使ったソース or おろしポン酢で。臭みは一切感じず、ソースも美味しかったです。
技術やセンスの高さは流石。客のリクエストに対応できる引き出しを持っています。もう少し暖かくなったら、また伺おうと思います。
2022/03/13 更新
2021/11 訪問
勢いのある京懐石
晩秋の末友さん。間人蟹をこれでもかという位いただきました。
湯掻きたての内子
湯掻きたての外子
コッペのスープ
コッペのほぐした身(土佐酢のジュレで)
八寸(生の唐墨、烏賊の塩辛、蕪の葉とお揚げ、車海老と酢蓮根・穴子の八幡焼き等)
蟹刺し
椀(クエ・蕪)
向付(鮃、アオリイカ)
焼き蟹
蟹味噌とも和え
甲羅焼き
海老芋の油物
紅葉ご飯
水物(ラ・フランス、ラム酒のゼリー、紫芋の羊羹)
お薄
事前に調理済みなのが一般的なコッペ(間人)を湯掻きたてで供していました。内子も外子も食感・香りと一味違いました。身体が冷えないのも嬉しいところ。コッペのスープも実に濃厚でした。八寸も酒の肴として良い塩梅。
椀物の出汁は昆布主体。鰹節の主張は控えめで、クエや蕪のうま味・甘味に寄り添ってくれます。食べ進めるうちに照準が合ってくるもので、途中でピークアウトしません。
間人蟹(雄)は刺身の後、焼きと蟹味噌をひたすら。蟹はジューシーで甘く、味噌も濃厚。少々飽きてしまうほどで、雄はトータルで半杯を超えたのではないかなと。翌朝、体液から蟹の臭いを感じるほどでした。魚は餌で味や香りが変わると言いますが、人間にも当てはまるのかもしれません。惜しむらくは、蟹が私の好物というわけでもないということでしょうか。
終盤の海老芋、紅葉ご飯にも満足。
シャンパーニュのハーフをいただいて8万円台後半。こちらでの利用額としては過去最高のはずです。間人蟹も随分高くなったものだなと驚きました。
2022/01/02 更新
2021/10 訪問
華やかにして繊細
秋の末友さん。日が暮れると冷え込むものの、紅葉はまだ色づく気配を見せていませんでした。予算をある程度お伝えしてお願いしました。
先付(藁で燻した牡蠣)
八寸(炒り銀杏、栗の揚物、黄身の味噌漬け、秋刀魚の鞍馬煮、穴子の八幡巻き、塩辛、いくらおろし等)
土瓶蒸し(松茸・鱧)
向付(甘鯛、伊勢海老、鯖、鰆)
落ち鮎の付焼き
焼き松茸(丹波)
天然鰻の付焼き(琵琶湖)
松茸のフライ(丹波)
半張り蒸し
零余子ごはん、赤出汁、香の物
水物(無花果と蜂蜜ゼリー、栗の菓子)
お薄
先付の牡蠣は燻した香りごと器に閉じ込めて供されました。蓋を開けると香りが広がり、牡蠣の味わいを引き上げてくれます。八寸は相変わらず手の込んだもの。いくらのおろし和え、栗の揚物が特に好印象でした。
メインの松茸は丹波のもの。土瓶蒸し、焼き、フライで堪能しました。土瓶蒸しにはたっぷりの松茸。香りが素晴らしく、幸せな気分になれました。焼きは蒸しをいれずに。香りと食感が際立っていました。
鰻は蒸しを入れて付焼きで。野趣溢れる味わいを残しながらも、あくまで仕上がりは上品に。落ち鮎の火入れも完璧でした。
なんてことはないように見える半張り蒸しも、非常に滋味深いもので落ち着く味わい。〆の零余子ご飯も香りが楽しめるものでした。
2022/01/01 更新
2021/09 訪問
久しぶりの末友さん。秋とはいえ、まだ日中には暑さを感じることもあるような時期でした。通常のコースにちょっと追加する形でお願しました。
先付(鼈の春巻きと鼈のスープ)
八寸(カマスの寿司、銀杏、黄身の味噌漬け、穴子の八幡巻き、ピオーネの酢味噌和え等)
向付(目板鰈、剣先いか、赤雲丹)
椀物(鮑と秋ナス)
焼き松茸(和歌山)
岩魚の塩焼き(近江八幡)
鰻の付焼き(琵琶湖)
落ち鮎の付焼き(琵琶湖)
鱧しゃぶ
鮎ご飯
水物(無花果の田楽とキウイのゼリー、栗の菓子)
お薄
鼈のスープは秀逸。春巻きは若干塩味が強めかもしれませんが、許容範囲内といったところでしょうか。八寸はどれも手の込んだもの。季節を感じる立ち上がりでした。向付の目板鰈や赤雲丹(由良)は非常に美味しかったです。
椀の出汁は昆布を軸にしたもの。無駄なインパクトがない分、鮑や茄子といった椀種をより一層引き立ててくれます。一口目から美味しすぎるような椀物とは一線を画しています。
松茸や鰻にも大満足。松茸は食感と香りが良く、非常に美味しかったです。鰻は少し蒸したものを付焼きに。脂も適度に落ちており、鰻の野趣を残しながらも上品な仕上がりになっていました。
鱧しゃぶの出汁はともすれば物足りないと感じてしまいそうですが、ゆっくり味わえば鱧を引き立ててくれるのが分かります。〆の鮎ご飯も美味しかったです。残った分はお握りにしてお土産に。
2022/01/01 更新
2020/12 訪問
華やかにして繊細
冬の末友さん。ここまで満足した食事というのも久しぶりのような気がします。
先付(鶉の山椒焼き)
八寸(北海シマエビの沖漬け、雲子、いくらのおろし和え、蕪の葉のお浸し、太刀魚の手鞠寿司、からすみ、揚げ銀杏等)
北寄貝(酢味噌で)
てっさ
椀物(サエズリと水菜のはりはり)
河豚白子焼き
焼き河豚
蕪の炊いたん
紅葉ご飯
水物(無花果のアイスとラフランスにココナッツのソース)
お薄
先付は鶉のモモ肉を山椒焼きにしたもの。味付けが絶妙でした。前回もう一つピンと来なかった北海シマエビもこの日のものはGood。北寄貝も前回を遥かに上回るもので、非常に美味しかったです。酢味噌が合います。
椀物はサエズリと水菜のハリハリ。癖や灰汁を上手に取り除いて、サエズリのうま味・甘味が愉しめるように仕上げられていました。出汁は通常よりもしっかりしたもので、サエズリとの調和が秀逸でした。水菜の食感や柚子胡椒も良いアクセントに。サエズリは炊合せや鍋物というイメージが強いのですが、偶の変化球としてはお椀でもアリだなと。
河豚(豊後)はてっさ、焼き河豚、白子焼きをいただきました。どれも美味しかったですが、焼き河豚が白眉。この日の河豚は人生で食べた中で一番美味しかったのではないかなと。ここの河豚はすごく美味しい時とそうでもない時の差が大きいような気がします。
蕪の炊いたんは振り柚子もされており、やや甘めの味付け。蕪そのものの甘味は覆われておらず、優しくほっこりする味わいでした。
2020年一番の満足度でした。パーソナルな対応の中で作られる料理というのはやはり美味しいものだなと。難点を挙げるとすれば、色々な意味で安定感が足りないことでしょうか。
2023/01/14 更新
2020/11 訪問
華やかにして繊細
久しぶりにランチでの訪問。CPの良さを再確認できました。
先付(胡桃和え)
八寸(いくらと大根卸し、銀杏と栗の揚物、鯛の手鞠寿司、秋刀魚、お揚げと蕪の葉のお浸し)
椀物(浅利と蕪)
向付(秋鮭オリーブ油和え)
鯛の御頭山椒焼き
炊合せ(揚げた里芋、辛味大根、河豚節)
ご飯、赤出汁
水物(りんごのラム酒漬けと無花果のアイス)
お薄
八寸は夜と比べて品数・クオリティともにほとんど差がありません。塩味の塩梅が素晴らしいいくら、渋皮ごといただく栗の揚物、お浸し等々、季節感のある手の込んだ美味しいものばかりでした。
お椀の出汁は非常に抑制的。鰹に頼らない椀種に寄り添うものでした。鯛の山椒焼きも非常に美味しかったです。夜のような高級食材こそ供されませんが、調理は手抜きを感じませんでした。
他店が安易に値上げしている中、ここのランチは以前と変わらず5500円(税・サ別)から。使用できる食材の制約は以前より厳しいはずですが、工夫で上手く補っていると思います。冷酒1号で8,000円台半ば。以前より量が減ったとは思いますが、CPは満点評価で差し支えないでしょう。
2020/12/13 更新
2020/07 訪問
華やかにして繊細
夏の末友さん。今回は期待を下回ってしまったというのが本音でしょうか。
先付(焼き賀茂茄子)
八寸(青梅の甲州煮、枝豆、いなだ、じゃこ、鱧の浮袋の煮凝り、粽寿司、毛蟹)
椀物(鯛にゅうめん)
向付(アマテガレイと鮪)
鮎の塩焼き
焼きフカヒレ(山椒味噌で)
鱧しゃぶ
鱧の焼霜
茗荷ご飯
水物
お薄
先付の賀茂茄子はトロトロに焼かれており美味。八寸はうま味・塩味ともに良い塩梅。お酒が進むものでしたが、品のある味付けに仕上げられていました。椀物の鯛にゅうめんも途中でピークアウトせず、悪くはなかったかなと。
ただし、焼きフカヒレは個人的には少々疑問符の付くもの。鱧の骨切りにやや甘いところがあったのも残念でした。色々な面で安定せず勿体ないなと。無論、それも含めて店の実力なのだとは思いますが。
2022/03/13 更新
2019/12 訪問
華やかにして繊細
前回からあまり間隔が空いていなかったので、通常のコースを少し崩していただきました。そんなわけでこの日は蟹抜きでした。
河豚の先付(胡桃のペーストで)
八寸(雲子、いくら、なまこ、鶉山椒、銀杏)
向付(鮃)
椀物(鮑と蕪)
フカヒレの焼物
近江牛の焼物
海老芋と壬生菜の炊合せ
紅葉ご飯・赤出汁
水物(ラフランスと無花果のアイス)
お薄
ちょっと抜けているところもありますが、こんな感じだったと思います。八寸は一つずつ手の込んだもの。特に鶉の山椒焼きが白眉。椀物は以前にもいただいたことのある鮑と蕪の椀物。一口目から美味しすぎない良い塩梅。吸い地が椀種を引き立ててくれます。
蟹の代わりのフカヒレは非常に立派なサイズ。調理方法はお店推奨の焼物で。フカヒレの焼物というのも美味しかったですが、やはり炊合せあたりにしておけば良かったかなとも。炊合せの海老芋(富田林)も立派なものでしたが、炊き方には疑問も。
ここ最近、雰囲気面で気になるところが多く、夜の価格帯では他人にオススメしにくくなったというのが本音です。久しくランチのコース(5500円)をいただいていませんが、CPは非常に良かったですし、夜よりもオススメです。
2022/01/01 更新
2019/11 訪問
華やかにして繊細
晩秋の末友さん。蟹のコースにオプションでさらに蟹を追加してもらいました。
先付(穴子の飯蒸し)
八寸(いくら、生からすみ、烏賊塩辛、銀杏、栗等)
椀(甘鯛と蕪)
向付(河豚)
蟹刺し
焼き蟹
甲羅焼き
こっぺ
マッシュルームの半張り蒸し
伊勢海老のご飯・赤出汁
無花果のアイスクリームと梨
お薄
穴子の飯蒸で空腹を紛らわせ、お酒と八寸を楽しみました。手の込んだ八寸は、塩気も適正の範囲内で品のある味付け。非常に美味しっかったです。椀の吸い地は一口目は物足りないくらいで、甘鯛の味わいを引き立ててくれます。甘鯛の塩味がやや強かったので、個人的にはそれをもう少し和らげる工夫があれば尚良しだったかなと。
河豚の質は褒められるようなものではありませんでしたが、蟹は美味しかったです。間人蟹は刺身、焼き、甲羅焼き等でいただきました。この日はこっぺも。マッシュルームの半張り蒸しはちょっと変わった味わいでしたが、これも悪くはないのかなと。一方、伊勢海老のご飯は微妙でした。
シャンパーニュと冷酒を適量飲んで、一人当たり6万円台半ば。食べた蟹の量を考えれば納得できる値段ではありました。サービスや雰囲気に関しては、再考すべき点が増えているような気がします。
2022/01/01 更新
2019/05 訪問
華やかにして繊細
晩春の末友さんにお邪魔しました。
先付け(雌の渡り蟹)
八寸(粽寿司、蛍烏賊のテリーヌ、蛸の桜煮、子持ち昆布、筍姫皮等)
アブラメの椀物
向付(さより、鮪)
赤貝(舞鶴)
若鮎の焼物
穴子の焼物
松阪牛の花山椒鍋
豆ご飯・赤出汁
水物(ババロア、蕨餅)
お薄
八寸の粽寿司、お造りのさより、花山椒鍋、豆ご飯が好印象でした。特に花山椒鍋は以前いただいたものよりも美味しく、満足のいく一品でした。
その一方で、アブラメの椀物は美味しいとは思うものの、3年前にいただいたものには及ばないかなと。若鮎や赤貝に関してはそれほどとも。個人的には、この時期に若鮎を供されても嬉しくないというのが本音です。たしかに食材的には端境期なのでしょうが、だからこそもう一段の工夫を期待したいところです。
2022/01/01 更新
2019/01 訪問
華やかにして繊細
お正月明けの末友さん。
先付(若筍と蛤)
八寸(たづくり、唐墨大根、数の子、子持昆布、黒豆、茶振り海鼠、手毬寿司)
椀(蕪蒸し)
蟹刺
焼き蟹
甲羅みそ
向付(フグてっさ、鉄皮等)
フグ白子焼きキャビア載せ
炊合せ(豆腐)
鯛飯(黒ゴマ・生姜)
止椀(粕汁)
水物
お薄
寒い夜に嬉しい温かい先付でスタート。若筍(塚原)と蛤にペースト状のワカメを掛けたものが熱した石の上に乗せられて供されました。見た目や温度はもちろん、料理の香りもより一層楽しめる演出です。筍は甘く、蛤も火入れが絶妙で非常に美味。やはり筍とワカメは出会いものです。蛤にも合います。
八寸も粒揃い。ちょっとネットリした感じを残した唐墨は他店と比べ塩味が抑制的。シャキシャキの大根との食感のコントラストや味わいの調和もgood。一手間掛けた数の子も、身が詰まったような弾力とうま味が感じられました。出汁に浸した子持昆布も悪くないですし、黒豆も甘さが嫌らしくなく好印象でした。
椀の蕪蒸しは、滋味深い逸品。しかしながら、数年前の一杯は今回も越えられず。津居山の蟹も美味しいですが、うま味や甘味は例年のもの(間人)の方が上ではないかなと。
その一方で、河豚は昨年のものより格段に上。非常に美味しかったです。キャビアは蛇足も、白子焼きも美味しかったです。豆腐を使ったシンプルな炊合せや鯛飯も非常に美味しく、止椀の粕汁も黒七味が味を引き締めてくれており、美味しかったです。
ほぼ完璧といえる内容。ここ二、三年の当店への訪問歴の中では一昨年の夏以来の当りかなと。大変素晴らしい内容で、他店も含め今冬一番の内容でした。
2021/01/27 更新
冬の末友さん。久しぶりにズワイ蟹(間人蟹)がメインのコースをお願いしました。
先付(コッペ)
八寸(いくら大根、生の唐墨、茶振りナマコ、いかの塩辛、松風、玉子焼き、鯛の手鞠寿司、蕪菜とお揚げ、銀杏、菊菜のお浸し)
蕪蒸し
向付(鰤カマトロ、アオリイカ、鮃、縁側)
蟹しゃぶ
焼き蟹
甲羅焼き
半張り蒸し
紅葉ご飯、赤出汁、香の物
水物(ル・レクチェのコンポート、梅のアイスクリーム、ラム酒のゼリー)
お薄
押し並べて好印象だったのですが、気づいた点をいくつか備忘録も兼ねて。
コッペは今年から提供スタイルが変わりましたが、温かい状態(湯掻きたて?)でというのは以前と変わらず。寒い時期なので温かい先付は嬉しい限り。
いくらは、ここ数年、少し硬いものに出くわすことが多いです。当店のいくらは他店よりも塩気が控えめで、味付け自体は一番気に入っています。それだけに、この食感は非常に残念。
間人蟹は1.2~1.3kg位のもの。コース全体で半杯~半杯強出される感じです。良いズワイ蟹なんですが、お弟子さんの焼き方はまだまだかなと。少し火が入りすぎてしまっているせいか、ジューシーさが損なわれているように感じるところもありました。
この日の半張り蒸しは生姜が乗せられており、いつもより醤油の主張が強めに仕上げられていました。生姜はアリだと思うのですが、個人的には出汁はいつも通りの方が良いように感じました。