23回
2017/03 訪問
最大公約数的
まだまだ寒い時期でしたが、春の訪れを感じに松川さんに。
河豚白子と雲丹の柚子釜
蟹の飯蒸し(焼き蟹と蟹味噌も)
鯛のお造り(醤油か海鼠腸で)
保立真薯の椀(口子、きくらげ、木の芽)
赤貝のお造り
伊勢海老と餅の菜の花餡掛け
炙りミル貝と蕗の薹の天ぷら(味噌を射込んで)
焼きもろこ
すっぽんのタレ焼き
炊合せ(筍、蛤、蕗)
白魚の天ぷらそば
ご飯(いつものおかずで)
黒豆羊羮
お薄
苺のゼリー寄せ
吸い地はインパクト重視ということはなく好印象。抑制的との印象はもう一つ受けませんが、木の芽の爽やかさがホタテの強いうま味・甘味を引き締めてくれます。炊合せも、素材の味を覆わない上品な仕上がり。素材は上質ですが、河豚の白子、間人蟹、もろこには多少疑問も感じました。
高級食材中心の構成ということもあり、コース全体の濃淡という点では、少々しっかり目かなと。しかしながら、決して嫌らしい味付けということはありません。誰もが美味しいと思える着地点でしょう。これだけの客数相手に、このクオリティを保つのは流石の一言。
冷酒を少しいただいて、4万円台半ば。立地を考えれば、価格は妥当な範囲と言えなくもないでしょう。依然として予約困難ですが、一時よりはマシになったように感じました。次回訪問が楽しみです。
2020/09/22 更新
2016/10 訪問
最大公約数的
松茸の季節の松川さんにお邪魔しました。この日は岩手の松茸が大量に使用されていました。使用量は昨年同時期よりも多かったのではないかなと。
伊勢海老
渡り蟹の飯蒸し
鯛と鱧焼霜のお造り
松茸と紅ズワイ蟹の椀
烏賊のルイベ
落ち鮎の焼物
カワハギのお造り(肝醤油)
グジと加賀蓮根
無花果
近江牛と針松茸
焼松茸
鱧と松茸のしゃぶしゃぶ
松茸ご飯
ご飯(いつものおかず+α)
栗の和菓子
抹茶
吸い地はインパクト重視ではなく好印象。お造りをはじめ、食材は相変わらず良いものを使われていると思います。昨年は焼き加減が強すぎると感じた落ち鮎も今年は美味しかったです。
誰でも美味しく食べられる料理で、出汁や味付けはギリギリというより最大公約数的という印象を受けます。冷酒を少々いただいて、5万円台半ば。雰囲気、サービス、そして一見不可という特別感も相まってか、予約がかなり詰まっているようです。この過熱振りには少々驚いてしまいます。
2016年10月
――――――――――
晩夏の松川さん
鮑と雲丹の先付け(鮑とすっぽんの煮こごりで)
鱧と新銀杏の飯蒸し
鰈と雲丹のお造り
毛蟹真薯の椀
伊勢海老の焼霜(ジュレ掛け)
鱚、バチコ、玉蜀黍、キャビア
鮎の塩焼き(上桂川と安曇川)
甘鯛の兜焼き
焼き無花果
鱧しゃぶ(瀬戸内)
おくら蕎麦
ごはん(いつものおかずと)
水羊羹
抹茶
グレープフルーツのゼリーとマスカット
椀は食べ進めるうちに蟹のうま味・甘味が濃くなります。ことさらインパクト重視ということもなく、好印象でした。素材・調理どちらも隙なく、美味しかったです。細やかな心遣いには、料理以上に感心させられてしまいます。
2016年8月
――――――――――
夏の松川さんにお邪魔しました。
鮑と雲丹(煮こごりで)
鱚とキャビアの飯蒸し
鰈と雲丹のお造り
鰻(宍道湖)と冬瓜の椀
毛蟹ときくらげ(ジュレで)
鱧の焼霜・バチコ・とうもろこしの揚げ物
鮎(美山)の塩焼き
賀茂茄子の焼物
すっぼんの焼物
トマトの箸休め(ジュレ)
鱧しゃぶ
冷麦
ご飯(ちりめん山椒、いくら、海苔、からすみ)
水羊羹
抹茶
この日のお椀は一口目からややハッキリとした味わいと感じてしまいました。昨年頂いたものの方が好印象でした。鱧の焼霜、鱧しゃぶ、鮎の塩焼きと満足の内容でした。
甘味や塩味等は過剰すぎず、素材を覆うということはありません。ジュレ等がちょくちょく使われているので、口当たり良く、食べやすいとは思います。今夏も美味しかったです。
2016年7月
――――――――――
春の松川さんにお邪魔しました。
鮑、雲丹(煮凝り、鮑の肝のソース)
トゲクリ蟹の飯蒸(キャビア乗せ)
鯛のお造り(醤油かこのこ)
帆立真薯の椀(キクラゲ、バチコ、木の芽)
炙ったミル貝とタラの芽の天ぷら
焼き筍
甘鯛の菜の花餡掛け
そば(ワサビ菜)
鮑とワカメのしゃぶしゃぶ
和牛と筍の炊合せ(花山椒)
ご飯(ちりめん山椒、いくら、海苔、からすみ)
水羊羹
抹茶
等をいただきました。
椀種の帆立真薯は繋ぎを使っていないもの。序盤の甘味やうま味は昨年いただいたものより控え目でした。今回いただいたものはホタテの甘みが徐々に加わってくるもので、バチコの塩味や木の芽の爽やかさが味を調えてくれました。粗さを残した帆立真薯、きくらげ、バチコの組み合わせは食感も愉しめました。個人的には今年の方が好みでした。
ことさら淡い味付けとは感じませんが、素材を覆うということはありません。ワサビ菜や花山椒が効果的に挟まれるので、さっぱりして食べあきませんでした。出汁も鰹臭くなくて良いです。素材の良さばかりフォーカスされがちですが、確かな調理が施されていると思います。レアな日本酒に手を出したこともあって、お会計は5万円弱。CPには疑問を感じてしまいますが、素晴らしい内容でした。
2016年4月
――――――――――
松茸を目当てに松川さんを訪問しました。
伊勢海老(ミソと)
渡蟹とベルーガ・キャビアの飯蒸
鯛のお造り(淡路)
蟹真薯と松茸の椀
カワハギのお造り
鮑と松茸のソテー
子持ち鮎の塩焼き(安曇川)
ぐじと蓮根
近江牛と細く裂いた松茸
(焼き松茸)
なめこおろし蕎麦
淡路産鱧と松茸のしゃぶしゃぶ
ご飯(ちりめん山椒、いくら、海苔、からすみで)
抹茶
栗の和菓子
グレープフルーツゼリー等
松茸は信州と岩手のものを。量に関して言えば今年一番のお店で、多くの料理に松茸が使用されていました。椀の吸地は紅ずわい蟹の甘み・うま味が加わり、優しい味わいに。蟹のしっかりしたうま味と松茸の香りを楽しめました。今回特に印象に残ったのはお造り二種、焼き松茸、鱧と松茸のしゃぶしゃぶ辺りです。食材の質は上。味付けもむやみに素材の味を覆いすぎないものかなと。
日本酒を少々飲んで、お会計は一人当たり約5万円。松茸はもちろん、ご飯も沢山頂いて満足の夜となりました。カウンター・個室ともに満席で人気のほどがうかがえます。
2015年10月
――――――――――
鮑、雲丹、叩いたオクラ
鱚とキャビアの飯蒸
鰈と雲丹のお造り
鰻の椀(宍道湖)
毛蟹とキクラゲ
鮎の塩焼き(上桂川と安曇川)
とり貝のお造り
ぐじのカマ焼き
焼き賀茂茄子
鱧のしゃぶしゃぶ(韓国産)
氷の器に入った冷や麦(蓴菜入り)
ご飯(ちりめん山椒、いくら、海苔、カラスミで)
水羊羹
抹茶
初体験の鰻の椀は上品に仕上げられており、嫌味のないものでした。鮎は上桂川と安曇川のものを頂きました。蓼酢はねっとり濃厚なもの。韓国産の鱧はしゃぶしゃぶで。余った出汁まで頂きました。どれも非常に美味しかったです。上質な食材に少々しっかり目の味付けなので、誰でも満足できるでしょう。いうなれば、最大公約数的な味だと思います。
しかしながら、その一方で、高級食材を無理に詰め込みすぎとの印象も受けてしまいました。個人的には日本酒がいまいち進みませんでした。日本酒よりもシャンパン等を合わせるお客さんが多いのもこういう味付けに合うからなのでしょうか。
冷酒を少々頂いて、3万円台半ば。昼の訪問ですが、夜とでは終盤の炊き合わせが供されるか否か等の違いがあるようです。高級食材の使用をどう捉えるかでCPの感じ方が変わるように思います。過去の訪問も振り返ると、価格ありきという感も否めません。おまけに雰囲気は運次第ときています。よりにもよって、同行者がいる時に「撮影会」に遭遇したことがあるのですが、運が悪かったで済む値段でもないでしょう。ますます予約困難になっていることも併せると、CPは悪いと思います。
2015年7月
――――――――――
赤坂にある高級和食店です。店主の松川さんは招福楼出身だそうです。そもそも、こんなことが名誉なことなのか甚だ疑問ですが、2014年のベストレストランでは東京ブロックで堂々の1位でした。いわゆる一見不可のお店ですが、幸運にも訪問する機会に恵まれました。
頂いた料理は以下の通りです。
炙ったミル貝と蕗の薹の天ぷら(味噌入り)
伊勢海老と餅(菜の花餡かけ)
鯛のお造り(このこか醤油で)
帆立真薯の椀
河豚白子和え
間人蟹
すっぽんの焼き物
甘鯛の九条ねぎ餡かけ
そば
焼き白子と蕪の炊き合わせ
ごはん(ちりめん山椒、いくら、海苔、からすみで)
菓子
抹茶
印象深かった料理は椀です。吸地は椀種のホタテの甘み・うま味が強く、濃厚な味わいでした。最初はかなり甘めに感じたのですが、木の芽やバチコとの調和が取れていました。色々な味が楽しめる面白い椀でした。
濃い目に感じる味付けの料理も見受けられましたが、単に濃いというわけではないと思います。組み合わせの妙を感じさせる、よく計算された味という印象を受けました。食材の質も上の部類で、非常に美味しかったです。
繁盛しているようで、ご主人含め皆さん忙しそうでした。結構一杯一杯のようでしたが、サービスは非常に丁寧でした。ご主人の性格なのか、プレゼンテーションは控え目なものでした。基本的にシャイな方のようです。同じくシャイボーイの私は綺麗な黒服の女性をチラチラ見ていたので退屈しませんでした。
お店は広々としていていいのですが、なぜかお手洗いだけは非常に出入りしづらい構造になっています。無理でしょうけど、是非改善していただきたいところです。それとも私の入り方が悪いのでしょうか。
冷酒を2合ほど頂いて、お会計は4万円台半ばでした。日本酒の値段は高めに感じました。たしかに絶対額は高いですが、内容や場所等も考慮すれば高すぎるということはないと思います。いわゆる東京価格といったところでしょうか。ただ、一見不可に加えて予約も割りと困難、訪問までに掛かる手間も馬鹿になりません。これは立派なコストなので、CPは多少下げざるを得ません。この値段でカード不可というのも不便としか言いようがありません。しかし、こういったコスト要因を考慮しても、十分ペイしたとは思いました。
2015年2月
――――――――――
以下は直近の訪問で頂いたものです。
鮑、雲丹(ジュレ)
トゲクリ蟹の飯蒸(キャビア入り)
鯛(白子か醤油で)
赤貝(肝付き)
おこぜの椀
炙ったミル貝、このこ、空豆
ぐじの菜の花餡掛け
ヒレ肉、筍、花山椒
そば
鮑とわかめのしゃぶしゃぶ(筍入り)
ごはん(ちりめん山椒、からすみ、いくら、海苔で)
羊羹
小夏ゼリー
抹茶
2015年4月
2022/03/13 更新
夏の松川さん
鮑と雲丹
鱚とキャビアの飯蒸し
お造り(鰈、雲丹)
鰻と冬瓜の椀
毛蟹ともずく
伊勢海老の焼き霜・炙りばちこ・とうもろこしの揚物
鮎の塩焼き(美山)
賀茂茄子の焼物
焼きすっぽんと揚げごぼう
鱧しゃぶ(淡路)
冷や麦
ご飯(ちりめん山椒、唐墨、いくら、海苔で)
デザート
塩味や甘味は過剰すぎず、素材を覆わない味付け。素材も上質。随所に使われる煮凝りの口当たりの良さも食欲を刺激してくれます。
この日最も印象に残ったのは鱧しゃぶ。淡路産らしい鱧の身質や皮で、非常に美味しかったです。
また、キメの細かいサービスにも毎回感心させられます。予約の手間なども考えると、お世辞にもCPが良いとは言えませんが、さすが予約困難店だなと。