2回
2022/08 訪問
お肉好きなら一度は足を運ぶべき。一部の隙もないお店で日本でも最高レベルの焼肉割烹です。
焼き肉のチェーン展開をしているお店の中でも頂点に位置するのが「肉屋田中」グループ。その中で2年前にオープンしたのがこちら「雪月花(せつげっか) 銀座」。
雪月花とは雪・月・花という自然の美しい景物を指す言葉で、その店名のままに取り扱う和牛たちは本当に美しい。美味しいものは美しい、というのがボクの持論ですが、「雪月花」のお肉は素晴らしく美しいです。当然、究極に美味しいです。
この日、料理に使われた和牛たちは神戸牛、銀山和牛、松阪牛、そして但馬牛です。
神戸牛は上田畜産の40ヵ月飼育の雌牛。上田さんといえば超がつく有名人で、同じ神戸牛でも別格ですね。
銀山和牛は取り扱っているお店が少ないので目にする機会は少ないですが、融点が低く肉質が良いことで知られている上質の和牛で、雌牛のみ飼育・出荷されています。
但馬牛はいわずと知れた名のある黒毛和牛の生みの親のような牛。どれも間違いのない日本を代表する銘柄牛ですね。
この日のコースは以下の通り。
お造り・・・神戸牛内もものユッケにドイツ産オシェトラのキャビア乗せ。口溶けの良い神戸牛のユッケにキャビアの塩っ気がよく合います。
和牛タン・・・但馬牛タン元はサシが細かく入って美しい。表面に軽い焦げ目がつくくらいに焼きを入れて、広島産レモンでいただきます。極上の美味しさ。美味しいタンは牛タン屋さんにはありません、こういうお店にあります。
シャトーブリアン・・・銀山和牛のシャトーブリアンで、サシがほとんど入っていない美しい赤身です。純粋なお肉の旨味があふれたシャトーブリアン、絶品です。
サーロイン焼きすき・・・美しい松阪牛のサーロインはサシが強めに入っているので、炭火にかけると藁焼きのような大きな炎を上げていきます。焼き上がったサーロインを満月卵の卵黄と一緒にいただくと、最高の焼きすき。一般的には終盤に出てくることの多い焼きすきですが、お腹いっぱいのことが多い終盤にサーロインはキツいことが少なくないですが、序盤ならその旨味を十分に堪能できます。
カルビスープ・・・お客さんに提供できない形、しかし最高峰のお肉を使っているので、旨味の溶け込み方がエゲツない。厚めの熱せられた石鍋に入っているので、この後の料理を食べている間もずっと熱々が続きます。これ、本当に美味しかった。
ヒレねぎま・・・神戸牛のヒレを使ったねぎま。炭火でねぎまを焼く姿はそこだけ見ると焼き鳥屋さんに見えてしまいますが、焼き上がったねぎまは当然見た目も味も別物。ねぎとの相性も良く、柔らかく、そして美味しい。今年も中止になった麻布十番祭りですが、これを出す屋台があったら、高くてもずっと売れっぱなしでしょうね。
内もも・・・神戸牛の内ももを片面だけ焼いて、もう片面はレア感を残し、ハケでタレを塗った美しい赤身。ユッケでも使っていた内ももで、表面のレア感に対して裏面は火が通っていて、同じ部位でも味わいが異なります。
ハネシタ・・・神戸牛のハネシタで、焼く前のお肉が尋常ではない美しさ。両面に焼き目をつけたハネシタもまた実に美しい。柔らかいですが、厚みがあるのでわずかな歯ごたえ。味は・・・感動的な美味しさです。
名物 冷麺・・・口直しの冷麺でシャーベット状のスープがひんやりと美味しく、口の中がとてもサッパリします。
ハラミ・・・こんなに美しいハラミは初めて見ました。焼き上がりを口に運んだ瞬間から溢れ出す旨味。やはり美味しいものは美しい!
ミックスホルモン・・・小腸、ミノ、レバー、ハツの4種の色が違うホルモンを色が重ならないように配置して、これまた見た目に美しい。この段階ではかなりお腹いっぱいでしたが、焼き上がったホルモンの美味しさに箸が止まりません。ホルモンも日本各地にホルモンで賞を取っているホルモンの名店がありますが、結局、都内の名店に勝てないのでは?と思います。
お食事・・・カレーは焼き肉屋さんではお馴染みですが、カルビスープと同様に日本の最高級(世界最高級)の和牛の出汁が溶け込んでいるので至高の一品。カレーはスパイスの好みがあるので一概には言えませんが、この一皿に及ばないカレー屋さんはもの凄くたくさんあると思います。
デザート・・・クラウンメロン。これが大変残念でしたが、メロンが苦手で食べられませんでした。メロンの中でも最高峰のクラウンメロン、食べられない自分を呪います(笑)
全体として、一部の隙もないお店で日本でも最高レベルの焼肉割烹ということが言えると思います。最高峰の素材を日本中から仕入れるルートを確保しておいて、その日に使うお肉を一部入れ替えながら矢野シェフが腕を振るって料理を提供してくれます。
矢野シェフは素晴らしい腕を持っているのに腰がすごく低くて客との会話も出過ぎず引き過ぎず適度です。マネージャーの中村さんもテーブルを良く見ているし、会話を含めたサービスのクオリティが高い。
店舗についてもビルがそもそもグルメビルのGEMSシリーズでスタイリッシュな外観に加えて、内装は「ヤンキー建築」で知られる森田泰通氏。大地真央の旦那さんですね。この銀座の店舗は豪華で派手な造りとなっています。過去の作品はどれも美しくて素晴らしいものばかり。
なかなかここまで隙のないお店は珍しいです。実に良いお店でした。また是非行きたい、そんなお店です。
2025/03/02 更新
銀座にある「雪月花 銀座」に訪問してきました。銀座駅徒歩数分で、外堀通りとみゆき通りの交差点付近に位置する「GICROS GINZA GEMS」の9階にあります。同じフロアには系列の「肉屋 田中」も入っている超グルメビルです。
オーナーは「岐阜や名古屋を拠点に『雪月花』『焼肉&冷麺 二郎』などを手がける田中覚氏。系列店については、岐阜本店・名古屋店・冷麺二郎など複数展開していることが確認でき、2020年にオープンした銀座店はその都心展開の一つになります。
受賞歴としては焼肉百名店を2022年から3年連続獲得しており、食べログアワードブロンズにも選出している超名店になります。
食材の仕入れについては、厳選された個体を長期肥育した純但馬系の銘柄牛を使用しており、この日はBOSSが自ら仕入れてきた52ヶ月肥育特産松阪牛を使っており、これは年間でも数頭しか市場に出ないレベルのお肉とのこと。
「雪月花」は群を抜いた肉質に加えて、焼き師が最も良い火入れ加減でお肉を提供してくれるため、口に入れるお肉の美味しさにブレがありません。
なお、銀座店はリニューアル後アラカルト対応を始めたとのことで、早速利用させていただきました。
この日いただいた内容は以下の通り。
ナムル盛り・・・それぞれの味付けが控えめで、肉の前に口を整える役割として丁度よいと感じました。
キムチ盛り・・・唐辛子の辛味が程よく、酸味が立ちすぎないタイプで、後半の焼き物にも合いやすい味でした。
名物テール煮込み・・・長時間煮込んだようなとろける質感で、極上の旨み。これとご飯だけでも十分1食終えられるくらいのクオリティです。
52ヶ月肥育特産松阪牛 特上ユッケ・・・赤身が美しく、肉の香りがしっかり感じられ、甘い脂が舌にまとわりつく上質なユッケでした。ここまで質の高いユッケはなかなか食べられません。
BOSS TANAKA SPECIAL 特上タン・・・雪月花の名物的存在のタンで、焼き上がりは厚みがありながら歯切れ良く、溢れる美味しさ。素晴らしいですね。
52ヶ月肥育特産松阪牛 上レバー・・・レバーが苦手な人でも食べやすい、というレベルではなく見た目も美味しさも芸術的なレバーです。
上下をしっかり目に焼き目を付け、しかし焦げ過ぎないように全体を火入れ。その後カットしたレバーは美しい小豆色、生のレバーに近い食感と鮮度、そして香り、絶品です。
アラカルトでも注文できるようになったので、こちらを食するハードルが下がったと思います。是非、幅広く美味しいもの好きな方に食べて欲しい極上の一品でした。
BOSS TANAKA SPECIAL シャトーブリアン・・・厚く大きな1枚を、3切にカット。表面には焼き目をつけ、中は赤くレア感を残した火入れ。
厚みのあるシャトーブリアンは柔らかく、驚く肉の旨み。これはタレで食べたら牛さんに申し訳ありません。とにかく素晴らしかった。
52ヶ月肥育特産松阪牛 サガリ・・・塊のサガリを目の前でカットする様が見られて、最高のライブ感。その断面は真紅の赤身と細かく入ったサシが美しく目に入ってきます。美味しさは美しさ、の法則です。
タレに漬け込んで焼いたサガリは、咀嚼すると旨みが溢れて止まりません。感動の美味しさです。
ホルモン 本日の盛り合わせ・・・ハツ、ミノ、シマチョウなど、焦げやすい部位も完璧な火入れで仕上げての提供。部位ごとに異なる香りと歯応え、そして旨み。
52ヶ月肥育特産松阪牛 ミスジ・・・ここまでもかなり食べてきましたが、最後に極上の部位を。1枚1枚切り分けると、断面がツヤツヤして過ごしやすい室温でも脂が溶け出てくるのが分かります。
この大きな1枚をタレで焼き上げて2切れにカット。この日のお肉の締めくくりにこのレベルのお肉、最高でした。
雪月花冷麺・・・締めには細めの麺でツルッとした喉越し。牛だしの旨味が強く、締めに調和する味でした。
クラシックプリン・・・固めで卵の風味が濃く、昭和レトロ系の仕上がり、表面に見えるバニラビーンズが、スプーンを伸ばす手に期待感を満たしてくれます。あっという間に完食、美味しくいただきました。
全体として、「雪月花 銀座」は長期肥育の純但馬系銘柄牛を中心とした肉質の高さに加え、焼き師による一切のブレのない火入れが光り、完成度の高い店舗です。
BOSSたなかさとる氏が東京にいるときは、同じフロアにある「肉屋田中」で腕を振るう同氏が「雪月花」にも出入りするため、スタッフさんたちは適度な緊張感ある仕事ぶりです。
アラカルト対応が始まったことで、名物の各部位を自由に組み立てられる利便性が加わり、再訪者としても新しい楽しみが生まれています。
銀座で“雪月花”の真価を改めて確認できた、極めて満足度の高い訪問でした。
ボク奥さんの実家が岐阜で、「雪月花」はその岐阜に本店があり、ここから始まっています。
出産後、まだ実家で養生中の奥さんを連れて本店に行ってこようと思います。
実に良いお店でした。