miti4134さんが投稿した銀座 しのはら(東京/銀座一丁目)の口コミ詳細

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銀座 しのはら銀座一丁目、銀座、東銀座/日本料理

39

  • 夜の点数:4.9

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.8
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 4.7
      • |酒・ドリンク 4.8
  • 昼の点数:5.0

    • ¥50,000~¥59,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク 5.0
19回目

2021/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

初夏のしのはら料理は氷室に旬の素材で涼しげに舞い氷釜に佇む清涼な蕎麦で〆る

◆2021.6.12(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥40,300

本日は常日頃よりお世話になってます
Rettyの紳士なマネージャーM氏及び
愛狂わしい笑顔が素敵な美女のA子様
をお招きしてのお食事会です。
最新の飲食業態等のお話も散りばめながら
素敵な会話が弾む美味しい宴となり
大変楽しいひと時を過ごさせて頂きました。

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

煎茶用の小椀で供される最初のお口慣らし
ベースは昆布茶に
紫蘇昆布がほんのりと佇んで
香りを楽しむ癒しの一口となります。
お腹もホッと癒されますね
この始まりのお口慣らしが好きです。

銘々に配置された折敷には
利休箸が置かれてます。
箸置きは茶懐石の流れを汲んでご用意無し
折敷の片方に端先が掛けられる作法通りの
ご用意となります。

①先付

初夏に相応しく暑気払いも兼ねての一品

皆様への暑気払いと言う意味合いも込めて
釣瓶の箱の上に置いて神事に使われます榊
を頂いてます。

しのはらさんについては
多くの方々が語り尽くせないほどの
コメントを書き綴ってますので
多くは今更語る必要がない程ですが
毎回先付のご説明時に語られる季節ごとの
祭事の習わしと其れに伴う日本の歴史物語に
勉強させられます。
また、その時に使われる器や植物にも
お客様への邪気祓いや五穀豊穣 順風満帆などの
意味合いを込めたものを使われており
その繊細な仕掛けに感銘を受けてからの
お食事を気持ち良くスタートさせるしのはら流に
感嘆してしまいます。

さて、
釣瓶の木箱の中に氷室を敷き詰めての
清涼感溢れる一品は

栄螺の陶器の中に
余市の紫雲丹
黒鮑
増毛の牡丹海老
長芋とオクラを叩いて寄せた長芋かん
長芋の羊羹みたいなもの
其れ等の具材に
加減酢の煮凝りを掛けてのご用意です。

釣瓶の蓋を開けますと
清涼感溢れる氷室が栄螺の周りにキラキラと
敷き詰められて
誠に爽快な気分に浸らせて頂ける一品と
なってます。

加減酢の酸味が舌に優しく食欲を刺激して来る
その刺激の中を鮑がコリッと無邪気に遊んでる
牡丹海老がトロンと甘美な眼差しで私を見つめ
紫雲丹ちゃんが珍味を振り撒いて舌を悩まして
そして
栄螺の器からスプーンで穿り出す様にして
長芋かんをプルプル〜ンと揺らせて楽しむ
食感と涼しげな甘味が舌を訪れて嬉しさが
込み上げてきます。

②お椀

丸仕立ての椀盛
生姜
椀種は虎魚
吸い口に白髪葱をたっぷりと盛り付けて

丸仕立てのお出汁のうま味に
お酒と生姜の風味を写して炊いてます。

丸仕立てのうま味に生姜風味が整えられて
コク深いうま味が爽やかに靡くそよ風を
感じさせる吸い地の表情に変わっていきます。
そして夏のお魚の虎魚がその純白な肉肌を
露わにして私の舌を誘ってきます。

虎魚自体は夏の河豚と呼ばれる程のお魚にて
お椀の中に泳いでる虎魚は品格を保ち上品な
佇まいを見せていました。
淡白な甘味が丸仕立ての吸い地に浸りながら
鼈の滋養を取り込んでる様に感じます。
お椀にぷかぷかと浮かぶ純白の虎魚からは
滲み出る旨味が吸い地に写って
昆布のうま味を深掘りしてます。
虎魚の逞しい白身がホロリと椀の中で崩れ落ち
その断片を箸先で弄りながらお口に含みます。
すると、柔らかく滑り感が舌を襲い
お丸の淡いうま味が虎魚を穏やかに纏い
白身に気品溢れる美味を演じさせていました。

③お造り

伊勢海老
伊佐木
花丸胡瓜

昆布醤油の煮凝り
ポン酢
土佐醤油
山葵

カウンター越しの厨房では
大将が小さな丸い金網の上に伊勢海老と
伊佐木の折を盛り付けて
鮮やかな黄色が美しい花丸胡瓜を盛る作業を
丹念にカタチが崩れない様に続けてます。
その金網を大皿の氷室の上に置いて完成。
此処でも清涼感溢れるお造りの
工芸的な美しさに見惚れてしまいました。
氷上に泳いでいる伊佐木は
少し寝かせてるのか
しなやかさを遺憾なく発揮する身質が
とても柔らかい質感を持ちモチッとした食感
昆布醤油の煮凝りが好きな私は伊佐木でそいつを
クルリと巻いて昆布味に少し染まった伊佐木の
甘味を感じながらmogmogを噛み締めて
伊佐木の美味しさを楽しみました。
そして伊勢海老です。
ポン酢でも土佐醤油でも
バッチリお似合いです。
伊勢海老は鮮烈なプリプリ感と
咀嚼してて
モチモチとしたかと思うと
ネチっと歯に抱きついてきて
舌にも其の儘反発して来るし
vividな食感と
甘ったる〜く蕩ける感じが口内に充満する
伊勢海老の美味しさは衝撃的で
此れは凄かった。
余韻をくっきりと残して行く伊勢海老でした。

④お凌ぎ

大きな蓮の葉の真ん中に飯蒸しが
涼しい顔を覗かせております。
飯蒸しにお供するのは
鱚の風干し
キャビアを藁で燻して燻製にしたもの
蓮の実の乾物を戻したものを天に添えて

崩して食べようか
一度に放り込んで食べちまおうか
思い悩んだ挙句
此奴はやっぱ一気に食ってしまって
全部の味覚エレメントたちを味わい尽くそう
その方がウンマそうだと
勝手に自分の舌を説得して挑みます。

大きく口を開けてぇ
いざ、出陣!
飯蒸しを放り込んだ途端に香る薫る
燻製がクンクンと
口内を駆け巡り鼻にフゥ〜ンと抜けて行く
その間にもキャビアは
自分の仕事を忘れずに塩味を優しく振り撒く

そして鱚がしっかり後を追いかけてくれた
鱚の身は元来淡泊で上品ですし
雪のように白く脂肪も少なくて
ピュアな甘味を放ちます。
とってもナチュラルに感じる大海の恵み
なので有ります。
其れ等の味覚たちが一緒に集まって
み〜んな、仲良く楽しく餅米さんが
モチモチと繋ぎ合わせて楽しく燥ぎ
愉快な美味しさを舌にお運びします。
んん、この一品には
しのはら料理のセンスとエキスが
詰まってるなぁと感じました。
楽しい美味しい嬉しいが詰まった一品に乾杯!

⑤鮎の炭火焼き

郡上八幡長良川の若鮎
琵琶湖の固有種の稚鮎

鮎の食べ比べです。

演出効果も抜群
琵琶湖の方は囲炉裏に串刺しの姿で
囲炉裏焼きの熾火がパチパチと鳴ってのご登場
此れは見応え有り
楽しい!
この印象が強い為か
琵琶湖の稚鮎が美味しく感じられる
琵琶湖は湖に住むプランクトンを食べて
育ちますが川で育つ鮎と違い
サイズは小さいまま
逆に川魚の鮎は綺麗な苔を食べてるので
魚っぽさの匂ひ等が無くて美しく育つとの事

若鮎を頭からガブッと噛んで貪る
小骨もカリカリに焼かれてバリバリと齧り付く
むちゃくちゃうんまい。
ワタの苦味が鮎全体に野性味を帯びた美味しさで
舌を攻めて来る
この醍醐味はこの時期だけのもの

そして鮎料理に欠かせない蓼酢
この蓼酢にも一工夫してあるのがしのはら流儀
お米を炊いて米粒を蓼と一緒に擂り潰して
酢で溶かしてます。
蓼酢が鮎に絡みやすい様にペーストっぽく
施してます。

何方がお好みでしたかと
大将が皆様にお尋ねです。
女性陣は概して小さい方の琵琶湖
私は個人的には長良川の若鮎の方
意見は分かれましたね。
此れだけは舌の嗜好のものですから
理屈では有りません。
自分としてはやや大人しい琵琶湖より
ガッツリと食い込んで来て
ワタの苦味もふっくらと焼かれた白身も
野性味を帯びた若鮎が食べ応え感を満喫
その鮎の生き生きとしたダイナミズムを
味わえて夏到来と言わんばかりの味覚の
祭典を楽しみました。

⑥八寸

しのはらさんで最も煌びやかな瞬間がやってまいりました。
エンタテイメントショー
美しく艶やかなお姿
紫陽花が夏の祭典を讃える様に華やかに飾られ
脚付きお膳が目の前に運ばれる時
高揚感がどんどん増して胸が高鳴って行くのが
分かります。

鬼灯の中に
無花果のごまだれ掛け
鰻の八幡巻き

白い器には
蛸を湯引きして海藤花(かいとうげ)に
海葡萄を乗せて梅酢の煮凝り
青梅を甘酸っぱく炊いたもの

白いお猪口には
岩茸と鱧の塩辛

銀の中皿には
焼き茄子
冬子椎茸
三度豆の胡麻和え

松葉に串刺ししてあるものは
鶉の卵の味噌漬けと
蓮根の酢漬けで巻いたスコットランドの
スコティッシュサーモン

八寸の見事さは言うまでも有りませんが
必ず旬の生花を周りに囲ませて
季節の花模様を魅せて頂ける繊細なお料理でも
あります。
こう言う日本人の琴線に触れて来るおもてなし感がしのはらさんの真骨頂とも言うべきものかと
感じます。
この和やかさと美的和空間に囲まれての八寸は
恐らくどんな方でも季節の風物詩を語られてる
感じをお持ちになるのでは無いでしょうか。

八寸スタートは鬼灯に隠された温物から
鰻は夏場の滋養を体内に補完してくれて
その妙味と一緒に元気を頂けるもの
此れが一品混ざってるなんて嬉しい

鬼灯コンビのもう一方は無花果
言わずもがなの旨旨な甘味に定番の胡麻風味の
味付けで
胡麻の甘味と無花果って誰が考え出したんだろう
こんな味覚の名デュエットは何個でも
食べれちゃう一品

岩茸と鱧を塩辛にして辛めたお酒のアテ
こんなの出されたらもう黙っちゃ折れなくなり
黒龍しずくをクイクイ行っちゃいます。

八寸のメインは賀茂茄子の焼き物に
冬子椎茸と来ました。
良い合わせ技ですね〜。
焼き茄子と簡単に椎茸のうま味を
お供にして簡単そうに見えてますが
そうではない技もの
素揚げを通したお茄子は翡翠色の繊維質から
誘き出されたジューシーなエキスが
堪らなく甘味の奥行きを広げて
その甘味には焼き茄子特有の
燻されたようなお焦げの芳しい香味が漂い
舌を魅惑の虜にしてくれます。
其処に冬子のうま味が重なり合う合わせ技に
我、戸惑いを隠せなくなるのです。

そして八寸の終盤には可愛く鶉の卵を
甘く頂いて
スコティッシュサーモンが酸味を香らせて
舌をスッキリとさせて次のお料理へと
繋いで来れます。

⑦鮪の太巻き

中トロ 煮切り
赤身 漬け 山葵
すき身 べったらと胡麻和え
胡瓜短冊

何時も乍ら豪快な太巻き
大好きです。
太巻きからはみ出る位に具材が
ドカンと巻かれて圧巻なので御座います。
とても一口で食べ切れるもんじゃ御座いませんが
ガバッと食い込んで真ん中あたりを食い千切ると
口内には中トロの芳醇な酸味が流れ込み
赤身が漬けの甘味を振り撒きつつ
すき身に絡んだべったらも胡瓜もシャキッと
舌に繊維感を散らしつつ
甘味酸味妙味のハーモニーが
渦巻いたので有ります。

⑧フォアグラ最中

フォアグラムース
マンゴー
パッションフルーツ
アメリカンチェリー

定番のお口直しは何時でも楽しい
微笑み返しのフォアグラムースに
季節のフルーツを合わせた最中です。
八寸の後に
お口直しとして舌を喜ばす一品に
サケサクとお口を動かして
楽しませて頂きました。

⑨炊き合わせ

明石の穴子
賀茂茄子の油煮
車海老のつや煮
石川新小芋
姫オクラ
巻き湯葉
吉野餡掛け

このタイミングで炊き合わせと言うのが
しのはら流
お食事の前では無く後半戦への入り口的な
扱いの位置付けかと推察します。
舌を温感で癒してくれてサラッとうま味で
和ませてもくれる有り難い一品。
その和みの味わいの中に旬の味覚が
バランス良く整えられて
素材たちが持ち味を出し合って味覚が共鳴する
その味わい同士の素晴らしさに
舌が唸ってしまうのです。

⑩焼き鼈 粉山椒

手で取って食べてください
お絞りをお取り替えいたします、とのお達し
ガシッと手掴みしてガブッと噛んで
無邪気な勢いで喰らい尽くす
否,貪り尽くすの方が正解か
骨の髄までしゃぶり尽くすとはこの事
肉片を全部舐め舐めして綺麗に小骨のみが
残りました。
甘だれもコクの深い味で鼈にドンピシャ
寄り添って来る。
この旨さは比類無きものですね。

⑪お口直し

蓴菜は赤芽付きでぷよぷよ感満載
鳥貝は京都舞鶴から
グニョグニョ噛み続けてると
貝の甘味がジューシーに溢れて来る
おかひじきのアクセントに
ちり酢との酸味の相性が良くて
蓴菜を甘酸っぱくして舌がスッキリする

⑫強肴

牛タン炭火焼き
南蛮味噌
山葵

牛タンを其の儘ブロックで焼くと
炭火の効果で適度に脂が絞り出され
余分な脂質が飛ぶ
囲炉裏の中では滴り落ちて来る脂に火が付き
パチパチと時々燃え盛る
脂が飛んだ牛タンブロックは
旨味が途轍も無く凝縮されて
スライスすると見事なロゼ色のタンが
お目見えです。
一切れを南蛮味噌を付けて齧ってみます。
牛タンにしては優しい肉感が纏い
タンの旨味がジュッと浮かび上がり
南蛮味噌の甘味がタンのしなる肉質に
甘えを許して甘美な味わいに膨らませていた。

⑬留肴

福井県丸岡の十割の酢橘蕎麦

大きな氷釜が登場すると観客席より
うわぁ〜、すごぉ〜い!
お声が一瞬ハーモナイズされて響きました。
高揚感がMAXとなって感動に満ちた喜びの
笑顔が飛び交ってます。
見るも鮮やかに清涼感溢れ
クリスタルの如く輝きに満ちたお姿には
目が釘付けとなります。
招福楼以来の伝統の一品らしいです。
お蕎麦のカエシもコクのあるうま味が
お蕎麦に馴染んで
ツルツル〜っと啜って喉越し軽快に
走り抜けて行きました。
喉元を走り抜けて行く時の爽快な冷感が
また、素敵な清涼感を運び
蕎麦つゆも其の儘ゴクリと
飲み干したくなる様な美味さに
舌が痺れましたね。

⑭お食事

珍しく白ご飯です。
ご飯のお供には

泉州の水茄子
釜揚げシラスと山椒
飛騨牛の時雨煮
お海苔
鱧のすき焼きを卵とじにした小鍋

先ず,白ご飯が美味しい
久し振りに近江米の琵琶湖のふるさとを
実感した。
炊き加減は少しアルデンテっぽく艶々の
ふかふかで僅かにお米の芯を感じます。
mogmogしてると米粒感と
白米様の甘味がお口の中に飛び込んで来て
白ご飯の美味しさを堪能出来る。
この白ご飯にお供3品を全部乗せして
がっついちゃう。
うんまぁ〜、美味しぃ〜
フガフガ,ふむふむと
ほっこりご飯にシラスを絡ませてぇの
時雨煮を掻き混ぜ混ぜして
甘味と旨味の大行進で御座います。
更にこのお供たちに加えて
卵かけご飯なんてチャレンジしても
良かったかも。
其処は我慢して鱧のすき焼きに挑みます。
んん、此れもご飯のお供なのかぁ
贅沢過ぎます。
鱧の淡白さが割り下の甘味にどっぷり浸って
良い感じなのです。
鱧の肉体のしなやかな質感に
すき焼き味が浸透すると
歯応えたっぷりに割下を吸った鱧の旨味が
ブワァン、て感じでお口の中に広がる
此れがメチャメチャ美味しく感じられて
その鱧に纏わりつい絡みまくってる卵とじと
玉葱ちゃんが優しい甘味を運んでとても楽しい。
割下たっぷりの甘味に舌がこってり浸って来る
其処に
賀茂茄子をシャリッと齧る
瑞々しさが迸って舌が新鮮な感覚に襲われて
リセットされる。
スッキリ爽やかな味わいが嬉しい。

⑮甘味

能登の大納言を使った水羊羹
先付に用意されてました長芋かんと二人三脚で
お料理のスタートと〆を司る瑞々しい味覚で
繋がれてました。
意図的なのか偶々なのか
しのはら料理の妙とも言える何かに
惹きつけられるのもこんな所に
有るのかも知れません。


2021/08/29 更新

18回目

2021/04 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

春の香りがいっぱいに楽しい花見模様を満喫した

◆2021.04.03(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥30,800
お酒消費税含むお会計¥32,500

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

紫蘇昆布がほんのりと佇んで
香りを楽しむ癒しの一口
お腹もホッと癒されますね
この始まりのお口慣らしが好きです。

①先付

オールドバカラのガラスの器に涼しげに
佇んでますのは

九十九里の蛤
唐墨


土佐酢の煮凝り

春らしさ漂わせての珍味と春のほろ苦さに
加えて春筍の甘味が薫る美しい味覚の行進に舌がウルウルしてしまいました。
蛤はぷっくりと艶かしく艶々なお肌を曝け出し
プルンと歯応え感宜しく瑞々しい
唐墨さんがしっとりと塩味を効かせて
舌をホロリと懐かしくさせてお酒を
誘って来ます。
そして蕗の苦味と筍の甘味が互いに
味覚のコントラストを形づくり
素晴らしい春のマリアージュを
展開してくれました。

②お椀

鮎魚女

青干しの干し薇

京湯葉
等を干瓢で結んだもの

鮎魚女の鮮度の素晴らしいこと
ハラハラと自然に解けて行き
身質の滑り味が何とも妖艶な舌触りを魅せて
とても悩ましい味覚を浮き上がらせて来ました。
吸い地は昆布のうま味がとても滋味深く香り
啜ると筍の甘味も吸い地の中に清らかに
流れ込んでいて
うま味を広げており優しく舌を包み込む
和める味わいに感動してしまいます。
更に筍細工が重ね合わせられた中に湯葉が
射込んであり
この筍たちと湯葉の甘味がとても幸せな気分に
浸らせる甘味を届けてくれて
何と穏やかに暖かく舌を気品ある甘味で
迎えてくれるのだろうとうっとりです。
春尽くしのお椀に感謝しつつ
美味深く漂う奈落へ落ちて行きました。

③お造り

淡路の鯛
玄界灘の紋甲烏賊
下田の中トロ
春蘭を添えて

お薬味は
ちり酢
煎り酒
土佐醤油
山葵
昆布醤油の煮凝り

合わせ蛤の向付には柳櫻の飾りが描かれた器で
盛り付けです。

お造りの中で
鮪だけは煎り酒に合わないとのお話にて
後はお好みでどうぞと嬉しいお言葉です。
先ずはやはり鮪を目掛けてお箸を運びます。
中トロのとろけ感たっぷりな舌触りと
脂質がテカテカ輝くほどの麗しい身質には
昆布醤油の煮凝りで昆布のうま味を
鮪の甘みに重ね合わせて少しだけ山葵の辛味も
加えてやるのが丁度中トロの脂質の強さに
バランス良く合う感じです。
お口の中に入れたら
もう直ぐに蕩け始めてトロの甘味がジュワッと言う感じで拡散して煮凝りの昆布のうま味と
蕩けあいます。
んん、うまい!
酒が俄然欲しくなりますね。
次に鯛を煎り酒でしっぽりと身質のしなやかさが
膨れる歯応え感と弾力性豊かな身質の飛び跳ねる
食感を楽しみます。
そして〆に紋甲烏賊のねっとりとした質感を
ちり酢で酸味を効かせて甘酢っぱくして
食べると歯にも舌にもねちゃねちゃッとと絡むのですが、酸味が程よく染み渡りネト〜ッとしたものからスッキリ味に変化して来て
其れが堪らなく舌を魅了しちゃいます。
三者三様の味覚を満喫したお造りでした。
感謝。

④鰻玉花山椒の手巻き海苔

卵真丈
千葉三浦の天然鰻の蒲焼
花山椒
酢飯
海苔

御料理名称は適当です。
大将に聞いたらん〜、何なんでしょうねぇ
とのお話でしたので
イメージが湧く様に勝手に付けてしまいました。
兎に角、凄く食欲を揺さぶる作品デスゥ。
もう、お海苔の上にこれでもかと
どんどん積み上げて行く様子を見てるだけで
何が出来上がるの?と想像が膨らんで
仕方が有りませんでした。

最初鰻の蒲焼をカットしてたので
鰻の小丼でも出すのかなぁと思ってましたら
板海苔が出てきたので
海苔巻きにするのかと思いきや
角材みたいに大きな玉子真丈が
海苔巻きの舎利の上に乗せられて
更にその上に蒲焼がドテッと乗せられて
目の前にご登場です。
ウフン、と興奮気味にお海苔をクルッと
巻いて鰻も玉子も包み込んでから
一口齧り付いてお海苔をパリパリッと割いて
ムシャムシャがっつきました。

う〜んまぁい!
お海苔の風味が先行したかと思うと
直ぐに玉子のふわふわした甘いのが
やって来てフムフム、あんまくて美味しい
そうかと思うと鰻のふっくらとした身と
地焼きされた皮目のパリッとした旨味も
同時に沸き起こりつつ
花山椒の辛味がピリッと背筋を伸ばす感覚で
鰻の甘美な旨さとバッチリ対照的に輪郭を整えて美味しさを引き出して来るし
もう、目まぐるしく美味がグルグルまわる
飛んでもない御料理を作っちゃいますね〜
更に奥に進んでムシャムシャッと
大きくお口を開けて貪ります。
んん〜、もう感動の領域を越えたわ
めっちゃ美味しくて
鰻ダレの甘味もたっぷり鰻の身に染み込んでるし
温感も玉子の柔らか味を上手に包み込んでるし
舎利が鰻と玉子に混じって甘味を穏やかに
放出するし途轍も無く美味かった

玉子真丈と鰻とのマリアージュ
鰻と花山椒のコントラスト
舎利との相性
海苔の風味

どれをとっても全てが完全に融合して
味覚同士が合体してました。
んん、スンバラしか〜。
こう言うものをさり気無く出してくるのが
はやはりしのはらさんの凄い所で
料理人のセンスなのかなぁと感じ入って
しまいます。

⑤八寸

結びのカタチをした縁起の良い器に
花弁が満開の桜の枝を散りばめて
華やかな飾りとともに楽しむ酒肴が
とても気分を高揚させます。

花見串には
滋賀県の赤蒟蒻・花丸胡瓜・数の子
蛸と蕗の中にばちこを詰め込んだもの
スモークサーモンの黄身鮨と平貝に鯛子が
竹串を通それてます。
ぼんぼりの器には甘海老とおかひじきに
白木耳の酢の物
桜鱒の炭火焼き
筍の木の芽合え
一寸豆
花蓮根
鱧鮨
合鴨の蒸しロースト
トマトを柔らかく炊いた酢の物

春の雅な花見の酒宴をこの八寸だけで
満喫できてしまうほど賑やかで
美味と妙味と珍味に繋げて行く
花見酒の大行進です。

あったかいものから頂きます。
桜鱒がとても秀逸な焼き加減
たっぷり味淋とお酒に漬け込んでの
炭火焼きなので
とっても甘味漂いつつもうっとり舌が
ほくそ笑んでしまう実り豊かな身質と
なってて
皮目のパリパリッとした食感に
その直下のゼラチン質が艶かしく舌を弄び
脂質が豊満な桜鱒の身はフンワリ
身を捩らせながらも甘味を無邪気に曝け出す
その三つ巴の旨味の重なり合いが
目まぐる舌を翻弄して止まない
この妙味の拡散が齎してくれる美味しさに
脱帽する
甘味芳醇にして爽やか
身質の柔らか味と滑らかな肉肌にも
舌がメロメロとなっちゃう
頗る美味しいのである。
この一品だけでもう興奮してしまいました。

楽しかったのは竹串ですね。
赤蒟蒻のぷよぷよした甘味や
鯛子の粒粒感に平貝のプリプリ感いっぱいの
ジューシーな甘味がジュワ〜ッとお口に
入り込んで来たりして
次から次に酒のアテが続くんですよ。
此奴らとお付き合いしてたら
チビチビとやって
ずぅ〜っと飲み続けてしまいそうですね。
お酒のお摘みばかりではありません
ちゃんとお腹も満たしてくれて
味変や食感も飽きない様に鱧鮨なんかがも
ご登場して楽しませてくれます。
まだ早いですがこの時期に
鱧を味わえると言うのも嬉しいじゃないですか
なんだかんだで結構お腹膨れちゃいました。
何時もこの辺りで腹八分目くらいまで
行ってしまいます。

⑥フォアグラ最中

安保柿とフォアグラムースと
ウイスキーゼリーの最中
もうコレは定番中の定番
八寸の後のお口直しに最適です。

⑦河豚の白子焼き

酢橘
お海苔

お手元で白子をスプーンの上に取って
お海苔を白子に添えてから頂きます。
んん、絶品なるかな
もうそろそろ白子さんも時期的には
お仕舞いかなと思うと寂しい限りですが
その白子さんをお海苔の風味と
ぷよぷよ感たっぷりの珍味が滲み出てる
白子の白身を熱々なままで
ポトポトと舌の上に零しながら頂きます。

表面は薄皮だけが程よく焼けて
中はプルプルが均一した半生状態です。
その皮目をお手元の先端で
突きます、ぷよっと白子さんがお返し
更に強くプチッと突くと
プクぅ〜ッと怒り気味に反発して来ます。
中の白子の白身がグツグツと煮立ち
トロトロになってる触感が伝わってきます。
この皮目を更に強く押して皮を割きますと
トロトロドロ〜っと白子の身が
ねっとり溢れ出してきます。
其処を上手にお海苔で包んで食べてやると
んん、海苔の香りと相まって
ショッキングで耽美な旨味が舌を襲い
そのトロリとした粘り気のある白身が舌の上で
長く滞在して白子の甘味をジワリジワリと
伝え続けるので
強い旨味となって舌を歓喜し続けます。
この独特な珍味には降参するしかないなぁ。

⑧焼き鼈

粉山椒を塗して手に持ってガブリです。
しのはらさんに通うお楽しみのひとつ
お手手がベトベトになりながらも
鼈様と孤軍奮闘し
ガッツリ鼈の肉肉しい旨味を堪能
更に何時もの如く骨の髄までしゃぶり尽くし
もう、肉片のカケラも無くなったところで
骨だけを舐め回して舌にしっかり余韻を
感じて貰います。
此奴だけは飽きの来ない一品にて
何度食べても食べ飽きない代物と思います。
あぁ、また食べたくなった。

⑨猪鍋

滋賀県三雲の猪肉の小鍋
花山椒
玉葱

繊細な甘味の中に極太の旨味を泳がせるお料理と
感じます。

猪肉のダイナミックな旨味と
花山椒の繊細な辛味
玉葱のトロトロの甘味
そしてお出汁の旨味が深淵に潜んでいた。

お出汁の中に玉葱の甘味が溶け込んでる
猪肉の脂質分のエキスが更に旨味を膨らませてる
その濃厚とも言えるコクの深みを感じる旨味の
中から繊細な花山椒の香りと辛味がフワフワァ〜
ッと漂って来て舌にツーンと刺激を与えて
獰猛に踊る旨味を静寂さ伴う妙味に
表情を変えて行く
この変化がとても美味を奏でて舌を陶酔させてしまうのです。
猪肉を食べ終わった後に佇む玉葱からの出汁の
甘味が心地良い余韻として残ってました。

⑩お食事

山菜おこわ(蕨 こごみ タラの芽)
芝海老唐揚げ
香の物

春の恵みを満喫するご飯です。
山菜の香りもシャキッとした味わいも
全部のエキスがご飯の中に入り込んでて
飛んでもなく優しい美味しさが
ご飯に寄り添って来ました。
一口食べてしっとりモチっとするコメ粒は
きっと山菜の瑞々しく香り高い雫を吸い取って
白米さんたちに旨味を広げているのでしょう。
咀嚼する時にやんわりと舌が米粒の中に
沈んで落ちて行くような感じを齎して
其処からフワフワッと甘味が山菜たちと
一緒に浮き上がって来る美味しさなのです。
春爛漫ご飯に拍手ですね。

⑪お食事

鼈の餡掛けご飯

鼈出汁の餡
鼈の身肉
焼き葱
胡麻豆腐

爽やかに清々しいご飯を食べた後は
今度は鼈のお出汁の旨味濃厚な
餡掛けご飯です。
この緩急自在なご飯の施し様に何時も
感心してしまいます。
だからお腹いっぱいでも
何とかして食べたくなってしまうのでしょう。
山菜ご飯の優しい味を一段と旨味を広げて
鼈出汁の旨味濃厚な餡で
鼈の逞しさを添えてやることにより
ご飯が躍動的な美味しさに変化して来ます。
この代わり様は面白い
餡掛けご飯と交互にお口代わり的に
焼き葱や胡麻豆腐がとても美味しく
旨味のエッセンスを加えてます。
ん、此れは満腹でも
チョット味わうだけでも満足度高し。

⑫甘味

桜の葉で巻いた葛饅頭
桜の葉から溢れ落ちてくる塩味が
お饅頭の甘みを長閑乍もくっきりと
浮き上がらせていました。

⑬お薄

ホッと落ち着来ますね。
きちんと舌を締めてくれて感謝ですよ
ホントに。

2021/05/22 更新

17回目

2021/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

春の旬が芳しいしのはら料理

◆2021.3.6(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥26,000
オプション品とお酒消費税含むお会計¥39,950

◆予約
7ヶ月前の定例予約日にお電話で予約

⓪香煎茶

①先付

三宝柑釜
柚子とダイダイの交配種の三宝柑の釜の中には

帆立貝
数の子
車海老

この時期に催される歌会の曲水の宴に因んで
大根と人参の紅白なますの短冊
生姜酢の煮凝り

春の恵みをいっぱいに詰め込んで
甘いも酸っぱいも
柔らか味のえるものや
プリップリのものまで
贅沢に盛り沢山で
目の前で三宝柑の蓋を開けた瞬間
ほっぺがポトリと落ちそうになっちまいました。
ぷっくり膨らんでる帆立が美味しい〜

◉しのはらスパークリングワイン

②お椀

玉子豆腐
鮎魚女
浜防風

吸い地のうま味が澄み切って全く雑味の無い
美味しさ
ホトホト感嘆する
淡く深くうま味が広がる
舌がふぅ〜っと吸い地の深淵に吸い込まれて行き
陶酔感が漂ってうっとりとする心地良さに
浸りきってしまう

葛で溶いた玉子豆腐はもっちり感が半端なく
揺ら揺らしてるお豆腐が
舌にポツンと落ちると舌にぷよんと食感を
残して行く
舌で玉子豆腐を舐めながら転がしてみると
モチッとしながら潰れて行って
ぷよぷよ揺れながらのモチモチ感が楽しくて
仕方が無い

玉子豆腐の後に鮎魚女を舐めると
ふっくらと身厚な鮎魚女がハラリと解けて
滑らかなヌメリ味が際立ち
舌を白い身質の妖しさで惑わして来る
淡白な旨味が透き通って微塵も雑味の無い
鮎魚女の美しい味覚に
只管に感動してしまいました。

◉日本酒しのはら

③お造り

沼島の鯛
玄界灘の泥障烏賊
佐渡定置網の鮪
春蘭

淡路島の恵みとも称される沼島の鯛
皮目も柔らかくふっくらとした身質が
悩ましいほどにしなやかに横たわる
ポン酢ベースにおろしを加えたちり酢
若しくは
煎り酒で

この鯛の身質には感心してしまった
まるで河豚のてっさの様な力強さを感じる
弾力感で歯を跳ね返してきた
然もとっても不思議なの
鯛が鬼ごっこでもするのかと思える様で
ムギユッと噛もうとすると鯛の身が引くし
歯を離そうとすると
スゥッと吸い付いてくる
んん、何で焦らすの?とでも言いたくなるほど
身質の憂いを帯びた肉質感に迷い込む
でもね、後で御免なさいするかの様に
ポン酢さんが程よくいい感じで酸味を
鯛の身に惑わせてスッキリ舌を
迎え入れてくれたのが嬉しい。

泥障烏賊は
細かく格子状に飾りが施されてます。
梅干しとお酒で作った煎り酒で
若しくは
ちり酢で

こんだけ細かく均等に細工を施してるからこそ
お口に入れて舌で烏賊の甘味を
味わおうとした瞬間から烏賊の口溶けが
始まっちゃうよ
然も煎り酒のスッキリ爽やかな酸味と
ねちっこい烏賊の甘味が見事に
ハーモナイズですね。
此奴には驚かされちまいましたね。
でもチョット不満が残るのです。
何てったって
もうちょっとネチネチと楽しみたいのに
どんどん溶けていっちゃって
泥障烏賊の甘い囁きを静かに
聞くか聞かないかのうちに消えちゃうんだもん
罪作りな飾り細工だと思ったのは私だけかなぁ。

佐渡から定置網の鮪
山葵と昆布醤油の煮凝りで
若しくは
山葵と土佐醤油で

この昆布醤油の煮凝りと中トロを
お付き合い出来るのは銀座でも
しのはらさんだけかと思います。
このお友達の昆布のうま味たっぷりに
含んだお醤油代わりの煮凝りは
中トロの酸味を宥めて甘味を膨らまして
更に凄いのが
中トロの蕩け感と煮凝りの瀞み感が同期して
ほぼ同時にトロの甘味と昆布醤油のうま味が
交錯して来るのである。
要はトロの融点と煮凝りの融点を
合わせてると言うのか
こんなに異なる味覚が同期して来ちゃうのは
信じらんな〜いって感じで
このコンビなら何個でも食べれちゃいますね。

春蘭をつまに添えてます。
この時期だけの春を感じる植物ですね。
こんな所にも春の装いを飾ってる所に
雅な美しさを感じます。

④お凌ぎ

蒸し鮨の餡掛け

虎河豚の白子
鮟肝
雲丹

痛風どんぶり真っしぐらと言う感じの蒸し物
此れは無茶苦茶美味しかった
かき混ぜると・・・
白子が白子が
トロトロに蕩けて
掻き混ぜてると粘り気が出てきてトロ〜です。

ベースは蒸し鮨が椀に盛られ
鮟肝が点在
鮨の上に焼き白子が鎮座し
天に馬糞雲丹を添える構成
その椀盛全体に銀餡を掛けてます。

珍味三昧大行進の痛風丼です。
こんなのが登場しちゃっては
舌さんは眩暈がクラクラ〜と来ちゃいます。

銀餡の底に鮟肝が沈んでます。
白子ちゃんの薄皮をプチンして
ドロ〜ンと白子が餡の中に蕩け出し
蒸し鮨とごちゃごちゃに掻き混ぜて
白子リゾット風に早変わりです。
此処で雲丹さんは崩さずに
静かにしておいて
まず、白子リゾットをお口の中に
同時に雲丹様も少しだけお供をお願いし
アクセントに鮟肝を頂いて
痛風の戦いに向かっていざ初陣です。
んん、既に陶酔感が襲って来て
全く歯が立ちません。
白子の珍味が銀餡の中に溶け込み
トロトロ〜リゾットの中から雲丹の珍味も
重なり合って劇的な美味さが訪れてます。
更に鮟肝殿のしっとりした甘味も参加して
全部の珍味たちを銀餡が穏やかに包み込み
こっくりと珍味の美味さを押し広げて
その美味たちの渦のなかに舌が沈没して
しまいました。

⑤焼物

河豚の白子焼き
酢橘
お海苔

酢橘を搾ってお箸で白子を掬って
スプーンに乗せて
板海苔を一枚添えてから頂きます。お海苔の風味が白子にほんのりと芳しく漂って
その香りとともに白子さんをお口の中に
トロンと落とす
プチンと薄皮が破けて
中からあのうまうまの珍味が
蕩けでて来る
もう昇天物で御座います。
今回は一工夫してあって
板海苔を一枚添えてのご用意です。
こう言う風味のアクセントをほんのりと
加えてやる粋な計らいの巧さに
何時も脱帽してしまいます。
しのはら大将の優れたセンスの賜物
勿論焼き白子だけでも十分美味い
でも、そこで満足せずにもう一つ
味覚を膨らませてやる
そうすると俄然素材が生き生きとして来るもの
この板海苔一枚で磯風味と白子が仲良く
手を繋いで2人乗りブランコしちゃうのです。
お海苔を添えた白子ちゃんは
僕、ぷよぷよして可愛いでしょ、
と口ずさんでる様です。
珍味三昧の馳走に拍手です。

⑥雛壇八寸

お雛様の菱餅を模った木の器に盛り付けが
美しく見映えも華やかに飾られております。
何時も感動と喜びを与えてくれる
しのはら八寸です。
この八寸だけでチビチビと
4合瓶を空けてしまえそうです。

さてお楽しみの八寸の内容は

ぼんぼりの器にはてっぴと烏賊のぬた和え
栄螺の陶器にはみる貝と花山葵と独活とばちこ
慈姑で作った松風
鱵と海老の手綱鮨
煮蛸
松葉の串に刺さってますのは鯛の子
卵真薯
クリームチーズの漬けに鰹節をまぶした物
唐墨大根
お雛様の時に頂く引千切餅を模った
唐草紋様の陶器には
宍道湖の白魚と蕗のささがき
河豚の上にこのこ乗せ
こごみとタラの芽とうるいに炒りごまのペースト

こんだけ作るのに毎朝何時ごろから
仕込んでるのでしょうね。
先ずはお口スッキリ酸味も丁度良い和え物の
みる貝と花山葵と独活から手を出します。
みる貝良いですね〜
ぷるんと揺れちゃって貝の甘味が可愛いく
甘味を振りまいて花山葵がチョット
私は此処よと言って辛味を自己主張して
いらっしゃいます。
ばちこ!
温物ですね、此れは取り置きして
日本酒のしのはらとチビチビやるに
決まってます。
然も本日は唐墨までご用意されてますから
二大珍味が勢揃いして嬉しい
この唐墨大根がめちゃウンマくて
此れだけでキュ〜ッと行っちゃいますね。
慈姑を松風にするなんて
まるで和栗の和菓子のような粉質感が優しく
舌を纏うものにて
しっとりする甘味がとても繊細で頬っぺた
落ちまくりでした。
甘味を少し頂いた後は
お腹を満たさんと手綱鮨に移ります。
こう言うご飯ものを混ぜてくれるのが
嬉しくなります。
お酒のアテが多い八寸ですが、
箸休めと言うよりお口代わりにお腹も
膨らませてくれるものがあると
落ち着きますよね。
然も鱵と海老なんて雅な組み合わせに
うっとりしちゃいます。
手綱鮨とご一緒して美味しいのは
定番のフワフワカステラ風卵真薯
このフワフワ食感を満喫できる卵真薯は
どうしたらこんだけふんわり仕上げれるのか
一度じっくりレシピを伺ってみたいものです。
そして楽しみに取っておいた河豚の白身に
このこ乗せと言う躍動する旨味と珍味を
両立させたもの
この一瞬ambivalence的な味覚を
遭遇させた一品は
お口中で仲良くお互いの味覚エレメントを
遺憾なく発揮して
河豚の力強い弾力感伴う旨味にこのこの塩味が
寄り添うし
逆にこのこの珍味を労る様に河豚の肉質が
支えている美味しさを作り出してました。
これ、舌妙な一品です。
〆に胡麻風味を豊かに纏わせた旬の山菜たちを
香りいっぱいに頂いて
春爛漫な八寸を堪能致しました。

⑦鮪とべったらの手巻き鮨

久しぶりですね♪
この定番の逸品
何でもこの時期は鮪の太巻きでは無くて
手巻きに切り替えるそうです。
春鮪になりますと確かに脂質感も
サラサラと優しくなりますから
べったらとの相性がいい気がします。
お海苔の風味を味わいながら
ムシャムシャと齧って楽しくなる定番ですね。

⑧フォアグラとあんぽ柿の
ウイスキーゼリーの最中

最中も名物ですが
お弟子さんの笑顔と共に登場するお姿も
和みの和空間を創出する演出が
此れまた楽しみな場面です。
順番待ちみたいにお客様ほぼ全員
シャッターを構えてパチリとするご様子が
何とも微笑ましい限り。
お楽しみ場面を巧みに演出するしのはら劇場故に
ご人気も出るのでしょう。

◉田酒

⑨強肴

焼き鼈
蕗の薹の天麩羅
金山寺味噌

来ましたぁ〜
必ずと言っていいほど鼈料理は
必須アイテムになって来ました。
此れを食べないと帰りたくなりません。
時期により
焼き鼈か竜田揚げに成りますが
何方も大好きです。
今日は焼き鼈でこの鼈の豪快な肉肉しさに
ピリッと鞭打つ様に肉質を更に引き締めて
粉山椒の刺激が堪らなく肉塊の美味しさを
膨らまして来ます。
手で鷲掴みにして齧り付くと
そのvividに躍動する肉感に
身も心も鷲掴みされっぱなしです。
鼈を満喫した後に
もう一品素敵な春のお便りが届いてました。
蕗の薹のほろ苦さが天麩羅の中に
上手く閉じ込められていて
天麩羅を咀嚼すると
ふんわりと蕗の薹の苦味が走り抜けて行き
清々しいほどに春の香りを残します。
蕗の薹と鼈の味覚が相対峙して
躍動感漲る鼈と春の匂ひを運ぶ蕗の薹との
味のコントラストが雅に踊る美味しさで
桜吹雪の様に舞い散ってました。

⑩潮汁

鹿島の蛤は大きかった
春の汁物
師崎の和布がどっさりです。

ん〜成程、此処で汁物と来て
今躍動して舌をこき使ってお疲れのところ
ご苦労様です!と和布と蛤の汁が潮風味を
靡かせて舌を優しく労ってくれてます。
お汁を探索しますと
蛤がぷよぷよで身質のぷくぷく感を
満喫するもので
蛤の醍醐味を満喫しながら
和布がシャキッとして舌に絡みついて
温和な妙味を頂いて和みのひと時を貰って
ホッとする安堵感が訪れてました。

◉仙禽

⑪お食事

筍の炊き込みご飯
熊本の筍
蛍烏賊の卵とじ

卵とじの中には
車麩
蛍烏賊

薄い豆

春のご飯ですね〜
ちゃんと〆に旬の筍が敷き詰められた
筍ご飯と来ちゃいました。
此れは嬉しいプレゼント
ホント
春尽くしのお料理にルンルン気分最高潮に
達してしまいます。
最初に筍ご飯をサクッと一膳頂きます。
もう、お茶碗を顔に近づけた瞬間から
筍のあの甘い匂ひがふわふわふわぁ〜んと
漂って高貴に満ちた気分に浸ってしまいます。
一口お箸で掬って咀嚼しますと
んん〜、たけのこぉ〜って
筍さんが愉快に楽しくお口の中で
踊り続けていらっしゃいます。
そして春の穏やかな甘味を口腔内に振りまいて
ご飯もモチッとした甘味を伴って
ご一緒して来ます。
ホクホクの米粒食感と
ふわふわ浮き上がる筍の香りと
玉蜀黍の様な長閑な甘味とが
一心同体となってご飯を盛り立てます。
ふぅ、満足満足なのです。
此処で欲張りにも
次の何かが起こるのではと言う期待を
持たせてその通りに終わらない所が
しのはらさんのお食事の満足度を高鳴らせるもの
次には
しのはらスペシャルの卵とじが待っていました。
筍ご飯にこの卵とじをかけてから頂きます。
もう、勘弁してねと囁いちゃいますよ
んん〜まぁ〜くて堪んない
涙出てきちゃう、うるうる。
卵とじの中には蛍烏賊と蕨も入ってて
卵のとじ加減のふっくら柔らかい舌触りと
甘さに蛍烏賊の旨味がたっぷりと
卵とじの中に滲みこんで来ていて
卵とじ掛け筍ご飯は
極上の旨味を浮かび上がらせた
激うまうまご飯に早変わりしちゃいます。
一口お口に入れますと
もう、グルングルンと美味礼讃が
鳴りっぱなしとなり
完全に混沌とした美味しさの中に舌が
埋もれてしまいました。

⑫煮麺

半田麺の煮麺
飛騨牛
振り柚子

怒涛のご飯の後にまだもう一品有りました。
此処で和やかにお口を癒してくれる煮麺です。
こう言うお優しい一品をちゃんと
お仕舞いに用意して頂けるのは
有難いものです。

飛騨牛なのにガツンと来るのでは無く
可愛い佇まいなのです。
肉質もハラリと解けて
この段階で全く舌に負担を掛けさせない柔らかさ
柚子の香りが効いてておつゆに酸味が通ってる
とても良い塩梅に酸味がお汁に溶け込んでる煮麺

こっくりと落ち着きます。

⑬甘味

桜の葉だけで作った金団
花は混ぜずに塩味を金団の中に演出

中のあん玉の小さな芯と
裏漉しされた桜の葉で作ったそぼろ状の芋餡で
漉し餡の芯に纏わせた金団饅頭です。
あん玉とそぼろ餡の絶妙な塩梅が甘味を
お淑やかに引き寄せてました。

⑭お薄

ほっこり舌が癒される抹茶


2021/04/18 更新

16回目

2020/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

氷見の寒鰤 柴山蟹 三雲の真鴨 猪鍋 上海蟹 冬の旬をありがとう

◆2020.12.12(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥26,000
お酒消費税含むお会計¥41,400

◆予約
7ヶ月前の定例予約開始日25日にお電話で予約

⓪香煎茶

紫蘇昆布がほんのりと滲む
香りを楽しむ癒しの一口

①先付

檸檬釜の中に盛り付けられてますのは

北寄貝
赤貝
胡麻豆腐
水前寺海苔
加減酢
生姜の煮凝りでまとめてみました。

冬の旬をいっぱいに檸檬釜に詰めて
楽しく冬を着飾る先付を見つめてますと
直ぐに手が伸びてしまいそうになります。
檸檬釜の天辺には北寄貝が大きく手を広げて
釜全体を覆っています。
そのくらい大きな北寄貝で食べ応えありそう。
中を覗くと具材がてんこ盛り
良くぞこんだけ詰めれたものと
感心するのと同時に食欲が沸々と
湧き上がります。
早速鮑のコリコリする食感が
生姜酢の爽快な
酸味を纏った所を頂きます。
ん、鮑が生き生きとしてて歯を
ぷよんと弾力感良く弾ませて食感が素敵に
広がる
この檸檬釜の中でのメインはやはり
北寄貝かな
お口の中でぶよんぶよんと唸って
めちゃ甘味が吹き出して来る
グニュッグニュッと噛み続けると
ジューシーなくらいに貝の甘味が
吹き出して来る
その甘味に加減酢が優しく纏い
舌を麗しげに惑わして珍味倍増
舌が大海の珍味たちを食い尽くして
チョット飽きたかなぁという時
塩梅良いタイミングで胡麻豆腐がやって来た
此れもぷよぷよに揺れて胡麻の甘みが淡く
施されたお淑やかな甘味の一品
プルンと揺れてる角を一齧りすると
んん、素敵な胡麻風味がフワッと
お豆腐の甘味の中からナチュラルに
浮き上がって来る
此れは食感と味覚とのバランスが良くて
うんまい
スタートから充実の冬料理を頂き高揚感高し

②お椀

椀種 甘鯛
椀種 唐墨餅
椀づま 淀大根
吸い口 壬生菜
香り付け 柚

吸い地は
昆布ベースに鰹節の一番出汁を少し
淡麗なる旨味が舌に響き渡る
身も心もホッと安堵するひと時を頂く

そしてそして椀種を見つめてしまう
驚きの瞬間が訪れます。
椀蓋をやおら開けて見つめますと
何?これ!!
えっ!お正月風にお雑煮のお餅かと思い
中を見直しましたら
再び エ〜ッ?
唐墨餅が椀づまとして鎮座です。
しのはらさん、やはり鬼才か
唐墨餅をお椀になんて発想は
何処から来るのでしょうね。

もっちりモチモチな食感と
穏やかなまったり感とが同居してる上に
唐墨の塩味がお餅の甘味の中に潜めてある
其の塩味が段々お餅の中に浸透して行きつつ
吸い地の旨味から浮き上がる様に現われる。
此れぞ至福の味覚
お餅から漂う甘味の中に
秘められた塩味、
それも唐墨の品格はこうだと言わんばかりに
拡張高い味わい

唐墨餅に感銘を受けているのも束の間
淀大根が滋味深き味わいに染まり舌を
ホロリと撫でて来る
更に椀種本命である甘鯛の串焼きが
椀に浮かびつつ
皮目も狐色にこんがりと艶めく色合いを見せ
欲をそそり舌を惑わせて来る
一口咀嚼すればハラリと解けて
甘鯛の淡白な甘味がフゥッと
お口の中で散乱する
その後吸い地が緩やかに舌を清めて行く
本日のお椀は衝撃的な作品にて
余韻も強烈に残りました。

③お造り

鮃松前漬け
燻した氷見の寒鰤
辛味大根
いぶりがっこ
浜防風

ちり酢
山葵
昆布醤油の煮凝り

此れはどれから食べようか迷うわ
氷見寒鰤!
薫香が芳しくて食欲そそられちゃいますよ

鮃の松前漬!
此奴も捨てがたく艶かしくも
色気をムンムンに浮かび上がらせてるし
ヤバイお造りですよ、本日は。

此処は勇気を出してやっぱり
薫香に誘われるままに真冬の寒鰤から
ちり酢をタプンと付けて頂きます。
薫した寒鰤の旨味に
辛味大根といぶりがっこの和え物が
薫香の雲の中からニョキニョキ〜ッと
辛味混じりのがっこの甘味を浮き上がらせて
寒鰤に珍味を寄せて来ます。
こんなに辛味大根と寒鰤が相性が良いとは
面白い発見と同時に寒鰤の旨味を際立たせる
匠の技に感銘致しました。

そして鮃ちゃんは
昆布醤油が好きなのでぺトッと付けて
パクリとお口に放り込みます。
んん、何これ?
この艶かしく蕩ける食感に舌がメロメロに
なっちゃう
全く艶めいてエロい肌触りなのです。
こんな官能的な美肌を舐めちゃって
良いのでしょうか。
耽美にコクが広がる松前漬の甘味を満喫しつつ
鮃の悩ましい肉質感を歯で感じてしまうと
ホッペは堕ちまくりとなりますね。
参りました。

④真鴨 炭火焼き

湖南市三雲産の真鴨
山椒塩

外目はしっかりカリカリに焼き上がって
焦げ面にへばりついた肉の脂身が
途轍も無く旨味を帯びた甘味がグ〜ンと伸びて
焦げた皮の旨味を発揮させているのに驚く
さらに中のロゼ色に染まる赤身から
溢れる肉汁の旨味からは野性味を感じる
猛々しい味覚が舌を襲う
血湧き肉が踊るとはこのことか
滴る血が肉汁と一緒にお口を蹂躙し
舌一面を制覇する
お焦げ面とレアな血肉の一体感から来る妙味は
舌が飛び上がるほど
ウンマくて悶絶するうんまいだ!

お造りの後に行成この鴨肉を持って来るという
離れ業にも感動しちゃう
この順番もかなり刺激的な構成で
お魚とお肉の緩急の落差にも美味しい感情が
溢れてしまいます。

⑤柚釜 リゾット風に

鱈白子
酢飯

鱈の白子をお酒で炊いてから裏漉したものを
柚釜の中の酢飯の上に掛けてます。
柚釜ごと焼場の炭火で温めたものを
篠原大将が調理場に運んでセットし
間髪置かずにお弟子さんが
銀餡を柚釜の中に注ぎ
ちり酢を餡に落とします。
このチームワークが見てて
とてもスムーズで微笑ましい。

スプーンとお箸で頂きます

柚釜の中のご飯と白子をお箸で
ぐちゃぐちゃに混ぜ混ぜして
白子も銀餡も酢飯もぜ〜ん部が
真っ白くなって絡んじゃいます。
塩梅良く掻き混ざってリゾット風に
仕上がった所を
スプーンで掬って一口をペロリ
うぅ〜んまい!
このねちっこくて甘くて
まったりと全てが絡んでコクが有り
柚子皮も解け出してフワッと柚子の香りも
リゾットに流れ込んでの珍味にうっとり
ほっぺたがにんまり(๑・̑◡・̑๑)
ウフフしてしまう美味しさ
美味秀麗で御座います。

⑥鼈 竜田揚げ

山椒塩
かぼす

最近は唐揚げより竜田揚げが定番になりつつ
有りますね。
此方の竜田揚げは一味違ってて
鼈の醍醐味をナチュラルに浮き立たせている
気がします。
何よりもガブッと骨に歯が当たって砕けろ、
みたいな勢いで齧り付いて鼈の旨味に
ドカンと弾き返される食感の逞しさに
やられちゃいます。
その激しく溢れて来る旨味が舌を
虜にするのですよね。
此れだけ食べた時の印象が強いと
次回もしこのメニューが無かったら
さぞ寂しいかなぁと感じてしまいます。
なので、しのはら大将毎回お願いしますね〜。

⑦八寸

南京櫨 ナンキンハゼ 紅葉した葉に白い実
弟切草 オトギリソウ 真っ赤な実が付いてる
松ぼっくりが可愛い枝 等で八寸を飾り付けです。

本日の八寸は雪囲いをご用意して里山風景を
偲ばせたものになってます。

雪囲い→松葉蟹と胡瓜の酢の物
くず屋根の陶器→柿なます
ガラスの器に海鼠の霙和え
酢橘釜には鮟肝
松葉の串に数の子の味噌漬け
京生麩の蒲焼にクリームチーズを挟んだもの
丸十の栂尾煮
蛸を優しく炊いたもの
真魚鰹の西京焼き
因みにお麩は麩嘉(ふうか)製のもの

まぁ本日も良くぞ此れだけ雅な八寸を
ご用意してくれました。
誠に感謝に堪えませんね。
毎回感動の物語が展開するしのはら八寸には
視覚効果から目が釘付けとなり
触覚味覚嗅覚がフル回転して楽しんでおります。

目に真っ先に飛び込んで参りましたのは
恐らくどちら様も雪囲でしょう。
蟹の身の甘味と酢の酸味を纏う胡瓜が仲良く
舌を惑わせます。
この時期、余市のあん肝のしっとりした甘味に
熟成感が芽生えて来て舐めたり噛んだりが
楽しくて仕方ありません。
何時もながら柔らかい蛸は食感が嬉しすぎます。
京都でも高名な麩嘉さんのお麩を頂ける光栄に
触れることが出来て幸せな気分を謳歌です。
更には真魚鰹の西京は最強の焼き物なんて
駄洒落てくなるほど美味しい。
楽しくて嬉しい八寸に没頭して
お酒も進んでしまいます。
大満足が行進するしのはら八寸にパチパチ。

⑧ フォアグラムースとあんぽ柿と
山崎ウィスキーゼリーの最中

此れはほぼ八寸に付き物と言えるお口直しの最中
銀座でフォアグラ最中と言う定番ものを
有名にしたのはしのはらさんでしょう。
笑顔で手を差し出しながら最中をカパっと
開いてのポーズも手伝って
楽しい一コマを期待する方が増えて
都内でも有数の人気商品に化けちゃいました。
この一品の素敵なフォアグラ甘味が忍ぶ
最中のパリッとした食感は
忘れ難き味わいとなります。

⑨ 炊き合わせ

海老芋煮
堀川牛蒡
車海老
春菊のお浸し

最近は八寸の直後に炊き合わせをご用意する事が
定番になりつつありますね。
お口を忙しく楽しませて頂いた後に
しっぽりと舌を暖かく癒してくれるのは
ホッと安堵感が訪れて良いもんです。
穏やかに甘味が寄り添ってお芋の繊維の
粉質感がとても優しく舌を包み込んでくれる。
更に車海老がプリプリッと舌を弄ぶ
そんな風に舌を遊ばせながら徐々に
八寸の別世界から
極太の牛蒡さんでシャキッと身を正す様な感じで
現実に戻してくれる炊き合わせなのです。

⑩鮪の太巻

もう此れはしのはら料理でも定位置を確保した
安定の太巻きですね。
すき身とべったら
赤身の漬け
中トロ
鮪が三つ巴で酢飯に囲まれた海苔巻き
鮪も豪勢ならシャリ感にも圧倒される太巻き
一口でガバッと頬張り豪快に喰らうも良し
三者三様に小分けしてバラバラにしちゃって
味の違いを楽しむも良し
この一貫はとても嬉しい巻物なのです。
私は全部を頬張ってお口の中で
鮪三昧に舎利が塗れて行くのが楽しいので
グチャグチャに太巻きを壊して一気に
喰らい付いて頂きまぁす。
んん、もう大きな満足感が怒涛の如く
押し寄せて来て無茶楽しすぎます。
而も結構お腹も此処で膨れちゃうんですよね〜。
やばいヤバイ鮪の太巻きさんなので有ります。

⑪ 柴山蟹 素焼きで

間人蟹と同じ漁場の柴山漁港で採れた蟹
蟹味噌和え
蟹酢
酢橘

水揚げされてランクづけされた松葉蟹の中でも
上位に厳選された松葉蟹にのみ付与される
柴山蟹を証明するピンク色のタグが
付いてました。
因みに津居山の蟹は青いタグ
間人蟹は緑色のタグだそうです。

お味噌がたっぷりなほぐし身との和え物は
味噌の純度が高くて品質が極上の蟹味噌和え
此奴がバカうまなのです。
とってもジューシーな甘味を漂わせて
蟹味噌独特の香りと珍味をお口の中で
爆発させてくれます。
もう堪りませんね、この美味しさは。
mogmogすればするほど蟹味噌の旨味珍味が
どんどん溢れ出て来る
ふぅ一所懸命にmogmogし過ぎて顎が疲れた。
チョット一休みに蟹の脚から純白な身を掬い出し
その甘味をそっと優しく撫でてやりたくなる
ふと気が付けば
柴山蟹の身に一心不乱で夢中に
なっちまってます。

ところで、この度しのはらさんは
香港支店を設立し初となる海外進出を
果たすそうです。
この雅な日本料理を是非とも海外の皆様にも
お気に入り頂きたいものと
密かに応援をしたいと思います。

⑫猪鍋

三雲の猪
茸類
白菜
下仁田葱
九条葱
柚子

猪鍋が素直でサラサラとした猪肉の旨味が
お出汁に流れていてとてもコク深さに
染み入ってしまう鍋物
凡そ猪鍋とは思えなくて
もっとダイナミックな野性味のある肉肉しい
お鍋を頭の中で描いてましたが
想像とは異なり穏やかな旨味と
下仁田葱の優しい甘味が行き交う妙味を
優れて出し切っている猪鍋です。
猪の旨味を鍋の中で引き出し猪肉の嫌味や
臭みを打ち消して白菜や御葱たちの甘味が
フワフワッと鍋の中に溶け込んでいて
その甘味が猪肉の旨味をオブラートしてる
こっくりと舌を和やかに癒してくれる鍋料理

⑬お食事

上海蟹の炊き込みご飯
琵琶湖のふるさと
お海苔
香の物

上海蟹に詰まってる味噌が炊き込みの中で
暴れまくってると言う表現がピタリと
当てはまるほど黄橙色の味噌に染まって
まるで蟹味噌煮込み風な感じの炊き込みご飯。
かなりお腹が膨らんでますので
軽く一膳を装って頂き一口味わいます。
ん!此れは蟹味噌の風味がとっても濃厚に漂い
味噌の旨味がふっくらご飯を占領して
上海蟹の醍醐味を満喫できるもの
上海蟹の威力炸裂だ。

⑭鱶鰭餡掛けご飯

上海蟹ご飯の上にトロトロの鱶鰭の餡を
たら〜ッと注いで蟹ご飯の妙味に更に
鱶鰭の旨味とコクを重ねて珍味の渦が
巻いております。
鱶鰭餡の瀞みとまろみが舌を抱きこんで
蟹ご飯と同化する事で蟹味噌が餡の中に
溶け込んで行き主役は餡に置き換わり
蟹味噌の味覚が快いアクセントとなって
餡掛けご飯の表情が温和な旨味を讃える
素敵な味わいに変わっています。
鱶鰭の旨さが濃厚な故の珍味なのでしょう。
すんごく後引いてお代わりしたくなります。
でももう私のお腹はギブです。

⑮甘味

練りたての葛饅頭
中はこし餡とシロップの合わせたもの
甘さがサラサラッとしててスッと
舌の上で溶けて品良く甘味が広がって
舌をホッと落ち着かせてくれる。
上品な甘味

⑯お薄

⑰ プレゼント

何としのはらさんから
しのはら特製スパーリングワインを
頂いてしまいました。
全くの予想外にて感激!
大事に飲ませて頂きたいと思います。


2021/01/23 更新

15回目

2020/11 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

晩秋の余韻感じつつ冬の味覚が満載 勢子蟹 松葉蟹 上海蟹の大行進

◆2020.11.21(土)夕餉

◆予約
7ヶ月前の予約開始日の25日にお電話で予約

◆お料理 お任せ¥26,000
お酒消費税含むお会計¥38,500

①香煎茶

②先付

茶正月に因んで鶴の向付に黄柚子が
美しく映えます。

黄柚子椀
玉子豆腐
ほうれん草
占地
勢子蟹
子持ち昆布

生姜酢の煮凝りを纏わせて

未だ11月なのに冬の走りどころか
冬の旬が盛り沢山です。
勢子蟹の外子の卵が山盛り

加減酢と玉子豆腐を合わせるとは珍しい
玉子豆腐が優しい仕上がりで
ぷよぷよ揺れてくる食感が楽しくもあり
お豆腐の味覚をぼんやりと朧げなものに
しがちな所、
酢の酸味が輪郭をくっきりと描く感じに変えて
逆に甘味を浮き上がらせちゃう。
此れは中々面白いデュエットでした。
酸味がこんなにピタリと味覚を寄せて来るとは
今までのしのはらさんでもお珍しい合わせ方
何か新鮮で良いなぁ
こう言うチャレンジ性に富む所が
お料理を飽きさせずグルメの方々を
惹きつける一因なのでしょうか。

そして冬の風物詩とも言える勢子蟹
外子が柚子椀から溢れそう
お口の中に盛ると
パチパチ弾ける食感が楽しい
次いでに似た食感の子持ち昆布を頂いちゃう
小さいプチパチンとやや大きい
プッチンパッチン食感が交錯しつつ
煮凝りを楽しめるのは素敵な仕掛けです。

幸先良い柚子椀のスタートに
ほっぺが喜んでます。

③お椀

甘鯛
車海老

壬生菜
柚子

んん、昆布のうま味が淡くて慈の味わい深く
舌をうっとりしてくれます。
香りも頗る良いです。
昆布の一番を使ってるのでしょうね。
椀種は車海老と甘鯛
海老の尻尾を身の中に射込んでクルリと
巻いてます。
此れ職人技ですね。
視覚も嗅覚も楽しませてくれる椀盛
もう一つの椀種には甘鯛の炭火焼き
其の儘焼物でも全然違和感のない一品
ダブルで椀種は贅沢の極みです。
嬉しい。
この甘鯛の身質の膨よかな事
芳醇にぬめり感が出ていて
艶々の肌に触れるとお口の中でホロホロに
解けて無垢な旨味がしっとり舌を撫でる
んん、お椀の浸し地に揺れる甘鯛の味覚は
ホントに美味い。
余韻が何処までも続いて行くよ。
椀づまの蕪もハラリと崩れて
炊き加減が絶妙です。
この3品のバランスの良さは筆舌し難く
此処までお椀を昇華出来るのは
やはりしのはらさんの天性か。

④お造り

鹿児島 迷い鰹 藁焼
青森 鮃
浜防風

入り酒
ちり酢
昆布醤油の煮凝り
山葵

鮃は3切れのご用意なので
其々入り酒とちり酢と煮凝りで頂きます。
鰹は入り酒は合わないとの事にて
ちり酢と昆布醤油の方で頂くこととします。

鰹の切り身は分厚く食べ応えしっくり来るもの
鰹の焼きは炭火から藁で燻してます。
薫香の匂ひが口から鼻に吹き抜ける
その香ばしさにうっとりしつつ
藁焼加減が具合宜しく咀嚼すると
皮目が焼かれて皮はパリッとして
白くなった部分がシコシコして
皮に付着してる脂質部分の旨味が
赤身の部分と同時に寄り添って来る
そして
赤身の艶めいたスベスベの肉肌との
コントラストが妙味を増して
激ウマな鰹の藁焼きとなってます。
この鰹は唸りましたね。

⑤蒸物 穴子の苞蒸し

明石の大穴子
飯蒸し
小豆
銀杏
和栗
柴漬

左手で藁草の束を持ち上げて
右手のお箸で飯蒸しごと掬い上げて
お口にパクリと放り投げてやります。
すると
真っ先に蒸し穴子がフワフワンと解けて
カステラみたいな舌触り感に舌が歓喜する
穴子の身質がサラサラに感じる粉質感を
持っておりその質感が舌をナチュラルな感じで
包み込んでいく
穴子が解けいくのに合わせて
小豆や和栗の甘い風味が追いかけて来て
味わいを広げて行く
ジッとmgmgしている間もなく
あっという間に穴子は解けて消えて行くが
喪失感より満足感が勝る
単品の一口の満足度としては最高峰ですね。
この時期のしのはら料理の定番として
安定の一品は何時迄も続いて欲しい逸品。

⑥揚物 鼈の竜田揚げ

塩胡椒
カボス

何時ものタレ焼きではなく
本日は竜田揚げ
大将曰くタレ焼き以上に鼈らしさを
表現できるお料理でご本人は
此方の方が好みとか。
鼈のエネルギッシュな肉に塩胡椒を
チョンチョンと付けて
骨ごとかぶりつく
ギトギトしたままの鼈にむしゃぶりつく
竜田揚げの風味も心地良く
揚げ衣を齧るとサクッとした食感が
ダイレクトに歯を刺激して来て
んまいのである。
更に
骨の髄までしゃぶり尽くして
そのまま骨も舐め続けたくなる
鼈と言う素材の持てる力を最大限の
旨味に昇華させてる逸品。

ふゥ〜、快感。

驚きますね、この後味と満足感。

⑦炊き合わせ

絹厚揚げ
石川小芋
春菊
生姜

吉野葛とお出汁と醤油の塩梅が絶妙な
吉野餡がとっても温感が穏やかで
舌を温かく包んでくれます。
その温かさが小芋のしっとりした食感を
膨らませていて
ほっこりとして安堵感が付き添う
御料理となってます。
八寸の手前に舌をやんわりと落ち着かせる
炊き合わせ。

⑧錦秋八寸

高台に座ってますのが
名残の無花果を胡麻味噌焼きしたもの

柿の器には柿なますに振り胡麻

異形のお弁当の蓋を開けますと中には
旬の材が目白押しです。
ガラスの器に
鱈の白子と帆立貝と独活の酒蒸し煮

海老芋の唐揚げ
この海老芋のきめ細やかさと滑らかさには
いつも驚くしっとりとした粉質感漂う美味しさ

炙り唐墨
此奴は後ほどチビチビとやる為に
小皿を頂いて取り置き
このしっとりした塩味がお酒を呼び込んじゃいますね〜。

蛸の柔らか煮 あんま〜くて柔かぁ〜い
ホロホロに解ける食感を満喫する一品

ばちこ
万願寺青唐辛子
松葉に串してるのが岩茸
モッツァレラチーズを挟んだ庄内麩の蒲焼き

酢橘釜の中には
いくらと長芋とキャビアにスモークサーモン

八寸の焼き物として焼いたばかりの温物が2品
追加されます。

合鴨の皮目炭火焼き
鯛の西京焼き
鯛を西京焼きにしたのが来ちまいました。
ん、此れはお珍しい西京焼きだ。
西京焼きがピタリと味醂が乗ってて
鯛の旨味を引き出してて舌が後引く美味さ
お口の中で鯛がホクホクに滑り味を
拡散しながら鯛の身がプリッと食感豊かに
跳ねてくる、楽しい味わいにチョット興奮。

八寸も食べ終わり近くになりますと
冷感の伴うものばかりを食べ続けてるので
少し舌が冷え冷えして来ちゃう
その頃合いにこうした温物を頂けるのは
嬉しい。
これだけ品数の多い八寸
作り置きのものだけでも大変な仕込みかと
推察しますが
温感が敏感な素材は
温度感が損なわれないように
焼き立てのものを用意すると言うお気遣いにも
何時も感謝の気持ちで一杯になります。

⑨箸休め

フォアグラと安保柿にウヰスキーゼリーの最中
定番の人気商品
最中生地をパリンと割って
中のフォアグラムースの独特な濃度の
強さが鮮烈な甘味を発散して
格別の美味しさを感じる甘味なのです。
癖になる耽美なお誘いですよね。

⑩箸休め

鮪の太巻き
赤身は漬けにして山葵和えにしたもの
中トロはすき身にべったらと胡麻で和えて
煮切りで仕上げたもの
巻物の端の部位を頂き
太巻きから鮪の束が飛び出てる様子が
ダイナミックに視覚に飛び込んできて
欲望を誘って来ます。
お口にグイッと放り込んで何とか一口で
んん、鮪がグニョグニョ暴れるゥ〜
赤身も中トロも舎利とグチャグチャに
なりながら酸味を振りまいて
滅茶苦茶うんまい!
満足感以上に咀嚼中に弾け飛んでくる
鮪まみれの美味しさに高揚感が沸き起こり
ほっぺが落ちまくりで御座います。

⑪松葉蟹

松葉蟹の脚
酢橘
蟹酢
蟹味噌和え

脚の殻からホクホク感いっぱいの解し身を
スルスル〜っと引き抜いて
蟹酢に浸して頂く。
蟹の身の気品溢れる甘味に蟹酢の酸味が
しっぽり蟹の身に寄せて来て激ウマ旨です。
また、蟹の腹を蒸して焼いた解し身と蟹味噌の
和え物を白身の方に乗せて
ご一緒しちゃうと味噌の濃度が薄過ぎず
濃すぎずの珍味を奏でてくる妙味の世界に
舌が埋もれちゃいます。
この蟹味噌の和え物が実にうまい。
ネットリ感も絶妙でとてもクリーミィなほど
何か混ぜてるのかと思いましたが
何も足してはおらず
腹の身の部分を蒸したものと和えるので
その身汁の旨味と
殻から滲む風味を合わせてやることで
これだけのコクと旨味が同居する珍味が
出来上がるのだそうです。
ホント絶品の蟹味噌です。
これだけでチビチビ行けちゃいますね。

蟹の甘味も味噌の珍味も
満喫できちゃう蟹料理に
ほっぺが満面笑みを浮かべて
お口は激しく歓喜しちゃいました。

⑫焼物 鰻の印籠焼き

琵琶湖の鰻を蒲焼きにして
中に牛蒡を巻いてあります。
その鰻を焼いた後の仕込みに
かなり時間をかけていて
しのはら大将つきっきりで
骨抜きを丁寧に施してました。
其れこそ人差し指や中指で
鰻の腹側を撫でるように
慎重に探りを入れて
小骨一本一本見つけてピンセットで
取り除く事20分ほどは掛けてたのでは
無いでしょうか
故に手元に届きました印籠焼きの
鰻が蒸されての膨らみと
白身に小骨が皆無な事によるフワフワ感が
堪らなく鰻の白身をふっくらさせて
ふんわり感が半端ない美味を醸成し鰻だれの
甘味がこってりして舌を旨味の世界に
引き込んで行きます。
この鰻の甘ぁ〜いフワフワ感と
鰻の旨味とが折り重なった上で
牛蒡のシャキッとした食感が訪ねて来る
三つ巴の味覚が一体となって妙味を
作り出して舌を翻弄します。

⑬鍋物

滋賀県の三雲で狩猟された原種に近い猪の
猪鍋です。
キノコや野菜がたっぷり鍋地に浸らされて
お出汁に和みの旨味を添えてます。
大きい鍋から煮物碗に小分けして頂きます。

花平茸
白占地
ジャンボなめこ
榎木
鮑茸

下仁田葱
九条葱
白菜
柚子

ちり酢

木のスプーンで具材や汁を掬いながら
お箸で猪肉や野菜を摘んでちり酢に付けながら
酸味を整えてお口に入れます。

鍋地の出汁に猪の脂の旨味が馴染んできて
食べていく間にも地のうま味が
表情を変えていきます。
猪肉はケモノ臭さが無くてサッパリ系の
脂質を含んだ旨味があり
肉質も柔らかくて噛み心地を
楽しめるものです。
キノコや白菜から出る煮汁のお出汁が
鍋地の旨味に流れ込んできており
お出汁を和やかなうま味に整えて来ており
この優しく丸い感じのうま味に包容された
キノコや下仁田葱が何とも言えず
舌に馴染んで来て
身も心もこっくりする鍋物です。

⑭お食事

一膳目に上海蟹の炊き込みご飯
二膳目に蟹ご飯に深鰭の餡掛け
九条葱
お海苔

上海蟹は身よりも味噌の珍味が濃くて
美味しい蟹ですが
その上海蟹を3杯も土鍋にドカンと入れて
炊き立てのご飯に身と味噌を混ぜ混ぜして
お茶碗に盛り付けです。
お海苔をチョコンと天に散らして仕上げ。
蟹味噌の風味が鼻腔を掠めて
さっきまでお腹いっぱいだった筈なのに
食い意地が張ってるのでしょう
一膳目をパクリと食い尽くし
二膳目にの深鰭餡掛けに挑んでおります。
深鰭の餡の旨味と蟹ご飯の妙味が
ドンピシャで蟹ご飯を餡が蹂躙しつつ
餡とご飯が見事なまでに珍味を
演じ合ってます。

殻で引いたお出汁で炊いたご飯が
蟹風味を上手く閉じ込めていて
蟹風味が満遍なく米粒に浸透してます。
ご飯粒の1粒1粒がやたら美味しくて
パクパク噛んでて蟹味がどんどん乳化する中で
溶け込んでくるのに感激しちゃった。
更に上海蟹の濃厚な味噌味がご飯一面に覆い被さるような感じで上塗りされてて
旨味を増幅してます。
んん、大満足ご飯に拍手です。

⑮甘味 お薄

黒蜜と百合根の葛焼き

葛を練って黒糖を注いで焼いて
整形したものに
百合根を挟み込んでサンドして
仕上げの形を整えてます。
穏やかぁ〜な温かみのある
チョットふわんとしたモチモチ感が好ましい
葛の焼き物
甘味もサラリとした甘さで百合根の食感が
何となく涼しげに漂って甘味に寄り添います。
大人しく淑やかな甘味にお薄が和やかに
舌を癒してくれます。

2020/12/27 更新

14回目

2020/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

お月見の風情心地良くお酒も進む八寸が嬉しい

◆2020.10.10.(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥27,000
お酒消費税含むお会計¥38,800

①甲羅返しの先付

菱蟹の甲羅を裏返しにした器には

菱蟹と毛蟹の解し身を和えたもの
もってのほか菊
オクラを叩いたもの
新いくら
胡麻豆腐
生姜酢の煮凝りで纏めてみました、
右手にお箸、左手にスプーンで
盛り付けを崩しながら絡めて
お召し上がり下さい、との
お話を張りの有る透き通るお声で伺いました。

何時も思いますが
しのはら大将のカウンター全体にハッキリと
通る声で分かりやすく食材や料理の説明を
なさる姿勢に安堵感を抱きます。
このお声で丁々発止とお弟子さん達と
会話が弾んだりお客様との和む会話が
聞こえて来たりして
その雰囲気に極自然に巻き込まれて行き
この和空間全体が和んでホッとする場に
変わっていくのが良く分かります。
こう言うムード感はしのはらさん独特の
持ち味で、此れが人気の秘密でもあると
感じます。

さて、お料理は
菱蟹 毛蟹の解し身が甘味をたっぷりお口に
充満させて
いくらがプチュって可愛い音色で鮮度の高い
純粋ないくらの甘味を弾け飛ばす
その甘味を追いかける様に
生姜酢がサラサラ〜ッと心地良く舌に響く
酸味を振りまいて来る
蟹がジュッと言言いながら
いくらがプチンと弾けてる
その爽やかな食感を愉しんでるところに
オクラの叩きがねっとり感を押し出して来る
この食感の落差に珍味の広がりを感じてしまう
そして〆にぷよぷよフワンと揺れるお豆腐の
甘味が優しく舌を包んでくれるの
この先付で表現する多重な味わいに
何時もやられちゃって
しのはら料理の味覚の渦にどんどん
引き寄せられてしまうのです。

②甘鯛と松茸の菊花椀

重陽の節句からお月見の辺りまでに
華々しくお料理を飾る菊花
時には着せ綿にして
時には食用菊として
そして本日は椀盛で
菊の紋様がものの見事に花咲き誇ってて
お椀の湖面に浮かぶ菊の美しさに惚れ惚れ

お椀の雅な美観を鑑賞して視覚を楽しみつつ
天に聳える様に積み重ねられる松茸が高貴に
その香り立ちを登らせてます。
菊の飾り映えする無垢で穢れなき松茸の
繊維質の華麗な色合いにもうっとり

勇気を出してお箸で良く開いた松茸の傘の
スライスを頂きます。
んん、口内に広がる松茸の香り
松茸を噛み始めた途端にジュンと迸る
個性的なウマミに舌が翻弄されて
キュンと高鳴っちゃいます。
んん、まぁ〜。
昆布出汁の一番の美味さに松茸薫る香るウマミ
更に甘鯛の脂が甘く吸い地に漂い
もう、陶酔渦巻く中に沈没しそうであります。
其処をグッと堪えつつ椀種の甘鯛をしっかり
味わわねばと覚悟を決めて
甘鯛に突入します。
ん、此れは?
白身がハラリ自然に崩れて
お口に吸い込まれていくと
ギュッと締まり感のある食感を携えて
そのヌメリ感と共にスベスベの柔肌が
甘鯛らしさを発揮して淡白な甘味が
舌に訪れます。

秋味の感性豊かに佇む椀盛の完成度には
流石と思う珠玉の逸品で御座います。

③お造り

燻した鰆
福島の鯛
浜防風

梅肉醤油
ちり酢
昆布醤油の煮凝り
山葵

鰆はちり酢か昆布醤油の煮凝りで
鯛は梅肉醤油でもちり酢でも
昆布醤油の煮凝りでもお好みに合わせてとの
お言葉を頂きます。

鰆の脂の乗りが良く
小気味良い甘味がトロンと身から抜けて来る
其れが舌を唆る
少しヌメリのある柔肌の身が妖艶に舌を
惹きつける様にピタリと寄り添って来る
この肌触りの艶めかしさに触れ合い乍ら
薫香の漂いが鼻腔を惑わして悩ましい事。

お口直しにほんのり苦味の走る浜防風を
齧って淡白な甘味が優しい鯛に繋げます。

鯛は昆布醤油の煮凝りを付けるのが好み
昆布のコクとお醤油風味が途轍も無く
鯛の甘味を際立たせて旨味を引き出します。
このコンビネーションが
お造りの中では最高の組み合わせかと
思います。

④鮪の太巻き

此れが鮪三昧の良いとこ取りで
中トロに煮切りの甘味を忍ばせ〜の
赤身は程良い漬けを施して山葵で和えたもの
すき身はベッタラと胡麻と葱で和えたもの

八寸の合間に手渡されるべったら巻きの時代が暫く続いて終わりを告げ
手渡しの巻物から
今の太巻きが八寸前にお腹を
少し膨らませてくれて落ち着くのは
嬉しい計らい

この三者三様の味覚を正式に舌に伝えるには
ガバッとお口に無闇に放り投げるよりは
少なくとも二口に分けて鮪さん達がお口から
はみ出さない様にお口を窄めて頂くのが
適切かと思います。
故に最初は正統派赤身の漬けの部分から齧り付き漬けの適度な甘味と赤身の酸味を味わいつつ
直ぐにベッタラ方面に方向転換しつつ
すき身の甘味が和やかな柔らか味にて
舌に溶け込んで来ます。
そして締めに控えし中トロが
お口いっぱいの舎利と共に蕩けながら
芳醇な酸味を振りまいて
太巻きの余韻を印象付けて行きます。
食べ切ると満足感が溢れて
味覚の高揚感も続いて喜びに満ちております。

⑤子持ち鮎の唐揚げ

お塩をちょこんと付けて
カボスを少し絞って頂きます。

此れは凄かった。
衝撃的な鮎料理で
斯様にダイナミックな美味しさを強烈に
感じる揚げ物はしのはらさんぐらいかと。

見た目も素晴らしく躍動感溢れるお姿は
絵になります。

菜種油でカラッと揚げてる鮎は
唐揚げの脂が鮎全体にコーティングされてて
とても芳ばしいの。

子持ち鮎ってこんなに太っちょに育つのか
と言うくらいパンパンに卵がお腹の中に
詰まってるので滅茶滅茶うんまぁ〜い!

ザックリと頭から齧り付くと
小骨感が全く無いのに驚いちゃう
ワタの苦味エグ味も消滅
咀嚼した途端にサックサクの食感が
歯にストレートに伝わり
かつ、
ホクホク感も満喫できる
子持ちの肉太な旨味と一緒に
卵のプチプチ感が満載で
そのコントラスト感がリアルに
ごっそり味わえる

此奴は食べれば食べる程に味わいが
底無しに深まって行く名作です。

⑥炊き合わせ

焼き茄子
蓮餅
大阪石川小芋
ほうれん草
お出汁と一緒に浸し地のうま味を楽しみながら
頂きます。

鰹と昆布のお出汁を別々に引いて
其れをバランス良く合わせて
仕上げてあります。
炊き合わせは
具材の演出効果も抜群の出来栄えにて
蓮餅のもっちりした甘味
石川小芋の広がるねっとり感が
お口を満たしながらの落ち着いた甘味
そして焼き茄子の秋味深まる燻されたような
お焦げの芳しい香味が舌を魅了して
堪らない味覚となってます。

⑦お月見八寸

10月は中秋の名月
別名芋名月に因んで
お芋の葉っぱをあしらった八寸でご用意です。

無花果の胡麻味噌焼き
海蘊に長芋と雲丹
子持ち昆布にはおかわかめを乗せてます
京都大徳寺麩と柿と胡瓜の白酢和え
エリンギの辛煮
勝ち栗
蒸し鮑
蛸の柔らか煮
万願寺青唐辛子
ばちこ
ラフランスと蕪と霙で和えた小鰭
鴨ロース炭火焼き
海老芋の唐揚げ

ススキがゆらゆら秋風に戦ぐ様に揺れて
秋のお花が風情豊かに雅な装いの飾り付け
月明かりにぼんやりと照らされた秋の風景が
思い浮かびます。
そんな情景を感じながら頂く芋名月の八寸は
どの一品も素敵な味覚を頂き
舌が不覚を取る始末と相成り候。
この秋味に相応しく
ばちこや柔らか味フワフワの蛸とか
蒸し鮑の肉質の甘みを摘みながら
まつもと君でチビチビやるのも
乙なもんですね。
塩気や甘いもんに飽きて間が空いたら
海蘊に雲丹と言う
名コンビの珍味にうつつを抜かして
ついでに辛味が優しい霙和えの小鰭で
舌を整えてくれるのも嬉しい心配り。
珍味ばかりで物足りなくなるかと思いきや
きっちり鴨ロースで肉肉しい鴨肉の旨味に
食らい付き
海老芋の唐揚げでサクサクッと秋の甘い味覚
代表の様なお姿で穏やかに
甘味を振り撒いてくれます。
此れぞ和の甘みですね。
そして食後のデザートと言わんばかりの
次のお口直しに繋げると言うまるで絵巻物の
物語の様相にて満足感沸々と
湧き上がるのであります。

⑧フォアグラマンゴーと
パッションフルーツの最中

⑨タレ焼き鼈

タレが旨い
焼きが天下一品
お手手で齧り付き
お肉に抱かれて歯が喜ぶ
甘いタレが滴り落ちて舌が唸る
この肉肉しさに粉山椒が小気味良い
少しパラパラと振ると上品にピリッと跳ねて
肉が喜ぶ
たくさん付けると肉の旨味ダイナミックに
鼈の力強さを引き立てる
肉の生命力と釣り合う秀逸なお薬味なのです。

⑩小鍋

焼き霜仕立ての鱧
飛騨高山の原木なめこ
海老真薯

壬生菜
ちり酢
カボスを搾って頂きます

大きなお鍋を沸騰させる間に
目の前で鱧切りした鱧の背に炭火を直当てして
背の皮目に火を入れてます。
ジリジリと背が焼かれてクネクネと
海老反りの様に鱧が動いております。
その焼き霜風の鱧をお鍋にドボンと
入れて行きます。
お鍋の中から蕪や海老真薯を小丼に
小分けして盛り付けされて行きカウンターに
置かれます。

小丼の碗蓋を開けます。
お出汁に鱧や真薯のエキスが
流れてるのでしょう
吸い地はコクが奥深く舌がうっとりする
うま味を醸し出してます。
そのうま味に寄り添われて鱧がお出汁に
良く馴染んでいてとても素直な美味しさ
真薯の海老風味が大人しい柔らかさで
歯触りが心地良く響いて来ます。
蕪はたっぷり吸い地のうま味を吸って
蕪をお口に入れると
其の儘ホロホロ解けてお出汁のうま味を
ジュルゥ〜ッと放出して来ます。
ほっこりと落ち着かせてくれる小鍋です。

⑪お食事

松茸ご飯
シャトーブリアン炭火焼き
香の物
お塩
山葵
醤油

岩手の松茸ご飯
シトっとして繊維質がとても瑞々しい
炊き上がった所に
生の松茸をわんさか投入して
杓文字で掻き混ぜ掻き混ぜしてるだけ
ご飯の余熱と蒸気だけで
松茸が温められており、
ご飯の盛り付け後の振り塩が
小気味良いほどに甘味を引き出していて
松茸の旨味をグッとご飯と一緒に
膨らませて来て
近江米の甘味と松茸の旨味を更にグッと
引き立てます。
松茸ご飯を頂いて米粒と松茸の傘の
生き生きしたスライスを咀嚼すると
塩味が松茸ご飯の旨味にくっきりと
輪郭を与えていて
mgmgしてる間の美味しさは
此れぞ秋の味覚と興奮覚えるほどにて
もう堪んないですね、この秋味には。
恋焦がれてしまい別れた途端に再会したくなる
気分に浸されます。
松茸ご飯のお供には飛騨牛と言う豪華な一品
シャトーブリアンは焼場でじっくりと
炭火焼きされて
外側こんがり焦げ目が薫り
中は肉汁溢れる旨味大行進の仕上がり
好みに合わせて
お塩もしくは山葵醤油で頂きます。
丁度2切れなので
最初はお塩で
2切れ目は山葵醤油で
何方も秀逸に耽美なる旨味を
引き出しています。

⑫お雑炊

先程の鱧のお出汁のスープで炊いた雑炊は
溶き卵がぷよぷよ浮き上がり
優しいお味の甘味を
雑炊の米粒に寄せてます。
ご飯の締めにホッとする雑炊は
心憎い演出かと感じます。
甘味の前に
身も心もホンワカ和ませてくれる
汁物は忙しく働いてくれた舌を
癒してくれて嬉しくなります。

⑬甘味

焼き栗の金団
お薄

2020/11/03 更新

13回目

2020/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

秋味に満たされるしのはら料理は格別だった

◆2020.09.26(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥27,000
お酒消費税含むお会計¥39,800

⓪香煎茶

定番のお口慣らし
お腹をそっと昆布の香りと共に
癒してくれます。
香煎茶を頂くと
嬉しい口福を重ねるひと時に
今月も出会えたなぁと感じます。

①先付

目の前で13個の器が綺麗に並べられ
菊花が整然と花が咲いてる様に
篠原大将がセットしていくのを眺めているのが
待つ楽しみの一つでもあります。

菊の着せ綿が美しく映えて
重陽の節句に因んだ一品

重陽の日に菊の花に真綿を被せ、
明くる早朝の朝露を含んだ綿を菊より外し
綿で口を拭うと不老長寿の効用があるとの
しのはら大将のお言葉。
見た目も雅ですが
その意味を理解してのお料理は
お客様への思い遣りが感じられて
とても微笑ましいものがあります。

着せ綿を取り除くと陶器の中には

自家製胡麻豆腐
馬糞雲丹
牡丹海老
伊勢海老
もって菊

酢橘の割醤油が掛けられて
醤油風味が優しく漂い
サラリと酸味が素材の妙味に
追い討ちを掛けて来ます。

しのはらさんの先付に盛られる
お料理の中でも天下一品のプルプル質感と
マイルドな胡麻の甘味がしっとり伝わって来る
自家製の胡麻豆腐
此れを一口含みながら
あぁ、今日も楽しい美食の宴が無事に
始まってくれてワクワク感が高鳴っていくのが
わかります。

雲丹のとろける甘味を舌に植え付けて
牡丹海老の口溶け感いっぱいの瀞みに
伊勢海老の弾力感豊かなプリプリっぷりに
歯が喜んでしまいます。
異なる食感
異なる甘味
異なる瀞み
其々のエレメントが重なり合い
助け合い妙味を深めて行く
何と素敵な味覚の舞踏会を思わせる一品かと
感嘆しまくる次第なので有ります。

②お椀

椀種に甘鯛
椀づまに雲南省の松茸
吸い地に新銀杏の擂り流し

椀蓋をゆるりと開けます。
霙紋様が美しく薄緑色に浮いており
天にお顔を覗かせている松茸が目に留まり
視覚に飛び込んでくる
一眼見てワクワク感が高まって来ます。

秋味をさり気なくしつこくなく
無垢なほど静かに佇ませているお椀
いつの間にか松茸の香り高さの高貴な匂ひの
真っ只中に取り込まれてしまう
嗅覚が魅了されてうっとりして酔う。

新銀杏の甘味を穏やかに流している吸い地の
優しさに舌が狼狽してしまう
炭火の通った甘鯛は仄かに薫香めいて
その厚みが膨よかで豊満な肉体を曝け出す
咀嚼する。
ホロホロと肉肌が解けて甘鯛の甘味が放たれる
見事なるしっくりとした味覚が舌を撫でて行く
あぁ、この滑らかな舌触りから溢れて来る
旨味が堪んなく妖艶に舞い
味覚触覚まで狼狽えてしまう。

秋のお椀を雅に堪能させて頂きました。

◉しのはらオリジナルスパークリングワイン

③お造り

三河湾の紅葉鯛
大分の天然車海老
浜防風

梅肉醤油
土佐醤油
山葵
酢橘

この時期、真鯛が紅葉の色合いを帯びて
美しく秋の色紋様に衣を纏う
そのお姿に恥じぬ紅葉鯛の名を冠して
身はキュッと引き締まり
脂が乗ってるにも関わらず
舌触りサラサラとしてしっぽり舌に
絡んでくる。
噛めばしなやかに跳ね返る弾力を感じる
この白身に
土佐醤油に酢橘を絞って酢橘醤油にして
山葵を少し添えて頂くと
紅葉鯛が旨味を露わに浮かせて来て
美味なる事この上無し
更にスパークリングを口に含ませると
紅葉鯛の甘味が泡の酸味とピタリと
合ってしまいます。
んん〜、爽快に泡が走り抜けて行きながら
甘鯛や車海老のプリプリが追いかけて来る
舌が大喜びしております。

④お凌ぎ

以前のべったら巻きから
鮪尽くしの太巻きに変わってくれて
これ程嬉しい変化は無いぞと
ほくそ笑んでるのは私だけでは無いかと
思います。

最近ではしのはら名物にも成りつつある
鮪の太巻き
赤身は漬けにして山葵和え
中トロは煮切りを付けてそのままに
べったらと胡麻と葱にすきみを合わせて
3種類の鮪を異なる風味で施した太巻き

こんだけ混んだ鮪をぐるぐる巻にすると
流石に直径もデカくなる
一口で豪快にバクッと行きたかったが
ウ〜ン、お口に頬張ったが舎利も鮪も
海苔を破ってお口から溢れるぅ〜。
堪らず半分に歯で食い千切り〜の
お口から鮪も舎利も溢れた分
ボロリと崩れちゃうわぁ〜の
かなり手こずりつつも楽しくて面白くて
笑いコケながらmgmg、
お口をもッとぐるぐるして一生懸命動かして
顎が疲れた。
お口の中ではmgmgする度に太巻きの中から
鮪がグニョグニョ〜と蠢くのだ

その蠢きの中から
漬けの赤身が滲み出す甘味と
中トロが蕩ける酸味混じりで
舎利を巻き込んで行くし
べったらの甘味とすきみが温和な感じで
サラリと流れて行くし
色んな妙味珍味が入れ替わり立ち替わり
目まぐるしく味覚の変化が進む進むの大行進
ダイナミックな鮪の太巻きの醍醐味を堪能して
満足満足なので有ります。

⑤揚物

天竜川子持ち鮎の唐揚げ
蓼酢

カボス

周りに粉を軽く振って唐揚げに
脂が鮎の表面をオブラートの様に見事に
隙間なくコーティングしてて
焼物とは別次元の歯触り感に舌触りの
心地良さが堪らん
こう言う芸当をすんなりやってしまうのが
しのはらさんの凄さと感心しちゃいます。

焼物はどんなにうまく焼いても
表面はやはり多かれ少なかれ
サクッとしてるようでボソボソ感は
出てしまう
其処を薄〜く粉を塗して衣を張るだけで
サクサク感が半端なく
鮎の肉質を素直に歯が受け止めるのだ。
此奴は火入れが絶妙に上手いし
旨い仕上がりです。
先ずは試しに
何も付けずに頭からガブリと噛み付く
ん!此れは?

この豪快さ
バリボリッと
食べ応え感が弾け飛んで来る
凄い
頭からサックサクッと食感豊かに跳ね返って
頗る気持ち良い〜

そのまま噛み進むと鮎のふっくらとした
身質が膨よかに甘味を放流して来るゥ〜。
堪らずそのまま腹の真ん中まで齧り付く
卵がいっぱいに犇めいて詰まってる
つぶつぶ感も細やかに舌触りが
サラッとして来てる中から鮎の身のふっくらとした美味しさが同時に放たれる
お口の中で卵と白身が交錯して激ウマ旨
チョット舌を落ち着かせるためにも
卵の断面にカボス塩をチョコンと浸らせて
塩気を混ぜて見る
卵の甘味と酸っぱい塩っぱいが入り混じり
愉快である
かなり大きなサイズの子持ち鮎なので
未だ身が残ってる
尻尾の方でも中々太めだ。
〆に蓼酢を付けて頂くと
ん、唐揚げの鮎は蓼酢の甘酸っぱさも
相性良く中々の美味なる珍味を
弾き返してくれる。
これ程楽しく色んな味わいを見せてくれる
子持ち鮎の唐揚げに拍手喝采です。

⑥炊き合わせ

富田林の小芋
姫オクラ
焼き茄子

この小芋、
きめ細やかで滑らかな舌触りに加えて
ぬめり感が少なくて
品のいい質感で
しっとりとした甘さが適度に舌に
絡め付いてきて美味しい〜。
流石は富田林だ。
そして秋茄子だ。
この季節に味わう喜びの味覚とも言える
焼き茄子
其れも美味しいやつ

お茄子の炊き具合が絶妙なの
浸し地の淡く仄かに沁み入る慈の味覚
その浸し地に誘われて茄子の翡翠色の繊維から
ジューシーに舌にながれる
故にお茄子への労わりが繊維質にも
反映されて
その美味さが素直に舌に届きます。
そして焼き加減が素晴らし過ぎて
ジュゥ〜ッと噛むと
噛んでる間から
薫香みたいに毛高い香りが漂うの
と同時に翡翠色の繊維質から
とてもジューシーな程の甘味が含んでいて
一噛みするとお出汁の旨味がジュワッと淡く
湧いてくる
お出汁で炊くとこんなに違うのかと驚き
そんな瞬間が舌に訪れて至福の味わいを
感じてしまいます。

⑦仲秋の名月に因んだ八寸

海蘊から
しのはらさんの八寸は
品数も質もかなりレベルが高く
この単品ものだけで
時間制限無かったらチビチビと
小一時間はやりたくなってしまう
逸品揃いにて
誠に罪作りな八寸なのです。
当然、吟醸のしのはらをお口に含めつつ
お箸でチョコチョコ突いて行きます。
先ずはお口をスッキリとさせてくれる海蘊から
お酒を欲したくなる塩辛は
鱧の焼き霜と鱧の卵の塩辛をご一緒に頂いて
鱧の淡い甘味に塩辛がプチプチンと塩味を
弾いて珍味を堪能

浜松の鰻の唐揚げで
表面サクッとした食感を通り越して
フワッと鰻の旨味が舌に入り込んできて
鰻の美味しさを満喫

万願寺青唐辛子とばちこ
京都の大徳寺麩
蛸を炊いたもの
などなど単品ものでお酒が進む進むの
大行進であります。

丸十の栂尾(とがのお)煮は
クチナシで甘く炊き上げてて
優しい甘さにほっぺも喜んでます。

蓮根酢漬け
なめこと春菊と松の実の白和え
卵を穏やかに蒸し上げた卵真薯
合鴨の蒸しロース

酸っぱいの
あんまいの
旨味たっぷりのと
いい塩梅にコントラストを描く
味覚の変化と味の強弱が適度に舌を刺激して行くので、こんだけ続く品数にちっとも飽きない
そして
無花果の胡麻味噌焼きが別皿でのご用意と来た
これ、やっぱ他の方々もどういう訳か
最後に頂いてます。
無花果ってやっぱり別格の果実と痛感
ジュ〜シ〜な甘味に胡麻味噌の甘味が
お口の中で幾重にも折り重なる
んん、此れは旨旨です。
無花果から迸る果実の汁が滴り落ちて
陶酔感伴う甘味がお口を襲い
胡麻味噌の甘味が
耽美なまでにトロ〜リ追いかけて来る
この多重攻撃に舌はメロメロに
蕩けて仕舞うのです。

⑧お口直し

フォアグラマンゴーに
パッションフルーツの最中
此れは定番の有名な一品
今でこそ都内彼方此方の日本料理店にて
起用されるようにのりましたフォアグラ最中
その最中の発祥の地でもあります。
最中の生地のサクサク感が唇に触れて
拡散する
其処にフォアグラムースが舌に艶かしく甘い
冷感を伝えて来る
更にパッションフルーツの初々しい
酸味とが掛け合う
もう耽美なる味覚に夢中になります。

⑨ 焼物

鼈タレ焼き
粉山椒

毎回骨の部分を握って
手がベトベトになろうが構わず
ガブリと齧り付くのが
この焼き鼈の醍醐味の楽しみ方と
勝手に信じ込んでます。
鼈の肉塊をガブッと噛んで
骨から引き千切る瞬間の美味さは
答えられません。
追いダレをかけて頂き甘味を膨らませる
粉山椒を掛けて甘味に刺激を添える
この両者の鬩ぎ合いがとんでも無く焼き鼈の
肉塊から旨味を醸し出すのだ
もう酒池肉林並みに楽しい珍味が
駆け抜けて行きます。

⑩小鍋

鮑と肝醤油
鱧とちり酢
冬瓜と旨味スープ
カボス

小丼の器の中には
牡丹鱧がぷかぷか浮き出ており
食べて下さいと言わんばかりに
欲をそそって来ます。

鮑は2種類の仕様でご用意されてて
スライス状の鮑が生の鮑を湯がいたもの
コロコロしてるのが蒸した鮑

その鮑のスライスの方をお箸でクルッと
挟み込んで肝醤油で浸すと
肝の珍味な味わいに鮑がプルプルと揺らいで
鮑独特の旨味を放つ
コロコロの蒸し鮑も肝醤油が良い
やはり鮑同士で味をカバーし合い
肝の汁の甘苦さのある旨味と
プリンプリンの蒸し鮑の肉塊が発する
食感との相乗効果が珍味を最高に押し上げてる
んん、満足度高き鱧と鮑のお鍋です。

⑪お食事-1

松茸ご飯
飛騨牛飛び牛のシャトーブリアン
水茄子
山葵

炭火焼きのシャトーブリアンの柔らかいロゼ色の赤身から滴る肉汁の旨味
噛めばフワッと歯が沈む柔らかみのある
肉布団の美味に惚れ惚れして仕舞う

そして本日のメインイベントとも言える
松茸ご飯の登場です。
此処でしのはらさんの小気味良い技が出る
松茸ご飯で満足させない
もっと美味しくもっと松茸の味を深めよう
として
常に美味しい常識を超えていく美味らしさを
探求するしのはらさんならではの
振り塩で松茸ご飯の極上の蕈ご飯を
更に味覚を深めて味わいを極める美味に
仕上げて行きます。
一口でうぅ〜ま〜いと叫びたくなるほど
香りの高さでうっとり
甘い囁きで二重の喜び
振り塩するだけでこんなにも松茸ご飯が
その旨味をくっきりと輪郭を表すのか
松茸の香りとお米の甘味を塩味を加える事で
グッと松茸ご飯のポテンシャルを引き上げてる
此奴は悶絶するゥ〜

⑫お食事-2

雑炊
煎茶

松茸ご飯の感動も冷めやらぬ内に
先程のお鍋の鮑と鱧のお出汁で
コトコト炊いた雑炊
玉子とじがフワフワ浮いてて旨味がたっぷり
雑炊の中に溶け込んでる美味しさ
いっぱいの雑炊
ズルズルゥ〜ッとお口の中に掻き込む
極上の飲み物と化していて
ふぅふぅしいの
浮いてる溶き玉を混ぜ混ぜしいの
楽しく頂いてしまいました。
鮑鱧出汁のコク深いうま味が広がる雑炊に
舌は狂喜しちゃってます。

⑬甘味

粽の中には葛餅です。
抹茶

ホッと一息付いて
楽しかった宴も
徐に落ち着きを取り戻して
こっくりと余韻が流れるひと時が嬉しい。

2020/10/12 更新

12回目

2020/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

毛蟹 鱸 伊勢海老 鱧 鮎 鼈と夏の食材が大行進

◆2020.07.25(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥26,000
お酒消費税含むお会計¥36,850

梅雨が長引いてて夏日の少ない今夏
ジメジメした空気をしのはら料理で一掃
涼しく楽しく美味しくをモットーに
今宵の宴が花開きます。

いつも通り香煎茶を頂いて
お口を湿らして最初のお料理をお待ちします。

①先付

梶の葉
浜防風
噴火湾毛蟹
蛇腹胡瓜
生姜酢の煮凝り

七夕の時に梶の葉の裏側に
朱色の筆でお願い事を記して軒先に吊るすのが
七夕の風習の始まりであったとか
こう言う歴史を紐解く素材を語ってくれる
ところもしのはらさんならではの
おもてなしに嬉しくなります。

その梶の葉を釣瓶の木箱に飾り
中には硝子の器が涼しげに鎮座です。

先付の天には浜防風で皆様の免疫力を
向上させる効果があるとかで
最近のコロナへ対抗出来る滋養を
身に付けれるのではと思って仕舞います。

噴火湾の毛蟹が真先に目に入りますが
毛蟹の解し身が蟹味噌の甘味をいっぱいに
纏って珍味なる事この上無し
そして
毛蟹の底には蛇腹に刻まれた胡瓜を潜ませて
瑞々しいシャキシャキ感で食感を
楽しませてくれ
さり気無く掛けられた
生姜酢の煮凝りは酸味いっぱいに
爽やかにお口を清く正しく美しい味で
悦ばせてくれます。
夏らしい清涼感溢れる一品。

⚫︎冬瓜鉢プレゼンテーション

真ん中をくり抜いた中に冬瓜鉢の中には

姫オクラ

雲丹
が山盛りで
お弟子さんが重たそうに抱えて
皆様がパチパチお写真を撮るまで
グッと辛抱してプレゼンテーションを
続けていらっしゃいました。
此れも篠原流の鍛錬かな?

②お椀

賀茂茄子
海老真薯
白木耳
柚子の飾り

吸い地が舌をゆっくりと撫でて行き
舌に昆布のうま味がジ〜ンと染み渡る
澄み切ったお味

海老真薯がいい甘さを浮かばせてる
大人の味覚だなぁ
然もこっくりと来る

賀茂茄子がいい
美しい翡翠色を何処までも見つめたくなる
一度油を通してから炊くとこうなると言う

ゆっくりと舌に置く
茄子の繊維質と舌が触れ合う
キュンと胸が疼く
なんなの、この膨よかさ
お茄子の身が吸い地をたっぷりと含んでる
其処から芳醇な旨味がジュ〜ッと
お口の中で迸った
その嫋やかな賀茂茄子の繊維質から
寄せて来る揚げ茄子がほんのりと蒸されて
生まれる特有のほろ苦甘さがとても
愛おしくなる

③向付1

145年もののバカラの器には

冬瓜

姫オクラ
馬糞雲丹
生姜を添えて

冷製の銀餡に浸る素材たちが雅に涼しげです。
歴史を感じるバカラの透明な器から感じる
清涼感が目を楽しませている

千葉の鮑の見事な厚みは驚異的な一品
うま味溢れる柔らかみが歯に触れた時
鮑の身質の品格から浮かび上がる気品
しっかり歯応えを感じる歯触りに痺れた

余市の馬糞雲丹の美しい雲丹色が
煌びやかに輝いている
その一欠片をそっと掬って舌にポトリと
落とす
訪れた馬糞雲丹固有の蕩ける質感と甘味が
舌を覆い尽くして行く
ナチュラルに何処までも自然体で蕩けて行く
余市の雲丹の味覚の美しさに惚れる

冬瓜鉢のプレゼンから始まり
バカラ舞台で
見事な海の幸が円舞する舞踏会
爾今も進んでしまいます。

④向付2

信楽焼きの鬼桶水指の茶器に氷室の様に
氷を敷き詰めて
その上に新鮮な旬のお刺身がズラリです。

鱸の洗い
伊勢海老の洗い
岩茸
花付き胡瓜

ちり酢
煎り酒
山葵

ちり酢か煎り酒か此れは迷いますね
でも二貫ずつご用意されてるので
両方の薬味で味わう事とする

さてさて興味津々はこの季節の鱸
旬のお魚ですが
この鱸は舌を唸らせましたね〜。
身質の鮮度と言い
しなやかさと言い
洗いの見事な仕上がりに驚く

其こそ鱸の身質がキュ〜ッと引き締まり
チリリとはぜるのだ
鱸を咀嚼した時の食感が颯爽と駆け抜ける

そして伊勢海老のプリプリな甘味に
ぽん酢の酸味漂うちり酢を纏わせると
伊勢海老の美味しさが飛び抜けて行く

〆に花付き胡瓜を愛でながら黄色の鮮やかさに
嬉しくなり齧る
ホッペは緩みっぱなしになる

⚫︎爾今 朝日
しのはらを所望するも品切れとの事にて
爾今を頂く

⑤お凌ぎ

鮪とベッタラの太巻き

何時もは八寸の途中に出て来る鮪のすき身と
ベッタラの巻き鮨が
本日は太巻きでご登場

この太巻きの中に3つの味覚が秘められており
しのはらスペシャリテな太巻きなのです。

赤身は山葵和えで
中トロは煮切りで
すき身はべったらと胡麻と葱を和えて

これら3本の味違いの鮪をシャリの上に
ズシンと乗せてぐるぐる〜っと巻いてます。
当然、極太になります。
大将がやおら太った海苔巻きをサクッと
カットして大きな一貫を小皿に置きます。

さぁ、大きく口を開けて太巻きをガバッと
喰いちぎり頂きます。
とても一口では無理なので
鮪の部位ごとに食べ進めようとすると
鮪に絡んだ舎利がポロポロ零れて
其処をまた、落ちないように
お口mgmgしながら掬って行きます。

んん、此れは鮪好きには堪らん快感が
どか〜んと走って行きます。
赤身の山葵と酸味混じりのツーンとした
味わいに
中トロが赤身に混ざって蕩けながらも
真っ先にその蕩ける旨味とともに
消えて行っちゃいます。
そして三つ巴の大合戦の中
すき身が入り乱れながら粒々感が
柔らかく感じられて
べったらの甘味が舎利に絡みながら
追いかけて来る妙味の絶品さに
舌が埋没して行きます。
この混沌とした鮪の渦巻きに
すっかり翻弄されてしまいました。
ふぅ〜!凄え太巻きだわ。
このメニュー、定番にして欲しいな。

⑥焼物

郡上八幡の鮎を塩焼きで
この時期ですので稚鮎ではなく
若鮎の大きさです。

鮎の身がふっくら膨らんでて
骨ごとでも食べたら美味しいかな?
と思っても見たりしますが
大将曰く
このサイズで骨までサクサクと食べれるように
焼いてしまうと身がパサパサになってしまう
かと言って身をふっくらのまま優先すると
中骨が生焼けとなり硬いまま残ってしまうので
お好みにより
中骨を抜きますので、と大将のお言葉です。
お気遣いに有難く感謝して中骨を
頭からスッポリ抜いてもらい
炭の熾火でジンワリ焼いて貰いました。
そしたら骨煎餅みたいに
コンガリ調理してくれてボリボリと
美味しく頂いちゃいます。
この骨煎餅が無茶美味かった。

中骨が抜かれた鮎はふっくらとした身質だけが
くっきり残っており
鮎の一番美味しいところだけを
お口に放り込めると言う寸法です。
このサービスは嬉しいですね。
丁寧に骨抜きされた鮎は
その白身とワタのほろ苦さがダイレクトに
表に出て来て
これぞ鮎の醍醐味と言う感じとなり
膨よかに佇む鮎の身の旨味を引き立てて
其こそ骨抜きにされてしまうので有ります。

⑦八寸

この季節に相応しい蘇民将来子孫也の
お守りが付いた厄除の粽
九絵の粽鮨となってます。

ガラスの器には滋賀県の蓴菜と
淡い酢に浸したトマトの酢の物
鬼灯の中には無花果の胡麻だれかけ
丸十
蛸を炊いたもの
鴨ロース
万願寺青唐辛子の焼き浸し
ばちこ
玉子を蒸し上げた玉子真薯
枝豆の紹興酒漬け

銀杯には焼き茄子と冬子椎茸と三度豆の
胡麻和え
別皿で炙り立ての穴子

八寸のスタートはお口をサッパリと
蓴菜から
この季節に嬉しい花芽付きの蓴菜が
嬉しくなりますよね。
このぷよぷよ感が堪んない上に
トマトの甘さと酢の酸味の組み合わせが
素敵過ぎます。

お酒好きには嬉しいばちこ
此奴でチビチビ酌み交わすのは
至高の悦びです。

毎回の玉子真薯がフワフワケーキみたい
唇に触れた時からフワンと優しい
ソフトタッチの感触が心地良い甘味を添える

別皿で頂く穴子の炙りは小振りながらも
流石と思わせる絶妙な火入れで
フワフワな白身が心地良く舌に響いて来て
甘だれが穴子に上手く馴染んでとっても
美味しい。

銀杯の焼き茄子が美味
茄子の繊維質が柔らかくも
焼き茄子特有のほんのりと焦がされた香りが
その繊維質から立ち上がりつつ
咀嚼を加えるとフッと湧き上がる
ジューシーな甘味が胡麻の甘い風味と
重なり合い涼しい妙味を運んでくれます。

無花果は何時も唸る甘さにうっとりしますが
胡麻だれが上掛けされますと更に甘味に
コクが出て来て至福の甘さに陶酔です。

そして大将のお言葉通りに
丸十の煮物をお仕舞いにサクッと頂いて
至福の口福感にほっぺが緩みっぱなしと
なります。

⑧箸休め

あんぽ柿とフォアグラの最中
ウイスキーゼリー寄せ
定番で桜井さんの笑顔とともに頂きます。
ん、これが無いとやっぱり寂しいかな。

⑨焼き鼈

しのはらスペシャリテの焼き鼈に
少し追いダレを掛けて頂き
粉山椒をパラパラと振ってから
ガブリと噛み付きます。
んん、ううん、いつ食べても
このガッツリ感には答えられんデスゥ〜。
ズ〜ッと齧り付いていたい
歯が鼈の肉に吸われちゃうような
で、もっと骨の髄までしゃぶり尽くしたくなる
この極上の鼈の旨味に溺れちゃいますね。
鼈をこんだけ美味しく頂けるなんて
ホント、口福感が充満します。

⑩お口直し

山桃を赤ワインソーダ割にしたもので
そのまま、スカッと飲んで美味しく頂きます。
お口スッキリ爽やかに清めて貰える素敵な一品
鼈の肉肉しいお料理の後にこう言う爽やか系は
とても舌が癒されて嬉しくなりますね。

⑪炊き合わせ

鱧すき
淡路のクレソン
玉葱
溶き卵

しのはらさんは何と玉葱がお苦手で
鱧のすき焼きは想像でお作りされたとの事
ん〜、其も凄いなぁと感心する事しきりです。

玉葱と鱧を合わせて卵に付けて食べて下さい、
とのお達しです。
多分美味しいと思います?って
自分は食べれないので
頭の中の想像世界で旨味を描くことのできる
スーパー料理人でもあります。

で、まず、試しに卵付けずに食べてみますと
んん〜無茶美味しいおいしいウンマァ〜
割下の程良い甘さ加減
玉葱の柔らかな食感と甘味
牡丹鱧の淡白な白身の味が割下に
どっぷり馴染んで
鱧の花弁から旨味が滲み出る
この鱧と玉葱の共演は最高かも
次に卵の中に鱧玉ちゃんをポチャリ
卵がトロ〜ッと鱧玉に絡み付いた所を狙って
お口に放り込んで舌で鱧を舐め舐めしぃの
歯で玉葱を噛んでクネっと潰れる玉葱を
愉快にいじめながら鱧玉を食い尽くす。
鱧玉葱は卵の黄身のトロントロンに
蕩けて来る黄身自身の濃厚な甘味に
割下の甘辛加減がしっぽり絡み合って
お肉のすき焼きとは違う少しお淑やかさな
美味しさを浮き上がらせてます。
鱧ですき焼きとは参りました。
このすき焼きに溺れちゃいたい。

⑫お食事1

鮎の炊き込みご飯
飛騨牛とび牛のシャトーブリアン炭火焼き
出汁巻玉子
水茄子 和芥子

いつにも増してご飯のお供が頗る充実
鮎のご飯にシャトーブリアン‼︎

更に出汁巻玉子に
瑞々しい水茄子も登場して
御膳に所狭しと並べられて
心はウキウキ
お腹ハラハラ
舌がウズウズ
して来て堪りません。

鮎ご飯も鮎の甘味がご飯の粒と一体となり
その魅惑の旨味は鮎とご飯が
完全合体してるかの如く絶品なる妙味を
振りまいております。
鮎のほろ苦さは無くふっくらと焼けた身質の
甘味のみがご飯に寄せて来ております。
中骨や小骨を抜いた身だけでご飯に混ぜ混ぜ
されてるからでしょう、
ホントに鮎の旨味とご飯の甘味が同居して
お口の中でと乳化が同期して来るのですよ、
まぁ不思議な美味しさに変化するものだと
感心しまくり。

然もこの鮎ご飯の旨さの秘密は
琵琶湖の鮎に琵琶湖のお米を合わせてますので
水と土が同郷の所為だからと言うのも
頷けます。

そしてジャ〜ン、
炭火で焼き上がったばかりの
シャトーブリアンが届いちゃいましたぁ〜!
お箸でチョコンと突くと
あれ、プルルンプルンと赤身が揺れるゥ〜
外目しっかり炭火が通って焦げ茶色に焼けて
中は赤身麗しいロゼ色に染まって
食欲唆る肉肉しい仕上がりです。
その肉片を齧り付きますと
ウ〜ン、歯が、歯が自然に沈む
ブリアン様の柔肌に吸い込まれちゃうほど
ヤンわらかぁいのです。
飛騨牛シャトーブリアンの実力を
見せつけられましたね〜、
しっかり焼き上がってても
赤身の繊維質が破壊されずに保たれてて
肉が硬くならずに柔らかいままの旨味を
発散させることが出来る肉質はホント
この稀少部位のお肉が成せる技と感じます。
この旨味たっぷりのお肉はやはり
お塩ですね、塩がバッチリ合います。

シャトーブリアンを堪能してる合間に
舌を少しサッパリと癒したくなるもの
此処で水茄子のご用意が嬉しいぃ
サクッと噛んでしんなりとお口の中で
ジュゥ〜ッと瑞々しく茄子のナチュラルな
味覚が迸って来て舌が嬉しそうに
喜んでます。

ふぅ、お腹膨れたぁ〜

⑬お食事2

海蘊雑炊は鮎の魚醤で作ってます。
鮎と塩だけで魚醤をお作りして
雑炊のお出汁としてます。
今日は鮎の味覚大行進ですね。
魚醤のうま味と海蘊の絡み合いが
爽やかにねっとりなのです。
このお雑炊は締めにバッチリで
もたれない感じのサラサラ雑炊かと思いきや
海蘊の繊維が絡む所が雑炊の美味しさを
際立たせていて〆のご飯もののバランスと
強弱を良く構成させてると
感心してしまいます。

⑭甘味

粽の葛饅頭
お饅頭の中はしっとりと
こし餡が詰まってます。
葛を練って中に漉し餡を入れて
仕上げてます。
締めの和菓子も自家製だからこそ出来る
練り立ての漉し餡の品の良さは
和菓子専門店顔負けの穏やかな甘さに驚く
こし餡がスゥッとお腹に滑って行って
しまうのです。

⑮お薄

ホッ
フゥ

一息ついて満足感を噛み締めるこの瞬間が
最高に口福です。

2020/08/18 更新

11回目

2020/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

しっぽりと頂く紫陽花八寸に魅せられて

◆2020.06.27(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥27,000
お酒含むお会計¥36,000

しのはら料理のご人気の高さは
多くの方々が認める所かと思います。
パブリックな星の評価や
SNS等への投稿数の多さも含めて
この素敵な至福のひと時の本質は
何なのだろうと
思考を重ねた時にたどり着くもの
其れは
喜びと感動の料理を進化させ続けている
所に潜んでるのではないかと感じます。

見て楽しい
食べて美味しい
トークが愉快
器が嬉しい
親しみのある雰囲気が素敵などなど
御評判の多様さからも人気度が伺えます。

お料理が盛り付けられて行く臨場感
目の前で八寸が出来上がって行く
あるいは焼場で豪快に鮎や鼈が焼かれて行く
そう言う仕掛けを見て食べると
余計に美味しさを感じるもの
また
其処に盛り付けられてる器やお皿から漂う
季節感
大将とお弟子さんたちの和気藹々とした会話には笑いが絶えず観客側もいつの間にか引き込まれてしまいます。

美味しい以上に楽しい嬉しい要素がいっぱいの
お料理店と言う所が最大の魅力なのではと
改めて感じる次第です。
この稀有な資質を持ち合わせたしのはら料理に
出逢えて幸せものだなぁと思うと同時に
この感動をより多くの人に繋げて行きたいと
今回のお食事を頂いてつくづく感じましたので
前置きに付記させて頂きました。

さて、夏に向けてのお料理です。

①香煎茶

定番のお飲み物にて昆布の香りとうま味が
ほんのりとしててお口を湿らせてくれます。
お腹を優しくお出迎え
この出だしが好きですね。

②先付

何時も季節感が満ち満ちている一品に
出くわして、ここでしのはらワールドに
速攻で感情移入始まります。
然も毎回色んな仕掛けが工夫されてて
日本料理と古来から伝わる伝統文化をも
取り入れた趣のある作品をご用意。
あくまで客人をもてなそうと言うお気持ちでの
用意周到さにも頭が下がりますし
お料理に因んだ季節ごとの祭事への
蘊蓄の深さにも感心してしまいます。

小さな釣瓶の木箱の中にはガラスの器
暑気払いを兼ねた氷室仕立てのお料理です。
見て綺麗、お口に涼しい美味しさ
夏向きな至福のお料理に嬉しくなります。

雲丹豆腐
雲丹
車海老
蓴菜
加減酢

器からして夏らしい清涼感が漂ってて
お口に食欲を誘って来る盛り付けです。
見るからに食材が涼しげに囁きかけてきます。
見た目でるだけで気分が爽快感に包まれます。

玉子豆腐にゼラチンを施してから
雲丹を含めて作った雲丹豆腐
雲丹の風味がぷよぷよのお豆腐からフワンと
舌に染みて来る
ウンマ〜。
舌が泣きそうなくらいに美味しい。
加減酢の酸味が舌をそそりますね〜。
其処に蓴菜と来ましたよ。
此奴は堪らんわ。
然も芽が大きく実ってる蓴菜!
こんな蓴菜は珍しいやつです。
貴重品。
コリコリのヌルヌル感が堪んなく
気持ち良いですね。
素材同士が持ち味をフルに引き出し合って
美味を共演する姿は美しく
味覚を雅なものに輝かせてます。

③お椀

椀種は毛蟹の真薯
白木耳と浜防風

昆布の芳しさが鼻腔を掠めてとても
嬉しく香ります。
貴重な奈良県からの白木耳の食感が
可愛いコリコリ感で小気味良いアクセント
そして何と言っても毛蟹の真薯の解しの
身の密度の濃い事
これだけの解し身を繋ぎ無しで仕掛けて来ることができるのは、まさに匠の技としか言いようがございません。
流石でございます。
毛蟹の解しがいっぱい詰まっててかつ
ソフトな舌触り
そして真薯がハラハラと解れていく
柔らかさ
その全てがしのはら料理の洗練さを
物語ります。
此処までの鮮度と密度と芳醇な食感とが
混沌とする真薯には巡り逢わないもの。
その真薯を頂くときに舌で感じる口福感の
雅な事、堪らんです。
吸い地の滋味が淡く深く舌に忍んできます。
忍び逢う舌と地のうま味。
参りました。

◉ちびりちびり
意外やこの米焼酎がヒットでした。

④お造り

140年もののバカラの器に
夏らしい清涼感を感じる盛り付け
夏場のガラス細工や器は
ホントに涼しさの感じるおもてなしと
感じます。
こう言うご用意が味覚を大きく膨らませて
季節の味わいを楽しませてくれます。


煽り烏賊


醤油
ちり酢
昆布醤油の煮凝り
山葵
酢橘

個人的には藤田さんの鮪の赤身に
昆布醤油の煮凝りを合わせるのが好みです。
煮凝りが赤身の酸味に溶け合って
赤身と一緒に昆布風味の旨味を纏いながら
舌の中に沈んでいくのがとても美味しく感じられるのです。

しのはら大将の丁寧な飾りの入った泥障烏賊
白身を舌に転がすとねっとりとした甘味が
気持ち良く広がる
その甘味は尽きることの無いかの如く
ゆっくりゆっくり口溶けして行き
舌で存分に楽しく味わえるもの
このねっとりと舌に絡んでくる
泥障烏賊の甘味が楽しい。

⑤鮑の餡掛けと肝舎利

お碗には鮑に銀餡の掛けもの
お皿には蓮の葉に包まれてるもの

食べる前の仕掛けが素敵
松葉をスゥ〜ッと抜きますとハラリと
蓮の葉っぱが広がり鮑の肝で和えた鮨飯が
深緑の鮑色に染まって現れます。
この肝舎利をお箸で摘んでお碗の餡掛けの中に
ポトリと落としてくださいとの大将のお言葉
餡の中に落とした肝舎利と銀餡をスプーンで
良く掻き混ぜて鮑と一緒に食べると言う
仕掛けです。

蓮の葉を開いた時にほおぉ〜とかわぁ〜って
お客様の声が一斉に上がり
皆さま、一瞬、
感動の渦の中に巻き込まれてしまいました。
此れは楽しい仕掛けです。
こう言う遊び心が有るお料理に出会えるって
本当に嬉しくなりますね。

その喜びを感じるままに
ぐちゃぐちゃに掻き混ぜた銀餡に
どっぷり浸った肝舎利をスプーンで掬って
ズルズル〜っと頂きます。んん、
鮑の肝のうま苦さと銀餡の甘味と
トロ〜ンとした舌触りとが
掛け合わさり無茶うめぇ。
うぅ、どうなってしまう珍味が
お口中にどんどん押し寄せてきます。
更に肝の味わいを纏った銀餡に絡んで
鮑のシコシコした身を頂くと
これまた不思議な味覚で
鮑の旨味
肝のほろ苦さ
銀餡が絡んだ鮨飯のヌルヌル感
これらがグルグルメリーゴーランドして
舌が眩暈を起こしそうです。
この珍味が舞うお碗の食べ物に不思議な
味覚が続き、後を引く余韻に暫し沈黙して
今味わった珍味を反芻して
しっかり脳裏に刻みました。

⑥鮎の食べ比べ

お皿の上にはあゆが二尾いらっしゃいます。
上に大きな身で重ねられてるものが
郡上八幡長良川の鮎

下の方の小さ目の鮎が
琵琶湖の鮎

何方も天然の鮎にて
長良川の鮎は頭からバリバリと貪るように
豪快に喰らう
琵琶湖の方は蓼酢を浸してワタの苦味等を
和らげながら頂きます。

何方も中骨までしっかり火が通り
全く骨の感じがないくらいに
バリバリと食べれちゃう。

長良川の方がダイナミックな鮎の
生命力を感じた
川魚の方が泳ぎ回るので筋肉質?
焼くと身の脂が全身に及んで
全身がカリッと焼けている感じになりめす。
だからか
頭から進んで腹まで一気に喰らうと
全身からパリパリ感が響き渡り
骨まで柔らかく噛めて旨味がお口の中で
噴出してくる感じです。
ムシャムシャと噛んでワタも白身も一気に
纏めて喰らい尽くす
鮎の持つ固有の甘味と苦味が上手く
混ざり合いmgmgしてるとほろ苦さが消えて
全体的に甘くなり鮎の妙味が継続する。

一方琵琶湖の方は頭からバリッと噛んで
ワタまで一気に食べれちゃうし
身質が優しくしなやかなのである。
その分苦味も結構しっかり佇んでて
身も大人しい感じで優しい鮎
此方の方がワタの苦味が先走る
故に此方は矢張り蓼酢が良い塩梅で
苦味を和らげて鮎の旨味を蓼酢が
膨らませてくれる

川と湖でこんなにも違うのかと言うくらい
舌への伝わり方が異なり
鮎の膨よかさ
旨味の深さ広がりも全く違う
ふぅ〜、ちょっとビックリです。

何方もこの季節の風流なる味覚を味わい
夏の旬の食材を満喫出来る素晴らしい
作品です。

⑦夏の八寸

夏野菜中心の八寸のご用意です。

海蘊の上に長芋
卵を蒸し上げた卵真薯
煮蛸
石川芋
蓮根の酢漬け
トマトに黄身酢添え
鶉の卵味噌漬け
万願寺青唐辛子の焼き浸し
賀茂茄子と
合鴨蒸しロースに辛子味噌乗せ
岩茸の山葵酢和え
ホワイトアスパラのお浸しを
スコティッシュサーモンで巻いたもの
三度豆に胡麻のペースト

別の小皿で揚げたばかりの
玉蜀黍の掻き揚げと
炙りばちこ
がお手元に届けられます。

まぁ何時もながら豪華絢爛なる雅な八寸
其れも夏らしく清涼感を伴うガラスの器が綺麗

少し驚いたのが鶉の卵の黄身が
とっても澄んだ黄金色で美しく
味噌漬けで此処まで透明度の高いものを
作れるんだと言う事に感動しちゃいました。

温かいものから手を付けてとの事でしたので
玉蜀黍の掻き揚げからお口に入れて
ホクホクの温感の中から糖度の高い甘味が
ジュワ〜ンと滲み出てほっぺがニンマリ。
一方炙りばちこが対照的に塩味を靡かせて
甘味と鹹味のコントラストが
丁度良い感じとなりお酒を進めます。

合鴨のローストも安定の旨味を含んで
お茄子に添えられた辛子味噌が甘辛風味の
アクセントを添えてきて少し茄子の甘味を
ピリッと際立たせながら合鴨の肉の旨味が
お付き合いすると言うこの時期ならではの
美味しさが駆け巡ります。

そしてお口を進めていくと品数が結構多いので
途中でサッパリしたくなります。
其処にもちゃんと酢の物が
用意されてるところがしのはら八寸の
素晴らしい構成
蓮根の酢漬けをサクッと食べて
その後に海蘊酢をズルズル〜っと一気に
頂くとお口の中に爽快感広がります。

此処でちょっと甘いもん欲しくなるのが人情
万願寺の焼き浸しがシャキッとして甘味が
程よくていい感じになってる
その後に石川芋のねっとり甘味を頂くと
ん、舌が調子に乗ってくるのですよ、これが。
そしてどう言うわけか
何時もお仕舞いまで大事に残しておいた
ふわふわ感いっぱいの卵真薯で締める
此れが正当なしのはら八寸の食べ方です、
なんて事は有りません。

賑やかな八寸を頂いてる合間に
青山の龍次郎さんから修行に来ている
鮨職人さんが

⑧鮪とべったら漬けの手巻き鮨

を丁寧にお海苔を巻き上げて手渡しで
お届けです。

定番鮪の擂り身とべったらの甘味の共演が
舌を誘う手巻き鮨
もう此れはしのはら八寸には
欠かせない必需品ですね。

⑨フォアグラとあんぽ柿の最中

此方は恐らく1年通して一番しのはら料理で
登場回数の多い作品
と言いますより毎回の定番ですが
既に単品としてはスペシャリテとなってるものと思います。
これが無いと寂しくなるくらいのしのはら名物

最中の生地をパリパリッと歯で割って
最上層のウイスキーゼリーに纏われたあんぽ柿の甘味がフォアグラの耽美な甘味と
同化してきて
舌を誘って惑わせます。
この甘味に魅了されて暫しうっとりタイムに
浸るのも定番です。

⑩焼き鼈と天然鰻の豪華共演

本日は一色の鰻なのですが何と
新仔うなぎです!
天然鰻の中でも貴重品を良く
手に入れるものです。

若いからか生命力溢れる鰻の身で
白身がホロホロと蕩けるほどで
夢見心地の食感に驚きます。
このふっくらとした身の部分と
地焼きで皮目がパリパリッと焼き上がった
所のコントラストが激うまウマなので
あります。
もうこれはがっつくしか有りません。
ガップリ鰻を噛んで噛み応え感が堪んなくて
ホロホロな白身と掛け合わさってお口の中で
美味が暴れてます。

鰻で感動真っ只中な上に
焼き鼈も同時に届いてるものだから
このお皿は恐らく銀座で最強の
お皿ではないかと感じます。

粉山椒を指で摘んで鼈にパラパラして
ガブリと喰らい尽きます。
う〜んまぁ〜い!
この肉塊に潜む獰猛とも思える生命力が漲る
旨味に加え
ダイナミズムが渦巻く肉肉しさに
喰らい付いて行くと
歯から唇から舌から
五感の全てを使い果たしても良いくらいに
極上の美味しさを感じる一瞬が
押し寄せてくるのです。
そして
鼈ダレの甘味のコク深さを感じつつ
肉に歯が吸い込まれて行く時の官能的な旨味と
劇的な食感に悩まされて
骨にへばりついてる肉片を何度もしゃぶる
ペロペロしてても名残の肉片の美味さで
また吸い付きたくなる
この美味さを知ってしまうと
鼈中毒になりそうです。
しのはらさんで頂く焼き鼈だけは
天下一品と感じます。

ふ〜!鰻と鼈、満足度完璧な作品。

⑪伊勢海老と鱧鍋

鱧はちり酢で
伊勢海老はそのままでもちり酢でも

伊勢海老のお出汁がベースとなっているお鍋
グツグツとかなりのお時間伊勢海老だけを
煮込んでおりました。
伊勢海老を煮込んだ所に鱧切りした鱧を
ポトポトポト〜ッと鍋の中に落とし込みます。
途端に牡丹の花が咲く様に鱧が開きます。
その鱧たちを小丼に取り分け頂き
手前にお届けです。

小丼が届いた瞬間に漂う濃厚なコク深き匂ひ

うま味の縮図を感じずには置かない

小丼の中から浮き出る真っ白な牡丹鱧

鱧と伊勢海老が喧嘩せずにきちんと
握手してる

鱧のフワッとした淡白な甘味を伊勢海老出汁の
濃厚なスープが纏う
そのうま味の奥行きの深さと広がりを素直に
愛おしく感じる
何だろう、このうま味の懐かしい味わい
大海からの恵みのエキスが止め処なく
流れ込んできてるスープ
その美味しさは感動もの
暫く舌をこのうま味の中に浸らせておきたい。

⑫お食事

新生姜の炊き込みご飯と
飛騨牛の飛び牛から
シャトーブリアンの炭火焼き
香の物

まさか此処でシャトーブリアンがオカズとして
新生姜ご飯にお付き合いするとは
んん、この御馳走様にほっぺ落ちまくりです。

シャトーブリアン自体の肉質は
厚くカットしても柔らかくて
焼いても硬さが感じられないほどの
品位のある肉塊なのです。
それでいて歯切れが円やかで
肉汁もジューシーで上品な甘味を
吹き出してくるので
舌はその官能的な美味しさに沈没です。

このお肉と新生姜ご飯の刺激的な甘味とが
上手く調和して美味なる味わいを
グッと引き上げて昇華させて行くのです。
このお肉ご飯の奴らには
拍手したくなりましたね。

⑬毛蟹鱶鰭餡掛け生姜ご飯

生姜ご飯に毛蟹の殻でお出汁を取った
鱶鰭の銀餡を掛けたご飯のご用意です。
生姜ご飯を少しお代わりして
その上から鱶鰭の餡をトロリと掛けて
頂き餡と一緒に
ズルズルゥ〜ッとお口の中に啜りながら
掻き込みます。
毛蟹風味の香りが餡にドクドクと流れ込んで
蟹味の餡がお口の中でドロドロ〜に蕩けて
美味しいィ。
鱶鰭ちゃんの身が銀餡の中で彷徨ってます。
その食感がまた楽しい。

⑭半田煮麺

締めのお食事は半田麺を使った煮麺です。
先程の伊勢海老出汁のスープに
更に追出汁を加えて
トロトロ〜ッと溶き卵を注いだ煮麺
旨味出汁の広がる湖面に佇む麺のうまさよ
素敵すぎて涙が出てしまいそう。

でももうダメ、お腹入んない。
ちょっとだけ麺を装ってもらって
一口だけツルツル〜ッと啜りました。

⑮紫陽花のきんとん

寒天のような生地の中に芋餡を射込んで
紫陽花の色合いを施したきんとん
まるで水球にの中に浮かばせた紫陽花の様
その美しき佇まいに見惚れてしまいます。

⑯お抹茶

2020/07/19 更新

10回目

2020/05 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

春の装いと夏の香りを織り交ぜて楽しいしのはら料理

◆2020.05.09(土)夕餉

この時期に
約1ヶ月ぶりの営業再開も順調な滑り出し
嬉しいお席は満席のご様子
流石しのはらさんです。

◆お料理 お任せ¥27,000
お酒消費税含む会計¥30,800

①先付

井戸の釣瓶を模した木箱の中に
ガラスの器です。器には

玉子豆腐
白芋茎
オクラ
車海老

蓴菜

などが盛り付けられ
加減酢の煮凝りで寄せられてます。

初夏が近づいて来る感じの中
涼し気な装いの先付です。

早くも蓴菜の季節となり初夏を
感じさせてくれる盛り付けも嬉しい
未だ秋田産の蓴菜かな
此奴が可愛くてプリプリッと噛んだ時の
食感が楽しくて仕方ない
加減酢の酸味が上手く蓴菜に絡んできて
とっても相性が良いお味を作り出す

そして鮑やら車海老たちが煮凝りの寄せに
導かれながら海の珍味を振りまく

その旨味の後から白芋茎とオクラが
煮凝りが絡み付いた蓴菜と一緒に
ぷよぷよ感を満喫させて
舌に寄り添って来てくるので
気持ちいぃ〜美味しいが沸き起こります。

②お椀

鱧茄子です。
美しく開いた牡丹鱧に
身の大きな賀茂茄子が静かに佇む
今季出始めのものなので
大きさもかなりでかい
身質がごっそりと詰まってる感じで
茄子の味覚をたっぷりに味わえる一品

兎に角この茄子が美味い!

このサイズの賀茂茄子を一度揚げて
脂分を抜いてからジワリと炊いてるそうです。
火入れの素晴らしさが作り出す
お茄子の旨味が凄すぎて堪らんわ
繊維質が全く破壊されてないのだ
故にとてもジューシーな茄子の甘味が
溢れて来るのですよ。
ガブリと噛んでジュワッと茄子から
瑞々しい甘味がお口中に溢れ出す
此奴はホント美味ぇ〜って
叫びたくなるくらい美味しくて
この茄子有ればこそ
鱧が余計に生きて来るのですね。
久方振りに素晴らしいお椀に出会えて
最高の気分です。

③お造り

一皿目のバカラの器には

あおり烏賊


お薬味には

お醤油
大根おろしと刻み葱でぽん酢ベースのちり酢
山葵
昆布醤油の煮凝り

陶器の別皿にて
桜の葉を纏わせたお造りがもう一品ご用意

琵琶湖固有種の琵琶鱒

との事。

藤田さんの鮪の赤身は
昆布醤油と合わせるのが最適と言う事が
自分の舌で感じ取れる様になって来ました。

あおり烏賊はちり酢で酸味をたっぷり効かせて
少しネトッとした甘味を味わうと面白くなり
次いでにお酒のしのはらも進んでしまいます。

そして
琵琶鱒は何とお上品なサーモンなのかと
見紛うほどの色艶を見せております。

サーモンピンク色に煌めいて一目で
惚れ惚れする美しさ
鮪のトロにも負けないんではないかと思える
上質な脂が乗り乗りでございます。
しかも脂切ると言うことではなく
爽やか系の乗りです。
お口の中に一枚放り込みますと
その蕩けて行く味わいが楽しくて
絶品の美味しさが訪れて来ます。

艶やかさを保ちながら
身質の舌触りの美しさと鱒の甘味の芳醇さに
舌が悶絶致しました。

④お凌ぎ

下北半島の紫雲丹
酢飯
牡丹海老の紹興酒漬け
酢橘

湯呑み茶碗?の様な陶器に
雲丹の殻を乗せて
殻の周りに紫雲丹を円周状に配置
中に酢飯を盛り付けして
酢飯の上に牡丹海老をポツンと盛ってます。
天には酢橘の輪切りを添えて。

姿形も素敵な装い
お料理としての完成度も高く
雲丹の美味さを活かしてる作品
舎利との相性は勿論のこと
紫雲丹が酢飯に絡んで甘く蕩けて行きつつ
舎利が雲丹まみれで乳化して行くのも楽しい
其処に酢橘がゆっくりと香って
牡丹海老のトロンとしたねっとり感が
紹興酒風味を纏って襲って来る
この旨味の波状攻撃にやられてしまうのです。
此奴は結構降参してしまう一品。

⑤鰹たたき

次のお料理の八寸をご用意してる間
少し口寂しくなりますため
お口を少し埋めて下さいとの気遣いからの一品

この辺の流し方が良いんですよね
決してお客様を飽きさせない工夫を
何時も考えていらっしゃる
嬉しくなります。

鰹はお塩を少し当てて寝かしてから
炙られてます。
鰹のたたきの美味しさは身質の芳醇さと
外目を炙りかけて
皮目から内側にかけての
外周の輪郭がくっきりと火入れによる
白化の部分の旨味と中の赤身の生々しい鉄分旺盛な身質の部分とのコントラストが
鮮やかに舌で体現出来る美味さだと思います。
此れは一つ、この鰹を噛んでmgmgしてみると
その妙味に唸ってしまうので御座います。

⑥八寸

しのはら名物の八寸
此れは言うまでもなく何時も雅な美しさに
うっとりしてしまいます。
八寸は八つ橋の上に盛り付け

ガラスの器には
鳥貝
海蘊
花付き胡瓜

八つ橋に直置きされてますのは

合鴨蒸しロース
一寸豆の上に海鼠腸を乗せたもの
菜の花芥子和え
藁の香りを付けた蛍烏賊の酢味噌添え
トマトと黄身酢
蓮根酢漬け
玉子焼き
いくらと山菜に胡麻だれ
石川芋の新小芋の中に塩雲丹を射込んだもの
稚鮎塩焼き

一寸豆の名に相応しい一寸大の蚕豆さん
涼しげな緑色の繊維質がサクッと感じられて
とても瑞々しい味覚
其処に海鼠腸のあの何とも言えない珍味が
絡んできちゃうので
堪らずお酒をクィッと飲み干してしまいます。

未だ春を感じさせてくれる蛍烏賊がぬるりと
食感楽しく味わい酢味噌の酸味が
やんわりと蛍烏賊の甘味に
追いついて来るところがまた楽しい。

そんなこんなで色々な味覚を楽しんでる内に
琵琶湖の稚鮎を焼き立てでご用意され
焼き上がりを一尾ずつ八つ橋の上に置かれて
お一人様に二尾を丁寧に運んで頂きます。

この稚鮎の火入れ加減が素晴らしくて
頭からガブリの醍醐味を味わえました。
稚鮎の個性が舌にダイレクトに伝わる仕上りは
ワタのほろ苦さと言い
身の鮮度の良さから浮き上がる稚鮎本来の
旨味がvividにお口の中に響き渡ります。

そして八寸に組み込まれてるお口直しは
フォアグラと安保柿に
山崎のウイスキーゼリーをかけた最中
パリッとした食感とフォアグラの耽美な甘味に
加えてウイスキーゼリーがお口の中で溶け合う
美味しさは見事な味覚のアンサンブルです。

八寸の〆とも言える
定番の鮪とべったら漬けの手巻き鮨が
手渡しされてパリッとお海苔から噛んで
鮪のすき身の旨味とべったらの甘味を
鮨飯と一緒に満喫です。

これだけ豪華に珍味妙味のものたちを
取り揃えての八寸劇場は出で立ちも鮮やか
かつ
舌が驚きまくっているうちに妙味演じる
素材たちの舞が華麗に踊って美味なる
饗宴となります。
八寸自体が既に一つのコース料理の
体をなしており
その完成度の高さに何時も驚くばかりです。

⑦揚げ物

琵琶湖の天然鰻の唐揚げ
粉山椒
胡瓜

鰻は焼きか揚げか
このテーマに明快に応えうるほどの
舌に対する胆識は
持ち合わせていないですが
素直な気持ちでこの唐揚げさんに向き合うと
そんな事どうでも良いかと言う気分に
させてくれます。
天然だからか皮の厚みが唐揚げの強さに
十分匹敵してパリッと皮目を咀嚼した時の
歯応え感が半端なく気持ち良いです。
その皮を破って突き進み
鰻の身質の中へ入り込むと天然鰻の
白身のふっくらとした白身の旨味が
お口に飛び込んできます。
唐揚げの凄さとでも言いますか
皮目と身質のデュエットの味覚は
とてもダイナミックな美味さを痛感。
印象に残る唐揚げでした。

そして
胡瓜との相性が何でこんなに良いのだろうと
不思議に思えるほど鰻の唐揚げと
胡瓜の瑞々しい繊維質がマッチして来るのには
暫し沈黙する感銘を受けた。
大満足な鰻の唐揚げなのです。

⑧小鍋



伊勢海老
花山椒

ワォ〜、お口に嬉しい味覚が飛び込んで来た
このうま味は痛快に舌を駆け抜けるもの

鼈からも蛤からも伊勢海老からも
うま味がお出汁に溶け込んで
お出汁にコクの深さが迸るほどで
うま味の奥行きが広がっているのが
舌にズンズン染み込んでくる感じで
圧倒されるうま味の濃度に
感激してしまいます。
このスープ、ず〜っと飲み続けていたい。
ズルズル〜ッと啜ってはもう一口と
直ぐに飲みたくなるほどにて
後も引くし止まらん。

お汁の美味さを堪能しつつ
コラーゲンぷよぷよ付きの
鼈の柔らか煮みたいなお肉をガッツリ喰らう
同時に伊勢海老の甘さも美味しい〜!
そして蛤さんがプリッとしてて
噛み心地抜群に跳ね返って来る
この舌を悩ます食感の楽しい事
もう、嬉しすぎる小鍋です。

⑨お食事-1

玉蜀黍と毛蟹コロッケの炊き込みご飯
香の物

土鍋のど真ん中に毛蟹が鎮座
毛蟹を囲むようにして蟹コロッケがゴロゴロ
その真下には玉蜀黍の粒の絨毯がびっしり敷き詰められて
其れ等全部を勢いよく杓文字で
掻き混ぜ混ぜしてからお茶碗に
装って頂き手元に届きます。

一口目をパクッと頂く
ん、おぉ、蟹コロの風味と玉蜀黍の甘味が
合う合う
然も
玉蜀黍の甘味と蟹コロッケの風味が
お米に乗り移って
ご飯をmgmgしていると徐々に
舌に押し寄せて来て美味い!
こりゃ堪らんご飯になっちやいますね。
お代わり必須と言いたい所ですが
既に次の雑炊の匂ひが届いてきてるので
お腹の具合と相談して自重自重。

⑩お食事-2

先程の鼈のお出汁で雑炊
あのコク深いうま味溢れるお汁に
溶き卵を寄せてお海苔をパラパラ散らしての
ご提供です。
先程の濃厚な鍋の汁と趣を変えて
濃度を雑炊仕様に穏やかなうま味の出汁に
仕上げており
雑炊の美味しさがサラリとしてて
お腹いっぱいな筈なのに
スルリと行けてしまう不思議さ。
珍しく二杯目を軽くお代わりしちゃいました。

⑪甘味

葉桜きんとん
〆は春香る和菓子でお薄と共に
和やかなひと時を迎えます。

⑫お薄

2020/05/22 更新

9回目

2020/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

小春日和に桜舞うしのはら料理の雅な花見酒が嬉しい

■2020.03.21(土)夕餉

■お料理 お任せ¥26,000

⓪香煎茶

舌を癒す飲み物を頂いてお口を湿らせます。

①先付

自家製胡麻豆腐
平貝
蝦夷鮑
車海老
千社唐
酸味のある加減酢煮凝りが
素材の美味しさを引き立てていて
その素材感を素直に表現してます。
飾りには花穂紫蘇が春の色合いを添えて

何時も感じるのですが
先付を上手く纏めてるんですよね〜。
当日の華麗なる馳走に胸膨らませて
期待を裏切らずにこれから始まる雅な宴を
想像させて見目麗しく
心少しざわつかせての施しように
感嘆の声が上がります。

加減酢のサッパリとした味覚に平貝や車海老の
身が心地良く響いて来る
サッパリ加減の味わいにもっちりモチモチの
胡麻豆腐がゆっくりネト〜ッと舌に胡麻の甘味を纏いつつ絡んで来る
舌に触れたときのもっちり感は
答えられません。

春らしく千社唐がシャキッとした繊維質を
投げかけてきて舌に与える食感が
瑞々しくて素敵。

酸味と甘味が程よく共演して
プリプリ感とモチモチ感が食感を膨らませて
とても妙味が冴える作品となってます。
最初から素晴らしくて
ビールクイクイ行っちゃいます。

②お椀

菱形に模った真薯は三月のお雛様に因んだもの
菱餅に見立てた真薯は芝海老と蛤の二層構成
椀づまには鳴門の若布を浮かせて
吸い口には
ばちこ、春蘭と木の芽が添えられてて
誠に雅なるかなしのはら椀

一口吸ってみます
鳴門の若布と昆布のうま味が効いてて
吸い地が凄く美味しい
お出汁の輪郭がくっきりとして
泳いで来る若布がトロントロンに舌を
ぬるりと舐めて行く

この何とも言えぬ妖艶な舌触りに舌が
惑わされてしまう

若布と一緒に真薯を優しく砕いてお供願うと
うま味の味わいがとても膨よかに広がり
芝海老と蛤の潮風味漂う真薯が
吸い地に溶け込んで舌がうっとり陶酔感に耽る
流石の温感と炊き加減なのである

兎に角若布が素晴らしくて
おったまげる
若布の繊維質から芯をほんのり僅かに残してて
身質は蕩けるか蕩けないかのギリギリ極みまで
コトコトしてるもの
この見極めと言うのか仕上がりと言うものに
ホトホト感銘を受ける
これ程舌を蕩かして旨味がふっくらしてる若布に出会った事がない。
そして若布を浸している吸い地が途方に暮れるほどのうま味なの
これ程のうま味を引き出す芸当は
正に神技かと思います。
このお椀のうま味だけは
しのはら大将の経験と感性の為せる技もの
巡り逢えて本当に口福のひと時を頂きます。
更に最後の方になると若布からの旨味も
ヒタヒタと寄せて来て濃厚な味わいに
初めのうっとりしたうま味から
輪郭がくっきり浮かび上がるうま味に
変わって舌に追い討ちをかけて来ます。
この旨味の変化にも驚いちまいました。

③お造り

玄界灘の4kgの鮃
増毛の牡丹海老
千葉勝浦の黒鮪

昆布醤油の煮凝り
山葵
酢橘
割醤油
土佐醤油

何時もながら雅なお造りです。
鮃は昨日の朝締めしたもの
旨味十分に乗ってて身質がとてもしなやかな
舌触りで美味しい。
鮃の身質を映させるのは昆布醤油の煮凝りでも
割醤油でも味の変化を楽しめて嬉しい。

更にこの時期だけの雅な感覚を楽しめるのが
南京
大根
人参の短冊の添え物です。
此れは
三月三日の流觴曲水の宴〜
りゅうしょうきょくすいのうたげ
に因んで和歌を詠う雰囲気を模したもの
こう言う繊細な施しがホントに素晴らしい
しのはら料理の真骨頂なのです。

④お凌ぎ

対馬の穴子地焼きを乗せた柴漬けの飯蒸し
生姜
穴子と桜色の飯蒸しとのバランスの質の良さに
驚く
穴子の蒸されたふんわり質感が
桜飯蒸しのもっちり感と混ざり合う

穴子の甘だれをこよなく吸った身質の旨味と
柴漬けに染められた桜舞い散る風の餅米の甘味

これら両方の味わいが大胆なくらいに
マッチして素晴らしい妙味を奏でる

春先に出会した春の香り息吹く美味しさと
言えましょう。

⑤お花見の八寸

今月はどちら様もお花見は中止模様の中
カウンターでの花見酒が振る舞われるとは
予想外にて
皆さま大喜びの八寸でございます。
然も桜の花弁も頃合い良く開きかけており
見た目大変麗しゅうございます。

ぼんぼりの器の中には

下北半島の雲丹
京都の湯葉

春霞と柳の短冊のお皿には

玉子真薯
蓮根の酢漬け
子持ち昆布
合鴨の蒸しロース
富山湾の蛍烏賊を藁で燻って香り付け
菜の花の芥子胡麻和え


花見串に打ってますのは

塩雲丹を射込んだスナップえんどう
フルーツトマトの黄身酢添え
鯛子を炊いたものに木の芽
徳島の床臥

傍の小鉢には
赤貝のぬた和え

器に乗り切らなかったもの
八寸にお箸を進めてる合間に
揚げたての春の筍のフライ

手渡しするものは定番の
鮪とべったら漬けの手巻き
此れは安定の美味しさ

お口直し的に
フォアグラと安保柿の最中
山﨑ウイスキーゼリーを乗せて

以上がお花見八寸ですが
桜舞い散る風情を感じる器の数々に雅を感じ
華やかに繰り広げられる食材たちの舞に心躍り
甘味
旨味
鹹味
酸味
辛味
薫香
たちを彩どり豊かに取り揃えて味覚を楽しむ
これぞ至福の味わいに舌が溺れる

どれもこれもお酒を進ませてくれる秀作ばかり
雲丹と湯葉の合わせ技の甘く舌を導いた後に
蕩ける雲丹の名コンビから始まり
蓮根の酸味で舌をスッキリさせて
合鴨の旨味を引き立ててくる
薫香が鼻腔を楽しませる蛍烏賊も一興に値する
代物にて
次に控えし串物にうつつを抜かして
鯛子の粒々で舌を弄ぶ愉快さがまた、
楽しからずや
更に筍の穏やかな甘味をサクッと
優しく衣が纏い美味しく春の味覚を頂く
するとタイミング良く手巻き寿司がニョキッと
出現しこれまた愉快にお腹を満たす
そろそろお腹膨らみ食べ切ったぁ〜と
満足感に浸る頃合いに
フォアグラ最中が嬉しい口直しと
ストーリー性も舞台性も飽きの来ないひと時に
口福感で満足この上無しとなるのでした。

数多の美食家たちの舌を魅了して止まない
しのはら八寸に拍手喝采です。

⑥焼き白子

有明の板海苔
酢橘

絶品に次ぐ絶品の大行進で舌が悶絶続きです。
パリパリ板海苔で虎河豚の
とりとろ白子焼きを挟んで頂きます。
もう幸せいっぱいだぁ〜。
この口福感、何時迄も続いて欲しい!

⑦焼き鼈

朝倉粉山椒
しのはら特製の甘だれ

此処で蘊蓄を頂き
鼈は天然物より養殖ものが美味しいとのこと
鼈の他に本諸子と車海老も養殖ものが
良いそうです。
成る程、兎角天然物が良いと
思いこみがちですが管理された養殖ものが
優れた身質を生み出してお料理の食材として
適切に仕上げられるのだなと
お勉強になりました。

さて、その養殖鼈の焼き物
常にむしゃぶりつきたくなる肉肉しい奴
此れをガブリと骨の髄までしゃぶり尽くす
醍醐味は応えられません。
この豪快で旨味芳醇な肉との戯れに耽り
これ以上に舌に活力溢れる快感を与える
お料理は無いものと感じます。

此処でもちょっと豆知識を頂いちゃいました
焼き鼈の美味しさを膨らませる香辛料の粉山椒
この朝倉粉山椒の上品で鼻に
ピリッと抜けて行く辛味の質感の良い事
この粉山椒は秀逸なる一品です。

⑧お鍋

伊勢海老

花山葵
ちり酢

伊勢海老をちり酢の上にポトって落として
その上に花山葵を半分ほど乗せて頂きます。
蛤のプックリとした耳たぶのように膨らみが
艶々に綺麗なものをお出汁にたっぷり浸し乍ら
此れもちり酢を付けて頂きます。

先程の伊勢海老をグツグツと煮込んだお出汁が張られているお鍋の汁の旨味
このコクの深さよ美味さよ
お口に広がれ〜
蛤に繋がれ〜
伊勢海老に纏われ〜
と叫びたくなるほどの旨味に舌が
唸りまくります。
ふぅ〜、今日は絶品続きで満足感で
高揚しっ放しです。

⑨お食事-1

珍しく4連ちゃんのお食事です。

ご飯一品目は
こごみ、鱈の芽、蕨の山菜ご飯

炊き込みご飯が春を運んで来ます。
山菜の風味がご飯の中にまで
細やかな程に漂っていて山菜の春の味覚が
お米の甘味に引き立てられ
山菜がお米に旨味を引き出し
この春の香りときめくご飯に拍手したくなる
でも相当お腹いっぱいなので
お代わりはご遠慮させて頂きました。

⑩お食事-2

白ご飯
飛騨牛のイチボ
出汁で溶いた玉子

しのはらさんお初のお食事メニュー
焼肉風OTRです。
和牛のスライスをサッと特製のタレを付けて
炭火で火入れして
焼いたものを玉子の汁にプタプタと浸して
ON THE RICEします。
ONした所をご飯と一緒に掻き込むと
うんまぁ〜、激ウマォ〜と舌が
いきなり叫んで来ちゃいますゥ。
お肉の旨味と玉子汁の甘味が艶々ご飯と
ドンピシャ旨味協奏曲で高らかに
ファンファーレを鳴らしてます。
いやぁ〜此奴は美味かった。
お食事の流れにこれだけ起伏を付けられると
こんなに美味しさが膨らまものかと感嘆。
山菜の静かなる味わいの後に
獰猛に舌に響く肉の旨味が暴れる
このコントラストに美味しいぃを感じる

⑪お食事-3

しのはら風TKG

焼肉ご飯を食べた後には玉子にお醤油を
ポトリ滴らせたTKGのご用意です。
卵が美味しいと思いましたら
何と、伊達の卵との事。
シンプルに卵の甘味がご飯に引き出されて
卵がご飯に纏って旨味を引き立てて
互いに手を繋いで仲良く美味しさを
昇華させてる
お腹いっぱいで一口だけ摘んだだけですが
そのシンプルな卵のコク深さの広がりを
堪能して大満足なTKGでした。

⑫お食事-4

半田素麺の煮麺
伊勢海老の出汁
卵綴じ

これも伊勢海老のお出汁の旨味が堪らなく
美味かつ、卵綴じの穏やかさが汁の面にいっぱいに広がり半田素麺の食感が心地良く喉越しを
通過する
そしてこっくりする味わいに寄り添われながら舌はホッと落ち着くのです。

⑬甘味

雪の下萌

臼井えんどう豆とつくね芋のきんとん
中は粒餡です。
優しい自然の甘味が表現されてて
雪の下まで萌え出でんとする草の芽から
春の息吹きを感じさせる和菓子。

⑭お薄

2020/04/01 更新

8回目

2020/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

お正月バージョンのしのはら料理は身も心もポカポカさせてくれるお料理

■2020.01.18(土)夕餉

■お料理 お任せ
お酒税サ含むお会計 ¥32,000ほど。

①香煎茶

②先付

亀甲芋
小豆
白味噌

高台のお椀には京都の山利商店白味噌に
亀甲型に射抜いた小芋
天に小豆を添えて
豆にこの一年を暮らせます様にとの
願いを込めた仕立てとなってます。
この辺りの気配りが嬉しい新春らしい
先付です。

特に山利の白味噌の濃厚な味わいには
何時も乍ら感動の甘味を頂きます。
山利さんの白味噌ならご家庭でも
きっとこっくりするお味噌汁を施すことが
出来ると思います。

白味噌がまったりとした感じで
瀞みを帯びて甘味をお口に運ぶ中
亀甲芋がねっとり優しく歯を包み込んで
くれます。
そして豆に大過なく一年が遅れます様にと
自分自身に思いを馳せながら小豆を
頂きました。

③向付

鶴の向付にはお料理の柚子釜
祝い鶴の形をした平向の上に可愛らしく
チョコンと乗せてあります。
柚子釜の中には

しのはら製千枚漬け
寿海苔
北海道蝦夷鮑
車海老
芽甘草
子持ち昆布
加減酢煮凝り

柚子釜からはみ出るほどの賑やかな盛り付けで
御座います。

車海老が二尾ご用意されてますが
そのうちの一尾は千枚漬けと一緒に
召し上がってください、との大将からの
仰せです。

仰せに従い先ず早速、千枚漬けで車海老を
クルクルと巻いてから頂いてみました。
成る程、千枚漬けの酸味と車海老の甘味が
マリアージュして素敵です。

鮑が良かった。
煮凝りの酸味が程よく蝦夷鮑の甘味に馴染んで
鮑のコリコリ感と煮凝りと鮑の肉質が三つ巴で
共鳴し合って来て旨味を柔らかく押し上げて来ます。この合わせ技は美味しかった。

④お椀

鶉のお団子
焼き粟麩
鴬菜
人参
大根
金箔
柚子

本日は鶉を骨ごとミンチに仕上げた肉団子を
椀種にして
椀づまには鴬菜の椀盛です。

鶉のお肉自体は淡白な甘味の質感ですが
山椒をほんのりと施されてるのと
昆布のうま味が鶉を邪魔しない吸い地に
優しく仕上げてますので、
鶉の甘味と昆布のうま味が上手く重なり合い
ホッと癒される味覚が舌を訪れます。
その穏やかさの中に山椒がピリッと刺激を
舌に齎し穏やかさの中にも
旨味の輪郭を浮き上がらせて来て
楽しめます。
この辺りの仕掛け方がユニークな
しのはら料理と感じます。
更に
粟麩がモチモチしてて食感が楽しくて
噛んだ時はふんわりして歯を沈ませるが
直ぐにもっちり感が芽生えて来て
吸い地のうま味が染み込んだ粟麩の美味しさ
がお口に広がります。

⑤お造り

明石の鯛
三厩の釣り鮪
山葵
昆布醤油煮凝り

酢橘の割醤油
造り醤油

鯛は山葵と昆布醤油を白身に挟んで割醤油を
少し浸らせて頂きます。

赤身は昆布醤油の煮凝りをペタッと塗して
頂くと赤身の酸味がバランス良くお口の中で
甘く変化して来て美味しいです。

⑥お凌ぎ

唐墨餅
大根おろし

自家製の半生唐墨を焼き餅の中に
射込んでますが
唐墨とお餅とのデュエットが絶品です。
唐墨を射込む時は
突いたお餅を少し蒸して
柔らかくしてから唐墨を
練り込むのだそうです。

お餅は表面こんがりと斑ら模様に
お焦げが付いて
まん丸にぷっくりとした膨みが
コロコロとしてて可愛いのです。
然も質感見るからに美味しそうです。

狐色に焦げ付いた所を突いてお餅の表皮を
破ると中から湯気が立ち上り
そのまま一口パリッと噛み砕いて頂きますと、
ふっくらホクホクな食感がダイレクトに
唇から歯に伝わり
お餅のホカホカなままの食感が拡散して
行きます。
そして齧ってる最中に
お餅の中から綺麗に練りこまれた
オレンジ色の半生唐墨が覗き見えて来ます。
その唐墨ごとお餅をもう一齧りします。
ウンマ〜の激ウマです。
唐墨の粒々感と穏やかな塩味がお持ち周辺に
広がり混じり合いとても楽しい味覚が
生まれてます。
その唐墨餅に薬味の大根おろしを乗せて頂く
ん、これも良い塩梅でおろしの甘味が
寄せて来ますね〜。
なんでこう言う一つ一つの味付けがシンプルで
きちんと引き立て役を果たしてる美味しさを
作り上げる事かと、感心してしまいます。

この一品は食べて楽しく嬉しかったです。

⑦八寸

羽子板のお皿には雅にお正月を飾る衝羽根
金柑の茶巾絞り
スコティッシュサーモンのきぬた巻き
青干しの干し薇
玉子を蒸した玉子真丈
梅干しを使って炊いた人参
蛸の柔らか煮
慈姑で作った松風が
所狭しと並んで賑やかに彩りを添えてます。
そして
お正月に相応しく大王松のお飾りは
言祝ぎで一年が大過なく来年まで回り巡って
来ますようにとの思いを込めてクルリと
巻いてます。
その松葉の串刺しには
ちしゃとうの味噌漬け
長芋の甘煮
黒豆
の三品が綺麗に射抜いてあります。

お猪口には海鼠の海鼠腸掛け

丸い小さな香合には
ちり酢の掛かった雲子の酒塩煮

ぶりぶり香合には
鴨ロースと芹のお浸し

まぁ〜、なんともお目出たいあしらいばかり
見てて楽しくなりますし
自分の人生が今年から明るくなる兆しが
見える様でございます。
然も衝羽根などの遊び心も満載にて
その場で羽付してるコ〜ンコ〜ンと言う
羽子板を突く音色が聞こえて来そうです。

八寸全体を明るく飾る縁起良く飾る千両の赤い実が鮮やかな彩りを見せます。

お口が忙しそうになりそうなので
やんわりと酸味を帯びたサーモンのきぬた巻きから手をつけ始め
歯がそのまま蛸に吸いつかれてしまいそうな程ふにゃふにゃに柔らかい柔らか煮で
食感を楽しみ
慈姑さんのしっぽりと舌に寄せて来る甘味が
松風で訪れるのをしっかり受け止めて
大好きなツルツルスベスベな仕上がりの
雲子をちり酢の酸味宜しくお口の中で
プルンプルンと蕩ける甘味を賞味しつつ
海鼠腸の珍味を堪能して
ついついお酒を煽り続けてしまい
ほろ酔い加減の満足感を頂きました。

これ程の豪華絢爛たる八寸は
流石しのはら料理の真骨頂とも
言えると思います。

⑧海老芋唐揚げ

八寸でお口を忙しく働かせてる合間にも
次々と珍品名品が運ばれます。
一番手は海老芋の唐揚げです。
薄衣の纏い方が、此れまた宜しくて
サラサラと流れる食感の口当たりの
お上品なこと、
それでいてグッと海老芋に圧を掛けて
踏み込むとサクサクサク〜ッとお芋の繊維質が
ふんわりと裂けてお口の中にストンと
転がり込んできて海老芋のあんまぁ〜い
温かみが口内に充満して行って
然も慎ましくも舌に柔らかいねっとり感で
接してくれるんですよ。
この海老芋特有の甘みには何時も
悩まされますが
しのはらさんの揚げ方が大人しい優しい
仕上がりなので
余計に海老芋の甘さを引き出してる様です。

⑨鮪とべったら漬けの手巻き

そうこうしているうちに
間隙を突いてサッと眼前に現れし
べったらの手巻きが手元に差し出され
お口ばかりでなく片手迄大忙しです。

一旦お酒もストップ状態となる程の
お口の忙しさとなります。

⑩フォアグラとあんぽ柿の最中
ウイスキーゼリー寄せ

二の矢
三の矢
と繰り出す次なる使い手は最中美人の
手によるフォアグラ最中
この作品と一緒に手を伸ばして
あんぽ柿とフォアグラを最中で挟見込む直前の仕草を可愛い笑顔で映るお写真がとても
愛らしく美味しそうなのです。
この笑顔の仕草付き最中は
銀座と言わず東京中のお料理屋さんで
流行りつつある気がします。

⑪焼き白子

酢橘

虎河豚の白子焼きはこの時期の最高の馳走かと
何時も舌が歓喜に震えるお味で御座います。
このぷよぷよ感と言い白子の甘味が
淡く潜む味わいには敵いません。

更に追い白子が届きます。
もうサイズもでかいし量も大きな団子状
のものが4個も頂けちゃいます。
もう、舌は天国天国と叫んでおります。

⑫温物盛合わせ

焼き鼈
下仁田葱の天麩羅
琵琶湖本諸子
木の芽酢
粉山椒

諸子には木の芽酢で
焼き鼈は粉山椒で
下仁田葱も粉山椒を少し振って

下仁田葱は周りを少し焦がして
揚げてあるので甘味がくっきり浮かび上がる仕上がりの天麩羅となり
とても甘味の輪郭が映える天麩羅です。
衣のサクサク感も揚げたてのサラリとした
パリパリ感が唇に伝わって来て美味しさを
膨らませてます。

定番の珍味なる焼き鼈
山椒と甘だれが鼈に何処までも付き添い
鼈のお肉の旨味がvividでwildな美味しさが
食べた後もしっかり残り
何度もかぶり付きたくなる程でした。

⑬炊き合わせ

伊勢海老

若布
神馬草
木の芽
ちり酢

蛤は海老味噌のスープと共に
伊勢海老はちり酢で

蛤を炊いたお出汁と海老味噌だけを溶いて
大匙いっぱいほどのお醤油のみで
作ったうま味にコクがこっくりと来るスープは
思っていた以上に爽やかなお味なのです。
此れにはびっくり、もっと鹹味とか甲殻の香りが表に出て来るのかと思いましたが
全くその様な事はなく
まるで白味噌仕立てみたいに
素直に海老味噌の甘味に蛤のお出汁が
見事に調和してる奥深い味わいなのです。

蛤を頂いてみます。
蛤のぷっくりと膨らんだ肉質に歯が押し戻される食感が楽しくて堪んなくなります。
蛤の磯の味がたんまりと吸い地に佇んでいて
蛤を齧るとその磯風味伴うスープ味が舌を染めていきます。
更には
伊勢海老の白身とちり酢の相性が抜群で
酸味と甘味が同居する美味しさは
官能的でさえ有ります。
兎に角このスープに尽きます。
伊勢海老のエキスを余すところ無く引き出した
お料理は感動ものでした。

⑭お食事

松葉蟹の炊き込みご飯
にゅーめん
溶き卵

ご飯は松葉蟹の身のほぐしと蟹味噌が
いっぱいにお米の隙間を埋め尽くしている
炊き込みご飯で
天にお海苔を散らして頂きます。
この蟹のうま味が米粒一粒一粒迄に浸透してるかと感じるほどの蟹味と蟹味噌味が染み渡り
戸惑うほどの極悦なる美味が舌を直撃です。
この蟹ご飯には舌もご満悦です。
次にお出まし遊ばしたのはにゅーめんです。
伊勢海老の頭をより煮出して作ったスープに
溶き卵がプカプカと揺らいでる中に
にゅーめんが浮いております。
その麺をズルズル〜っと吸い上げると
スープのコクを纏った細麺が喉越し滑らかに
舌を通り過ぎ喉元へと導かれて
喉越し豊かに通り過ぎて行きます。
麺が通り過ぎる度にコクのあるスープが
後を引いて印象的な余韻を残して行きます。
このうま味には参ったちゃんですな。
ズルズル〜ッと最後の一滴まで
飲み切りましたがこのスープだけは
もっと舐め舐めしたくなるほどでした。

⑮甘味

紅白の金団
百合根とつくね芋の餡です。

⑯お抹茶

2020/02/02 更新

7回目

2019/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

冬のしのはら料理は蟹に熊に鰻に鼈と豪華さと豪快なる味わいに大満足

■2019.1218(水)夕餉

■お料理
お任せ 基本コース¥23,000
オプション料理2品追加して¥30,000
お会計 お酒2合とビール税サ含む¥35,000

このハイレベルのお料理と楽しい会話も含めての
サービスを頂いたコスパは評価に値するもの
今時の都内の和食料理店バブリーな傾向を
見回すととても良心的なお会計です。

①先付

鯨のコロ付き白味噌仕立て

親の紋様がとても雅な高台の雑煮椀に
澄んだ様に綺麗な白味噌がタプタプと
流れてます。

白味噌の中には鯨のコロ
半日ほど乾燥させた鯨の肝を糠で炊いて
柔らかく戻したもの
コロはゼラチン質が膨よかで
モッチリとした食感が舌を訪ねて来る
山椒が塗してあり
白味噌の甘味にヒリヒリした味覚が
追いかけて来て全く異次元の白味噌仕立て
となってる
此奴は面白いし体も温まって嬉しい。

②お凌ぎ

車海老と千枚漬け

自家製の千枚漬けに壬生菜と菊花乗せ
車海老を二段に重ねて挟んであります
全体に土佐酢の煮凝りを掛けてあります。
しのはらさんらしい一品
甘味と酸味のバランスが絶妙な掛け合わせで
煮凝りの酸味を車海老に纏わせて食べると
煮凝りが爽やかに舌を撫でてから
歯が車海老の甘味を弾き出して
両方の味覚が混ざり合い仲良く美味を演じる。
何方も味が出しゃばらない良い加減の作品
素材の本質的な味覚を上手に操ってる
感じがして、
しのはら料理の真骨頂を垣間見た気がする。

③お椀

椀種は兵庫香澄の紅ズワイ蟹と
帆立貝を合わせた真薯
椀づまの砕いた蕪の上にはばちこ

甘く香る真薯
昆布のお出汁が愛おしく感じられる吸い地
もううっとり目が眩むほどの慈の味わい
真薯が優しく舌を迎え入れる
紅ズワイと帆立の甘味が吸い地全体を覆い
穏やかに甘味を品良く上書きして来る
その甘味は何と心地良く舌に触れてお口の中を
清らかに流れて行き染み染みと喉越しを
通り過ぎて行く
この吸い地が消えてしまう儚さもまた、
美しく余韻を残す

④お造り

福岡の姪浜の鯛
太平洋鮪
平目

山葵
造り醤油
昆布醤油の煮凝り
酢橘割醤油

冷蔵庫の中で二週間ほど干してる自家製の
半生唐墨を白身でくるくる巻きにしてます

太平洋鮪は絶品中トロな感じで
全く筋の無い綺麗な赤身で舌触りが
ツンツルテンに滑らかで
まるでアイスの様にトロンと舌の中に蕩けて
沈んでいく
その時の甘味の綺麗なこと
鮪の繊維質が全く切れ目無く円やかな肉肌が
悩ましい
一切れは山葵醤油で
もう一切れは煮凝りで
鮪の甘味のマイルドな味わいに
山葵たっぷりが良く合う

生唐墨から浮き上がる程良い塩味が
鯛の淡白な甘味に輪郭を添えて来る
鯛のしなやかさと生唐墨のすこしぷよっとして
鯛の中で潜らせた塩味がフワリと浮き出て来る様な仕掛けに舌が面白く反応する
白身は旨味からやや珍味に姿を変えて
美味を奏でる

純米NOTOが進んでほろ酔いの良い気分

⑤柚子釜焼き

雲子
鮨飯
銀餡

スプーンで良く混ぜてから頂いてくださいとの
大将からのお言葉を受けて
スプーンでぐちゃぐちゃしてますと
鮨飯が柚子釜の中程から浮き上がって来て
更にその奥から純白の綺麗な雲子がトロロ〜ンとして流れ込んで来ます。
其れ等を混ぜ混ぜしてる所に銀杏が
のめり込んで来て
柚子釜の中はカオス状態となります。

そのカオスの産物を一口温かいままに
柚の皮ごと一緒に齧り付いちゃう
柚子味が染み込んでて柚風味が銀杏の甘味と
共にお口の中いっぱいに広がる
どんどん広がる
とても豊かな香ばしい酸味に変化する
飯が甘酸っぱくなってて無茶美し
雲子の甘味とトロ〜リご飯の中に入り込んで
蕩けて来る食感が絶妙な味わい
陶酔感まっしぐらに突き進む美味
お口の中もぐちゃぐちゃに色んな味覚に
翻弄されながらも全部が混沌として
珍味同士が行き交い絶品柚子釜に感動した

⑥焼き鼈

定番の絶品焼き鼈
毎回食べても食べても飽きない一品
鼈だれの甘さが濃厚で美味しい
お皿の上に添えてある山椒をチョコンと指で挟んで振り塩ならぬ振り山椒して
美味し過ぎて参ってしまう一品。

⑦海老芋唐揚げ

唐揚げの衣の軽いこと
お芋自体は
塩気も淡く施されてて甘塩っぽいのが素敵
海老芋ホクホクで質感細やかな舌触りなのも
好み
この時期の一つの大きなお楽しみです。
サクッとこういう一品を絡ませて来る
お献立の流れにも感謝して
しのはら料理の満足度の高さを知る

⑧八寸

相変わらず雅な八寸の登場

柿の器に柿なます
海鼠の上に雲子
風呂吹きの聖護院大根と菊菜に鴨がん
堀川牛蒡
鼈の肝とエンペラの山椒煮
卵を蒸し上げた玉子真薯
庄内麩にモッツァレラチーズを挟んだもの
トマトの黄身酢添え
琵琶湖の本モロコ
木の芽酢
蛸の柔らか煮
松葉に串刺ししてある慈姑チップス

どれもこれもお酒を誘うものばかり
特に鼈の肝や紐皮の山椒煮なるものが
御燗にピッタリ寄り添う良いお味
此れは飲みを誘う逸品

そして八寸の本命は本モロコの焼物
琵琶湖の固有種である特別なモロコは
太めでサイズも大きくモロコの醍醐味を
堪能出来る秀作
身もしっかり中まで満遍なく火が通り
噛み心地に舌が狼狽えてしまう

⑨あんぽ柿とフォアグラ最中に
ウイスキーゼリー

最近のしのはら名物のフォアグラも中には
ウイスキーゼリーが参加して
パリッとした最中の皮の食感に
濃厚なフォアグラの甘味とほんのりと酔いを
誘う耽美な洋酒の味覚が纏う
此れはいつ食べても美味しい

⑩鰻の唐揚げ

琵琶湖の天然鰻を唐揚げにされてます。
鰻の下に胡瓜が添えられてます。
もう、衣を噛んだ瞬間にジュッと言って
衣に潜む鰻だれの甘味がパッと広がる
その甘さが素敵にお口の中を駆け巡る
そして
鰻の表皮のパリパリ感と言い
鰻の白身のふっくら加減と言い
絶妙な旨味を鰻から浮き上がらせて来る
想像を絶するほどの味わいに驚いて仕舞う

胡瓜とのコントラストがまたいい
鰻の濃厚な旨味に対して
お口をスッキリさせて
その味覚の対称性に惑わされてしまう
この鰻と胡瓜の掛け合いも楽しくさせてくれる

⑪焼き蟹

蟹の足
蟹味噌

焼き場からは先程より松葉蟹の素焼きしている香りがカウンター越えて漂ってきます。
素直にストレートに甲羅ごと焼かれた蟹の身を
満喫する
蟹味噌に解し味を和えたものが小鉢に
蟹味噌がとっても甘く解し身に絡んでで
美味秀麗
大将が白身がギッシリ詰まった甲羅ごと
焼いたものを御運び頂く
此れがまたうまし
今冬最高に美味しい焼き蟹を頂きました。


⑫お食事

豪華食材オンパレードの炊き込みご飯は

零余子

蓮根
薩摩芋
と秋冬ものを盛り沢山に

そしてこの豪華なご飯のお供には
何と!熊鍋です。
月の輪熊の鍋物
香の物
ちり酢
山椒

熊鍋の取皿の中にはグツグツと
別の鍋で煮立てた人参や牛蒡
里芋に三つ葉などがゴロゴロして
旨味を膨らませてます。
アクセントに柚子皮が刻まれて添えてます。

さながら熊鍋定食!
ダイナミックなご飯ものに舌がびっくりして
熊のお肉をガッツリ引き千切って肉の旨味が
濃厚にお出汁として滲み出てるうま味が
最高にうまし甘し美味しいのだ。
熊肉はちり酢に付けて食べると
熊の圧倒的な肉肉しさと酸味がピタッと
釣り合ってとても美味しい。

この鍋物と炊き込みご飯のセットがまた
妙味を味わさせてくれる
お鮭から豆類に根菜類の甘味や栗の甘味が
複雑に絡み合ってご飯の旨味を昇華させて来て
とてもしっくりとしたお米のもっちり食感とが
重なり合い美味しさは最高潮に達する

⑬熊鍋雑炊

さぁ、熊鍋のうま味たっぷりのお汁で炊いた
熊雑炊です。
溶き卵の甘味が穏やかに雑炊の味わいを
広げてる
ズルズルッとスプーンでお口の中に
雑炊を運んで
少しアチチしてる所をふうふうして
食べるととっても旨しなのだ。
うま味がこんだけ雑炊の中に潜んだ
ご飯ものを味わえる口福感に大満足となる。

⑭甘味・抹茶

百合根と黒糖の葛焼き

お抹茶を仕舞いに頂いて心穏やかに
しのはら劇場の幕が下りる

2020/01/07 更新

6回目

2019/11 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

秋を心ゆくまで楽しませてくれるしのはら料理

■2019.11.02(土)夕餉

■お料理

本日も感動のドラマが待っていました。
晩秋に差し掛かるこの時期
食材も秋味の名残物ばかりで
大変だろうなぁと思ってましたら
何と旬の秋味に変わらぬオールスターが
勢揃い、否、それ以上かもと思える雅な宴に
感謝感謝でございました。
この華やかさと楽しさは
しのはらさんのオーラが漂う
特別空間と感じます。

①先付

雲丹豆腐
北海道の牡丹海老
割醤油

先んじて舌に届いてくるのが
雲丹の甘味を帯びたぷよぷよのお豆腐
雲丹豆腐ってこんなに卵豆腐みたいに
ゆらゆらしてたっけ?と思い返しますと
普通はもっと羊羹っぽいのに
しのはらさんの自家製雲丹豆腐は
ぷよぷよなの!
舌の上でふわふわに浮いてくるし
雲丹の甘味はお豆腐から滲み出てきて
美味しいしこんな芸当が出来ちゃうのかと
感嘆してしまいます。

お話を聞きますと
雲丹と同様の食感を持たせたくて柔らかく
作りたかったとの事。
余り柔らかすぎると固まってこないので
中にゼラチンを入れて形を整えてるそうです。
冷たいうちは形が整ってますが
温まると溶けて崩れるようです。
なので冷んやりとしたままてお口に入れてしまうのが宜しいかと。
更にはこの雲丹豆腐の上に乗ってます牡丹海老
活け牡丹海老かと思いましたら
普通のものより糖度が高いような気がして
甘味が淡白じゃないんですよ。
此れは活けの牡丹海老ではなくて
活けのものを−60°の冷凍庫に1時間寝かせてるそうです。
いったん冷凍した海老は甘味が浮かび上がって甘さが膨らむそうです。
成る程、お勉強になりますね。
普通の食材でも
常に何か新しい事を加えて行こうとする
しのはら料理に軍配が上がります。

②お椀

気仙沼の松茸
淡路の鯛
蓮根

松茸の千切りが風情があって
この時期で国産松茸を
お椀にほんのりと泳がせて来るのは
流石しのはらさんです。
今年は松茸不作なのに後ほど見せて頂く
極太コロの松茸も相当ご立派です。
椀種も鯛が吸い地に和んでいて
親しみの湧くお出汁に舌がお喜びです。
蓮根も繊維質が柔らかくて
そのまま解けてしまいそうな感じに
仕上げてありどれもこれも吸い地を生かした
椀盛であり
椀種や椀づまの魅力を吸い地に浸らせて
うま味を引き出させているお椀となってて
バランスが素晴らしく高度に完成されてる
お椀なのです。

◉お酒もしのはらで合わせさせて頂きます。

③お造り

北海道の平目
塩釜まき網の鮪

酢橘
山葵
昆布醤油の煮凝り
お醤油
ちり酢

平目の鮮度が抜群に良いです。
ネチッとしてシコシコを満喫する歯触り感
答えられませんねこの食感。
一枚目を酢橘汁かけて
二枚目を煮凝り醤油と山葵を平目巻きにして
お口にポンと放り込んだら
此れが乙なお味に化けました。
ん〜、煮凝りが平目のシコシコ感から
逃げて来て昆布風味漂うお醤油味に山葵の辛味
が入り混じってとても美味いのです。
そして面白いことに
おぉ、平目を探検しますと奥から何と
エンガワ発見!
此れはチョコンとちり酢に付けて頂きました。

お次に控えしの塩釜のマグロを山葵醤油で
赤身と言うよりほぼトロですね、
何時もしのはらさんのお造りの鮪は上質なものをご用意されてて鮪の酸味が山葵醤油に
ピタッとお似合いの上物なのです。
だから舌にそっと落として撫でてやると
口溶けして来て滑らかな舌触りの心地良さを
満喫出来ます。

④いくら飯蒸し

甲羅返しの上にいくらと菊花
銀杏
渡蟹
餅米

いくらに蟹の解し身を合わせた
素敵な飯蒸しです。
いくらに飯蒸しだけでも餅米の甘味と
いくらの潮風味が絡みあって美味
その上に渡蟹の甘味まで重なってくると
いくらのプチプチ食感を楽しみつつ
蟹の甘味が同時進行し
珍味と妙味が行き交う美味舞踏会を
演じてしまいます。
しのはら流飯蒸しは最高です。

⑤子持ち鮎唐揚げ

天竜川の子持ち鮎
大分のカボス

ドスンと鎮座する極太に肥えた子持ち鮎と
睨めっこする自分

馬肥ゆる秋と申しますが
天竜川に肥ゆる子持ち鮎ですね。
いやいや、ご立派な立ち姿に感嘆して
しまいます。

揚げたての唐揚げから漂う香りも芳ばしく
舌を誘って来ます。
頭からバリバリっと食らい付いて
子持ち鮎の醍醐味を満喫します。
この唐揚げ、脂成分がサラサラしてて
ちっとも脂ぎって無く
ザクッと噛んでサクッと歯が子持ちの中に
フワリ着地します。
サクサクの衣を纏った皮目を突き破る時の
食感がこれまたお上品な感じで
唐揚げ自体の品の良さを感じます。
そして卵たっぷりギッシリ詰まった鮎の腹を
むしゃぼりますと卵の甘味と粒々食感が
快く舌を迎え入れます。
揚げたてのパリッとした皮目の歯触り感
子持ちの個性映える粒々感が及ぼす舌触り
皮と卵が混じり合って生じる旨味
苦玉さえほんのりと甘く香る程良い刺激

其れらが渾然一体となり子持ち鮎の旨味を
昇華させて行く
この子持ち鮎の唐揚げは素晴らしい美味を
創造してる傑作と感じました。

⑥八寸

秋草と鈴虫の虫籠をあしらえた秋八寸

無花果の胡麻味噌焼き

この一品を温かいうちに初めにお召し上がり下さいとの大将のお達しです。
お皿ごとお口に添えて無花果の底に浸してある
スープと一緒に頂きます。
胡麻味噌と無花果とスープを程良く
合わせながら頂きます。
胡麻味噌の甘味と無花果のジュクジュクした
甘味とが交錯して更にそのうっとりする甘味を
膨らませて行きます。

フワフワケーキ見たいな玉子真丈
丸十の栂尾煮
蓮根の酢漬け
トマトの上に黄身酢がけ
合鴨の蒸しロース
京都紫ずきんに紹興酒の香り付け
スコットランドサーモンに長芋を巻いたもの
衣被に京都大徳寺納豆を射込んだもの
松葉串には鶉の卵味噌漬けとエリンギの醤油煮

別皿でお膳上に
ラフランスと小肌を使った霙和え
戻り鰹の玉葱醤油漬け
海老芋の唐揚げ

うわぁ〜、いつも以上に豪華絢爛たる秋味の
大行進です。
良くぞ此処までご用意して頂けるものだと
舌がウルウルしちゃいます。
どれもこれもお酒を進めちゃってくれるものば
かりで困っちゃいます。
中でも戻り鰹に玉葱醤油を潜らせて
鰹の旨味に丸味を帯びさせた味付けは
舌にしっとり絡んで絶妙な味わいです。
そして秋の風物詩とも言えます海老芋の唐揚げ
此れも食すべき逸品
サクッとした衣を纏いつつ粉質感がとても
きめ細やかな繊維質のお芋にて
舌にネチッと甘味が絡んで心地良い余韻を
残して行きます。
極付は玉子真丈、
八寸最後の〆に食べようと残しておいて
パクリします。
歯触り感がふわふわする真丈
品の良い甘さが舌に訪れて気品ある味わいに
満足感が高揚します。
秋味三昧の八寸でかなりお腹も膨れて来ます。

⑦フォアグラ最中変わり種バージョン

フォアグラとあんぽ柿の最中に
ウイスキーゼリーがけです。
秋の新作
進化するしのはら最中なのです。
銀座と言わずあちこちの都内日本料理店にて
この類似の最中を甘味代わりにお出しする
お店が増えてます。
其の内しのはら最中の詰め合わせでも
お土産にして頂けないかなぁと思いつつ
ムシャムシャ食べました。

⑧焼き鼈

しのはら名物焼き鼈
粉山椒
骨付きなので手掴みでガッツリ
食らいつきます。
少し食べたところでふぅ〜と一呼吸置いて
追いだれをかけて貰い
濃厚な旨味を重ねて頂きます。
ん〜、舌を唸らせますね〜。
何時も感動の味わいに強烈なインパクトを
与えるしのはら焼き鼈です。
肉肉しい波動に活力溢れる濃厚な旨味が漂い
骨周りのお肉を喰らい尽くして尚、
骨周りに付着した鼈を舐め回して
しゃぶり続けたくなる珍味を堪能
美味しさ破壊力抜群のお料理です。

⑨鱧松のお鍋


松茸
ちり酢
酢橘

鱧にはちり酢を
松茸には酢橘を

鱧が尋常ならざる牡丹鱧で
サラサラと粉質を感じる鱧のお肉になっている
焚き加減なのかハモ切りの妙から来るのか
しのはらさんの牡丹鱧は
一味も二味も異なるのです。
その鱧の脂のエキスがお出汁に淀み無く
流れ込んで来ていてうま味にコクを
与えてます。
鱧自体はちり酢の酸味がとても相性良く
鱧の淡白さに甘酸っぱさを浮き立たせて
鱧の味わいを上手に引き出します。

更には
松茸の滋味深い香りがしっぽりと
お出汁の中に取り込まれてて
うま味極上のスープとなってます。
このお出汁に流れ出てる松茸の味の
濃厚な事
どういう仕立て方なのか松茸香りまくる
このスープだけでも味わう価値ありの
松茸風味を満喫出来るスープです。

⑩焼き松茸

気仙沼の松茸
酢橘

細く割いて食べて

炭火でゆっくりゆっくり焼いて
水分を損なわない様に火入れしてます。
元来松茸って乾いてしまってるものが多い
鮮度が高い松茸を瑞々しさが残る様に
ジワジワと焼き上げてるので
サクサクッとジューシーに裂ける松茸
コロが太くてフワリ湯気立ちしてて
香りたち高く舞い上がる松茸

細く引き千切る時にワクワクしますね。
酢橘をかけて頂きます。
モロ、松茸の風味を満喫する醍醐味を
頂きます。
これぞ正当なる松茸の食べ方かな。

⑪ 鰻唐揚げご飯

パリッパリな天然うなぎに仕上げてます。
鰻だれも美味すぎ
唐揚げにするとこんなに違うものかと
驚きました。
皮目のパリッとした食感にエッジが効いてて
そのテクスチャーの要素が洗練された味覚を
作り出してます。
鰻の唐揚げが唇に触れて歯に触り舌の上で
旨味を振りまいてお口の中で暴れております。
皮目のパリッパリ感と対称的に
ホクホクの白身が鰻の甘味を散らかして
何処までもいつ迄も持続する美味に感動
白米の甘味を寄り切って仕舞う程に
美味しさがグッと舌に飛んでくる傑作です。
この鰻料理で完全に舌はノックアウト状態と
相成り候。

⑫ にゅーめん

徳島の半田素麺で仕込んだにゅーめん
かき卵を溶いて
太めの麺で噛み答え十分に感じる麺の硬さに
ツルツル〜っと滑って喉越し気持ちよく
流れて行きます。
お出汁は先程の鱧松の鍋のお出汁を
追い出汁で調整したものにかき卵を
ふわふわふわぁ〜っと溶かして卵の甘味を
お出汁に泳がせてます。
柚子の香りも食を進ませますね〜。

⑬甘味

栗金団
抹茶

甘味にもこだわりのある
しのはらオリジナル栗金団です。
和栗のパサつき感を抑えて潤いを持たせ
栗餡の風味も損なわない様に温度や
粉質感を工夫してお作りになってる
栗金団です。
とてもしっとりと絡む栗餡の品の良い事
餡が出しゃばらず和栗の甘味と風味が
程良く餡に調和してる金団です。
しっとりと寄せてくる甘さが
とぉっても優しく舌をふんわりと包んでくれて
愛おしく感じられる甘味なのです。
お淑やかに余韻を残して行く甘味は
後味が清々しく感じられます。

2019/11/21 更新

5回目

2019/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

秋風に靡く走りの秋味を満喫して

■2019.09.11(水)夕餉

■お料理

何時もながら雅な美を感じるお料理
夏の名残を感じさせるお品と
秋風に揺れる風鈴の音が心地良く
響いて来るような八寸と
明日の活力を頂けるエネルギッシュな味覚たち
本日も胸ときめかせながら
美味三昧に突入したいと思います。

本日の食材のお披露目です。
冬瓜をくり抜いて作りました冬瓜鉢の中に
冬瓜
雲丹

姫オクラ
が詰まってます。
こういう見せ方もしのはらさんならではかなと
客人を食べる前から高揚感を
醸し出すお計らいです。
そして、大将が手に大きな千葉の伊勢海老を
生きたままで手に持ってご登場です。
目の前でグサッと捌いて見せて頂きます。
オォ、かなりの力技が必要です。

①香煎茶

昆布茶ベースの緑茶に青紫蘇と梅肉
これ、毎回の儀式ですが
舌にもお腹にも優しいのと
渋い酸味が舌を濡らしてこれからの宴に
備えさせてくれるんですよね。
いい塩梅のお口慣らしです。

②先付

芋の葉を乗せました先付です。
仲秋の名月が近い事もあり別名芋名月
里芋の収穫時期に合わせた名月との事。
そのような意味で芋の葉をあしらった先付の
ご用意です。

卵豆腐
牡丹海老
余市の赤雲丹
酢橘の割醤油の煮凝り
花穂紫蘇

卵豆腐の甘味がホント
篠原さんならではの
こっくりとする甘味が澄んでて雑味のない
うま味を頂けます。
しつこくなく甘過ぎず淡白過ぎず
慈の味わいほんのりと漂わせる玉地です。
こういう所をさり気なく頂けちゃうのが
奥床しくて嬉しくなります。
玉地に静かに佇んでます牡丹海老
お口の中で華やかにプリッと踊り
生雲丹が舌を蕩かせて行く
この赤雲丹の甘味が絶品です。
上から酸味を上手に施した煮凝りが
寄せて来ます。
涼やかに賑わう味覚の展覧会の
幕が上がります。

③お凌ぎ

炊いた冬瓜を冷やしたもの
下関の赤雲丹
千葉の黒鮑
姫オクラ
おろし生姜
冬瓜を炊いた時の餡かけ

餡のかかった冬瓜と赤雲丹さんをご一緒に
頂きますと美味素材が互いの甘味同士を
共鳴させて美味しさの味覚を引き出し合って
舌に歓喜の甘味が訪れます。
冬瓜のスープの甘さ加減が
とっても穏やかなものなので舌にじっくりと
馴染んで来て餡の甘味がジワ〜ッて
伝わって来ます。
そのジワ〜ッて言う食感がとても
心地良く響くのです。
此う言う味わいが美味しいを
膨らませるのでしょうね。

④お造り

大間の黒鮪
千葉の伊勢海老
土佐醤油
ちり酢
昆布醤油の煮凝り

黒鮪は山葵醬油か昆布醤油で
大間一本釣りの黒鮪は山葵醤油と
昆布醤油の煮凝りで頂きます。
美しくも見惚れてしまう赤身を
口に含むと
その圧倒的な甘い香りが口中に拡がり
舌の上では文字通り蕩ける食感に身悶えます。一切抵抗感の無い滑らかで柔らかな
テクスチャー
融点の低い脂が黒鮪から滲み出て
さっと口溶け感が拡がり
しっとりとした耽美な甘味を残しながらも
美しくフェードアウトしていく堪らなさを
感じます。

大将が力強く殻を捌いてました
伊勢海老は酢橘を絞り
大根おろしとポン酢ベースのちり酢で

⑤蒸し物

穴子の藁苞(わらづと)蒸し

餅米に京都大安の柴漬けをほんのりと忍ばせた
飯蒸しの上に明石の穴子が
落ち着いた佇まいを見せます。
新米の時期です。
お米を刈り取った後の藁の香りはとても
香ばしく食慾をそそります。

藁苞はそのままですと食べ難いので、
一度取り皿の上にお箸で掬ってから
ポトンと落として食べて下さいとの
しのはら大将のお言葉。

穴子と飯蒸しをお口に入れますと
んん〜、穴子がふわふわと
お口の中で浮かんでるゥ〜
とぉっても柔らかな穴子
自然にはらはらと穴子の白身が散って
その甘味が飯蒸しのモチモチ食感と
一緒になった広がります。
美味しい〜。
一口がとても嬉しくなる飯蒸しです。

⑥お椀

新銀杏の擂り流し
玄界灘の(アラ)
名残糸瓜
梅肉

走りの新銀杏がいい味を出してます。
アラの白身がとても艶かしくキラキラしてて
食欲誘ってます。

銀杏と昆布と鰹で引いてるお出汁の
慈の深さが舌を唸らせますね。
こんな感じのうま味が深いものを味わえる幸せに巡り会えて嬉しくなります。
銀杏を濾しすぎず強すぎずの控えめな味覚に
加減して
静かにホッと落ち着いた感じの擂り流しに
施してます。
そのうま味の中をの白身がハラリと
崩れて行く。
の白い肌触りから届く滑り感が舌の上を
ヌメヌメと泳いでいく時の快感が堪りません。
その滑り感とともに淡白な甘味が
擂り流しと同化して広がります。
満足感の高い椀盛です。

⑦焼き物

琵琶湖の子持小鮎
酢橘

琵琶湖の固有種との事
こんなに小さいのに子持ちなんだと、
不思議に見えます。
たった7cmの小鮎でこれ以上大きくならない
そうです。
この時期だけの琵琶湖で棲息する名産品
苦玉が卵に押されて鮎固有の苦味を
穏やかにしてます。

酢橘を搾って
カリカリに焼かれた小鮎に滴らせます。
頭からガブリして先ずはパリパリ感を堪能
同時に頭の皮から胴の皮目のお焦げが
歯に爽快感を運びます。
皮目を咀嚼直後に小鮎固有の苦味と
子持ちの卵の粒々感が押し寄せて来て
口当たりの気持ちの良い事
感動モノです。
子持ち鮎の身と卵からは素敵な甘味が
舌に寄せてくるし
薄っすらと苦玉からの苦味も同時進行して
子持ち鮎特有の美味しさがお口の中に
散乱して日本酒しのはらがクイクイ
行ってしまいます。
子持ち小鮎の絶品な美味さに大満足です。

⑧八寸

お月見に因んで大きな三方の台に薄が
添えられて
薄の直ぐ横に兎の向付けが可愛らしく
仲秋の名月を愛でるかのように
此方を見つめてます。
このまま食べてしまうのが
勿体無く感じられてしまいます。

無花果の胡麻味噌焼きを先に食べて下さい、
との大将からのお勧めです。
無花果を食べてる間に八寸の
お料理をご用意です。
この無花果がとても優しいジューシーさで
白味噌の塩味ととても良くお似合いで
無花果の美味しさを昇華させてます。
単に胡麻と白味噌と無花果をジワジワと
焼いただけだそうです。
焼き加減が絶妙なのでしょうね。
舌が嬉しくなる温感から無花果の甘味が
穏やかに舌にタッチして来るのです。
その暖かくてうっとりする程の甘味が
堪らなく美味しいです。

玉子真薯
丸十のさつま芋の栂尾煮(とがのおに)
エリンギの辛煮と鶉の卵の黄味の味噌漬
きぬかつぎに大徳寺納豆を射込んだもの
蓮根の酢漬け
湯引きして振り塩したトマトに黄身酢
煮蛸
合鴨蒸しロース
長芋を巻いたスコティッシュサーモン

何時も思うのですが
この八寸に出会うとお酒が楽しく進んで
仕方なくなるのです。
甘く囁やく栂尾煮がお口を優しく撫でて
お酒の辛味に合いますし
衣被のねっとり感が愉快な食感を運んできて
煮蛸のしっとりとした柔らか味や
ほんのりと酸味が淀むサーモンも
舌を弄んで面白くお酒を進めます。
そして何と言っても秀逸な味わいの玉子真薯
此奴のふわふわ感は堪んないほど
フワリと舌の上に浮かんでくる
お淑やかな甘さなのです。
この玉子の作品は何時お伺いしても
しのはら八寸に欠かせない代物と思います。
楽しく八寸を味わってる最中に
しのはら大将が巻いてる手巻きが届きます。

⑨鮪の筋を叩いたものとべったら漬けの
手巻き鮨

お海苔パリッと咀嚼してお鮨のトロたく感覚で
サクッと頂いちゃいます。
この一呼吸置く巻物が鮪の筋とベッタラの
相性の良さを生かした作品で
八寸の後に軽く米粒を繋いでくる妙味を
手渡しされる遊び心にウキウキするのです。

⑩お口直し

フォアグラマンゴー最中
パッションフルーツ入り

マンゴー娘の登場です。
何時もにっこりと微笑んで頂いて
その美しい笑顔に癒されて
更にマンゴー最中の耽美なる甘味にも
一層舌が癒される極上のひと時。
最中を介してしのはらさんとの絆が
繋がれてるように感じ
お嬢さんの微笑み返しの仕草が
客人全員を喜ばして口福気分満喫致します。

⑪焼き物

琵琶湖の天然鰻
つま胡瓜
茗荷の甘酢漬
生姜酢

焼き場の前にお席を頂いてたのですが
鰻を焼いてる時の甘い香りが漂って来て
それだけでとっても幸せ気分に浸れます。
見てますと何度も何度も焼きを熾火に当てて
地焼きしながら串を大皿のほうに移し
自家製の鰻だれを丁寧に満遍なく刷毛塗りを
施し、塗ったかと思うと直ぐさま、また
熾火の上に置いてしっかり火入れしてます。
その作業を繰り返すこと10回程火入れ直しつつ
繰り返したでしょうか。
そうして徐々にこんがりとふっくらと焼けて行きます。
その間、心地よい香りがお顔の周りを掠めて行くモノだから、グゥーと来て
早く食べたいよ〜とお腹が叫んでました。

1枚目は蒲焼をそのまま頂きます。
2枚目はお手元の生姜酢を掛けてつま胡瓜と
一緒に頂きます。

1枚目
ど感激の美味さがvividに感じられる蒲焼。
噛んだ瞬間に皮目からは強力な旨味光線が
舌を目指して突き抜けて行き
ホクホクな白身とともに
蒲焼きの醍醐味が訪れます。

2枚目
生姜酢の酸味が鰻の濃厚な旨味を控えさせて
見事に味わいを調和して来る
此れも凄い美味しさだ。
こんな味わいの仕方が蒲焼きで有ったのかと
生姜酢の魅力に敬服です。
鰻とつま胡瓜をその酸味の魅力で
ものの見事に味覚同士を結びつけて
鰻の甘味の中に軽やかな甘酸っぱい旨味を
作り出してます。
其れが力強い皮目の食感を緩和させて
いくのです。
つまに細く刻んで有ります胡瓜が
細いけどシャキシャキ感が冴えてて
鰻の旨味にグッと舌が引き寄せられた後に
お口をサッパリとさせてくれます。
そのリセット感が更に鰻を爽快に美味しい
味覚に変えてしまいます。
この鰻のパリッと歯に当たった食感の良さと
サクッと咀嚼してホクホクな白身の旨味とが
合い互いに訪れる美味しさは堪らなく
かなり長く余韻を残して行きます。
その余韻に浸りながら身を酔いに任せるのも
また、楽しからず哉。

⑫揚げ物

飛騨牛飛び牛のシャトーブリアンの牛カツ
酢橘塩
和芥子
薄口ソース

衣が
黒毛の牛肉の旨味をたっぷり堪能できると
同時に
シャトーブリアン肉自身の醍醐味を味わう

チョツト硬めの衣を薄くして揚げてるので
サクッとした食感の中にもしっかりとした
衣の食感が隠れてて
咀嚼した感じが気持ちいいのです。
お一つ目に酢橘塩も良くて
この旨味十分なお肉を酢橘塩の酸っぱさと
塩気が良く引き立てる、と言うかお肉の品格が
表に出て来る感じか、素晴らしいです。

正に感動的なお味で肉質がとんでもなく
ぷよぷよでふわんふわんとお口の中で
揺れてますよ。
ガッツリ暴れるお肉では無く
気品が感じられるお淑やかさと
秘めた生命力が充満して旨味に反映してくる
そんな凄味で、もう、兎に角、
うんわぁ〜、旨い美味い旨すぎるゥ〜、
なのです。

元来和牛の美味さは刺しが赤身肉に入り
脂がきめ細やかに含まれるところから
柔らか味と旨味が浮き上がるのですが、
この飛び牛のシャトーブリアンは
赤身のみで柔らかく
揚げ加減の仕上がりもレア感抜群で
しなやかな旨味を特製に持つ特別な赤身の
ポテンシャルをグッと引き出しており
部厚いカットも柔らかく歯が官能的な
その肉布団に吸い込まれて行ってしまいます。
それでいて歯切れも良く、
お肉から溢れるジューシーで上品な味わいが
しのはら特製牛カツをサクッと噛んだ途端に
迸り溢れ返るのです。
その甘味と旨味が舌を陶酔の渦の中に
巻き込んで
至福の美味しさが訪れて
幸せ感でいっぱいになります。
感動ものの一皿です。
圧倒的な美味しさに参りました。

⑬鍋物

浜名湖の骨付き鼈
焼き豆腐
焼き餅
焼き長葱

鼈のお出汁が染み染みと舌に響くゥ〜。
んんまぁい。
強烈なお肉の後にこの濃厚なスープが
滋味深く感じられて
良くも、スッポンだけで此処まで奥行きある
うま味を出し切るモノだわと、
感心しちゃいます。
ズルズルゥ〜ッと全部飲み干したくなるお汁
鼈だけで引いたお出汁のうま味が
スープに押し寄せていて味わい深く
舌に馴染んできます。
そのスープの旨味に浸された焼き豆腐と
焼き葱がこっくりと味わえて美味しいのです。
鼈のコラーゲンが艶かしくプルプルしてて
舌の上を撫でて通り過ぎます。
そしてモッチリと焼き餅がビヨ〜ンと伸びて
歯に少しく引っ付きながら愛嬌振り撒いて行く
この食材たちのコンビネーションが
美味礼讃なお料理を盛り上げます。

⑭お食事-1

土鍋ご飯
いくら
香の物
緑茶

土鍋にギッシリ敷き詰められたいくらご飯
どんだけいくらを使ってるのかなぁと
思ってしまいます。
そして単なるいくらご飯では無くて
イクラご飯にイクラをすり潰した汁を掛けて
イクラTKGご飯にしてご登場です。
いくらTKGが普通のTKGみたいな感覚の味覚
なのですが、コク深さと甘みの次元が全く異なる美味しさをご飯の中に閉じ込めて
米粒を噛んで弾けると一緒にそのいくら汁が
迸っていくら風味が弾け飛ぶ仕組みに
なってます。
このしのはらスペシャルないくらTKGは
流石に舌を唸らせる絶品卵かけご飯でした。
これヤバすぎて、お代わりしたくなります。
でも、お腹がはち切れんばかりですので
お雑炊に備えて控えちゃいました。

⑮お食事-2

鼈雑炊です。
鼈出汁のうま味がお米に浸透してて
いいお味だわ。
お腹にも優しい味にて
丁度良いシメのご飯となります。
鼈料理がこんなに美味しく頂けて
鼈冥利に尽きます。
きっと鼈さんも天国で喜んでおられるのではと
感動のお雑炊に感謝の気持ちを込めて
御馳走様です。

⑯甘味

水羊羹
抹茶

この水羊羹甘味がサッパリとしてる割に濃厚な小豆の味が押し出されててとても
品良く仕上がってます。
お話を聞きますと
湯掻いた小豆の汁で水羊羹に
仕立ててるのだそうです。
なので小豆の味覚も濃厚に取り込まれて
しつこく無く揺ら揺らしてしっとりとした
水羊羹になるそうです。


2019/09/26 更新

4回目

2019/05 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

令和元年しのはら物語序章

■2019/05/16(木)17:00〜訪店

令和元年しのはら物語序章
令和時代の始まりとともに
新たなしのはら料理の幕開けです。

何時もの通り、先ずは香煎茶にて
お口を湿らして昆布の香りで纏います。

①先付

茄子釜に新物の賀茂茄子
細麺風に仕立てて
お出汁を合わせてお楽しみください、
との大将からの令和の詔でございます。

茄子釜のヘタがお蓋になってます。
蓋を開けてお椀の見返し同様に
丸茄子の坊主頭を見つめてしまいました。
全く淀み無く綺麗な翡翠色に染まった
茄子の肉質がとても瑞々しく目に飛び込んできます。
後でこの蓋の身を少し齧り
純粋に茄子の美を味わいます。
ジュッとジューシーに呟いて
繊維質がシャキッと歯に返るのです。
お茄子の味覚と食感がとても楽しい。

さあ、本命のお茄子の細麺を頂きます。
一口ツルツルっとお口の中に含んで
冷んやり広がる清涼感が気持ちいい。
そして、喉越し豊かにお茄子の麺が喉を
通り行く瞬間、衝撃の味覚がお口全体に走る

これこそ正しく、しのはら流の奥義なのか!
何なのだ、このコシの強さ、爽快感
茄子の美しくも可憐なる味わいに驚愕する

走り抜けていく茄子の麵はまるで上質な稲庭饂飩
茄子ですよ、茄子なのにこんな喉越しの
豊かさを実感出来るとは驚愕のお料理です。
これは、茄子の新世界を開拓したかの様な
ショックを受けました。

兎・に・か・く
お茄子の繊維質が鮮魚みたいに生き生きとしている
茄子自身が喜んでるかのように躍動感の溢れる瑞々しさ
その茄子の身を噛むともっちり感まで伴う
しなやかな踊りを見せます。
どうやったらこんなもん作れるのか
サッと茹でて直ぐに冷水を浴びせるそうですが
タイミングとか難しいとの事
また、この茄子にしっぽりと悩ましく
絡んでくるのがうま味豊富なお出汁さん。
たっぷりの昆布とわんさかの鰹で
贅を尽くしたおつゆなのです。

この出汁味にどっぷり浸かった茄子の麺を
ズルズル〜ッと吸い込んで
ツルツル〜ッと喉に滑らせて行くと
超激うま旨すぎて、いきなり先付から
大興奮が脳を突き抜けて行きました。

令和しのはら始め、やられました。

②お椀

鱧の飛龍頭
新玉葱
白木耳
生姜とお酒を効かした丸仕立てのお出汁

時季的にはまだ早いか鱧さんなので
ちょっと脂のノリが足らないので
其れを飛龍頭で脂を混ぜてやると
俄然、生き返ったように
鱧のポテンシャルが引き出されて
贅沢な飛龍頭にドロンと化けるのです。
白木耳の食感がいい感じに寄せてくるわ
新玉葱のホロリとした味覚も嬉しくなるわ
新玉葱の甘さも美味しく浮き出るわ
お椀全体がうま味でゆらゆらして
舌が丸仕立てに溺れそうになるわ
こりゃ大変だわ

③お造り

端午の節句に因んで葉菖蒲で邪気除けです。

白浜の巻網の鮪の赤身
北海道から牡丹海老
玄界灘の泥障烏賊
千葉竹岡の平目

山葵
昆布醤油の煮凝り
酢橘割醤油
土佐醤油

平目は酢橘の割醤油で淡白な切り身に
スッキリ柑橘系がお似合いだ

牡丹海老のトロ〜リンとした甘味が歯にも舌にも抱きついてくるのだ、
この抱きつかれた時の艶やかな肉感が堪らなく
甘味を妖艶なものにて舌を惑わせながら絡みつきます。

鮪は山葵醤油で
血合いの良さが頭抜けていて
この赤身のポテンシャルを引き出す山葵醤油が
ベストマッチングです。

④飯蒸しキャビア

滋賀県の近江米の蒸したおこわに
ベルギー産のオシェトラキャビア

藁の香り
おこわの甘味
キャビアの塩味

三位一体的に融合する味覚が凄くて
途轍もなく感動する激うまお握りみたいです。
しかもボリューミーなおこわの塊を
一口で頬張って仕舞います。
するとどうでしょう、
ふかふかに蒸されたばかりのおこわが
お口の中でフワッと甘さを振りまきながら
沈んでいく経過の中で
これも贅沢感てんこ盛りで
山盛りのキャビアが大海の香りと共に
塩味がさざ波の如く寄せてくるのです。
この辺りも流石でキャビアは高価なので
原価率も高く少量な施しになりがちですが
たっぷりとキャビアの醍醐味を堪能するに足る
贅沢な量のキャビアで舌を喜ばしてくれる
しのはら料理です。

⑤お凌ぎ

姫竹
能登の鳥貝

酢橘


鳥貝ってガムみたいにクチャクチャ噛んでると
甘味がどんどんジューシーに溢れてきて
お口の中を鳥貝味で充満させて
しまうのですよね。
この甘味が歯にも舌にも唇にも
満遍なく伝わって来て膨よかな口福感を頂けるのです。
しかもこの能登産のものが品良くて
甘味がず〜っと続いて美味しいのです。
其の甘味の合間にやって来る姫竹の食感が良いのです。
間合いのいいコンビネーション作品。

⑥フォアグラマンゴー最中

しのはら名物のご登場
もう説明は不要かと思いますが
麗しのしのはら虞美人姉妹が織りなす
フォアグラマンゴー最中!
マンゴーの甘味が口溶けていく
フォアグラの耽美な味覚がマンゴーと一緒に
口溶けて行く
この両者の贅沢な甘味が
最中のパリパリ感と一緒に歯に寄り付いて来る
この感触に慣れてしまうと麻薬のような
誘惑に抗う術無しです。

⑦八寸

本日は珍しく広門さんが八寸のご説明です。

天然の琵琶湖の稚鮎唐揚げ
暖かいうちに頂きます。
ワタが美味しい
揚げてる時の温度で良く
中が蒸されてるのでしょう
鮎の身がホクホクに柔らかくて甘くて
ワタの苦味とのサンドイッチ味が珍味

蓮根の酢漬け
稚鮎の後にお口サッパリとさせてくれます。

黄色い器には玉子真薯
とてもふわふわ気分にウキウキしてしまう
スポンジ〜な真薯

スモークした蛍烏賊

柔らかく蒸した蛸
この蛸が嫋やかなる柔らか味を演じて
口当たり宜しいようです。

玉蜀黍のかき揚げ
揚げたてです
香りが丸くて優しい甘味が齧ると
ジュ〜ゥ〜ッと噴き出る
お口の中を玉蜀黍味が駆け巡ります。

半生のばちこ
生暖かい柔らかい分厚いばちこ
厚みが有るから歯で食いついて
引き千切って食べる
引き千切るとあの珍味がジンワリと広がる
ヤバイ、こりゃお酒用だわ。

鯛の笹巻き寿司
色んな妙味に珍味揃いの美味しいで
お口を満たした後で
キュッとしまった舎利に鯛を締めて
握りで頂くと
お腹が落ち着く満足感が訪れます。

筍の木の芽和え
山菜のこごみ
鰹の漬け
玉葱と昆布で作った漬け醤油で潜らせたもの
生姜を添えて
この鰹が艶めかしくて色気を振りまいて
舌を悩ますお味なの
悩殺されてしまいました。

八寸を頂いてる最中に見せて頂いたのが、
ご立派お見事な綺麗なさしの入った
うっとりするほどのシャトーブリアン
これから焼き場でジューシーに火入れするのでしょう
後ほどのお料理にワクワクしてしまいます。
こんなお肉の塊を目の前に出されたら
誰しもが俎板の上に釘付けです。
一瞬カウンター周りがシーンとしました。

⑧鮪とべったらの手巻き寿司

此れも八寸の合間に手渡しされる巻き寿司
鮪とべったらの名コンビが作り出す旨味と
海苔のパリンと張った食感の狭間で
美味しいと言う味覚とともに楽しいお料理と言うものを再認識させられる一品。
本日の使い手は桜井さん。

⑨お口直し

釣瓶落としの器には氷の下敷きの上に
硝子の器を座らせてます。
その中には

新蓴菜
鼈スープの煮凝り
半田素麵
真ん中にトマト

お口を爽やかにスキッとさせる逸品
鼈スープと蓴菜のコンビネーションから届く
爽快感とプルプル感が堪らず唇がピクンと
震え出しちゃう
つるんと蓴菜を飲み込むとお口が喜んじゃう
次に半田素麵をツルツルツル〜ッと吸うと
流石と思わせる半田麺のコシの強さと
喉越しの食感の滑らかさに嬉しくなり
麺が一緒に鼈スープのうま味も絡んで
届けるので極上の癒し味が訪れます。
そしてトマトの酸味豊かに
煮凝りのうま味が酸っぱい味と重なり合って
涼風感いっぱい広がる妙味を引き出してます。
この一品は初夏にチリリンと心に響く涼を
お運びです。

⑩焼き鼈

粉山椒をかけてガブリとむしゃぶり付き
お肉に齧り付いて
骨までしゃぶり尽くすように
ムシャムシャ喰らい付きます。
此れはホント、何時も感じるのですが
官能的な肉肉しさ
お肉の身をお口に取り込む
血肉がお口の中で脇踊る感じ
お肉が体の中に溶け込んで血中に
滋養がドクドクと入り込んでくる感じ
元気いっぱいが高揚して
御満悦な味覚がお口周りに残って
脳天まで鼈の極旨が突き抜けるのです。

⑪蛤汁

うるい
こごみ

隠し味に
カンボジアのブラックペッパー

蛤のエキス200%引き出したお汁が
滋味溢れるうま味
全く雑味のない蛤味に舌が浸ります。
うるいの甘さとこごみの食感
春の陽気をそのまま調和して来る作品
たくさん食べて少しお疲れ気味の舌を
優しく和みの春風がそよぎます。

⑫お食事

新生姜の炊き込みご飯
しのはら牛ステーキ
香の物

ちり酢

胡椒

飛び牛のシャトーブリアンが焼けて来ました。肉質がいいのは当然ですが
恐るべき赤身のふわふわ感とプルプル感
まるでプリンです。
しのはら大将が焼き場で
あれ程じっくり焼いたにも関わらず
ロゼ色の柔肌は妖艷にユラユラと揺れて
外目はくっきり焦げ目が付いて口当たりが
飛び牛の強靭さを感じる焦げ目
中のレア気味な赤身を齧ると
肉汁がそのロゼ色の赤身の肉から
トクントクンと脈打つように流れ出して
唇にも舌にも滴り落ちて来る
官能的な柔らかい旨味に恍惚となってしまう
まさに熟れた肉布団なのです。

然も、一品としてではなく
ご飯のお供にこれを出しちゃう心意気に
おったまげます。
このお肉の甘味をお口の中に含ませて
ジューシーな味覚と高貴な旨味の余韻を
残したままで
新生姜の炊き込みご飯を頂くと
勢を尽くされた極地に迷い込んだかの様です。
生姜風味香る爽やかご飯と
対照的な激うま濃厚なしのはらステーキの
お食事は満足を通り越して
舌が歓喜に沸いております。

⑭もずく雑炊

お腹はち切れるゥ〜。
鼈出汁のコクのある海蘊の雑炊
軽く頂き、心の中で拍手喝采しております。

⑮甘味

蓬の金団
お抹茶

2019/05/29 更新

3回目

2019/04 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

平成の天の川に一際光り輝く星 しのはら

■2019.04.27(土)17:00〜訪店

■お店

この和気藹々とした雰囲気
お客様との一体感
時を忘れ日頃の疲れを笑い飛ばしてくれる
和みのひと時
こんな日本料理店を誰が想像していただろうか
正夢が現実になる

平成から令和へと時代の変わり目に相応しく
美しくフォアグラ最中のお顔も
令和への口福顔に衣替えのご用意です。
流石しのはらさん。
こんな口福顔に最中を手渡しされましたら
幸せ紀行に旅立ちたくなります。

喜びの歌声が高らかに響く平成最期の
しのはら料理
本日は旬が短命な花山椒尽くしのお料理を
最初から最後まで満喫する平成の
しのはら史に残る豪華版
嬉しい楽しい笑い声が絶え間なく展開した
しのはらさんです。
お弟子さんたちとの
和やかな微笑ましい会話も弾み
その渦にお客様も惹かれて
笑いが絶えませんでした。
美味しくて楽しい、この魅力は令和になっても
勢い衰える事なく受け継がれて
行くのだと思います。

■お料理 お任せ
お酒税サ含む¥35,000ほど。

⓪香煎茶

何時も通り昆布の香りにホット一息
落ち着きます。

①先付

赤貝
三度豆
平目と牡丹海老から引かれたお出汁で作った
煮凝りを掛けて頂いてます。

最初からテンション上がるわ、
この赤貝のポチャッと膨よかで
歯触りのプリプリっとした食感も素晴らしいが
プチンと弾けて来る赤貝の甘味がいいのです。
早速、ビールを飲み干して
銘酒しのはらにチェンジしたくなります。

◉しのはら

②お椀

特注のばちこ
毛蟹真薯
ホワイトアスパラ

このばちこが普通のお煎餅みたいに薄くなくて
分厚くてふっくらとしてるのです。
どんだけ卵巣使ってるのかと思うほどで、
こんなに噛みごたえ感のあるばちこは
大将のお言葉通り、しのはらならではの
特注ものと思います。
ばちこからの塩味が淡く寄せてきます。
その上に重なるようにお出汁のうま味が
舌を追いかけて来ます。
お出汁の味わいが丸くて優しげに真薯に
纏わり、真薯を解しながら頂くと
毛蟹の解しが少しづつお椀の中に溶け込んで
真薯の甘みを感じます。
春のお野菜ホワイトアスパラが貴賓溢れるほど
柔らかくて細やかな繊維質の食感に
施されてて歯に全く繊維が引っかからずに
ふわりと千切れていくのです。
その食感の素晴らしさと吸い地のうま味に
浸された食物繊維の美味しさに圧倒されます。
真薯がホロリと崩れる甘味
アスパラのふわりとした甘味
吸い地のうま味
ばちこの塩味
此奴らが三位一体となり舌を
陶酔させるのです。
ホント、参るわ。

③お造り

邪気払いの葉菖蒲を添えて

千葉竹岡の平目
玄界灘の煽り烏賊
北海道の牡丹海老
気仙沼延縄の黒鮪

酢橘割り醤油
造り醤油
生わさび
昆布醤油煮凝り

どのお刺身も鮮度が良く逸品ものばかり
平目の透き通るような無垢な甘味には
酢橘醤油を効かせて甘酸っぱさを馴染ませて
とても美味しい。
牡丹海老のねっとり感が潤沢に甘味を
振りまいて舌に抱き付いてくる
うっとりしちゃう
そしてお造りのメインは黒鮪
部位は中トロ
スベスベな肌触りにたっぷり脂が乗ってて
雑味のない高貴な甘味が舌にビンビン伝わる
わさびだけで頂くと素材が良いもんだから
わさびが負けそうなくらい旨味が濃厚で
舌がうっとりするほど鮪のお肉が蕩けてくる
このトロはスンバラシク美味かった。
ついでにしのはらがクイクイ進んじゃいます。

④蒸し物

焼き白子の蒸し寿司
ちり酢

一番出汁に少々お塩を施した銀餡に
焼き白子ちゃんをグルグルとスプーンで
掻き混ぜ掻き混ぜ蒸し寿司に良〜く馴染むまで
リゾット風に仕上げていきます。
頃合い良しと思い、一口頂くと
白子がドロリとお米の一粒一粒に絡んで
白子のあのぷよぷよな甘味に銀餡のねっとり感とご飯の甘味もちゃんと参加して
多重層からなる珍味がお口の中に
迸ります。
これは絶品です。
それに自分でお料理してるみたいで
ちょっとだけ職人気分に浸れる面白さも
味わえて楽しいお料理
平成最期の白子記念蒸し寿司。

⑤焼物

京都衣笠の筍
花山椒

こんがりと焼かれた筍に
酢橘をぎゅっと上から絞って滴らせてから
手前のお塩をチョコンと付けて頂くと
筍の甘味がくっきりと浮かび上がり
舌が狂喜してしまいます。。
更にこの甘味に花山椒がピリピリって
舌を刺激して筍の甘味と愉快に
主張し合います。
筍に酢橘に花山椒と言う組み合わせも
さる事ながら
こう言う妙味を難なくお献立の流れの合間に
タイミングよく挟んでくるとは
しのはら料理にはやはり脱帽です。

⑥お口直し

フォアグラマンゴー最中

平成を〆ますしのはら名物の最中を
手渡しますのは
麗しの虞美人な笑みを浮かべてる可愛い
お料理人さんです。
今までと違う和やかな雰囲気が
厨房内にも流れて何となくお客様たちも
弾んでる感じが見受けられて楽しいです。

⑦八寸

お小皿には
初鰹を玉葱のエキスと昆布を施した作り醤油の
漬けにしてあります。

八つ橋の上に所狭しと雅に
盛り付けられてます八寸の見事な景観に
つい、見惚れてしまいます。

琵琶湖の稚鮎
玉子真薯
蓮根酢漬け
蛸の柔らか煮
スナップえんどうのお浸しに塩雲丹を詰めて
滑川の蛍烏賊
舞鶴の鮑
滋賀の赤蒟蒻
笹巻き寿司 中は鯛の握り
筍の木の芽和え

先ずは稚鮎の焼き物から冷めないうちに
頂きます。
お顔が獰猛にお口パックリ開いてます。
ワタもほろ苦くて超美味しい。
やばいくらいにお酒が進んじゃいます。

玉子真薯がもうふわふわで
まるでスポンジケーキなの、
何でこんな真薯が作れるの?
この一品マジックだわ。
マジカルな甘味の後にスッキリ味の蓮根をサクッと頂き、バランスの良い流れです。
蛸もホントふにゃふにゃ感じられるほど
ホロリとくる柔らか味が舌に優しい

初鰹の漬け!まるでさっきの黒鮪だ。
この赤身の耽美な甘味とコク深さは
何処から来るのだろう、
強いて言うならしのはら特製醤油の漬けの
甘味が鰹に抱き付いてきて鰹自身が
その旨味の変貌に気がついてないのではと
思ってしまいます。
これ、舌の上で転がし続けたい誘惑に
駆られました。

しのはらさんの八寸は何時もここで
一気にお酒が進んでしまうんですよね〜。
このまま平成の夜が更けなくても良いかなぁ
と思えるひと時なのです。

⑧お寿司

定番の鮪とべったら漬けの手巻き寿司
本日は酒井さんが手渡しです。
この間も何かにつけて大将にイタズラされてる
土井さんが面白い風景です。

⑨焼物

白子焼き
板海苔
花山椒
酢橘

食べ方のご指導が入ります。
酢橘を絞って白子を染めてから
スプーンに白子を乗せます。
その上に花山椒を散らしてお海苔を
添えてお口にパクリと入れます。
すると、んんん、うめぇ〜、
と叫びたくなるくらいに白子の口溶け感が
いっぱいに広がる白子特有の甘味に
混じって対等に漂う花山椒の清涼感が
舌を痺れさせて爽やかな甘味に変化していく
其処にお海苔の磯の味覚が寄り添って来る。
快感めいてうっとりしちゃう。
魔性の味覚です。

⑩口替わり

山菜のかき揚げ蕎麦
山菜はタラの芽や屈みなど
お蕎麦は二八で打ってます。
お出汁が淡い仕立て方で柚子を振ってます。

此処で温かいお蕎麦が来るとは絶妙な
タイミング
ちょっとお口が忙しかったので
小休止したかった所、良い塩梅に
ツルツルッと楽しめるものが嬉しいあしらい。
サクッとしたかき揚げの食感も良いし
屈みの苦味も淡いお出汁とともに丸くなって
美味しい
二八もスルスル〜って喉越し豊かに
滑っていきます。
ん、いい骨休みな作品。

⑪焼き鼈

此方も名物となりますしのはらさんの
得意料理、鼈の炭火焼
生命力の強さを感じる肉肉しい肉塊が
お皿の上に横たわってます。
この肉塊を手掴みでがっしり握り
歯を露わにしてガブリと噛み付きます。
正に肉肉しいと思える鼈料理
鼈の醍醐味を味わえる都内でも稀有な
お料理
この名作だけは令和になっても変わらず
にいて欲しいと思える逸品
無限大に広がる旨味を感じる焼き鼈なのです。

⑫煮物

蛤と生ひじき
花山椒

蛤のお出汁が濃厚なお汁
其処に浮かぶ蛤もぷるぷるとして
ふっくらな味わいが肉感的で
蛤味を堪能する
お汁を飲み干した後の満足感が
五臓六腑に染み渡るのです。

⑬お食事

平成を締めくくるしのはらご飯は二品

一品目は新生姜の炊き込みご飯
二品目は鱶鰭と伊勢海老の餡掛けご飯

ご飯のお供には何と、
飛騨牛のシャトーブリアンステーキ!
花山椒

薬味には
ちり酢

胡椒

このお肉料理、
流石しのはらさんと痛感してしまいます。
炭火で焼き上がったばかりのレアなお肉を
何も付けずに一つ齧ると
飛騨牛の赤身の官能的な旨味を
グイッと引き出して来て
その旨味を舌に抱き寄せて
舌を興奮状態にさせる程の旨味が訪れる

舌がうっとりしてる間に
赤身をちり酢にタプタプと浸して
ちり酢塗れになったシャトーブリアンに
齧り付く、と言うより齧るほどなく
歯が勝手に赤身に吸い込まれて行く
歯がこのエロい肉布団に包まれて
ジューシーな肉汁がワインカラーの
赤身肉からタラタラとお口の中に流れ込む
この時に出逢う肉自身の旨味と肉汁の甘味に
打ち勝つ術はなく
お口全体に広がる口福の味覚に舌は恍惚となり
雲の上に浮かんでるような気分に浸れる

この濃厚な味わいにそっと寄り添うのが
爽やかな笑みを浮かべる新生姜の香るご飯
お米の穏やかな甘味に生姜がたっぷり
染み込んでいてスッキリとお肉の余韻を
中和させてくれる落ち着くご飯

次に控えしは
これも贅沢な鱶鰭と伊勢海老の餡を
たっぷり掛けたご飯。
もう満腹状態ですが
平成の食べ収めとばかりに胃袋に
贅沢ご飯を掻き込んで行きます。
鱶鰭と伊勢海老なんて大海からの極上の
うま味エレメントが大行進するご飯
誠に美食三昧なお料理に感謝です。

⑭甘味

蓬の金団
お抹茶

令和時代にはどんなしのはら料理が
飛び出てくるのか
新時代を迎えるしのはら料理にもワクワクが
待っていそうです。

2019/05/12 更新

2回目

2019/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

雅に桜がひらひらと寄り添う春の宴

■2019.03.16(土)17:00〜訪店

■お料理

雅やかな絢爛模様のお花見気分に浸り
桜を満喫させて頂ける宴を頂きました。

何時ものことながら感謝と嬉しいが
いっぱい詰まった春料理
しのはら大将に心を込めての
有難うを贈りたいと思います。

①先付

宍道湖の白魚
生雲丹
牡丹海老
菜花

を加減酢で施しました、
色々な組み合わせをお好みで合わせて
どうぞ!との張りのある
しのはら大将の生き生きとした発声で
本日のお料理スタートです。

何時も思うのですが、
このお声掛けでふっと心和むと言いますか
ホッと安心する一声なのです。
今日も期待に胸膨らせたもの以上の美味が
私たちを訪れるのでしょう。

言うまでもなく雲丹の蕩ける甘味が舌に
美味しく余韻を残していき
菜花を浸した加減酢の酸味がその跡を
追いかけて行きます。
其処にプリプリって牡丹海老ちゃんが
トロンとまったり舌に抱きついてくるのです。
美味しい合唱団の奏でるメロディーに
うっとりです。

最初はおビールからですが、
お料理に合わせて「銀座 しのはら」を
飲みたくなります。
残念な事に本日は品切れとの事。
次回まで再会を期して待つ事とします。

②お椀

伊勢海老の飛龍頭


この吸い地のうま味は何処から来るのだろうか
滋賀の地から受け継がれし鰹風味と
ほんのり香り付けされたような淡い昆布の甘味
を引き出す張り方は、
一つの完成された技術とつくづく思います。

時々厨房の奥からお弟子さんが
大将に、兄ちゃんちょっとお願い、
みたいな風に小皿を差し出して出汁の味見を
頼んでる風景がまた、微笑ましいのです。
でも、その時見せるしのはらさんの
真剣な表情は一瞬の迷いもなく
ん、今日もこれで行けるわ、と言う感じで
と自らを納得させるように頷いてます。
その頷きが目の前のお椀に
化けてくるのですね。

憂いを含むかのような
それでいて儚く消えゆく蕪への思い

蕪の嫋やかなること
優しいこと
柔らかなること
比類なき炊き加減に感動

もう舌が一緒に崩れてしまいたいと思えるほど
蕪の身が舌にふわふわぁ〜って寄り添うのです
その寄り添い方がソフトタッチで舌を撫でてくるのですよ。
もう、タマランのです。
このお淑やかさ
滋味深さ
心に染み込んでくる感じ
此処まで淡く優しく出来るものなのかと、
不思議に思ってしまいます。
限界まで柔らかく炊いて
これ以上はふっと水の中に溶けていってしまうのでは、良く形が残ってると
それ故に食べきってしまう儚さが余韻として
残り続けるのでしょうか。
んん、流石にこの蕪は参りましたね〜。

◉飛露喜

③お造り

ハイ、お料理お出しして〜、
と張りのあるお声が店内に通ります。

紅葉と桜の絵付けで飾られた結び目の器が
春秋を装い雅なお姿です。
上蓋を取ると目の前に海の幸が広がってます。

青森のヒラメ
三厩の鮪
山口の蒸し鮑
長崎の鰆を松前漬けにしたもの

酢橘塩
醤油

山葵
昆布醤油煮凝り

松前漬けの所作を先程から眺めていたのですが
昆布とスルメとお醤油を漬け込んだ汁が
ボールにいっぱい詰まって
その中にぽちゃんと鰆を漬けこんでます。
漬け込む時間、ほんの2〜3分ほどなのです。

鮪は嬉しい二色立て
血合いものの赤身と中トロ
赤身の旨味は山葵醬油の相性で
中トロは濃厚な煮凝りとの相性が
トロ〜ッとした甘味の強さを引き立てます。

酢橘塩が平目をサッパリと塩気を含ませて
酸味と平目の甘味を仲立ちします。

松前漬けの昆布の風味を醤油味がバランスよく整えて鰆のスベスベなお肌を舐めて行き
舌の上で漬けの味わいを楽しませてくれます。

お刺身同士の組み合わせも色合いも
異なる味覚も色々楽しめてお酒が進んで
しまいます。

④お凌ぎ

虎河豚白子の蒸し寿司の餡掛け
花山葵
ちり酢

白子と銀餡の上から
ぽん酢ベースのおろしを施したちり酢が
滴らせてあります。

頂き方は
リゾット感覚で白子を蒸し寿司と
掻き混ぜて影も形もないくらいに
ぐちゃぐちゃにして下さいとの事です。
え〜、何か白子が可哀想に思えて勿体なく
思えますゥ、と独り言ちていますと

しのはら教授曰く、

何を仰いますか、勿体なかろうが
ぐちゃぐちゃになろうが、
美味しければ良いんですよォ〜、と
御指南です。

木の蓮華でぐちゃぐちゃグチャ〜って
掻き混ぜ混ぜして
白子リゾットの出来上がり!
で、味はどうかなと熱々の白子リゾットを
少しフゥフゥして頂きます。
ん、オッ?うわぁ〜って広がる激ウマうまな
美味しさにビックリ!
リゾットを一舐めして走る衝撃の甘さ
蒸し寿司の温かくてもっちりした食感が
銀餡との掛け合いで塩梅良くふっくらとした
味わいで舌に絡んで来る
その絡みの中から淡くほんのりと微かに寄せる
塩気、その塩気が白子の甘味をくっきりと浮かび上がらせて味蕾の細胞に極上の円やか味と
クリーミィな味覚を永続させて行きます。
ず〜っとその旨味、もうなんと言うのか
天国風味が舞い降りてくるのですよ。
此れこそ、しのはら料理の真骨頂なのだと
美味な渦が巻き広がるのです。

⑤花見八寸

お花見を模した八寸です。
この場でお花見に花見酒を振舞われるとは
思いもよりませんでした。
誠に雅な宴です。

ぼんぼりの器には筍の木の芽和え
合わせ蛤の器には貝寄せのお料理

平貝
北寄貝
本みる貝
独活
浜防風
黄身酢

春の貝尽くしにしっぽり舌が貝の味の虜になり
大海の旨味の中にしい寄せられて行きます。

串打ちは、

赤蒟蒻のきんぴら
スナップえんどうに塩雲丹練り込んで
蛍烏賊を藁で炙ったもの
玉子真薯
蓮根の酢漬け
鯛子の旨煮
胡瓜に金山寺味噌を添えて
蛸の柔らか煮

蛍烏賊の可愛いお姿がお口の中で
ツルンと滑って気持ちよく喉を通り過ぎます。
蛍烏賊が藁の薫香をほんのり漂わせながら
春の気分に浸れる甘味を振りまいて来ます。

赤蒟蒻もクニュっとした食感が
ぷよぷよと舌の上で泳いで
いい気持ちなのです。

鯛子もつぶつぶ食感が潔い食感を伴い
しっとりと煮込んだ旨味がお口いっぱいに
広がります。

どの一品もお酒のアテにピッタリ
嵌って、お花見気分が満開なままに
ほろ酔い加減が進んじゃって夢見心地です。

◉日高見を燗酒で

⑥あんぽ柿とフォアグラ最中

今日は桜井さんがピンチヒッターで
笑顔付きの最中をお運びです。
この最中はいつ頂いても絶品。

⑦手巻き寿司

べったら漬けと鮪の手巻き寿司

丸友のお海苔のパリパリ感が半端ない巻物なのであります。
この風味豊かな磯の味に纏われた手巻きも
しのはら料理には無くてはならない
必須アイテムですね。

⑧焼物

❇︎焼き鼈

鼈天国行きのエレベーターに乗って
味覚が旨味と共に昇華して行く凄い味わい

ガブリと鷲掴みで齧り付く醍醐味
お手手がべとつくなど構いません
このダイナミックに味わう食感と
肉肉しい美味さはしのはら大将の
長年の鼈料理研究の賜物かと

此れが鼈なの?と見紛うほど
荒々しい珍味でお口を蹂躙して行くのです。
その味覚の迸る美味さは
強く舌を捉えて離さず、
強烈なインパクトを残します。

肉片を食べ切っても未だ、
骨にへばり付いた鼈の残りを
シャブリ尽くして、
その味を脳に刻んでおきたいと
舌が要求するのです。

⑨揚物

❇︎白子のフライ
❇︎自家製の白味噌ベースのソース
❇︎お塩
❇︎酢橘

車麩を砕いたパン粉で
サクッとフライにされてます。
この車麩衣の少し厚めの食感が白子との相性が抜群で旨味を膨よかに包み込んでます。
衣の固さ加減が歯にカリッと引っかかる
食感と白子のホクホクでプルプルした
甘味との一体感が重なり合うのですが
お口の中では車麩の固めの衣と
白子の口溶け感のコントラストが
花咲いて新鮮な甘味を創出します。
更に、
このカリカリ衣にしのはら特性ソースを
付けると濃厚な白味噌風味とコクが感じられて
チョツト甲殻類の出汁味が滲むようなうま味が
感じられます。

⑩煮物

❇︎筍と蛤

九十九里の蛤がプクプクッと膨らみがあって
ピンク色に染まった身から蛤の甘味と
磯の風味がさざ波の如く寄せて来ます。
出汁が張られた餡がうま味たっぷりで
蛤の味覚をグイッと引っ張り出して
蛤の味わいがお口に充満して行きます。
其処に筍の甘味がおっとりとして
お料理全体をこっくりした味わいに
仕上げてるのです。
この施しはお酒を知らず知らずに
進めてしまいます。

◉田酒

⑪焼物

❇︎尾長鴨
❇︎山椒
❇︎和芥子
❇︎お塩

鴨が肉肉しくジビエっぽいのですが
肉質が柔らかくて品のある感じでとても
好感の持てる逸品。

海から春の潮風をなびかせて
大地の恵みから春の香りを届けて
春日和に流れるせせらぎから春肉をお届け

官能的な赤ワインカラーの色が食欲唆ります。
とてもジューシーな旨味を滴らせてる様に
キラキラと光って見えます。
その肉塊をお箸で摘んでお口に入れると
どこまでもキメの細やかなふわっとした
赤身の肉質がじゅわ〜って感じで
お肉の旨味を発散させてうっとりと
しちゃいます。
んんまぁ、
鴨肉ってこんなに美味しかったっけ?と
舌を唸らせます。

⑫山菜ごはん

春の根菜類が賑やかに産声を上げて
芳しい匂ひを奏でる春ご飯

こごみ

たらの芽
アスパラ

香の物

ご飯の甘味
米粒が立って
つぶつぶ感が浮き上がる食感
こごみやタラの芽が春を振り撒いて
穏やかな陽射しを白米に注いでいるような
緩やかにお米の味が舌に訪れます。
ご飯がとても優しくて美味しいのです。
米粒を噛むたびに混じり合う食物繊維が
こよなく春の味覚を舌に抱き寄せます。
素敵ご飯な春一番

⑬玉子にゅうめん

❇︎徳島の半田素麺
❇︎玉子とじ

出汁を上手に潜らせて慈の味わいに浸る
温和なニュー麺
ホッと心をポカポカと温めてくれます。

⑭甘味

桜きんとん

桜の葉を散りばめて
漉し餡と

⑮お抹茶

2019/03/26 更新

1回目

2019/01 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク4.2
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

雅な喜びに浸る至福のひと時

■2019.01.19(土)17:00〜訪店

■お料理 お任せ¥23,000
追加のお料理2品 ¥7,000
本日の追加料理は伊勢海老と白子焼き。

①白味噌お雑煮 佐賀蓮根 椀底に辛子
お餅 小豆

スタートは白味噌のお雑煮からです。
新年のお慶びに相応しく
今年一年に対する
思いを込めたお料理

豆に一年間が息災に過ごせますようにと
白味噌に小豆が浮かびます。
また、粘り強い生活を営めますように
杵付き餅をご用意です。
蓮根は見通しの良い一年になりますようにとの
お気持ちを表してます。
椀底には辛子が引いてあり
軽く掻き混ぜてやると、
白味噌の甘味に減り張りが付いてきて
味わい深い一品。
冷えた身体を温めて
心身ともにホッと癒す佳品。

②鱈の白子の蒸し寿司

柚子釜の中に鮨飯が詰まって飯の上に
雲子が添えられてます。
その柚子釜全体を銀餡が覆い尽くしてます。
お腹に米粒が入ると何か不思議と
落ち着くんですよね。

銀餡の中をお匙で掬いますと
真っ白く広がる無垢な雲子が柚子釜に
ギッシリ詰め込まれてます。
たっぷりと雲子のトロンとした甘味を堪能
雲子を推し避けて掘り進みますと
やっと鮨飯に辿り着いて
お匙で餡と飯を掻き混ぜて食べます。
すると、銀餡で包まれた鮨飯の味わいが
お優しい事、ねと〜ッとした温かみに
和みの味覚が鮨飯から伝わってきます。
お酒が欲しくなりお燗を所望。

◉四季桜

③鶴の向付

鶴のお皿に目出鯛お造りです。

・朝〆の明石の鯛
身がブリブリに締まってて歯応え十分で
生きの良さを感じます。

・四日寝かせた福岡の鯛
酢橘塩をつけてやりますと
鯛のプリッとしたシコシコ感が溢れて来て
其処に淡白な甘味にちょっとだけ塩っぱい加減の程よい酸味が追いかけて来る、
鯛の旨味を膨らませて楽しい味わいです。

・青森竜飛岬の鮪
血合いの乗った赤身部位と
官能的な甘味を感じる中トロの部位の
二段重ねです。
昆布醤油をお供に頂きますと
鮪の本性が露わとなり
その蕩ける旨味に舌が
押し潰されそうになります。
此れは美味い!
四季桜がクイッと進んでしまいます。

・薬味
山葵醤油に昆布醤油の煮凍り
酢橘塩
芽甘草が百合の香りを振りまいて
食欲を何気にお誘いする仕掛けです。

④潮仕立てのお椀

・蛤
・蕪
・神馬草

潮仕立てのお汁は
潮風味が椀全体に張り付いて
吸い地が優しくて舌が癒されるゥ〜。
とても和やかに味覚を楽しめるお味が宜しくて
思わずホッコリと和んでしまいます。
蛤の澄み切った穢れのない新鮮なお味に
感動してしまいました。
ここまで鮮度高く蛤らしさが
何処までも透き通る旨味を引き出せるとは
流石です。
その旨味を称えるかのように蕪が
舌の上でホロリと穏やかに蕩けていくのです。
此れは唸っちゃうお椀ですね〜。

⑤八寸

新春のお慶びの感動をそのままにお伝えする
雅な八寸です。

お正月も空けての
羽子板のお皿に突羽根が舞います。
梅に南天のお飾りを添えて
大王松を柳飾りの様にくるくると巻いて
回り回って新春の寿が来年も御自分に
還って来ますようにとの意味合いを乗せた
お料理です。

・長芋の甘煮
・萵苣薹(ちしゃとう)味噌漬け
・独活の紅梅煮
・慈姑の松風
・子持ち昆布
・蒸し鮑
・玉子真薯
・スコティッシュサーモンを蕪で巻いた砧巻き
・青干しゼンマイ
・金箔黒豆
・大間の海鼠
番茶で湯がいて茶ぶりなまこに仕立ててます。
・合鴨と菜の花
・紅白なます

何れを頂いても美味しく
絶妙な味覚のバランスを
組み合わせたアンサンブルです。
特筆すべきはやはり黒豆かな
皺一つないスベスベの黒豆
お見事なまでの艶めく黒豆に
ウットリしちゃいます。
海鼠も鮑もいい塩梅で炊かれてて
コリッとした食感が気持ちいいのです。
合鴨はピンク色のお肌が艶かしく
食欲が唆られて
ロースト具合のしっとり感と言い
肉質の柔らかさと言い旨味溢れます。

寿を福らませるお料理に舌鼓
喜びいっぱいの宴です。

⑥フォアグラとあんぽ柿の最中

お料理よりもインスタ等で
お兄さんの笑顔が有名な最中

⑦河豚の焼き白子
・酢橘
・板海苔

白子の表面には
お醤油とお塩を振って味を加えてます。
白子の身がかなり大きいので
先ずはそのままプヨプヨの白身の甘味を
堪能してから、
そのふっくらと焼きあがって
まだら模様にきつね色が焦げ付いた白子に
酢橘をキュッと絞って酸味を忍ばせても
美味しく頂けます。
焼き白子に酢橘のコンビネーションは
ちょっと新鮮で癖になりそうです。
更に板海苔がご用意されてて
白子の甘味が揺らいでる時にそっと海苔風味を
添えてやると白子の美味しさが変化して
お乗りのパリパリ感と白子のトロトロ感の
相対する食感を楽しめるのと同時に
白子が潮加減を帯びて白子の甘味に
程良いアクセントを付け足してくれるのです。
ほんのりと馨る醬油味と海苔風味に
白子の蕩ける甘味の三重奏に舌は降参です。

⑧伊勢海老の蕪と柚子の餡かけ焼き

ここで伊勢海老の頭と身を上手に割く手技を
しのはら大将が自ら
お客様の目の前で御披露です。
伊勢海老の髭の先を指で挟みながら
海老の足をグッとお髭と逆方向に
引っ張ってやると
あらまぁ不思議なくらいに綺麗に白身が
殻から裂けて露わになります。
そのホクホクの所を柚子の餡と一緒に
お口に放り込みます。
伊勢海老のプリップリに弾力する力強い
甘味がお口の中で弾き出されて
激ウマ旨の味覚が訪れます。
んん、これは堪らず唸りますね〜。

⑨海老芋の唐揚げ

扇型に揚げられた立派な海老芋
海老芋のど真ん中を抜いて
一旦炊いてから揚げてる所為か
お芋の繊維質のしっとりネットリ感が
半端なく美味しい。
ホクホクに揚げられた海老芋は
衣も薄衣でサクサク感が舌にふわりと伝わり
お芋を齧り進むとお淑やかに粉質の細やかさが
感じられてしっとりと
舌を穏やかに包み込むのです。
滋味深き海老芋に舌が喜んでます。

⑩青首鴨炭火焼き

少しレアな部分を残す様に焼いた青首鴨
ピンクになるまで焼きすぎると
お肉がパサ付いてしまうのだそうです。
獣さを少し感じられるようなレアっぽい
所で焼き上げるのがコツだそうです。
お肉の旨味がジューシーに発散して来ます。

⑪河豚鍋
・河豚の白身
・春菊
・榎
・ちり酢おろし

下関の天然河豚で2kgオーバーのデカイやつ
一週間ほど寝かせて旨味を膨らませてます。
福が皆様の上に届きますようにとの意味を
含ませた河豚鍋。
チリ酢おろしをご用意されてますので
河豚鍋にプカプカ浮かぶ河豚の白身をチリ酢に
付けて頂きますと
純粋無垢な白身がチリ酢に侵されるも
しっかり酸味を受け止めた力強い
河豚の旨味を発揮するのです。
お鍋がとてもバランス良い味わいを見せて
河豚自身の出汁と昆布の吸い地の
奥深さを楽しめる小気味好いお鍋です。

⑫いくらのTKG

土鍋でいくらがぎっしりと敷き詰められた
いくらご飯を見せて頂きワクワクしてたので
白米にいくら乗せかと思ってましたら
予想を上回るミラクルなTKGがご登場。
此れは吃驚仰天‼️

目の前の陶器の大皿にタプタプとした液体が
目に付きます。
何と!さっきの赤いイクラちゃんを
裏漉ししたものなのです。
イクラを裏漉ししたURTRA TKGが凄すぎ〜。
滅茶滅茶ご飯を蕩けさせるイクラの甘味と
エキスがたっぷり白米に染み込んだTKG。
板海苔の刻みを振りかけて
お海苔の風味といくらTKGの甘味が
魅惑のデュエットを演じます。
官能的な美味さのTKGは皆様
お代わりされてました。

⑬河豚雑炊

イクラTKGだけでかなりお腹いっぱいの所へ
河豚雑炊と来ました。
此れも河豚の出汁がお雑炊の中にコク深い
旨味を滲ませて上品かつダイナミックな
美味しさを楽しめるお雑炊です。
ここまで来ると感動しっ放しで
舌が味覚の渦に飲み込まれてしまいそうです。

⑭紅白金団 お抹茶

最後は定番の自家製金団に
お抹茶で締めさせて頂き
誠に嬉しい新春の食べ始めになりました。
謹んで御礼申し上げます。

  • 白味噌仕立ての先付 中にお餅が入ってます。 お味噌の品格が感じられて 穏やかな甘味を施してます。

  • 柚子釜の七分目ほど迄に鮨飯が詰まってる その上に新鮮な雲子が表面いっぱいに重ねられて 食べる度に舌が泣いて喜んじゃう。

2019/01/31 更新

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