miti4134さんが投稿したにい留(愛知/高岳)の口コミ詳細

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移転にい留高岳、新栄町、久屋大通/天ぷら

3

  • 夜の点数:4.9

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.8
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク -
  • 昼の点数:5.0

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク -
3回目

2021/11 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.8
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク-
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

衣がお口の中で口溶けする不思議な天風良

■2021.11.03(水)夕餉

■ご予約 OMAKASEにて

■お料理 お任せ¥38,500
飲み物含むお会計:¥42,900

〜〜〜お摘み編〜〜〜

❶北寄貝 長万部 水菜のお浸し

北寄貝の紐をお酒と水でコトコト約8時間ほど
其れをお浸しの出汁に使われてます。

北寄貝の紐がシコシコ
身もプックリふっくら
其処に水菜のシャキシャキ感が絡んで
見事なお浸し
お出汁に北寄貝の紐の旨味が写ってますが
とても複雑なウマミが浮かぶ味わいに
なってます。
北寄貝の豊かな膨らむ甘味が誠に穏やかなもの
食感がぷよぷよで生き生きしてる
その穏やかさな甘味と初々しい食感に水菜の
シャキシャキ感がクリアーに際立ち
その繊維質と肉感との触れ合いが
この一品の美味さを極めさせている気が
しました。
こう言う合わせ方は
新留大将の天性のセンスなんでしょうね。
スタートから実に綺麗な味わいで
気持ちの良い始まりです。

❷お造り

鯛 愛知の師崎
迷い鰹

浅葱
醤油

山葵
菊花の酢漬け

4分ほどの浸透圧のみで脱水させる。
塩分濃度が2.4%の塩水に4分浸けて
浸透圧で脱水してます。
山葵醤油でもお塩でも美味しい
身質がしなやかに弾力して来て
生き生きとした食感に生命力を感じます。
鰹は脂が乗ってます。
咀嚼すると滑らな肌触りに妖艶さを感じます。
お薬味の浅葱が感じの良いアクセント
鰹の鉄分旺盛な旨味にしっぽり抱きつかれての
浅葱がフッと香り立つのが良い

❸羅臼 雲子 柚子七味

50℃〜56℃程度の間で火入して温めた雲子を
鍋ごと急速に冷やして煮汁に浸したまま
味を整えています。
柚子七味を振って仕上げ

雲子の味覚を雲子のエキスで洗ってるわけで
雲子自身の旨味に深みが加わって
ネットリのトロ〜ンと零れてくる白身の
無垢で淡白な表情から少し濃度を持ち始め
同じ淡白な甘味でも
舌で舐めてるとコクが滲み出て来てるのです。
その微妙な濃度は淡麗な味わいから
少し甘味の濃度が深くなった感じで
とても奥床しい味わいになってて
舌がうっとり致しますね。
その舌触りの滑らかさと円やかな身質に
惚れ惚れしちゃいます。
堪らんです。

❹鮟肝と車麩の素揚げ 松の実

鮟肝は5日間血抜きをして低温調理を施して
一日寝かせてます。
鮟肝の下には素揚げした車麩を敷いて

全く雑味や血生臭さの無い鮟肝は
円やかな肉質感で
舌でムニュッと潰すとムッチリする粉質感で
お煎餅みたいな車麩のカリッとした食感との
コントラストが楽しい味わいに化けています。
此れは楽しくなる一品
ザクッと齧ってポリポリ歯を弾いてく来ながら
鮟肝が同時にしっとり質感を伸ばして来て
車麩を庇うかのように優しい甘味が包み込む
カリッ、トロンのメロディーが
心地良さげに奏でられておりました。

❺イクラの茶碗蒸し

イクラは小粒で可愛いく浮いてる
達人定番の茶碗蒸しは80℃で30分蒸したもの

玉蒸しの上には
今朝ほど漬けたばかりのイクラ絨毯が
ギッシリ敷き詰められてます。
もう、見てるだけで涎ものの美しさ
流石海の赤いダイヤモンドです。
茶碗蒸しを少し掬って舌の上に置き
その温感のままの甘味とうま味を頂く
あったかいので甘味が膨らんで
感じとられるのと
ぷよんと揺れる食感が温和な感じで
瑞々しさが新鮮に伝わって来ます。
玉蒸しがプリンみたいに
ぷよんぷよんに揺れて
とても柔らかいので
上のイクラと織り交ぜて少し
イクラエキスで塩味を加えてやると
良い塩梅にうま味が広がります。
イクラの鮮度が良いのでしよう。
プチンと薄皮がつぶれて中から
弾け飛んで来るエキスが
生き生きとした甘さで
とても新鮮な味わいでした。

〜〜〜天風良編〜〜〜

いよいよ神の衣に包まれた
にい留ワールドへ足を踏み入れます。

①車海老の頭×2 素揚げ 振り塩

2個出て来る
1個目は何もつけずにそのままの
食感を味わう
2個目はお好みで塩レモンおろし
など

素揚げはまるで生きてるかの様に
フレッシュな歯触り感を際立たせています。
何処の天ぷら屋さんとも違うシャツと
勢い?のあるサクサク感です。

口内でサワサワと脚が動く
熱々の頭をザクンッと噛む
頭本体はカリカリ歯応える
脚はサクサク破砕感が素直
頭は一切の余念を払い除け
自然に破砕される歯触りの
喜びに舌が震えていました。
シンプルに噛んだ時の潔さ
とても素敵な食感なのです。

車海老を太白胡麻油の中に入れる
シュワシュワァ〜ッと音を立てて
車海老が浮き上がる
真っ白い天麩羅の揚げ玉がいっぱい
お鍋を埋め尽くす様に真っ白に染める
かす揚げのお玉で
揚げ玉を大将が脂を揺らしながら掬う
帰りにこの揚げ玉が手土産となります。

車海老がパチパチと囁く音色が涼やか

1個目はそのまま何も付けずに
2個目はお好みで頂きます。
塩味を少しだけ頂きました。

熱々の頭を勢い良くザクッと噛むと
頭の素揚げはまるで生きてるかの様に
フレッシュな歯触り感が際立ち
歯に挟んで頂くと
パリパリッと食感を伸ばして来て
とても心地良くパリンッと砕ける
頭本体はカリカリッと歯と遊んで
脚はサクサクと破砕感が歯に直撃
シンプルに噛んだ時のこの潔さに
素直な食感が口内を駆け巡りました。

②車海老の胴体×2

◉天紙を交換

天風良鍋の中に入れる直前に
大将が生の車海老を「のす」
「のす」とは‥車海老の胴体の
尻尾の方に向かって押すような力を入れる事で
海老の身の中に押すポイントがあるそうです。
其処をグイッと圧を加えて伸ばす感じに
される様ですが
その所作を「のす」と言うそうです。
海老の生身をダラリとしておくのでは無く
のす事で海老の食感を崩さずに
食感を活かしたままでピンと背筋伸ばす様になり
生きの良さが萎えないそうです。
上手く説明出来てませんが
機会がありましたら大将が
車海老をのす所をご覧になって
頂ければと思います。

揚げたての車海老を
最初の一本目は何もつけずに其の儘で
ポンとお口へ運びます。
衣がサックサクで軽くて甘さを感じた
海老をキュッと噛むとプクッと海老が
悪戯してるみたいに歯を誘い込んで来た
とても、レアな食感が生き生きと伸びてくる
其の儘mogmogしてると
あっという間に消えちゃうんですよ。
サクッと来て
mogッと動く
フワッと浮かんで
プリッと跳ね返る
車海老が小躍りして
口の中で喜んでるじゃん。

2本目はもっと重厚感が出ていた
何でこうなるのとか
理屈は抜きにして
衣が甘く薫るんですよね。
うんめぇ。堪らん。
今度はザクッと歯応えする
身質がピンと張ってて
mogmogすると
面白く白身が伸びて来る感じです。
此っちの方が甘くて暴れん坊です。
塩も天汁も不要ですね。
天風良は衣と一体となって食べるのが
抜群に美味しい。
衣がピタッと海老の身と同化してるのにも
かなり吃驚の食感。
全く剥がれない衣なのです。
衣が先に乳化する感じで蕩ける。
それがまたお淑やかな甘さ。
んん、不思議な天風良です。
一度食べただけでは
何か私の舌では理解が難し過ぎるかも
知れません。

③泥障烏賊

◉天紙交換

中の身が白っぽくなくて
ほぼ透き通るくらいの透明感溢れる白身

衣をサクッと齧って白身に歯が到達する
泥障烏賊の身の肉質感がモチッと唸るんで
ございますよ。
え、何此れ?
お餅みたいにモチモチする柔らかさで
和菓子の練り饅頭の中身みたいに
プヨっとした食感も訪れて来る
まるで葛饅頭みたいなの
こんな泥障烏賊の揚げ物が有り得るのか
どうやって此れほどの柔らかみを保ちつつ
火が入るのか
衣は結構サクサクでかなり高温です。
泥障烏賊の外側の薄皮部分は
しっとりしててやや硬めに火が通って居るのに
咀嚼すると
その外周の部分より内側の部分が
トロンと蕩けて来る感じなのに吃驚した。
とても烏賊の身質とは思え無いほど
トロンとしてる
何でも火を止めて低温で揚げるみたいです。
理屈は良く分かってないですが
聞きしに勝る泥障烏賊の美味さに
舌を疑ってしまった。

④飛騨高山 秋縞ささげ

これこれ、にい留さんに来たら
この名物野菜を食べねば来た甲斐が
無いと言うもの
緑の繊維質がシャキシャキ感を残しながら
瑞々しさを発揮しジューシィに甘味を
振り撒くのですよ。
ほんのりと甘いくてしつこく無い
然も
淡い甘味があって瑞々しいから
口内での食感が快適そのもの
その瑞々しさから甘味が滲み出て来るし
これは天麩羅の技術でそうなるのかと
思いますが
本人は
美味しけりゃ良いか、と納得して
秋縞ささげ天風良を満喫致しました。

⑤銀杏

3個の串さしのまま揚げてる
噛んだら
少しくモチッとした食感を楽しみながら
齧るとほろ苦さが伸びて来るのが良いですね。
やはり衣が軽くても揚げ物続くと
少し疲れて来るので間合いを見計らって
お口直し的な小物を挟んで頂けるのは
舌を休ませるし少し熱かなってる舌も
冷ましてくれるし嬉しい配慮です。

⑥鱚 師崎

◉天紙交換

冬鱚になって来ています。
身が引き締まってる分
揚げる速度と温度を変えるようです。
その辺は季節により食材とよく会話して
火入れの塩梅を調節
此れは理屈でなく
自分の指で触感を確認して微調整するらしい
此処で
脂を新しいものと取り替えて
衣も新しくシャカシャカと冷水を
ボールに注いで作り直されます。

天風良の達人は火を止めたままの脂で
鱚をポンと鍋に勢い良く放り投げて
10枚を連続して揚げています。
其れでも温度は下がらずか
大人しく緩やかに下がって行くそうです。
逆に
温度が下がるのを心配して
火を強火全開にしてしまうと
その高温に煮え沸った胡麻油の中では
素材の持ち味や香りに繊維までも
壊してしまうそうです。
衣を良質なものに仕上げて鱚に纏わせる事で
低温での温度で衣をカラッと揚げて
素材の身質を傷めずに
繊細な揚げ物が可能となる様です。
やはり鍵となるのは衣の品質で
上質な衣を作るには
-60℃の冷凍庫で3日間ほど衣を
寝かせなければならないので
現実的にはかなりハードウエア的にも
かなりハードルが高いものとなります。
鍋の方に目を向けてやりますと
達人は
鱚の最後の仕上げ工程に入っており
鍋の火を強火に切り替えて温度をグッと上げて
皮目を焼き付けておりました。

鱚が付け台の前にその肢体を横たわらせた時
ワクワク感が止まらず
プチプチと衣が弾ける音に聞き耳を立てて
ジジジジと衣が小さく潰れて行くのが
心地良く耳に響いて来ました。

その鱚天を齧る
サクッ‥
ザクッ‥

神の衣がふんわり気高く空を切る
食感がカリッサクッの間を抜ける
歯が心地良い陶酔感に導かれ乍ら
皮から芳しく薫る鱚の匂ひに酔う
真っ白な白身が湯気立ち歯を待つ
白身がフンワリと優しく歯を招く
神衣がザクッと砕け嬉しい食感に
揚げ玉が破砕され口内にコロコロ
と飛び散る
鱚は鮮烈にピュアな憂いを含んで
その迸る美味で微笑みかけていて
私の舌は全く言葉を無くしていた
此れぞ正に匠の技の天風良工芸品

⑦赤万願寺唐辛子

◉天紙交換

青より甘く
青より旨く
青より高く
気品が佇む赤万願寺

低温で揚げておいて〆にグッと高温で
瞬間的に揚げてやると衣が黒く焦げて
真鱈模様にお焦げが付きます。
外回りの真っ赤な周りの部分は
繊維質がしっかりしてて
意外とシャキッとした触感
衣は焦げ目が付いてカリッとして
歯触り快適に走り抜けます。
なのに赤万願寺の身の中の方は
逆にトロリンとしていて
蕩ける円やかさが新鮮に伸びている
此れはチョット不思議でした。
熱々に焦げ目が付くほど揚がってて
中までホクホクに火が通ってるにも関わらず
パサつきが全く無い
んん、驚いちゃう食感でした。

本来天風良は衣が油の温度で固まり
衣の中で食材が蒸されて脱水されて
火を止めて低温調理的に揚げれると
素材を傷めずに優しい火入れとなる
故に素材の甘味旨味がゆっくり残り
咀嚼した後でも余韻が長く続きます

そうした事を経験と失敗の繰り返しの中で
培った結果がにい留めの揚げ方のstyle
良く溶ける衣とか言われてますが
結果として衣に空く穴が肌理細かくなり
溶けるようになったそうです。

⑧蝦蛄 小樽

雄の蝦蛄がジューシィというか
蝦蛄の香りがぷんぷん香る
蝦蛄の身の中にはワタも一緒に揚げてるので
独特のほろ苦さと甘味が無い混ぜになった
カオス的な味覚が芽生えてます。
此れは未経験の不思議な味です。
然も
衣はカリカリに揚げられてるのに
身はパサパサでなくてジューシィなくらい
柔らかいと言う相反する仕上げです。

初めて味わう蝦蛄の美味さ
低音で揚げるから素材を炒めない
低温でもカリッとする衣の仕込み
パチパチッと言う音では無くて
シャア〜ッとしずかに鳴る油の音色が
何よりの証拠だそうデス。
低温でも衣の固まる速度が違うので
可能な技術に支えられた赤万願寺の
天風良でした。

⑨海老芋煮 京都

未だ季節の出始めのもので
京都産の小さい海老芋の「こえびちゃん」を使用
小さいけどお芋自体の身質の肌理の細やかさに
優れている良質な海老芋です。

海老芋をお出汁で炊いて味を整えたものを
揚げられてます。
表面が全体的に少し焦げてる感じで
茶色く染まってるのは
お出汁が滲み出てる部分で
じっくり揚げてるので
やんわりと焦げて来てます。

咀嚼するとホックホクの甘味が
口内に飛び散る海老芋の底の方から
お出汁のうま味が滲み出て来る海老芋でした。
お焦げの部分がとても味わい深く
甘味とお焦げで煮詰まったお出汁のうま味が
プチプチと浮かび上がる感じで
口内で弾けて美味しい。
此れはじっくり味わいたい一品。

⑩牡蠣 岩手 赤崎

冬の真牡蠣
幻の柑橘 木酢

揚がったばかりの牡蠣に喰らいつく
2年熟成されて牡蠣の旨味がいっぱい詰まってる
ホクホクでジューシィなくらい牡蠣独特の旨味が
口内に溢れ出す
無茶苦茶うんめえ〜。
天風良にするなら圧倒的に美味い牡蠣です。
貝柱も大きく食べ応え感もしっかり重厚な牡蠣

揚げてる時の様子がまた
ダイナミックな音を立てていたのに驚く
牡蠣は跳ねるように勢い良くパチパチと
鳴って天風良の鍋の中で泳いでいました
かと言って決して高温では無く
低温で揚げてるのでジューシィに
仕上がる様です。
低温でも激しく音が鳴るのは
牡蠣に含まれる水分量が多く
衣が激しく反応して脱水する反応が大きく
衣に穴がたくさん空くからだそうです。
油自体が疲れてしまうほど牡蠣を
元気よく揚げる為
牡蠣が終わると太白を真っ新なものに
取り替えるとの事。

⑪口直し

◉天紙交換

和三盆の海蘊酢と師崎の渡蟹
生姜

富士酢で3回漬けた海蘊
因みに使用しているお醤油は三ツ星醤油
和三盆の砂糖を少し加えてます。
此れが良いんだな
このチョットしたアクセントを
隠し味的に忍ばせる
酸味が単なる酸っぱいだけで無く
穏やかに酸味を伸ばして来る所が
渡蟹に纏う酸味の美味しさを深めてます。

スッキリさっぱり感が口内を満たして行く
ダイナミックな揚げ物が続いていたので
此処はグッドタイミングな爽やか系のご用意
心憎い演出ですね。
だから飽きが来ずに天風良を食べ続けて
居られるのかと思います。

⑫蓮根 茨城

◉天紙交換

太白胡麻油を新品に変えました。

玉蜀黍の糖度が乗り移ったかのような甘味
洗練な繊維質が繰り出すシャキシャキ食感
見事に味わいと食感のバランスを引き出す
凡そ此れが蓮根とは思えない美味の天風良

⑬樺太ししゃも 雄 厚岸

ししゃもは鍋に入れる前に
腹鰭 背鰭 尾鰭を指で立ててから
衣を付けて鍋に入れてます。

そのししゃもの天風良を咀嚼した途端に
頭から苦味ではなく塩味が浮き上がって来た
予めししゃも全身に
淡く塩を当ててるのでしょうか
揚げて塩分が濃く成らずに淡いと言うのも
揚げ方が優しいからなのでしょう。
この塩味の施し方にはかなり驚いちまう

ししゃものワタが生き生きしてる味わい
そして白身の甘味がほかほかに温かく
ワタの苦味が温感で優しいの
小骨感は無しに等しい
小骨は多分含まれてるのでしょうが
小骨までもが火が通って
肌理細やかな甘味を手伝ってます。
ししゃもの妙味を頂点まで昇華させた様な
美味さを頂きました。

⑭京かんざし

金時人参を早取りしたもので
通常の人参の1/10程度の軽さで
細長い食材です。
この細長い素材には
天よう鍋の火を止めてゆっくり低温調理
芯がしっかりして歯応えを感じる食感ですが
糖度が高いのか天風良で蒸されて
ギュッと詰まった糖度の高さが
誠に甘美な踊りを見せてくれます。
ザクッと齧るとスッと赤い身の中に導かれ
香りがフワァンと立ち上りうっとりでした。

⑮天草の赤海胆と有明海苔の天風良

◉天紙交換

海苔を楽しむ一品です。
豪快に赤海胆をドンと山盛り
赤海胆は今にも崩れ落ち
海苔を飛び超えて零れ落ちてしまいそうです。

海胆の珍味に海苔の風味で海胆を纏い
海苔が海胆と一体感を作り出し
味を整えて美味しさを膨らます作品

そ〜っと海苔の端を摘んでゆっくり持ち上げ
此れも慎重にお口に運びます。
オッと、ヤバいヤバい
赤海胆が山盛りなので
口からはみ出しそうになりますが
其処をグッと押し込んでやると
天草の赤海胆は海苔の温度で溶けていき
海苔風味に包まれながら赤海胆特有の珍味が
口内に蕩け出して来ます。
一気に赤海胆の苦甘さが充満し
海苔の磯風味と一体となり
珍味がどんどん広がっておりました。

⑯大穴子

さぁ、いよいよ名物のご登場
泣いても笑っても〆の天風良
ダイナミックに揚げるのかなぁ
目の前でお一人様ずつ
あのザクンと潔く穴子を宙で割る
パーフォーマンスを演じて頂きます。
サービス精神旺盛な新留大将です。
そして
穴子を揚げる際には
粉も太白も一新されます。
穴子を宙で割る時のお話を伺いますと
一枚全部の穴子を揚げて
天ぷら挟みで掴んで持つだけで
パサッと割れるそうで
大将は勢いよく揚がった側から
バシッ、ピシャッと穴子を二つ割りにして
割られた穴子をお小皿に取り分けして
目の前にご登場と相成ります。

2分割された片方で頭の方には
天汁をひたしてサクッと齧ります。
穴子の皮目は揚げられる内に直焼の様に
パリパリに仕上がっており
低温でじっくり揚げられた穴子の身質は
保水されながら脱水するそうで
穴子の身が蒸し上がったばかりの様な
とてもふっくらとした食感となってます。
穴子の旨味が揚げ衣の中にキュッと凝縮
一度サクッ噛むと
湯気がフワァンと立ち登り
白身からは淡白で全く雑味の無い
旨味がポンと弾けだして来ております。
勿体無くて何度も齧り直しては
サクサクする穴子の醍醐味を堪能致しました。
食後の余韻がほんのり漂いながら
満足感で身も心も満ち足りておりました。
もう一方の尻尾の一枚は塩で頂きます。
此方もサクサク衣の甘味に塩味が良く伸びて
膨よかな白身の淡味にジワリ塩気が染み込み
綺麗な輪郭が芽生えるエレガントな穴子の
醍醐味を頂きました。

⑰お食事

3択です。
❶天バラ
❷天丼
❸天茶の中から選びます。

お好みを聞かれまして
天バラでご飯を軽目でお願いしました。

さて、天バラです。
此れだけは新留大将自らが白ご飯を
お茶碗に装って用意します。
此れだけ何でかな?と思いつつ
流れる作業を見つめてますと
白ご飯をボールにガバッと人数分を
盛り付けた後に
紫蘇をパラパラと振りかけ
その後、車海老と小柱の掻き揚げを
かなりボリューミーに
ボールの中に乱入させて
掻き揚げと白ご飯を杓文字で掻き混ぜられます。
成る程、
掻き揚げと紫蘇を散らせた白ご飯
これらの具材をMIXして
ご自分で混ぜご飯を完成させてます。

お腹いっぱいの筈なのに
心ウキウキ食欲が蘇って来てしまいます。
掻き揚げとご一緒に
ご飯を掻き喰らいました。
小柱も車海老もゴロゴロとご飯と一緒に
口内ではしゃいで遊んでいましたよ。
何か至福の天風良を
無事食い切ったと言う喜びと満足感で
高揚した気分が何回も巡って来ました。
口福気分が充満して
舌がとても満足げに喜んでおりました。

⑱甘味

薩摩芋とジェラート
皮がこんがり焼けて
中はトロットロのお芋さん

薩摩芋だけは一度の低温揚げでは
出来上がる事は無く
本日のお食事開始直後から何回も
揚げては冷ましを繰り返して
フカフカとトロトロの身質の柔らかさを
整えておりました。
凄く手間暇掛けた賜物がこの
トロフワ感なのですね。
魔性の甘味です。

⑲煎茶

2022/02/08 更新

2回目

2021/09 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク-
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

天風良の音色がシュワシュワと心地良く秋味を誘い素材の本音を引き出す天風良

■2021.9.26(日)昼餉

■ご予約 OMAKASEにて当選

今月は2回目のご訪店となる
この幸運なお席に感謝して止まない

■お料理 お任せ¥25,000
飲み物含むお会計:¥30,000

◉水出しの台湾茶

①銀杏の素揚げ 熊本 阿蘇

数十秒でサクッと揚げられます。
揚げたての銀杏に塩振りして
小皿に3個盛り付けて手前に
運ばれて来ます。

天風良にい留劇場の開演です。
蒸し揚げと言う美しい衣を着せて
透明感が漂う素揚げ
高温での火力ではなく
低温の火力で優しく揚げてます。
素材を痛めない様に
サラリと網杓子で銀杏を掬って
余分な脂を切ってから
台紙に置いてパラパラと振り塩します。
銀杏を労っている感じの仕上がりで
3粒ずつ盛り付け

一粒目を齧ってみる
グサッと勢いよく歯が刺さり
サクッと銀杏が割れて
フワンと銀杏特有のほろ苦さが舞い散り
口内を香りで埋める
その芳しい匂ひと共に
銀杏に振られた塩味がジワッと舌に染み込む
フ〜ン、銀杏独特の甘味に塩味が重なり合い
良いお味ですね。
此れぞ秋味なのかなぁと感嘆しつつ
うっとりしてジッと目を閉じてしまいました。

②車海老の頭×2 素揚げ 振り塩

車海老を太白胡麻油の中に入れる
シュワシュワァ〜ッと音を立てて
車海老が浮き上がる
真っ白い天麩羅の揚げ玉がいっぱい
お鍋を埋め尽くす様に真っ白に染める
かす揚げのお玉で
揚げ玉を大将が脂を揺らしながら掬う
帰りにこの揚げ玉が手みやけとなります。

車海老がパチパチと囁く音色が涼やか

1個目はそのまま何も付けずに
2個目はお好みで頂きます。
塩味を少しだけ頂きました。

熱々の頭を勢い良くザクッと噛むと
頭の素揚げはまるで生きてるかの様に
フレッシュな歯触り感が際立ち
歯に挟んで頂くと
パリパリッと食感を伸ばして来て
とても心地良くパリンッと砕ける
頭本体はカリカリッと歯と遊んで
脚はサクサクと破砕感が歯に直撃
シンプルに噛んだ時のこの潔さに
素直な食感が口内を駆け巡りました。

③車海老の胴体×2

1本目はそのままで衣の甘みを堪能
2本目は少しほんのりと衣が焦げ付きを見せて
これも絶妙に熱く今回は
おろし天汁で頂いてみました。
すると、車海老がジューと言うのである。
この音色だけで食欲が増しますね。

揚げたての車海老は
衣がサックサクで軽快に甘味を添えて
衣がフワッフワッと口内に舞い散ります。
その散った側から衣の甘味が舞って
とっても良い気分に浸ってしまいますね。
んん、コレが鬼才にい留ワールドの味覚かと
思うと少し舌が緊張してじっくり味わえず
2本目を落ち着いて食べようと
ワクワク感が募るのを台湾茶で舌を
冷ましました。

さぁ、2本目です。
海老をキュッと噛むとプクッと海老が
悪戯してるみたいに歯を誘い込んで来ます。
2本目の一口目に少しおろしと天汁を浸して
ズルズルッと掬う様に海老天を噛む
衣がジュウッとしなり乍ら潰れて行く
そのしなやかさが堪んないですね。
衣を天汁に付けても萎えなくて
ザクッと元気に舌の中に飛び込んでくる感じ
そのザクッとした食感が通り抜けると
レアな感じの海老がプリップリンに跳ねて
甘味が生き生きと舞い上がる
其の儘mogmogしてると
あっという間に海老も消えちゃうんですよ。
サクッと来て
ジュウッと唸り
mogッと歯を食い込ませて
プリッと身が跳ね返る
車海老が小躍りして
口の中で喜んでますね。
美味いわ
堪らん
衣がピタッと海老の身と同化してるのにも
かなり吃驚の食感。
全く剥がれない衣なのです。
お代わりしたくなった。
食べ切って余韻に酔いました。

④泥障烏賊

2枚目の和紙に交換

3品目は泥障烏賊です。
衣が真っ白で美しい天女の羽衣みたいに
フワフワと口内に浮かぶ感じ
その泥障烏賊を一齧りしてみた。
とてもや柔らかくて鮮度が抜群
身厚かつ歯応えが柔らかく
優雅な烏賊の身質感が表に浮き上がってます。

此れは素晴らしい味覚
コリッと言う感触はなくて
歯をふうっと招き入れてくれる感じ
そしてほんのりと甘い
甘味が衣を通して伝わって来る

噛んでも水っぽく無くて
脱水が程よくかかってるからなのかな。
ピチピチしてるんですよ。
お刺身じゃありませんよ
天風良なのにですよ。
火が通ってるのに烏賊がピチピチと
跳ねてるみたいに躍動感を感じます。
普通もっとコリッとなって硬くなる筈
そうならずに生々しいくらいに身質が
生きたままでちゃんと中まで
火が入ってるんです。
んん、不思議で分からない。

そして泥障烏賊の身を改めて見つめ直す
残りを咀嚼する
衣がサクッと踊って新烏賊の身が
サク感に呼応する様に
歯をスッと招き寄せる
歯がプヨンと言って新烏賊の中に沈んじゃう
沈んだら少し我が儘に歯をプリンと
少しだけ返して来てイキの良さを感じる。
食べ終わってムフフと
自然に頬っぺたが喜んでニンマリ
そう言うさり気無く嬉しい天風良でした。

⑤飛騨高山 秋縞ささげ

此処で和紙を交換されます。
本日和紙交換がかなり頻度良く
少し脂が和紙に滲み脂が残るとスッと
交換してくれます。
和紙が少し脂が垂れて濡れると
お弟子さんが気付いて
サッと新しい和紙に交換されます。
従ってお食事が終わるまで
台紙の和紙は何時も新しい状態でした。
こう言う細やかさは嬉しいおもてなし。

さて、ささげです。
ジューシィで瑞々しく香りますね〜。
然も熱々のホクホクで
歯で齧るとザクッと割れて断面から
湯気が立ち上り甘く香ります。
ジューンと唸ってささげの香りが
パンッと口内に放たれます。
そしたエキスが熱々のままに滲み出して来ます。
緑の繊維質がシャキシャキ感を残しながら
瑞々しさを発揮しジューシィに
甘味を噴いています。

何でこうなるのかお話を聞きますと
衣の火の入り方のレベルが異なり
脂の温度も高温で無くて固まる
にい留オリジナルの特殊な衣なので
火が止まっても
ころもは固まりながら
粒々の穴が空いて
その穴から脱水されて行き
頃合いを見計らって
(衣のパチパチ音の階調で分かるとのこと)
最後は温度を上げて仕上げる
そうすると無駄な水分が脱水されてるので
繊維質が破壊されずサラッとした瑞々しさが
損なわれ無いままに生きて来て
秋縞ささげの天風良が落ち着いた仕上がりとなり
私達食いしん坊のお口に美味しく運ばれるという事になる様です。
化学の実験と全く同じで
たくさん実験する中で見出した揚げ方こそ
素材をこよなく慈しむ
にい留式の天風良が成立する所以なのでしょう。

⑥鱚

3枚目の和紙に交換

天風良の達人は火を止めたままの脂で鱚を
10枚揚げていた
其れでも温度は下がらずか
大人しく緩やかに下がって行く
温度が下がるのを防いで着火して
火を全開にして入れてしまうと
素材の持ち味や香りを壊してしまうそうです。
衣の良質なものを作れさえすれば
こう言う低温での温度で衣をカラッと揚げて
素材の質感を傷付けずに活かす天風良が
可能となる様です。

大将が10枚の鱚をバンと
勢い付けてお鍋に投げる様子を眺めていると
どんどん放り込んで行くのが目に付きます。
此れには確立されたにい留理論が有り
鱚の捌き方は和食のそれとは異なり
天風良固有の捌き方があり
そうする事で
お鍋の中に投げた時に
鱚が脂の高温で水分がジュワッと蒸発し
魚臭さやアクを蒸気と共に発散させる
そして
脂が鱚と正面衝突し脂をキャッチして
鱚の尻尾が真っ直ぐになり
揚げても海老反りの様に捻れずに
整えられて曲がったりしないで
美しいカタチで仕上がるそうです。

講釈に聞き耳を立てて聞き惚れてましたが

鱚天を齧ると
サクッ‥
ザクッ‥

鱚天の神の衣がふんわり気高く空を切る
食感はカリッとサクッの間を抜けて行き
歯が心地良い陶酔感に導かれ乍ら
皮から芳しく薫る鱚の匂ひに酔う
真っ白な白身が湯気立ち歯を待つ
白身がフンワリと優しく歯を招く

その鱚天の潔良さを感じる旨味たっぷりな
味わいに舌鼓を打ち
鱚の天風良の味覚を満喫致しました。
この鱚天は芸術品

⑦オクラ

4枚目を和紙交換されました。

ネトッとする粘り気が新鮮そのもの
野菜をサラッとお魚の合間に入れて
お口直し的に繊維感を頂けると嬉しいものです。

⑧鮎

5枚目を和紙交換されました。

子持ちの鮎 琵琶湖

殆ど生きてる鮎しか天風良にい留では扱わない
活けの鮎の新鮮さとは比べられないもの
本日は久し振りに
新留大将は久し振りに死んではいるが
状態の良い鮎が手に入り
揚げてみたらしい

私は鮎の天風良と言うものを
そもそもそれ程多く経験値がある舌を
持ち合わせていないが
死んだ鮎の身をこんなに生き生きとした
食感を纏わすことが出きるものなのかと
舌を疑ってしまいます。

その子持ち鮎のvivid感溢れる迫力
子持ちのギッシリ感
揚げ衣からの強烈な印象も
ザクッと鮎を頭から齧り付いた時点で
もう、脳天突き抜けていく爽快感が衝撃的
鮎の頭がザックリ破砕されて行く
鮎の頭ってこんなに軽やかに破壊出来て
お煎餅みたいにサクッと頂けちゃうものかと
驚きます。
更には
ワタのほろ苦味もきちんと馴染んで
白身にフワッと寄り添い
その苦味がちっとも嫌らしくない
逆に苦味が堪らなく美味しさを膨らます
ワタがエレガントな苦さなのね
ふぅ、食い切って満足満足の鮎の天風良でした。

⑨赤万願寺唐辛子

6枚目を和紙交換されました。

赤万願寺唐辛子

揚げてから火を入れてキャラメリゼする。
少し焦げるまで揚げる
その焦げた部分の狐色の衣から甘い香りと
衣自体が栗の様な甘い香りがして来た。

兎に角
サクッと齧るとあんまぁいのですよ。
赤万願寺の甘さは戸惑いを感じる味覚ですね。
揚げ衣に纏われて脱水されて
糖度が凝縮されて
齧ると湧き上がる

赤万願寺の本来の持ち味としても
揚げ赤万願寺は秀でてると感じました。
更にシャキ〜ンと歯応え感が走り抜け
唸っちやいますね。

⑩真魚鰹 唐津

真魚鰹は一週間ほど寝かして
卸して塩当てて脱水して旨味を凝縮
更に3日ほど置いて計10日ほどになります。

真魚鰹は膨よかなその肢体を
台紙の上に横たわらせて神の衣を纏い
悩まし気に肉体を佇ませていた。

真魚鰹の衣をサクッと噛んだ
フワッと衣が裂けて真魚鰹の
初々しくも白身がふっくらと
その身を曝け出し食欲を誘う

お箸を入れると真魚鰹の身が衣と一緒に
ホロリと静かに崩れ落ち、
その落ちた切り身をお口に入れると
白身が滋味を広げながら舌に滑り込んでくる。
脱水された状態がとても嬉しくなるほど
舌に無垢な旨味を寄せて来ます。
へぇ〜、ふっくらとした真魚鰹の白身が
キュンと胸が高鳴るほど膨よかさを増し
艶やかな滑りと共に舌を撫でて行きました。
このしっとりとして円やかかつ
ゆっくりと解けて行く淡白な旨味の
エレガントな事
天風良にするとこんなに
身の味わいが詰まるものなのか
無駄な水分が抜けて
アクや嫌味みたいな物が
一切合切蒸発して雑味の無い美味さが
完成されてます。
此れは秀逸。
驚いちゃいますね。
こんなもの出されてしまっては
お酒の誘惑が進みますが
我慢我慢のひと時であります。

⑪松茸 福岡

7枚目を和紙交換されました。

パリパリに傘が焼けてる感じで
コロはしっかり蒸されて香る薫る
口内に充満する松茸の芳しい匂ひ

感無量の香りが美味さを飛び越えて行く
サクッと歯を入れた瞬間に
松茸がパァンと花開いたかの様に
あの香ばしさが咲き乱れる
口内は松茸の匂ひで充満し窒息しそう
衣に閉じ込められていたものが
一気に炸裂する
うわ、こんなに閉じ込めれるものか
衣を砕く
傘が弾ける
傘が衣の粉と一緒に胞子を撒き散らす
香りが拡散する
この動きが松茸を齧った一瞬で巻き起こる
其れは麻薬の様に鼻腔を犯し
陶酔感に舞い上がってしまうのです。

⑫ 伊勢湾の鱧

8枚目を和紙交換されました。

太白の油も新しく
特製の衣も新しく
切り立ての鱧を
揚げたての鱧を

皮と衣のゼラチン質を厳かに楽しむ
湯引きと天ぷらのいいとこ取り
湯引きの水っぽさも無し
一般的な天ぷらの硬さもない

伊勢湾の鱧はその身を衣の中に委ねて
喜びを隠しきれずに居た
この鱧天風良は太白の油の温かみに
やんわりと包まれて熟し
自らの贅肉を削ぎ落とす様に
無駄な脂質を油の中で蒸発させ
鱧の旨味をキュッとその身に搾り込んで
凝縮させた。

その身を天風良鍋に投げてやると
鱧がフワァ〜ッと広がるので
隙間に余計なな衣が詰まる事なく
衣からの火の入り方の速度が良好に進み
鱧の身質に均質な火が通って行きます。
揚げる直前に骨切りされた牡丹鱧は
皮下まで火が入って
脂肪のゼラチン質まで旨味を増してます。

そいつを一口頂くと
鱧の牡丹がコロコロして
身がふっくらと蒸し上がっており
鱧の身から浮かび上がる
空気感も舌触りも
ふわっふわに走って行く
鱧の玉からのホクホクする旨味が
ギュッと詰まった味わいとなり
感銘を覚えました。
この鱧天は素材の潜在能力を匠の技で
引き出し切った名品ですね。

⑫京都の新小芋

小芋は揚げてる最中に
お焦げの部分を作る
そのお焦げから
お醤油風味が香って
何も下味つけてないのに
風味が美味しい小芋さんなのです。

聞きましたら
小芋は
お米の研ぎ汁で茹でる
柔らかくして冷まして
その後に薄味のお出汁に1晩置いて
味を馴染ませる
更に
お出汁

薄口
味淋で味を整えて
柚子の香味添えて
火を止めた鍋で揚げる

水分が脱水されて甘味が衣の中で凝縮
この時、衣をまだら状態にしてやると
禿げてる所が出来てお出汁とかに
お焦げ面が発生して
お出汁や醤油風味が出るので
意図的にお焦げ面を作っている
其処で高温にしてしまうと
本当のお焦げだけとなり苦さが出て来るが
火を止めて低温でじっくり揚げると
良い香りだけが付いて芳しくなるそうです。

確かに齧るとほんのりと焦がし醤油の匂ひと
味わいが浮かんでいた。
小芋に対しても良く設計されており
天風良にい留の化学理論に基づく実践的な
職人の技術により培われた技ものですね。
こんなに可愛い一品にも隠された仕込みが
理路整然と施されてる。
美味しいものには理由があると言うことを
実感する一品です。

⑬野付の帆立

生の帆立をプレゼンして頂きました。
身が分厚い
こんなに厚手の塊を丸ごと火を入れるそうですが
果たして中まできちんと通るのか
中はひょっとしたら冷めてるんじゃ無いかと
流石のにい留マジックでも難しいのではと
少し不安がよぎりました。
蓋を開けてみると
全くの杞憂に終わり嬉しくなりますね。
もう、帆立様はものの見事に
中まで火が通っており
全く冷たくなってない

その帆立を
ザックリ一気に噛んでみると
真ん中のレアな部分まで火が通っており
生暖かくグニュ〜ッと歯が沈んで
帆立のアンマぁ〜いエキスが口の中に
零れて来た

本当に中までジューシィで
揚げ衣がピッタリ引っ付いて一体感が素晴らしく
微塵の隙間もなく衣が帆立に寄り添っていた。
然もフワッと肉感艶かしく
歯に抱きついて来ちゃう。

二つ割で饗される帆立は
帆立の断面のグラデーションが艶かしく
中心部のレアのところから外周部の衣の手前まで
濃淡がくっきりと浮かび上がってます。

このグラデーションは揚げてる最中に
パッと火を止める
また火力を強める
再度、火を止める
また火力を強める
この作業を繰り返し行い中心部まで
火が通ると何層もの色合いとなり
温度差が帆立の中に生じて
綺麗なグラデーションとなって火が通るそうです。

最初帆立を太白の脂の中に入れると
シュワシュワ〜と言う音色から
段々パチパチと言う音に変化して行きます。
その音色と衣の色合いで火の通り方を判断する
そうです。
ですからカメラやスマホのシャッター音を
禁止していて揚がる音が邪魔されない様に
お願いしている様です。
成る程、納得ですね。

⑭ 天草の赤海胆と有明海苔の天風良

9枚目を和紙交換されました。

海苔の香りを最初に楽しむ一品
豪快に赤海胆をドンと山盛り
赤海胆は今にも崩れ落ち
海苔を飛び超えて零れ落ちてしまいそうです。
そろそろ赤海胆は終わる時期
赤海胆が終わったらこの一品は
紫海胆に衣替えするのだろうか
或いは馬糞海胆も海苔天に合うだろうなぁと
妄想が広がる

そ〜っと海苔の端を摘んでゆっくり持ち上げ
此れも慎重にお口に運びます。
オッと、ヤバいヤバい
赤海胆が山盛りなので口からはみ出しそうになる
其処をグッと押し込んでやると
天草の赤海胆は海苔の温度で溶けていき
海苔風味に包まれながら赤海胆特有の珍味が
口内に蕩け出していた。
一気に赤海胆の苦甘さが充満し
高揚感がどんどん広がっておりました。

⑮穴子

10枚目を和紙交換されました。

さぁ、いよいよ名物のご登場
ダイナミックな
穴子の時には脂も粉も新しくする
一枚全部の穴子を揚げて
天ぷら挟みで挟んで持つだけで
パサッと割れるそうで
大将は勢いよく揚がった側から
バシッ、ピシャッと穴子を二つ割して
割られた穴子をお小皿に取り分けして
目の前にご登場と相成ります。

一つ目をサクッと齧ります。
穴子の皮目は揚げられる内に直焼の様に
パリパリな仕上がりとなっており
低温でじっくり揚げられた穴子の身質は
保水されながら脱水するそうで
穴子の身が蒸し上がったばかりの様な
とてもふっくらとした食感となってます。
穴子の旨味が揚げ衣の中にキュッと凝縮
一度サクッ噛むと
湯気がフワァンと立ち登り
白身からは淡白で全く雑味の無い
旨味がポンと弾けだして来ていた。
勿体無くて何度も齧り直しては
サクサクする穴子の醍醐味を堪能致しました。
食後の余韻がほんのり漂いながら
満足感で身も心も満ち足りておりました。

⑯お食事

3択です。
天バラ
天丼
天茶の中から選びます。
お好みを聞かれまして
天バラに致しました。

天バラ
焙じ茶
蜆汁
香の物

車海老と小柱の掻き揚げは卵黄を含ませてから
衣につけてシュワァ〜ッと揚げられます。

天丼の時は揚げ立ての掻き揚げを
お醤油ベースの漬け汁にジュワッと唸らせて
南部鉄器と思われる鉄製の鍋で炊いた白ご飯を
お茶碗に装って盛り付け

天茶の時は
予めご用意のお茶漬けにお海苔を振りかけ
磯風味を浮き上がらせてから
車海老と小柱の掻き揚げを上乗せして
上乗せした時のジュゥンと唸る音色が
此れまた、ウンマそうなハーモニーで
奏でて来ます。

そしてお食事メニューのしんがりは
天バラです。
此れだけは新留大将自らが白ごはんを
お茶碗に装ってご用意します。
此れだけ何でかな?と思いつつ
流れる作業を見つめてますと
白ご飯をボールに盛り付けた後に
紫蘇をパラパラと振りかけ
その後、掻き揚げをかなりボリューミーに
ボールの中に乱入させて
かき揚げと白ご飯を杓文字で
掻き混ぜられてます。
成る程、
車海老の掻き揚げと
紫蘇を降った白ご飯
これらの具材をMIX
ご自分で混ぜご飯を完成させてます。

お腹いっぱいの筈なのに
心ウキウキ食良くが蘇って来てしまいます。
掻き揚げとご一緒に
ご飯を掻き喰らいました。
小柱も車海老もゴロゴロとご飯と一緒に
口内ではしゃいで遊んでいましたよ。
何か至福の天風良を
無事食い切ったと言う喜びと満足感で
高揚した気分が巡回する。
口福気分が充満してとても舌が喜んでました。

⑰煎茶

2021/12/21 更新

1回目

2021/09 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.8
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク-
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

ダイナミックで神秘的な衣が纏う力強い天風良とエレガントで優しく微笑む天女の衣が纏う天風良が素材に合わせて変幻自在に佇むにい留めワールド

■2021.9.16(木)夕餉

■ご予約 常連様のお誘いにて

自力では予約不可能店ですが
幸運なことに他力本願にて
希望が叶い初訪問。

■お料理 お任せ¥38,500
飲み物含むお会計:¥42,500

〜〜〜お摘み編〜〜〜

❶新銀杏の素揚げ

低温で揚げてます。
スタートの一品目から衝撃の
天風良にい留さんがやって来た
蒸し揚げと言う美しい衣を着せて
透明感が漂う素揚げ
低温だから素材を痛めない
寧ろ素揚げが新銀杏を労っていた
心根の優しい脂なのですね。

新銀杏を3つ齧ってから
心の中で叫んでみた
Open Sesame
すると新銀杏がフッと消えて
にい留の門が開かれ
天風良のディズニーランドが広がっていた
にい留門の足元には
ほろ苦い余韻だけが佇み
既に舌が天風良の森で彷徨い始めていた。
不安になり舌はチョット後ろの方を振り返る
にい留大将が微笑んで門前で囁く
天風良にい留の神秘の世界へようこそ

❷お造り

師崎の鯛
生鯖

醤油

山葵

天風良の達人曰く
塩分濃度2.5%の塩水に3分漬けで浸透圧で
鯛を脱水の後
鯛は発泡スチロールの中で常温で朝から
少し寝かせてもっちり感を帯びさせている
鯛を咀嚼した
鯛はポロリと涙を浮かべて身震いする
その身はキュンとしなり
舌が得も言われぬ快感を抱く
鯛がしなやかに唸る身質と
静かに弾力してモチッとする熟成感を
同居させているからだ。

そして箸を進めると
何よりショッキングな生の鯖が
待ち受けていたのである
普通は酢締め塩締めなどで仕込む
対して達人の技は格別なあしらいの鯖で
舌を喜ばしてくれた
生の状態で頂く鯖の艶かしさ
鮮度の寿命は凡そ1日のみ
鯖は朝から卸さずに内臓だけを捌き
ワインセラー温度でジッと静かに寝かせている
生の鯖はシルキーな柔肌が舌を撫でる時
その柔肌が肉体美を曝け出し舌に
官能的な美味を際立たせていた。

❸車麩鮟肝乗せ

車麩
余市の鮟肝
山葵

此処でいきなり味覚のマジックショーが始まる
鮟肝を乗せているのは車麩です。
車麩を油揚げしたもの
カリッと鮮やかな車麩なのですよ。

鮟肝は旬の時期となりで漸く脂が乗ってきて
使える様になったとのお言葉
達人の言葉はズシッと重たく響く
そうか、今日のあん肝はノリノリで
旨味豊富そうだな、と想像が先走り
舌が鮟肝を渇望してくる
鮟肝を頂いたらきっと珍味が倍増しそうな
雰囲気を作り出している

余市の鮟肝は血抜きを繊細に施されていた
塩分濃度を4%で始めて
濃度を変えながら4日間漬けて完璧な血抜き
血抜きの後、裏漉ししたものを
車麩に添えてます。

流石に一口では入り切らず半分くらいを
齧り付いてmogmog
揚げ車麩は食感がカリッとして香ばしい
鮟肝はピュアな甘味が広がりマイルドで
クリーミィな味わい
カリカリ感と滑らかなスベスベ感が交錯し
食感がハーモナイズして
美しい味覚を奏でていた。

❹無花果 胡麻ダレ

イタリアはシチリア島のアーモンドと
ピスタチオたちは
食感と香りの
魔法のアクセントを纏わせる

何処までもクリーミィな胡麻ダレが
ピュアなゴマの甘味を無花果に添えて
胡麻の甘味が無花果の甘味に重なり合い
素直でナチュラルな甘美な味覚が舌を訪れる
しつこく無くサラリと舌を撫でて行く
溺れそうで溺れない絶妙な甘美な味わいが
デュエットする
その味覚に甘えてるとピスタチオが
フレッシュな食感を持ち込んでくる
爽快感が走り抜けて耽美な佇まいに
心地良い雑音を響かせていた。
素敵に踊る甘味の味覚は美しい。

❺新物のいくらの茶碗蒸し

新物のイクラは小粒で可愛いく浮いてる
達人定番の茶碗蒸しは
80度で30分蒸した玉蒸しに仕上げて
滑らかなプリンの様にプルプルです。
玉蒸しプリンの上はいくら絨毯で
表面は美しく澄み切った朱色で染まります。
真上からの景観に見惚れてしまいます。
この均整の取れたいくらちゃんたちを崩すのは
かなり勇気がいる
覚悟を決めてご用意の匙で少しだけ崩して
いくらプリンを掬ってみる
其の儘お口の中へと運ぶ
ポトリと落ちた
プヨンと可愛い仕草の玉蒸しが揺ら揺ら
玉蒸しとイクラを舐める
んん、この円やかな玉地の穏やかさは何でしょう
とてもホッコリと舌をお迎えしてくれて
優しく撫でてくれます。
その優しさに包まれて可愛い小粒な
イクラちゃんが
プチンと弾けてきます。
イクラちゃんが弾けると仄かに通う塩味が
玉地の甘味に付き添われて
浮かび上がってきます。
芸術的な玉蒸しです。
甘味と塩味のバランスの良さ
揺れる玉地の食感と
イクラの弾ける食感の共演
味覚と食感のマリアージュが進み
華麗な妙味を繰り広げておりました。

〜〜〜天風良編〜〜〜

いよいよ神の衣に包まれた
にい留ワールドへ足を踏み入れます。

①車海老の頭×2 素揚げ 振り塩

素揚げはまるで生きてるかの様に
フレッシュな歯触り感を際立たせていた。

口内でサワサワと脚が動く
熱々の頭をザクンッと噛む
頭本体はカリカリ歯応える
脚はサクサク破砕感が素直
頭は一切の余念を払い除け
自然に破砕される歯触りの
喜びに舌が震えていました。
シンプルに噛んだ時の潔さ
とても素敵な食感なのです。

②車海老の胴体×2

天風良鍋の中に入れる直前に
大将が生の車海老を「のす」
「のす」とは‥車海老の胴体の
尻尾の方に向かって押すような
力を入れる
海老の中にポイントがあるそうです。
其処をグイッと圧を加えて伸ばす感じに
される様ですが
その所作を「のす」と言うそうです。
海老の生身をダラリとしておくのでは無く
のす事で海老の食感を崩さずに
食感を活かしたままでピンと背筋伸ばす様になり
生きの良さが萎えないそうです。
上手く説明出来てませんが
機会がありましたら大将が
車海老をのす所をご覧になって
頂ければと思います。

揚げたての車海老を
最初の一本目は何もつけずに其の儘で
ポンとお口へ運びます。
衣がサックサクで軽くて甘さを感じた
海老をキュッと噛むとプクッと海老が
悪戯してるみたいに歯を誘い込んで来た
とても、レアな食感が生き生きと伸びてくる
其の儘mogmogしてると
あっという間に消えちゃうんですよ。
サクッと来て
mogッと動く
フワッと浮かんで
プリッと跳ね返る
車海老が小躍りして
口の中で喜んでるじゃん。

2本目はもっと重厚感が出ていた
何でこうなるのとか
理屈は抜きにして
衣が甘く薫るんですよね。
うんめぇ。堪らん。
今度はザクッと歯応えする
身質がピンと張ってて
mogmogすると
面白く白身が伸びて来る感じです。
此っちの方が甘くて暴れん坊です。
塩も天汁も不要ですね。
天風良は衣と一体となって食べるのが
抜群に美味しい。
衣がピタッと海老の身と同化してるのにも
かなり吃驚の食感。
全く剥がれない衣なのです。
衣が先に乳化する感じで蕩ける。
それがまたお淑やかな甘さ。
んん、不思議な天風良です。
一度食べただけでは
何か私の舌では理解が難し過ぎるかも
知れません。

③師崎 新烏賊

新烏賊を一齧りしてみた。
とてもや柔らかくて鮮度が抜群です。
噛んでも水っぽく無くて
脱水が程よくかかってるからなのかな。
ピチピチしてるんですよ。
お刺身じゃありませんよ
天風良なのにですよ。
火が通ってるのに烏賊がピチピチと
跳ねてるみたいに躍動感を感じるなんて
普通もっとコリッとなって硬く纏まるのに
そうならずに生々しいくらいに身質が
生きたままでちゃんと中まで
火が入ってるんです。
んん、不思議で分からない。

そして新烏賊の身を改めて見つめ直す
残りを咀嚼する
衣がサクッと踊って新烏賊の身が
サク感に呼応する様に
歯をスッと招き寄せる
歯がプヨンと言って新烏賊の中に沈んじゃう
沈んだら少し我が儘に歯をプリンと
少しだけ返して来てイキの良さを感じる。
食べ終わってムフフと
自然に喜んでしまってるのです。
そう言うさり気無く嬉しい天風良なのです。

④飛騨高山 秋縞ささげ

緑の繊維質がシャキシャキ感を残しながら
瑞々しさを発揮しジューシィに甘味を噴いている

衣の火の入り方のレベルが異なり
脂の温度も高温で無くて固まる衣なので
火が止まって固まりながら衣に穴が空いて
脱水されて行き
最後は温度を上げて仕上げる
そうすると無駄な水分が脱水されるので
繊維質が破壊されずサラッとした瑞々しさが
損なわれ無いままに生きて来て
秋縞ささげの天風良が落ち着いた仕上がりとなり
私達食いしん坊のお口に美味しく運ばれるという事になる様です。

天風良と言う化学方程式の解は
決して一様なものでは無く
色んな解の中で
現実的な解がそこに潜んでいて
その中の最適解をにい留大将は
導き出してるんだろうと推察します。

秋縞ささげは野性味を帯びた様な衣の付着で
衣がサクッと軽やかに割かれて
サラッとした食感を纏いつつ
身はシャキッと締まってる感じ
こんな野菜天風良が世の中には有るんだと言う
事を改めて教えられた気がします。

⑤師崎 新烏賊の下足

水分を多く含む下足天
火を止めて余熱で蒸す
ほんのりとジューシィ
プリンと歯に可愛く反発して来る無邪気さ
元気な下足は仄かに甘く舌に囁きかけていた。

⑥鱚

その達人は火を止めたままの脂で鱚を
10枚揚げていた
其れでも温度は下がらずか
大人しく緩やかに下がって行く
温度が下がるのを防いで着火して
火を全開にして入れてしまうと
素材の持ち味や香りを壊してしまうそうです。
衣の良質なものを作れさえすれば
こう言う低温での温度で衣をカラッと揚げて
素材の質感を傷付けずに活かす天風良が
可能となる様です。

ご家庭でも良い衣が作れれば
良い揚げ物が可能なんですよ、
と達人のお言葉
但し
-60度の冷凍庫で3日間ほど衣を寝かせなければならないので、現実的にはかなりハードルが高い。

講釈に聞き耳を立てて聞き惚れてましたが
冷めないうちにサクッと鱚を頂いて
ザクッとした厚みのある衣も中には感じられて
衣も色々と食感の違いが有り楽しくなります。

そして達人が
鱚の最後の仕上げに温度を上げて
皮目を焼き付けておりました。

鱚が付け台の前に肢体を
眼前に露にした時
ワクワク感が止まらず
聞き耳に音を立てた
プチプチとジジジジと衣が小さく潰れて
弾けてる音がした

鱚天を齧る
サクッ‥
ザクッ‥

鱚天の神の衣がふんわり気高く空を切る
食感はカリッとサクッの間を抜けて行き
歯が心地良い陶酔感に導かれ乍ら
皮から芳しく薫る鱚の匂ひに酔う
真っ白な白身が湯気立ち歯を待つ
白身がフンワリと優しく歯を招く
神衣がザクッと砕け嬉しい食感に
揚げ玉が破砕され口内にコロコロ
飛び散る
鱚は鮮烈にピュアな憂いを含んで
その迸る美味で微笑みかけていて
私の舌は言葉を無くしていた
其処に佇むのは天風良にい留から
私達の舌に届ける匠の技の工芸品

⑦青森 玉蜀黍 嶽きみ

玉蜀黍の天風良に唇が触れる

表面綺麗に粒が並んでる玉蜀黍の天風良
嶽きみはかなり水分量が多く
糖度の高さも誇る素材

挟む シャクっと玉蜀黍が唸る
噛む サクッと神の衣が弾ける
食べる プチンと弾けてジュッと溢れる
感じる 粒感がフレッシュに飛ぶ跳ねる
味わう 糖度の貴婦人が舌を招き寄せる

満足感で口福が訪れる
幸せのループが舞う

天女の衣を纏った嶽きみの美味に酔い痴れ
ジッと目を瞑ると美しい余韻が広がっていた

⑧嶽きみの擂り流し

少しのお塩だけ含ませた擂り流しは
糖度の濃度の高さを清らかな水分で
優しくナチュラルで大人しい甘味に
サラリと飲んで爽やかに懐く静かな甘味
舌にジワリと浮き上がる底味の淡さ
飲み干してほんのりと漂う甘美な味わい
頬っぺたが嬉しさを隠し切れない

⑨白海老大葉巻き

本日の白眉!
芸術の秋に相応しい逸品
正に匠の技を駆使した芸術品です。

仕込みなのか仕掛けなのか理解不能の味わい
私の舌で知覚領域を遥かに超えた美味しさ

達人のお話を逃さじと一所懸命聞いて
必死にメモります。

良質の白海老を和紙で挟んで間接的に
塩を当てて1日寝かす
そうすると白海老が脱水されて
その後保湿用の紙で挟んで水分を抜き過ぎないように4日ほど寝かすと粘性が浮き上がる感じとなり
程良くねっとり感が出るそうです。
その状態の白海老を揚げるそうです。
そうすると高温の衣効果で旨味が圧縮される
その圧縮された旨味がお口の中で弾ける
と言う事なのだ感じました。

先ずは高温の衣に纏われた大葉からの
芳しい匂ひが舞うんです。

大葉の香りが
花に抜けて行く時の愉悦感に埋もれてしまう
この香ばしさにうっとり
ほろ酔い気分に浸る様な佇み方に蹌踉めく
フワ〜リ、フワンフワァ〜ンに戸惑いますね。

大葉と一緒にうふん、と頷くと
白海老が舌を誘惑し口説かれている

美しい味覚が舌を纏う
気品溢れる甘味が彷徨う
お淑やかな弾力感が跳ねる
さり気無く漂う粘性が絡む
そこはかとなく広がる香りに包まれて
白海老は美味をチラつかせながら
極上の味覚を完成させていた。

⑩赤万願寺唐辛子

青より甘く
青より旨く
青より高く
気品が佇む

キャラメリゼされて
小麦色に輝く天女の衣
その衣を焼き焦がして
中から真っ赤な肌合いが覗く
つい、覗き見したくなるのは
秋心故か?

あんまぁいのですよ。
赤万願寺の甘さは戸惑いを感じる味覚
揚げ衣に纏われて糖度が湧き上がる?
みたいな甘さでギュッと詰まってるんですよね
赤万願寺の本来の持ち味としても
揚げ赤万願寺は秀でてると感じます。
とってもvividな甘さで
更にシャキ〜ンと歯応え感潔し
唸っちやいますね。

⑪唐津 黒鮑 肝のタレ

噛んでみたら
何?これ
次元が違うの
歯を入れるとフッと
ふっくら弾力して沈みかけ
その帰りに歯を鮑の肉に誘い込む
この蠱惑的な肉質感に参りました

達人の処方箋は
1時間塩水で体液を取り除き
その後真空パックに包んでから
4時間かけて蒸し上げたものとなります。

その過程なのですが
此れまた凄いお話でした。
先ずは
鮑の体液と共に中に含んでる海水を
全部抜く作業を
約1時間ほどかけて行い嫌味を消してしまう
その後で殻から鮑の身を外して
真空調理なより蒸されてます。
そうする事により真空の中で鮑自身の
甘味と香りを逃さずに鮑自身に纏わせながら
蒸しあがります。
従って無垢な濃度の鮑の味が鮑自身で旨味を増幅させている効果が発揮されるわけです。
更には真空のパックの中に蒸し出された濃厚な
鮑の僅かな量の汁で鮑の肝の裏漉したものを
湯煎かけて伸ばしてるので
コク深い味の肝ソースが出来上がってるので
其奴を掛けて鮑を味わってみるのもお勧めとの
お話でした。

鮑自身のお出汁で鮑の旨味を重ねて
鮑のポテンシャルを全て引き出す
結果、鮑自身に濃く深さが反映する天風良となり
色濃く鮑の旨味に染まる鮑の身質が出来上がり
蒸されてソフトタッチな肉肌の柔らかみと
濃厚な旨味が広がる肝ソースと合わせて
頂くと私服の悦びが舌を纏うので有ります。

⑫和三盆のシャインマスカットと海蘊酢

海蘊酢は3度漬けしたものに
シャインマスカットがポツンと一人歩き
酸味がストレートに伸びる
和三盆で染めて甘味を支えて奥行きを広げ
甘味と酸味の塩梅が仲良く手を繋いでいた。

⑬伊勢湾の鱧

鱧を揚げる前に
脂も新しいもの変えて
衣も新しく作り替えられてます。

伊勢湾は内湾の為
淡路や明石などの外湾とは異なり
激流とかに揉まれて無いので
鱧自体の身や骨まで柔らかく
身質が上品に育ちます。

骨切りも揚げる直前に包丁を入れてやる
牡丹が開いたものを天風良鍋に入れてやると
鱧がサワサワ〜ッと広がる

鱧がフワァ〜ッと広がるので
隙間に余計なな衣が詰まる事なく
衣からの火の入り方の速度が良く
鱧に均質に火が通って行きます。
揚げる直前に骨切りされた牡丹鱧は
皮下まで火が入って
脂肪のゼラチン質まで旨味を増す

鱧の牡丹がコロコロして
身がふっくらと蒸し上がっており
鱧の身から浮かび上がる
空気感が良くて舌触りが
ふわっふわに走って行く
鱧の玉からのホクホクの旨味が
ギュッと詰まった味わいとなり
感銘を覚えました。

⑭静岡の石川小芋

小芋は
お米の研ぎ汁で茹でる
柔らかくして冷まして
その後に薄味のお出汁に1晩置く
更に
お出汁

薄口
味淋で味を整えて
柚子の香味添えて
火を止めた鍋で揚げる
水分が脱水されて甘味が衣の中で凝縮
この時、衣をまだら状態にしてやると
禿げてる所が出来てお出汁とかに
お焦げ面が発生して
お出汁や醤油風味が出る
其処で高温にしてしまうと
本当のお焦げだけとなり苦さが出て来るが
火を止めて低温でじっくり揚げると
香りだけが付いて芳しくなるそうです。
んん、技が繊細と言うのか
小芋に対しても良く考えられた天風良の化学
其れをきちんと実践する職人の技術
だからこそ
ほんのりと芳しく甘い小芋の天風良が
出来上がるのですね。

⑮賀茂茄子

達人のお勧めに従い
天汁におろしをたっぷり漬けて頂く
天女の衣を濡らして剥がして
お茄子の翡翠色の肢体を曝け出し
揚げ浸しみたいにして食べる
賀茂茄子の繊維がトロンと蕩け出す
翡翠色が全く色焦らずの繊維質が
新鮮なままで衣をびしょ濡れにさせて
熱々ホクホクのジューシィな
茄子独特の甘味が口内に充満
熱々でパリパリの賀茂茄子が
ジュウ〜ッと唸って溶け溶け
蕩け〜る柔らかさが味わえて
嬉しかったです。

⑯天草の赤海胆と有明海苔の天風良

海苔を楽しむ一品
豪快に赤海胆をドンと山盛り
赤海胆は今にも崩れ落ち
海苔を飛び超えて零れ落ちてしまいそうです。
そ〜っと海苔の端を摘んでゆっくり持ち上げ
此れも慎重にお口に運びます。
オッと、ヤバいヤバい
赤海胆が山盛りなので口からはみ出しそうになる
其処をグッと押し込んでやると
天草の赤海胆は海苔の温度で溶けていき
海苔風味に包まれながら赤海胆特有の珍味が
口内に蕩け出していた。
一気に赤海胆の苦甘さが充満し
高揚感がどんどん広がっておりました。

⑰穴子

さぁ、いよいよ名物のご登場
ダイナミックな
穴子の時には脂も粉も新しくする
一枚全部の穴子を揚げて
天ぷら挟みで挟んで持つだけで
パサッと割れるそうで
大将は勢いよく揚がった側から
バシッ、ピシャッと穴子を二つ割して
割られた穴子をお小皿に取り分けして
目の前にご登場と相成ります。

一つ目をサクッと齧ります。
穴子の皮目は揚げられる内に直焼の様に
パリパリな仕上がりとなっており
低温でじっくり揚げられた穴子の身質は
保水されながら脱水するそうで
穴子の身が蒸し上がったばかりの様な
とてもふっくらとした食感となってます。
穴子の旨味が揚げ衣の中にキュッと凝縮
一度サクッ噛むと
湯気がフワァンと立ち登り
白身からは淡白で全く雑味の無い
旨味がポンと弾けだして来ていた。
勿体無くて何度も齧り直しては
サクサクする穴子の醍醐味を堪能致しました。
食後の余韻がほんのり漂いながら
満足感で身も心も満ち足りておりました。

⑱お食事

3択です。
天バラ
天丼
天茶の中から選びます。
お好みを聞かれまして
天茶に致しました。

車海老と小柱の掻き揚げが
お茶漬けに浮かんでお茶の葉の香りも
漂い
お腹いっぱいの筈なのに
心ウキウキ食良くが蘇って来てしまいます。
ザラザラ〜ッと啜る様に
ザクザクと掻き揚げとご一緒に
茶漬けを掻き喰らいました。
口内がほっこりして
サッパリと天風良の脂質の名残を
綺麗に注いでくれます。
ふぅ、
何か至福の天風良を
無事食い切ったと言う喜びと満足感で
高揚した気分が巡回する。
口福気分が充満してとても舌が喜んでました。

⑲甘味

薩摩芋とミルクアイス

⑳煎茶

2021/09/22 更新

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