miti4134さんが投稿した片折(石川/北鉄金沢)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

miti4134のレストランガイド

メッセージを送る

この口コミは、miti4134さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

片折北鉄金沢、金沢、七ツ屋/日本料理

3

  • 夜の点数:4.8

    • ¥50,000~¥59,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.8
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
  • 昼の点数:4.9

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク -
3回目

2025/06 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.8
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

初夏の香味を清涼感伴う心地良さと共に旬の素材で慈しみを心行く迄感じさせてくれるお料理は五味五感全ての感覚野をvividに震わせてくれます


■訪問日:2025.6.9(月)17時〜19時半

■お料理 お任せ¥44,770税込
お飲み物含む会計¥53,100税込

■予約:ご常連様のお招きにて

【初めに】

◉煮出した玄米茶でお腹をほっこり温めお口慣らし

◉片折大将よりご挨拶のご一献
能登の地酒 竹葉 数馬酒造にて食前の盃を頂く

【本日のおしながき】

1.先付

今月の水無月は旧暦6月1日(氷の節句)に
因み夏越の祓も催しされる事が多いですが
片折さんでは氷に見立てた赤烏賊のルイベ
ご用意されてました。

◉赤烏賊のルイベ
◉金時草
◉お出汁

金時草がお出汁に溶けこみ紫紺に輝く
私の色合いがとても雅に感じられて
まるで染め物のような藍色の色調にて
舌を誘惑して来ておりました。

その出汁を少し舐めて舌を湿らせつつ
冷たいルイベを一緒にお口に含みます。
赤烏賊がシャリッと涼しい音色を奏で
冷たいお出汁に絡まれ素直に赤烏賊の
甘味がお出汁の地味と共に口溶けする。

絶妙な塩梅とタイミングで金時草から
滴る香味の気品に惹かれ乍らルイベを
ご一緒させて頂いて氷の節句を楽しみ
初夏の清涼に嬉しさを感じてました。

2.本枯節の一番出汁〜バカラお猪口で〜

◉腹側と背側の鰹節の削り立て

指宿の一本釣りで寝かせて無い鰹より
取った本枯節の削り立てで引いた出汁
お水は藤瀬(ふじのせ)の湧水を汲み
取って来たお水で炊いたお湯で引いた
一番出汁となります。
バカラのお猪口に注がれました出汁を
汲んで一口を啜ってみます。
クイッと一気に飲み干したくなる様な
そんな高貴な芳しさが鼻腔をヒクンと
靡かせて澄み切って透き通る様な淡い
うま味が舌をどんどん蹂躙しうっとり
其の儘陶酔する世界へと舌を誘います。

一番出汁は憂いを含んだ佇まいであり
滋味深さが舌に懐かしさを覚えさせて
一度の味わいが2度3度と味覚を欲し
味わいを反芻したくなる蠱惑のうま味
実に地の味わいが無垢で清いうま味で
舌いっぱいに幸せを感じながら余韻に
浸り切って仕舞いました。

3.お椀

◉沢煮椀

・青うめ
・豚肉
・椎茸
・長葱
・牛蒡
・人参

青梅は厄除けの意味合いがあるとされ
邪気払いも兼ねて青梅をお椀の中央に
皆様の難を祓い息災で有りますように
願いを込めた椀盛です。

肉野菜類の千切りがたっぷり入ってる
具材てんこ盛りに先ほどの一番出しで
纏められております。

真ん中に鎮座している青梅を其れこそ
川面のせせらぎの様に静かな佇まいは
美観も香りも気品に溢れる面差しにて
誠に雅な椀盛を整えていらっしゃる。

お椀の中で新たな調理が進んで椀蓋を
開けた時の味わいと時が経過し野菜が
地に馴染み始めておりサワサワと揺れ
地の旨みが大変滋味深く舌に寄せつつ
繊細な細切りに仕立てられた山菜達が
舌に優しく慎ましやかに絡んで地味を
讃えている姿に感動しちまう。
豚肉の細い短冊がやや甘い脂質を地に
写してきて心地良い時の経過とともに
地味の旨みが奥深くなりとても妙味の
奥行きに広がりを持ち美味いの一言に
尽きるのである。

昆布と鰹の地を活かしきり其処に旨み
落ち着かせて青梅を穏やかに置いた上
沢煮たる風格が芽生えてきている一品。
香りと味覚と食感が同期して三位一体
となる極上の椀盛の雅なあしらいとの
出逢いに心身ともに清々しく洗われた
気分に浸り感銘を受けました。

■黒龍 大吟醸

4.お造り

◉青バイ貝 氷見
◉鮪赤身 氷見
◉こち 氷見
◉飛魚 昆布締め
・ちり酢おろし
・醤油
・山葵
・塩山葵

鮪は赤身たっぷりヘモグロビンの塊と言う
風情で佇んでおり噛めばジワッと鮪酸味が
口内を徘徊しジンジンとしなる美味さには
山葵醤油が完璧にマッチングして実に美し!

噛んでみますと口内で味わう酸味が抜群に
伸びて来るんです。こんな鮪って有りか?
と思えるほど鮪の身肉から零れる酸味には
驚いちゃいました。
能登鮪の醍醐味を頂いて喜びが膨れました。

青バイ貝は山葵が滅茶ピシッと貝の身肉を
引き締めて来て噛み心地抜群の旨みを発揮。
更に興味本位で塩山葵が雪塩の様なお姿で
目に留まったのでチョコンと一振りしてね
頂いてみますと此れが抜群にウメェ〜ッ!
となる代物でこんなに能登の香味塩が凄く
美味しいとは衝撃的なお塩となりました。

一方白身のこちは少し寝かせててモチッと
する身の食感と淡い旨みが募るものですが
白身魚のこちもこの塩山葵をつけて頂くと
滅茶苦茶淡白な旨みが生き返った様に凄え
旨みが深くなって嫋やかな身質の食感にも
ビンビン旨み塩的な味わいが染み渡りつつ
キュッと身が引き締まり噛み心地抜群なる
快楽を得る味わいに吃驚となっちまいます。
この塩山葵がめちゃくちゃうまい!

そして珍しいのは飛魚です。
こいつは塩より醤油よりもちり酢で頂くと
綺麗に身の旨みが酸を感じ甘酸っぱい様な
面白い味わいが口内で広がり個性的な味で
舌を楽しませてくれました。
兎に角この一皿で受けた山葵塩と衝撃的な
白身魚や貝との共演の躍動的な出会いには
感謝感激しちまうお造りの名作と言えます。
海の幸の味わいをグッと引き上げる仕掛け
には頭が下がる思いでした。

因みに山葵塩は能登のお塩と山葵を合わせ
あたり鉢で細やかに擂りサラサラの雪塩の
様な状態に仕上げられております。
片折お手製の山葵塩の旨み塩味辛味等との
交差の結果齎されるコーティングのチカラ
大変勉強になりました。

こう言う優れ物の味に巡り会えたことこそが
片折さんへ訪問する醍醐味でも有るかと痛感。
何かしらお伺いした時に新しいものを何時も
発見できる引き出しの多様性と仕掛け方にも
創意工夫が凝らされて実に感動を呼んで頂く
そんな片折劇場には感謝がいっぱい詰まって
嬉しさを隠し切れず頬っぺた落ちっぱなしで
楽しい会食のひと時を頂いておりました。

5.お凌ぎ

◉一寸豆の飯蒸し

飯蒸しが冷めないように蓋ものでご用意
ギヤマンの骨董ガラスの器にてその蓋を
開けますとフワァンと湯気が立ち生姜の
香りが彼方此方に飛び交い芳しい匂ひに
連れられてとても雅な気持ちに浸ります。

新生姜と一緒に餅米を炊き込んで
黒胡麻をパラパラ振り掛けされて
餅米の持ち味を完璧に活かしつつ
生姜の香味が舞い乍ら頂く餅米の
もっちり感と戯れる喜びを頂いて
俄然嬉しくなっちゃいますね。
一寸豆をサクリと齧ると真っ青な
お豆からサラサラ〜ッと粉質感が
とてもスムーズに流れて穏やかな
甘みが口内に綺麗に整然としつつ
広がりを見せてくれます。
その広がり方も豆の粉質感も大変
お上品な広がり方で甘さがとても
優しく飯蒸しに絡んで美味しい。
そして新生姜の香味が餅米を大変
上手くオブラートしており気高い
香味に包まれて餅米の甘味と共演。
優しいお豆の甘味とサクリとする
破砕感がとても繊細な咀嚼からの
妙味を作り出して穏やかにお腹を
満たしてくれました。

6.焼物

◉赤甘鯛

もうね、見るからに威風堂々のご立派な
勇姿にジッと目が釘付けされちゃいます。
こんがりと赤い皮目のお焦げが黒ずんで
実に誘惑を唆る美観に堪らなくなります。

シンプルに鱗は全部間引いてて滑らかな
表皮に仕立ててこんがりふっくら焼きの
甘鯛となっておりました。
先ず良く言われる鱗を屹立させての焼き
では無くて鱗を取り除いた焼き方で用意。
鱗を取りますのはお口に含んだ時に先ず
鱗のカリカリ食感に全てが持って行かれ
本来の甘鯛の肉感や味覚が薄れてしまい
味わえなくなるからとの事でした。
更に皮目が大変美味しく香ばしく焼かれ
まるで皮だけのべつ料理の様に独立した
味覚を整えており皮裏に潜む脂質分から
ジワッと旨み甘味が舌にvividに伝達!
此れが余計甘鯛のふっくら豊満な肉肌を
美味しさ膨らませながら舌にしっぽりと
抱きついてくる耽美な味わいで満たされ
恍惚となってしまいました。
甘鯛の下味は塩だけを施し其の儘火入れ
結果、凄く甘鯛自身の身の淡い旨みとも
絶妙に塩味が調和して美味しさが膨らむ。

身質の優れた肉感と旺盛でジューシィな脂汗
浮き上がり純白の身をキラリと輝かせており
その脂汗が舌に直接滴り落ちて来てメッチャ
気品溢れる旨みで着地するのは嬉しさ倍増で
この甘鯛の素材本来が持つ美味しさを存分に
発揮させてる巧みの技に感銘を受けました。

7.揚げ物

コース料理の真ん中あたりで味変を斯様な
感じで頂けるのは実に楽しい味覚が深まり
な何故か得した気分となり嬉しくなります。

◉白海老の磯辺揚げ

生の新鮮な白海老をお海苔に乗せて
磯辺揚げ仕立てとするなんて発想の
豊かさに嬉しくなっちゃいますね。
能登のお海苔を磯辺揚げに仕立てて
お海苔が無茶分厚くて恰もお煎餅の
如くパリッパリッと破砕感が逞しく
伸びて来てかつ磯の香りがプワァン
と匂ひが立ち登り食感の心地良さと
香りの気品にうっとりとなっちまう。
先ずは食感の響き方に感動を覚えて
その後追いかけてくる海苔の風味に
白海老がトロ〜ンと舌に絡む甘味が
陶酔感を伴う良いお味なのです。
こんなにも妙味が膨らむ口直し的な
一品との出会いに高揚感を覚えつつ
磯辺揚げを満喫させて頂きました。

8.珍味

◉海胆素麺
・長芋
・スナップエンドウ

麺つゆの如く美しく珍味濃度高き
うま味が揺蕩う馬糞海胆の麺つゆ
その海胆の濃厚な珍味が膨らんで
麺つゆの如く素麺を見事に染める
海胆ソースと言うかお汁と言うか
海胆珍味に染まるも浸された素麺
軽やかにかつ、清涼感も清々しく
喉越し通り過ぎて行く時の軽快な
ツルツル感覚が綺麗に潤いを見せ
島原素麺と海胆ソースとが巧みな
絡見合いを演じて舌に歓喜を呼ぶ。

兎に角海胆塗れに染まる島原素麺は
とても見事に海胆の珍味に馴染んで
まったりと味わい深く実に美味し!
そして純白の長芋の小角がシャリッ
心地良く歯に当たって長芋の甘味を
携えつつスナップエンドウがコレも
爽やかな青みの味と粒々の繊維感が
口内で歯触りと共に響いて口福感を
いっぱいに広げておりました。

9.お口直し

◉鱧のじんだ巻き 氷見
◉ごぼう
◉大葉
・梅肉醤油

輪島の御陣乗太鼓に見立てたお料理となります。
荒ぶる海を宥めて鎮める事を狙いとした太鼓で
古来より輪島に伝わる伝統芸能の一つ。
その催しに因んだお料理にて鱧が太鼓の表面の
様に鍛えられた凛々しい姿を見せつけ如何にも
食欲を唆るもの。
その鱧にクルクルッと巻かれた牛蒡には大葉が
緑で美観を整えつつ鮮やかな色合いにて鱧との
相性良さげに絡み合う一品なのです。
咀嚼すれば

力強く鱧の旨味溢れる白身と牛蒡の甘みと食感が
同調し合い其々の食材の持ち味と風味が見事な迄
ハーモナイズして上品な味わいの美味しさが大変
嬉しくなる一品でした。
片折ならではのコース料理の中間地点でキラリと
味覚が舌を目覚めさせてくれる様な味わい深さで
かと言って濃厚なものでは無くさり気無く素材の
組み合わせで淡く小気味良い美味しさを繋げての
美味なる舞に感動しちまうのでした。

10.煮物

◉寄せ豆腐
・栄螺
・鰻
・キクラゲ
・絹さや
・山葵
・松葉インゲン
◉お出汁の餡掛け

至福の味を大変奥ゆかしく楽しめて
かつ、
贅沢の極みを頂ける極上の寄せ豆腐。
凡そ此れがお豆腐生地のなのかとも
思えるような驚きが連続する豆腐の
まったりでトロントロンと舌触りと
その滑らかなシルキー食感に驚いて
一旦食べ始めると止めたく無くなる
斯様に繊細な豆腐生地の滑らかさと
何処迄も続く淡く甘いうま味の豆腐

そして寄せ豆腐の中には具材たっぷりに
肉饅頭の様な贅沢感が極まりない調べの
美味が奏で続けて美味しいがいっぱいに
詰まって舌を満足させてくれます。

栄螺に鰻迄もが飛龍頭の中に射込まれて
贅沢感が募るものであり食べてる間にも
豆腐生地のふわふわ感と共に寄せてくる
飛龍頭の出汁の地味との共演から出づる
妙味がジンジン舌に伝わって来てお口は
高揚感が募り悩まされっ放しとなります。

11.煮物

◉茄子の胡桃味噌田楽
◉茗荷

見事な翡翠茄子なのであります。
自分もこんな風に全く美しくて
穢れも傷一つ見当たらない様な
翡翠茄子を炊いてみたいものと
感心してしまいました。
流石、プロのお仕事はレベルが
違い過ぎてとても足元に及べず
お茄子を見ているだけで何気に
気分が良くなりこのお茄子との
出会いに感謝したくなります。

その翡翠茄子を一口グチュ〜ッと
噛んで中から零れ出る甘い茄子の
汁に口内が満たされながら満足を
得て滅茶舌が喜んでおります。
まぁ、なんと澄んだ偽りの無さが
佇む茄子の味わいが舌を訪れつつ
歓喜を呼んで来ております。
そして

繊細に仄かに素揚げしての茄子の
瑞々しいほろ苦さが囁かれ甘みと
同期を取りお茄子の個性が溢れる
甘苦さが気高く口内を舞い散る故
また次の一口へと誘惑が絶えない
そんな見事な味覚の一品なのです。

而もお茄子に寄り添う胡桃味噌の
何とお優しい甘みと胡桃の旨みが
田楽の蕩ける中で見事な調和にて
お茄子のジューシィな甘さを更に
キラリと光らせる物で味噌田楽の
醍醐味とも言える美味しさが募り
舌が大喜びして興奮が止まらずの
状態が暫し継続となり大変印象の
深い味覚を頂きました。

斯様な味わいを単純にお茄子との
あしらいで完成させてしまうとは
片折大将の類稀なる素材を活かす
匠の技に感銘を受けました。

さて、お茄子が食べ終わる頃合いを
見計らわれ女将様より本日のご飯の
ご紹介となりました。

締めのお食事はと言いますと
ご飯かま4種類のご用意にて

❶白ご飯とお供
❷鮪の付け丼
❸鱒ご飯
❹小鯛のお茶漬け

との構成にてご用意があり
皆様のお腹の都合にて選択。

私は欲張りなので全種類を
頂きたいけどお腹もかなり
膨らんでますので全て軽く
所望させて頂きました。

12.お食事

[一膳目]片折定食

◉白ご飯(氷見コシヒカリ)
◉氷見牛の時雨煮
◉香の物(昆布佃煮・粉鰹・胡瓜)
◉白味噌のなめこ汁

実に味覚のバランスが巧みに設計されたご飯もの
氷見の白ご飯が何とも雅な仕上がりを見せている。
ほんのりと緩やかに蒸された白米様はまるで
煮えばな風の佇まいに舌が魅了されて仕舞う。
噛めばほんのりと柔らかみを感じて米粒感が
健やかに甘味を讃えている美味しさでお米の
味覚が凄く煌びやかに表現されている。
斯様に綺麗な味わいでお米の旨みを引き出す
ご飯には中々出逢えない。
そんな貴重で慎ましさをも秘めた白ご飯との
出会いに感謝の念しか有りません。

そしてご飯のお供の皆様が白ご飯にピタリと
寄り添ってくれる素晴らしい出来のお供たち
先ずは筆頭の美味さを誇る氷見牛の八幡巻き
極太の牛蒡を身厚な氷見牛で二重にも巻いて
牛蒡のシャキッと伸びる繊維感からの甘さと
氷見牛をタレ焼きした耽美な旨みの合作には
舌が滅茶苦茶唸って仕舞うもの
その華麗な美味で舌を包む八幡巻を白ご飯に
合わせてくれるのである。
此の美味しさを染み染みと咀嚼して味わいの
深みにハマって仕舞うのは避けられない。
どんどん白ご飯が進む進む。
あっという間に牛蒡巻きを一つ食べてる間に
白ご飯一膳目を平らげてしまった。
そして更に少しこってり気味で甘美な氷見牛
その名残が口内に留まるものたちを和やかに
洗う様に気分を救ってくれる白味噌の香味に
満ちた味噌汁とミンククジラの脂汗が滲んだ
旨み豊かな味噌の味が舌を慰めてくれました。

[二膳目]

◉漬け丼
◉鮪
◉こち
◉青バイ貝

金沢の鮮魚は何処迄も透き通った身質に
美しく麗しく淡麗な旨みが募る海の幸を
白ご飯に飾られて雅な風味を携えて欲を
俄然と唆り見事な美観を整えた漬けの丼。

こんなものを用意されてしまっては舌が
どうにかなっちゃいそうでご飯時なのに
酒が欲しくなっちまうと言う素晴らしい
ご飯ものでありました。

鮪の赤身は牛刺しの如くトロンと身質が
舌に抱きつきやばいくらいの妖艶な食感
咀嚼が麗しくて止まらんぞと言う感じに。
そして何とこち様までご用意とはかなり
吃驚してこんな希少なお魚を頂けるとは
嬉しくなりますね。
こちのコリコリする身質の清々しい食感
あっさりとして淡白さが上品な味わいに
夢中となり一心にその美味に勤しみます。
そして大海の幸たちにお付き合い頂いて
青バイ貝が元気にコリッと歯に響きつつ
口内を飛び跳ねる楽しい丼を満喫させて
頂きました。

実に食感の多様性から金沢の海の幸から
味わい深い麗しの味覚を頂く小丼に感動。
大変脳裏に印象が刻まれたお食事でした。

[三膳目]

◉鱒ご飯

香り高き気品に溢れる本鱒の身質は
何とも言えない肉質の品の良さから
愛おしいほどの香味を携え持ち味の
甘い旨みと膨よかな肉感を曝け出し
艶々コシヒカリとの相性良くジワッ
と甘味と旨みが口内で華麗に舞う。
其処に炙られた鱒の皮目がパリッと
囁き食感を伸ばして鱒ご飯を余計に
美味しくして来て舌を悩まし続けて
おりました。

[四膳目]

◉小鯛のお茶漬け
◉紫蘇の香味

締めのご飯はサラサラ〜ッとお口に優しく
舌を和やかな温感で迎えて頂く癒しの一口。
とても温和なサラサラな茶漬けの優しさが
嬉しくなる締めの一品で小鯛がいそいそと
穏やかな旨みで茶漬けを深掘りし乍ら舌に
そっと寄り添い麗しいお味を膨らませつつ
舌をほっこりとさせて頂きました。
最後に斯様な心温まるおもてなしを頂いて
大将と女将の繊細で微笑ましいご対応には
とても気分が和やかとなり嬉しいひと時を
頂いて大満足でお食事の終了となりました。

11.甘味

◉氷室饅頭

7/1の氷室開きに因んだお饅頭。

北海道の大納言を使用されてます。

とても熱々のお饅頭で女将様のお話ですと

真冬に貯蔵しておいた氷を旧暦の6月1日に
(現在の7月1日)に江戸将軍家に献上する際
無事に氷が届きます様にとのお願いを込めて
お饅頭を供えた事が始まりとされているとの
事でした。
現在へ夏の始まりを告げる昔の金沢加賀藩の
風物詩としても又、健康を願う縁起物として
親しまれているようです。

◉お薄

以上にてお仕舞いとなりました。
大将の笑顔と女将様の優しいおもてなし
お弟子さんたちの温かい気配りにも感銘
大変満足度の高さを誇る日本料理を頂き
満面の笑みを浮かべて退店となりました。

2025/06/29 更新

2回目

2024/04 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.8
    • | 雰囲気4.8
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

春の微風と共に芳しさを乗せて能登食材を駆使し五味五感全ての感覚野をvividに震わせるお料理

■訪問日:2024.4.4(木)17時半〜20時

■お料理 お任せ¥44,770税込
お飲み物含む会計¥49,800税込

■予約:ご常連様のお招きにて

■お店

◉煮出した玄米茶でお腹をほっこり温め事前運動

◉片折大将よりご挨拶の一献は

能登の地酒 竹葉 数馬酒にて食前の盃を頂く

1.先付

●春野菜と甘鯛の甘酢餡かけ
・うるい
・蕗の薹
・春若芋
・三つ葉
・人参

春の香りと春を告げるほろ苦さが同居して
優しい味わいでお出汁の地味を整えつつも
落ち着いたうま味をさり気無く醸し出して
実に舌を癒してくれる味わいに舌が震えて
鷲掴みされてしまう。

春野菜を餡掛けがこっくりと抱き寄せ乍ら
口内で穏やかに着地して来るのに奥深さを
感じてしまう。
この春の訪れを告げる苦味と甘酢餡掛けの
甘味とが味覚の好対照を構成しており舌に
同時に訪れる時の意外な衝撃波に感銘する。
こう言う春をさり気無く演出して仕掛けは
インパクトのある味わいを作り上げて来る。
実に巧妙に練られた秀逸な作品なのです。

餡だしの地は昆布だしベースに鰹の振り立て
一番を入れて地味深さを佇ませている。

春野菜同士の絡みが食感も甘味も心地良く
蕗の薹がフワッと苦味で舌と戯れると直ぐ
側で春掘りの長芋がゆっくりトロンと歯に
粘着しながら甘味を振り翳す。
かと思えばうるいが此れも春を告げる繊維
細やかに清々しい食感を整えながら甘酢の
餡の中へ身を投じ餡が甘鯛の膨よかな身を
素直に受け止めている。

甘鯛がハラリと崩れながら甘酢餡に染まり
甘酸っぱく旨みを放ち舌を唸らせて春めく
鼓動が静かに揺れていた。

2.本枯節一番出汁

指宿の一本釣りで寝かせて無い鰹より
取った本枯節の削り立てで引いた出汁
お水は藤瀬(ふじのせ)の湧水を汲み
取って来たお水で炊いたお湯で引いた
一番出汁となります。
バカラのお猪口に注がれました出汁を
汲んで一口を啜ってみます。
クイッと一気に飲み干したくなる様な
そんな高貴な芳しさが鼻腔をヒクンと
靡かせて澄み切って透き通る様な淡い
うま味が舌をどんどん蹂躙しうっとり
其の儘陶酔する世界へと舌を誘います。

一番出汁は憂いを含んだ佇まいであり
滋味深さが舌に懐かしさを覚えさせて
一度の味わいが2度3度と味覚を欲し
味わいを反芻したくなる蠱惑のうま味
実に地の味わいが無垢で清いうま味で
舌いっぱいに幸せを感じながら余韻に
浸り切って仕舞いました。

3.お椀

⚫︎白粉豆腐(おしろいとうふ)
⚫︎小鯛
⚫︎青さ海苔
⚫︎大根細切り
⚫︎木の芽

大将曰くお雛様の肌の色をイメージして
あしらえた白粉豆腐だそうです。
見るも純白の輝きに箸先で突くとプルン
そして緩やかに弾力するお豆腐の肉感は
可愛く揺れてツルンとしててスベスベな
お肌がとても綺麗にお椀の中で輝きます。
少しだけ齧ってみるとプヨンと揺れても
ネチっとする滑り味も有り噛んでいると
ネットリ感も生じて来て実に艶かしさが
伴う食感が伸びて来て葛の甘味が綺麗に
舌を蠱惑してくる美味しさなのです。
とても穏やかかつお淑やかな甘さが良い。
そして小鯛が椀種として堂々の鎮座して
合間に青さが磯の風味を醸し出しており
小鯛を静かに大海の香りで雅に装おう。
お椀に立派な佇まいを見せる小鯛は皮も
旺盛に膨よかな肉感を忍ばせて旨味放出
いつの間にか小鯛の脂汗が吸い地に写し
出され地の地味深さが更に磨かれて淡く
研ぎ澄まされた地の味わいに昇華する。

お椀の中で新たな調理が進んで椀蓋を
開けた時の味わいと時が経過し小鯛が
地に馴染み始め小鯛からの旨みが良く
地と同化して行きその旨みが奥行きを
深め乍ら進んだ味わいに舌が感銘する。

昆布と鰹の地を活かしきり其処に旨み
落ち着かせて小鯛を穏やかに置いた上
白粉豆腐の豊かな粘性を引き出しての
香りと味覚と食感を三位一体させての
椀盛の雅なあしらいに心洗われました。

◉手取川

4.お造り

⚫︎氷見の鰺
⚫︎氷見の赤烏賊
・山葵
・能登塩
・ちり酢
・醤油

何と氷見の味覚を食べ比べみたいな嬉しい
海の幸のコラボを体験させて頂ける貴重な
機会を頂いちゃいました!
こんな事があるんですね。

先ずは鯵です。
普通に山葵醤油で少し染めてお口に頂くと
一切れを齧った瞬間にパッと判別できる程
鯵の血合い部分の乗りがとても濃厚な感じ
その血合い部分の旨みと身質のしなやかな
弾力感を伴う淡味との落差がとても良くて
本体の身の方は山葵醤油の辛味と醤油味が
淡い旨みの鯵へ馴染んで行くし血合の方は
恰も鰹の如くかなりの濃度でフレッシュな
旨みを放って印象的でした。

噛んでみますと口内で味わう甘味が抜群に
伸びて来るんです。こんな鯵って有りか?
と思えるほど鯵の身肉から零れる甘味には
驚いちゃいました。

そして血合いの部分も含めて鯵の深みのある
味わいが同時に舌を刺激してくるので其れが
鮮烈な味覚に変貌を遂げている事に感銘です。

鮮度抜群の血合いが見事に
乗ってる鯵に舌が唸り続け
ほんのりと脂汗が浮き出て
鯵自身がその身を自分の体液で
コーティングしているかの如く
奥深い味わいを醸し出して来て
鯵の咀嚼が自然に進んで仕舞い
お酒もキュッと進んで仕舞って
止まりませんでした。

こう言う優れ物の鯵に巡り会えたことこそが
片折さんへ訪問する醍醐味でも有るかと痛感。

また赤烏賊がとても肌理細やかな飾りが入り
お口の中でネットリと蕩けて行く艶かしさと
赤烏賊の溢れる持ち前の甘味が美味し過ぎて
食べたく無くなっちゃう故少しお箸が止まり
暫し静観してしまうがやはり舌は止められず
赤烏賊にちり酢の酸味が良く似合うのですね。
口内で甘酸っぱくなり咀嚼を俄然進めますよ。
此奴は中々の優れもので此れも食べ始めると
ヤバく咀嚼が一気に進み止まりませんでした。

5.お凌ぎ

⚫︎紅ズワイ蟹の蟹焼売 富山新湊
⚫︎三つ葉
⚫︎ふり柚子

此処で焼売が出て来るとは味変と
食感の変化が楽しめて嬉しくなる
お料理一品毎の突き詰め方も巧み
コースとしての流し方も秀逸にて
決して舌を飽きさせずの味わいに
緩急を付けてスムーズに運びます。

大将曰く元々修行先金沢『つる幸』で
40年前から引き継がれて来たお料理で
もうレシピなどは存在しないとの事。
その焼売の一品に素材を現代風な味に
アレンジしたものにて復活させたもの。

咀嚼して最初に飛び込むモチッとした
弾力感が大人しく歯を迎え入れながら
ズワイ蟹の解された身がギュゥ〜ッと
詰まってるので食べ応え感が凄く伸び
蟹の美味しさがとても綺麗に膨らんで
堪らなくなります。
しっとりと十分に蒸されてて保湿感も
旺盛にしっとりの柔らか味から生ずる
穏やかな甘味を含んだ繊維感が広がり
幾つでも食べたくなりますね。

焼売は蟹の身の甘味を控えさせて
大人しい甘い味わいに整えてあり
蟹焼売全体を邪魔しない優しい味
また、蒸し加減が絶妙な塩梅にて
舌に焼売がフワンと着地した時に
とても優しく皮がピタッと歯にも
舌にも密着する食感が艶かしくて
蟹の崩れ方が妙味を携えて極上の
焼売の味わいとなっている。

更に蟹焼売に対する強欲が芽生えて2個目を
徐に箸先で摘んでお口の中に放り込んでみる。
皮がと〜っても柔らかぁい食感が先に到着し
歯をムニュッと沈めて蟹のズワイ身肉の中に
招き入れてくれるのです。
その時のフワンと呼ばれる歯触りがとっても
心地良い噛み具合で少し皮が歯にもペトッと
貼って来られるのも皮の甘味が伝わって来て
蟹の熱々の甘味と折り重なって綺麗に甘さが
優雅に踊り出して来るのです。

こんなにヤバイ焼売とは計り知れずで
2個を用意されるのも丁度良い感じで
嬉しくて印象強く脳裏に留まりました。

6.藁で燻した柳鰆のタタキ

●柳鰆 七尾
・山葵
・茗荷
・浅葱
・ちり酢

柳鰆は産卵期とも重なり春に旬を迎えて身が
膨らんでくるお魚で春を告げる鮮魚なのです。
なので時期的にもドンピシャの段階でご用意
とても嬉しい限りのお刺身に期待が膨らんで
しまいますね。

切り身を一口含んで噛み始めるとグッと来た。
柳鰆のたたきの仕上がりレベルが感動もの!
たたきの塩梅がレベチでまるで焼き霜の様に
柳鰆の身質が膨よかかつ艶やかに踊りを見せ
皮目はしっかりと叩かれほんのりと炙りから
脂が適度に飛び放たれてるが故に身質なんか
キュ〜ッと引き締まっちゃってる訳です。
此奴は堪らんぞ〜と言う感じの美味さについ
お酒を一緒に煽って仕舞う事に成りにけり候
春を告げるお魚とは言うものの春の香りなの?
と噛む度に芳しくプワァンとなる柳鰆の匂ひ
口内に巡ってから鼻へスムーズに抜けて行き
その心地良さにもうっとり惚れ惚れしちゃう。
更にその柳鰆にですね、
お付き合いする茗荷が単に薬味と言う訳で無く
期待値以上に繊維感がリフレッシュ感を溌剌と
伸ばして歯に瑞々しい食感を弾き出している。
この何と無く無味乾燥な薬味と思わせつつも
サラサラ〜ッと齧ってシャキッと瑞々しさを
讃えるかの様に歯と燥いでくれる茗荷や浅葱
柳鰆の脂質豊かに淡く旨みがのってる肉感と
絶妙な味覚のコントラストがくっきり浮かぶ。
実に味わい深く印象的な食感と美味さに唸る。
もう、こんだけ美味しいお造りを頂いけると
舌が喜びで溢れておりました。

7.ヤナギバチメの塩麹焼き

●ヤナギバチメ
●インゲンの黒胡麻和え
●酢橘

珍しく聞くお魚と思い確認しましたら
めばるのことでした。。
地方に行くと知ってるお魚でも呼び名が
違う点に情緒を感じて蘊蓄が増え遠征の
楽しみの一つとなりますよね。

ヤナギバチメは上品な脂で身は白く滑らかで
身質はしっかりとして塩焼きや煮付け料理が
お似合いの地魚の様です。

そのヤナギバチメを塩麹で染めて淡白な味に
色をほんのりと付け味わいを少し深掘りして
炭で焼かれておられます。
一口を齧ってみると抜群に美味しいです。
先ず鮮度が良いのでしょう、白い身肉が相当
プリッと歯に反発して弾力性が跳ねる肉感を
返して来て食べ応えを感じちゃいますね。
更に塩麹の漬け具合がピタリッとこのお魚の
相性に良く似合うもので何か幽庵焼きの様に
地味深さが舌に一緒に染み込んで来る美味さ
ジンワリと落ち着いて味が広がって行きつつ
豊かな身のこなしに塩麹が染み込んでる身は
ジワリ麹の旨み底味が浮き上がって来るもの
噛めばしっかり肉感が漲って力強さを感じて
咀嚼が止まらなかなります。
喜びに満ちた素材感と身の底から湧き上がる
旨みに満ちる美味が口内で連打する
其処にしっぽりと黒胡麻に煽られるかの様に
隠元がシャリッと繊維感を伸ばし黒胡麻との
何とも言えない甘美な味覚に舌が弄ばれてる。
この黒胡麻がめっちゃクチャ美味しなのです。
瓶詰めにして売って欲しいくらいに品のある
甘さが漂う黒胡麻で隠元との相性も抜群です。

いやはや、此れは参りましたね。
ご地元の可愛い旬のお魚さんの味わいを
此処迄昇華させて更に地の味が芳醇にも
整えられた黒胡麻で受け止めてくれます。

斯様に能登は豊かな顔つきで存在感有る
味わいを表現してくれる素材が豊富にて
訪問する度に驚きと感動を頂けて感謝の
気持ちでいっぱいになるのです。

8.蛍烏賊の釜揚げ

このシーズンのメインテーマであり
片折名物と言っても過言ではない
蛍烏賊料理の名品でありそう言う
意味合いでは片折大将は蛍烏賊の
達人であると言えましょう。

この蛍烏賊料理を食べて感動しない人は
居ないくらい万人を興奮させる蛍烏賊の
お料理なのです。

当日の数時間前に採れた蛍烏賊は
まだ元気にグニョグニョ蠢いてて
ザルの上にいっぱいで目がキラリ
光っております。

1匹ずつ大将とお弟子さんたちが
目ん玉をピンセットで繰り抜いて
グツグツの釜に浸す下準備を整え
用意万端の心構えです。

富山の蛍鳥賊の釜揚げで衝撃的な食感と
甘味と旨み、苦甘さが果敢に揺蕩い同居
そのサイズ感も咀嚼感も味覚も音色もと
ほぼ全ての五感にピンと響く素材自体の
持ち味が研ぎ澄まされて響いて来る為に
蛍烏賊と言う生物を生まれたての鮮度で
運んで来ている逸品料理となります。

生きたままの新鮮な蛍烏賊を茹で
蛍烏賊は軟骨も一緒に火入れして
柔らかくて身と一緒に咀嚼出来て
プルンと揺れる蛍烏賊の身を齧り
噛んだ途端にプヨンと唸り乍らも
身がモッチリと弾けつつ歯を招き
清々しくもキレ味を感じる苦味と
身の甘味が衝撃的に突き抜けつつ
プチュンと蛍烏賊のエキスが弾け
口内に絶妙な旨旨の甘味が発散し
食感も甘味も頗る天然の味わいが
あっという間に広がり陶酔に浸る

チョット信じ難い程の食感と甘味
一口動かすごとに感動に揺れます。

一杯を完食し2杯目の味を続いて訪ねる。
目玉も軟骨も口も咀嚼を少しでも邪魔と
なる様なものは完璧な下処理が施されて
然し味覚に旨みを留める要素は全て残す
ワタ等も綺麗に残して旨みをグッと昇華
そのワタもプチッて噛むと肉肌はプヨン
仄かに弾力するもワタはジューシィかつ
甘い香りを伴いつつほろ苦さがまた断然
味わいを深掘りして来る美味しさが踊る。

そして蛍烏賊をプチュンと潰すと甘ぁく
エキスが口内に弾き飛ばされ妙味が募る
同時に
フレッシュに伸び伸びと漲るプルプル感
咀嚼する度に夢心地の様な口福感が届き
舌は蛍烏賊から和みを頂き恍惚となって
深い味わいに何処迄も美味が募り続けて
舌を陶酔させ切っていました。

9.喉黒の蒸寿司

●蒸した喉黒
●蒸し寿司
●錦糸卵
●百合根
●梅肉
●木の芽

脂質コントロールが素晴らしい
これ程あっさりと脂質を抑えていて
かつ旨みはきちんと残して幾分かは
脂質も保湿するかの如く身に留めて
絶妙な脂質感を残しているのどぐろ

その喉黒が絶妙な旨みを蒸し寿司を
ほんのりと染めて喉黒の持ち味との
共演を一所懸命に舞い踊ります。

喉黒は蒸してる時に脂を飛ばしてて
程良い脂質感を抱いて旨みを留める
蒸し寿司と一緒に咀嚼すると少しく
脂汗が滲む旨みを酢飯の酸味が宥め
落ち着かせて紳士淑女の振る舞いと
なるのです。
このしっとりと美味しい雅な味わい
錦糸卵も百合根も品の良さを讃えて
蒸し寿司を高貴な一品に仕立て上げ
お口に幸せを運んでくれました。

10.お豆腐田楽 木の芽味噌

むふふ、と頬っぺたが喜んでしまう感じ
こんなお豆腐料理を頂けるなんて予想外
串刺しされたお豆腐田楽は尋常ならざる
舌触りに甘味を展開して舌を口福に誘う。

木の芽味噌がまた良くて山利の白味噌を
贅沢に使っての木の芽味噌はこってりと
舌を潤わせて甘美な佇まいに木の芽から
香り立つ芳しい匂ひに惹かれてしまって
異次元レベルの田楽のあしらいなのです。
個人的には豆腐田楽なるものの私的史上
恐らくイチオシと言える代物であります。
更に
アクセントに散らされてるほうれん草と
青柚子の名コンビが清々しい青味と共に
柚香をフワリと漂わせ無色無臭のままの
お豆腐に程良い香り付けとなり木の芽の
味噌の甘味に染まる豆腐を後方支援して
誠に雅なる美味を奏で続けて舌を蠱惑し
うっとりとし陶酔感に浸っておりました。

11.海鱒(桜鱒)天麩羅

●海鱒の湯葉巻き天麩羅
●焼きアスパラガス
●昆布塩

海鱒は大変身の肉質が柔らかで齧ると
歯がフワッと落ち着いて肉肌に留まる
グッと噛み込むと淡泊な甘味が滲んで
ジワリ淡味が浮き上がって来る美味さ
とても気品に溢れて香り高く舞うもの

湯葉に包まれた海鱒の身は軽やかに舞う
揚げ衣にもフワンと囲まれ乍らサクッと
破砕感が軽妙に歯と燥いで楽しげに遊ぶ
衣が口内に散り散りになり乍らも湯葉は
しっかりと海鱒を抱き込み優しく海鱒が
その身を湯葉の温もりに委ねているのが
慎ましやかな食感と海鱒の香味とコラボ
そして湯葉の甘味と海鱒の淡味が絡んで
こよなく憂いを含んだ味わいが舌を染め
喜び溢れる味覚を整えて来ておりました。

齧るほどに旨みが迸ると言う事はなくて
元来海鱒は鮭ほど脂が乗っていないため
さっぱりとした淡味が深まる味わいの魚
なので咀嚼するとお口の中はさっぱりと
淡い味がスッと通り過ぎる快適さが良い。

湯葉と海鱒の間に挟んだ大葉からの香り
湯葉で巻いて揚げたてなのに中身はレア
程良く衣の中で蒸されておりしっとりな
身質は実に艶かしく生き生きとした身が
淡く旨みを引き出して手前の昆布塩との
相性が良くて海鱒の淡白さを昆布風味と
塩気が程良く手伝って味に色を染めてる。

揚げ衣と湯葉と海鱒が味覚のベクトルを
同じ方向に合わせ其処に昆布塩が仄かに
アクセント付けして淡さに奥行きを与え
海鱒の無垢な旨みを完成させて居ました。

12.小付

●桜鯛昆布締め
●大徳寺納豆
●菜の花の辛子和え

真っ黒な小粒の可愛いお豆がこれ程に
パンチが効いて刺激する味を弾き出す
とは新鮮な衝撃を桜鯛の淡い旨みとの
紡ぎ合いに頂きかなり感銘の味わいを
覚えます。
桜鯛がしなやか身質で反発する歯応えに
呼応する様にクルッと大徳寺納豆の粒を
桜鯛の身で包んでから歯に収めると少し
スッとする様な鹹味共に桜鯛から甘味が
淡く滲み寄せて来る
大徳寺納豆の香味に桜鯛の甘味が上手く
調和を齎し心地良くハーモナイズさせて
実に美味を嬉しそうに奏でてくれます。

2枚ほど桜鯛の切り身と大徳寺納豆との
味の調和が進むコンビネーションを頂く
初動の味覚は桜鯛がまったりと忍び寄り
直ぐに大徳寺が芽生え鮮烈な味の波動を
受け止めて仕舞う。
大徳寺納豆の塩味がそのまま良く効いて
桜鯛をキュンと締める味わいで引き立て
舌を力強くリードしてくれるのである。

其処に桜鯛とのコラボを解消させる様に
菜の花が甘辛に味をそっと深掘りさせて
静かに諌める様にゆっくり繊維感を弾く

三者三様の持ち味を出して繋がりを保ち
それでいて個性的な味を引き出しながら
一品としての纏まりを最後にはカタチに
残しておりました。
中々に鮮やかな色調を感じ取れる逸品!

13.お食事

[一膳目]片折定食

●白ご飯(氷見コシヒカリ)
●氷見牛八幡巻
●お味噌汁(山利の白味噌にミンククジラ)
●香の物(昆布佃煮・白菜・粉鰹)

白ごはんが何とも雅な仕上がりを見せている。
ほんのりと緩やかに蒸された白米様はまるで
煮えばな風の佇まいに舌が魅了されて仕舞う。
噛めばほんのりと柔らかみを感じて米粒感が
健やかに甘味を讃えている美味しさでお米の
味覚が凄く煌びやかに表現されている。
斯様に綺麗な味わいでお米の旨みを引き出す
ご飯には中々出逢えない。
そんな貴重で慎ましさをも秘めた白ご飯との
出会いに感謝の念しか有りません。

そしてご飯のお供の皆様が白ご飯にピタリと
寄り添ってくれる素晴らしい出来のお供たち
先ずは筆頭の美味さを誇る氷見牛の八幡巻き
極太の牛蒡を身厚な氷見牛で二重にも巻いて
牛蒡のシャキッと伸びる繊維感からの甘さと
氷見牛をタレ焼きした耽美な旨みの合作には
舌が滅茶苦茶唸って仕舞うもの
その華麗な美味で舌を包む八幡巻を白ご飯に
合わせてくれるのである。
此の美味しさを染み染みと咀嚼して味わいの
深みにハマって仕舞うのは避けられない。
どんどん白ご飯が進む進む。
あっという間に牛蒡巻きを一つ食べてる間に
白ご飯一膳目を平らげてしまった。
そして更に少しこってり気味で甘美な氷見牛
その名残が口内に留まるものたちを和やかに
洗う様に気分を救ってくれる白味噌の香味に
満ちた味噌汁とミンククジラの脂汗が滲んだ
旨み豊かな味噌の味が舌を慰めてくれました。

[二膳目]氷見の鯵の漬け丼

●海苔
●山葵
●浅怱

お造りで味わったあの鮮度抜群で
血合いから豊かな旨みが同居する
名作の鯵の香味が揺蕩う白ご飯に
舌鼓して仕舞う。
その美味なる味覚を展開する鯵と
ホクホク艶々な甘味を誇らしげに
謳う白ご飯をご一緒するとんん、
んまぁい!もう絶品なる美味さで
昇天ものの味覚に悶舌しっぱなし
いくらでも鯵丼を食べ続けたいと
衝動に駆られて箸が止まりません。
一気に鯵の漬けの妙味が口内には
溢れ返り舌を鯵の肉肌から快楽で
満たしてくれました。

[三膳目]稚鮎(七尾)の天丼

七尾の海で取れた天然の稚鮎!
稚鮎だからこそ均整のとれた
旨みが芳醇に感じられるもの

丁度稚魚になるかならないかくらいの
海鮎を天麩羅に揚げてサクッとしてて
臭みもエグ味も全く無い綺麗な味覚の
鮎を楽しめる天丼をご用意されてます。

サクッと稚鮎を噛めばザクンと響きが
歯に返ってくる美しい食感と共に衣の
甘味が歯を通して舌に届く快感に惑う。
更にご飯と一緒に稚鮎の腹を咀嚼する
直にご飯の甘味が稚鮎の旨みと苦味を
ごく自然体で受け止めている。
混じりっ気の無い美味さで白ご飯との
仲睦まじい甘美な漂いを見せて稚鮎と
白ご飯の完全な味覚の調和が齎される。
其処に唸らんばかりの美味が驚き渡る
この口福感を満喫する味わいに惚れる
七尾の稚鮎の感動の味わいを満喫した
逸品に拍手!

[四膳目]卵(もみじ)かけご飯と鰹節

もみじ卵と鰹節掛けご飯となります。
純白のご飯の上に真っ黄色が鮮やかに
輝く卵黄の美観にうっとり見惚れます。
周りにはフワァンと漂う鰹節が散って
香ばしそうに佇んでおります。

もみじ卵の黄身は仄かな甘味が白米を
纏いモッチリした卵黄の食感と味覚が
同期しながら舌に届いて見事に美味が
開花する

旨み濃厚な黄身の美味さに輪を掛けて
鰹節が程良い酸味を寄せて踊る白米の
輪舞は絶品そのものにて舌を狂わせる。

お腹も其所其處にいっぱいなのに未だ
このもみじ卵かけご飯への衝動が続き
食欲が失せて来ないのには驚くばかり。

絶品卵かけご飯を食べ切って大満足を
頂きました。

[五膳目]お焦げと梅茶漬け

片折大将のお母様が作られた梅干しと
お焦げを合わせたお茶漬けになります。
酸っぱめな梅干が茶漬けの温感と共に
ザクザクッとお口の中に掻きこんでの
口内に酸味とほろ苦さの交錯しながら
シンプルでナチュラルな味わいが満ち
咀嚼が自然に進んでしまいます。

そして
たくさんのご飯の味わいを頂いてお口も
大満足してその余韻に浸ってる所へ清く
美しく清々しいお焦げと梅干し茶漬けの
コラボが更に舌の欲を唆って来ますね。
破砕感が漲るお焦げのパリパリ感を頂き
大きな梅干しをシナッと舐めてすっぱぁ
と舌を刺激しながらお口にサラサラ〜ッ
と流れて行く茶漬けの爽やかな味わいに
感じ行ってしまいました。

[六膳目]白ご飯と昆布塩

〆ご飯は氷見のコシヒカリの粒感と
甘味をこよなく綺麗に引き出させる
昆布塩とのコラボとなります。
昆布塩だけで食べるコシヒカリから
とても舌を嬉しい妙味がお口に届き
ジワァッと米粒が甘味を振り撒いて
舌は小躍りしちゃっておりました。
シンプルイズベストを其の儘に表現
氷見のコシヒカリの美味さを最大に
引き出している炊き加減で仕上がり
を見せてる白ご飯に脱帽でした。

14.甘味

●焼きたて桜餅
●お薄

以上にてお仕舞いとなりました。
大将の笑顔と女将様の優しいおもてなし
お弟子さんたちの温かい気配りにも感銘
大変満足度の高さを誇る日本料理を頂き
満面の笑み浮かべて退店となりました。


2024/09/04 更新

1回目

2023/04 訪問

  • 昼の点数:4.9

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

春爛漫な香り漂う能登食材を駆使し 五味五感を満喫させて頂けるお料理

◆訪問日:2023.3.28(金)12時〜14時半

◆お料理 お任せ¥31,900税込
お飲み物含む会計¥税込42,500

◆予約:ご常連様のお招きに

◆滞在時間:12時〜15時

①玄米茶

○大将よりご挨拶の一献
能登の地酒 竹葉を頂く

②蓬豆腐と蓬の葉の天麩羅

蓬の新芽の出る季節となり片折大将以下
お弟子さん達がご自分で摘み取って来た
蓬を練り胡麻に刷り込んで丹念に仕上げ
もっちり感とぷよぷよ食とが重なり合う
心地良い食感を広げて歯触り快適に進む

蓬の春の芳しさ漂わせながら漉餡の様な
柔らかくしっとりとした舌触りが伸びて
練り胡麻の甘味と葛の瀞みが見事なほど
マリアージュして来る蓬豆腐から至福の
味わいが舌に訪れ更に蓬の葉がサクッと
心地良く響く食感が微風を靡かせており
素敵なアクセントを添えておりました。

③本枯節一番出汁

指宿の一本釣りで寝かせて無い鰹より
取った本枯節の削り立てで引いた出汁
お水は藤瀬(ふじのせ)の湧水を汲み
取って来たお水で炊いたお湯で引いた
一番出汁となります。
バカラのお猪口に注がれました出汁を
汲んで一口を啜ってみます。
クイッと一気に飲み干したくなる様な
そんな高貴な芳しさが鼻腔をヒクンと
靡かせて澄み切って透き通る様な淡い
うま味が舌をどんどん蹂躙しうっとり
其の儘陶酔する世界へと舌を誘います。

一番出汁は憂いを含んだ佇まいであり
滋味深さが舌に懐かしさを覚えさせて
一度の味わいが2度3度と味覚を欲し
味わいを反芻したくなる蠱惑のうま味
実に地の味わいが無垢で清いうま味で
舌を楽しませて余韻に浸り切りました。

④お椀

○氷見 小鯛の煮麺

たった今、引いたばかりの金色に輝く
一番出汁から美しい香り漂う吸い地に
静かに佇む小鯛が無垢な美しさを誇り
淡く雑味の無い味わいを捧げています。

小鯛は煮麺を優しく包み込むカタチの
椀種とし煮麺は束ねられて小鯛の下に
潜ませておりお口に丁度フィットして
吸い地のうま味に懐いて来る感じです。

小鯛の嫋やかな身質がフワッと浮いて
歯を入れると煮麺が一緒に絡んで来て
小鯛のフワフワな身質がハラリと解け
同時に煮麺の束もフンワリ崩れつつも
一口サイズの纏まりを舌で感じつつも
温和にも細麺の穏やかなコシの強さを
持ち合わせており温感に負けず伸びの
良さを発揮して喉越しの滑りが快適に
駆け抜けて行きました。

片折大将曰く
麺は長崎の細麺で吸い地に馴染むもの
温かい地に浸しても伸びない麺を探し
使用しているので温感に寄り添える麺
故に咀嚼感も喉越しもキュッと締まり
其処に小鯛の膨よかさを佇ませる事で
食感と味覚のバランスを整えています。

素材同士の持ち味を巧みに合わせる事
により幾重も味覚のグラデーションが
広がり至福の味わいが展開してました。

感銘と言う言の葉が寄り添う一品です。

⑤お造り

○新湊 青バイ貝
○富山 墨烏賊 木の芽味噌和え
○七尾 鱵
○ちり酢
○塩
○山葵

お造りの素材の鮮度に感嘆してしまう。
初々しく瑞々しさが小気味良く舌を弾く

青バイ具は直前に氷でキュンと締めてて
よりコリっとした食感がクリアに出る様
演出しており歯と触れ合うタイミングに
全てのこの一品の鮮度に照準を合わせて
咀嚼感が研ぎ澄まされ正に神がかり的な
美味しさに脱帽です。

墨烏賊は木の芽味噌で和えられており
味噌の甘味と墨烏賊の甘味が同調する
其処に木の芽の香りがフワッと口内に
満ちて来て甘味と香りがバランス良く
調和して舌を蠱惑して来ます。

更に

朝採れの鱵は30分程軽く昆布〆を施して
香り高く鱵を纏っています。
その鱵を噛んだ瞬間の弾力感と歯触り感の
小気味良さに舌が感動しまくりです。

鱵の透明感溢れる身から促されるのは

肉感
食感
香り

その全ての味覚エレメントたちが舌を誘い
鱵の淡麗な見た目に違わぬ繊細な香りから
肉感豊かに仄かにコリッとする旨味があり
スッと鼻に抜ける香りは春の息吹を感じて
舌が喜びに溢れております。
そして、独特の強い食感と共に咀嚼が進み
肉厚な鱵は香りと旨味が何処迄も調和して
ズ〜っと抱き締めていたくなりました。

⑥お凌ぎ

○紅ズワイ蟹の蟹焼売 富山新湊

此処で焼売が出て来るとは味変と
食感の変化が楽しめて嬉しくなる
お料理一品毎の突き詰め方も巧み
コースとしての流し方も秀逸にて
決して舌を飽きさせずの味わいに
緩急を付けてスムーズに運びます。

焼売は蟹の身の甘味を控えさせて
大人しい甘い味わいに整えてあり
蟹焼売全体を邪魔しない優しい味
また、蒸し加減が絶妙な塩梅なの
舌に焼売がフワンと着地した時に
とても優しく皮がピタッと歯にも
舌にも密着する食感が艶かしくて
蟹の崩れ方が妙味を携えて美味い!

大将曰く元々修行先金沢『つる幸』で
40年前から引き継がれて来たお料理で
もうレシピなどは存在しないとの事。
その焼売の一品に素材を現代風な味に
アレンジしたものにて復活させたもの。

咀嚼して最初に飛び込むモチッとした
弾力感が大人しく歯を迎え入れながら
ズワイ蟹の解された身がギュゥ〜ッと
詰まってるので食べ応え感が凄く伸び
蟹の美味しさがとても綺麗に膨らんで
堪らなくなります。
しっとりと十分に蒸されてて保湿感も
旺盛にしっとりの柔らか味から生ずる
穏やかな甘味を含んだ繊維感が広がり
幾つでも食べたくなりますね。
コレはヤバい一品で2個の用意なのも
丁度良いボリューム感で嬉しく感じて
好感が持てました。

⑦お造り

○赤甘鯛の昆布締め
○叩き蕨
○花茗荷の酢漬け
○赤酢

ぐじを昆布締めにしたものに
叩き蕨をトッピングしていて
赤甘鯛と叩き蕨との合間には
花茗荷を酢漬けにしたものを
挟んでアクセントを効かして
ぐじの旨味と酢漬けの酸味を
上手く手綱捌きを見せて美味

甘鯛は綺麗な淡味が持ち味とも言えて
麗しいほど清らかな身質が持ち味の魚
故に昆布〆してグルタミン酸の旨味と
風味を然程強く着せず仄かに香らせる
その位が甘鯛をグッと引き立てるかの
仕込みにて良い塩梅に締まって美味し。
其処に叩き蕨がシャキシャキッと伸び
蕨らしくて春の香りを携えて繊維感が
クッと張り切って甘鯛を引き立てます。
海の幸と春の山菜を見事に調和させた
一品でした。

⑧珍味

○自家製唐墨

唐墨の一片をやんわりと齧るのである。
口内侵入する唐墨を舌で舐めるのです。
んん、ジンワリと絡みついてくる粘性
落ち着き払った塩味が大人の味わいで
珍味が豊かに舌を招いてもう一齧りを
欲して止まらなくなりそうです。
此処はグッと誘惑にブレーキを掛けて
空いたお猪口に次のお酒を待ちながら
慎ましく嗜みます。
焦りは禁物の場面にてチビチビ唐墨と
盃を交わすのが宜しいかと思います。

片折自家製唐墨は寝かせ方が絶妙で
唐墨の身質はしっとりもっちりして

粘性の素直さ
塩味の麗しさ
円やかな質感

肌理細やかな唐墨粒子がキラッと輝き
綺麗な仕上がりの光沢に欲が湧き上る
舌触りに驚きつつも唐墨の欠片を齧り
舌を撫でて行く時の快感に酔い痴れる
自然に日本酒が進んでしまいますね。

⑨お口直し

○ほうれん草の白和え
○焼き椎茸

ほうれん草を白和えしたものに合せ
加賀伝統野菜で金沢百万石しいたけ
と言う椎茸を出汁醤油で焼いたもの

出汁醤油に浸して焼いた椎茸自身の
うま味と出汁醤油の風味が合わせて
滋味深さが生まれ椎茸を引き立てる

甘味とほんのり煮詰めた鹹味が生じ
味わい深いコントラストを楽しめる

百万石しいたけを炭の熾火を通すと
しっかり火が芯まで入っているのに
ちっともパサつき感が無くてとても
ジューシーで旨味が口内で炸裂する
そしてしっぽり何処までも滑らかな
白和えは青々しく若いほうれん草を
フッと包み込んで青みとの一体感を
舌に幸せな味覚を運んでくれていた。
シンプルな一品だけど素材を高める
匠の技に舌を巻いてしまいました。

⑩焼物

○喉黒炭火焼き
○春キャベツ甘酢漬け

とても面白いことに春キャベツを浸した
甘酢が喉黒の脂質にも寄せて来て喉黒の
溢れる脂質からの旨味を控えさせて味を
宥めて穏やかな美味しさに表情を変えて
春キャベツとシャキッと繊維感が絡んで
異なる味わいのコントラストを楽しめる

喉黒は箸がスッと入る程に身が柔らかく
最高にジューシィな喉黒の脂質の旨味が
口内に溢れて来て絶品となり舌を満たす。

其処に甘酢漬けの春キャベツが擦り寄せ
甘味と酸味を交錯させ舌を悩ましちゃう。

喉黒の旨味潤沢な味覚と春キャベツとの
甘酸っぱい味覚と素晴らしいハーモニー
実に良く仕込まれた味わいの変化を満喫

⑪酢の物

○鱒寿司
○加賀蓮根スライス
○朧昆布
○せん菜(山葵の葉)

氷見の天然の海鱒を使用した押し寿司で
海鱒と酢飯に加賀蓮根のスライスを挟み
舎利の裏に一枚朧昆布を敷き詰めて仕上
海鱒がかなり身厚く歯応え感旺盛に膨む

脂が乗っており甘味抜群な広がりを見せ
その妙味に物の見事に引き込まれる旨さ!
その鱒の押し寿司との中間に加賀蓮根の
スライスが一枚挟まれて食感気持ち良し!
挟まれた一枚の加賀蓮根はプチンと弾け
力強い酸味を発揮して朝獲れのせん菜は
フレッシュかつキレのある辛味を添えて
実にクリアに海鱒の甘味を際立たせる。

⑫揚げ物

○白海老あられ揚げ
○朝採れアスパラガス炭火焼き
○生姜の葛餡

九谷焼きの器に盛られた霰揚げは
生の貴重な白海老を真薯仕立てに
唐揚げっぽくカリッと霰を纏わせ
霰饅頭を噛む時のカリカリ食感と
お饅頭の中からムニュッと弾ける
白海老の生暖かい柔らか味と交錯
食感の違いが先ず舌に訪れて旨し!

白海老からのねっとり感と霰から
クリスピー感が咀嚼を快く進めて
実に巧みな食感のコントラストを
演出する揚げ物に仕上がってます。

そして白海老の甘ったるい味覚に
付き添う焼きアスパラの繊維感が
シャキッと伸び生姜餡が爽やかに
風味を添えて全体を纏めてました。

⑬煮物

○滑川 茹で立て蛍烏賊
○菜の花

当日の数時間前に採れた蛍烏賊は
まだ元気にグニョグニョ蠢いてて
ザルの上にいっぱいで目がキラリ

1匹ずつ大将とお弟子さんたちが
目ん玉をピンセットで繰り抜いて
グツグツのお鍋に浸す下準備です。

生きたままの新鮮な蛍烏賊を茹で
蛍烏賊は軟骨も一緒に火入れして
柔らかくて身と一緒に咀嚼出来る
プルンと揺れる蛍烏賊の身を齧る
噛んだ途端にプヨンと唸り乍らも
身がモッチリと弾け乍ら歯を招き
清々しくもキレ味を感じる苦味と
身の甘味が衝撃的に突き抜けつつ
プチュンと蛍烏賊のエキスが弾け
口内に絶妙な旨旨の甘味が発散し
食感も甘味も頗る天然の味わいが
あっという間に広がり陶酔に浸る

チョット信じ難い程の食感と甘味
一口動かすごとに感動に揺れます。

菜の花は冷水で洗い軽く漬け地に
浸してキュッと絞られており潔く
繊維感がシュッと伸びて来ます。

シンプル乍ら素材の旨味甘味とが
ペアリングして絶品の味覚を作り
本日の白眉かと思える作品でした。

⑭焚き合わせ

○加賀蓮根のはす蒸し
○鰻の蒲焼
○鯒
○百合根
○山葵

能登の地元の名産物加賀蓮根の料理
蒸した蓮根饅頭の中を探ってますと
何と鰻の蒲焼に百合根にそして鯒も
潜ませてあり箸先がどれに当たるか
手探り状態で迷子にねるのも楽しい。

柔らかで甘味ある蓮根スライスから
鰻の脂質感と蒲焼に纏わせたタレの
濃厚な甘味と重なる鯒の密接な連携
その重なりから生まれる密度の濃い
味わいが誇り高々と舌を呼び覚まし
百合根の身がまったり感を漲らせて
甘味を深掘りして行きます。
一口の咀嚼の間合いで感じますのは
何層にも重ね合わせられた旨味との
折紙の様な美しさを纏わせた味覚で
多様な旨味甘味珍味が移ろいを見せ
味覚のグラデーションを完成させて
舌を震わせておりました。

⑮お食事

[一膳目]

○氷見牛八幡巻き
○白ご飯
○香の物 おかか昆布佃煮 胡瓜
○味噌汁 ミンク鯨 氷見

白ご飯も艶々に粒が立ち甘味が芳醇な
白米様にて氷見牛の旨味しっぽりして
ご飯におんぶして美味を重ね合わせて
美味しさを膨らませています。
何度も咀嚼を重ねても更に繰り返して
味わいたくなる八幡巻きとの相性抜群
其処にジンワリ舌を落ち着がせて佇む
お味噌汁からミンク鯨の身から脂汗が
プワプワと浮き上がり鯨の旨味豊満に
吸い地に写してコク深き味わいが現を
抜かして来るとは流石で御座います。

[二膳目]

○鰆漬け丼 揉み海苔

此方も氷見の鰆を寝かせて熟成感が
まったりと感じられる身に漬け地の
甘味たっぷりと染み込ませての鰆を
ホクホク白ご飯に鎮座させる芸当の
潔さに拍手したくなる妙味が冴える
一口でこの鰆丼に舌が釘付けとなり
咀嚼する度に感じる漬け鰆の旨味と
白ご飯の相性の良さに感銘し震えた。

[三膳目]

○天然稚鮎天丼

丁度稚魚になるかならないかくらいの
海鮎を天麩羅に揚げてサクッとしてて
臭みもエグ味も全く無い綺麗な味覚の
鮎を楽しめる天丼をご用意されてます。

然も海鮎の鮮度がとても美しく咀嚼が
嬉しくなるくらい鮎の旨味がしっかり
身質に蓄えられており川鮎や湖鮎とは
違った淡麗な旨味を舌に感じます。
海鮎は軽やかな衣感と身の旨味重なり
ご飯が快適に進んでしまいました。

[四膳目]

○鰹節と卵かけご飯

鉄板コンビの卵かけご飯となります。
フワフワな削り立ての鰹節の酸味と
卵黄の甘味をご一緒に頂きました。

[五膳目]

○お焦げと梅干し茶漬け

片折大将のお母様が作られた梅干しと
お焦げを合わせたお茶漬けになります。
酸っぱめな梅干が茶漬けの温感と共に
ザクザクッとお口の中に掻きこんでの
口内に酸味とほろ苦さの交錯しながら
シンプルでナチュラルな味わいが満ち
咀嚼が自然に進んでしまいました。

⑯甘味

萩焼きの丸いお皿には

焼き立ての桜餅

お抹茶

以上にてお仕舞いとなりました。
大将の笑顔と女将様の優しいおもてなし
お弟子さんたちの温かい気配りにも感銘
大変満足度の高さを誇る日本料理を頂き
満面の笑み浮かべて退店となりました。

2023/06/22 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ