4回
2017/09 訪問
【再訪】秋田というより日本の居酒屋だった『風格ある居酒屋の真髄に迫る・・・』
『酒盃』はやっぱり日本を代表する居酒屋だった。ここまで日本酒に合う肴を追い求める御仁はいないであろう。ご主人(沖口さん)のいつものセリフ「俺がやってるのは料理屋や割烹じゃなく、酒の摘まみの居酒屋なんですよ。」居酒屋としてのプライドが半端なく滲み出ている。
お店に着くと、美人の娘さんが「○○さん、こんばんは」と優しくお出迎えして頂く。今夜のカウンターは満席。騒がしさから判断すると個室もすべて埋まっているようで、大きな笑い声が響き渡っている。先日の大雨の影響による土砂崩れで新幹線は運行停止していたが、飛行機は奇跡的な運行であり、空港バスも運行開始していたのでちょっと安心した次第。
さっそく、生ビールを注文して喉を潤すが、間髪入れず美しい箱膳が運ばれてくる。今夜もお客さん多いねとご主人に言うと、昨日まではやはりキャンセルだらけとのこと。本当に豪雨の被害が大きく大変だったんですね。
・箱膳のお通し(6種小鉢)
~磨き鰊、つぶ貝煮、いぶりがっこ白和え、茄子モロヘイヤかけ。ほか2品。磨きにしんは定番の旨さ。いぶりがっこは秋田らしく白和えにぴったり。茄子の煮浸し風な味付けにモロヘイヤとは驚き。でも最近のモロヘイヤは品種改良されて独特な臭みがなく栄養満点で味もいい。つぶ貝はちょっと煮てあり生ビールやお酒に合うと改めて感心する。
ここで、生ビールからお酒に変更する。今までお酒はあまり飲めなかったが、前々回に伺った際、ご主人から「鰯の水煮は、最高の酒の摘まみなんだから、ハイボールなんかじゃ駄目だよ(笑)」と強烈なダメ出しを喰らった次第。そう言えば○級うん築士さんからも居酒屋「つくしのこ」はお酒飲めないと入れませんよと言われてたことを思い出す。
それからは多少の拒否反応がありながらも、なるべくお酒を飲むようにしてきた成果か、最近ある程度は飲めるようになってきたかな。ご主人にその話をすると、「そんな失礼なこと言ったかな~(笑)」と嘯かれてしまったが・・・。
・雪の茅舎「美酒の設計」齋彌酒造
(秋田県由利本荘市)~一般的な評価「雪の茅舎とは由利正宗の特定名称酒の総称。繊細な甘い香りの中に、若草のような爽やかさも感じ、生酒なのにもうすでに味わいしっとりしている。酸や渋みが少なく、程良い甘みと旨みがバランス良くつまっていて、スムーズに身体に入ってくる。」
あまり詳しくないので、ちょっと甘くすっきりしてるかな程度のコメントしかできないが、秋田観光に来ていたお隣の女性がわざわざお土産として買い求めていたくらいの銘酒。
・近海産お刺身盛合せ(5種盛)1600円
~炙り鯛(秋田産)はあっさりした鯛に炙りのアクセント。夏のスズキ(秋田産)。平目(秋田産)は寝かせてる?。スミイカ(秋田産)の飾り包丁は綺麗。つぶ貝(北海道産)は丁度よい醤油味。薬味は、山葵、海蘊、ミョウガに食用菊。秋田では食用菊が普通に使われるらしい。
鯛は意外にあっさりとした食感だが炙りのアクセントがいい。夏のスズキも爽やかな濃厚さが引き立っている。スミイカの飾り包丁は居酒屋とは思えないくらい美しく、つぶ貝も綺麗で旨い。前回はカワハギのインパクトが飛び抜けていたが、今夜はどれもハイレベルな横一線。
・比内地鶏とり刺身(800円)
~レバー、ハツ、砂肝、笹身、キンカン。
またまた、この鶏刺身が楽しみで食べたかった。朝引き地鶏なので品切れも覚悟していたが、残っていたことが嬉しい限り。部位で楽しみなのはキンカン。この濃厚極まりない未成熟な卵がもたらす旨さは例えようがない。地鶏に関しては、やっぱり宮崎地鶏と甲乙つけがたいレベル。
・春霞「春霞(黄ラベル)」栗林酒造
(秋田県美郷町)。
~ご主人が岩牡蠣にあうお酒を選んでくれたもの。だんだんと調子がよくなってきた。まあまあお酒も飲めるようになった気分。一般的な評価「酒処・秋田の中でもとりわけ酒づくりが盛んな美郷町にあり、さらに六郷は名水の里。蔵人が育てた契約栽培の酒米、美山錦・美郷錦・酒こまちの3種類で仕込んでいる。上品な旨みと深みが調和。香りはやや抑えめで繊細な味わい。」
・男鹿産の岩牡蠣(1000円)
~ようやく秋田の岩牡蠣が解禁されたらしく、まずは入店と同時に最初に予約する。と言うのも以前隣に座った客が遅い時間に慌ただしく3個も食べて品切れに遭遇するという最悪の事態を経験したから。牡蠣殼はめっちゃ大きく、今までで最大の容量。身はパンパンでみっちり入っている。濃厚でクリーミーな味わい深い。
前回秋田産は解禁前だったので富山産を頂いたが、この時の蓴菜入りと違いシンプルなレモンだけで頂く。やはり昨年末にも頂いた男鹿半島の岩牡蠣は今まで頂いた牡蠣のなかでは最上級の価値ある旨さ。有名な鳥海山の伏流水で育った山形との県境の岩牡蠣よりも大きく濃厚で旨い。これからの時季、やはり秋田の地物はいいね。
・「まんさくの花」日の丸醸造(秋田県横手市)
~一般の評価「元禄2年(1689)創業の老舗。柔らかな軟水で醸しだされる酒は、まろやかで優しい風合いを持つ。最大の特徴は低温瓶貯蔵で、1年以上寝かせ上品な風合いを生み出している。」これから先は酔ってきたので特徴もわからないかな。その後に頂いたお酒は記憶にございません。
・男鹿産のふぐと蓴菜(800円)
~しょうさいふぐの刺身に軽くジュレ風のポン酢で味付けした逸品。あっさりとしたポン酢は大好きですから夏らしい食感が嬉しい。
・そば味噌(200円)
~蕎麦の身が入った八丁味噌?酒肴として料理の合間に頂く。間がもてないときの口休め。
・鯛と蓴菜の貝焼(1200円)
~ホタテ貝の殻を器にして、厚く切った鯛の身にたっぷりの蓴菜を軽く焼いて頂く。味付けも他の貝焼き料理の味噌味と違ってすりおろした大根がやさしくさっぱりした1品。でも、もうちょいパンチが欲しい。味噌味の貝焼きの方が好きかな。
お客さんが皆さん帰られると、ご主人も自前の一升びん(晩酌酒)をカウンターに持ってきて二人で飲み始める。今夜もよもやま話に花が咲く。ご主人の晩酌酒は○○酒造と決まっているようだが、かたく口止めされてしまった。(覚えてる訳ないが)
味はかなりしっかりした旨味の濃いお酒だったような・・・。因みに、写真撮影はこれから解禁。
前回は秋田の良さはあまり安売りしなくてもいいんじゃないかと考え方が変わってきたことが話題になったが、今回はこの「酒盃」というお店について。発端は小生が最近伺う福島の小判寿司の大将が秋田の酒盃に行きたいと言ってるという話題から。
大田和彦著書「北の居酒屋の美人ママ」の秋田編に「酒盃」のご主人(沖口さん)が紹介されている。でも、小生が知ったのは、その本の博多編にでている「独酌しずく」の大将からお店が紹介されているので一度読んで欲しいの一言から。因みに「独酌しずく」は博多で懇意な五島産の鯖料理専門店。その本で「酒盃」を知ってから今に至る次第。大田さんもたまに来るらしい。
全国区になりましたね。というとご主人も謙虚に家族のお陰と語っていた。そうでしょうね。前回、若い頃から色々やってから最終的に居酒屋を始めて約40年だが、最近は県外からのお客が年間4500名を越えるようになったと感慨深かそうだった。
昨日は、神亀酒造(埼玉)の亡くなった小川原社長を偲ぶ会(会の名前があったような・・・)に東京まで行っていたらしいが、そこでまた旧知の居酒屋後輩から刺激を受けたとのこと。東京っていいよな~とのたまう。どこまで貪欲なのであろうか。
まだまだ語り尽くせないが、ご主人から大事な晩酌酒をたっぷりとご相伴にあずかり、お開きに・・。
午前様にならないうちに帰宅の途につく。
秋田市内では8月3日から竿燈まつりが開催されるようで、夜の街中では竿燈のバランスをとりながら練習している若者達が頼もしい。秋田ってなにかいいですね。
毎度ながら、ごちそうさまでした。
2017/09/06 更新
2017/05 訪問
【再訪】やっぱり秋田というより日本一の居酒屋だった『居酒屋の真髄に迫る・・・』
やっぱり『酒盃』は、東北だけではなく日本を代表する居酒屋だった。ここまで日本酒に合う肴を追い求める御仁はいないであろう。主人(大将)のいつものセリフ「俺がやってるのは料理屋や割烹じゃなく、居酒屋なんですよ。」居酒屋としてのプライドが半端なく滲み出ている。
今晩は最終便の飛行機だったので秋田に着いたのは夜の9時30分過ぎ。閉店は11時なので間に合うと安心していたら、最初女性スタッフからは時間も遅いのでお断りとのこと。気持ちは『酒盃』になっているので、それではあまりにやるせない。小生の名前を出して女性スタッフからマスターに直談判。
お店に着くと、美人の娘さんが「お久しぶり」とお出迎えして頂く。すでにカウンターにはお客は誰もいなかったが、テーブルの個室から数人グループと思われる大きな笑い声が響き渡っている。しかし、カウンター席が完全に空いているのも珍しい。
さっそく、生ビールを注文して喉を潤す。すると、マスターから、申し訳ないが、この時間なので手間のかかるメニューは出来ないですよとのこと。当たり前ですし、小生の目的は手間のかからない刺身類の生ものですからご心配なく。
■注文
・箱膳のお通し(6種小鉢)
~磨きにしん、アミタケ、つぶ貝、比内地鶏白レバーのコンフィ、ジャコ豆腐。磨きにしんは定番の旨さ。最近アミタケの付きだしを頂くことが多いが味付けがしっかりしている。白レバーのコンフィは生ビールやお酒に合うと改めて感心する。つぶ貝とジャコ豆腐は普通かな。
・近海産お刺身盛合せ(5種盛)1600円
~鯵(秋田)、メバル(秋田)、カワハギ(秋田)
肝醤油+葱、水蛸(秋田)~飾り包丁、ほっきカイ(北海道)。薬味は、山葵、海蘊、ミョウガ。
鯵は意外にあっさりとした食感で拍子抜けしたが、返ってメバルのねっとりとした濃厚さが引き立っている。何といっても水蛸の飾り包丁は料亭かと思えるレベルで美味しい。つぶ貝も綺麗で旨いですが、今夜はやっぱりカワハギでしょう。カワハギは外れが少ないが、今夜の肝醤油は更に葱の香りが濃厚な旨味を倍増させる。この肝醤油は、比内地鶏の刺身まで使える逸品。
・比内地鶏とり刺身800円
~レバー、ハツ、砂肝、笹身、キンカン。
実は久しぶりにこの鶏刺身が食べたかったのである。朝引き地鶏なので品切れも覚悟していたので、残っていたことが嬉しい限り。更に本日のサプライズはキンカン。この濃厚極まりない未成熟な卵がもたらす旨さは例えようがない。前回地鶏に関しては、贔屓目なしに宮崎地鶏の方が旨かったと書いたが、正直甲乙つけがたいレベル。
・富山湾の岩牡蠣(1000円)
~富山湾の牡蠣は初めて頂く。岩手や秋田の岩牡蠣はまだ解禁されてないらしく、岩牡蠣は人気なので富山産を仕入れたとのこと。牡蠣殼は意外に深いので、中の身がパンパンでみっちり入っている。濃厚でクリーミーな味わい深い。それに今回は割りと大きめの蓴菜が牡蠣の味わいに新たな食感を加えている。
しかしながら、やはり昨年末に頂いた男鹿半島の岩牡蠣の方が遥かに上手だった。今まで頂いた牡蠣のなかでは最上級の価値ある岩牡蠣だった。鳥海山の伏流水で育った岩牡蠣よりも大きく濃厚。これからの時季、やはり秋田の地物が楽しみである。
・手打ち蕎麦(限定15食)
600円
~マスターが自ら打った蕎麦の逸品。どこまで拘るんでしょうか。娘さんによると、料理をのせる食器も全てマスターが焼き上げた陶器。料理を思いついたらそれに合う皿を探すのではなく、自ら創りたくて自宅に陶器窯を作ってしまったらしい。なんとも拘りが徹底してる。今回のそば粉の生産地は、北海道の幌加内産と岩手葛巻産をブレンドしたもの。残念ながら、小生の舌ではそこまで認識出来ない。
お客さんが皆さん帰られると、今夜もマスターとよもやま話に花が咲く。マスターも自前の一升びんを持ってきて二人で飲み始める。以前は秋田の良さを県外に発信できていない苛立ちが酒の肴だったが、今夜は秋田の良さはあまり安売りしなくてもいいんじゃないかと考え方が変わってきたことが話題に。秋田の人口が百万人を切ると言って騒いでいるけど、人口が減っても秋田なりの豊かさがあれば良いんじゃないか。だから、若い人は一旦県外に出ていってもいずれ秋田に戻ってきて何かやればいい。秋田に戻ってこれる環境造りが必要なんだと力説する・・・仰る通り。
自分も若い頃から色々やってから最終的に居酒屋を始めたが、ずっと奥さんや家族に支えられている。居酒屋を始めて約40年だが、最近は県外からのお客が年間4500名を越えるようになった。ここからマスターの居酒屋経営者としての蘊蓄が始まり、それに小生が客の側からの意見を述べる。居酒屋とは酒の肴を提供するのであって、旨い料理ではなく旨い肴(アテ)が大事なんだな・・・仰る通り。
明日も早いのでここら辺りでお開きに。最後までお付きあい頂き感謝する次第。
いつもながら、ごちそうさまでした。
2017/06/03 更新
2016/07 訪問
【再訪】秋田というより日本の居酒屋『居酒屋の真髄に迫る・・・』
【再訪】2016年10月
予約可能な一番遅い時間でお願いしましたが、意外にカウンター席が満席ではなかったですね。今日はそんなこんなで、9時過ぎにはカウンター席が小生一人になったので写真撮影を許可して頂きました。しかし、これで思う存分写真撮るぞ~と思いきや、けっこうな料理はすでに胃袋の中に。それでメニュー表の裏紙に、今回写真を撮れない間、数十年ぶりに料理のスケッチを描いてみることに。(下手ですが備忘録のために・・・)すると、これが意外に楽しくてかえってマスター(大将よりこっちが良いそうです)やスタッフの方との会話が弾んだかな。
今夜の注文はコースでなくアラカルトで魚介類の生もの中心に頂きます。
■注文
・お通し(6種小鉢)
~研きニシン、ピリ辛枝豆、白レバーコンフィ、生しらす(黒胡椒味?)、豆腐の味噌漬け。この味噌漬けは、かなり豆腐の旨味を残しています。熊本の豆べいは味噌糀の味が強めかな。
・近海産お刺身盛合せ(5種盛)1500円
~真鯵、真鯛、炙りスズキ、つぶ貝、水蛸。薬味は、山葵、海蘊、ミョウガになんと菊(浸しただけ)。秋田ではよく食卓にあがるそう。鯵の色がかなり赤見を帯びて戻りカツオかと思ったくらい。何といっても水蛸の飾り包丁は料亭かと思えるレベルで美味しく頂きました。つぶ貝も綺麗で旨いですよ。
・比内地鶏ねとり刺身800円
~レバー、ハツ、砂肝、笹身。
品切れでしたので、無理言って捌いて頂きました。地鶏に関しては、贔屓目なしに宮崎地鶏の方が旨かったように感じましたね。
・南洋マグロのほほ肉の炙り(黒胡椒味)
~生ものが食べたいと言う希望に応えて頂いた裏メニュー。けっこうボリュームがあって食べごたえあり。
・秋田県産黒毛和牛の叩き(秋田産)
~旨くないはずがないでしょう。お洒落なソースはブルーベリーをベースにマスターが色んな方にアドバイスを受けて作ったものらしい。和牛の旨味が活きてます。
・鱈の白子(ポン酢)
~こちらもまた裏メニュー。時期的にはちょっと早いのでまだ脂肪が乗り切れてないが、今の時期から少しずつ旬になってくるらしい。
・手打ち蕎麦(限定15食)
~これもマスターが自ら打った蕎麦の逸品。どこまで拘るんでしょうか。ついでに娘さんによると、料理をのせる食器も全てマスターが焼き上げた陶器らしい。料理を思いついたらそれに合う皿を探すのではなく、自ら創りたくて自宅に陶器窯を作ってしまったらしい。なんとも拘りが徹底してる。
しかし、マスターの娘さんは本当の秋田美人だなぁ。きっと奥さまに似てるのでしょうと言うと、娘さんが「いや、父親似てと言われます」とすかさずフォロー。家族愛が半端ないかな。今時の女性にはない日本人の家族愛(秋田愛)を感じました。
また、店内を穏やかな雰囲気を醸し出している音楽は、けっこう古い50年代のJAZZ。それもお客様の会話を邪魔しないピアノをメインに選択しているとのこと。それじゃ、小生の好きなバリバリサックスのソニーロリンズは、難しいねと言うと「そうだね」と、あっさり却下。残念。
久しぶりに楽しい時間を過ごさせて頂きました。いつもながら、ごちそうさまでした。
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【再訪】2016年7月
秋田を代表するというより東北を飛び越えて日本を代表する居酒屋さんという評判のお店になったようですが、運よく今月も伺うことができました。
事前に「おまかせ料理5000円」をお願いしてました。今回はカウンターのお客様も帰られたので最後の最後で写真撮影許可がでましたが、手打ち蕎麦とデザートのみの写真となります。(ちょっとだけですが・・・)
尚、写真撮影できないので、大将にから特別におまかせ料理の「お品書き」を簡単に書いて頂きました。
■おまかせコース(5000円)
○お通し(小鉢6品)
・いぶりがっこの白和え
・磨きにしんの麹漬
・もずく
・他2品
○刺身盛合せ
・そい、フグ、鯵、真鯛、他
~そいが旨いですよね。けっして高級魚ではありませんがあっさりの白身にねっとり感もあります。フグは多少厚切りで量は少しですが旨味あり。
○冷しトマトの蓴菜ジュレ
~酒飲みにはない発想には感心します。大将が自分で飲んでる時に野菜も食べなくてはと思いついたらしい。
なぜ蓴菜なのか。
○季節の揚げ物
~海老と○○のかき揚げですが、三種類のお塩で頂きます。男鹿半島の藻塩、赤紫蘇塩、他ですが、藻塩がいいね。
○比内地鶏の石焼き
~歯応えのある比内地鶏を小さな石焼きで焼き塩と山葵で頂きます。刺身でも食べれる新鮮さなので、ちょっと生加減が旨い。
○真鯛と蓴菜のしぐれ貝鍋
~真鯛と蓴菜を大きなホタテ貝殼を鍋代わりにして擦り大根で頂きます。あっさり、さっぱり。
○穴子の串焼き
~軽いタレ焼き。もの凄く肉厚で食べごたえがあり旨味たっぷり。
○手打ち蕎麦
~すっきりしたざる蕎麦。
大将の手打ちらしい。
■男鹿半島の岩牡蠣(1000円)
~牡蠣殼自体もでかいですが、なかの身がパンパンでみっちり入ってます。濃厚でクリーミーで味わい深い。前回カウンターのお客が一人で3個も食べるので品切れでした。ようやく雪辱。今まで頂いた牡蠣のなかでは最上級の価値ある牡蠣だな。山形との県境の鳥海山の伏流水で育った牡蠣よりも大きかったかな。
お酒も地元を大事に沢山の品種あり。
今回は、大将と秋田の食材があまり知られていないので、情報発信についての話しになりました。まずは市内にある秋田市民市場は、新鮮な食材をそのまま食べさせてくれるような場所(ちょっと丼のような)がないことが話題に。小生も前回この市場に伺った際、回転寿司とかしかないので、目の前の食材もすぐに食べることができない。ですから、県外や海外(インバウンド)からのリピーターがいないのではと。回転寿司も市場が経営しているので民間に完全に市場解放されていないことが原因らしい。せっかくの食材も広く食べてもらわないと価値は上がらないよね。大将の秋田を良くしたいという気持ちが伝わってきます。
酒盃を越える料理居酒屋はないのでしょうね。小生の中では最上級になりました。
■評価 4.6→5.0
また次回を楽しみに、東北を飛び越えて日本の真髄にごちそうさまでした。
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【初訪】2016年6月
秋田を代表するというより東北を代表する居酒屋さんという評判のお店ですので楽しみにしてました。入店すると靴を収納する下駄箱に、来店する予約客の名前が貼ってあります。う~ん、ここから始まるのかと唸るしかありません。
店内のカウンターでは、料理の写真撮影だけでなくスマホを扱うことも禁じられてます。
事前に知っていたので理解はしていましたが、そこまでしなくてもとは思います。
隣に座った御客さんも「この前まで良かったのにな~」と言っていたので禁止になったのは最近のことでしょうか。
ということで、これから先は写真がありませんので実況中継となります。
さてカウンターの真ん中に通されると、大将の目の前でしたので、色んな話ができそうと期待感アップ。
注文は、お店の特徴やどんな料理が得意なのかわからないので、先ずはおまかせコースをお願いしました。値段をみるとこれが4000円とは本当に楽しみです。
■おまかせコース(4000円)
○お通し(小鉢6品)
・いぶりがっこの白和え
~いぶりがっこは、秋田だなという感じでしょうか。
・フキのたいたん
・磨きにしんの麹漬
・比内地鶏の漬けきんかん(未成熟卵)
~半熟のとろみに味が染みて激旨ですね。
・白レバーのコンフィ
~好きな摘まみの1つですね。
・もずく
○刺身盛合せ
・真鯛、烏賊他
~量は少しづつですが、どれもちょっとづつ手が加えてあり嬉しい付加価値ありですね。
○季節の揚げ物
~海老と枝豆の真丈揚げ。海老の香りが濃厚なふかふかの真丈に大粒の枝豆を入れてあり
熱々に揚げて本当に旨いと思いましたね。
○黒毛和肉の叩き
~霜降りが美しい牛肉は口の中で溶ろけるし、また果実系のソースがお洒落。
○真鯛とハマグリのツボ蒸し
~真鯛と蛤の味が濃厚ですね。ツボの中には何が入っているのでしょうか。
○手打ち蕎麦
~すっきりしたざる蕎麦。
おまかせコースの途中から、一人増えたのでアラカルトとして追加しました。実は急遽増えたので、入店時から空きがでたらとお願いしていましたが、優先的に配慮して頂いた次第でした。
■穴子の白焼き(700円)
~三陸沖の穴子です。表面はこんがり焼き目がついてますが身は柔らかく味が濃いかな。九州では対馬産の穴子が旨いですね。
■カワハギ刺身(700円)
~これも軽く昆布締めしてるのでしょうか。飲み過ぎて舌の感覚が鈍っていたにも拘わらず大将に聞くのを忘れました。
■ハタハタのなれ寿司(500円)
~郷土料理らしく、琵琶湖の鮒寿司が大好物な小生としてはすぐに帰りのお土産にと考えてました。
■烏賊わたのごろ見焼き(700円)
~わたの濃くが半端ないですね。めっちゃボリュームもあってお得感満載。
お腹いっぱいになりました。
■いぶりがっこ盛合せ(500円)
~秋田だな。
秋田のお酒が充実しているようで、大将から色々と薦めて頂きましたが、すいませんがきき酒セット以降はあまり覚えていません・・・。
しかし、秋田のお酒の幅広い種類に米処の奥深さに触れることができて感激です。
■きき酒セット(800円)
~二人でしたので、他にも大将から薦めて頂いた地元のお酒を沢山頂きましたが、残念ながら覚えておりません。
噂に違わぬ本当に奥深く味わいのある超一流の居酒屋さんでした。無理やり居酒屋さんという枠組みに縛りつけるのも憚るようなお店かな。
最後に大将になぜ40年も続けられたのですかという問には、「適当にやってきたからですよ」という笑顔での回答。
それが正解とは思えませんが、ご本人にとっては極める為の真髄なのでしょうか。
秋田の真髄に、ごちそうさまでした。
2017/05/19 更新
今夜は、大きな仕事がまとまって取引先との祝杯。仕事も一段落したので、これからは秋田に来ることもほとんどなくなると思うと寂しい限り。
秋田ならではの色々な美味しいお店に伺ってきたが、最後はやっぱりここ「酒盃」であろうと思い、日本を代表する居酒屋での飲み会にしました。
取引先も地元の方であるが有名な居酒屋と知りながらも来たことがないらしい。そういう話を聞くと、やはり秋田県外からのお客が多いのであろう。
お店に着くと、いつものように美人の娘さんが「○○さん、こんばんは」と優しくお出迎えして頂く。ああこれも最後になるかもと思うと、ちょっと感傷的になってしまう。
今夜はカウンターではなく初めての個室です。部屋はゆったりとした十分な広さであり、仕切りの引き戸からカウンター越しに坊主頭のご主人がよく見える。今夜のカウンターは意外に空きがあるようだ。
待ち人が1名が遅れてくるとのことですが、30分以上遅れそうなので、二人で飲み始めることに。今夜は最初に出会ったコースをお願いする。さっそく、生ビールを注文して喉を潤すが、間髪入れず美しい箱膳が運ばれてくる。
・箱膳のお通し(6種小鉢)
~磨きにしん、アミタケ、つぶ貝煮、比内地鶏白レバーのコンフィ、ジャコ豆腐、いぶりがっこ白和え。磨きにしんは定番の旨さ。最近アミタケの付きだしを頂くことが多いが味付けがしっかりしている。白レバーのコンフィは生ビールやお酒に合うと改めて感心する。つぶ貝とジャコ豆腐は普通かな。いぶりがっこは秋田ならでは。
いつもながら、こちらの箱膳のお通しは秋田ならではの食材で、味も色合いも素晴らしい。ここで、生ビールからお酒に変更する。
こちらに伺う前、日本酒はあまり飲めなかったのだが、ご主人から「鰯の水煮は、最高の酒の摘まみなんだから、生ビールやハイボールなんかじゃ駄目だよ(笑)」と強烈なダメ出しを喰らっていた。
それからは多少の拒否反応がありながらも、なるべく日本酒を飲むようにしてきた成果か、最近ある程度は飲めるようになってきた。ご主人にその話をすると、「そんな失礼なこと言ったかな~(笑)」と嘯かれてしまったことを思い出す・・・。
・雪の茅舎「美酒の設計」齋彌酒造
~一般的な評価は繊細な甘い香りとあるが、とにかく名前が素晴らしい。「雪の茅舎」には雪深い秋田ならではのロマンを感じる。そのうえ仕事にも関係する「美酒の設計」とは、これ以上自分に合った日本酒の名前は考えられない。
・近海産お刺身盛合せ
~炙り鯛(秋田産)はあっさりした鯛に炙りのアクセント。夏のスズキ(秋田産)。平目(秋田産)は寝かせてる?。スミイカ(秋田産)の飾り包丁は綺麗。つぶ貝(北海道産)は丁度よい醤油味。薬味は、山葵、海蘊、ミョウガに食用菊。秋田では食用菊が普通に使われるらしい。
・比内地鶏とり刺身(800円)
~レバー、ハツ、砂肝、笹身、キンカン。
またまた、この鶏刺身が楽しみで食べたかった。朝引き地鶏なので品切れも覚悟していたが、残っていたことが嬉しい限り。部位で楽しみなのはキンカン。この濃厚極まりない未成熟な卵がもたらす旨さは例えようがない。
ご主人からは、秋田の旨い牡蠣をたくさん食べさせて頂いた。男鹿産の岩牡蠣や、鳥海山からの清流で育った山形の牡蠣。時期ではないときには富山湾のものまで。
お客さんが皆さん帰られると、決まってご主人と二人で飲んだのもいい思い出ですね。自前の一升びん(晩酌酒)をカウンターに持ってきて二人で飲み始める。今夜もよもやま話に花が咲く。ご主人の晩酌酒は○○酒造と決まっているようだが、かたく口止めされていたものだ。すぐに忘れてしまったが・・・。
それに酔っぱらいのネタとして、毎回なにがしかのテーマがあったものだ。『秋田の良さはあまり安売りしなくてもいいんじゃないか』とか。『秋田市民市場が観光客に解放されてない』とか・・・。
大田和彦著書「北の居酒屋の美人ママ」の秋田編に「酒盃」のご主人(沖口さん)が紹介されていたことなど・・・。大田さんもたまに来るらしいが。
お店も全国区になりましたね。というとご主人も謙虚に家族のお陰と語っていた。そうでしょうね。前回、若い頃から色々やってから最終的に居酒屋を始めて約40年だが、最近は県外からのお客が年間4500名を越えるようになったと感慨深かそうだったことなど。
まだまだ語り尽くせなかったが、ご主人から大事な晩酌酒をたっぷりとご相伴にあずかったことにも感謝しかありません。
落ち着いたら、女房とお世話になったお店を巡る東北旅行に行こうと思っているので、それまで暫しの別れとなります。
ごちそうさまでした。