2回
2016/11 訪問
やっと訪問できたうわさ通りの素晴らしいお鮨!!
かなり予約を取るのに苦戦はしたがやっと行くことができたお寿司屋さんである。いつもマイレビさんたちのレビューを見るたびに悔しい思いをしてきた。しかし今回やっと念願かなって訪問することができたのだ。場所は水天宮から歩いて5分ほどの住宅地の中である。近くまで行けばここしか電気がついていなかったのですぐに分かった。5分ほど前に到着するとすでに先客さんたちが店の前で待っており、予約の午後5時半になると中からお弟子さんが出てきてお店の入口に暖簾をかけ、待っている私たちを中に迎え入れてくれた。カウンターは本来は9席のようであったがこの日は席を詰めて10人での一斉スタートである。
まずは大将が一組一組のお客さんに挨拶を兼ねて、苦手な物、アレルギーのあるものを聞きに来てくれた。まだ40代ぐらいの若い大将だがとてもきりっとした感じの方だ。それでいて軽いジョークで私たちを和ませてくれる素敵な方だった。
コースはおまかせのみだ。まずはおつまみから・・愛知県産の焼き銀杏が出てきた。かなり大きいのでおそらく祖父江のかな。そしてタラの白子のポン酢。これもとても美味しい。そしてヒラメの刺身だ。朝〆たもので敢えて熟成はしていないという。見ているとかなり大きなヒラメであったことが分かる。冬場は何度もヒラメ釣りに出かけるので身を見るだけで大きさは分かるのだ(笑)しかしながらヒラメはやはり24時間以上経たないと味が出てこない。食感はとても良かったのだが…大将もそこを狙ってきたのかな??
メインの仕事以外はお弟子さんがするのだが、切ったり盛り付けたりするのは大将ご自身がすべてされている。紀尾井町に支店を出した某寿司屋の自分では何もやらない大将とは大違いだ。とても好感が持てる。
大将の仕事を見ていてあることに気が付いた。お客さんは10人、しかしすべて10人前作ることはあまりない。向こうの席とこちらの席では出てくるものが違うのだ。おそらく常連さんや新規のお客さん、そのあたりを分けているのだろう。事実私の右隣の常連さんらしい人は私たちとは内容が違ったが、左隣の新規客と思われる人とは同じものであった。
つぶ貝の焼きを頂いた後、大将から「そろそろ握りましょうか?それとももう少しつまみにしますか??」との伺いがあったので私はそろそろ握って欲しいということを伝えた。大きなおひつの中から布でシャリをつまみ上げ手元の小さなシャリを入れる器に移し替えた。シャリは遠目から見てもはっきりわかるぐらいの赤いシャリであった。そしてネタを取り、シャリを握る姿はとても美しかった。何というか表現に困るのだが、握り姿がうっとりするぐらい美しいのだ。かつてお寿司屋さんでそんな風に思えたところは1軒もない。1貫1貫とっても丁寧に力加減を調節して握っているのがよく分かった。
手で持っても決して崩れることはないが口の中にお鮨を入れるとほろりと崩れるのだ。この固さ加減、そして温度もとても計算されているようだ。シャリは酢が少しきつめで私好みの味だ。名古屋に住んでいるとこういうシャリは決して出会うことがない。次郎ほどとんがっていないし、かねさかほど丸くない。
甘いシャリに慣れている名古屋の人がいきなり食べるとビックリするかもしれないが、私はこういうお鮨が好きなのだ。
ネタはすべて文句はない。中でもマグロは赤身も中トロもホント美味しい。またドデカい車海老は茹でるのが普通の寿司屋よりおそらく少し短めでちょっとレアな感じであったがこれがまた独特の食感を感じさせてくれる。バフンウニは大将が1貫1貫とても気遣いながら握ってくれているのが分かった。単にシャリの上に乗せているのではなく「握っている」のである。これが全く違うのだ。
アナゴはたれと塩を選べるが私はタレでお願いした。手で持つとものすごいフワフワだ。その食感がそのまま口の中に入ってきて人生最高のアナゴであった。最後にブリと〆鯖を追加オーダー。これも素晴らしかったのは言うまでもない。
最後にとてもきめの細かい「玉」で終了。
2時間半の悶絶続きの至福の時間であった。その場では予約は無理なのだが再訪者専用の予約日に電話で予約できるとのことである。それは新規客の予約ほど大変ではないようなので頑張りたい。それでもうまく予約を取れたとしても来年8月らしい。先は長いが待つ価値のあるお寿司屋さんであった。
2016/11/16 更新
約9ヶ月ぶりの訪問である。昨年初めて訪問して以来2回目である。カウンターの予約は今現在約1年待ちというプラチナチケットなのだ。
それもそのはず、食べログではさいとうに続いての高評価なのでスゴい人気なのだ。もうこのクラスのお店になるとどちらが美味しいとか、甲乙つけ難く、食べる人の好みの問題であろう。
週末は2部制のようだが今回は早い方の5時からスタートでの訪問であった。
カウンターに座ると大将がひとりひとりに挨拶に来てくれ、嫌いなもの、アレルギーなどを聞いてくれた。そしてここからスタートである。
まずは気仙沼の鰹の塩漬けからだ。塩でしめてあることによりまずは普通の鰹と全然違う。生姜やネギもかけていないのに全く臭みがないのだ。臭みがないどころか芳醇な香りすらする。こんな美味しい鰹は食べたことがない・・・とても美味しい鰹であった。ど初発からガツンとやられてしまった。
そして次もつまみである。北海道のつぶ貝とと手大きな青森のアイナメであった。これらもきちんと塩で締めて味を調えてあった。そして特にアイナメは皮の方も少し焼き目を入れて香りが付けてあった。
食べてみるともうお刺身の領域を超えている・・・
何というか・・・塩梅が完璧なのである。多分お刺身として切っただけではこういう味わいは出ないだろうし、締め過ぎると下品な味になってしまう。ギリギリのところで抑えてあるのだ。その頂点の塩梅を見極めて作っている凄いお刺身であった。多分私の経験したお刺身では最高のものであった。
そして大将が大きな煮アワビを取り出した。それを大きく切り分けて出してくれた。千葉県大原の黒アワビである。大原というとヒラメ釣りで有名なところである。私は行ったことはないがとても海の幸に恵まれているところなのだろう。しっかりとアワビの旨味を堪能させて頂いた。
鱒子の味噌漬け、焼いたアカムツを頂いた後に大将から
「もう少しつまみを食べますか?それとも握りに行きましょうか?」
と言われたのでここから鮨を握ってもらうことにした。鮨は新子、新イカ、イサキ、かすご鯛の昆布締め、燻製したさごしなどを頂いた。どれもとても手間暇かけて下ごしらえしてあるのが分かる。特に新イカは大変だとおっしゃっていた。
こちらすぎたの凄さと言えばもうネタとシャリとのバランスに尽きるだろう。それが見事なまでに高次元で一体化しているのだ。そして前回も感じたのだが大将の握る姿がとても美しいのだ。
美味しいものは美しい、そしてそれを作る人も美しい。そういうことを感じさせられる。
最後に利尻の蝦夷馬糞雲丹とアナゴ、追加で唐津の赤雲丹を頂いて終了した。
もう言葉も出ない・・・・そんなスゴイお鮨であった。派手さはないがその凄味は食べた後も余韻として残る。もう訪問できればどれだけ待ってもいい・・・また必ず再訪したいそう思えるお寿司屋さんであった。