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2025/10訪問
1回
青葉横丁の路地にある『どみんご』。 飲み物を尋ねると、メニューはないけれど、「何でもあるよ」と店主が笑う。そんな軽やかな言葉に導かれて、カウンターへ腰を下ろした瞬間から、この店の世界に巻き込まれていく。 おでん鍋から立ちのぼる湯気。おまかせで見繕ってもらった数品に、だし粉をふわりと振る。静岡おでん特有の黒い出汁の香りが鼻先をくすぐり、思わず唾を飲み込む。ひと口すすると、しみわたる旨みに、体の芯がゆっくりとあたたまっていく。 その合間に、今朝、用宗で揚がったという生しらすが出てきた。とろりと濃厚で、舌に乗せた瞬間に静かな海が広がるよう。たったひと品で、季節の輪郭がはっきりと見える。 気づけば店は常連でいっぱい。笑い声とグラスの音が重なり合い、夜が少しずつ熟れていく。 知らない人同士が自然と会話を交わす。そんな空気が心地よくて、もう少しここにいたいと思った。 『どみんご』は、料理よりも空気を味わう場所だ。静岡の夜のやさしさを、だし粉とともに沁み込ませてくれる。
2025/10訪問
1回
静岡・人宿町の裏通り。賑やかな街の喧騒から一歩離れたところに、そっと灯る暖簾がある。「風と松」。その名前の通り、温かな空気が漂っていた。 店内は落ち着いた照明と心地よい音楽。カウンター越しには穏やかな笑顔の店主が立ち、ゆっくりと料理が運ばれてくる。そのテンポが心地よく、時間の流れがいつもより少しだけやわらかくなる。 料理はどれも丁寧で、素材の味がちゃんと生きている。だし巻き玉子はふんわりとしてやさしく、舌の上でほどけていく。刺身も焼き物も、奇をてらわないのに印象深い。派手ではなく、心の奥に残る味。 締めにはタコスを。和の流れのなかに唐突に現れるこの一皿が、また見事に美味しい。パリッとした皮に包まれた具材の香りが口いっぱいに広がり、思わず笑みがこぼれる。 「風と松」は、味も人もあたたかい。 静かに杯を傾けながら、日々のざわめきをそっと置いていけるような、そんな居場所だった。
2025/10訪問
1回
静岡・鷹匠の路地に、朝の光をやさしく吸い込むように佇む「YOAKEMAE DONUTS」。 2025年1月に駅前へ移転したメキシコ料理店「夜明け前」の跡地に生まれたこの小さなお店は、名前の通り「夜明け前」がプロデュースするドーナツスタンドだ。 ショーケースには、素朴で愛らしいドーナツが並ぶ。 この日はココナッツとメープルベーコンをテイクアウト。メープルベーコンはふわっとしたイーストドーナツ生地に、メープルシュガーのグレーズがきらりとかかり、カリカリに炒めたベーコンがトッピングされている。甘さと塩気が絶妙に溶け合って、朝の空気のようにやわらかい幸福を残す。 テイクアウト中心ながら、店内にはカウンター席が4つ。コーヒー片手にドーナツを頬張るひとときは、静かな朝の儀式のよう。 鷹匠の街にふわりと漂う甘い香りは、きっとこの店からはじまっている。