2回
2016/09 訪問
自ら「敵も多い」と語ってしまっている来栖氏。食べる側から提供する側に転身して
いるし、なかなかレビューが増えないのはその辺も理由なのかな、と思っていたが、
随分とレビューも増えてきた気がする。今回は竹の谷蔓牛。レビューを読んで、あんまり
おいしそうじゃないな~、と思ったのだけれど、折角の機会なので。
〇シャサーニュ・モンラッシェ2013 フランソワ・カリヨン グラス ¥2484
時間をかけて念入りに冷やしてから出て来た。微妙にちょっとロゼっぽい。なまめかしさ
があるワイン。
〇竹の谷蔓牛 \19440
5段階あり、これが一番下のコース(^_^;
・アミューズ(見島牛のビーフジャーキー)
凄い濃い味なのかと思ったら、そうでもない。しかし、何か別種の旨味が感じられる。
・レタス畑~レタス~
最初に丸ごとのレタスを見せてくれた。何かジュレがかかっていると思ったらこれは
テリーヌだそうで。レタスをくりぬいて作るが、通常は固まらないそうで、この店は
こういう調理の限界に挑戦している料理が多い。レタスの食感とともにとても爽やかな
味わい。何だかいろいろ入っているが、緑はパクチーらしい。
・パン
やや焦げてるけど、やっぱり美味しい。風見鶏に行ったけれど見つけられなかったので
特注なんですか?と訊いたら、トースト?として売っていたらしい。菓子パンにばかり
気を取られてしまっていた。
・ステークアッシュ~見島牛~
ソースはタマネギを4時間炒めたもの。内部はほぼレアの仕上がり。きめが細かくて
あまりくっついていないし、ステークアッシュというよりは外がカリッとしてハンバーグ
っぽい。う、うまい…。何だ、この肉。ちょっとレベルが違うぞ。部位はシンタマ
だったらしい。
・収穫~秋刀魚~
でっかい容器がごとっと置かれたので何事かと思ったら、中には丸ごと一本の大根。
それを開けるとサンマが出て来た。背骨とはらわたを抜き、大根を詰め、蒸し焼きに
したもの。骨と内臓と柑橘類のソースをかけて完成。あんまりそういうイメージは
なかったのだけれど、こんなとぼけた料理も出す店だったのか。骨は無いのでそのまま
食べられる。ちょっと熱かったので、冷まして食べるべきだったかな。丸ごと一尾
なので、凄いボリュームだ。
〇ポマール・ソシーユ1999 ドメーヌ・ミュシ グラス ¥3024
ボーヌの赤。赤褐色で、ブランデーの香り。意外と香りよりも味のワインで、結構
甘くもなった。こんな風に熟成するものもあるのか。ブルゴーニュの赤は2000年より
99年の方がいいみたい。
〇水 ¥864
・ボニュ焼き~村上牛~
今回の部位はイチボ。周囲はややカリッと仕上がっている。
・ボニュ焼き~竹の谷蔓牛・肩ロース~
竹の谷蔓牛というのは和牛リストにも登録されていない幻の牛。あちこちから引き合い
もあったみたいだけど、この店以外で入手出来るのは岐阜の精肉店(ここかな?)だけ
というSクラスのレア肉だ。焼き方は村上牛と同じ。これが肩ロースなのか、という
味わい。しかし、周囲のうっすらと脂の付いた部分は、確かにロースだとも感じさせる。
一見して分かるのは赤身みたいな色だが、この部分に脂が入っていないわけではない、
とのこと。
前回は来栖さんの熱弁に手を止めないといけないシーンもあったぐらいだが、今回は
やけにあっさりしている。ちょっとさみしい(笑)。もちろん、こちらから訊くと
いろいろ教えてくれますけどね。
・ボニュ~ミルク~
常温から作ったミルクアイス。味は強くなくてソフト。非常になめらかでアイスっぽく
ない。ジェラートの方が近いか?ステークアッシュもそうだったのだが、最初の一口
からうまい!という感じではなく、食べ進めると、何だこれは…という感覚が持続して
いく感じだ。これも丸くするのが難しい、と言っていた。
・和梨のタルト~豊水~
下にカスタードと飛ばしたリキュール。バラバラになってしまうので、ちょっと食べ
にくかった。
・コーヒー
・プティ・フール(水チョコ)
あっ、水チョコだ。これは食べたいと思っていたのでラッキー。ただ、他の店で一度、
食べた事はある。口に含むと瞬時に溶ける。本来、チョコは水だけでは固まらない。
なるほど確かにこれは水とカカオだ。
テンポ良く、1時間半で終了。リピーターも増えたみたいで、余裕が出て来たのかな、
という感じだ。この店はいろいろ食べると戻って来れなくなる気がして(金額的にも
一番下のコースでいっぱいいっぱいだ)、程ほどにしておきたいのだけれど、見島牛は
ちょっと興味出て来た。8月も食べくらべフェアなんてのをやっていて、ちょくちょく
企画もやっているようなので、定期的にチェックしておくといいのかもしれない。
ステークアッシュ~見島牛~
ボニュ焼き~竹の谷蔓牛・肩ロース~UP
ボニュ焼き~竹の谷蔓牛・肩ロース~
ボニュ焼き~村上牛・イチボ~UP
ボニュ焼き~村上牛・イチボ~
収穫~秋刀魚~UP
収穫~秋刀魚~
レタス畑~レタス~
ボニュ~ミルク~
プティ・フール(水チョコ)
和梨のタルト~豊水~
アミューズ(見島牛のビーフジャーキー)
シャサーニュ・モンラッシェ2013 フランソワ・カリヨン グラス ¥2484
シャサーニュ・モンラッシェ2013 フランソワ・カリヨン
ポマール・ソシーユ1999 ドメーヌ・ミュシ グラス ¥3024
ポマール・ソシーユ1999 ドメーヌ・ミュシ
風見鶏のパン
コーヒー
2018/10/04 更新
2016/03 訪問
美食家の餐
マイレビュアーさんが行かれてたものの、新宿で検索したら1位になっていたので
ここが北参道同様、検索境界であることに気付く。冒頭こそ、基本情報を書いたものの、
実のところ、無知なのでまったく存じ上げません(^_^;シンプルに素材重視という
コンセプトが面白そうなので行ってみることに。しかし、ランチでも最低価格は
¥10000から。私的には上限域だが、サービス料なしなのでまあ、何とかなるだろう。
本当は前の月に行こうと思っていたのだが、なかなか電話が繋がらないのはちょっと
閉口した。
随分久々に乗る小田急に乗って参宮橋へ(各停しか止まらない)。降りるのは初めての
駅だ。経路が不安なので北側の首都高に沿っていく。これだと、最初の信号を過ぎて
左折するだけなので迷う心配はない(アプリ類では正しく表示されないので要注意、
だそうです)。首都高の下は大体どこも薄暗い雰囲気だが、周囲は高級そうな
マンションが立ち並ぶ住宅街。思わず目を奪われた、素敵に長いくろかみのおんなのこ
が闊歩していた。
ドアを開けるとこぢんまりとした、程よくゴージャスで暖かみもあるプライベートな
雰囲気。テーブルが2つと奥に個室、カウンターもあるがあくまでバー利用だそうだ。
マンション自体は1Fに店舗を入れる作りだが、この付近に飲食店が出来たのは少なくとも
20年はなかった、とのこと。光量が抑えめなので高感度撮影に切り替える。
〇ムルソー ナルヴォー2007 ギイ・ボカール グラス ¥2808
口に含むといきなり杏系+複雑な香りが弾ける。やばいな、これ¥1600じゃきかない
ワインだ(^_^;(この時点では値段不明)。結構、酸味もある。外れ年の2007だが、
さすがにいい畑のものは違う。
〇~おためし~ ¥10800
これが一番安いコース。スタンダードが¥17280、スペシャリテが¥27000。
・自然~太陽・空・土・ハーブ~
青森産のハーブ。ソースはトマトと卵かな。かなりの良い鮮度。ただ、毎朝栃木から
朝摘みを送っていた某店ほどではない(あの店の規模からして採算が取れているとは
思えなかったので、今はやっていないのではないかと思う)。確かハーブに最適な
緯度が40度という話だったが、都内なら標高の高い地域から仕入れた方が状態の良い
物が手に入れられるように思う。
・パン
小麦粉と水と酵母のみ?のパン。小麦の味わいが強くてなかなか美味しい。東浦和の
風見鶏という店のものなので、今度行ってみよう。
・体温~村上牛・黒トリュフ~
トランクが登場したと思ったら、中から登場したのは黒トリュフ。冷蔵庫に入れて
しまうと乾燥しすぎるそうで、湿度管理の出来るトランクに入っている。開けただけで
むっとするトリュフの香りが距離を置いて伝わってくる。これを牛の体温38度?に
合わせた肉に惜しげもなく削ってかける!かける!皿の外にも飛び散るトリュフ!
そして肉をじっくりと噛むとこのトリュフすらも上回る旨味が。う~む、これはいい。
驚きの部位と調理方法、そして納得のいく説明。ブラインドで、とのことだったので
ネタバレは控えます。皆さんも是非、チャレンジを(ほとんど焼肉食べない私は
もちろん当たりませんでした)。
飛び散ったトリュフはていねいに片付けられる。
〇ヴォルネイ・カイユレ1997 ルモワスネ・ペール・エ・フィス グラス ¥3024
ボーヌの赤。やはり外れ年の97。グラスだとやっぱりこの辺から出すのかな。
なめし皮?の皮ともちょっと違う香り。タンニンもあるのだが、薄い色だ。年数の割り
にはやはり弱いか。ちなみに「普通の水」は置いてそうもないので水は頼まず。液量も
多くなかったしね。
・シンプル~キノコ~
キノコと塩のみのリゾット。ポルチーニ茸とかかな、と思ったら意外とマイタケ、
エリンギ、シメジ(だったかな?)。皿が置かれただけでとてもいい香りがして期待が
高まる。う~む、美味い。通常は動物性のものを加えるのだが、本当にこれだけで
十分だ。キノコは出汁を取った後、新たに加えている。キノコを120%にした料理、と
いう説明が強く印象に残った。
・ボニュ焼き~村上牛~
6時間焼いたという肉。部位はシンタマ。付け合わせはラディッシュとワサビ。
熱い内に、との事だったので撮影もそこそこに食べ始める。押しても肉汁はほとんど
出ない。それにしてもどこまでも均一に美しい焼き色だ。そのための焼き方、である。
これを食べていて思ったが、脂がないため、ワインが不要だ。シンプルにこれだけで
完結する肉だ。エゾジカほど柔らかくはないが、ちょっと経験値不足でそういうもの
なのかは分からない。ただ、これが牛の上限ではないだろう。ナイフはライヨールでは
なく、COLTELLERIE BERTI。ちなみにバターナイフはビレロイ&ボッホだった。
メートル氏は詳細にコンセプト含めた料理の説明をしてくれる。私のイメージ…と
言うのでちょっと?と思ったのだが、後で画像検索したら、来栖けい氏ご本人だった
と知る(汗)。氏は熟成肉には否定的なようだ。シンプルに何を食べたかを重視したい、
と語っていたが、こういうコンセプトの店は過去に一店だけ経験がある。まあ、私は
組み合わせで味を作るフレンチも好きですけどね。
・プティガトー(ミルク、プリン、リンゴ)
4種類から好きなだけ選べるが、¥3000する水チョコは要予約。この店はケーキだけで
利用することも出来る(要予約)。キャラメリゼしたミルク、卵の比率を変えていない
プリン、6時間加熱したリンゴ(丸ごと一個)。プリンはおいしかったけど、料理ほど
には印象には残らなかった。水チョコ頼んでみないと駄目かな?季節限定のようだが…。
・コーヒー
美味しい。3段階の内、一番下と言っていたかな。
最後はスタッフ全員でお見送り。こんなのは初めてだ。それと、履歴を取っているので
次回からは別の料理を出せる、とも。某所のシェフも同じことを言っていたが、これが
これからの潮流だろうか。
□総評
よい食材をどーんと出してくる店だと予想していて、おためしのこのコースではその点、
金額的にパワー不足なのかも?と思っていたが、食材120%との説明、これがシンプルに
的を射ている。特に〇肉とキノコの辺りは圧巻だった。来栖氏のコンセプトは私にも
明確に伝わってきたのでその辺がシェフにもきちんと伝わっている理由かとも思ったが、
どうやらエキュレから引き続きらしいのでもうイメージは共有出来ているのだろう。
実現するのも結構簡単、と言われていたが、この辺はシェフの意見も聞いておけば
よかった。
この値段でも満足感はあったのだが、やはりやや高めの値段設定なのだろうか。グラスが
グランメゾンばりの価格だったのは確かに予想外だった(^_^;人数で利益を出すタイプの
店ではないので、仕方ない一面もあると思う。それとレビューで触れられていた方も
いたが、この辺の食材にまったく明るくない人がいきなり行く店ではないだろう。
シンプル~キノコ~
体温~村上牛・黒トリュフ~
ボニュ焼き~村上牛~
ボニュ焼き~村上牛~UP
自然~太陽・空・土・ハーブ~
ムルソー ナルヴォー2007 ギイ・ボカール グラス ¥2808
ヴォルネイ・カイユレ1997 ルモワスネ・ペール・エ・フィス グラス ¥3024
風見鶏のパン
黒トリュフ
プリン
リンゴ
ミルク
コーヒー
バター
2018/10/04 更新
美食家・来栖けい氏の店。前店・エキュレで定まった方向性を確立させての2店目に
なる。シンプルに食材の味を増幅させた料理を信条としており、限界に挑むような
調理法の料理が多い。また、他店では食べられないような激レアな和牛も提供して
いる(値段は非常に高い)。美食家が最期に行き着く店という印象がある。
2015年8月開店。
2018/10/04 更新