15回
2020/02 訪問
おか田さんの二周年の貴重な席に伺いました。
ワインはVortex 立野さんのペアリングで。
・毛蟹と菜の花
Sous Larrey Blanc de Blancs 2014 Rémi Leroy
冷製の前菜から。春らしい苦味ある菜の花。毛蟹の提供温度がもう少し高くても良かった気がしますが、旨みを活かした日本料理らしい一品。
合わせられた自然派のシャンパンは酸化のニュアンスもあり、リクールを足さない辛口のもの。バランス的にはクレマンドジュラの様な雰囲気。熟成感と旨みはあるが、もう少し甘みのある方が日本料理には合う気がしました。
・鮟肝最中
Likor 2015 Jean Christophe Garnier
最近は都内のお店ではフレンチでも日本料理でも定番料理として最中を出すお店はありますが横浜ではほぼ見かけません。また普通はフォアグラを詰めますが、今回は鮟肝という新しい試み。他の食材で複雑味や苦味も出しており面白いバランスだと思いましたが、フォアグラと比べると、やっぱり若干甘みは足りない気がします。ただこれは合わせるワインのせいかもしれません。
合わせられたワインはロワールのシュナンブラン。一口目はヴァンドリキュールかなとも思いましたが遅摘みによるものの様。ワイン自体は華やかさもあり美味しいけれど、鮟肝と合わせるとなるともう少し優しい感じでも良かったかなと思いました。
特にフォアグラとのペアリングでも最近はモダンなお店でも甘口を合わせる事は少なくなってると思いますし。
このワインの面白さは実は別にあり抜栓が一年くらい前のもの。風味は梅酒の様なニュアンスも。熟成とメイラードの感じは抜栓直後には無いものだろう。
・すっぽん土瓶蒸し
Chardonnay 2015 Chateau Saint Martin
すっぽんを贅沢に使った土瓶蒸し。すっぽんの出汁にコラーゲンたっぷりで、ぷりぷりの身も美味しい。真薯はハモをベースにスッポンの身も混ぜられています。優しい味わいがいい感じ。
合わせられたのはラベルも貼っていない貴重なジュラのシャルドネ。通常はドライ過ぎたり、風味が強すぎるジュラのワインは日本料理とは合わせづらいのですが、こちらの優しい味わいはお互いに包み込む様で、良いペアリング。Alter Egoの様なスープを料理に合わせる様なニュアンスも感じる様で、日本料理でもスープペアリングで優しい感じの方向性を模索しても面白いかもと感じました。
・鰤の藁焼き
In the Shadow of the Morning Sun 2018 Anders Fredrick Steen
ある意味、おか田さんの定番になっていると言える鰤の藁焼き。塩だけで充分美味しく、新鮮さも食感からよくわかる。
合わせられたワインはグルナッシュ。血合の部分があるので、醤油がなくても充分に赤やロゼともいい感じだと思います。ワイン自体はしっかりとしたものでは無いですが、逆に若い割には面白いバランスだと思います。
・ふぐ白子焼玉地蒸し
Clos Béru 2014 Sans soufre
贅沢に河豚の白子が入った皿で潰して混ぜながら頂きます。
そちらに合わせられたのはシャブリのマグナムですが、乳酸が強いシャブリらしく無い造りのもの。後味に若干キリッとしたミネラルっぽい感じがあり、それが唯一シャブリらしさを感じます。
・仙台牛塩焼蕗味噌添え
Genés blanc 2004 Les Jardins Esméraldins
シンプルな塩だけで味付けされた仙台牛。
白ワインを肉に合わせるのは豚や鶏ではやる事はあるが、赤身とはいえ血をあまり感じ無いあっさりとした牛肉であれば、味わいの強い白ワインを合わせるのは有りなのだろう。お互いの塩味のバランスが取れていれば良い調和になるのは面白い。
このワインは世界中探しても見つからない貴重なワインでもあるので、その点でも貴重な経験。
・唐墨の土鍋御飯
L’O2 Vigne 2011 La Coulée d’Ambrosia
〆の土鍋御飯。敢えて柔らか目に炊かれた御飯に自家製の唐墨をのせて、更に出汁で味付けされた黄身を掛けて頂きます。
これだけでも何杯も頂きたくなる美味しさ。
唐墨をはじめ魚卵系は通常のワインとの相性は良くないのですが、合わせるとしたら酸化のニュアンスの有るシェリーやオレンジワインと合わせる事が多いと思います。今回はジュラワインの様なニュアンスを持つロワールのシュナンブラン。ブラインドで飲めば、誰しもジュラワインだと思うと思います。強い産膜酵母の風味が唐墨の風味ともよく合いました。
・Uf-fuのお茶とcacao huntersのチョコレート
Ambroisie 2005 la Coulée d’Ambrosia
デザートはcookiegirlが特別に作ったもの。多分、単独で頂くとカカオや紅茶の風味など複雑さやバランスの良さが良くわかるのだろうが、ちょっと残念なのは、ペアリングされたワインが強いので、仄かなニュアンスを感じるのはワインを飲みながらだと難しいと感じました。
デザートワインと合わせるなら、もう少し苦味と甘みが強いチョコレートを使い、紅茶や梅ではなく、オレンジなどを使った方が王道だと感じました。じゃないと、ワインの甘みのせいでデザートが単調なミルクココアの様になってしまうので。
実際にペアリングではチョコレートと特に赤ワインは合わない事が知られていますが、チョコレート系のデザートと上手くペアリングが出来てるお店は日本では皆無かもしれません。
ペアリングに関しては個人の味覚や食の経験も大きく、プロでも万人に合うペアリングを作り出すのは難しいし、日本では特にセオリーとして確立できておらず、経験豊富な方は食やワインのプロでもかなり少ないので、今後の大きな課題だなと改めて感じました。
2020/09/26 更新
2019/12 訪問
久しぶりに通常バージョンのおか田さんへ。
最近は平日も横浜の常連さんが訪れ、満席になる事が多そうです。
料理のクオリティは横浜市内の多くのガイドブックなどで紹介されたり数年前に食べログやミシュランなどで高く評価された料理店に比べても、数段上に感じます。
その辺を良く理解している年輩の横浜在住の富裕層の方や都内からわざわざ訪れる方が非常に多い様です。
ただ年輩の方はあまりワインには興味ないのが残念なのですが。
今回も旬の食材を入れ込んだおまかせコース。香箱蟹もなかなか贅沢な盛り付け。
自家製の唐墨もなかなか味わい深かったです。
年末年始はコラボイベントなどを精力的に行う様。若干席が空いている日もある様なので、興味ある方はこれを機会に伺ってみては如何でしょうか?
ホッキ貝 いくら
すっぽん 煮凝り
自家製唐墨
ばってら
真薯
金目鯛 カワハギ
スマガツオ 藁焼き
香箱蟹
牛肉 黄ニラ 湯葉
牡蠣御飯 寒鰆
2019/12/12 更新
2019/10 訪問
おか田さんとPeròさんのコラボイベントに。
料理はおか田さんが、ワインはPeròさんが提供しペアリング。
コースの内容は旬の素材を贅沢に使ったもので、その調理方法やアレンジも面白いものでした。
- 穴子蒸鮨
シャリは餅米を使っており、食感も普通の寿司とは違うので、一品目に頂くものとしては面白い。
穴子の柔らかさにも良く合ってるのかもしれない。
- 鱈白子 蛤出汁 アスパラ
- 御坊掻き揚げ トリュフ 半熟玉子
- 牡蠣と松茸の土瓶蒸し 白味噌仕立て
贅沢に牡蠣と松茸が使われ、更に白味噌の甘み、旨味が加わり、複雑な味わいに。
- 九絵昆布〆
厚切りの割には透明感があり、良い具合にしめられています。若干、ねっとりとした舌触りと、しっかりとした食感。
- 牡丹海老 本占地 唐墨
生の海老ですが、他の食材の旨味とも合わせてよく纏まっていました。適度な塩味の生唐墨も相変わらず美味しいです。
- 米沢牛湯葉巻き蒸し
まるで湯葉が牛肉の一部の様な味の一体感。まるで湯葉が牛の皮膚の様に感じました。
- 毛蟹 いくら 蓮根豆腐
漬けたいくらを調味料として、蟹を頂く贅沢。蓮根豆腐の旨味も相乗効果となります。
- 松茸土鍋御飯 牛出汁掛け
贅沢な松茸御飯だけでも美味しいのに、硬めに炊いた御飯に濃厚な出汁をたっぷり掛けてリゾット風に。枯れた感じの旨味の重なりは最高です。
- 栗渋皮煮と抹茶のモンブラン
2019/10/29 更新
2019/08 訪問
鎌倉の祖餐さんとのコラボ企画として実現したおか田さんの寿司と祖餐のいし井さんが選ぶ自然派ワインのペアリングを楽しむ会。
岡田さんは、料理人としての経歴を寿司職人として始められた事もあり、今の店舗でもコースの中に一品は握りや巻物を入れられていますが、全品を寿司というのは本当に特別な機会でないと頂けません。
今回は祖餐さんでの開催ということもあり、大変だとは思いますが、ネタも寿司のクオリティも流石という感じです。下手な都内の高級店よりも素晴らしいと感じました。
本格的な寿司に自然派ワインを合わせて頂けるのも本当に貴重な機会。都内などの高級店でもワインは置いていますが、本来、寿司や和食には到底合わないドライなクラシックワインばかり。シャンパンなどもかなり熟成させたものでも、合わせるのは難しいので、どれだけの日本人が値段や銘柄だけで寿司とワインを楽しんでいるのかと考えると本当に悲しくなります。
日本酒を合わせるのも一般的ですが、甘みが強すぎたり、酸味がワインに比べて少なかったり、水の様なものも多いので、実際にペアリングするには、最近の一部の生酒以外は難しい場合が多いです。
それに対して、自然派ワインは旨味や酸味もしっかりとしていたり、バリエーションも多く、色々なネタや寿司酢が効いたシャリとも違和感無く合わせられます。
いつもの日本料理のコースとのペアリングでも発見は多いですが、今後もこの様な寿司もたまには提供してもらえると嬉しいです。
ヒラメ
金目鯛湯引き
小鯛昆布〆
赤むつ(ノドグロ)焼霜
真鯵
鰯酢〆
穴子
煮蛤
新いくら
雲丹
かんぴょう巻
和牛漬けの握り
短角牛コンビーフと梅肉巻
鰹藁燻し
潮汁
2019/09/02 更新
2019/07 訪問
今月もおか田さんへ。
大幅に開始時間が遅れて、御迷惑をおかけしましたが、快く対応して頂きました。
ワインも料理も、相変わらず素晴らしい。
旬の素材、時季に合わせた料理の数々は横浜近辺では随一と言って良いほどの質の高さを感じます。
また、何度通っても、いつも新鮮さを感じる様に、以前に食べた料理や食材は、ほぼ被らない様な徹底さも凄い。
お店にお一人で立たれている時は、料理もしながら、ワインの提供などサービスも同時進行。カウンター席の使い勝手もあるが、手際の良さも、素晴らしい。
今回の料理はガスパチョ風の少し洋のニュアンスが入ったりされているのが最近の傾向だが、コラボイベントなどの良い影響だと思われる。あまり他の要素を取り入れすぎるとエクアトゥールっぽい料理になってしまう恐れはあるが。。対して、鱧、早松茸、鰻などを使ったお椀や焼き物、〆のご飯は質の高さから純粋に和として楽しめ、自然派ワインにも合うバランスもあり、楽しく感じる。
以前はイタリア、フランス中心のワインのラインナップでしたが、アメリカ、オーストラリア、オーストリア、ジョージアなどと幅広く取り揃えられる様になって来ています。どうやら、ウォークインセラーを同じビル内に新設。より多くのワイン在庫を持てる様にされた様です。
2023/03/23 更新
2019/06 訪問
2週間ぶり、今月2回目の訪問でした。
なぜか短期間で続けて伺う機会が多かったりしますが、今回も前回とは食材も料理も被らず、その辺は流石だなと感じます。
夏らしい素材も色々入っており、鱧や稚鮎の様な高級店で出される素材も。
お任せ11,000円のコースでこれだけ頂けるのは、都内では皆無ですし、横浜のミシュラン獲得店でもありえません。
そして、素晴らしいのは、より日本料理に合わせやすい自然派ワインをメインに合わせて頂けること。あえて日本酒などはあまり置かず、高級店の様に本来は幅広い日本料理には合わせづらいシャンパーニュやブルゴーニュの様な高級ワインも置かないので、より素直なペアリングが楽しめるのも良いところ。
今回はペットナットから始まり、オレンジワイン多めで楽しませていただきました。
シャンパンよりも旨味も強いワインなので、日本酒同様に日本料理には合わせやすいと思います。
2019/06/30 更新
2019/06 訪問
隠れた横浜最高峰の日本料理x自然派ワインのお店
数ヶ月ぶりの訪問。
昼間の営業は日曜日のみですが、昼間の訪問は初でした。
今回は色々あって、完全に貸切状態。
その分、色々と楽しめたかとも思います。
春の素材から夏の素材に切り替わってきており、夏らしい料理も頂けました。
横浜ではここまで本格的な日本料理を頂けて本格的なワインも頂けるお店は皆無なこともあり、看板も出さず、ネットなどでも全く宣伝もしていないにもかかわらず、自然派ワインのマニアだけでなく、横浜でも徐々に知名度を上げてきている様です。
数ヶ月おきにワインバーやワインショップなどとのコラボをしているので、新しい試みも少しずつ入ってきており、進化も見られます。コラボイベントでは珍しいワインだけを求めてきてる残念な方もいたり、ワインのカテゴリー的にも絞られてしまうので、本来の価値は通常営業の時の方がありそうです。
今回も旬の素材に加えて、中華やイタリアンの様な水餃子。ヴァンジョーヌ塩など新しい趣向も。鱧に見える造りも実は穴子というのも面白いと思いました。
〆のご飯は贅沢に白海老を使ったもの。殻は剥かずにそのまま揚げているので食感も風味も抜群でした。
ワインも以前のイタリア中心だった頃から、ジュラワインが入ってきたりしていましたが、日本料理としてのペアリングは幅が拡がらないので、ニューワールドや東欧のワインなども置く様になってきており、モダンなペアリングも今後可能になってくるかもしれません。
横浜はそれでも保守的でクラシックなものが日本料理でも好まれる場所なので、客の思想や世代が変わって世界的なトレンドに追いつくまで時間はかかるかもしれないのが、若干、残念ではあります。
2023/03/19 更新
2019/02 訪問
開店一周年を2月15日に迎えられた日本料理と自然派ワインという組み合わせを提供れている、おか田さん。
そちらの記念ディナーコースとペアリングを堪能する貴重な機会に参加させて頂きました。
イタリアで初めてオレンジワインを経験されたというおか田さん。
その際に飲まれたダミアンを日本に輸入されているeVinoさんとのコラボイベント。ワインは全てeVinoさんが事前に料理を試食されて選ばれたということで、日本では珍しくきちんと料理に寄り添ったペアリング。オレンジワイン中心のラインアップですが、面白いものになっていました。
日本の大半のレストランではペアリングを提供されていても、ソムリエが試食もしていなかったり、シェフもワインに合わせることもないので、基礎的なオーソドックスなペアリングの店が多く、感動はないので、こういう機会は特に貴重です。それも日本料理へのペアリングというのは日本国内では、ほぼ皆無ではないでしょうか?
料理の方は採算度外視とも思える様な内容。(ワインペアリング込みで20000円+税)
河豚やクエ、ズワイ蟹など惜しげも無く使われ、本当に贅沢な食材を調理方法も工夫され、面白いものになっていました。
・牡蠣の藁蒸し
・ふぐ白子どんこ焼
・雲丹にぎり
・ずわい蟹の真丈椀
・ふぐ昆布〆
・鮟肝土佐煮
・くえ西京焼き
・サーロイン牛蒡御飯
・苺と胡桃のパフェ
特に河豚の昆布締めは通常は熟成させて食べる河豚を昆布締めで短時間で水分を抜き、生に近い食感で旨味も入り、素晴らしい味わいとなっていました。ポン酢で食べないことを意識して河豚の美味しさを生かしたこの調理方法は他のお店にも広がって欲しいと思いました。
自然派ワインと合わせるに当たって素材の旨味を引き出すスタイルの日本料理は本当に貴重。
2年目も色々と計画されている様で、今後の進化も楽しみなお店です。
ほとんど広告も出していないし、宣伝もしておらず、ネット上にもほとんど情報がないのに、満席の日が増えている様で、口コミなどで伺って、こちらのお店の常連になってる方も増えている様です。
2019/02/18 更新
2018/11 訪問
ここ暫くは、たまたま数週間おきに何度か立て続けに伺うことになった、おか田さん。
今回は貸切でワインも持ち込みでお願いしました。
11月からはコースの料金が値上がりしましたが、今までが安すぎと言える値段だったので、異常でした。今は11,000円になりましたが、それでも内容を考えるとかなりお得です。
何人かは何度も通ってるメンバーでしたが、ここ数回の料理も被らない様に工夫して頂いていており、素晴らしいです。
自然派ワインばかりの持ち込みでオレンジワイン多めでしたが、おか田さんの料理には合いますね。
また、冬の時期は素材も面白いものが入ってきそうですし、定期的に伺いたいと思います。
2018/11/11 更新
2018/09 訪問
以前から気になっていた日本料理と自然派ワインのおか田さん。開店から6ヶ月経って、ようやく伺いました。
全10品とフルーツ、ワインもグラスで色々頂いてもかなりお得で、都内の有名店に一回行く値段で3回くらい行けそうです。
とはいえ、旬の素材も和食らしく多く使われ、また、都内でも珍しい自然派ワインと合わせて頂ける素晴らしいお店です。
看板が出ていないので、基本的には要予約、ふらっと立ち寄るお店ではありませんが、昨夜は8席全て満席でした。
高級感のあるお店、拘りの料理、ワイン、全て色々難しいところがある横浜で、いい感じのお店が少しずつでも増えて来ているのは嬉しい限り。また、定期的に通いたいお気に入りのお店が増えました。
ワインを飲む客が少ない横浜では難しそうですが、その内、ワインペアリングも行える感じになるまで、お店も育ってくれると嬉しいです。
2018/09/21 更新
横浜西口から少し歩いた反町に向かう坂を登り始める沢渡のビルの二階にある隠れ家的な日本料理のお店。横濱蕎麦 傳介さんと同じビルで、手前の階段を上がった場所です。
コロナ禍前は頻繁に伺っていましたが、今回はなんと三年ぶりの訪問。あまり面白いと思えるイベントが無かったこともありますが、大きな変化も無かった事もあります。
今回、久しぶりに伺いましたが、色々な変化を感じました。良い、悪いはそれぞれ客によっても感じ方は違うと思いますが。昨年、食べログ上での評価が上がり、認知度も上がったことで、これまでとは異なる新規の客も増えて来ている様ですし、方向性はもう少し明確にされた方が良いとも感じます。
まずは、これは数年前からですが、二階に上がったお店の入り口に付いた店名の入ったサイン。これはお店の雰囲気とは合わないので取り払った方が良い気がします。
或いはもう少し落ち着いたものにするか。
コースの値段がオープン当初から結構上がり、色々と大変な事も判りますが、その分、内容的には維持するか、上がっている事を期待しましたが、若干、以前よりも残念な点も感じました。
味わい的にも少し以前と方向性が変わっている様にも感じられます。もっと日本料理的な優しい旨みをベースにした感じで、オレンジワインやより華やかな雰囲気の自然派ワインとも合う感じがありましたが、今回は以前より意図的に酸を使ったり、発酵食品を多めに使ったりという風に感じました。
この辺は、自然派ワイン販売店やパテシエの経験を持つ高森氏が参加された事の影響もあると思いますが。
ペアリングに関しては、これまでも課題があり、これまでは通常営業では厳密なペアリングはされず、イベント営業などで試みはありましたが、なかなか上手くはいっていなかった様に感じます。
最近はペアリングは提供されていますが、実際の皿数よりもかなり多めのグラスを提供されており、ワインを多く飲む客には有難さや面白さも感じると思いますが、居酒屋では無いのだから、もう少し面白い、質の高いものに絞って精度も上げた方が、ペアリングやコース自体の評価も上がると思います。
また提供されているワインがヨーロッパの比較的、落ち着いたクラッシックな造りの自然派ワインと日本ワインに集中していて、以前のお店では経験が乏しいのだと思いますが、ニューワールドのもう少し華やかなものも取り入れられるとメリハリも出て、全体的に料理も含めた幅も拡がるのかなと感じられ、以前ほどの満足感が無い一つの要因にも感じました。
コース終盤に向けた盛り上がりの欠如もボヤけた雰囲気から来るのかもしれません。
またワインが前面に出たサービスの為、以前よりも岡田さんと話す機会も減り、料理の印象が薄くなり、岡田さんの顔が見えにくい感じになっている様にも感じました。
オープン当初の雰囲気を知っているからこその意見ですが、今の体制を続けるなら、今一度、色々と議論はして欲しいと感じました。