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楽しく過ごした御殿場、沼津、三島の旅。 帰路に着く前に最後は「三島に来たからには…」と、当然のように鰻料理を堪能して帰ろう。 選んだお店はコチラ「寿司・うなぎ処 京丸」さんだ。 宿泊したホテルと同じ建物内にあり、駅ビルと言って差し支えない立地は、この後新幹線に乗る私達には乗車時間を心配する必要がなく、なおかつお店の魅力は様々な鰻料理を食べさせてくれるからだ。 三島は「うなぎ処」でもあり名店がお互いにしのぎを削っているが、コチラは如何なものだろう…。 先ずは県が誇る銘酒「静岡麦酒」で歩き疲れた脚を癒し、渇ききった喉を潤そう。 そして「売り切れ御免は嫌なので…」と、予約した段階で残しておいて欲しい、とお願いした2品「生うなぎの刺身」「様々な部位の串焼き」から始めた。 「生うなぎの刺身」……。 正直「泥臭くはないのかなぁ… 大丈夫かなぁ…」と思っていた。 しかしコチラに訪れる前に街を散策し、市内を流れる「源兵衛川」の水質の良さが、私達の心配を書き消してくれた。 そしてその味わいは、私達の期待を大きく上回ってくれた。 旨いッ! ポン酢で食べる その歯応えは、まるで河豚のようだ。 臭みなど あろう筈もない。 湯びきされた皮まで付いているから、益々河豚のように思えてくる。 その「生うなぎの刺身」に舌鼓をうっていると、次なるリクエストの「様々な部位の串焼き」も届けられた。 写真の一番左側にある「肝」だけはタレ焼きで、残りの5本は全て塩で頂く。 以前、東京の新宿の鰻料理の老舗でも頂いたことがあるが、そのお店は全てタレ焼きによるものだったと記憶している。 それぞれが異なる歯応え、味わいには妻も「刺身といい串焼きも初めて食べたけど、どれもとても美味しいね」と喜んでくれている。 さて、肝心の蒲焼きは如何なものだろう。 当初、メニューにあるシェアメニューの「大関」を注文し、鰻を思う存分楽しもうとお願いしたが、お店の人達は皆さん怪訝な表情をしている。 そのうちサービス担当の女性が「大関は… ちょっとお二人では無理があるかと...」と進言してくれた。 聞くとかなりのサイズらしい。 「どうしてもとおっしゃるなら、せめて関脇にしては如何でしょうか?」とも。 ちょっと淋しい気もしたが、お店の人の助言には逆らうまでもない。 「それでは関脇でお願いします」。 その関脇が運ばれて来た。 ……コレで関脇? 呆気にとられる私達の間には、直径30cm.はあろうか、という巨大なサイズの器が置かれた。 蓋を取ってもらう。 立派なサイズの鰻の蒲焼きが2尾、卵を6個使用した「う巻き」、それに複数の肝焼きまで付いている。 (コレが関脇なら、大関や横綱はいったい…。) しばし見惚れながらも手を伸ばすが、これだけのサイズ、どこから手を付けようか…。 先ずは「う巻き」からと箸に取ると、鰻は重ねて焼いてある。 いったいどれだけの鰻を使用しているのだろう。 肝焼きや蒲焼きも取り皿に移し、卓上の山椒のミルを挽く。 和歌山から取り寄せている青山椒の素晴らしい香りが加わり、更に鰻の魅力を引き立てる。 ご飯も凄い量だ。総重量は1kg.だそうだ。 妻と2人で頑張って食べ進めたが、さすがに無理、限界だ。 失礼ながら「食べきれなかった物は持ち帰れますか?」と尋ねたら 快く了承して頂き、パックに詰めさせて頂いた。 「来月は「土用の丑の日」があるけど、もうしばらくは鰻はいいよね」と妻が言う。 私も同感だ。 これだけ贅沢に鰻料理を楽しめたのだ。 三島、さすがに「鰻処」と言われることがある。 コチラの料理もまた、素晴らしく美味しかった。 ご馳走様でした。
2025/06訪問
1回
この日、沼津のフレンチレストランで久しぶりに感動する料理を頂く事が出来た、その後。 その高ぶる気持ちを鎮める為にも どこか静かなバーで心を落ち着かせたかった。 宿泊するホテルを三島で取っていた私達夫婦。 妻はこの日が朝が早かった事もあり、「料理もお酒も十分楽しんだから…先にホテルの部屋に戻るから貴方だけで行ってらっしゃい」と。 初めての街でもあり、土地勘も無いのでタクシーを利用してお店に向かった。 それが正解。 運転手さんに「着きましたよ」と促されたが、「どこに連れて来られたんだろう…」と思える程、閑静な住宅街で降ろされた。 周りには飲食店らしき看板も、建物も何も無い。 しかし地図アプリを開いても確かにこの辺りだ。 ふと横を見ると、1軒の住宅の脇にアプローチが伸びている。 その途中に掲げてあるエンブレムを見つけ、ようやくここが「BAR YUMOTO」さんである事が理解出来た。 これは解り辛かった。 おそらくタクシーで連れて来てもらわないと、夜の暗がりのなか、初めての訪問客がお店を探すのは かなり難しかろうと思った。 まさに「スピークイージー」だ。 アプローチを進むと重厚な雰囲気の扉が。 何か大きな金庫にでも使われていたかのような、入り口用としての造りとは思えない扉を開いた。 店内の雰囲気は期待通りのオーセンティックなバーで、先客も1組だけだった。 それもまた期待した通り。 静かな雰囲気で、ゆっくりと心を落ち着かせたかった。 バックバーには様々なボトルが列び、ちょうど私の席の正面には季節のフルーツを使用するカクテルの紹介も。 さて、何から頂こう……。 暫くして女性のバーテンダーが注文を聞きに来てくれる。 フレンチレストランでの食後だ。 何かマールやグラッパのようなハードリカーを…と考えていたが、正面のボードに記された「せせらぎモヒート」の文字が気になった。 ミントには鎮静効果があり、「せせらぎ」の意味を尋ねたところ、「この辺りを流れるせせらぎの岸辺に自生しているミントを使用しているので…」との説明を受けた。 面白そうだ。 最初は そのモヒートから始めよう…。 せせらぎの岸辺に自生している、という葉をピンと伸ばしたミントは元気が良く、早朝から活動し少々疲れ気味の私の背筋も伸ばしてくれる。 さて、次は何にしようかな……と考えていると、お店のマスターバーテンダーが話かけてくれた。 食後に向く、ハードリカーかリキュールを所望したい旨を伝えると、まさに秘蔵と言える1本を私の目の前に置いた。 マールだ。 手書きされたエチケットを汚さないよう、丁寧にラップまでが巻かれている。 「ちょっと珍しいんです…」と紹介されたそのマールは、瓶の中にニガヨモギが詰められていた。 あの「アブサン」の主成分になる薬草で、強い個性を発揮する。 はたしてどんな味わいだろうか…。 俄然興味が湧いてきた私。迷わず「これを頂きます」。 スニフターに注がれたマール。 先ずは香りを聞いてみる。 ニガヨモギ、八角(スターアニス)を強く感じるが、練れているからかアルコールの刺激は想像したより感じない。 なるほど。コレは珍しく貴重なマールだ。 このボトルから端を発し、マスターと様々な会話を楽しみながらマールを頂いた。 しかしホテルの部屋には妻を待たせている。 必要以上の長居は妻にも、お店に対しても禁物だ。 最後の1杯を何か頂こう。 「日本の人は、まだまだこういう酒を飲む人が少ないですね」 というマスターの言葉に応えるかのように、私のナイトキャップは「シャルトリューズ ヴェール V.E.P.」にしよう。 最近、他のバーではあまり見かけなくなっていたV.E.P.だが、マスターによると、日本以外の諸国で引く手あまたの状態で、逆に日本はあまり需要が無いので 入手することが困難な状況だと言う。 そう聞いては益々飲みたくなった。 最初はシングルの量の半分程をストレートで。 残り半分はマスターにわがままを聞いて頂き、ジンと合わせたカクテル「グリーンアラスカ」にしてもらった。 ストレートで、カクテルで、シャルトリューズ ヴェール V.E.P.を満喫させてもらい、フィニッシュとした。 タクシーを呼んでもらい、ホテルに戻るまで見送って頂いた。 いやぁ、三島、素晴らしい街だ。 良い街には良いバーがある。 三島で夜を過ごすなら迷わずコチラだろう。
2025/06訪問
1回
私が勝手に「下田の四天王」と思い入れた4つのお店。 磯料理の「辻」さん、町中華の「一品香」さん、バーの「ハーバーライト」さん、そしてコチラ「MINORIKAWA 」さん。 いずれも素晴らしい、忘れられない思い出となったお店だ。 中でも僅か2週間で3回も訪問したコチラは、本当に地元にもこんな素敵なお店があればなぁ…と しみじみ思ってしまった。 それぞれのお店との別れを惜しみながら、最後に選んだのがMINORIKAWA さんだ。 コチラのお店の魅力は前2回のレビューで伝わると思うが、それでもこの日はまた新しい美味を提供して頂いた。 それがデザートなのだから もう完璧だろう。 「下田ブルー」という名前の鶏卵を検索して欲しい。 それがいかに優れた鶏卵であるのかを理解して頂けると思う。 天候などの様々な要因で生産量がまちまちになってしまうのは仕方ないにしても、この入手困難な鶏卵の価値をいち早く理解してお店の料理に取り入れたので、生産農家さんも優先的に納品してくださるようだ。 それでなくても地元で購入することすら困難なのは、この下田ブルーが引く手あまただからだろう。 そんな素晴らしい鶏卵を使用した料理やデザート…。 本当に今回でしばらく伺うことが出来なくなってしまうのが口惜しい。 マダムのワインのセレクトも冴えている。 この日も素敵なワインをフェア商品としてお値打ちに提供してくださった。 この日は前菜無しの、いきなりポワソンからのビストロスタイルにしたが、シェフのスペシャリテの金目鯛を ソースを変更してブールノアゼットにして提供されたが、それに完璧にマリアージュしている。 私にしては珍しくメインは仔牛にしたが、その料理にも複雑なセパージュの赤ワインをお勧めしてもらった。 そして これまた素晴らしいマリアージュ! ビストロの基本である「ドゥ プラ」(二皿の料理、という意味)で満足できるのが良いのだ。 そして上記のデザート。 シェフ、マダム。短い期間でしたが大変お世話になりました。 また来ます。きっとまた来ますから それまでお元気で……。 週を跨ぐことなく今月の1日に初めて訪問したばかりなのに、今日(6日)また予約を入れてしまった。 それほどコチラのお店は魅力に溢れている。 この日は偶然にも勤め先の同僚夫妻とバッティングしたが、このご夫婦のように2人で来店できたら もっといろんな料理をシェアして楽しめるのに…。 ちょっと羨ましいな。 2人が飲み終えていたファーストドリンクは、私の支払いにしてもらうようマダムにお願いした。 私も負けじとコチラの素晴らしい料理とワインを楽しむぞ! 先ずはアペリティフとしてキレのある、よく冷やされた白ワインを勧めて頂いた。 前回来た時にも感じたことだが、コチラのソムリエール兼マダムは本当にスペインワインに造詣が深い。 私のような勉強不足の者が 生意気な振る舞いをするよりも、こういった場合は完全にお任せにした方が 料理もワインも楽しめる。 炭火焼きのメイン料理は時間が必要な為、最初に何を食べるのかを予め決めなくてはならないのだが、その繋ぎの意味合いからコチラではアラカルトの場合、オードブルヴァリエを注文することが必須なので、今回もそれを食べながらメイン料理を待つことになる。 マダムがこのオードブルヴァリエに合わせてくれたワインは、アンダルシア地方のシェリーの空樽に入れて熟成させる手法のワインを勧めてくれた。 珍しいワイン。シェリーはおそらくオロロソ…もしくはペドロヒメネスだろうか?…… 甘いシェリーの風味を強く感じる。まるでシェリーそのものを飲んでいるようだ。こんな白ワインは初めてだ。 このワインはメイン料理との間に挟んだ、やはり前回食べてとても美味しかった「生牡蠣の青海苔ソース」にもベストマッチした。 まったくマダムのワインセレクトは素晴らしい! メインに選んだのは今回も鹿肉。 前回 得た教訓をもとに、今回は肉を100gに落とした。 それでも このボリューム。それに今回も股肉の煮込みが添えてあった。この組み合わせは前回と同様だ。 ただし今回は炭火焼きの肉のソースが違った。 ポアヴルヴェール(乾燥させる前の胡椒)のソースだ。 この組み合わせはとても好きだ。今回もとても美味しく頂けた。 勿論肉に合わせるワインもマダムにお任せだ。 今回もまたスパイシーなソースの料理によく合うワインを勧めて頂いた。 これまた知らないスペインワインだ。シラーかなぁ…? 前回のガルナッチャとは違うようだ。 それでもタンニンはやさしいが、余韻は長く残る美味しいワインだ。 ごちそうさまでした。 コチラを後にしたら下田で一番のお気に入りのバーでディジェスティフを楽しむことが お決まりのコースになっている。 美味しい料理とワイン、お酒が楽しめる下田の皆さんは幸せだと羨ましく思った。 深く知れば知るほど魅力的な街、下田。 こんなに身近に主にスペイン料理を提供してくれる名店に出逢えるとは! 夏の繁忙期を過ぎるタイミングを狙って予約をしてみたコチラ 「MINORIKAWA 」さん。 いい加減、美味しい塊の肉に飢えていた私は コチラで食事が出来ることを楽しみにしていた。 そこでアラカルトでも注文できる9月になるのを待って、すぐさま予約をしたのだ。 初訪問する今回、少し路地に入り込んだ場所に雰囲気のあるガス燈が迎えてくれた。 扉を開けて、出迎えてくれたマダムに予約した旨を伝えると、一番奥まったテーブルに案内して頂いた。 店内は 想像するに以前は喫茶店だった物件を居抜きで借り上げたのかな、と思わせる雰囲気。 やがてマダムがビバレッジのリストを持ってきてくださったが、私はそれに目を通すこともなくマンサニージャをグラスで注文する。 予約の段階で料理の好み等はお伝えしているので、あとはシェフにおまかせだ。 マンサニージャを傾けながらビバレッジやワインのリストを拝見していると、お店のマダム兼ソムリエールが いかにスペインワインに造詣が深いのかが解る。 そんな中、おっ?! 見つけたぞ! ペガソ グラニートだ! さすがに良いワインを置いている。 さっそくマダムにボトルをお願いすると「かしこまりました」 との返答が。 サーブされるのを待ち遠しく思っていたら、奥からマダムがやってきて「申し訳ございません!在庫が無くなっていました。」と、残念な申し出。 仕方がないので他に何か美味しそうなワインは…と思ったところ、マダムが「お勧めのワインがございますが、よろしければデキャンタに移してハーフサイズでもご提供できますが。」と素敵な提案。 では、お任せしますので料理にあわせたワインをお願いしますとなった。 選んでもらったワインはテンプラリーニョのV. V. で、これを開けてしまっても良いのかなぁ、とコチラが心配するほど。 本当にいいんですか?と確認したが、「大丈夫です」と。 さすがに美味しいワインだ。香りは最初は控えめながら、それでも黒い果実(ブラックチェリーやプラムの類い)を主に複雑なブーケ。タンニンも酸味も柔らかだが、余韻は長め。 これを楽しんでいるうちに前菜が。 見事なオードブルヴァリエだ。どれを食べても美味しい。 左上の四角い器にはガスパチョがあるが、ガスパチョが嫌いな私でも美味しいと思わせる物だ。 ハモンセラーノとテンプラリーニョのマリアージュはまさしくベストカップルだ。 ポワソンはやはり下田らしく金目鯛が。 京料理に「ぐじ(甘鯛)の若狭焼き」という技法があるが、それを金目鯛に取り入れている。 鱗までパリッと焼き上げ、その食感も楽しめる料理法だ。 アメリケーヌソースと合わせたシェフのスペシャリティだ。 そしてこの日一番楽しみにしていた鹿肉の登場だ。 シェフとの打ち合わせでは、他の料理よりも一番チカラを入れた内容でお願いします、と希望しておいたので どんな料理を食べさせてくれるのかワクワクしていた。 そして それは見事に具現化される。 鹿肉は二種類の料理が盛り込まれたプレートで、メインは「シンタマ」と呼ばれる赤身の部位をローストした物。サイド的な物として 同じく鹿の股肉を煮込みにした料理が提供された。 シンタマのローストにナイフを入れる。 なんと柔らかな仕上がりだ!絶妙な火入れ加減だ。 その鹿肉のジュのソースには、ソムリエールのマダムが先程のワインとは別の赤を勧めてくれる。 やはりこの力強い肉の旨味とのマリアージュにはテンプラリーニョでも問題ないのだが、更なる美味の為にセレクトしたのがガルナッチャ(仏ではグルナッシュ)だ。 情けないことにシェフには鹿肉をしっかり食べたい、などと 身の程知らずのことをリクエストしていたのだが、さすがにこのボリュームに私の胃袋は悲鳴をあげ始めた。 この後のパエリア、デザートは食べられそうもないので、代わりに ほんの少しのチーズを所望して、快く了解して頂いたのにもかかわらず、結局は食べられずにいると、それを見てマダムが「お持ち帰りできるようにしましょうか?」とありがたくも恥ずかしい申し出に甘えさせて頂くことにした。 鹿肉は冬でなければ…と思っている人が多いと認識していが、 それは蝦夷鹿の事。実は本州鹿は夏が美味しいということを知っている人は以外に少ない。 しかしコチラのシェフはそれをご存知のようで、実に美味しい本州鹿の肉を食べさせて頂いた。 加えてマダムのスペインワインに対する愛情、博識さには敬意を表さずにはいられない。 楽しい、素晴らしい夜を提供して頂いた。 下田、本当に素敵な街だ。まだまだ奥があるのかなぁ……。
2022/09訪問
3回
私の下田での2ヶ月の勤務が間もなく終わろうとしている。 そこで再訪したのは下田の磯料理のお店としてはNo. 1だと思っている「辻」さん。 前回、妻と一緒に初めて訪問した際に、その美味しさ、海鮮の素材の新鮮さ、それを活かす技、女将さんや娘さんの心地よい接客……。 その全てに満足し、私が下田を離れる時が来る前に どうしても再訪したいという思いが強くなっていた。 私の勤務の休日、辻さんの定休日などを勘案すると、もうチャンスは少ない状況になっていたので、ラストチャンスだと思っての再訪だ。 いろんなお店にお世話になったので、辻さんに向かう前にも もう1つ別のお店にも再訪していたので、初老の私の胃袋の キャパシティはせいぜいあと二品、三品というところだろう。 ならば、と注文するべき食材、料理は やはり伊勢海老と鮑だ。 女将さんは正直な方で、この日の単品で注文できる伊勢海老は サイズ的には400~500gの物だけしか生け簀にいないらしく、時期的にも「少々元気が…」と。 「それでも良いならご用意させて頂きます」との言葉は私がコチラのお店を信頼できる証だ。 辻さんでは 調理する前に籠に入れた素材をプレゼンテーションしてくれる。 客は その状態、サイズ、金額を見聞きして、納得すれば調理してもらい、納得できない時は別の素材を見せてもらう、もしくはキャンセルしても良いので、自分が選んだ物が提供される。 私の目にも この日の伊勢海老は前回来た時に食べた伊勢海老よりも確かに元気が無い。それでも活けの伊勢海老だ。 状態から判断して、この伊勢海老はお店自慢の調理法である 鬼殻焼きにして頂くことにした。 対して鮑は非常に元気一杯だ。 下田自慢の黒鮑は やはり最近の養殖物として出回っている蝦夷鮑とは比べるべくもない。 この元気な黒鮑は刺身にしてください、とお願いした。 さて、この注文に対してのお酒は 私には日本酒しか考えられない。 ワインや焼酎も好きだから否定はしないが、やはり日本の食材を和食の調理法で提供して頂くなら ベストパフォーマンスを発揮してくれるのは日本酒だと思っている。 鬼殻焼きには少々物足りないが、黒鮑の刺身にはピッタリな、 これも下田の思い出になった日本酒「黎明 純米吟醸」を一緒に頂くことにした。 それにしても日本は食に関しては幸せな国だと思う。 いろんな国の、いろんな料理を、いろんなお酒、アルコールフリーの飲み物で楽しむことができる。 コチラでもお酒はそれぞれの好みのお酒が用意されている。 私の隣のテーブルの皆さんはワインをボトルで楽しんでいた。 やがて鬼殻焼きが提供された。 想像した通り、やや身離れが良くない。が、それでも伊勢海老の美味しさ、それを引き出す技、タレの美味しさ…。 満足できる内容だ。 元気一杯だった黒鮑は言うに及ばず。 伊勢海老を調理して頂いたので、黒鮑はシンプルに刺身にしてもらって正解だった。 日本酒は当初「これだけ飲めるかなぁ…」と心配したが、なんのことはない。料理のあまりの美味しさに全部飲み干してしまった。 やがてお店の閉店時間が近づき、私も食事を楽しめたので、女将さんにタクシーの手配と会計をお願いした。 女将さんに、私の下田と 磯料理 辻さんへの思いを話し、 やがて 間もなくこの地を離れることを伝え、名残惜しい気持ちをお伝えさせてもらい、また下田に来る際には必ず訪問させて頂きます、と約束した。 本当にありがとうございました。 下田での、素晴らしい思い出を忘れません……。 末娘の応援で東京まで行ってきた。 東京では先妻や他の娘とも合流して食事などを楽しんだが、夜には今の妻が私の誕生日を祝ってくれた。 その翌日、妻を私が現在出張している静岡県下田市に誘った。 下田は本当に素敵なところなので、是非妻にも案内してあげたかったのだ。 私の勤務先や周辺を一緒に散策したが、妻も「本当に素敵なところね。」と喜んでくれた。 温泉に浸かり、疲れを癒した後はタクシーを手配して この日の夕食に向かった。 そのお店がコチラ「磯料理 辻」さんである。 コチラのお店は海沿いの細い道に沿ってポツリと一軒で営業しており、周囲には他のお店も無い。 車で行くより他に無いのだが、大型車同士がすれ違う場合は注意が必要な程だ。 そのような条件であるにも関わらず、いつも満席で思うように予約が出来ないことで、コチラの人気の高さを知ることができるだろう。 私達もこの日は18時が希望だったが、「19時30分からでしたらなんとか……」とのことで、やっと予約が出来たのだ。 その予約の際にお願いしたのが、来店の3日前までに予約が必要な、二名以上で受けてくれるコースメニューだ。 内容としては伊勢海老やアワビ、金目鯛など下田ならではの食材を使用した物になるのだが、それが都会では信じられない価格で頂けるのだ。 先ずは最近の私のお気に入り「静岡麦酒」の生ビールで、温泉から上がっても我慢していた喉の乾きを一気に潤す。 この静岡麦酒は大手メーカーの物だが、麦芽100%のとても美味しいビールで、ビールが大好きな私としてはあまりの乾きと美味しさの相乗効果で思わず涙が出てしまった…。 ご主人手作りの烏賊の塩辛(これがお通し?)をアテにビールを飲んでいると「お待たせいたしましたーっ」の声と共に届けられたのは、 「こっ… これは?…… これで2人前なんですか?」と 思わず聞いてしまった程の、直径50cm はあろうか、と思える程の大鉢に盛り合わされた刺身だ。 活けの伊勢海老やアワビ、金目鯛、サザエ、鮪の中トロ…… 正直、この刺身の盛り合わせだけでお腹いっぱいになりそうだと思える程だ。 これを肴に日本酒に切り替える。 「黎明」は下田で栽培された酒米を収穫後、富士山の麓にある酒蔵に運び、そこで醸した日本酒だ。 綺麗な富士山の湧水から出来る酒はすっきりとして、これまでの伊豆で作られていた他の日本酒とは異なる味わい。 洗練された口当たりは刺身のような料理と相性抜群だ。 やっと刺身が食べ終わる頃には次の料理が。 サザエとハマグリの焼き物の盛り合わせだ。 カサゴの唐揚げは近くの港に水揚げされるものを使用。 しっかりと揚げることで骨まで食べられる。 大鉢を下げてもらった。伊勢海老の頭は最後の食事の際に味噌汁として提供してくれる。 次に水槽からアワビを取り出し、私達に見せてくれたのだが、 今回注文したコースにはもう一段階上級コースもあり、その違いはアワビの踊り焼きがあるか、無いかの差だ。 しかし私はその上級コースだとアワビは一人ずつ提供されるがサイズは小さい蝦夷アワビになることを知っていた。 そこで私は今回はわざと下のコースを選んで、アワビの踊り焼きはアラカルトで黒アワビを追加で注文したかったのだ。 100gの小さな蝦夷アワビを別々で頂くなら、200gの立派なサイズの黒アワビを二人でシェアしたかった。 そして それは正解となる。 アワビはやはり黒アワビに限る。 肉厚の、立派なアワビを頬張れば、先程刺身で頂いたアワビとは異なる満足感に満たされる。 次にまたもや水槽からのプレゼンテーションは伊勢海老だ。 刺身の伊勢海老もまだピクピクしていたが、今度はコレを鬼殻焼きにしてくれるという。 なんという贅沢な時間、料理だろう。 これで一人8,000円のコース(プラスでアワビを追加)とは……。 街中でコレと同じものを食べるとしたら いったいどれだけ支払わないといけないのだろう…。 鬼殻焼きの活け伊勢海老は一人一匹ずつ。半身なんてハンパな事はしない。 引き締まった身は活物だけがあじわえるもの。 やや甘いタレで焼き上げてあるが、それはこの地方の味だから。 このタレの味について云々を語るレビューを見たが、こういうところで食べるなら そういう自身の好みで旨い、不味いは論じるべきではないと思う。 この伊豆、下田で食べるのは鬼殻焼きはこのような味に仕上がって提供される、と記憶することが旅の思い出になるのだ。 最後の食事の際には味噌汁にも伊勢海老だ。 頭を手で掴み、この時ばかりはお行儀もなにも無い。 最後の最後まで満足感に満たされる、素晴らしい内容だった。 加えて紹介させて頂きますが、お店は家族経営なのであろうが、皆さん本当に良い人で、料理についてもいろいろと好みや予算に合わせて相談に乗ってくださり、お店や下田の街のお話も楽しく聞かせてくださる。 このアットホームな雰囲気がまた良いのだ。 もし、私が下田を離れる時がやってきたら、最後の日には必ずコチラで食事をしよう。 そう心に決めてこの日は店を後にした。 この日も含めて、下田の素晴らしさを心にも身体にも染み込ませる為に……。
2022/09訪問
2回
富士山の麓、三島にホテルを取り、メンバーの特典でレイトチェックアウトを希望し、ギリギリまでゆっくりと滞在させて頂く事が出来た。 前日のハードスケジュールに加え、最近の暑さは私達夫婦にはかなり堪えるだろう事を あらかじめ予想しての行動だ。 荷物はホテルに預かってもらい、カバン1つでコチラにタクシーで向かった。 「そばと料理 みずのと」さん。 三島でのランチをどのお店で…と、いつものように食べログで諸兄の投稿した写真を参照していてコチラを見つけた。 雰囲気のよい店内、美味しそうな蕎麦…。 ヨシ! コチラにしよう。早速予約をさせて頂いた。 タクシーはお店から程近い場所で降ろしてもらった。 地図アプリを開き、お店の場所を探す。 あぁ、あったあった! ココだぁ。 先達の写真をあらかじめ拝見していたから良かったが、その下調べが無かったら おそらく解らなかったかもしれない。 看板らしき物は何も無く、逆にコチラが蕎麦のお店になる前の、酒屋さんの看板が残されていた。 小さな灯りの下には「民家の表札かな?…」と思えるような小さな「看板」が。 それに目を凝らすと「みずのと」の文字が…。 あぁ、コチラで間違い無い。 良かったぁ……。 諸兄の写真が無かったら、私達だけでは探せられなかっただろう。 前夜のバーといい、三島の人達はそうした嗜好があるのかな……。 扉を開き、奥へと進む。 まだ先客はいないようで、予約した旨を伝えると店内でも段差がある、1段高い部屋のテーブルに案内してもらった。 なんともアンティークな雰囲気が残り、以前は歴史ある酒屋さんだったのでは…と想像させられる鼓や箪笥が残されている。 妻はこうした雰囲気のお店が大好きなので、先程から かなり喜んでいる。 お店の女性が 予約した段階でお願いしたコース料理で用意させていただきます、と確認をしに来てくれたが、追加用に他の料理メニューも置いてある。 コース料理は店主のお任せになるので、その内容を教えて欲しいと聞いてみた。 すると私達がファーストゲストだったので、店主がわざわざ厨房から説明の為に出てきてもらった。 あらかたの説明を受け、1ヶ所だけ「イサキのカルパッチョ」を、アラカルトにある同じイサキのメニューにある梅肉を使用したソースの料理に エキストラチャージを支払うから変更できるかを相談した。 店主は私のリクエストに、そのまま変更することはできないが、パッチョソースを梅肉のソースに替えて提供するのは大丈夫、との返事をもらい、安堵した私は「鴨の炙り」を、店主に料理に合わせて選んでもらった日本酒と共に追加注文した。 アミューズと言える蕎麦豆腐の前菜から始まり、各種の料理の盛り合わせ、天ぷら等が順番に提供される。 追加した「鴨の炙り」、それに店主から「そろそろ蕎麦をお持ちしますか?」と尋ねられ、食いしん坊な私は「そばがき」も追加した。 料理は全てとても美味しく満足できたが、私が変更を願い出た「イサキのカルパッチョ」のソースを変えた事だけは失敗だった。 やはり店主の勧めるままの料理を頂くべきだった、と今更ながら後悔してしまった...。 最後に蕎麦が。 風味が楽しめるよう「もり」で提供してもらった。 蕎麦は「もり」に限る。 切り海苔や必要以上の薬味等は蕎麦の風味には邪魔だと思っている。 重要なのは「カエシ」だ。 それが美味しいなら薬味は山葵と葱があれば十分だ。 そんな意味では、コチラの蕎麦は私好みの とても美味しい蕎麦だった。 いやぁ、良かった。 良いお店だった。 また三島に来る事があるなら、是非とも再訪したいお店だ。 ご馳走様でした。
2025/06訪問
1回
コチラに訪れる前に、最近出逢えたスペイン料理の美味しいお店で楽しい時間を過ごしてきたが、それもメインの料理まで。 やはり〆はコチラ「ハーバーライト」さんで。 下田で過ごしている間の 私の至福のルーティングだ。 時間が早かったこともあったので、今回はタクシーを使わず徒歩で。 海が近いこの街は 潮の香りが微かに載った風が心地よい。 10分程は歩いただろうか。お店に到着した。 マスターとマダムしかいない。 そうか!まだオープンしたばかりなんだ! バーの口開けの客というのは実に気分が良い。お店の中は まだ凛とした空気が、他に汚されることなく漂っているものだ。 それでいて いつものように笑顔で迎えてくれるマスターとマダムがいると、この安らぎを得る為に「帰ってくる」のだろう。 少し歩いたので喉が乾いた。最初は柑橘を使ったロングドリンクのカクテルを作ってもらおう。 地元産の柑橘をグラスの中に絞り込み、ジンを注いだところにソーダを加えたカクテルだ。 良いお店には良い客も集まる。 少し席を隔てた紳士が取り出したシガーから、品の良い香りが漂ってきた。 「素敵なご趣味ですね。ハバナ産ですか?」と話しかけたのがきっかけとなり、その紳士とは楽しい語らいが出来たのだが、 驚いたことに、その紳士は私の下田での勤め先に宿泊して頂いている、とのこと! それはそれはありがとうございました。失礼がなかったか心配したが、翌朝の朝食のレストランで再会した時にも にこやかにご挨拶をして頂いた。 バーという場所は このような素敵な出逢いが出来る場所だ。 下田での思い出が またひとつ増えた、そんな夜だった……。 もう私はこのお店の虜になってしまったのだろう。 下田では一番のバーだと思っているし、故に他にバーを探す つもりも無い。 マスターにもすっかり顔を覚えて頂けたようだ。 先日の私の休日にスーパーで買い物中にも「お見かけしましたので…」と声を掛けてもらい、恐縮してしまった。 そんな訳で、最近の休日にコチラを訪問することはもはや必然的な行動になっている。 この日の最初のカクテルは、地元産のシャインマスカットがハシリの物が入荷した、との事で それを使用したカクテルをお願いした。 「やはりまだまだ早いんですけど……」と謙遜しながらも出来上がったカクテルは、材料としてはシャインマスカットの他にはホワイトラムとクラッシュした氷だけ。 味を整えるリキュールやシロップは一切使用しない、かといって しっかりとシャインマスカットの味や風味の楽しめる フローズンダイキリに仕上げてくれた。 変にひねらない、シャインマスカットの美味しさを最大限に引き出しているカクテルは さすがという他はない。 しばらくはノーゲストだったのでマスターとマダムを交えての歓談を楽しんでいると、ご常連らしきお客さんが三人で来店された。 その方々に提供するカクテルを作る所作を拝見していたが、鮮やかな手捌きで仕上げているのを見ていたら、私も もう一杯、となってしまうのは当然のことだ。 材料となるフルーツの状態を掴んでいるマスターだ。 次もお任せにして作って頂だこう。 そうして提供して頂いたカクテルは、今度はパイナップルを使用した物だった。 味を整えるリキュールには、私が好きなシャルトリューズ(ハーブ系のリキュール)が隠し味のようだ。 よく熟したパイナップルの甘味、酸味が引き出された 非常に美味しい、この季節ならではのカクテルになっている。 お店ではいつも2杯まで、と決めている。 私の場合、大抵 外食する時には醸造酒を飲んでいるので、二軒目で過度に蒸留酒を飲んだり、それをベースにしたカクテルを飲んだら 翌日が辛くなることを ようやく理解することができるようになったからだ。 この日もその信念に従い、後ろ髪を引かれながら会計を済ませ、お店を後にした。 いつも美味しいカクテルをご馳走様です。 また ごく近いうちにお邪魔させて頂きます。 下田にも素晴らしいバーがある。 出張で着任してから二度目の訪問だが、今回は妻を連れてきたかった。 コチラに伺う前には海沿いにポツリと佇む「磯料理 辻」さんで食事を済ませたので、そこから酔いざましの海風に当たりながら二人でゆっくりゆっくりと歩いて来たのだ。 タクシーで移動しても良いのだが、なにも急ぐことはない。 程好く酔って火照る頬に 夏の夜の海風が心地よい。 妻の手を繋ぎながら……。 やがてお店に到着した。 趣のある階段を昇ると、今夜は地元の人と思える先客がテーブル席にいらっしゃった。 私達はカウンター席に腰を下ろす。 するとマスターもママさんもまだ一度しか来たことのない私のことを覚えて下さっていた。 素敵なバーなので、今夜は妻を連れて来たかったんです、と言うと妻にも丁寧にご挨拶をして頂いた。 さて、今夜は何を頂くことにしようかな……。 カウンターの小さなイーゼルのお勧めメニューには 相変わらず魅力的なカクテルが列記されている。 こりゃあ迷うなぁ…… どれも美味しそうで……。 そんな私達にマスターが 「どんなものをお探しですか」と声をかけてくれたので、 自分達の気分や好みを伝えると、 「ではお任せでも良かったら……」と。 私達は「もちろん、それでお願いします!」 さて、どんなカクテルを飲ませてくれるのかなぁ。 普段の私はバーで何を飲むかで迷ったことなと滅多に無い。 それほど優柔不断な性格ではないと思っているし、ましてやお酒のことだ。 それが コチラのお店では前回1人で来た時も最初の一杯目はモヒートを注文したが、二杯目はお任せだった……。 おそらくコチラのカクテルに使用する材料の多彩さに、どんなカクテルを作ってもらえるのかの興味の方が強かったのだろう。 この日の妻のカクテルはフローズンカクテル。 下田産のブルーベリーをたっぷり使用して、それゆえ色はブルーベリーそのものをしている。 素材の良さ、美味しさを活かす為には一番の方法だろう。 私のカクテルにはボストンシェーカーの中にパッションフルーツを入れている。 鮮やかなシェークによって作り出されたカクテルは、その パッションフルーツの爽やかさがいかにも今の季節にふさわしい。 お互いのカクテルに興味津々ゆえに「ちょっと飲ませてよ」と大人げないことも許してもらえる雰囲気のお店だ。 忘れていたが、コチラではチャージとしてアイスクリームが提供される。 それがまた良いのだ。 乾き物のような物を出されるよりもよっぽど気が利いている。 妻もこれには嬉しそうだ。 美味しい磯料理を食べ、潮風を感じながら港町の雰囲気を感じるバーで夜を締めくくる……。 幸せな場所が ここ下田にはある。 下田の居酒屋さんで美味しい料理と日本酒を堪能した。 しかしそれだけでホテルに帰るにはまだまだ下田の夜を満喫したとは言えない。 その居酒屋さんから徒歩1~2分の場所にコチラのお店がある。 店舗は二階らしく、一階の扉を開けると階段が。 その階段を見ただけでコチラの歴史と風格を感じ取ることができる。 ゆっくりと登り、店内を見渡すと お客は誰もいなかった。 カウンターに腰をおろし、マスターと軽いご挨拶。 さて、何を頂こうかな……。 と、考えていたら、テーブルチャージとして提供されたアイスクリームが。 ちょっと驚いたが、マスター曰く「変な物よりその方がいいでしょう」と。 なるほど確かに暑い中 扉を開けて来店してくる客としてはちょっと嬉しいかな。 最近の私は食後に立ち寄るバーではリキュールやマール、グラッパ等や、カクテルではジンベースのアルコールのボリュームが高めの物を所望することが多いのだが、この日はカウンターの隅にある小さなイーゼルに乗せた黒板の中からモヒートを注文してみた。 イエルバブエナミントは最近「モヒートミント」とも言われている人気のハーブで、コレに拘ることからどんなモヒートを飲ませてくれるのか興味が湧いたのだ。 下田産とのことでマスターに「下田の農家さんが栽培しているのですか?」と尋ねてみたら「いえ、私が自宅で栽培しているので…」との答え。 なるほど。下田という街でイエルバブエナミントが入手できないなら御自身で栽培をした物を使用するという拘りが素敵だ。 独特の強い香りで満たされたモヒートは色も鮮やか。 二本の細いストローは余分な物を吸い込まない為だ。 しばらくは本場カリブ海のモヒートのスタイルの話を聞かせて頂き、またひとつ勉強にもなったが、その語り口、聞く耳が心地よい。 けっして押し付けでもなく、自慢話でもない、こちらからの問いかけに的確に答えてくれる博識さもあるマスターからは どことなく海のイメージが漂うナイスガイだ。 一杯だけで終わるつもりだったが、あまりの居心地の良さにもう一杯頂くことに。 何かお勧めのカクテルを作ってください、とお願いしてみたら「最近入ってきた白桃でも…」と。 では、とお願いするとフレッシュの白桃を鮮やかなナイフ使いで皮を剥いていく。 このナイフ使いが長くこの仕事を続けて来られたことが解る。 白桃の果肉の一部はガーニッシュにして、残りをボストンシェーカーの中に入れる。 ベースとなるアルコールと、ほんの僅かなシロップを加えて色や香りの調整をする。それはけっしてフレッシュの白桃の邪魔をしないように、美味しさをより引き立たせるかのような使い方だ。 仕上がったカクテルはアルコールの角の取れた優しい味わい。女性に喜ばれるだろう。 いや、良いお店だ。 下田もなかなか懐が深い街だということを認識した夜だった。
2022/09訪問
4回
長女が出場するモルック日本選手権大会の応援に、静岡県・御殿場に来ていた。 アウトドアスポーツなので、半ばピクニック気分で名店の押し寿司を持って行くつもりだったが、お店の御指南を得て、急遽予定変更。 どこかのお店でランチを頂く事にした。 事前にリサーチし、もしもこのような展開になったら…と考えていた候補のお店がコチラ「quan」さんだ。 幸いにも電話をかけると「お席はどこでも良いなら…」と予約を引き受けて頂いた。 お店に到着した。 既に複数台の車が駐車しており、お店の人気がうかがえる。 私達もカーシェアの車を停め、お店の扉を開いた。 お店の人が申し訳なさそうに(私の目には そう写った) 「カウンターのお席になりますが…」と。 いえいえ、私達にはかえって好都合。 お互いに聴力の弱い私達は、テーブル席よりも話しが近くになるカウンター席が好きなのだ。 そのカウンター席に着き、タブレットからメニューを選び、送信する。 妻が「私、これがいいな」と「阿波牛の黒胡椒炒め」を指差せば、私はお勧めの「干鍋」の海老Vrs. を。 他にも「陳麻婆豆腐」「担々麺」最後に妻にだけ「杏仁豆腐」も注文した。 最初にセットにした「陳麻婆豆腐」のスープとミニサイズのサラダが。 スープは包米湯(ポーミータン、と読む。コーンスープの事)。 優しい味わいに この先の料理に期待がかかる。 最初に「阿波牛の黒胡椒炒め」が。 黒毛和牛種の阿波牛と南瓜の甘さが黒胡椒と合わさり、妻は「良かったぁ!期待通りの美味しい料理だね!」と喜んでいる。 大好きな妻の笑顔が私には何よりだ。 料理は出来次第、次々と運ばれてくる。 「陳麻婆豆腐」が白飯と共に。 麻(中国の花椒の痺れるような辛味)・辣(唐辛子のピリピリする辛味)の効いた、本格的な味わいだ。 これまた期待通りの味わい。故に白いご飯が欲しくなる事を想定してのセットメニューにした理由だ。 私が楽しみにしていた「干鍋(ガンゴウ)」の海老バージョンも。 これが素晴らしく美味しい! 一瞬で私の心は鷲掴みにされた。 大ぶりの海老がゴロゴロ入っている。 そのスパイシーな味わいはガーリックシュリンプにも似ているが、それを圧倒する香辛料、中国の唐辛子… 複雑過ぎて… インパクトの強い… そのえもいわれぬ美味しさは初めての体験だ。 担々麺も。 王道の味わい。胡麻の風味と辛味とのバランスが丁度良い。 しかも具沢山。木耳が入っている担々麺は初めて食べた。 最後に妻にだけ「杏仁豆腐」もお願いしたが、これだけが「玉に瑕」だったかなぁ……。 いやはや、大変なお店に出逢ってしまった。 この「干鍋」、私達の居住する街のお店でも作ってくれるお店は無いものか…。 そう思える程の素晴らしいお店だった。 ご馳走様でした。
2025/06訪問
1回
下田東急ホテルは今年で開業60周年を迎えるそうだ。 少し前に大きな改装工事を経て生まれ変わったものの、そのロケーションの素晴らしさは以前と少しも変わらない。 添付した写真は よく晴れた日にレストランの窓から撮影した風景だが、実際にこれを眺めることができる。 まるでココが日本とは思えないほどだ。 朝食、夕食共に好評なのだが、私がお勧めしたいのが ランチに提供されるアメリカンクラブハウスサンドイッチだ。 非常にボリューミーで、私と妻のような初老の夫婦なら、ひとつをシェアすれば十分な量だ。 それほど具沢山なサンドイッチは まさにアメリカンスタイルそのもので、これぞ本物のクラシカルかつ正統派なアメクラだ。 このサンドイッチを美しい海を眺めなからビールと共に頂けば まさしく至福の時間を過ごすことができるだろう。 スタッフの接客もまさにホテルならではのホスピタリティーに溢れ、当初はこのアメリカンクラブハウスサンドイッチと一緒に もう1つの料理をオーダーしようとしたら、このサンドイッチはボリュームがあるので、よろしければひとつをお二人でシェアしてみてはいかがでしょうか? との提案をしてくれたが これが大正解! きっともう1つの料理を注文していたら、食べ残してしまうか 苦しくても無理をして食べることになってしまっただろう。 夕食が美味しく頂けたのも、ランチの時のアドバイスのおかげかもしれないと思った。 ランチで食べた物が まだ消化しきれないなら、ディナーも美味しく食べることはできないから…。 伊豆急下田駅からは少し距離があり(シャトルバスは運航している)、街中に出るにも小高い丘の上にそびえ立っているので車を使用しないと徒歩では辛く感じてしまうが、それでもこのロケーションは魅力的だ。 伊豆半島で休日を過ごすなら是非とお勧めしたい。
2022/08訪問
1回
凝り性の私(しつこい性格、とも言う)は、どうしても最後にコチラのワンタンを食べずに地元には帰れない、と思った。 そこで会社には最後の仕事の日を早朝からお昼迄の時間帯にしてもらい、荷造りは後回しにして コチラに向かった。 塩ラーメンのトッピングとしてのワンタンではなく、ワンタンを堪能する為の特別メニューを作ってもらうことにして頂いた。 それが写真の「ワンタンスープ」だ。 ワンタンを6つ入れたスープは十分満足できるので、そのお供には これまたメニューには無いが、作ってくれる とのご好意で炒飯も注文した。 ご主人はとても腕の立つ人のようで、炒飯の美味しさも この地域では群を抜く。 又焼のエンドカットをふんだんに使用した炒飯はパラリと仕上がり、もう少しだけ具材が入っていれば炒飯には少々うるさい私でも納得する理想的な出来映えだ。 ワンタンを堪能しながら美味しい炒飯を頂く……。 このお店での一番の楽しみ方かもしれない。 こんな良いお店とお別れするのがとても寂しく思った。 ありがとうございました。 また下田に来たら必ず伺いますね。 下田での勤務が終わろうとしている。 短い期間ではあったが、この素晴らしい街での思い出は忘れ難いものになるだろう。 そんな短期間で私が是非もう一度、と思っているお店を 下田を離れる前に訪ねておきたい。 それが町中華のお店ではコチラ「一品香」さんだ。 今日は前回食したワンタン入りの塩ラーメンと餃子、それに 壁のホワイトボードに記載されていた「金目鯛と海老入り焼売」を追加した。 先ずはビールと共にちょっとしたツマミが。 昆布を炊いた物だが、おそらく出汁として使用した昆布をリサイクルした物だろう。 これは私の妻も同じことをするが、最近の SDGs の観点から食材を無駄にしないという意味で立派なことだ。 餃子と焼売が提供された。 ちなみに焼売は注文してから15~20分程時間がかかるようで、時間が無い時やせっかちな性格の人は注意が必要だ。 その焼売だが、私のイメージしていた物とは若干のズレがあった。もっと金目鯛や海老を感じられる物なのか、と思って注文したが、オーソドックスな豚肉の焼売に金目鯛が練り込まれているようで、豚肉に金目鯛の風味が消されてしまっている。 海老も小さなものが1つだけ。海老を入れたという意味がアピールできていない。 かといって、では不味いのか?と問われたら 決してそんなことはない、むしろ美味しい焼売だ。 なので過度に金目鯛や海老を意識して注文するよりも、普通に美味しい焼売を注文する、というイメージが良いと思った。 餃子は前回同様、焼き目も美しく、自家製の辣油と共に食べる美味しい餃子だ。ビールと共に味わえば至福の時間が楽しめるだろう。 そして〆には私のコチラのお店でのイチオシ! 「金目鯛と海老のワンタン入り下田の天然塩のラーメン」だ。 このラーメンの素晴らしさは なんといってもワンタンにある。 大袈裟な話しになるかもしれないが、このお店のワンタンは 香港で食べた 本場のレベルの高い雲呑麺と同じ味がするのだ。 そう思うほど 私はコチラのワンタンに惚れ込んでしまった。 というより、私がコチラを訪れるのは このワンタンを食べるためだと言っても過言ではない。 ラーメンとしての美味しさも 勿論あるので、このワンタン入りの塩ラーメンは是非食べて欲しい逸品だ。 今回も満足できた食事でした。 これを最後にはしたくない……。 もう一度、もう一度だけでも……。 今日からの2ヶ月の間、静岡県は伊豆半島の下田市で仕事をすることになった。 この日はその為の移動日だったので、伊豆急下田駅に到着したら先ずは腹ごしらえを、と思って伺ったのがコチラ。 メニューには下田市自慢の日本一の水揚げ量を誇る金目鯛や伊勢海老等を使用した内容がお勧めのようで、駅近くでもあることから ある意味観光客目当てのお店なのかな?とも感じた。 注文はそのお勧めの「キンメ、エビのワンタン入り下田天然塩ラーメン」と焼き餃子をお願いした。 店内にはカウンターのような席が無く、私のようなお一人様は円卓に案内された。同じような客が来たらその円卓で相席になるのだろう。 やがて先にラーメンが届けられた。 麺が見えない程、具材で覆われたラーメンは、ワンタンが三個、チャーシューが二枚、少しのメンマに青海苔がビッシリと敷かれていた。 先ずはワンタンから頂く。 おぉ! とても美味しいワンタンだ! 最初のアタックはエビのブリブリとした食感が楽しめる。 それと相まって金目鯛のすり身の風味がとても良い。 スープを啜ると青海苔の風味が塩味のスープと抜群の相性を見せる。 この青海苔を麺と絡ませながらスープと一緒に口に運ぶと、港町ならではの風情を感じることができる。 チャーシューも美味しいのだが、やはりこのメンバーの中では脇役に甘んじてしまうのも仕方ないか。 次に焼き餃子が運ばれて来た。 敢えて「焼き餃子」と記したのは、コチラは水餃子もあるからで、どちらも自家製の辣油をたっぷりと一緒に食べることを勧めている。 言われた通りに酢と辣油をたっぷりで口にする。 想像していたより辛くはない、一時期ブームになった「食べる辣油」のような物だ。 焼き目も鮮やかな餃子自体はやや大きめの、野菜が多めに入っている比較的アッサリした美味しい餃子だ。 ラーメンもそこそこのボリュームなので、私のような初老のおじさんにはこのコンビで十分な量だろう。 当初のイメージとはかけ離れた、美味しい町中華のお店だった。 こだわりなのか、こうしたお店のわりには炒飯がメニューに無いのはご主人の考え方なのかな……。 2ヶ月お世話になる街で、またまた良いお店に巡り会えた。 下田市、良い街だなぁ……。
2022/09訪問
3回
長女が出場するモルックという競技の日本選手権の会場、御殿場へと到着した。 徒歩圏内のカーシェアの車を予約しておいたので、それで会場まで向かうのだが、その前に寄り道をした。 「妙見」さん。 これまでには宮様や総理大臣をお迎えするような立派なお店だとの情報を食べログを通じて得ており、鱒や鮎を使う「押し寿司」が美味しそうで、それを持って屋外での競技を観戦しながらの昼食にするつもりだったのだ。 幸いにもお店は朝9時からの開店で、店内での飲食は無理でもテイクアウトの押し寿司は購入出来そうなのも良かった。 手水鉢に今の時期を飾る愛らしい紫陽花が出迎えてくれた。 すでに暖簾が掛かる扉を開くと、正面に持ち帰り用の様々な商品が並んでいる。 女将さんだろうか。 左手の会計テーブルから声を掛けられた。 持ち帰りたい旨を伝えると「鱒ならさほどお待たせしませんが、鮎は少しお時間を頂戴致します」との事。 そうかぁ... 長女の大会の競技は既に始まっている。ここで必要以上に時間は掛けたくない。 どうしようか… と迷っている私に女将さんは「いつ召し上がれますか?」等の声をかけてくださる。 事情を話し、昼食として…と説明する等のやり取りをすると、「今日のお昼ですかぁ… 本当は明日の方が美味しいんですけど…」と御指南してくださった。 その一言で決定。長女の応援を終え、どこかで昼食を頂いた後にピックアップして、翌朝にホテルで朝食として頂こう。 姿寿司は鱒と鮎をそれぞれ1つずつお願いし、支払いを先に済ませ、一旦お店を後にした。 お店のお昼の営業時間ギリギリにピックアップは間に合った。 お礼申し上げ、寿司を受け取ると、なんと その袋に新聞記事の切抜きが。 「お嬢さんが出場なさる大会の事ですよね?」と。 朝の、何気ない会話を覚えてくれていて、わざわざ気に掛けてくださったのだ。 この気遣い。 このおもてなしこそが一流、名店と言われる由縁だろう。 簡単な事かもしれないが、こんなさりげない事が人の心を掴むのだ。 翌朝ホテルの部屋でお茶を淹れ、寿司の包みを紐解いた。 鱒はお店のシグニチャーメニュー。 薄い昆布を纏っている。 その昆布を剥がすと、鱒は姿のままで押されており、それが食べやすいよう10切れ程にカットされていた。 鯖寿司のようにはいかないが、それでも良い鱒を使用しているのだろう。 川魚の割には脂の乗りが良い。 昆布の旨味が加わっているのは、御指南頂いた通り「翌日の方が美味しい」とおっしゃった根拠なのだろう。 鮎がまた素晴らしい。 季節限定の姿寿司だが、和歌山産の上質な鮎だけを選び、寿司にしていると。 正直、私と妻の嗜好によるものだが、私達夫婦は2人共に鮎の美味しさに軍配を挙げたいと思った。 勿論、先記した鱒も素晴らしく美味しいのだが、鮎の、この上品、かつ繊細な味わいはどうだ! 鮎の持つ良い部分を上手く引き出しており、かといって手を加わえ過ぎる事も無い。 素直に鮎の美味しさと酢飯がマリアージュされている。 姿寿司の美味しさ、おもてなしの心。 さすが宮様方や歴任した総理大臣をお迎えするようなお店だった。 いつかまた、今度は店内で料理を頂いてみたいものだ。 お気遣いありがとうございました。 ご馳走様でした。
2025/06訪問
1回
私が最後のお別れの為に伺おうとしていたバー「ハーバーライト」さんが まさかの臨時休業! ショックでしばらくはお店の前で佇んでしまった……。 明日は朝から下田を離れる私としては、この2ヶ月の間をしみじみと振り返り、胸に刻み付けようと思っていたから……。 なんとなく このままホテルには戻りたくないと思い、他にバーはないものか…と検索した結果、コチラを見つけた。 幸い 今いる場所からも近いので、コチラで下田の〆としよう。 観光スポットである「ペリーロード」に架かる橋のたもとにお店はあった。 コチラはお昼の明るい時間帯に前を通りすぎたことがあるが、一見すると「何のお店だろう…。お客さん、どんな人達が…。」 と心配してしまうような外観だ。 お客がお店を選ぶのではなく、お店がお客を選ぶ……。 そんな錯覚をしてしまうような感覚になる外観のお店だ。 一瞬、どうしようかと躊躇したが、夜はまだまだ始まったばかり。 このまま帰りたくない気持ちが歩を進めた。 扉を開ける。 大音量のソウルミュージックが流れている。 昔、クラブのDJ をしていたご主人のセレクトしたMV だ。 懐かしい……。 40年程の前に流行った曲がノンストップで流れている。 店内も以外と(失礼!)混んでいる。 カウンターは私で満席になった。 この雰囲気ならカクテル… いや、バーボンか…… しかし私のファーストドリンクはスコッチをオンザロックで。 提供されたウィスキーの氷は まん丸とはいかないが、板氷からグラスの形状に遇わせて削られた物が入っている。 一応は(またもや失礼!)ちゃんとしたバーのようだ。 店内のカウンターは外国人ゲストが多く、いろんな国の言葉が飛び交っている。その おのおのが 他の誰ともなく酒と会話を楽しむボーダーレスな空間だ。 私もご主人を間に挟み、いつしか そのいろんな外国人ゲストとの会話をするようになり、酒も進めばいつしかフレンドリーな雰囲気に飲まれていった。 幸い 外国人の皆さん、どの国の人であろうとコミュニケーションは英語を使ってくれたので なんとか会話になったが、酒の席とは恐ろしいもので、会話が楽しく弾むと つい「もう一杯!」となってしまう。 特に私の左隣の席の外国人ご夫婦とは意気投合してしまった。 私と同じホテルにステイしている、というご夫妻は 特にご主人が下田がお気に入りのようで、日本に来る度に下田の、コチラのバーで楽しんでいるとのことだ。 右隣の、女性1人の外国人ゲストも会話に加わり、20時過ぎから飲み始めたが、気が付けば時計の針は揃って真上を向いていた。 とても賑やかな、思い出に残る下田でのラストナイトになった。 お店のご主人、素敵な人だったなぁ…。 あの人のような人生が過ごせたら きっと幸せだろう。 ○○○○○ご夫妻、おかげさまで素晴らしい夜になりました。 またいつかお会いしましょう……。
2022/09訪問
1回
あー、もう何もお腹に入らない! 外は気温が35度を超えている午後の2時。 所は何の宛もない静岡市内。 さて、私は今から帰りの新幹線の時刻までどうしよう…。 唯一の宛はコチラ「河内屋」さんだ。 妻はとにかく餡が大好き。 餡のお菓子やあんパンならいつでも何処のでもwelcomeなのだ。 そんな妻の喜ぶ顔が見たい……。 その思いだけが、私を炎天下のなか、足を向かわせた。 河内屋さんは午前は11時から2時間、午後は3時30分から1時間だけどら焼きを焼く。 河内屋さんに到着したのは午後2時30分。 まだどら焼きを焼くのに1時間はある。 さて、どうしたものか……。 近くに大きな病院があったなぁ。その中で待っていようかなぁ。でも病気でもないのにそれはまずいよなぁ……。 様々な考えが暑さでクラクラする頭の中を駆け回る。 ええぃ! お店の反対側の歩道には ちょうど日陰になっているベンチがあるじゃないか! そこで待っていよう! と、相成った。 暑い……。 しかし他にやることもない。行く宛もない。 ただ待つしかないのだ。 そう思っていると、今度はお店の前に置いてあるベンチが日陰に入ってきた。 よし、場所を移して店頭で待とう。この時点で2時50分。 やがていろんな人がお店にやって来るが、3時30分からの時間待ちに恐れをなして退散する人ばかり。 こんな炎天下で待つのは私のようなバカひとり。 やっとおじさんが鉄板に火を入れた。 あぁ、今から焼きはじめてくれるんだぁ…… 暑いなか、よく頑張ったなぁ、と自分で自分の事を誉めている。 妻の喜ぶ顔が見たい一心でこんな事ができるなんて…… よっぽど好きなのか、よっぽどバカなのか、どっちかだよなぁ……。 おじさんの鮮やかな職人の手裁きに見惚れながら焼き上がりを待つ。 規定の限度一杯の5個のどら焼きを手にしたらおじさんが 「ほら、頑張ったごほうびだ。スペシャルだぞ」 と言って生地にマーマレードを挟んだオマケをくれた。 おじさん、ありがとう! 暑いなか、待ってた甲斐があったよ! ……でも、おじさん。 なんか「とらさん(渥美清)」に似てね?笑
2022/07訪問
1回
今回の下田では一番興味がひかれたお店だ。 念のために宿泊するホテルのスタッフに「お勧めのお店を…」と尋ねたら、我が意を得たり!ズバリとコチラのお店の名前が上がった。 そしてホテルからタクシーで向かうにも運転手さんにお店の名前を告げたら当然のようにご存知で、 「いいですねぇ、お客さん。あそこは美味しいんですよ。一杯美味しい料理を食べてきてくださいね」 とまで言われた。 これは否が応でも期待値が上がる。とても楽しみだ。 お店の扉を開けるとカウンターには誰もいなかったが、奥からは賑やかな声がしていた。 一番端の席に腰をおろし、先ずは飲み物から。 「下田レモンサワー」なる飲み物を推していて、通常のレモンサワーに粗挽きのブラックペッパーを投入するのが下田流だそうだ。 それを注文してみる。 なるほど、ブラックペッパーが舌に、唇にピリッとした刺激を加えてくる。これは面白い飲み物だ。 肴はとりあえず一人前でも対応してくれる刺身の盛り合わせ、下田に来たらコレ!の金目鯛を串焼きのスタイルで、それにお目当ての1つ「生うにのプリン」を注文した。 その前にお通しだが、なんのてらいもなく勘八の刺身が出てきた。刺身がお通しとは珍しい。 それに併せて刺身の盛り合わせを注文したので、下田らしく本山葵も提供された。 先ずは刺身の盛り合わせが。 鯵、真鯛、金目鯛、勘八、本鮪の五点盛りだ。 先程の本山葵をすりおろし、おろしたての風味と共に味わう贅沢さ。 魚は地物が中心で、勿論言うこと無く美味しい。 金目鯛の串焼き。串物にした金目鯛は煮付けにもできるそうだが、魚は煮付けよりも塩焼きが好きな私は一本からでも対応してくれるのでお願いした。 一本というのはしみったれた注文だが、初老の私としてはなるべく沢山の料理を味わいたい。脂の乗った金目鯛の間には葱が挟んであるのが良い仕事をしている。 これならさっぱりしていて何本も食べられそうだ。 生うにのプリン。 私はこれを「お店で食べるべき一品」に推したい。 本当に美味しいのだ! おそらくは具の無い冷し茶碗蒸しのような物の上に、結構な量の生うにが添えてある。 それを混ぜ合わせて食べてみたが、これだけでも日本酒が2~3合はいけるだろう。 水槽を見てみると大きな黒鮑や伊勢海老が。 鮑は100g程の養殖の蝦夷鮑と違い、下田産の大きな天然の黒鮑だ。 推定で200gはあろうか、という鮑は刺身にするか焼くかを問われたが、私は刺身の鮑はあまり好まない。 今回も肝と一緒に焼いてもらうことにした。 貝類は総じて大きなサイズの物が美味しいものだ。 あの宍道湖の蜆にしても大粒の物が上物なように。 勿論、鮑もまた然り。大きな黒鮑こそ味わい、歯ごたえ、風味、どれをとっても蝦夷鮑ではかなわない。 そんな黒鮑を浜値のような値段で食べることができるのが港町にある料理屋ゆえの醍醐味だ。 最後にもうひとつの楽しみだった「骨付き鹿肉のソテー、ゴルゴンゾーラ添え」を注文する。 夏が美味しい本州鹿ではないが、蝦夷鹿を良い状態で保存してくれる業者(猟師さん)がいらっしゃり、いつでも美味しく提供できるのだそうだ。 確かに熟成された状態の香りがしたこの肉を食べやすい サイズにカットした物が二本。 それにゴルゴンゾーラチーズが添えてある。 ゴルゴンゾーラはソースにするのかな、と想像していたが、さすがにフレンチのシェフのようにはいかない。 しかしとても美味しい鹿肉と、このゴルゴンゾーラの相性の良さはどうだ! この時ばかりは日本酒ではなく赤ワインが欲しくなった。 お店は他にも天城軍鶏や、伊豆の山で捕れた猪なども提供してくれるそうだ。 いやぁ、良いお店に出逢えた。 これぞまさに旅の醍醐味だ。 必ずまた訪問させて頂こう。
2022/06訪問
1回
この夏の短い期間、勤め先になった下田では旧知の間柄の好漢 H 氏に大変お世話になった。 私の歓迎会、と称して下田魂を注入してもらった人物である。 その時に「下田のお店ではコチラが…」と案内して頂いたのが 「ごろさや」さんだ。 下田を離れる時を翌朝に控え、最後の夜にもう一度訪ねたいと思って伺った。 あの日の記憶をたどり、先ずは生ビールを注文。 同時に刺身の盛り合わせと、氏が「コチラはコレが旨いんです!」と勧めてくれた「サザエの唐揚げ」も注文した。 刺身は下田の近海、もしくは県内で水揚げされた鮮魚だ。 旬の魚介を中心に、珍しいところでは「カマスの刺身」まで。 様々な魚介を十分堪能した。 サザエの唐揚げは、あの時も今日も美味しかった。 つぼ焼きや刺身よりも美味しいと感じたのは、サザエの大きさに起因すると思う。 とても大きいのだ。大きなサザエだから唐揚げにしても油に負けない。プリプリ、シコシコした歯応えが味わえるのは この料理法が一番良いのだろう。 日本酒がすすむ。すすんでしまう。 次はお店のお勧め「磯自慢」だ。 サザエの唐揚げの次に注文した「金目鯛の唐揚げ」と併せて考えても、この磯自慢の豊潤な味わいが受けとめてくれるだろう。 その金目鯛の唐揚げ。これもまた美味しい! 鱗が立っているので食感も楽しい。 ポン酢でさっぱりと頂けば、煮付け等で頂くよりも私好みの仕上がりだ。 そう言えば あの時も「塩焼き」で所望したら、「金目鯛は煮付けで…」とたしなめられたっけ……。 もう一軒訪問する予定だったので コチラで腰を据えて飲みたいのはやまやまだったが、次に行くお店もまた素晴らしくて……。 H 氏との痛飲は、私に下田魂を注入してもらった思い出として コチラのお店と共に忘れられないものになるだろう。 ごちそうさまでした。また寄らせて頂きます。 赴任した仕事先の職場に、以前一緒に働いたことがあるH氏が 私の歓迎会と称して飲みに行きましょうと誘ってくれた。 地元民である氏の案内だ。きっと美味しいお店に連れていってもらえるだろう、と期待も高まる。 お昼に伊豆急下田駅まで迎えに来てくれた氏と共に、徒歩で数分の場所にあるコチラのお店に到着した。 予約をしてくれていたようで、席は奥の小上がりに案内された。 先ずは生ビールでカラカラの喉を潤す。暑かったこの日のお昼だ。あっという間に2人のジョッキが空になった。 氏は相当のアルコール好きなようで、その体格からして毎日かなりの量を飲んでいるようだ。 私はせっかくなので地元の日本酒を頂くことにしたが、氏はワンモア生ビールだ。 さて肝心の料理だが、やはり刺身の盛り合わせは外せない。 それに氏が「美味しいんですよ」と勧めてくれたサザエの唐揚げを注文した。 暫くして提供された刺身の盛り合わせは10種類の魚介類が舟型の器に盛られて来た。 地の物を中心に鮮度も良い。やはり港町の料理店ならではの内容だ。 そしてサザエの唐揚げ。氏が勧めてくれただけありとても美味しかった。刺身にするよりもやや厚目にカットしたことで、歯ごたえと磯の香りを存分に楽しめる。 サザエといえば刺身、もしくはつぼ焼きがスタンダードな提供方法たが、唐揚げは初めてだった。これはいい。 氏とは会話も弾み、生ビールや日本酒がどんどん胃袋に消えて行く。 何かアテが欲しくなった。 そこで下田といえば金目鯛!やはり地元民もイチオシの魚だ。 さて、それを塩焼きで…と私が言いかけたところでお店の人や氏の顔つきがひきつっているのがわかった。 何か私、変な事言ったかなぁ? すると氏が間髪入れずに「煮付けはいかがですか?」と。 正直、魚は煮付けよりも塩焼きが好きな私だが、氏に 「キンメは煮付けの方がいいの?」と聞いたらすぐさまに 「そうです!」との答えが帰ってきた。 なるほど。地元の人のお勧めには敵わない。 ここは敬意をはらい、煮付けでお願いしよう。 出来上がった金目鯛の煮付けは程よいサイズの物らしく、器から溢れんばかり。 取り皿でシェアした煮付けを口に運ぶ。 なるほど納得だ。脂の乗った金目鯛は煮付けにすることで コッテリとした旨味が加わり、金目鯛自身の持つ濃厚な旨味と合わさることで美味しさが増幅される。 確かに日本酒に併せるなら塩焼きも良いが煮付けの方が良いかもしれない。 さすがに氏の紹介するだけある、とても美味しいお店だった。 お店のお昼の閉店時間が迫ってきたようで、会計を済ませた 私に氏が「もう一軒いかがですか?昼休み無しのお店が駅前にあるんですよ!」と。 やれやれ、底無し状態の氏に今日はとことん付き合うことになりそうだ……(苦笑)。
2022/09訪問
2回
長女の出場するモルック日本選手権大会。 応援に駆けつけた甲斐があり、なんと「予選、突破したよ!」との連絡が入った。 良かったね、頑張ったね、との返信を届け、少し安堵したのと、まるで自分の事のように段々嬉しくなってきた。 その気持ちを鎮めるべく、コチラに向かった。 「とらや工房」さん。 広大な敷地に手入れの行き届いた庭。 藁葺きの山門を潜り抜け、奥へと進む。 左に見える森と右に見える竹林のコントラストが見事だ。 しばらくして建物が見えてくる。 それが「とらや工房」さんだった。 入り口らしき付近には行列が出来ている。 私達もそれに加わる。 席には余裕がありそうで、回転も悪くはなさそうだ。 入り口近くに来ると、そこには平仮名が振ってあるボードがあり、先ずはそのボードを利用して自席を確保する必要がある。 その隣にはこの日に提供出来るメニューがあり、既に完売している物もあった。 やがて私達の順番になり、2人共に季節限定の「麩まんじゅう」と「水羊羮」を、それと共にお茶も温・冷の物をそれぞれお願いした。 御菓子の価格も随分とお値打ちだと思える。 席はちょうど庭が拝見出来るテラスのような場所のテーブルが空いたので、その席をキープした。 森を抜ける風が心地よい。 都会との温度差はかなりあるだろう。 そんな環境に身を委ね、美味しい御菓子とお茶を楽しむ事が出来るのだ。 素晴らしいではないか。 日本に生まれて良かったと思える瞬間だ。 少しして長女から再度メールが。 「決勝トーナメント、一回戦目で負けちゃった(笑)」と。 そうか。それでいい。それがちょうどいいね。 私の娘が何かで世界に通用するなんて...。 少しだけ一緒に夢を見させてくれてありがとうな。
2025/06訪問
1回
美味しそうなお弁当を販売していると思い、自宅で妻と一緒に食べてみようと購入した。 新発売のお弁当らしく、3種類の魚介が楽しめる内容だ。 その どれもが美味しく、満足できる。 他のお弁当も どれも美味しそうで、コチラの方面に伺うことがあれば また購入してみたい。
2022/09訪問
1回
せっかく下田まできたのだが、次の予定のためにホテルを朝8時にチェックアウトした。 伊豆急下田駅の駅前で何かお腹に入れたいと思い、電車の車内でたべるならやはり駅弁かな。 軽く食べたかった程度ならコンビニでパンかおにぎりでも…と考えたが、下田ならではの物は何かないかなぁ。 そこで目に止まったのがコチラの売店だ。 やはり下田の推しメニューは金目鯛なのだろう。 売り場の中央に堂々と陣取り、その存在感をアピールするかのごとく並んだ看板。 ここは素直に「金目鯛の塩焼き弁当」1択でいいだろう。 迷うことなく手に取り、お供に従えさせるべく麦芽100%の「ふじのくに限定」のビールと一緒に会計した。 朝から少し贅沢かとも思ったが、昨日に頂いた金目鯛の刺身2切れと串焼き一本では金目鯛を食べた気にならない。 嬉しいことにこの弁当にはかなり大きいサイズの金目鯛が 鎮座していた。 先ずは金目鯛のみを頂く。 生の金目鯛を焼いた、というより軽く一夜干しにしたかのようなアミノ酸を感じた。 その塩焼きと共にご飯の上に敷いた青海苔を一緒に食べることで更に美味しさが増すのだ。 口直しに添えられた山葵の茎の漬物(お浸し?)も名脇役だ。 ビールと共に車窓から下田の海を眺めながら頂く駅弁。 これぞまさに旅の醍醐味だろう。
2022/07訪問
1回
三島でのランチで美味しい蕎麦のコース料理を頂いた後は、そのお店から徒歩にて伊豆の総鎮守である「三島大社」に向かった。 柏手を打ち、頭を垂れ、毎日を穏やかに過ごしていることを見守ってくださっている事に感謝申し上げた。 無事に参拝を済ませ、境内を散策する。 御神木の金木犀、池の真ん中に浮かぶ「厳島神社」と、その池に生息する鯉にエサを買い与え、ひと休みするべくコチラに立ち寄った。 まだ6月だというのに連日の猛暑。 日本はいつからこんな陽気になるようになってしまったのだろう。 「○○さん、日本はね、もう四季は無いんですよ。ほんの短い春と秋以外は 長い猛暑の夏と極寒の冬しか…ね」と教えてくれた人がいる。 大昔のように徒歩で参拝するしかない時代であれば皆が熱中症などで倒れてしまっていただろう。 そんな大昔からなのだろうか、この境内に店を構え、歩き疲れた参拝者の心も身体も癒してくれる存在であったのだろう。 「福太郎本舗」さん。 私達夫婦も参拝後に立ち寄らせて頂いた。 扉を開くと正面には様々なお土産用の御菓子が並んでいる。 先ずは名物の「福太郎餅」を購入した。 お茶は無料で頂けるが、左手には有料の喫茶メニューを販売するコーナーもあり、福太郎餅を乗せた かき氷などが この暑さのなか、人気になっているようだ。 小豆の漉し餡は穏やかな甘さ。 それに寄り添うようによもぎの餅が。 草餅に用いられるよもぎは野草のなかでも滋養に富み、古来より「邪気を祓う」とされている。 私達が居住する東海地方にも、伊勢神宮には「赤福餅」、熱田神宮には「きよめ餅」という、それぞれが門前に店を構え、参拝者を、旅人を癒し続けているが、コチラも同様に違いない。 さて、一息つけた。 次なるは三島の街をゆっくりと散策しながら荷物を預かってもらっているホテルまで帰ろう…。
2025/06訪問
1回
毎年毎年 長女から「父の日」のプレゼントが送られてくる。 その「父の日」の一週間後に、長女が出場するモルック日本選手権大会。 親孝行な娘の為にも応援に行かない訳が無い。 会社に休暇をもらい、妻と共に向かった。 その大会で予想以上に好成績を納めた結果に私達も長女も満足出来た(と思っている)。 大会の開催地が静岡県・御殿場だったので その日は三島に宿を取ったのだが、その三島の駅ビル同然のホテルからディナーに向かったのは、再びJR沼津駅。 電車に乗車し、ホテルの部屋からお店の入り口までのドア・トゥ・ドアでも約10分。沼津駅からは徒歩2分程の至近距離にお店はある。 「ラパン アジル」さん。 今回の旅行で一番楽しみにしていたレストランだ。 いつもの事だが、私は食べログは 申し訳ないがほぼ諸兄の投稿して頂いた写真しか参考にしていない。 それだけで判断している。 個々人のコメントには嗜好的な差異があるだろうから。 その私なりのジャッジとして コチラは是非とも伺ってみたいと強く思えるお店だった。 予約の段階で長女からもらったワインを持ち込み出来るかを尋ねたところ、放栓料を支払えば可能との了解を得ていた。 席に着くなり「先日ご連絡頂いたワインは今日はお持ちになられましたか?」と尋ねられた。 最初からそれを飲むのか、サーヴして良いのかを知りたいからのことだろう。 しかしメニューを決めた時点で、いきなりクラレットの赤から始める内容ではなかったので、最初はハウスワインの白をアペリティフ替わりに頂くことにした。 メニューはプリフィクスコースの「C」に、アラカルトのオードブルの一品を妻に、私もポワソンを一品追加した。 私のオードブルの「愛知県産鮎のリエット仕立て」は、いきなり強烈なインパクトを私に与えてきた。 (なんだ? この美味しさは?……) 鮎の、内臓(腹わた)の苦味、軽く炙りを入れたかのような薫香、繊細且つ上品な鮎そのものが持つ味わい……。 その全てが渾然一体となったリエットは、単なる名刺替わりのアミューズとは思えなかった。 沸き立つ期待。 その気持ちに応えてくれるかのような最初のポワソン。 近海で揚がったイサキのポワレと伊豆産の平茸。 ポワレは私が自宅で食事する時に好んでする料理方だが、やはりプロフェッショナルなシェフには到底かなわない。 更に驚いたのは伊豆産の平茸の美味しさ。 シコシコ、もっちりとした歯応えがあり、最初は冗談ではなく(あれ? 烏賊はメニューに入っていたかな?……)と勘違いする程の物だった。 ドゥーブル・ポワソンの二品目。 熱々の器で供されたスフレは、グツグツ音を立てている。 そのスフレには海老やホタテ貝柱を織り混ぜて、そこへ軽さの中に濃厚な味わいのフォーム・ド・アメリケーヌが注がれてある。 スプーンで掬いながらフーフーと口にする。 うーん、旨い……。 王道のマリアージュではあるが、改めて思い知らされた。 あぁ、私はこういう料理が好きなんだ…と。 そしていよいよ私達夫婦が共に絶賛する料理がサーヴされる。 「極上伊豆鹿ロース肉の低温ロースト…」だ。 ルックスからも「本当にこれがロースなの?…」と見紛う程に どう見てもフィレなのでは…と思ってしまう。 事実、ラギオールのナイフでなく、他のカトラリーでも十分に切れるであろう柔らかな肉質。 その柔らかさまでがフィレとそっくりなのだ。 口に運ぶ。 咀嚼してようやく「やはりコレはロースだ…」と、フィレでは味わえない肉のジュが口の中いっぱいに溢れだす。 妻を見る。 私と同じ、目を丸くして驚いた反応をしている。 そしてその真ん丸な目は笑っている。同じだ(笑) 十分に咀嚼し、鹿肉の旨味を味わいきってから、ようやく発した言葉は 2人共に「こんなに美味しい鹿肉、初めて食べたよね!」だった……。 デセールにも手抜かりは無い。 私は自己分析すると 選べるのであればデセールにはグラス物が添えられている物を好む傾向にあるが、この日はピーチメルバ1択だった。 「沼津産幻の島郷のモモと…」と記されては、食べない訳が無い。 そして それは大正確となる。 南部鉄瓶に入れられたお茶を楽しんでいたら、少し手が空いたのかシェフがわざわざ厨房から出てきて下さりご挨拶を頂戴した。 鹿肉を始めとして この日頂いた様々な料理が全て素晴らしい内容で、夫婦共に感激した旨を伝えさせて頂いた。 私達が居住する街から沼津は決して近くはない。 しかし この料理、このシェフに再び会う為なら私達は再び新幹線に乗車することになるだろう。 久しぶりに感動した。 素晴らしい出逢いに感謝すると同時に 高ぶった気持ちを鎮める為には まだまだベッドに横たわるには早すぎるな……。 どこか素敵なバーを探して余韻に浸りたいものだ。 ありがとうございました、シェフ。 ご馳走様… また是非ともお会いしましょう。