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料理そのものが素晴らしいのに加えて 支配人以下、スタッフ全員のホスピタリティが 賞賛すべき点だと思う。
2017/08訪問
1回
妻が娘宅からのヘルプ要請に応え、神奈川県・新百合ヶ丘に来ている。 妻が大好きな私は寂しさに耐えきれず、「後追い」するかのように新百合ヶ丘に向かった。 駅近くのホテルに妻と一緒に宿泊し、翌朝からの孫の運動会に付き合った後は、私と「東京デート」を楽しむ事になっていた。 小田急・新百合ヶ丘駅から新宿までは特急を利用すれば約20分程で到着する。 当日のディナーを南青山のレストランで予約を入れてあるので、新宿辺りをブラブラするのが丁度良かった。 しかし ただブラブラするだけではつまらない。 そこで私の勤め先の系列ホテルでアフタヌーンティーを頂いてみようか、となった。 東新宿の地に開業してから まだそれほど時間も経過してはいないこのホテル。 実はコチラのレストラン・バーの実質的な飲料部門の責任者と思われる吉田氏とは、私が以前に渋谷のホテルが開業した時に業務応援として赴いた際、オープンスタッフとしてバーに勤務していた氏と一緒に仕事をした事があったのだ。 そしてこの新宿のホテルが開業間もない頃、私は業務とは関係無くプライベートで訪れたことがあったが、その時に吉田氏と偶然出くわした。 氏は私の事を良く覚えてくれていて、久しぶりの再会を喜んでくれたのだ。 妻と一緒に東京にはあまり行かないので (私達夫婦は東京があまり好きになれないからだ) こうして たまに東京デートを楽しむなら、コチラのような素敵な場所に連れて来てあげたい。 そう考えたとき、コチラのことが、吉田氏のことが頭に浮かんだのだ。 コチラでアフタヌーンティーを頂く場合、前日までの予約は必須のようだ。 私達夫婦はその予約段階でアフタヌーンティーは一人分だけをお願いし、あとはアラカルトでの注文を了承してもらっていた。 情けない話だが、私達は夜のディナーがあるので あまり沢山の量は食べられる自信がなかったからだ。 それに私の現在の勤務から、他店がどのようなアフタヌーンティーを提供しているのかに興味が湧いたこともあった。 ならば一人前をシェアしよう、スイーツは主に妻が、セイボリーを私がそれぞれメインに担当し、スコーンは無理に食べられないなら残してしまうのも仕方ない… そう考えての予約だった。 ホテルが入居している建物に到着した私達は、最初は低層階の賑やかなスペースから「見学」をしたが、先ずもって新宿駅に降り立った時点から 私達が最も苦手な「人混み」の洗練を浴び、新宿駅西口からコチラの建物に移動するだけで疲れてしまった。 そしてこの低層階では建物の内外で様々なイベントが開催されていた(ちなみにこの日は土曜日)ので、騒がしい事この上無い。 しかしこのホテルは考えられた造りになっており、ホテルへのエントランスはビルの北側に車寄せもあり、騒がしい様子が伝わりにくい。 ガラスで仕切られた部分に脚を踏み入れると、ドアマンがこの先のスペースに何の用があるのかをやんわりと尋ねられる。 この時点で コチラのホテルスペースには闇雲には入り辛くなる筈だ。 私達はホテルのバーに予約がある旨を伝えると、丁重に上層階へ向かうエレベーターの場所までアテンドしてもらった。 一旦 中層階まで昇り、そこで上層階のホテル専用エレベーターに乗り換える。 そこでフレンチレストランやバーがある階層に進む事が出来る。 エレベーターを降り、明るい窓側の方に向かって歩いて行くと、ホテルのスタッフの人が対応してくれた。 予約がある旨を伝えた私達が案内して頂いた席は、窓際にあるソファー席。 2人が親密な距離を保ちながらも余裕がある、なんとも理想的なスペース。 眼下には東京の街が一望出来、目の前には東京スカイツリー、その手前には東京ドーム、右下には新国立競技場が。 新宿駅東口は西口のような高層ビルがあまり無いので、そういった景色を遮る物は何も無い。 抜群のロケーションだ。 コチラの席で夜を迎えたら、2人の親密な関係は 夜景の素晴らしさも手伝い より深まっていくに違いないだろう。 席に着くなり吉田氏の所在を伺った私。 多忙な氏は出勤はしているが、今の時間はコチラには不在である旨を聞き、それでは…と用意しておいた細やかな手土産を、後程お渡し下さい、との言葉と名刺を一緒に預けておいた。 さて、アフタヌーンティーを楽しもう。 私は後学の為にも妻には紅茶の類いを注文して欲しかったが、2人共に紅茶よりもコーヒー好きな私達。 私のそんな思いは妻には通じず「カフェ・ラテ」を。 私はグラスの赤ワインを頂くことにした。 最初のセイボリーが運ばれてから暫くして私達のテーブルに吉田氏が顔を見せに来てくれた。 お互いが「その節はお世話になり…」と挨拶や近況を語り、改めて旧友を分かち合う事が出来た。 手土産のお礼に…と、今の私が頂いているワインは「私からにしておきますので…」と、私が用意した細やかな菓子には見合わない物をご馳走してもらう事になってしまい、「いやいや、それでは…」と一旦固辞はしたが、ここは氏の優しさに甘えさせて頂くことにした。 「それでは失礼します。どうぞごゆっくりと…」の言葉を残し、その言葉に私達はお礼申し上げ、多忙な氏は業務に戻っていった。 肝心のアフタヌーンティーの素晴らしい内容は、私のような者が陳腐な言葉を用いるよりも、写真を参照して頂くほうが良いだろう。 私もワインのグラスが空き、次のドリンクを所望する。 何を頂くことにしようかとリストを開くと、先記した吉田氏が長崎県・五島列島まで赴き、当地の蒸留所とコラボしたクラフトジン「ゴトジン」が目に止まった。 うん、これも何かのご縁だ。 これをオンザロックで頂くことにしよう。 椿の薫る素敵な味わいのクラフトジンだ。 当初はオンザロックで。 後程は別に用意して頂いたソーダでスプラッシュして楽しんだ。 南青山のレストランに移動する時間が近づいてきた。 会計を済ませ、吉田氏にはくれぐれも…とお伝えして下さいとお願いし、この場を離れた。 東京。 私達はやはりこの街には住む事は出来ないだろう。 あまりにも大勢の人、人、人…… そんな人混みにまみれる忙しい毎日は想像すらしたくない。 私達夫婦にとっての東京という街は「沢山のお金を持って たまに訪れたら楽しい街」を再認識した。 小田急で満員電車にすし詰めになりながらの30分なら、千円足らずの特急券を利用して余裕を持って出掛けたい。 その為にもお金は必要だ。 この日、コチラで頂いたアフタヌーンティーも、私達のような庶民が常食出来る金額ではない。 たまに訪れ、たまに夢を見させてもらい、それを糧に明日からのモチベーションに繋げる、思い出を紡いでいく……。 そんな街でいいのだと思う。東京は……。 吉田氏、ホテルの皆さん、お世話になりありがとうございました。 ますますの御発展、御活躍を祈念しております…。
2025/09訪問
1回
素晴らしいディナーを頂いた続きは、すぐ隣にあるバー&ラウンジの「ベロビスト」へ。 こちらで〆のナイトキャップを頂こう。 妻はかなり酔いが廻りご機嫌な様子。普段あまり飲まない人だから余程ディナーがご満悦だったようだ。 妻にはもう軽めのカクテルを、と思い、モスコミュールをヴォッカ少な目で。このバーのモスコミュールのレシピは源処方を尊重する為ジンジャーエールではなくジンジャービアーを使用するらしく、余分な甘味が無いのでスッキリと飲めるだろう。 私はジンベースのカクテルで、シャルトリューズのジョーヌをヴェールに変更した、いわゆる「グリーンアラスカ」をオーダーした。 最近はこれが気に入っており、以前はフレンチのアフターはマールやグラッパ、シャルトリューズはリキュールグラスでストレートで飲んでいたが、この「グリーンアラスカをハードシェイクで。」とお願いすると、ハードなアルコール同士の組み合わせでも柔らかくなって飲みやすくなり、細かな氷片がグラスの表面に浮かび冷たさを維持する役割も兼ね添える効果があるからだ。 先程のレストランとは微妙に窓越しの風景が異なるのだが、渋谷のスクランブルスクエアの隣に見えるのが東京スカイツリー、ギリギリ視界に入るのが東京タワー。 間には新国立競技場が望める。 鴨長明の方丈記「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず……」が頭の中を過り、諸行無常を感ぜずにはいられなかった夜景を眺めていた。
2020/10訪問
1回
長らく名古屋マリオットアソシアホテルのメインバー 「エストマーレ」をチーフバーテンダーとして勤めあげられた福手氏が独立し、開店したバーがコチラだ。 さっそく…… と言いたいが既に開店してしばらく経過していたようだ。 まだ陽も落ちきらない夕方の16時。 妻を連れだって初訪問した。 この日はこの後バンテリンドームでの野球観戦を予定しており、18時のプレイボールにあわせての訪問となったので、ゆっくりする…という訳にはいかなかったが、16時のオープンならその前に伺えば……となったのだ。 目の前にあるコインパーキングに車を停めたのが開店5分前。 ちょうど時間になったので車から降り立ちお店へと進む。 ビルの二階にあるお店にたどり着き、扉を開き中に入れば 人懐っこい笑顔の氏がカウンターの中で出迎えてくれた。 開店直後ということで勿論他にゲストはいなかったが、良いバーとはこうした口開けに利用するのが一番良いと思う。 まだ凛とした空気に包まれた店内、その微かなバーマンの緊張感を感じながら、私も背筋を伸ばして…… オーセンティックなバーは、こうした「駆け引き」がお店の雰囲気を作り上げていくのだと思う。 とはいえ 氏とは公にも私的にもわずかだが関わりがあり、最初から砕けた挨拶から始まった。 先ずはファーストドリンクだ。 私はジントニック、しかしトニックウォーターだけではなくソーダも加えて、とリクエスト。 妻はハンドルを握ってもらっているので、何かノンアルコールのカクテルを、とお願いした。 良いバーマンは たとえジントニックにでさえ拘りを持って製作するものだ。 その手法の一挙手一投足を見つめていると、氏がいかに優れたバーマンかが解る。 何も言わなくても完璧に私が「こうやってくれたら…」と考え求めている手法通りに製作してくれたジントニック。 ただのジントニックとはひと味もふた味も違う出来映えに言葉に出来ない満足感に包まれる。 妻のお任せには私に歩調を合わせるかのようにノンアルコールのジンをベースにしたカクテルを調合してもらった。 昨今のアルコール離れは顕著なようだ。 ついにノンアルコールのジンまで…… と思ったが、参考までに妻のカクテルを少しテイスティングしたところ、しっかりとジンの味、風味がするではないか。 ちょっとした驚きと、こうした飲料を同時にトレンドとして取り入れないといけないのか…… やれやれ、バーマンも受難な時代なのかもしれない。 その後は私だけがビターをソーダ割りにした物を頂いたが、その間にも男性1人、女性1人のニューゲストが来店し、まだ早い時間帯なのにも関わらず氏の人気ぶりが伺えた。 野球観戦の時間が迫っていたこともあり、頃合いが良いと思い会計を済ませたが、氏は扉まで見送ってくれた。 やはり経験が人を成長させる。 以前より人望の厚い氏ではあったが、最近はめっきり貫禄も備わってきたように思う。 このままこの地方を代表するバーマンになっていって欲しいものだ。
2023/05訪問
1回
今日は親しくしている友人達との忘年会がある日だ。 そこで会場となるお店から程近い場所にあるコチラ「Kreis」さんに伺って、オーナーバーテンダーである田原氏にご挨拶を兼ねてアペリティフを頂くことにした。 氏とはもう長い付き合いになる。 およそ30年以上は経過しているのかな…。 互いに切磋琢磨していた頃が懐かしい。 その頃から私は氏のバーテンダーとしての資質は勿論、温厚な人柄にも敬意を表していた。 久しぶりの再会だ。 「変わらないね……」 と言いたいところだが、お互いに年齢を重ねた事が、ルックスにも、言葉使いにも表れている。 手間をかけてはいけない。 最初の一杯は簡単なロングカクテルを所望した。 「トムコリンズ」を頂こう。 もう幾度となく拝見した、氏の流れるような所作から作られるカクテル。 「 ……旨い。」 思わず そう呟かずにはいられなかった。 お互いに「目が見えなくなってきてしまって…」等々の話をしていると、私達はすっかり爺ィになったなぁ…と思う。 氏は近年、名古屋駅の西口辺りに もう1つの店舗を開業したが、それだけ長く愛する顧客に恵まれていたからだろう。 そうしたお店を任す事が出来る御弟子さんがいらっしゃるのも、氏の人柄やバーテンダーとしての尊敬を集める事が出来ているからだ。 ますますの繁盛をお祈りしておりますよ。 そして また… ふらりと… 覗かせて頂きますね。 その時はお互い「まだまだだよね」と言えたらいいな……。 私自身が驚いている。 コチラのお店には もう何度も来ているのに、食べログには一度もレビューをしていなかったことに。 オーナーバーテンダーの田原氏とは随分前からのお付き合いだ。 まだ私が若い頃、氏と共に出場した創作カクテルのコンペティションの全国大会が縁となって現在に至っている。 私もバーテンダーという仕事が好きだったのだが、勤め先の都合でバーばかりではなく レストランやラウンジ、バンケットと総合的なスキルを求められたので……。 こうして 長くお店を続けていらっしゃる田原氏が、様々な苦労もあったとは思っているが それを羨ましく思うこともある。 マイレビュアーの女性に「名古屋で女性1人で利用できるカジュアルなお店を…」と聞かれ、決してカジュアルとは言えないかもしれないが、真っ先に思い浮かべたのはコチラだった。 この日は電話することもなく、ふらりと訪問した為、田原氏とはニアミスになってしまったが、せっかく訪問したのだ。 若いお弟子さん達にカクテルを作って頂こう。 氏のお弟子さん達もなかなかの腕達者のようで、カクテルのコンペティションでも優秀な成績を修めていらっしゃるらしい。 そんなことで、ディナーでしっかりとした料理を頂いてきた後なので、私の好きな「アラスカ」を調合してもらった。 間違いなく美味しいカクテルを提供して頂き、このお店のバーテンダーの皆さんのスキルの高さを感じることができた。 氏のご尊顔を拝することができなかったことは残念だったが、これが最後ではない。 「宜しくお伝えください」と名刺を預け、お店を後にした。
2025/12訪問
2回
さぁこの旅行のメインイベント! 楽しみにしていた宿泊したセルリアンタワー東急ホテルのメインダイニング「タワーズレストラン クーカーニョ」でのディナーに向かった。 今までランチで二度三度利用したことはあったが、ディナーでは初めて。期待が高まる。 ドレスアップした妻をエスコートして最上階のレストランのエントランスへ。窓際のテーブルに案内されてさんざん部屋でウェルカムのシャンパンのボトルのほとんどを飲んで来たのにも関わらず先ずはシャンパンをグラスで頂きながら改めて今夜のメニューに目を通す。 魚料理は妻がオマール海老を、私はレストランが誇る伝統的なスペシャリティの「ブイヤベース」をチョイス。 メインはシャラン産の鴨胸肉(二人様より)を選んだ。 アミューズを楽しんでいると、そのブイヤベースで使用する魚介類のプレゼンテーションがあり、ホウボウやイシモチ、ハタなどが今夜の食材として提供されるようだ。 ソムリエールに赤ワイン好きな妻の為にあらかじめ選んだ今夜のワイン「シャトーコスデストゥルネルの1997年」のサーブをお願いする。 相談した結果、デキャンタージュしてもらうことに。 想像した以上に良い状態で楽しめそうだ。 次々に供される料理は季節感を演出しており、前菜の国産の松茸、スープのトリュフを共にふんだんに。メインにはセップ茸をガロニチュールに添えて各国のキノコを楽しませていた。 特にブイヤベースは秀逸で、演出、味共に申し分なく、オマールや鴨も火加減が絶妙であった。これ以上でも駄目、これ以下でも駄目というギリギリを見極めているから素材の良さを引き出せるのだと思う。 フロマージュのアシェットを楽しんで、妻が心待ちしていたデザートを。 これまた日本の秋を演出する内容で、最後まで楽しむことができた。
1回
この日、沼津のフレンチレストランで久しぶりに感動する料理を頂く事が出来た、その後。 その高ぶる気持ちを鎮める為にも どこか静かなバーで心を落ち着かせたかった。 宿泊するホテルを三島で取っていた私達夫婦。 妻はこの日が朝が早かった事もあり、「料理もお酒も十分楽しんだから…先にホテルの部屋に戻るから貴方だけで行ってらっしゃい」と。 初めての街でもあり、土地勘も無いのでタクシーを利用してお店に向かった。 それが正解。 運転手さんに「着きましたよ」と促されたが、「どこに連れて来られたんだろう…」と思える程、閑静な住宅街で降ろされた。 周りには飲食店らしき看板も、建物も何も無い。 しかし地図アプリを開いても確かにこの辺りだ。 ふと横を見ると、1軒の住宅の脇にアプローチが伸びている。 その途中に掲げてあるエンブレムを見つけ、ようやくここが「BAR YUMOTO」さんである事が理解出来た。 これは解り辛かった。 おそらくタクシーで連れて来てもらわないと、夜の暗がりのなか、初めての訪問客がお店を探すのは かなり難しかろうと思った。 まさに「スピークイージー」だ。 アプローチを進むと重厚な雰囲気の扉が。 何か大きな金庫にでも使われていたかのような、入り口用としての造りとは思えない扉を開いた。 店内の雰囲気は期待通りのオーセンティックなバーで、先客も1組だけだった。 それもまた期待した通り。 静かな雰囲気で、ゆっくりと心を落ち着かせたかった。 バックバーには様々なボトルが列び、ちょうど私の席の正面には季節のフルーツを使用するカクテルの紹介も。 さて、何から頂こう……。 暫くして女性のバーテンダーが注文を聞きに来てくれる。 フレンチレストランでの食後だ。 何かマールやグラッパのようなハードリカーを…と考えていたが、正面のボードに記された「せせらぎモヒート」の文字が気になった。 ミントには鎮静効果があり、「せせらぎ」の意味を尋ねたところ、「この辺りを流れるせせらぎの岸辺に自生しているミントを使用しているので…」との説明を受けた。 面白そうだ。 最初は そのモヒートから始めよう…。 せせらぎの岸辺に自生している、という葉をピンと伸ばしたミントは元気が良く、早朝から活動し少々疲れ気味の私の背筋も伸ばしてくれる。 さて、次は何にしようかな……と考えていると、お店のマスターバーテンダーが話かけてくれた。 食後に向く、ハードリカーかリキュールを所望したい旨を伝えると、まさに秘蔵と言える1本を私の目の前に置いた。 マールだ。 手書きされたエチケットを汚さないよう、丁寧にラップまでが巻かれている。 「ちょっと珍しいんです…」と紹介されたそのマールは、瓶の中にニガヨモギが詰められていた。 あの「アブサン」の主成分になる薬草で、強い個性を発揮する。 はたしてどんな味わいだろうか…。 俄然興味が湧いてきた私。迷わず「これを頂きます」。 スニフターに注がれたマール。 先ずは香りを聞いてみる。 ニガヨモギ、八角(スターアニス)を強く感じるが、練れているからかアルコールの刺激は想像したより感じない。 なるほど。コレは珍しく貴重なマールだ。 このボトルから端を発し、マスターと様々な会話を楽しみながらマールを頂いた。 しかしホテルの部屋には妻を待たせている。 必要以上の長居は妻にも、お店に対しても禁物だ。 最後の1杯を何か頂こう。 「日本の人は、まだまだこういう酒を飲む人が少ないですね」 というマスターの言葉に応えるかのように、私のナイトキャップは「シャルトリューズ ヴェール V.E.P.」にしよう。 最近、他のバーではあまり見かけなくなっていたV.E.P.だが、マスターによると、日本以外の諸国で引く手あまたの状態で、逆に日本はあまり需要が無いので 入手することが困難な状況だと言う。 そう聞いては益々飲みたくなった。 最初はシングルの量の半分程をストレートで。 残り半分はマスターにわがままを聞いて頂き、ジンと合わせたカクテル「グリーンアラスカ」にしてもらった。 ストレートで、カクテルで、シャルトリューズ ヴェール V.E.P.を満喫させてもらい、フィニッシュとした。 タクシーを呼んでもらい、ホテルに戻るまで見送って頂いた。 いやぁ、三島、素晴らしい街だ。 良い街には良いバーがある。 三島で夜を過ごすなら迷わずコチラだろう。
2025/06訪問
1回
妻が企画してくれた私へのご褒美旅。 大好きな沖縄へ旅行に出掛けた。 今回の目的の1つは、長年会うことのなかった旧友に会う為だった。 もう四半世紀以上前になるその旧友とは職場を通じて知り合い、共に公私に渡って深い付き合いがあった。 その旧友が自身の出身地である沖縄県の沖縄市に帰ることになった時は、私も人事異動などの都合で まともに挨拶もする余裕もなく、「またいつか会えるさ…」と、気楽に考えてしまったまま、今日に至ってしまったのだ。 その旧友のことを思い出したのが、たまたま閲覧していた見ず知らずの人のFacebookの投稿だった。 「似ている。間違いない。頭髪が真っ白になっていても…」 にこやかにグラスを傾けた写真を見ていたら、なんだか無性に会いたくなったのだ。 彼のお店は沖縄市にある。 最初はそちらを訪ねようと思っていたが、お店は現在改装中との事。 しかし 頑張っている彼は、最近オープンした北谷町のホテルがあるのだが、その最上階にテナントとして入居し、 もう一店舗バーを経営しており、改装中はそちらにいる"^>^と。 私としては 彼に会えるならどちらでも良かったので、この日は この北谷町のホテルのバーに伺うことにした。 そのホテルは新しい匂いがしていた。 レンタカーを停めようとしたが、宿泊者専用の駐車スペースなどがあり、ちょっとわかりづらい。 一階の飲食店もあるロビーに、彼のバーのポップもあり、それが最上階にあるお店への案内になっている。 それに従いエレベーターに乗る。 なんだか緊張したのは何故だろう…… 最上階に到着したエレベーターを降り、右手に進むと そこがバーの入り口だ。 それほどではないはずなのに、重いと感じてしまった扉を開けると、Facebookの投稿で見た、頭髪を真っ白にした彼がいた。 私と一緒に仕事に、プライベートに、共に切磋琢磨しながらも楽しい時間を共有しながらバカ騒ぎしてきた友は、すっかり大人になっており、そんな落ち着いた表情で、まだまだガキっぽい私を出迎えてくれた。 先ずは お店を案内してもらった。 ホテルには最上階にインフィニティープールがあり、彼のお店は そのプールサイドバーとしての機能も兼ね備えているようだ。 そのプールサイドからのロケーションは素晴らしく、日にちによっては花火の観賞もできる日があるようだ。 勿論、店内のバーも素晴らしい。 カウンター席に座っても、北谷の町並みが美しく見える。 妻を連れて来ていたので、話のしやすいテーブル席に腰掛け、ジントニックを飲みながら 昔話や現在の話をたくさんした。 「ちょうどコロナの頃に……」と、様々な苦労も乗り越えて頑張っている彼を頼もしくも羨ましくも思い、お店を出た。 会えて良かったよ、○○君。 これからも元気でいてくださいね。 そしてお店の益々の発展を祈っていますよ。
2024/05訪問
1回
入籍記念日の夜、素晴らしいレストランで食事を頂いた。 その余韻を楽しむ為、まだ家には戻りたくない。 もう少し どこか良い雰囲気のバーはないかな… と、探したところ、コチラを見つけた。 初めて伺うバーだ。 今夜の私達の気分に寄り添ってくれるなら良いが…。 レストランから徒歩で数分の場所に、僅かな光が見える。 そこがお店だった。 入り口から窓もガラス仕様になっており、そこから見える限りゲストは誰もいない。 「大丈夫かなぁ…」と思いながらも、今更他を探すのも いかがなものか。 半ば「えいっ!」という気分で扉を開けた。 店主にご挨拶をし、カウンターの一番奥の席に腰をおろす。 バックバーはシンプルだ。 が、気になったのは、カウンターの中央にサイフォンが置いてある。 もしや…と思いながら店主に 「アイリッシュコーヒーが飲みたいのですが…」と伺ったところ、ニコリと「大丈夫です」と。 カウンターの端には小さな黒板があり、各種フルーツの記載がある。 どうやらフルーツを使用したカクテルがお勧めのようだ。 妻は その中から「有田みかん」を使用したカクテルを飲みたい、とお願いすることに。 まずは妻のカクテルから。 フレッシュな絞りたての有田みかんの風味を活かした、優しい酸味と甘味の爽やかなカクテルだ。 あまり他の副材料を使わず、あえてシンプルなレシピに仕上げた、有田みかんの良さを引き出している。 「とっても美味しい!」と妻も満足そうだ。 私のアイリッシュコーヒーに取りかかって頂く番だ。 一旦 裏に下がり、コーヒー豆を曳く音が聞こえてくる。 それを持ち寄り、カウンター中央に置かれたサイフォンで丁寧にコーヒーを淹れる。 その間、スニフターグラスに注がれたアイリッシュウィスキーを、サイフォンに使っていた炎で温めている。 こんなに丁寧に作られるアイリッシュコーヒーは初めてだ。 やがて温められたウィスキーは炎を纏う。 アルコールが燃えて出来る美しい青い炎が、高い位置からカップめがけて注がれる。 アイリッシュコーヒーのサーヴとしては見事と言う他ない。 しばし見とれていると、今度はそのカップに淹れたての香り高いコーヒーが注がれ、更に目の前でホイップされた生クリームとシュガーが仕上げに加えられた。 こうして提供されたアイリッシュコーヒー。 パッと見ただけではウィンナーコーヒーのようだ。 飲み方も上澄みのクリームを抑え気味に その下にあるコーヒーを啜るのだろう。 そこまでは普通のアイリッシュコーヒーと同じだ。 しかし曳きたての豆を使い、サイフォンで丁寧に淹れたコーヒーと、加熱し、温められ、アルコールの成分が飛んだアイリッシュウィスキーの香りと味わい、そこに加えられるクリームの円やかさ、シュガーの甘味…… これ等が渾然一体となって舌を、鼻腔を、喉越しを、胃袋を、心を…… まさに五感の全てに訴えかけてくるのだ! 先程のレストランでとても満足する食事をしたが、まさかの続編が待っていたとは……。 なんと素敵な夜だろう!! 夫婦共に満たされた記念日になった。 ありがとうございました。
2024/02訪問
1回
久しぶりに先輩社員だった方のお店に妻と一緒に伺った。 この日は名古屋マリオットアソシアホテルのメインダイニング「ミクニ ナゴヤ」て三國清三シェフの美食会があり、夫婦二人で出席した帰りだった。 ディナーの後は自宅には戻らずに、栄にある東急ホテルに宿泊することにしていたので その後はコチラにも訪問して 先輩に妻を紹介しておきたかったこともあった。 普段ならフレンチの食後にバーを利用する際は、マールやグラッパ、それにシャルトリューズのようなリキュールを飲むのだが、この日は軽くパスティスを。 先輩は「ぺルノーしかないけど いい?」と 気をつかってくれるので「もちろんです。」と。 「水割りで?」 「はい。」 正直、オンザロックの気分だったが、先輩に遠慮している自分がいる。 妻にはモスコミュールを作って頂いた。 しばらく昔話に花を咲かせたが、他のお客さんが入って来た。 ご繁盛のようだ。我が事のように嬉しくなる。 もう1杯だけ頂いたら帰ろう。 軽くジンをソーダとトニックウォーターで割って頂こう。 忙しいなか、その後もタイミングをみては構いに来てくれた先輩にお礼を申し上げ、会計を済ませて店を出た。 先輩、ごちそうさまでした。ますますのご活躍をお祈りしていますね。 しばらくご無沙汰していた、私の先輩バーテンダーにあたる 土岐昌一さんが、昨年ホテルを退職して始められたお店だ。 氏は長きに渡りH.B.A.(ホテルバーメンズ協会)という組織の東海支部において支部長を歴任された方で、バーテンダーとしての知識、技量は勿論のこと、その温厚かつ冷静さが魅力の優秀な人物として尊敬している。 開店してから随分と時間をやり過ごしてしまったが、私なりに 土岐さんはファンの多い方なので、私のような者が伺ってもかえって邪魔になる、と思っていたからだ。 ようやくこの日、初の訪問が出来て嬉しかった。 相変わらず飄々とした所作、語り口は変わらないままだ。 世話をかかせては… と、この日はジントニックとモヒートだけにしておいたが、次回はもう少し腰を据えて飲みにこよう。 それまでお元気で。ご繁盛をお祈りしております……。
2022/12訪問
2回
金沢での2日目の夜、その3軒目がコチラ 「バー スプーン」さんだ。 コチラに伺う前に、既に2軒で下地は十分出来ていたが、やはりお店の前の通路に脚を踏み入れると、自然と背筋が伸びる。 ジェントルマンのマスター・細田氏の前では乱れた姿をさらけ出す訳にはいかない。 氏の造り出すカクテル1杯1杯には、常に真摯に向き合いたいのだ。 時計は18時を少し廻っていた。 食べログ友達の「背の高いサンタ」さんとの会食の待ち合わせ時間までは まだ1時間程ある。 扉を開く。 まだ先客は誰もいなかった。 いつものようにカウンターの中には笑顔で迎えてくれるマスターが。 「いかがいたしましょう」 「実はコチラに伺う前に少し飲んで来てしまって… 少々キックがあるジンベースのカクテルから始めたいのですが」 少しお考えになられてから「ではネグローニはいかがですか?」と。 「いいですね。それではヴェルモットはスイートではなくドライヴェルモットでお願いします」 こんなやり取りから始まった。 マスターとの話はとても楽しい。 ついつい酒も進んでしまう。 ネグローニのグラスはあっという間に空に。 2杯目にはこの先の予定を説明し「人との会食前に泥酔する訳にはいかないので…」何か軽めの物を…と相談。 「ウンダーベルグのソーダ割りにしますか?」と。 「いいですねぇ、ビターソーダ。それにします」 楽しい酒席は時間を忘れさせる。 お調子者の私、「最後に…」と自らのリクエストでお願いしたカクテル「ダイキリ」を。 滑らかなシェイキングからカクテルグラスに注がれるダイキリ。 ハードシェイクではない、流れるような所作に見惚れる。 長年培ってきた技だけが醸し出すオーラを感じる瞬間だ。 時計に目を落とすと もうすぐ約束した時間が迫っていた。 グラスのカクテルを飲み干し、マスターにお礼と また次の訪問を約束してお店を離れた。 ご馳走様でした。 いつまでもお元気で。 金沢のバーでは「三本の指」に入っていると思える名店。 それがコチラ「スプーン」さんだ。 私にはお店が入っているビルの入り口からわずか数メートル先の扉を開くまでの距離が、時間が、非日常の異空間へと繋がるように思える。 先程まで職場の仲間達と大はしゃぎながら飲み、語らい、気持ちを躍らせた時間から わずか数分後の今、私は再び背筋を伸ばし、その扉を開けた。 そこには先客の楽しげな会話も響くなか、やはり凛とした空気が満ちていた。 マスターの笑顔でのお迎えが、そんな微かな緊張感を取り除いてくれる。 まだ先程までの高揚感が修まらない。 そんな気持ちを先ずは押し静めたいと注文したのは、マスターに相談して決めた「モエ・シャンドンのマール」だ。 同社のシャンパーニュを作る際に絞るピノ・ノワールを再利用して蒸留する、いわば「カスとり」ブランデーだ。 イタリアのグラッパもこれと同じようなものだが、いずれもディジェスティフとして私が愛飲するものだ。 ゆっくり… そう、ゆっくりでいい。 先ずは心を静めよう。 そしてこの名店の醸し出す雰囲気に酔いしれよう。 そんなことを思いながら改めてバックバーを見渡すと、そこに珍しいボトルを見つけた。 オランダのBOLS 社の「ゴールドリキュール バレリーナボトル」だ。 あまりの懐かしさにマスターにボトルを見せて欲しいとお願いする。 このボトルの中には大量の金箔が入っており、ボトルを振ってみると中の金箔が紙吹雪の如く舞い上がり、そこをネジを巻いたバレリーナが周り踊る仕掛けになっているのだ。 昔はこんな個性的なボトルがいろいろあったなぁ……。 哺乳瓶の型をしたアルマニャックもあった。 最近の酒のボトルには「遊び心」がなくなってしまったように思える。 それだけメーカーが、世の中が、余裕がなくなってしまったのかもしれない……。 「ネジが壊れてしまい、バレリーナは踊れないんですよ」 マスターの言葉が そう教えてくれているようだ。 さぁ、先の宴でも沢山のお酒を頂いたのだ。 最後の一杯で楽しかった今夜を締めくくろう。 最後に私が選び、お願いしたカクテル「Between the seat (寝床に入って)」で。 いつも感心させられるのだが、優れたバーマンは こんな個性的で、しかも他客がめったに注文しないようなスタンダードカクテルでも いとも容易く仕上げてしまう。 慣れないバーマンや、基本を大切にせず、オリジナルカクテルばかりを熱心に創作し、スタンダードを疎かにしているバーマンでは こうはいかない。 この懐の深さ。 バーマンとしての知識、技量以外にも これまでの人生経験、お店を通じての様々な人達との繋がり、出来事…。 そういった全てが この名店の持つ雰囲気を醸し出しているのだろう。 マスター。 私が金沢の地を再び訪れる時まで どうかお元気で。 金沢でお気に入りのバーを開拓した。 が、そちら一択ではまだまだ金沢の夜の懐の深さを知るには至らない。 まだまだ素敵なバーはあるはずだ。 そこで食べログの諸兄のレビュー写真を参考に、コチラに伺うことにしてみた。 夕食を頂いたお店から歩くこと15~20分程度でお店に到着したように思えたが、この日は結構な冷え込みで、最初のお店の酔いはすぐに吹き飛んでしまった。 そんな寒さに身を縮めながら扉を開ける。 オーセンティックな、老舗のバー独特の雰囲気を湛えたお店だ。 初老と言っては失礼か。しかし背筋の真っ直ぐ伸びた、穏やかな笑顔のマスターが「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる。 生意気だが、そのファーストコンタクトだけで 私にはコチラのお店は一流だと解った。 それほどまでに年季の入ったバーマンには一朝一夕にはなれるものではない。 醸し出す雰囲気、自然な表情……。 どれひとつ完璧だ。 長くお店を、バーマンを続けてきた人だけが幾度かの経験を重ねて初めて得ることのできるものだ。 最初の飲み物には何か温かくなる物がいいな……。 マスターに「ホットバタードラムを。」所望した。 バックバーからキューバンラムを取り出し、慣れた所作で提供されたカクテル。 とりわけ難しい技術は必要ないように思われるが、使用するラムの銘柄、グラス、バターの量とその銘柄、シュガーの量、お湯の温度…… 僅かな事ではあるが、優れたバーマンにはそんな些細な事にもこだわりがあるものだ。 真冬のような時期ではないが、そうした外気温の違いにも配慮した1杯が届けられた。 ……美味しい。 冷えた身体を優しく包み込んでくれるようなカクテルだ。 すっかり鋭気を取り戻した私。 次なる1杯は何にしようか……。 そうだ。テキーラにしようか。 金沢でお気に入りになったバーのマスターが、ちょっと珍しいテキーラを飲ませてくれたっけ…。 コチラではどんな銘柄を勧めてくれるのだろう…。 さっそくマスターにテキーラを所望する。 「どのように召し上がられますか?」と問われ、クラッシュアイスを詰めたグラスに注いでください、と。 マスター、しばらく間を置いた後 1本のボトルを取り出し、「メスカルですがコチラでいかがですか?」 優れたバーマンの勧めだ。逆らうはずもない。 では、と頂いたメスカルは、なるほどテキーラほどの洗練された感は無いが、僅かながらアガベの粗野な、武骨な風合いを漂わせている。 「よかったらコチラもご一緒に。」と差し出されたグラスは、マスターが「ストレートで飲むとよりわかりやすいですよ」と勧めてくれた物だ。 こうした配慮もさすがと思わせる。 楽しい。が、しかし どこか凛とした雰囲気がお店の風格を感じさせる。 散々酔った後に利用することなどあってはならない。 そんな素晴らしいバーだ。
2025/07訪問
3回
高山への旅、2日目。 高山のフレンチの名店「Le Midi」さんで食事をした後は コチラに赴くことがお約束の流れになった。 私が高山ではNo.1のバーだと思っている「ラビットホール」さんだ。 このお店のご主人(それと奥様)はとてもアブサンに造詣が深い方で、そのコレクションには驚愕に値する。 一度、ご自宅にお招き頂いた時には 「世界にはこんなにもいろんなアブサン(パスティス)があるのか……」 と、自分の無知を恥ずかしく思った程だ。 勿論カクテルも美味しいし、料理も美味しい。 しかし私の目的は1にも2にもアブサンカクテルだ。 アブサンファウンテンという器材を使用するのだが、このアブサンファウンテン自体を諸兄はご存知だろうか? ファウンテン(泉)のごとく数ヶ所の蛇口があり、その蛇口の下にアブサンを染み込ませたキューブシュガーに火をつけたグラスを用意する。 アルコールの青い炎がついたキューブシュガーめがけて雫を落とす。 好みの分量になったら雫を止め、グラスに氷を入れてアブサンカクテルの完成だ。 アブサンの多くはアルコール度数が50度を越える故に中毒性があり、フランスでは過去に販売中止になった事も。 そんなキックの効いたカクテルだから、食前に飲む人もいるだろうが、私にはアフターディナーのお気に入りの1杯として頂いている。 しかしこの日もアブサンの話に花が咲き、いつしか3杯も頂いてしまった……。 私を虜にする。 そんなお店であり、アブサン(パスティス)達なのだ。 前回の初めての訪問の際、とてもお世話になったご主人が営む素晴らしいバー。 今回も「高山に来たら夜の最後の締めくくりはコチラで」、と決めてしまう程素敵なお店だ。 この日の高山はG.W.明けということもあってか、乱暴な言葉で表現するとまるでゴーストタウンのような、お店も臨時休業、人通りもない状態。 そんな中にあってコチラのバーだけが満席で、今回も1人だけだったのでなんとかカウンターの端に入れてもらった次第。 アミューズは前回同様手作りの物やフルーツ等が3種類。 どれも美味しい。 ドリンクは勿論アブサンだ。 今回もアブサンファウンテンを用いて水割りにしてもらった。 ぺルノーやリカールといった代表的なパスティスぐらいしか飲んだことのない私にとって、コチラのコレクションはまさに「目から鱗が落ちる」思いだ。 この日は前回の訪問時以上にお店にお客さんが来店してきたので、ご主人とゆっくりお話を楽しめるような状況ではないと判断して、「また今度ゆっくりさせて頂きます」と言ってお店を離れた。 外に出ると街は相変わらず人通りもなく寂しい。 まるでこのバーだけが別世界のように思えてしまった…。 妻と春の高山を訪れる旅⑪ この高山の旅、最大の喜びと驚き、感激に出逢える事になったお店をご紹介したい。 私がこのお店を知るきっかけになったこと。それは食べログでの紹介の書き込みがまだ少ないコチラで、投稿者の写真を見たのだ。 「これは?…… アブサンファウンテンか?……」 投稿者の写真と、アブサンファウンテンの記載はあったが飲んではいらっしゃらないようなので…。 私も知ってはいたが、実物は見たことがなく、勿論飲んだこともない。 ひたすらアブサンファウンテンだけに興味を引かれたのが訪問のきっかけだった。 日中、街を散策途中にお店の場所を確認したら、開店前の店内に美しい女性と小さなお子さんが。 お店の感じからコチラで間違いないのだが……。 「コチラはバーですよね? 今夜は営業されますか?」と声をかけたら、奥に居るのであろうご主人とおぼしき人に聞いてくれている。 すぐにご主人が現れてくれ、営業していることと、 「よかったらお席もお取りしておきましょうか?」と。 訪問するなら21時ぐらいになりそうで、予約までは申し訳ないと思ったのだが、「ではお待ちしております」とのご好意をむげに断ることもない。 さて、夜も深まり私も妻も先の二軒でご機嫌だ。 ではお待ちかねの「ラビットホール」さんに向かいましょう! お店に着いて扉を開ける。 やはりお昼間と違い、バーの雰囲気に期待値も高まる。 お店は満席に近い。そんな中わざわざ席を空けて待っていてくださったことに感謝を申し上げる。 アルコールがあまり強くない妻はご主人のお任せで何かカクテルを。 私はアブサンファウンテンを使用したカクテルをそれぞれお願いした。 先ずは妻のカクテルから。 ベルガモットのリキュールを使用したカクテルだ。 グラスもセンスの良い物を使用している。 私の番だ。 初めて実物を見て、それを使用したアブサンカクテル。 お店の先客方も見るのが初めての方ばかりのようで、ご主人の手元に皆の注目が集まる。 アブサンスプーンにシュガーを置き、アブサンを浸す。 火が灯される。美しい青い炎が立ち上がる。 そこへアブサンファウンテンからゆっくり… ゆっくりと 落とされる雫…… 皆、儀式を見守るかのような雰囲気だ。 やがてシュガーは溶け去り、白濁したカクテルがグラスを満たす。 香りを聞いてみる。アブサンらしい香りは柔らかく感じる。アルコールの強い刺激はほどよく残っていた。 口に含む。いつものパスティスとは全然違う。 官能的な香りが口内に立ち込める。 旨い…… 久しぶりにアブサンを飲んで旨いと思った。 その後はご主人との話が盛り上がり、なんと翌日ならもう1つの、普段は美人の奥様(やはりお昼にお会いした方は奥様であった)がお店を見ているカフェ&バーに来て下さい、もっといろんなアブサンをご覧頂けます。私も明日、そちらに伺うので、とまでおっしゃって頂いた。 いやはや、今回の高山は充実した旅になりそうだ。 ご主人とは翌日、再びの再会を約束してこの日は宿泊先のホテルに向かった。
2023/01訪問
3回
夕食に寿司店でコース料理を頂いた、その後。 特に不満は無かったが、何か満足できた訳でも無く、こんなモヤモヤした気分では帰りたくない。 そんな気分をスッキリさせてもらうには、素晴らしいバーに行き、〆てもらうのが一番だ。 「エストマーレ」さん。 名古屋マリオットアソシアホテルのメインバーだ。 いつでも、どちらのお店でもそうだが、こうしたオーセンティックなバーに行く時には背筋が伸びる。 決して乱れる行為、言動は出来ない、紳士・淑女だけが許される… そんな場所だからだ。 この日も最初のアペリティフを頂いたワインバーから寿司店でも日本酒を楽しんだが、入り口の扉の前では一瞬酔いが醒めたような感覚になっていた。 カウンターの中央辺りの席へと案内してもらった。 バックバーに並んだ様々なボトルには埃1つ無い。 良いバーには別の意味での「良い空気」が溢れているものだ。 丁寧なご挨拶と共にファーストドリンクを尋ねられる。 ならば… と、私が大好きな「YOKOHAMA 」から入ろう。 最初の1杯を調合するバーテンダーの所作は、流れるようであり、無駄が無く、まるでこれから素晴らしい時間が始まる為の儀式のようだ。 やがて私の前に差し出された美しい色合いのカクテル。 それは童謡の「赤い靴 履いてた 女の子……」というフレーズを思い起こさせる色だ。 もう1杯頂こう。 先程来、モヤモヤした気分を晴らしてくれそうなカクテルを。 バーテンダーの人に、そんな私の気分を 好みの味わいに仕上げてもらうべく「こんな感じのカクテルを…」と伝えると、その私の心を見抜いたような素晴らしいカクテルを即興で作成してくれた。 あぁ、スッキリした。 やはりバーはいい。 また明日から… そんな気分にさせて頂いた。 ありがとう。ご馳走様でした。 名古屋駅の駅ビルに名古屋マリオットアソシアホテルがあり、 そのホテルのメインバーがコチラの「エストマーレ」さん。 娘と夕食前の待ち合わせをして、アペリティフを頂こう。 重厚さを感じる設えは、一流ホテルのメインバーに相応しい。 バーテンダーの方々も知識、技術、接客もしっかりしており、とても素敵なバーである。 この日は私が「ネグローニ」をヴェルモットをドライな物に変えてもらい作って頂いた物を。 娘は「モヒート」を注文した。 知人でもあるコチラのマネージャーに、ホテルの開業の周年記念にブレンドしてもらいました、という「イチローモルト」を勧めて頂き、大変美味しくいただきました。 ありがとうございました。
2025/03訪問
2回
伏見界隈で飲み、途中寄り道してラーメンを食べた後、コチラに伺った。 「ヨシノ バー」さん。 オーナーの高野氏と私は実は旧知の仲である。 まだコチラが移転前、中区の栄4丁目の「愛旅連ビル」にあった頃、高野氏と私は度々バーテンダーのオリジナルカクテルを競うコンペティションの全国大会で一緒に選手として出場したが、それ以来の知り合いだ。 (と言っても30年程前の話だが w) 最近、すっかりご無沙汰してしまっていたが、当時の氏はずいぶんとイケメンで、女性にもファンの方々が大勢いらっしゃったのではなかろうかw もちろんバーテンダーとしての知識、技術も卓越しており、当時から名古屋の町場のバーのトップバーテンダーとして名を馳せていらっしゃる存在だった。 そんな憧れの先輩バーテンダーの氏だったが、今もまだ変わらずお元気でいらっしゃるだろうか。 そう思い出したら、おのずと脚はお店の方に向かっていた……。 移転先は名古屋有数のビジネス街で、この日はちょうど日曜日とあって街中は閑散としていた。 が、情報によると最近 日曜日も営業を始めた、としてある。 集客が見込み辛い曜日にも営業を始めたのは?… オフィス街の一角にあるお店は 目立つ看板も無く、ビルの2F.にあるので少々解り辛い。 階段を上がると、ビルの外観の雰囲気そのままの防火用の殺風景な扉は開いたままにしてあるのだが、まるで その扉が結界の如く雰囲気は一変する。 ビルの外観からは想像出来なかった重厚な扉が、この先に進む者に「背筋を伸ばし、賢者であれ」と騙りかけてくるようだ。 なるほど、日曜日だからといって閑散となどはしていない。 むしろバーとしてのピークタイムを迎える時間帯ならではの雰囲気を感じる。 幸いカウンターの1席が空いており、そこに腰をおろす事が出来た。 更にラッキーなことに、最近始めた日曜日だけの期間限定サービスとして「よろしければ最初は…」と、お店伝統の手法による「氷を入れないハイボール」を無料のサービスとしてウェルカムドリンク的に提供してもらえた。 私がまだ若く、習いたての頃の当時の老舗のバーでは、ハイボールという文言を使うゲストは少数派で、「ハウススコッチのソーダ割り」と言うゲストが多数派だった。 更にハウススコッチは「ホワイトラベル(スタンダードのデュワーズの事)」を指し、ソーダも「ウィルキンソンの瓶入り」を使用する事が拘り、という時代でもあった。 私も若い頃ゲストに「ホワイトラベル。ソーダで」という言われ方をされると、それは自動的に上記の手法で提供する事を言い、「あぁ、この人はこういうところ(バー)に来慣れている人だな…」と思ったものだ。 話が逸れたが、やはり使用するスコッチは そのデュワーズは冷凍庫内で保存してあり、ソーダも勿論ウィルキンソンの瓶入り、加えてグラスも6oz.程のタンブラーをキンキンに凍らせてある。 そこにホワイトラベルを注いでから、ウィルキンソンを丁寧になみなみと注ぎ入れる。 私はこの手法が好きだ。 自宅でも職場でも、私がハイボールを作る時はバースプーンやマドラーは使わない。 ウィルキンソンの瓶入りは、力強い反面デリケートだ。 マドラー等で混ぜてしまっては、そのデリケートな炭酸が「逃げて」しまう。 故に私はグラスの中に入れた氷の隙間を探し、そこにウィルキンソンを注ぐようにしている。 するとウィルキンソンの力強さが、混ぜなくても自身がアルコールと混ざり合いながら泡が自然に押し上げてくれるからだ。 ヨシノ バーさんの「氷を入れないハイボール」は、まさに その究極の姿であり、私の理想のスタイルだ。 その美味しいハイボールを頂いた後は、食後でもあり少々キックの効いたカクテルを。 「ネグローニ」を私スタイルでお願いした。 「私スタイルのネグローニ」とは、スイートヴェルモットをドライヴェルモットに代えてもらう事だ。 甘さを抑えた「私のネグローニ」は、ジンの持つ力強さ、カンパリの誘惑的な赤がドライヴェルモットと渾然一体となり、アペリティフにもディジェスティフにも どちらにも向くカクテルになる。 ビールから始まり、日本酒、スコッチのハイボール、カクテル…… さすがに気持ち良くなってきた。 まだ私が かろうじてジェントルマンで居られるうちに最後の1杯で締めくくろう。 「アイリッシュコーヒーは… 出来ますか?」 「はい。ホットもアイスも出来ますが どちらになさいますか?」 素晴らしい! やはりコチラは一流だ。 アイリッシュコーヒーをオンリストしない店が増えてしまったが、定番のホットの他にアイスも出来るとは…。 本来はアンカレッジのような寒い北の空港で、乗り継ぎ便を待つ間に暖を採る為に考案されたカクテルを、逆にアイスで飲むとは ある意味「本末転倒」のような気分ではあるが、これだけ暑い日々が続けば避暑としての「アイスのアイリッシュコーヒー」は十分に「アリ」だろう。 丁寧に作られたアイリッシュコーヒーは、アイスとはいえストローは使わない。 そこは本来の楽しみ方から逸れたくはなかった。 肝心の高野氏との面会はかなわなかったが、お店の皆さんからは元気でいらっしゃる事を聞き、安堵した。 僅かに そこは心残りではあったが、いつかまた再びお会いする事が出来るだろう。 その「イズム」が行き渡ったお店で素晴らしい一時を過ごす事が嬉しかった。 ありがとうございました。またいつか……。
2025/08訪問
1回
この日は旧知の仲であるイタリア人のアコーディオン奏者、アンジェロ・アクィリーニ氏が奏でる音楽を聴きなから食事が出来るレストランの予約をしていた。 そのアンジェロ氏、実はコチラ「名古屋観光ホテル」のラウンジでも、土曜日の夜を中心に度々出演している事は承知はしていた。 そこで「旧知の仲」として もう1人思い出したのが、このホテルのバーマンの京崎氏だ。 今はこのホテルの会員制のバー「マルコ・ポーロ」でチーフバーテンダーとして活躍しているようだが、会員制故に そこに行くには会員になる、もしくは会員の人に同行者として付いて行くしかない。 ならば、と伺ったのがホテルのメインバーであるコチラ「プエルト」さんである。 プエルトにも顔を出す事もあるようで、約束した訳ではなかったが、運良く会えたら嬉しいな…という気持ちで伺ったのだ。 その京崎氏、残念ながらこの日はお休みとの事で、私は名刺の裏にメッセージを記してスタッフのバーテンダー氏にお渡ししておいた。 (しかしコレが過ちだったと 後に気がつくのだが…) 軽くアペリティフを頂くつもりだったので、たまたまホテルのH.P.で目にした企画がちょうど良いと思い、二人共一緒の物でお願いした。 その「Apetime "DUO"」とは、いわゆるハッピーアワーの事で、ドリンク2杯だけなら1700円、選べるアペタイザー(料理)を付けても2100円(いずれも税金・サービス料含む)と、とてもお値打ちな企画なのだ。 二人共アペタイザーを付けた物にして、それをシェアすることに。 ドリンクは私は白ワイン、妻は迷っているようで、私がスタンダードカクテルにアレンジを加えてもらう事をお願いした。 「ホワイトレディー」というスタンダードカクテルを、カクテルグラスにではなくオンザロックのスタイルにして、そこに炭酸で「割る」のではなく「伸ばす」イメージ分を注ぎ入れた。 割ってしまうと本来の姿がボヤけてしまうが、この方法だと本来の骨格を残しながらも炭酸の爽やかさ、アルコール度数が下がる事によって妻のようなアルコール度数が高いカクテルが苦手な人でも美味しく頂く事が出来るのだ。 アペタイザーは「海老のフリット チリソース」と「牛肉の赤ワイン煮込み」にした。 特に「牛肉の赤ワイン煮込み」は、肉が柔らかくなるまで良く煮込まれており、ホテルならではの味わいに仕上がっていた。 これには私達は二人共に2杯目を赤ワインに。 この後、レストランでの夕食を控えているので、ちょうど良いアペリティフとアペタイザーになった。 テーブルチェックでの会計をお願いし 待っていると、差し出された金額はとんでもなく安価な請求になっている。 マズい…… 変に気を使わせてしまった。 名刺ではなくメモを借りて、そこにメッセージを記して渡せば良かった……。 きちんとした支払いをさせて下さい、と願い出たが、「それには…」と固辞され、私達はお礼申し上げ お店を後にした。 予約したレストランに向かう途中、スーベニアショップがあったので、パンを購入した。 せめて少額でもホテルにお金を落として行きたかったからだ。 ありがとうございました。 ご馳走になりました。 吉崎氏にも宜しくお伝え下さいませ。
2025/07訪問
1回
この日はディナーの前にアペリティフを楽しもう。 「サンセットバー スペクトラ」さんでカクテルを頂いてからレストランに向かうことにした。 こんな素敵なホテルに連泊していながら、未だにバーを利用していないなど、通常の私の行動パターンとしてはあり得ない。 和食のレストランでのディナーを頂く前に、妻と共にカウンター席に着いた。 コチラはとても使い勝手の良いスペースで、朝は朝食の待ち合いの場所として。 夕方迄はアフタヌーンティー等も楽しめ、夜は本格的なバーと、様々な顔を見せてくれる場所だ。 ホテルのメインバーにありがちなオーセンティックな雰囲気ではなく、入り口の扉は開け放たれ、店内の様子が容易に窺える、リゾートホテルらしいバーだ。 さっそくリストを拝見しよう。 と、その前に バーテンダーのリコメンデーションを伺ってみよう。 ハワイのハレクラニ伝統のカクテルも勿論良いが、やはり推しはハレクラニ沖縄オリジナルのミクソロジーカクテルだそうだ。 ならば、と妻にはハレクラニクラシックのカクテルを。 私にはハレクラニ沖縄のミクソロジーカクテルを頂くことにした。 パイナップルのフレーバーが爽やかな妻のカクテルは、仕上げにシャンパーニュを用いた華やかさも兼ね備えたもの。 ややアルコールのキックを強く感じるが、ディナーの幕開けにはふさわしいリゾートのバーらしいカクテルだ。 私のミクソロジーカクテルは、やはり手の込んだもの。 様々な工程を経て出来上がった…と思いきや、更なるマジックが。 出来上がったカクテルにカバーを掛け、そこへ管を通してハーブを燃やして発生させた煙を注入する。 充満した燻香がカクテルを包み込み、カバーを開くとまるでアラビアンナイトのマジックのような感じで煙に包まれてカクテルが登場するのだ。 ハーブの燻香に包まれ、更にローズマリー、メスカル(テキーラのような蒸留酒)の香りも交わり、干し葡萄の甘やかさに心が、気持ちが目覚める…。 とても美味しい、最近はめったにカクテルを飲まなくなった私だが、このカクテルはとても美味しいと思った。 夕陽が沈み、夜の帳が降りてくる様を眺めながら酒を楽しむ……。 楽しかった今日を振り返る……。 これから始まる夜にときめきを感じる……。 そんな時間を過ごすにふさわしいバーだ。
2024/11訪問
1回
妻と待ち合わせをしての岡山での旅。 そぼふる雨の中、名勝「後楽園」を散策して一旦ホテルに戻る。 夕食の予約時間を19時にしていたので、ホテルの部屋で小休止の後、どこかのバーでアペリティフでも…と思い、コチラに伺うことにした。 JR岡山駅の駅舎の隣に位置するホテルの最上階にあるコチラのバー。 開店時間を少し過ぎていたが、どうやら私達が口開けの客のようだ。 バーマンがにこやかな笑顔で迎えてくれた。 いつもなら 私はバーを利用するならカウンター席を希望する。 大概バーを利用する時は1人で… ということが多いからだ。 こうして稀に妻を誘うこともあるが、私と違い、妻はお酒にあまり欲が無い。 カクテルなども 専らロングドリンクで、ハードリカーなどは試しに口をつけても「うわぁ!…」と言って その後しかめっ面をする程だ。 そんな妻だが、酒好きな私に無理に付き合ってくれている 。 やっぱり優しい人だ。 その妻には バーのお勧めのカクテルを。 苺を使用した3種類の中から一番美味しそうなロングドリンクを選んだ。 私はと言えば…… バックバーに見たことの無いボトルを見つけた。 なんだろう… 「岡山」とラベルに書いてある。 先程の笑顔が素敵なバーマンに尋ねたところ 「この辺りで作っているクラフトのスピリッツです」 との答えが返ってきた。 なんでもこの辺りの日本酒の酒蔵が製造しているスピリッツだそうで、ジンからヴォッカ、ウィスキーまで作っているそうだ。 最初、想う…… 日本人が洋酒の類い(ワイン、ウィスキー、スピリッツやビールまで)を、それぞれの思い、テロワールを活かした特徴ある酒造りを頑張っている。 それはいい。 それは素晴らしいのだ。 ただ、いただけないのは価格だ。 例えばクラフトビール。 「たまには美味しいビールを…」「たまには贅沢な…」の思いで飲むなら解る。 しかし それは毎日毎日続けて飲める物なのか? 私は自身の興味もあり、また仕事柄 世界の様々なビールを飲む機会に恵まれた。 が。私自身の結論は「一番美味しいビールは日本の大手メーカーが作っているビール」だ。 それは毎日飲める、飲みたくなるビールだ。 しかし他社が頑張って作っているクラフトビールは 果たして毎日飲みたい物なのか?… 価格は毎日支払うことに抵抗なく支払える金額か?… 話はいつものように脱線したが、私はそんな理由で国内でクラフトのスピリッツやビールは旅先でのみ、楽しむことにしている。 その岡山で出逢ったクラフトのスピリッツの中から選んだのはジンだ。 ヴォッカは基本的に「無味・無臭」な物で、なかには「ズブロッカ」のようなヴォッカもあるし、近年ではフレーバードヴォッカも各メーカーから販売されているが、特徴が掴み辛い。 ましてやウィスキーは…… またまた話が脱線するので、それはまた次の機会に。 故に 今回は最もテロワールを感じる事ができる、ジンを選んでみた。 (ちなみにこのジンもお店のスピリッツの中では高価格帯に属する物だった。) 先ずは妻のカクテルが届けられた。 苺の魅力を引き出した色、味わい。 妻曰く「今まで飲んだカクテルの中で一番美味しい!」とまで言わしめた物だった。 地物の苺か、と思ったが、「最初は岡山産の苺を使用していたが、もうシーズンが…」と、今では栃木県産の苺を使用している、との事。 それもいい。 無理してピークアウトした苺を使用するよりも、より美味しい苺を使用するのは、バーとしては正解だ。 私のジンは… と言えば、 かなりのボタニカルを意識させる仕上がりのジンだ。 ジンの特徴であるジェニパーベリーも香るのだが、それ以上に他のハーブが主張してくる。 最初はオンザロックで「そのまま」を。 別皿でライムを頂いたので、それを絞ってみたが、あまり合わなかった。 やはり様々なハーブが柑橘類を「選ぶ」のだろう。 「ジンのオンザロック=withライム」という方程式は、このジンには当てはまらないようだ。 テーブルチャージとしてなのか、オリーヴや生チョコが供された。 柑橘類を絞って入れるよりも、小豆島産のオリーヴをグラスに添えて、マティーニ風に頂いてみたのも一興だろう。 窓際のテーブル席からは岡山駅を離着する列車が。 街並みも、岡山城も一望できる。 ロケーションも素晴らしい。 ゆっくりと銘酒と共に寛ぐには岡山界隈では最上だ。
2024/03訪問
1回
宮古島東急ホテル&リゾーツではランチは2度程頂いた。 館内で唯一ランチ営業をしているのがコチラ「ムーン シェル」さんだ。 リゾートホテルらしく屋外のテラス席では水着のまま飲食が出来ることもあり、シーズンにはかなりの賑わいがある。 地元の人気料理である「宮古そば」「タコライス」などの他にアメリカンクラブハウスサンドイッチやパスタ、ハンバーガーは「ワークスバーガー」というビッグサイズのオリジナルまで幅広いメニューがある。 宮古島産マンゴーをふんだんに使用したパフェや、F.F.L.(フレッシュフリーズレモネード)というトロピカル感溢れるドリンクも。 今回の滞在中で上記のメニューを頂いたが、どれもがとても美味しいものだった。 トップシーズンは宿泊者だけの利用となるのだが、それ以外はビジターの利用も可能になる。 東洋一と言われる与那覇前浜ビーチを訪れる際には利用したいお店だ。
2023/08訪問
1回
金沢での2日目、最後の夜。 美味しく、楽しい食事を頂いた後はコチラで〆とさせてもらおう。 バー「コントワール」さん。 金沢の地で名店としての確固たる地位を確立したバーである。 この日、たまたま私が訪問した時は ちょうど前クチのお客がお帰りのタイミングのようで、入れ替わりで入った私1人で いわゆる「貸し切り」状態になった。 コチラは人気のお店で、お客がいる状況が常なので ちょっと面食らったが、まぁたまにはこんな日もあるのだろう。 カウンターの一番奥に腰を下ろし、バックバーを眺める。 久しぶりにスコッチが飲みたくなった。 マスターに「シングルモルトでアイラ程ではないが、それに近いイメージのスコッチは…」と相談して決めたウィスキーが この「タリスカー」だ。 なるほど、これは良い選択だ。 さほどではないが、それでも十分ピート香を感じるタリスカーは まさに今 求めていたウィスキーだ。 しかも 一目でわかったが、オンザロックでお願いし、提供してもらったウィスキーの氷。 なんと!「面とり」がしてあるではないか! きちんとした日本料理のお店で炊き合わせなどを頂く際に野菜の角を「面とり」し、煮崩れしないよう、味がより染み渡るようにする為の、あの技法だ。 一枚の大きな板氷から 自分のお店のグラスのサイズに合わせて切り出すだけでも大変な作業なのに、更に仕上げに面とりまで施してある……。 よく、まん丸な型の氷でオンザロックを提供するお店には幾度も出逢ったが、氷の角を面とりまでするお店には今まで出逢ったことがない。 むしろまん丸にする方が慣れてしまえば簡単だ。 しかし諸兄は大きな板氷には、いわゆる「氷の目」というものがあるのをご存知だろうか。 氷を切り出す際、この「氷の目」に逆らっては上手く切り出すことができない。 なので、ある程度の大きさにカットしてからアイスピックで丸く成型する方が簡単なのだ。 たった1杯でこの氷を捨ててしまう事になるのが嫌だった。 「この上に注いで頂ければ……」と、同じウィスキーのおかわりを同じグラスで所望した。 約半年振りの訪問で、その間に赴任していた沖縄・宮古島での話、泡盛の話、台風の話……。 様々な話に花を咲かせ、2杯目のオンザロックがなくなったと同じタイミングで別のお客が来店してきた。 「頃合い良し」と思い、会計を済ませ、マスターやセカンドさんにお礼申し上げ、店を出た。 コチラは本当にいい。 カクテルを調合する技術、お酒に向かい取り組む姿勢、マナー、客あしらい……。 全て素晴らしく満足できる名店だと思う。 金沢に来たら外せないお店だ。 ディナーに利用したお店が少々物足りなかった夜。 モヤモヤした気分をリセットしたいと思い、以前伺ったコチラで飲み直したかった。 マスターもセカンドさんも 二人とも会話による客のあしらいも カクテルの処方も素晴らしいお店だ。 コチラでなら気分の良いお酒が飲ませてもらえるだろう。 扉を開けるとカウンター席は私達が腰掛けて満席になった。 マスターは私の事を覚えてくれていて、気持ち良い挨拶を頂き、それと共に「今夜は何を飲まれますか?」と。 すでに夕食を済ませていたので、ディジェスティフとしてマールかグラッパを所望した。 するとマスターは少し考えてからカウンターの端に移動して、そこから1本のグラッパを持ってきた。 せっかくどんなグラッパなのかを丁寧に教えてくれながらも、記憶力低下が著しい私は失念してしまったが、とても大切にしていた貴重なグラッパのようだったと頭の片隅に残っている。 それをストレートで頂いた。 マールやグラッパは、いわゆる「カスとり」だ。 ワインを作るために絞った葡萄。その「残りカス」を再度原料として使用し、蒸留したものだ。 今風に言えばSDGsなお酒とでも言おうか。 その独特な製法によって個性的な、力強い風味を携えた蒸留酒となるのだ。 フルコースを頂き、少し膨満感を覚えた時などにこれ等やシャルトリューズのようなリキュールを好んで飲むのが私の定番だ。 あまりお酒が強くない妻にはお任せで。 そこでグレープフルーツが好きな妻の為にソルクヴァーノ(グレープフルーツのジュースを使用したラムベースのカクテル)を作ってもらった。 客の好みと状態をすぐさま理解して、的確なカクテルを調合するのは良いバーテンダーの基本だ。 そういう意味でもコチラは一流だと思えた。 グラッパのあまりの美味しさと楽しい語らいに あっという間にグラスを空にしてしまった私。 〆の1杯をお任せで…と所望したところ、これまた珍しいアガヴェ100%のテキーラを出してきてくれた。 これもまたストレートで。 コチラのバーはマスターの温和な人柄に本当に癒される。 そもそもバーは こうした「止まり木」のような場所であって欲しいと思っているが、コチラはお酒の美味しさは勿論、マスターの持つ「徳」のようなものが ひとときの安らぎを求めてくる客を癒してくれるのだろう。 夕食時のつまらない出来事など とうに忘れてしまっていた。 ありがとうございました。 また この「止まり木」に羽を休めに来ます。 ふとしたきっかけで某ビールメーカーの北陸支社長とグラスを交わすことがあり、その際に金沢でお勧めのバーは? と尋ねたところ、コチラをご紹介頂いた。 「蛤坂 まえかわ」さんで極上の焼き鳥を頂いた後、まだ その余韻に浸っていたいと思いながら橋を渡り、その時にふと思い出したのだ。 お店の扉を開けると先客が1人いたが、ちょうどお帰りになるタイミングだったようで、実質私ひとりのようなものだ。 オーセンティックな、長く続けていらっしゃるお店独特の 雰囲気を湛えている。 先程の某ビールメーカーの支社長さんの紹介で参りました と ご挨拶させていただくと「そうでしたか!」と喜んで頂いた。 「生憎マスターは外出しておりますが、暫くしたら戻りますので…」との事だが、受け答えのしっかりしたセカンドさんなら安心だ。 さっそく何か頂こう。 先ずはスタンダードでお手並み拝見だ。 ギムレットを注文した。 材料としてのフレッシュのライムの扱い、氷の扱い…。 さすが金沢でのお勧めのお店、と紹介してもらっただけのことはある。 差し出されたギムレット、美味しく仕上がっている。 酒に関する話題、バーの最近のトレンドなど、セカンドさんとの会話を楽しみながら2杯目に。 「パスティスは何かありますか?」との私の問いかけには 「生憎ペルノ-くらいしか……」との返事が帰ってきた。 「構いませんよ。水割りでください」。 そうしているうちに他のゲストが来店してきた。 そのゲストが1組、2組と増えてきたタイミングで店主のマスターが戻ってきた。 ご常連さん達との挨拶を経て、セカンドさんから事情を聞いたマスターは私のところにもご挨拶に来てくれた。 名刺を交換し、しばらく会話をしていた私のグラスが空いたので、マスターの「よろしければ何かを…」との勧めに 「それではYOKOHAMA を。」と私。 ほんの一瞬だが「珍しいカクテルを…」という戸惑いとも思われる感じがしたものの、すぐさま製作に取りかかれるのは熟練の成せる技と知識だろう。 そして出来たカクテルはスタンダードでありながら、少しだけお店の、マスターのエッセンスが加わった仕上がりだった。 いや、楽しくも美味しいお酒を頂くことができた。 金沢に出張中の間には是非もう一度訪問したいお店だ。
2023/11訪問
3回
入籍記念日の旅行、2日目。 呼子でイカの活け作りを頂いた後、この日の宿泊地である 福岡に戻り、レンタカーを返却した後に真っ先に向かったのがバー「オスカー」さん。 オーナーバーテンダーの長友氏とは実は随分と古い間柄で まだお互いが若かりし頃、バーテンダーとしてのカクテルコンペティション(創作カクテルを競う大会)に、それぞれの地区予選を勝ち抜いて出場を果たした全国大会で知り合い、何度か一緒に出場しているので、自然と「またお会いできましたね」というような言葉を交わすようになったのだ。 (勿論結果は長友氏のファンの皆様なら承知していらっしゃると思われるが)(苦笑) そのようなご縁を頂き、私はなにかと福岡に訪れる際は 必ず長友氏のカクテルを頂きに向かうのだ。 氏の素晴らしさはカクテルの調合技術だけではなく、その 人柄にある。 いつも紳士であり、ダンディズムをたたえた雰囲気、立ち居振舞い……。私とはほぼ同年代でありながら常に見習いたいと思っている。 この日は食事に行く前のアペリティフとしてのカクテルを 楽しみにしていた。 氏のお店も例外無くコロナ渦に悩まされ、現在は営業時間をなんと14時よりオープンして、ラストオーダー19時、閉店は20時と、以前なら考えられない営業をしていた。 私も妻と食事をするので当然のように来店時間を早めざるを得なかったのだが、やはりこんな明るい時間帯に氏の お店に行くのはなんだか……。 それでもやはり氏はいつものように笑顔で迎えてくださった。 まずはジンフィズをオーダーする。 うん、美味しい!! やはり氏のカクテルはいつも優しい味がするのだ。 シェイクは銀座の修行時代、バー ロオジェの上田和男氏 直伝の三段振りのハードシェイクなのに、その技法故に 大量に発生する細やかな気泡がアルコールのカドを包み込み、カクテルを円やかな味にするのだ。 ここでバー好きな諸兄に問いたいが、皆さんは「ヨコハマ」というカクテルをご存知だろうか? 横浜ニューグランドホテルで生まれたこのカクテルは、今や古典と言っても差し支えないスタンダードなカクテルなのだが、今の若いバーマンにこのカクテルを注文すると、 「少しお待ちください」と言って店の奥にあるカクテルの レシピ本を覗きに行く人が多くいる。 それを長友氏はいとも容易く材料を準備し、調合を始める。 やはり良いバーマンとは、スタンダードカクテルを大切に する。どんなスタンダードカクテルも最初は誰かのオリジナルのレシピだったはずだ。 それが多くの人に支持され、世界中へと広がり、やがて誰もが知るスタンダードになっていく。 その偉大な先達のカクテルをバカにして、見た目華やかなオリジナルばかりに熱心になっても、そんなバーマンは基礎が出来ていないので、出来上がりも薄っぺらな物になる。 氏の「ヨコハマ」は、写真で見ると原処方よりも赤みが薄いのが解ると思うのだが、これは「最近は良いグレナデンシロップが無くなってしまいました。なので自分で○○と△△をブレンドした物を使っています」と教えてくれた。 このカクテルが誕生した時代背景と、童謡「赤い靴」に出てくる女の子がカクテルグラスを通してイメージできる…。 氏はそこまで読みきってこのレシピで調合したのだろう。 本当に優れたバーマンとはこのような人である、としみじみと感じる一杯であった。 ご馳走様でした。次はいつもの時間にお邪魔したいものですね。それまでお元気で。