10回
2025/07 訪問
雲中白鶴の神宮前【樋口】さんで、夏鹿のウチモモに悶絶した夜なのだ、の巻
金曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は夏の懐石を味わいたく、こちらの【樋口】さんにお伺いしました。
銀座線の外苑前駅からトコトコトコ。
六時前に到着すると、門前の両脇には盛り塩が。
その真ん中には、丸い石に枯れた薄めの黒い縄が結ばれておりました。結界?を示す止め石ですね。
夕暮れの心地良い風に揺れる柳を愛でていると女将さんが現れ、『お暑いので、どうぞ、お入りください。今夜は真ん中のお席にどうぞ・・・』と、柔らかな笑みでお出迎え。
ああっ、ふううううっ、心地良い。
比類なき和の神髄に、ささくれた心の襞が丸くなる・・・、グフッ(^◇^)
さてさてそれでは本題です。
いただいたコース内容は以下の通り。
料理は撮影禁止なので、少々長くなりますが駄文でご紹介します。
お時間があれば最後までお読み下さいませ。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
文月にお伺いするのは二年ぶり。
その前回は、琵琶湖の稚鮎に由良の赤ウニ、鱧の湯引きに天然鰻の地焼きが供されました。
今夜のお献立と重なるのは、真鯛のお造りと〆の十割蕎麦のみ。
この弛まぬ研鑽と引き出しの多さが樋口氏の真骨頂。
取り分け今夜は、松本の夏鹿のウチモモに感嘆。
その赤身を、パン粉で揚げ焼き風に仕上げました。
他にも赤ウニとムラサキウニの競演に生鰊の炊き合わせ、京都のお魚屋さんから活鱧の炭焼きに、還暦爺さんの息も絶え絶え。
次回は初めての霜月の膳。どんな食材と仕立てで楽しませていただけるのか、期待で胸がはち切れちゃいそうです、アハッ\(//∇//)\
<コース内容>
⚫︎お通し:焼きナスの水晶寄せ:
・赤ウニ:唐津
・ムラサキウニ:長崎大村湾
皮目を焦がした香りを纏う焼きナスと、酸味を効かせた昆布出汁の旨味、二種のウニの柔らかな甘味の三重奏。夏を感じる清々しい逸品でした。
⚫︎お通し:唐揚げ
・メヒカリ:茨城
・アナジャコ
・薬味:胡瓜おろしと生姜汁の土佐酢
この季節、大根は中身がスカスカで辛味を帯びすぎる時期。そこで登場するのが胡瓜。おろしてから若干の生姜汁を加え、土佐酢でまとめました。
酸味はあくまでも柔らかく、この薬味は日本酒のアテにも最適。
アナジャコは見た目は小さめの蝦蛄ですが、類縁種の甲殻類。干潟に穴を掘って暮らします。
以前、博多の和食屋さんでいただいて以来。皮はソフトシェルクラブのように柔らかく、振り塩の塩味と土佐酢の酸味で美味しくいただきました。
⚫︎お凌ぎ:玉蜀黍ご飯
・玉子豆腐:蛤出汁
・薬味:生黒胡椒
蛤出汁の玉子豆腐と玉蜀黍ご飯を混ぜ混ぜしていただきます。冬が旬の蛤。この時期は産卵後で痩せていますが、変わらず芳醇な旨味をたたえたお出汁で楽しませてくれました。
⚫︎お椀:
・ヒラスズキ:葛打ち
・管ごぼう
・白髪ネギ
・実柚子
スズキに比べて背の高いヒラスズキ。背身から腹身までの部位をいただきます。旬は冬かと思いますが、こちらは脂乗りが抜群の個体。真鯛のように肌理細かいけれど、細い筋肉繊維は歯茎を押し返す腕力が漲っておりました。
⚫︎お造り:
・真鯛:塩水、酢橘、醤油
・鱧:焼き霜、玉葱醤油、韓国
・ヤイトハタ:皮目を炙り
ミツル醤油@糸島
藻塩、玉葱スライス
真鯛はお約束の逸品。かちかちの硬さでは無く、程よく歯茎を押し返す弾力に溢れておりました。やはり、明石か淡路島の辺りかな?
鱧は京都のお魚屋さんから泳いでいる状態で仕入れ、この日の朝、お店で〆ました。
鮮度が抜群なので、皮目を包丁でサッと撫でると、色が微妙に変化します。
その鱧の生命力には感嘆。
その一本の身を、皮一枚残してリズミカルに骨切り。三つに切り分けて串を刺し、皮目を炭火で軽く炙ります。その皮目を氷に当てて熱入りをとめ、焼き霜仕立ての完成。
小骨が全く歯に当たらない。見事なまでの完璧な骨切りでした。
ヤイトハタは皮目を炭火で炙って、糸島のミツル醤油でいただきます。そのミツル醤油、色は濃く粘度も有りますが、九州独特の甘さは皆無。再仕込みで倍増した旨味が、ハタ系の太い肉繊維に染み込み、これはウンマイ。いや、これもウンマイ!
⚫︎揚げ物:春巻き
・スナップエンドウ
・北寄貝の出汁
・酢橘
先日のチコちゃんで、たまたま豆の豆知識を仕入れていたラッコ。
早採りしたのがサヤエンドウ、皮と実をいただくのがスナップエンドウ、実だけがエンドウ豆、さらに育てると豆苗、アハッ\(//∇//)\
知らんかった・・・
そのスナップエンドウを大き目の微塵にして、北寄貝の出汁を纏わせ、春巻きの皮で包みました。
豆の青い香りの裏側に貝出汁の旨味が潜みます。
⚫︎冷製炊き合わせ:
・鰊
・賀茂茄子
生で仕入れた鰊を二日掛けて仕込みます。その成果が、全く剥がれていない綺麗な皮と柔らかな身。低温調理なので身も丸まっておらず、見た目も完璧な美しさ。
甘味も芯までしっかりと染み込み、カッチカチの棒煮も好きだけれど、これは全く別物の味わい。
日本酒に合ううううっ\(//∇//)\
⚫︎焼物:
・鮎:馬瀬川、塩焼き
・薬味:蓼酢
・副菜:賀茂茄子の皮の黒胡麻炊き
頃合いの大きさの鮎。もちろん、頭からかぶりつきます。この季節のお約束ですね。
⚫︎揚げ焼き:
・夏鹿:腿肉、松本
・薬味:刻み実山椒、香茸醤油
奥の厨房から出された棒状の塊を見て、まさかの牛カツ、鰹フライ、いやいや鮪フライやろ、なんて静なざわめきがカウンターを覆います。
目の前で斬られた断面を見ると、お魚では無い。
フィレ肉?
答えは、まさかの鹿肉。
産地は松本。それも、新芽や若草を食んで育った天然の夏鹿のウチモモを、パン粉をまぶした揚げ焼きでご提供。
冬のジビエとは異なり、脂肪は少なく身質はシャトブリ並み。ほのかに青い草原の香りが漂います。
刻んだ実山椒で心地良い刺激を演出すれば、チャンクした香茸入りの醤油でコクを纏わせます。
冬のジビエは獣臭が持ち味ですが、これは全くの別物。まさに別格の味わいでした。
⚫︎ご飯もの:
・鮎飯:和良川、青梅カリカリ漬け、二膳
・新生姜炊き込みご飯、一膳
・香の物:泉州水茄子、昆布、胡瓜、しば漬け
・副菜:牛肉の時雨煮、生唐墨
・赤出汁:ジュンサイ、長芋
鮎飯の鮎ですが、土鍋で蒸すので、炭火で皮を軽く炙っただけ。尻尾と頭と半生の内臓を取り出し、荒めに刻んで大量の大葉とともに炊き上がりの土鍋に投入します。
蓋を開けると、なんとも言えず香ばし青い香りがカウンターを支配。
旬の時期に仕込んだ青梅のカリカリ食感と酸味で箸が止まらない。
でも新生姜の炊き込みもあるし、十割蕎麦も控えているので二膳で我慢我慢。
⚫︎十割蕎麦:
・二枚
・副菜:茄子煮浸し、黒生七味、青葱、山葵
『今夜はもうお宜しいのですか?』
腹パンのラッコがせいろ二枚で白旗を挙げると、まん丸な目で見つめられてしまいました、アハッ\(//∇//)\
⚫︎デザート:
・桃:山梨春日井
・アイス最中:ドライイチジク
この桃が超絶に甘い。
まるで桃缶のシロップ漬けみたい。聞けば産地は山梨で、豊洲の果物の目利きが選んだ逸品だとか。
これはホントにびっくりポン\(//∇//)\
<お酒>
・エビス:小瓶
・宝剣:純米、広島
・喜久泉:吟冠、吟醸、青森
4.19
2025/07/05 更新
2025/02 訪問
和食の普遍的な理想と価値を見た、感じた、味わった、の巻
金曜日の夜です。
神宮前です。
今夜はおよそ四か月ぶりの【樋口】さん。
長くお付き合いさせていただきたい和食屋さんのひとつです。
押し付けがましいプッシュ型の親方が苦手なラッコ。その視点で言えば、樋口氏は典型的なプル型。
控え目で奥ゆかしく、料理人としての分をわきまえたその姿勢。決して出過ぎることもなく、問えば優しくにこやかに、食材や下拵え、調理技法をただの素人にも分かるように、丁寧に惜しげもなくご説明くださいます。
顔の見えるカウンターは、やはりお人柄が全て。
樋口氏に加え、焼津の杉山氏、内幸町の井上氏、人形町の磯田氏、そして西麻布の野口氏・・・、皆さまに共通するのは『どうだ、食べてみろ』ではなく、『どうぞお食べになってください』との真摯な眼差し。
その姿勢、所作、立ち居振る舞いから溢れるおもてなしの心に、今夜も心地良く漂いました。
さてさてそれでは本題です。
いただいたコース内容は以下の通り。
カウンターではお酒以外の写真撮影が出来ませんので、駄文ではありますが、できるだけイメージが伝わるように記載します。
少々長くなりますが、その点はご容赦を。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
昨年、【波濤】や【BIANCHI】にご一緒したフォロワー女子と二人でお伺いしました。
カウンターの真ん中に座り、樋口氏にご挨拶。
『ここんところの寒波で、食材を集めるのも大変だったのでは?』
『そうなんですよぉ〜。不安なので豊洲だけじゃ無く、京都や島根、富山のお魚屋さんにお願いしていたら、もう届き過ぎちゃって、今夜はお魚が多目になっておりますぅ』と、大粒の瞳で恥ずかしそうに呟く樋口氏。
そのお言葉通り、豊富で贅沢な食材が並びました。
<いただいた内容>
⚫︎先付け:汁椀
・月光百合根
・大浦牛蒡:茨城
・お出汁:白ミル貝と塩のみ
径の太い茨城県大浦原産の牛蒡を揚げて蒸して、その蒸し汁とともに擦り流します。真ん中に超絶に甘い月光百合根を添えて完成。
ひと口、その擦り流しを口に含むと、大浦牛蒡の土の香り、揚げることで生じるコク、月光の甘味が舌の上で爆発。
でもこの擦り流し、更に何かが隠れていそう。
何だろう、この良家の子女のような旨味・・・、節系のように強くも無く、乾物ともまた違うその正体は?
素直にお聞きします。
答えは白ミル貝。お造りには利用せず、お出汁を取るだけなのだそう。
なんとも贅沢な隠し味。その楚々とした柔らかな旨味に酔いしれました。
問えば教えて下さいますが、問われないと話すことでも無い。見えないところでも手を抜かず、というか手を尽くしてお客を喜ばせる。その控え目な矜持の一端に触れました。
⚫︎前菜:八寸
・唐墨餅
・蕗の薹:天ぷら、新潟
・薬味:塩、蕗味噌
和食屋さんに限らず色々なお鮨屋さんでもいただく唐墨ですが、率直に言えば、【樋口】さんのこの一切れが、群を抜いて美味い!
蕗の薹の苦味に立春を思い、蕗味噌に呉の銘酒、宝剣の純米を合わせました。
⚫︎お凌ぎ:お粥
・丁呂木:白梅酢漬け
・出汁:虎河豚
・黄柚子
小指の先っちょ程度の大きさの丁呂木。
別名、長老喜。その当て字の通り、長寿に効果のある縁起の良い食材として、おせちに入っているのをしばしば見かけます。
ミシュランのビバンダムを小さくしたような、巻貝にも似た形状。白梅酢に漬けて酸味を添加。包丁で薄く切り付け、振り柚子の香りを纏ったお粥の上にトッピング。
このお粥ですが、ひと口いただいて何とも奥ゆかしい旨味を感じとります。先付けと同様、節系でも乾物でも無く、何だろう・・・
答えは虎河豚の骨出汁。身は後ほど陶板焼きで、白子とともにいただきました。
白梅酢の酸味、お粥の甘味、黄柚子の香味、虎河豚の旨味のカルテットに、まもなく昇天しちゃいそう。
⚫︎お椀:
・グジ
・聖護院蕪:鬼おろし
・黄柚子
鰹節のお出汁に少量のお醤油と塩で味の輪郭をつくり、聖護院蕪の鬼おろしで食感の変化を演出。
節系の旨味と喧嘩しないよう、軽やかな塩味に仕上げます。
お出汁の表面に揺蕩う脂の滴。グジの皮から静かに滲み出ました。
お椀の漆黒、グジの桃色の皮目、蕪の色白の肌に柚子の黄色が華を添え、その見た目で瞬殺。
立ち上る香気に朦朧としながら、グジをふたつに割り、お腹側からいただきます。
うううっ、完璧な塩入れ。蒸し上げたグジの身はふんわりと柔らかく、地味と滋味をふくよかにたたえておりました。
⚫︎お造り:
・真鯛:明石
・めじマグロ:皮目を炭火焼き、佐渡
・九条ネギ:白い部位のタタキ
・薬味:醤油、塩酢橘
真鯛は明石産。京都の魚屋さんから直接仕入れます。塩酢橘でいただくと、捕食した甲殻類の旨味が舌の上で踊り、まさに魚の王様の風格。
めじマグロは半身のお腹側に金串を三本ほど刺し、炭火の上でじっくりと皮目を炙ります。皮裏の濃い桃色からお腹につづくグラデーションに、ラッコの目も釘付け。
細かくたたいた九条ネギの白い部位をトッピングし、二つ折りに。端っこにお醤油をつけてハムッ。
大人のような濃ゆいコクは無いけれど、幼児のように穢れのない清純な味わいがラッコを翻弄。
それにしても今年のメジは抜群に美味い。
⚫︎焼物:炭火焼き
・ヤイトハタ徳島、15kg
・薬味:本山葵、玉葱酢醤油
徳島の魚屋さんから半身を直で仕入れます。豊洲にも月に一本入るかどうかの珍しい魚体。一週間ほど寝かせて旨味を閉じ込めました。
人数分を切り分け、網の上に並べて炭火焼きに。
酢醤油に漬けたおろし玉葱をトッピングし、熱いうちにハムッ。
ううっ、美味い。
ハタ系の大きな魚体はスプリンター。筋肉質の繊維は太く、弾力に溢れ、まるで短距離走者の太腿のよう。食べたことは有りませんが\(//∇//)\
⚫︎陶板焼き:
・虎河豚
・白子:酒蒸し
熱々の陶板が目の前に。葉書ほどの大きさです。
余談ですが、重いし、仕舞っていても場所をとるしで、『年に一度しか使わない無いのに、困るのよねぇ』と迫る女将さん。
確かにお使いになるのは蛍烏賊の時期だけ。そこで策を講じた樋口氏。虎河豚の炙りを供されては、女将さんも矛を収めるしか無いのでは。
それはともかく肝心のお味ですが、熱を加えて更に弾力を増した身質。器にはポッテリとした白子が鎮座し、周囲を桜色のお出汁が護ります。
白子は昆布を敷いて酒蒸し。お出汁は薄めのポン酢ですが尖った酸味は無く、鰹の酒盗出汁で割って芳醇な旨味を添加。
白子を潰して混ぜ混ぜすると、クリーミーなディップに変身。酒盗の旨味とポン酢の軽やかな酸味が相乗し、その旨味ドレスを纏っ白無垢姿の虎河豚にズッキュン。
これはもう神に召されてしまうくらいの美味!
⚫︎炊き合わせ:
・聖護院大根
・浜詰さといも:丹後
・タラの芽
お魚が続いたので、ちょっとした箸休め。
芳醇なお出汁が煮含められた聖護院大根。浜詰さといもは、京丹後の砂丘の砂地で栽培された逸品。春の訪れを感じるタラの芽の緑色が目を楽しませます。
⚫︎焼物:炭火焼き
・桜鱒
・紫花豆
・薬味:生マッシュルームソース
炭火焼きの桜鱒に寄り添うダークブラウンのソース。焦がした玉葱?
ひと口舐めると、その甘みは無い。でも豊満な旨味・・・
なんだろう、分かりません。
聞くと、生マッシュルームを炒めてミキシングしたのだそう。醤油と塩の塩味で味覚の輪郭を形成し、桜鱒の仄かな甘味を引き立てました。
紫花豆は親指大ほどの大きさ。その深紫色が高貴な装いを醸します。
⚫︎芹鍋:
・猪:広島産
・芹:秋田
・玄米餅
・白味噌
芹は葉、茎、根の全てを鍋に投入。お出汁で割った白味噌は甘過ぎず、芹の風味を壊さない仕立て。
グツグツと煮立ったところで、広島の山奥で捕まった猪と焼いた玄米餅を投入。
二杯ほどいただき、残った鍋つゆは後ほど豆ご飯にかけていただきました。
⚫︎豆ご飯:
・赤出汁:湯葉
・香の物:白菜、大根、昆布
・牛肉の時雨煮
・生唐墨
・和物:氷魚、花山葵
香の物の他に三点の小鉢が並べば、否が応でもご飯が進みます。
二膳ほどその小鉢でいただき、三膳目は芹鍋の残りつゆをかけておじや風にしていただました。
⚫︎十割蕎麦:
・薬味:本山葵、青葱、生唐墨
底無しの胃を誇るラッコは、なんだかんだと言い訳をしながら、三杯もいただいてしまいました。
おかわりをするたびに、薬味を追加してくださるのも嬉しいところ。
蕎麦つゆは薮のような辛めの仕立て。ことの他口に合いました。
意識して残した生唐墨をチビチビと舐めながら、更に日本酒を所望すると、女将が取り出したのは青森の喜久泉の大吟醸。
これは合う。
生唐墨の塩味と旨味が口中で大爆発。もはや天に召される寸前のラッコでした。
⚫︎デザート:
・イチゴ:やよいひめ、埼玉
・アイス最中:小倉
デザートをいただきながら、温かい緑茶とぬるめの玄米茶をご提供。暴飲暴食で虐げられたカワユイ胃がホッと溜息をつきました。
<お酒類>
・酢橘サワー:麦焼酎
・宝剣:純米、呉
・みむろ杉:純米、桜井
・鄙願:大吟醸、村上
・日高見:弥助、純米吟醸、石巻
・喜久泉:大吟醸、雫搾り、青森
・緑茶
・玄米茶
4.17
2025/02/16 更新
2024/10 訪問
【樋口】さんで触れる、認識上の真理
金曜日の夜です。
神宮前です。
今夜はおよそ四か月ぶりの【樋口】さん。
食べ友紳士と二人でお伺いしました。
信頼の厚いフォロワー様のレビューを事前に熟読し、秋の膳の予習も完璧。ひとつひとつの表現から、どんな姿かたちなんやろ、と溢れる涎を呑み込みながらノテノテノテ。
ちょっと早目に到着したところ、ちょうど玄関脇にお線香を供えられている女将さん。
『もう少々お待ちくださいませ・・・』と、ほっこりする笑顔。
六時半に行燈が灯り、石階段を二階に昇ります。
カウンターの奥にご案内いただき、樋口氏にご挨拶。
板には20cm程度に傘の開いたトランペット状の香茸が鎮座。丁寧に裂かれる親方の手元を眺めながら、どう手を加えられるのかなぁ?
事前予習だと素揚げだったよな・・・、グフッヾ(≧▽≦)ノ
続いて秋の至宝。松茸の登場。岩手産とのこと。
傘も開き切っておらず、ちょうど良いサイズ。
フライだとうれしいなぁ・・・、でも事前予習だと春巻と混ぜご飯だったかな、アハッ(^◇^)
アカン、眩暈がしてきそう。
さてさてそれでは本題です。
いただいたコース内容は以下の通り。
料理の撮影は禁止なので、ひとつひとつのコメントは駄文で紹介します。想像力をフル回転させてお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
柔らかな笑顔で一皿一皿をご説明される樋口氏。
決して押しつけがましくなく、料理人として、健全かつ控え目な、まさに分をわきまえた姿勢に感服。
ささくれた心の襞が優しく癒されます。
以前のレビューで【真善美】と表現しましたが、今夜はその”真”を、真理としてしかと認識した夜となりました。
ふと気が付けば四時間の長っ尻。
ええっ!
まだ小一時間程度しか経過していないような錯覚に襲われます。
時間を超越した居心地の良さ。
これは通いますね。
次回は真冬の膳と決め、終電間近の明治神宮前駅まで歩き急ぐラッコでした。
<コース内容>
⚫︎先付:一皿目
・生香茸と蓮根の薄衣揚げ
・蜆出汁
薄く揚げ衣を纏った香茸。端を齧ると心地良い苦味とともに強いミネラル香が口中に充満。肉厚の傘からは旨味汁が迸ります。軽く振り塩されているのかな、ちょうど良い塩梅。
蓮根はその振り塩のお陰なのか、はたまたその地味なのか、柔らかな甘味にワガママな舌も喜びます。
これはもう、初っ端からTKO(^◇^)
⚫︎先付:二皿目
・カマスとほうれん草の酢の物
・山芋:鬼おろし
・食用菊:花びら
カマスは皮目を炭火で軽く炙ったタタキ仕立て。ほうれん草は湯がきたてを絞って出汁にくぐらせます。菊の花びらを散らし、円みを感じる優しい三杯酢?で全体をまとめて完成。
微かに残った口中の香茸の香りと、喉奥に感じる揚げ油が綺麗に洗いされました。
深い溜息に沈むラッコ。
樋口氏と目が合います。それだけで以心伝心。真ん丸な両目でニヤッと口元をほころばせる親方でした。
⚫︎先付:三皿目
・飯蒸し:藻屑蟹
・唐墨:摺りおろし
来月は香箱蟹の登場ですが、神無月は藻屑蟹の出番。上海蟹の同属異種にあたります。
甲羅の内側に脚肉と内子ともち米を詰めて蒸し上げ、小鉢に盛り付けます。仕上げに唐墨を摺りおろし、黄色に色付く紅葉山の完成。
湯がきだと旨味が湯の中に逃げますが、蒸しなので甲羅の中のもち米がその旨味を完全吸収。唐墨の塩味が淡水に生息する淡白な蟹の身を立体的な味わいに昇華させ、これはまさに垂涎の逸品でした。
⚫︎椀物:
・松茸:岩手産
・甘鯛:福井
蓋を開ければ鋭く立ち上がる松茸の香気。言葉を失います。焼きも揚げも良いけれど、椀の中に閉じ込められたその香気は天下無双かも。
甘鯛の皮目から滲み出る楚々とした脂の小さな滴が松茸に寄り添い、幾何級数的に旨味も倍増。
一塩した甘鯛の身はちょうど良い塩梅で、ホクホクの仕上がり。
樋口氏の椀物は一歩抜きんでているな、と再認識したラッコでした。
⚫︎お造り:一皿目
・戻り鰹:気仙沼、藁炙り
・大根:鬼おろし
・ミツル醤油:糸島、再仕込み
鮮度が良く脂乗りも適度な鰹に、ニンニクや生姜、大葉などの香味の強い薬味は不要。ポン酢でごまかす必要も無し。
食感の嬉しい大根の鬼おろしと糸島の再仕込み醤油のみで、鰹の地味と滋味を味わい尽くします。
その糸島のミツル醤油。甘過ぎることなく、これはどんな白身魚にも合うこと間違いなし。
探してみよヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎お造り:二皿目
・真鯛
・皮:湯引き
・醤油
・水塩
確か明石の真鯛だったかな・・・?
記憶が定かでは有りませんが、朝締めの身は適度にイカリ具合がほどけて、加熱してカルシウムを除去した水塩が、真鯛の身の甲殻類系の旨味(小海老を捕食しているので)を天上まで引き上げておりました。
⚫︎揚げ物:
・春巻:松茸、鱧
・酢橘
先端を齧ると内に閉じ込められた松茸の芳香が爆発します。
これはヤバイ。
恥ずかしげもなく口をポカンと開けたまま頷くラッコ。ニッコリと微笑む樋口氏。自信作のようです。
口開けした先端から酢橘を一二滴搾り入れると、一塩した鱧の塩味に酸味がマウンティングして至福の喜びを演出。
ああっ、おかわりがしたい、グフッ(≧◇≦)
⚫︎焼き物:
・鰆:蒸し、皮目は炭火焼き
・黒無花果:佐賀産、焼き
・焦がしブラウンマッシュルーム:千葉産
・焦がし玉葱
蒸した鰆を皮目を上にバットに乗せ、炭火の遠赤外線で皮目を炙ります。炭を外して皮に振り塩、熱で塩が馴染めば完成。
内側はほんのりとレアな仕上がり。断面からは真珠のような煌めきが・・・、まさにポワッソンナクレ。
そう言えば、椀物の甘鯛もお造りの真鯛も煌めいておりました。
モノが明らかに違う!
焦がし玉葱とブラウンマッシュルームの摺りおろしを加えた醤油タレが、秋の鰆の身に寄り添い、こんな焼き魚、他店と比べて頭一つ飛び抜けていると感じ入りました。
佐賀の黒無花果は、蒸して温め皮を剥いてご提供。焼くと皮の焦げた匂いが実に移りますが、これなら大丈夫。ほのかな甘い香りが鰆に寄り添います。
⚫︎強肴:
・三筋:松阪牛
・もろみ味噌:茗荷添え
・完熟実山椒粒
・やま山葵
・メークィン:二年熟成
・おろし玉葱醤油
フライパンを炭火の上に乗せて、松阪牛の三筋を二枚づつ丁寧に焼き上げます。その二枚がおひとり分。付け添えは氷温熟成させたメークィン。薬味は刻んだ茗荷と和えたもろみ味噌、完熟させた実山椒粒、摺りおろしたやま山葵。
それらすべてを三筋で包んでおろし玉ねぎ醤油でハムッ、ハムハムハム。
還暦過ぎの身には焼肉での三筋は脂が強すぎますが、脇を固めた薬味でこちらはアッサリといただけました。五枚は胃に入る、グフッヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎炊合せ:
・蕪
・穴子:対馬
ほど良い大きさの穴子をタレ焼きし、出汁を煮含めた蕪の上にトッピング。穴子の淡白な脂がお出汁に溶け込み、その香りで低い鼻も喜べば、ワガママな胃も大歓声。
⚫︎ご飯もの:
・お米:都祁産コシヒカリ
・混ぜご飯:三膳
・松茸:岩手産
・黄柚子
・薬味:
・牛肉:時雨煮
・生唐墨
・香の物:胡瓜、蕪、山椒昆布
・赤出汁:零余子、なめ茸
陶器釜で炊き上げたご飯に刻んだ松茸を閉じ込め、しばし蒸し上げます。
お米は奈良市の都祁産のコシヒカリ。振り柚子した香りと松茸の香気が合唱し、三杯もいただいてしまいました。
それでも釜に残ったので、二個ほど経木に包んでお土産に。
レビューを書いている今、その松茸ご飯のおにぎり(写真有り)をいただいています\(//∇//)\
牛肉の時雨煮ですが、京味系の三店舗でいただくものの、やはり此方が一番。人肌程度の暖かさで、柔らかな甘味がしっとりとお米に寄り添います。恐らく砂糖の違いでしょう。
⚫︎十割蕎麦:手打ち
・蕎麦粉:北海道雨竜郡
・品種:キタワセ
・薬味:
・黒七味
・青ネギ
・本山葵
・茄子の揚げ煮浸し:お揚げ風
松茸ご飯を三膳ほどいただいたけれど、〆の十割蕎麦は別腹。ついつい促されるままに三皿ほどいただいてしまいました。
だって並みのお蕎麦屋さんをはるかに凌駕するその味わい。同じビルの一階にある、親戚関係のお蕎麦屋さんから仕入れていらっしゃいます。
その都度当たり前のように新しい薬味(青ネギと本山葵)をご準備頂き、いつものことながらお客目線での接遇の良さに感服してしまいました。
⚫︎デザート:
・梨:あきづき
・葡萄:
・シャインマスカット
・ブラックシャインマスカット:富士の輝き
・小倉アイス最中:
・皮:京都の種茂商店?
アイス最中ですが、ラムレーズンも選択可能。
他に葛切りや杏仁豆腐もご準備されております。
<お酒類>
・恵比寿ビール:小瓶
・宝剣:特別純米、呉
・而今:特別純米、名張
4.16
2024/11/15 更新
2024/06 訪問
【樋口】の美は、真の形と善の心の結晶なのだ、の巻
金曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は初夏の献立を楽しみに、四か月ぶりのこちら、【樋口】さんにお伺いしました。
ご一緒するのは、いつも楽しく盃を交わしてくださる通称ドラゴン。実はその彼に初めてお連れいただいたのが、二年前の三月。
註:
ドラゴンと言うと、なんだか裏世界の住人みたいですが、尊敬できる、至極真っ当な正義の味方です。
その後、縁あってラッコも予約できるようになりましたが、右手に座るのはいつも女子と女史。
親方と女将さんに『xxxさんって浮気者?』なんて誤解されても哀しいので、たまには男子、とくれば、そのドラゴンを置いて他に無し。
六時半にお店の前で待ち合わせ。
引き戸を開けて出ていらした女将さんが、『えっ、ドラゴンさん、ご無沙汰しております。xxxさんとご一緒なんですか?』と驚きの呟き。
そのドラゴン、実はラッコをお連れいただいてから暫くぶりのお伺い。と言うことは、二年前のお客さんの顔までか、お名前までスッと出てくるなんて、女将の記憶力に感服。
後でドラゴンにお聞きしたら、『きっとお店に足跡どころか爪跡、傷跡を残していたのかもしれません、グフッ』と破顔一笑。
いやいや、それより何より、お店に好かれていたお客様だった、と言うことですよね。
さてさてそれでは本題です。
こちらはお料理の撮影がNGなので、拙い駄文でご紹介させていただきます。
長文となりますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
カウンターの奥に座り、焼き場に立つ樋口氏の横顔、手元の動き、その澱みない所作を静かに見つめます。
美しい。
これぞカウンター割烹の真髄。心地良い緊張感と静謐さが同居するこの空間が、何ものにも変え難い。
実は、プッシュ型の賑やかな親方は苦手です。
口を閉じろ、手を休ませるな、なんて思わず突っ込んでしまいそう。
その点、【温石】の杉山氏、【味享】の井上氏、【西麻布 野口】の野口氏、そしてこちらの樋口氏。
無駄口は叩かず、素材の盛り付けや焼き上がりに真剣な眼差しを注ぎ込む、そんな親方を敬愛するラッコです。
⚫︎小鉢:
・焼き茄子
・赤ウニ:唐津
・海苔佃煮
焼いた皮を取り除き、丁寧にトリミングした焼き茄子の上に鎮座するのは、五、六腹ほどの枇杷色のウニ。
小指大の輪郭には粒々の形状まで見て取れる鮮度の良さ。明らかに赤ウニ。唐津か淡路か萩、それとも玄界灘?
聞けば唐津とのこと。直で引く特上物です。更にその上には自家製の海苔佃煮。
自信の無いお店では、キャビアや金粉で飾り付けしそうですが、それは明らかに過剰な足し算。
港区ではなくて渋谷区の仕事に、無駄な飾りは必要有りません。
全体を混ぜ混ぜします。
焼きナスの皮目からの香ばしい移り香と苦味、赤ウニの甘味を自家製の海苔佃煮の潮の香りと塩味が包み込みます。
最初の一皿からすでに口福の絶頂。
あまりの美味しさに朦朧とする視野の片隅に、三本の串で支持された少し赤みのある梔子色の塊が飛び込みます。
えっ、ええっ、ラッコの掌より大きい!
まっ、まさかの、アレ?
二人して目を見合わせ、『日本酒にしましょう』と思わずハモってしまいました。
⚫︎生クチコの炭火炙り:
梔子色の塊は生のクチコ。炭火で表面に軽く熱を加え、内側は半生のまま周囲を固めます。
明らかに赤海鼠百本以上は必要だよなぁ・・・
唖然、呆然、愕然とするドラゴン&ラッコ!
女将さんが『勝駒が合うと思いますよぉ~』と、能作の徳利を差し出します。
すかさずキットカット大のクチコの端っこを齧って、富山の銘酒を口に含みます。
アイヤァ、荒波のごとく押し寄せる旨味の塊!
もしかしてこの海鼠、富山湾の恵みかも。富山の酒器(能作)から注がれた富山の銘酒と合わない訳も無し。
⚫︎押寿司:サゴシ
今が旬のど真ん中のサゴシ。ラップでくるんで成形し、3cm程度の幅に切りそろえてご提供。
そのサゴシ、鰆の幼魚なので脂もきつくなく、酢に良く馴染みます。
押寿司といえばサバが定番ですが、その旬は晩秋。でも大丈夫。サバの代打は同じサバ科のサゴシで決定。
⚫︎揚げ物:
・ヤングコーン:髭付き
・鮎
・薬味:木の芽、田楽味噌
・海苔巻き
押寿司の酸味で口中がサッパリしたところで揚げ物の登場。
ラッコと同郷の脇板が、焼海苔の束を手に炭火の前に佇みます。練炭と備長炭の位置を入れ替え、網の上で手にした焼海苔をパタパタパタ。立ち上がる潮の香気に朦朧とするラッコ&ドラゴン。
板前では、潮の香を引き出した海苔の上に、手早く揚げ立ての髭付きヤングコーンを乗せる親方。田楽味噌をひと刷毛し、その手前に炙った稚鮎と木の芽を乗せてご提供。
揚げ油で海苔が湿気る前にすかさず手巻き状にまとめて、八ムッ、ハムハムハム。
う~ん、うんうんうん、揚げ物のコクに田楽味噌の甘味、稚鮎の内臓の苦味に木の芽の香気と焼き海苔の潮の香。全てが完璧なハーモニーを奏でます。
⚫︎椀物:
・甘鯛
・新玉葱
新玉葱のあたりの柔らかい甘味がお出汁に溶け込み、節や昆布の旨味と相乗効果を演出。なんとも表現のしようのないお汁となりました。
甘鯛も文句なしの脂乗り。断面に煌めくポワソンナクレをウットリと見つめてしまいました。
⚫︎お造り:
・真鯛
・鳥貝
・薬味:本山葵、酢橘、塩
真鯛は適度な熟成。恐らく朝締めでしょうか?
歯茎を押し返すような弾力が特徴の真鯛ですが、肉繊維がほど良く解けて、その隙間に酢橘の酸味と塩の塩味が浸潤し、ただただウンマイの一言。
鳥貝は湯引きした個体を炭火で軽く炙り、甘味を引き出した仕立て。こちらは本山葵と御殿場の醤油(京味と同じ)との相性が抜群でした。
でもそろそろ二枚貝も名残りですね。来月からはおそらく鮑やツブの登場かも、アハッヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎焼き物:
・鱧
・飴煮
・茗荷
細く千切りした茗荷を枕に、炙った鱧が横たわります。
薬味は飴煮。鱧はハシリなので、小型の韓国産でご提供。盛夏になれば播磨灘あたりの鱧が登場するのかもしれません。
⚫︎塩焼き:
・鮎:和良川(郡上市)
これは今年ナンバーワンの鮎。内臓の苦味は柔らかく、身肉とのバランスが最高。やや小ぶりですが、頭から齧り付くにはちょうど良いサイズ。
それにしても鮮度が抜群。聞けば、和良川の現場では釣れ次第、電気ショックで〆るのだそう。なるほど・・・
⚫︎揚げ物:
・賀茂茄子
・オクラの花
・薬味:塩昆布、塩
真ん丸な加茂茄子の表皮を、菜切り包丁で狭く細く、身肉を削ぎ取らないよう実に丁寧に剥く親方。ジュルジュルと刃を滑らせている間は呼吸を止め、その眼差しは真剣そのもの。
厨房に移動し、オクラの花と一緒に揚げました。イタリアンの花ズッキーニのフリットみたい、アハッヾ(≧▽≦)ノ
振り塩でシンプルにいただくも良し。塩昆布の旨味を足しても勿論オッケー。
⚫︎強肴:
・アジメドジョウ:素揚げ、和良川
・豆腐:絹ごし
・出汁:スッポン?
アジメドジョウ、初めてです。
いわゆるドジョウよりは遥かに細く小さく、シラウオのようなサイズ。皮はウツボのような模様。鮎を仕入れる和良川の漁師さんから『こんなんあるよぉ~。うちらは良く食べてるけど、グフッ』と促されて仕入れたのだとか。
珍味と言えば珍味ですが、そこは流石の親方。ひねりを加えます。
高田馬場だったかな、有名なお豆腐屋さんの絹ごしと合わせ、スッポン風味のお出汁を張るなんて、そんな発想、どこから出てくるんでしょう。それに加えて手間を惜しまないその姿勢。
ただただ感服してしまいます。
⚫︎焼き物:
・ミニハンバーグ:ランプ
・蕗の薹:甘煮
・しまらっきょ:千切り
・春菊
つなぎなし、玉ネギなしのランプ肉100%。薬味は醤油、日本酒、酢、味醂を調合したソースにおろし新玉ネギを加えます。
このソースが抜群にウンマイ。混ぜ物無しの挽き肉に新玉葱の甘味が加わり、そんじょそこらの和風ハンバーグをはるかに凌駕する味わい。
恥ずかしながら、そのソースを飲み干してしまいましたヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎ご飯もの:
・牛肉の時雨煮
・生唐墨
・香の物:胡瓜、昆布、茄子、蕪
・白飯:二膳
・炊き込みご飯:一膳
・鴨
・蕨
・九条ネギ:トッピング
・赤出汁
牛肉の時雨煮ですが、京味系に比べ針生姜の目立つ仕立て。上白糖の甘味と新米の甘味が共鳴し、指数関数的に旨味が倍増。
生唐墨は箸の先端にちょっとづつ乗っけて日本酒とともにナメナメナメ。半分ほど残して手打ち蕎麦にトッピングしていただきました。
炊き込みご飯は鴨の脂が新米をコーティングし、後乗せの九条ネギのシャキシャキ感がアクセント。ホントはお代わりしたかったのですが、次のお蕎麦を三皿いただくと決めていたので、お土産用のおむすびにしていただきました。
⚫︎手打ち蕎麦:
・三皿
・薬味:本山葵、九条ネギ、黒七味
三皿いただいたからといって、一皿が少量と言うわけではありません。むしろ、高価な有名店よりは多めかも?
それにしてもこちらの辛口の蕎麦つゆが、なんとも言えず、口に合う。
⚫︎フルーツ:
・メロン
・デコポン
⚫︎デザート:
・杏仁豆腐
・アイス最中:ラムレーズン
四種類の中から一つを選ぶのが基本ですが、ラッコ&ドラゴンはそれぞれ二種類を選択。
『この追加分ってお値段に反映するんですかね。お蕎麦なんて三皿いただいたし・・・』などと、今さら恥ずかしくて聞くに聞けない疑問に悩む二人でした。
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・勝駒:純米吟醸、高岡
・あたごのまつ:鮮烈辛口、大崎
・みむろ杉:特別純米、辛口、桜井
・伯楽星:純米吟醸、大崎
・宝剣:純米、呉
4.05
2024/06/09 更新
2024/02 訪問
今ここにある真善美
月曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は幸いにも、先月から連続してこちらの【樋口】さんにお伺いすることが叶いました。
ご一緒するのは、カワユイ博多弁でラッコを翻弄するニャンコ娘(ハンドルネームはマル秘です)、アハッ\(//∇//)\
銀座線の外苑前駅で待ち合わせ、雨に濡れて煌めくキラー通りをノテノテノテ。こちらのお店は回転制では無いので、六時半にお伺いできるのも有り難い。
餅花を眺めながら、お香の香り漂う石段をトコトコトコ。格子戸を開けて『こんばんは』
芦田愛菜さんがお母さんになれば、おそらくこんな感じ、みたいな女将にご挨拶。明るい笑顔の目元と目尻、ふくよかな頬っぺたがまさにソックリ。
傘とリュックに上着を預けてカウンター奥にご案内。程なくすると五人組のお若い男女、おそらくご同業の方達でしょうか、緊張を隠さず静かにお越しになり、七名での懐石がスタート。
親方の樋口氏とも挨拶を交わし、先ずは恵比寿の小瓶で喉の渇きを癒します。
さてさてそれでは本題。
いただいたコース内容は以下の通り。
お料理の写真は撮影禁止なので、ラッコの駄文でご説明します。
冗長になってしまいますが、最後までお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
昨年の神無月以来の二回目となるニャンコ娘。
『あっふぅ・・・、こちらのお店が一番好いとうとぉ〜』と、喜悦の溜息。
かたや隣のラッコも『ウウッ、うまかバイ!』と、にわか博多弁で荒ぶる吐息。
あっ、爺様の加齢臭漂う吐息はどなたも要らないっすよね、グフッ\(//∇//)\
それにしてもこちらの一皿一皿は、まさに真善美の完成系。
目と耳と鼻と舌で理解する真実。
高級輸入食材で誤魔化すあざとさの無い善行。
そして、器と一体化した審美上の美。
これ以上の駄文は不要です。
<コース内容>
⚫︎お通し:牡蠣の擦り流し
・卵黄
・片栗粉
トリミングした際に生じる外套膜や殻頂の部位を使用。見映えのよく無い端っこだけど、旨味のグリコーゲンは十二分。その旨味を卵黄の溶き卵と葛粉ではなく癖の無い片栗粉でまとめました。
素材を無駄にしない技量には毎度のことながら脱帽します。
⚫︎先付:
・ムラサキウニ:時雨煮、木の芽、筑前
・空豆
ムラサキウニの時雨煮なんて初体験。筑前産とのことなので、姫島、能古島、志賀島あたりかな?
丁寧に弱火でコトコトと仕上げたので、身崩れも無く、甘ジョッパイ味わいが口中を支配します。
これはお酒のアテに最高!
『福岡の女は芋かばい!』
ラッコが同じ台詞を呟いたらセクハラ間違いなし。だって芋女、と勘違いされちゃうかも。
それはともかく、ニャンコ娘の御託宣に素直に従い、麦と芋の焼酎て飲み比べのスタート。
⚫︎お凌ぎ:
・お粥:河豚出汁
・ちょろぎ:梅酢漬け
河豚の透徹とした味わいに、ちょろぎの梅の酸味がなんとも言えぬアクセント。
先付けで冷えた胃に温かい河豚出汁が染み渡ります。
⚫︎小鉢:
・細魚:昆布〆
・赤貝
・山うど
・黒胡麻酢
・山わさび
今が旬の細魚。日高かな真昆布かな、噛めば軽めのアミノ酸がやんわりと染み出します。
山うどのシャキシャキ感で食感の変化を楽しめば、黒胡麻風味の酢で個性豊かな面々をまとめた逸品。
これは焼酎に合う。
でもここでニャンコ娘の呟き。
『日本酒が飲みたかぁ〜』
狙いは鄙願と読んだ。
でも正直者の女将。三分の一のお値段のみむろ杉をお勧め。
『お椀の後はお造りですから、こちらの辛口純米がお口に合うと思いますわよぉ〜』
女将に従うのが和食の基本。
⚫︎お椀:
・甘鯛
・聖護院蕪:鬼おろし
・甘鯛の皮:炭焼き
・木の芽
先ずは炭火でカリッカリに炙った皮をハムハムハム。だってお汁に濡れてグジュグジュになると、せっかくの仕立てが無駄になっちゃいますものね。
加えて、木の芽の香りで身も心も清められるラッコ。いやぁ、爽快そのもの。
お汁は昆布ベースかな?
魚系のくどさは皆無で、昆布の怜悧な旨味が一塩の甘鯛を頂点にまで引き上げます。
⚫︎向付:
・真鯛
・ムラサキウニ:筑前
・薬味:xx泉、酢橘塩
真鯛はいかっておらず、今朝〆たくらいの熟成感。噛むとグミのような弾力でラッコの歯茎を押し返します。
それと同時に鼻腔の奥を微かにくすぐる甲殻類の香り。やはり小海老や小さな蟹を食べているのかな?
いずれにしても、特上物で間違いなし。
ムラサキウニは赤ウニと同じく板で届きます。唐津かな、と問えば、まだ時期的に筑前とのこと。
その板から親指二本分くらいを盛り付け、本山葵でいただきました。
うん、うんうんうん、旬の唐津や淡路の赤ウニより遥かに濃ゆい味わい。やはり個体差と収穫後の扱いが左右するのかな。産地に盲従する必要は全くありませんね。
⚫︎焼物:
・虎河豚:鰹の酒盗漬け
・溶岩焼き
・山椒
・薬味:白子酢
・芽ネギ
長方形の溶岩?プレートでラッコ自ら焼き上げます。これからの時期、ホタルイカで使用されていたところ、女将の『この段ボール箱(石のプレートが入っています)、ほんの数週間しか使わないんですね』とのご意見に言外の意図(邪魔なのよ)を察した親方、『・・・ということで、河豚にも使ってみようかな、と』
なるほど、でもテッサをただ焼くだけなら誰でも考えること。鰹の酒盗に漬けて旨味を添加し、更に裏漉しした白子酢(フルーチェみたい)と芽ネギを添えるとこが常人には無い発想。
もちろん、文句なしの旨さでした。
⚫︎八寸:その一
・蛤ソテー
・ほうれん草:炭火焼き
煮切り醤油に軽く漬けた蛤を片栗粉で包み、フライパンでソテーに。付け添えは炭火で熱を加えたほうれん草。
なんのことはない、家庭でも作れそうな地味な仕立てですが、爆発的にウンマイので、やはり何かが違うのかなぁ\(//∇//)\
⚫︎八寸:そのニ
・本モロコ:炭火焼き、三杯酢、蕗の薹の煮物
・本モロコ:付け焼き、木の芽
琵琶湖産の本モロコ。塩の炭火焼きと甘辛い付け焼きで、都合五尾ほど供されました。
女将の勧めに従い、隠し酒の″貴 山廃純大吟″に合わせました。この貴、2017年のお米。今は生酛造りになったようで、市中在庫も少ない逸品ものだとか。
確かに菊姫の山廃のようにガツンと叩かれるような強さは無いけれど、良い感じに熟成してきたその年輪を感じることが出来ました。
⚫︎強肴:
・真鴨:胸肉、手、ササミ
・百合根
・りんご
・ニラ醤油
真鴨の色んな部位を炭火で炙って、適当な大きさに削ぎ切り。ニラ醤油とリンゴで軽く混ぜ合わせました。
これはお酒が、♪もう、どうにも止まらない、アハッ♪と、何故か山本リンダが降臨。
⚫︎炊き合わせ:
・鰤大根:黄柚子
いやぁ、ヤバいよぉ〜。こんな鰤大根がいただきたかった。突出した味わいは何もなく、控え目だけど繊細な仕上がりにただただ感涙。
⚫︎ご飯と汁物:
・氷魚:二膳
・猪の炊き込み:二膳
・小鉢:生唐墨、茄子の煮浸し
・香の物:昆布、白菜、蕪、柴漬け
・赤出汁:もずく
氷魚と猪という山海の素材をこれでもかとお使い。もうね、美味しすぎて旨すぎて、四膳もいただいてしまいました。
⚫︎十割蕎麦:
・二皿
親方が毎朝手打ちされる十割。そんじょそこらの町蕎麦屋さんは尻尾を巻いて逃げちゃうかも、アハッ(^◇^)
⚫︎デザート:
・やよい姫
・アイス最中:ラムとイチジク
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・壱岐づくし:麦焼酎、壱岐
・舞香:麦焼酎、大分
・六代目百合:芋焼酎、鹿児島
・みむろ杉:特別純米
・貴:山廃純米大吟醸、宇部
2024/02/20 更新
2024/01 訪問
尽善尽美なカウンター割烹なのだ、の巻
木曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は三ヶ月ぶりのこちら、【樋口】さんにお伺いしました。ご一緒するのは、ドラミちゃん体型からまさかの大変身を遂げたフォロワー女史。
でもやはりドラミちゃんはドラミちゃん、グフッ\(//∇//)\
銀座線の外苑前からノテノテノテ。こちらのお店は回転制では無いので、六時半にお伺いできるのも有り難い。
餅花を眺めながら、お香の香り漂う石段をトコトコトコ。蘇民将来に由来する笑門のしめ飾りに迎えられながら、格子戸を開けて『こんばんは』
ふうっ、このアプローチだけで非日常。
頬を撫でるお香の香りに、日頃のささくれ立った心持ちも落ち着き、なんとも心地良い。
この香りで持ち前の加齢臭も消えた筈やな、なんてニヤニヤしながら、日常から解放されたラッコは、ホッとひと息吐きながら、笑顔の素敵な女将さんに『今年もよろしくお願いいたします』と年始の挨拶を交わし、横着者らしく、コートとスーツの上着を一緒に脱いでカウンターに着席。
既に六時スタートでしょうか、ご家族と思しき四人の方達が歓談中。親方の樋口氏とも挨拶を交わし、先ずは恵比寿の小瓶で喉の渇きを癒します。
さてさてそれでは本題。
こちらのお店は料理の撮影禁止なので、冗長になってしまいますが、ラッコなりの駄文で説明しますのでご容赦を。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
今、一番口に合うヒトサラは何か、と問われれば、一も二もなくこちらの【樋口】さんに在り。
今、一番肌に合う雰囲気のお店は何処か、と問われれば、それはやはり【樋口】さんで決まり。
今、一番好きな料理人さんはどなた、と問われれば、それは迷うことなく【樋口】さんの一択。
これがラッコの思いの全てです。
<コース内容>
⚫︎お雑煮:
・白味噌
・切り干し大根餅
・サイマキ
宮崎の農家から取り寄せる切り干し大根。戻し汁を白味噌と合わせてお汁の完成。
お餅は切り干し大根が練り込まれており、その香りに速攻で悶絶。
サイマキの尻尾の紅白にお正月を感じながら、このお椀で早くも『やはり、こちらが一番やな』と深く頷きます。
⚫︎生寿司:
・エボダイ
・卯の花:煎り煮
塩〆と酢〆で洗練されたエボダイ。海沿いの温泉旅館の朝の定番が、樋口氏の手で渋谷区女子に華麗に変身。卯の花の煎り煮の香りをまとい、その地味なエロさが迸ります。
卯の花の食感に小さな粒々を感じます。エボダイの産卵期は春なので、まさか、エボ卵?
恥ずかしくて聞けなかった、アハッ\(//∇//)\
⚫︎海老芋:
・唐揚げ:富田林
・猪:バラ肉の味噌漬け炙り、鳥取
縦に四つ割りした富田林の海老芋。下味がしっかりとしているので、そのままでも勿論美味しいのですが、添え物との相性が抜群。
その添え物や薬味はお店により様々ですが、こちらの猪のバラ肉の味噌漬け炙りとの組み合わせは、ラッコ食史上、明らかにナンバーワン!
お酒が進むわぁ、グフッ(^◇^)
⚫︎虎河豚白子炙り:
・酢橘
まるで大き目のマシュマロみたい。炭火で炙ってお餅のような食感に変化した表面と中身のトロトロのハーモニーを楽しみます。
ニャンコ舌のラッコにとっては危険なヤツですが、お箸で表面をちょっとだけめくり、内側に酢橘汁をたっぷりポン。
そして丸呑み。
ハフハフしながらアムアムアムッ。
ああっ、視界が霞んできた。熱くて熱くて涙目になっているせいかも、ウフッ(^O^)
⚫︎お椀:
・甘鯛:お腹
・新筍:鹿児島
甘鯛はお腹部位なので、皮目が熱収縮して海老反り状態に。その柔肌が七色に煌めきます。おおっ、甘鯛お嬢の脂や・・・!
そのポワソンナクレに思わず見惚れつつ、お嬢の脂が欲しい。給油や、給油、なんて、無心にハムハムする乾いた爺様でした、デヘッ\(//∇//)\
⚫︎白甘鯛:
・菜の花:炭火焼き、京都
・ほうれん草:炭火焼き、東京
削ぎ切りして炭火で軽く炙った白甘鯛。お椀の甘鯛とは明らかに異なる身質。
甘鯛がお嬢とすれば、白甘鯛は壮年男子か?
そのやや筋肉質の身肉に寄り添うのは、敢えて焦げ目をつけた菜の花の鮮烈な苦味と、都内で採れたほうれん草の甘い地味。
ただただ溜息の連続でした、オッフゥ(^◇^)
⚫︎お粥:
・香箱蟹:脚肉、内子、外子
・蕪
・塩昆布
・小ネギ
お凌ぎと称された逸品。
確かにこのお粥、『ドゥドゥドゥ』と、どストレートなお皿に興奮してきた胃を優しくいなします。
甲羅を器がわりにした香箱のプレゼンテーションは何処のお店でも有りますが、見た目のバエ度はともかく、綺麗に並べただけやん、蟹酢もつまんないな、と感じてきたラッコ。
まさかのお粥仕立てで供されるとは、その引き出しと発想力にびっくりポン。
蕪の極小賽の目切りで食感の変化を演出すれば、花錦戸のまつのは昆布(勝手に想像)のスッポン出汁の塩味でアクセントをつけ、おそらく鴨頭ネギ?の繊細な青臭い香りで全体を完璧にハーモナイズ。
凄えや、凄え、ウン( ^∀^)
⚫︎お造り:
・めじ鮪:タタキ
・真鯛
・薬味:水塩、醤油、本山葵
遠目で見たら鰤と見間違う身質。串を刺して皮目を炭火で強めに炙り、皮裏に微かに残る生臭さを焼き切ります。
この皮だけでもお酒が一合、いけちゃいそう。
その身は薄めの桃色。エロい、エロ過ぎる。でも子供でこの脂のりだから、ただの海の肥満児かも、アハッ\(//∇//)\
⚫︎ホンモロコ:琵琶湖
・炭火焼き
・薬味:三杯酢おかか
モノホンのホンモロコ。琵琶湖だけに生息する希少な食材です。
こちらもめじ鮪と同様、焦げ目がつく程度に皮を炙り、香ばしさを最大限に引き出しました。
おかかを落とした三杯酢との相性も文句無し。慌てて″みむろ杉″を所望し骨酒風にモグモグモグ。うん、ウンマイ、テヘッ(^◇^)
⚫︎聖護院大根:
・真鯛骨出汁
お造り、焼き物とお魚が続いたところで、次のメインとなるジビエの前のプロローグ。とくれば、やはり今の季節、聖護院の蒸し物ですよね。真鯛の骨出汁でエッジの効いた味わいで供されました、ウフッ(^ν^)
⚫︎尾長鴨:鹿児島
・胸肉、ササミ、手羽元の削ぎ切り
・蕪の鬼下ろし:紅白仕立て、乳酸発酵
・紅玉林檎:甘煮、きな粉
・薬味:富士泉醤油、おろし玉葱
尾長鴨の部位別に串に刺し、炭火でゆっくりと適度な加減で焼き上げます。
御殿場の醤油との相性も文句無しですが、乳酸発酵させた紅白の蕪の鬼下ろしと合わせると、その酸味、塩味、旨味が口中で爆発、ドッヒャ\(//∇//)\
⚫︎ご飯物:
・芹ご飯:三膳
・牛肉の時雨煮
・生唐墨:長崎
・香の物:白菜、蕪、昆布、青柴漬け
・赤出汁:湯葉、零余子
シンプルな芹ご飯に感動。促されるままに三膳もいただいちゃいました。
だって牛肉の時雨煮は京味系のお店のそれを軽く凌駕する丁寧な味わいだし、長崎から取り寄せる生の唐墨がこれまたウンマイ。
この夜の時間にお米を三膳も平らげるなんて、キャンパスの診療所のドS女医さま、御免なさい、グフッ\(//∇//)\
⚫︎〆蕎麦:
・十割蕎麦:三枚
・蕎麦粉:茨城
・薬味:九条ネギ、本山葵
こちらの〆の十割蕎麦は絶対に外せません。
蕎麦のカロリーの高さは理解しているものの、ついつい三枚も胃の中に。
十割なのにかなりの細麺。それでもまったく切れずに繋がっている・・・
蕎麦粉を練るときの技量なのかな、水分量なのかな?
蕎麦つゆにしたって、そのコクとキレの良さは、名だたる専門店も真っ青になるくらいの完成度。もうね、尻尾を巻いて逃げちゃうのでは、アハッ\(//∇//)\
⚫︎デザート:
・苺:やよいひめ、群馬
・アイス最中:ラムレーズンのマスカルポーネ
やよいひめ、恐るべし甘さ。
アイス最中、ラムレーズンの甘い香りに誘われちゃいそう、グフッ(^ν^)
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・宝剣:純米、呉
・日高見:弥助、芳醇辛口純米吟醸、石巻
・みむろ杉:特別純米、辛口、桜井
2024/01/19 更新
2023/10 訪問
十全十美なカウンター割烹なのだ、の巻
木曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は凡そ三ヶ月振りのこちら、樋口さんにお伺いしました。
昨年の三月に初めてお伺いし、その衝撃に愕然としたラッコ。縁あって今年の七月に再訪が叶い、その際に松茸狙いの十月の予約を確保しておりました。
生憎、ご一緒する予定の女子がお仕事の都合で泣く泣く断念。そこでピンチヒッターに立ったのが、つい月曜日に銀七のお鮨屋さんで酩酊したばかりの博多のニャンコ娘。
外苑前で待ち合わせ、ノテノテと歩くこと十分くらい。角を右に曲がってしばらく歩くと、ふぅうぅ、落ち着いた外観のアプローチが二人を迎えてくれました。
階段を登り暖簾をくぐると、すでにカウンターにはラッコと同世代の女子とお母様の二人連れが前菜を楽しまれているところ。
ラッコ達はカウンターの真ん中に座り、先ずは恵比寿の小瓶で唇を湿らせます。
小一時間経過したところで一組の男女が現れ、カウンターの六席が埋まりました。
個室にもお客様がいらしていたようです。
さてさてそれでは本題。
いただいたコース内容は以下の通り。
料理の撮影は禁止なので、拙い長文と駄文ではありますが、少しでも樋口氏の人としての魅力と、他に比類を見ないお料理の輪郭だけでも伝われば幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<いただいたお皿>
⚫︎前菜:黒イチジクと虎河豚の湯引き
皮付きの黒イチジクを四つ割りにしてトリミング。虎河豚の身や内臓の湯引きを柑橘系のジュレでまとめました。
のっけからドストライクの逸品。夏の終わりに相応しい爽快な小鉢でした。
⚫︎焼物:鮎の風干しとくちこ炙りの銀杏添え
旬の季節に腹割りし、日陰で風干ししていた鮎。適度に水分が抜け、炭火の遠赤効果でパリパリ食感に昇華。
くちこは購入品ですが、市販のそれより明らかに分厚い。炭火で炙ったイチョウ型のそれに包丁を入れると、瞬時に立ち昇る潮の香気。
『ヤッベェー』と顔を見合わせるラッコとニャンコ娘。たまらず『日本酒が必要でござる』とラッコの地元の宝剣を所望。
舌を宝剣で湿らせ、くちこをひとかじり・・・
グッフォー、くちこのアミノ酸が核分裂しちまった、アハッ(^◇^)
⚫︎蒸飯:藻屑蟹の雌と餅米の唐墨シュリシュリ
まな板の上に甲羅が並べられた際、一見、香箱に見えましたが、まだ禁漁の筈・・・
唐墨をシュリシュリして手元に配膳されると、ウムッ、ムムムムム、なんだか微妙に形が異なる。
香箱の甲羅はオニギリ君だもんな。コイツはダイアン・レイン様のような四角顔やん。
ということは・・・?
『九州から直で引いた藻屑蟹でございます。雌なので内子も餅米に混ぜ込んでおります』と親方の助け舟。
おおっ、上海蟹とおんなじ剛毛系やな、アハッ。
『今の季節なら佐賀の竹崎蟹も良いですよね』とガザミに話題を振るラッコ。
『そうなんですよぉ〜、でも今は手頃なサイズが無くて、困っているんですぅ』と親方。
なるほど、それで現地の魚屋さんに相談したところ届いたのがこちらの藻屑蟹。
香箱に比べて殼が薄くて弱いので、脚の身をしごき出すのも大変なんだとか。
それでは早速、アンムッ(^◇^)
ほんのり温かい餅米が、シュリシュリした唐墨の粒を程よく溶かし、これはまさしく滋味や!
懐石の順番って良く考えられているなぁ。甲羅一杯の適量なので、程よくお腹が落ち着きました。
⚫︎汁物:松茸飛竜頭と葛打ちの名残り鱧
ようやく流通し始めた岩手産の松茸。短冊の薄切りに仕上げ、飛竜頭で包み込みます。揚げることで松茸の香気が閉じ込められ、割るとふんわりと立ち上がり、サブちゃん並に広げたラッコの鼻腔に吸い込まれました。
揚げ油のコクと椀出汁の怜悧な輪郭ともあいまり、思わず白眼を剥いてしまうラッコ。言葉を失いました\(//∇//)\
⚫︎お造り:気仙沼カツオの腹カミと山芋の短冊
このカツオは上物でした、全く嫌な臭みが無い。赤身の軽やかなヘモグロビン臭と、砂擦り付きの腹カミ脂のバランスの良さ故か?
薬味は糸島のxxx醤油。九州らしく濃厚な旨味ですが、やたらに甘くは無く、数滴の酢を垂らして酸味を添加。カツオの風味を更に引き立てます。
⚫︎お造り:竹岡産の真鯛
江戸前の真鯛とは珍しいかも。程よいサイズ感でやはり白身の王様。
薬味は本山葵に加え、二種類。
ひとつは酢橘の搾り汁を足した塩。もうひとつは静岡は御殿場のyyy醤油。こちらはかの京味さんとご一緒ですね。
それにしても、赤身のカツオと白身の真鯛で醤油を変えるとは、なんとも芸が細かい\(//∇//)\
⚫︎魚の炭火焼き:ビワマス
ほんのりと枇杷色の身色がJKを思わせる琵琶湖産の固有種。それを炭火にかざして、皮はパリッパリに、身質は半生に仕上げました。
淡白な若い味わいを引き立てるのが、ブラックマッシュルームのソース。恐らく北海道産かと思われますが、この土臭さがビワマスの未成熟な青い香りを成熟した大人の甘い香りに昇華。
『ドゥドゥドゥ・・・』
逸る還暦ラッコを正気に戻すのは、付け添えの水菜?の茎の胡麻和えでした。
⚫︎冷製炊き合わせ:鰊と茄子
京都の身欠き鰊のように濃口醤油の黒さは無く、薄口醤油の割烹仕立て。う〜む、うんうんうん、これが鰊の味だよなぁ(^O^)
茄子の揚げ浸しにお出汁の旨味が浸潤し、何のことはない普通の食材が気品すら帯びてラッコに迫ります。
こりゃあ、お酒が進むわいな、グフッ\(//∇//)\
⚫︎揚物:蜆汁の餡掛けに浸る秋の茸さん達
薄衣をまとった香茸と鱒茸。
その香りを壊さないように、蜆の旨味を閉じ込めた緩めの餡が寄り添います。
香茸は茶碗蒸しでしかいただいたことが無かったラッコ。器の蓋を開けては『ムヒョーーー』と叫んでいたけれど、齧ると高貴な香気がほとばしる天ぷらの方が口に合いました。
鱒茸は初体験。色合いが同じ季節に旬を迎える鱒に似ていることがその所以かな?
舞茸とエリンギを足して割ったような食感でした。
⚫︎肉の炭火焼き:イチボの完熟赤山椒添え
炭の上に乗っかるのは赤身の王様、イチボ。焼きは完璧。おろし玉葱醤油の塩味が赤身の地味を引き立てます。
薬味は完熟した赤い生山椒。枝から摘んだ状態でご提供。齧ると瞬発的に痺れる舌。新生姜のベッコウ煮(糠炊きしてきな粉をまぶした逸品)が痺れでいたんだ舌を優しく愛撫してくれました。
⚫︎温製炊き合わせ:穴子と蕪
穴子は薄口醤油で炊いて炙ったフワフワ仕上げ。蕪との相性もピッタリポン。並の鮨屋と比べるのは野暮だけど、尻尾巻いて逃げちゃうんやないかな、アハッ
やはり炊き方が全てか!
醤油や味醂、砂糖かザラメ、お酒の配合、火加減や炊き上げ時間にその後の処理。きっと全てが完璧なんでしょうね。
⚫︎ご飯:
四つの土鍋で炊き上げます。お米は奈良の棚田のコシヒカリ。炊き上がりを見定め、薄切りした岩手産の松茸をこれでもかと投入。
蓋をしてしばしの蒸らしタイム。
程なくしてご開陳。
湧き上がる松茸の香気に思わず朦朧とするラッコと博多ネコ娘。
〆に手打ち蕎麦があると知りながらも、三膳ほどいただいたラッコ。だって薬味の牛肉の時雨煮、鰻山椒煮、茄子の煮浸しがこれまた良い仕事をしているんやもん。
因みに香の物は、昆布、きゅうり、大根他。
赤出汁はおかひじきでした。
⚫︎ホントの〆:十割蕎麦
北海道雨竜郡の蕎麦を、親方自ら手打ちで仕上げます。
薬味は本山葵に青ネギ、残しておいた茄子の煮浸し。
十割なのに、この細さなのに、ボソボソ感が皆無。まるで二八の食感。
聞けば水分量に秘密有り!
蕎麦つゆも本枯れや鯖節、鮪節だと思うけど、これがまた半端無くウンマイ。
まるで蕎麦の専門店。思わずおかわりしてしまいました。
⚫︎水菓子:梨とシャインマスカット
梨は糖度の際立つ新美月。林檎よりも遥かにでっかい大玉でした。シャインマスカットはこの季節のお約束。
⚫︎デザート:四種から選択可能
ラッコはラムレーズンアイスの最中。ネコ娘は杏仁豆腐を所望。他には葛キリ、小倉アイス最中がご用意されておりました。
配膳されたところで、おおっと、ここで禁断の反則技。
『ラムちゃんのアイスば、食べたいんやけん』
ラッコの返事を待つまでも無く、スプーンを持つ手を伸ばすネコ娘。
『おっ、アグネス・ラムね。ラッコの憧れでした』
『ええっ、知らんトォ。うる星やつらのラムちゃんのことばたいねぇ』
『虎柄のパンツ履いてたチャンネーね、アハッ』
ここから話しが際どく変な方向に進みかけたので、慌ててお会計を済ませます、ウフッ\(//∇//)\
<お酒>
而今と善知鳥は隠し酒です。
とりわけ、鄙願の秋の酒と善知鳥はこのシーズン、四合瓶で二本ずつしか納品されなかった、ほぼほぼ幻のお酒でした。
・恵比寿:小瓶
・宝剣:純米、広島
・鄙願:大吟醸、秋の酒、程々、新潟
・而今:純米吟醸、東条山田錦、三重
・善知鳥:大吟醸、青森
ここまで無駄な長文に目を通していただき、ありがとうございます。
写真が有ればより伝わりやすいのですが、その点はご容赦を。
2024/01/18 更新
2023/07 訪問
まさに王道の和食。比類なき頂点に君臨するのだ、の巻
火曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は一年数か月ぶりのこちら、″樋口″さんにお伺いしました。いや、正確に書くと、お伺いすることが叶いました。
というのも、いつも仲良くしてくださるフォロワー女子から数ヶ月前にお誘いいただき、一も二もなく『馳せ参じます』と即答したラッコ。
サマータイムに移行した月なので、六時の予約時間もモーマンタイ。でも聞けば『一斉スタートではございませんので、お好きなお時間にお越しいただければ・・・』と親方の樋口氏。
ウッフゥ、なんや、そうだったんや。
嬉しいやないかい。
そいでは秋以降は六時半スタートやな、なんて予約もとれていないのに勝手な皮算用に励むラッコ。
それはさておき、カウンターは六席。
そのど真ん中にご案内いただき、恵比寿の小瓶でスタート。
両脇を二組のご常連夫婦に囲まれ、人目も憚らず、ご飯も蕎麦もデザートもおかわりし、おまけに恥ずかしげもなく、四種類の日本酒を痛飲してしまいました。
しまいには女将から『お蕎麦にコチラを合わせてみてくださいませ・・・』と、お猪口をサービスされる始末。
グフッ、これはもしかして、蕎麦をつゆではなく日本酒につけて食べてみなはれ、という、踏み絵、値踏み、昇段試験のようなものか?
次回以降の予約の難易度が、この所作、ひとつにかかっているのかもしれない、グフッ\(//∇//)\
試してみよ。
〆の蕎麦を軽く手繰り、お猪口に浸して、ズズズズズッ、ズッパー。
うっあぁ、美味えーーーーー\(//∇//)\
合うよ、合う。
純米の醸造香に蕎麦の香りがジャストミート。
ヤバいは、これ!
いや、待てよ。
もしかして、これが料理酒だったら笑いもんやねん。
落第や!
しかし、香りは純米吟醸だよな・・・・
女将に『これって何のお酒ですか?』とお聞きすると『喜久酔の特別純米でございます』とのこと。
アイヤァ、純吟と特別純米の違いも分からんかったっか!
しかも喜久酔なんて、焼津の名店で何度もいただいているやないか、アハッ\(//∇//)\
手打ち蕎麦の香りに惑わされた、ということにしておきましょう。
さてさてそれでは本題です。
いただいたコース内容は以下の通り。
写真は撮影禁止なので、可能な限りの語彙を使ってご説明しますので、想像力をマックスにしてお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
追記:
蕎麦と日本酒の試験も落第点ながら、ギリでご容赦いただき、次回の予約も無事ゲット。
これも全て、ご紹介元の紳士とお誘いいただいた″昔ドラミと呼んでいた女史″のお陰、アハッ(^◇^)
<まとめ>
初っ端の馬糞ウニと茶豆の裏漉しの土佐酢ジュレ?でいきなりのTKO。
思わず見つめ合うラッコと昔ドラミと呼ばれていた女史。
別に見つめ合うって、変な意味じゃないですからね、
その何というか、優しい味わいの奥に潜むマリアナ海溝級の奥深さに、ただただ呆然とするふたり。
以後も、すべてのお皿がパーフェクト。
一つや二つ、これは刺さらなかったな、ていうのが混じりそうなものだけど、全くの隙なし。
食べ比べてみて初めて分かる、この見えざる違い。
まさに和の懐石の正統、王道、覇道がここにある。
<コース内容>
⚫︎お通し:
・馬糞ウニと裏漉し茶豆の土佐酢ジュレ
・梶の葉:飾り
裏漉しした茶豆に木製の匙を刺すと、ラッコの低い鼻にも軽く到達する、茶豆の芳香。
ジュレの酸味とウニのコクと茶豆の香りで早くもドクターストップか?
⚫︎鱧の湯引き:由良
・薬味二種:完熟梅、青梅、本山葵
・青芋茎
薬味の梅二種が破壊的な美味さ。何やろう、何で割ってんやろう?
味わいの奥行きが違う。他店のそれがやっつけ仕事にしか思えないほどの完成度。
⚫︎イチジク胡麻餡かけ:
・削りアーモンド
・鮟肝山椒
胡麻の香りが明らかに違う。その香りを失うことなく餡に仕上げるのって、地味だけど隠れた技ではないでしょうか?
鮟肝にも加えられたひと手間が光ります。ただの蒸し煮は何処にでも有りますが、表面に山椒をまぶした仕上げには思わず悶絶。これはお酒が進みます。
⚫︎飯蒸し:
・炊き立てご飯:奈良の都祁米
・琵琶湖稚鮎
・茶碗蒸し:魚醤出汁
餅米の飯蒸しは何度か経験がありますが、奈良の都祁米は初めて。しかも魚醤で塩味を補填した茶碗蒸しの溶き卵と、琵琶湖の稚鮎の蒸し物がトッピング。
何やろう、これは?
フワフワ魚醤出汁の茶碗蒸しご飯、とでも言うのかな。
ただの飯蒸しだと口中が渇きますが、茶碗蒸しなので問題なし。
こんな仕立ては初体験でした。
⚫︎お椀:
・アイナメ:葛打ち
・賀茂茄子
出汁自慢の懐石店は数あれど、ラッコの狭い経験史上、今夜のお椀がナンバーワン。思わずサムアップしちゃいそうです。
⚫︎お造り:
・真鯛:明石
・縞鯵:高知
真鯛はやはり明石が最上か!
腹身と背身を水塩と酢橘でいただきましたが、身が全くだれていない。噛み締めると甲殻類のような味わいを感じます。小海老でも餌にしているのかな?
縞鯵も腹身と背身を堪能。
でも何だかお鮨屋さんのそれとは、身質と食感が明らかに違う。
聞けばお酒と調味料を加えた酢で二十分ほど酢締めしているのだとか。お鮨屋さんは塩締めの軽く酢洗いが基本ですから、地味の引き出し方が異なるが故の仕上がり。
更に藁で燻して薫香を纏わせました。
ウウッ、グッフゥ、シングルモルトがロックで欲しい!
⚫︎鮎の塩焼き:
・和良川:友釣り
・ナスの皮の焚き物
先週金曜日にいただいた天竜川、九頭竜川の天然物とは内臓の味わいが異なります。
和良川のこちらの内臓は、その香りと心地良い苦味が明らかに濃ゆい。皮目を焼く技量は変わらずとも、川により餌の異なる個体の差が理解できました。
言うまでもなく、良い悪いではありません。あくまでも好みと親方の嗜好の話です。
⚫︎冷製炊き合わせ:
・茄子
・冬瓜
いずれも旨味抜群のお出汁を含んで、ラッコ、悶絶。
それにしても茄子に油は合う。
⚫︎牛肉の炭火焼き:
・イチボ
・赤エンドウの芽の粒マスタード和え
・新生姜:きな粉まぶし
・薬味:生醤油?
お肉を提供されない懐石料理屋さんも有りますが、こちらは完璧な火入れのイチボをご提供。
肉好きのラッコとしては、塊肉を切り分ける時点で既にハートマークに輝くつぶらな瞳。
あっ、ここは想像しなくて良いですからね。ザビエルハゲのオヤジにハートマークの瞳で見つめられたら、窒息しちゃいますもんね、アハッ
⚫︎飛竜頭:
・白海老
・白味噌と海老だし
カツオ出汁で割った白味噌つゆの飛竜頭は初めて。それにしても、むき身の白海老の繊細な旨味を白味噌が引き立て、これはお腹の落ち着く一皿でした。
⚫︎天然ウナギ:静岡
・返し焼き
・実山椒
一種の地焼きですが、返し焼きとは昔からある和食の技法だとか。
頭から吊るしたウナギの骨と身を丁寧かつ慎重に包丁で剥がし(靴下を脱ぐ要領です)、関東の背開きでもなく関西の腹開きでもなく、骨と内臓だけを抜き取る、いわば射込みの技。
昔は骨の代わりに牛蒡を射込んだりしたそうです。
筒状なので、炭で焼いても身の水分が中に閉じ込められ、蒸してもいないのにフワフワハフハフの仕上がり。
ソフランもレノアもお役御免なのだ、アハッ。
⚫︎ご飯もの:
・夏鴨炊き込み:三膳、鰹出汁
・香の物:水茄子、昆布、胡瓜、青柴漬け
・赤出汁:ジュンサイ
白飯と新生姜と夏鴨(合鴨)の三種類から選択可能。注文を受けてから土鍋で炊き上げます。
ラッコ達は夏鴨を所望。
その夏鴨の旨味と脂が鰹出汁の染み込んだ奈良の都祁米をコーティング。その美味しさについつい手が伸び、三膳ほどいただいちゃいました。
それでもまだまだ土鍋に余っているので、オニギリを二個、手土産に持ち帰ります。
翌日の朝ごはんや、アハッ\(//∇//)\
⚫︎蕎麦:二杯
・薬味:茄子揚げ浸し
⚫︎デザート:
・デコポン、メロン、マンゴーソース
・杏仁豆腐:黒蜜
・アイス最中:イチジク
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・宝剣特別純米、呉
・みむろ杉:純米吟醸、奈良
・鄙願:純米、新潟
・蒼天:純米吟醸、東京
2023/07/12 更新
2022/03 訪問
カウンター割烹の真髄に触れたのだ。もはや神の領域、の巻
水曜日の夜です。
外苑前で地下鉄を降り、キラー通りをノテノテと歩く丸い影がひとつ。霧雨の煙り始めるなか、神宮前三丁目の交差点を左折し、ほどなく辿り着いたのが、こちらの”樋口”さん。
昨年末、車力門の懐石でご一緒した壮年男子にお誘いいただき、念願の暖簾をくぐることとなりました。
その男子は二十年来のご常連で、親方の樋口氏や女将さんともご昵懇の仲。そういう太い伝手でも無ければ、この希少な席には座れません。ましてや一見のラッコなぞ、その暖簾に触れることもできなかった筈。
この場を借りて感謝申し上げます。
さてさて、本来六時スタートの一回転制のようですが、ご常連男子の計らいで六時半スタートにずらしていただき、食べ友を加えた三名揃って暖簾をくぐります。
ゆとりのある間隔でカウンターに着席。
目の前には撮影禁止の木札が。
ああっ、なるほど、でっかい一眼を持ち込んだり、それをカウンターに無造作に置いて白木をへこませる輩がいるのも事実。それに音がうるさいのもね、ここはスタジオじゃねぇーぞ、なんて腹の中で笑っている方も多いのでは。
流儀には素直に従うラッコ。
スマホは料理メモと化しますが、四合瓶をまじまじと見つめるラッコを不憫に感じたのか、ご常連男子の顔ゆえなのか、小柄な女将が『お酒は撮影されても構わないのですよぉ~』と優しく、カワユク呟きます。
好っきやわぁ、その笑顔。
カウンターの奥では樋口氏もにこやかに微笑まれております。
アカン。キュン死やねん。
翌朝、このレビューを認めておりますが、昨夜の経験を思い出しては自然に口角が上がります。実はそういったお店は、少ない。
願わくば再訪し、親方と女将の優しさに抱かれたいと妄想する、甘えん坊のラッコでした。
それでは、コース内容は以下の通り。
写真はお酒しかありませんので、ちょっと長めの駄文となりますが、一皿ごとに詳しく記しますので、お時間が有ればぜひご一読くださいませ。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
時間通りに暖簾をくぐると、お香の漂う空間に包まれます。無駄な肩の力が抜け、フッホォーと深くため息、熱い吐息。荒ぶる魂を抑え込みつつ、静々とカウンターに進んでご挨拶。
室温が上がります。恐らく外気で冷えた私たち三名の身体を温めようとの気遣いかと。
初めてのお店なので少々緊張して臨んだものの、一見とは思えない距離感で、実に温かく丁重に接してくださる親方と女将さん。
そのお人柄というか、人間力に感嘆するラッコ。
どんな美辞麗句も及びません。
客人をもてなす真髄と神髄がここにありました。
<いただいたもの>
お料理には作り手の人柄が写る、とはよく言ったもので、いずれのお皿も滋味深く、食べ手の心に優しく触れるかのような味わい。
素材の地味を究極にまで昇華させた技量と、惜しみのない手間、汗、努力に思いを巡らせながら、ひとつひとつ丁寧に咀嚼しつくしました。
●小椀:車海老と空豆の蛤出汁の吸い地
蛤出汁に浮かぶ背割りの車海老と甘い空豆。
木の芽の土の香りが鼻腔をくすぐり、蛤の潮の塩味と旨味が胃腸を慈しむように愛撫します。
ああっ、アカン。初っ端かな胃袋と玉袋をつかまれてしまいました。
●先付:春子鯛の卯の花和え、浜防風添え
若狭の小鯛の笹漬けを、更に品良く洗練された味わいに高めた逸品。
珍味として売られている小桶で酢漬けにされた小鯛は、水分が抜け過ぎてスカスカな味わいですが、樋口氏の手にかかると激変。仄かな笹の葉の香りのシースルーを纏った春子鯛の弾力はエロく、その肉に染み込んだ酸味と塩味が熟女の肌合いを連想させます。
たまに見かける脱水が不十分な鮨屋のブニョブニョ春子鯛よ、さようなら。黄身酢朧の化粧も良いけど、卯の花で和えたこちらの方が、はるかに品の良い仕上がりでした。
●お凌ぎ:ムラサキウニと花わさびの酢ジュレ掛け
ズワイ蟹で取引のある間人の仲買人(市場を巡り、その日の水揚げの中からお勧めをピックアップし、料理人に売り込む職業の方)さんから、『ええウニが有りますよ』と早朝に連絡が入ります。
注文すればその日の午後には空輸で厨房に届く仕組み。間人の蟹はこのムラサキウニを食べて育ってんのかな?
●お椀:鮎魚女とウルイの葉
皮を一枚残して鱧の仕込みのように斬り付けます。
お出汁の中で花開いた鮎魚女は、葛打ちしているのでプルンプルンの食感。
なんやろ、アハッ。塾帰りの夕暮れの公園でのファーストキッスを思い出すやないかい。
チョコの味しかしなかったけど、その柔らかな唇に固まるラッコの分身。
イカン、脱線した。
話を元に戻すと、数多のレビュアーさんが書かれている通り、このお出汁は唯一無二の味わい。
深い、深すぎる。
それなりの場数を踏んでは来たものの、これは明らかに一頭地を抜く味わい。和食の壁をはるかに超えたこのコクは、う~んんん、血合いの部位が多目なのかな?(素人の勝手な想像です)
●お造り:赤貝と真鯛
赤貝は香川の観音寺。前夜に別のお店でいただいた大連のそれより遥かに強い昆布の香り。閖上が今一つの中、山口の宇部から香川の観音寺、大分の国東にいたる一帯が赤貝の宝庫かも。
一方、真鯛は淡路島。流れも早く複雑な海流に揉まれた強靭な身は、桜海老のような香りを纏っておりました。多分、小海老を食べてんのやろな、アハッ
●お造り:初鰹のタタキ
南紀勝浦のケンケン釣り鰹の皮目を藁で炙り、敷き詰めたクラッシュアイスの上に優しく置いて、熱の入りをコントロールします。
三切ほどだったかな、お腹部位と背中を分けて提供。焼き目から香り立つ藁の薫香が素晴らしい。
聞くところによると、お米を取引する農家からもみ殻をいただいているとか。ただの藁焼きはよくあるけど、もみ殻ひとつでこんなに香りの質が変わるなんてビックリポン。
薬味は飴色の玉葱がタップリと添えられた土佐醤油。加熱してメイラード反応後の玉葱と思いきや、それだとネギの香りが死んでしまうとのことで、実は加熱した醤油に摺りおろした玉葱を軽く漬けただけなんだそうです。
惜しげもなくその手技を教えてくださる親方。
思わず『家でトライします』と呟く小学生のようなラッコ。
でもきっと、簡単じゃねーぞ。こんなに品良く仕上がらないんだろうな、グフッ。
●八寸:蛍烏賊の金石焼き
目、嘴、軟骨を丁寧に取り除き、鰹の酒盗出汁に漬けた蛍烏賊。朱で絵付けされた白磁の器に整然と並びます。
どうすんやろ、と訝っていると、目の前に運ばれてきた長方形の金石。タモリ風に呟くと溶結凝灰岩。火山灰や溶岩が冷えて固まった岩石ですね。
その上に、アイヤッ、ごめんよぉ、蛍烏賊さん。なんて心にもないことを呟きながら、ひとつひとつ寝かせます。
♪ジュジュジュッッワー♪
立ち上がるシズル音にイカ焼きの隠微な香り。
軽くササっと炙ってアンムッチョ!
グッワァ~、ウンメイ!
イカ焼きの香りは天使のよだれ。
そっか、鰹の酒盗の旨味に熱が加わり、まるでイカ臭い童〇皮かむり小僧が大人に成長したようなもんやねん。
すいません。今回のレビューは前夜の興奮が蘇り、ついつい、ちょいエロ方向に踊ってしまいました。
因みにご常連男子曰く『二十年通って初めてっすぅ~』とのこと。
基本は月替わりの仕立てですが、月中でも仕入れや素材により緩急自在の変化で客人を楽しませるようです。
●炊き合わせ:若竹煮
筍は北九州の合馬、新若布は神奈川の佐島だったかな。
先ほどの蛍烏賊の金石焼で頂点に達した鼻息とイカ臭い吐息の炎を鎮めます。
●焼き物:真名鰹
玄界灘で獲れた真名鰹の西京味噌漬け。言わずと知れた味噌は京都の山利。
『西利でっか?』と呟くラッコに『そりゃ漬物屋さんですな、アハッ』と囁く親方。
良えなぁ、この距離感と心地よい空気。
味噌の味しかしない西京漬けが多い中、こちらは真名鰹の地味を全く損なわない仕立て。身肉の繊維も崩れておらず、ピンピンの素材、漬けと焼きの技量の三者が揃った逸品でした。
●揚げ物:小鮎の春巻き
琵琶湖の小鮎を独活と山独活と一緒に包んで揚げ春巻きに。薬味はお粥を混ぜたお酢。小鮎の内臓の苦味をちょうど良い塩梅に中和しておりました。
●小鍋:豚ロース肉のしゃぶしゃぶ
山形の平田牧場から仕入れた金華豚のロース肉。顔の部分だけ黒い豚さんですね。
薬味は午房のささがきと絹さや。お出汁の旨味と金華豚の脂のコクでいただきます。
●ご飯:豆ご飯
●お椀:湯葉豆腐
●薬味:牛肉の時雨煮、半生唐墨、昆布、香の物
『マメにマメにおおきゅうなるんよぉ~』と祖母が用意してくれた豆ごはん。春先の定番でした。その味を思い出しながら、涙腺が緩みかけるラッコ。
お椀の湯葉豆腐の優しい食感が更に涙腺を拡げます。
牛肉の時雨煮は、上白糖ではなくキビ糖をお使いとのこと。柔らかだけど厚みのあるコクがご飯と合う。この時雨煮は味享さんのそれと双璧です。
●手打ち蕎麦:茄子の甘煮乗せ、せいろ二枚
甘く煮た茄子と十割蕎麦。文句なしにウンマイ。
続いてせいろ。あまりにも美味しいので、お代わりしてしまいました。
なので、都合三枚の蕎麦。だって、ウンマイだもん。
●デザート:オレンジとイチゴ、小倉アイスの最中
愛媛産のモロッコオレンジ。
ブラッドオレンジのような深くて濃いルビー色です。それに爽快な甘さ。
イチゴは埼玉のやよいひめ。デッカい粒でした。
小倉とヴァニラのアイス最中は、やべぇ~、旨すぎる。餡子、大好きっす。
<お酒>
コース内容に合わせて女将さんにお任せしました。
半合ほどが入る錫製の小さな徳利で供されます。その都度、御猪口は新しく差し替え、女将が最初の一口を注いでくれます。徳利を置く座布団まで交換する女将の仕草に思わずキュンとしちゃいました。
・瓶ビール:恵比寿の小瓶
・日高見:本醸造、石巻
・宝剣:純米、呉
・みむろすぎ:純米、桜井
・黒龍:福、大吟醸、福井
・天領:大吟醸、下呂
・東北泉:純米吟醸、山形
・喜久酔:純米大吟醸、藤枝山田錦、藤枝
2022/03/27 更新
土曜日の夜です。
神宮前です。
今夜は秋の味覚を味わいに、こちらの【樋口】さんにお伺いしました。
前回は七月の夏の膳。
夏鹿のウチモモに悶絶した夜。
さてさて秋の目玉は何だろう・・・、アハッ\(//∇//)\
ご一緒したのは、いつもオフ会を企画してくださるストロベリー女史。六時前にお店の前で待ち合わせ、行燈に灯りがともると中から女将さんのご登場。
丁寧に打ち水された石段を登り、焚かれたお香に包まれながらカウンターに・・・
ラッコは恵比寿の小瓶、彼女は梅サワーで乾杯し、それでは本題です。
ひとつひとつのコース内容は以下の通り。
こちらはカウンターでのお料理撮影(お酒は可)は禁止なので、駄文でご紹介すること、ご容赦願います。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
立冬の過ぎたこの日。
陽射しは暖かいけれど、暦通りに冬が始まったかのような冷たい風。
冷えた身体を温めたのが最初の小鉢。天然香茸の香ばしい香りに癒されながら、その後に続く子持ち鮎の玉露煮、香住の香箱ガニ、松川鰈のチリ酢などなどを堪能。
手間暇かけた仕込みがもたらす深い地味と厚い滋味のヒトサラヒトサラに、ただただ感謝のひと時を過ごすことが叶いました。
元気な限り通い続ける数少ないお店のひとつです。
<コース内容>
⚫︎茶碗蒸し:香茸出汁
背の低い広口の陶製の器に張られた黄金色の液体。その底には薄い蒲公英色の出汁玉子が広がります。
そっと低い鼻を近づけると、お醤油を温めたようなロースト香に包まれました。
その訳は香茸。人工栽培が出来ないので、全てが天然。以前、他店で刻んだ生をトッピングした茶碗蒸しをいただいたことがありますが、正直、この茸に無駄な食感は不要。乾燥品からじっくりと抽出した旨味と香気だけで十分です。
⚫︎子持ち鮎の玉露煮:
長良川産です。ほうじ茶煮がポピュラーですが、こちらは玉露煮。
いずれも身を柔らかく、臭み消しの効果も有るようですが、ほうじ茶は燻し香が前に出過ぎます。その点、玉露のほうが遥かに繊細な味わいを演出。
玉露の品の良さが子持ち鮎の滋味と地味を引き立てておりました。
⚫︎海老芋揚げ
旬のど真ん中の富田林産。
ネットリ、ほっこり、この季節に外せない食材のひとつです。
素揚げなのかな?
米粉か葛粉を眩しているのかな?
わ、分からなかった・・・、というか、あまりにも美味しいので、そんなの考える暇もお聞きする間も有りませんでした。
⚫︎銀杏:
餅米で炊いてから、本葛粉をまぶして炭火で焼き上げました。
振り塩の塩味と熱の入った本葛粉の香りと食感でいただきます。
単に煎ったものより遥かに手間がかかりますが、旬の後半の今は苦味の強い粒がたまにあるようで、それがお客様にあたらないように、との想いから・・・
和食のおもてなしの真髄が伝わります。
⚫︎香箱ガニ:
香住産です。
この夜から膳にのぼったズワイガニの雌。まさに赤い宝石箱。
甲羅の肉や味噌、玉子がまぶされた上に整列する脚肉。蟹酢がご用意されましたが、その蟹酢の器に身を取るのではなく、木匙で蟹酢を甲羅に落とします。というのも、箸でつまんだ身を蟹酢につけるとバラけちゃいますものね。
身を残さずすべていただいて欲しいとの願いを感じました。
〆は甲羅の燗酒。
広島は竹原の誠鏡です。”幻”で有名な酒蔵ですね。
これはタマラン!
⚫︎椀物:白甘鯛
グジ(甘鯛)とは明らかに異なる身質。
グジが長距離ランナーの柔らかな筋肉とすれば、白甘はカッチカチの短距離スプリンター系。ラッコの大好物です。
添え物は蓮根の揚げ真薯。
これがまた抜群にウンマイ。片栗粉などの混ぜ物はなく、摺りおろした蓮根の粘度と塩だけで全体をまとめます。言葉にすると簡単に聞こえますが、油面に投じたときに散らさないその技は、実は難しい。
⚫︎お造り:松川鰈
『噴火湾?』とお聞きすると苫小牧とのこと。室蘭の先ですね。でも海域は一緒かも、グフッヾ(≧▽≦)ノ
薄造りで供されます。フグ刺しのように複数枚をまとめてつまみ、チリ酢でいただきました。鮃でもなく眞子鰈でもなく、この甘味は松川の味。さすが、星鰈と並ぶ海のダイヤモンド鰈でした。
⚫︎お造り:ヤイトガツオ
別名はスマ。鹿児島や高知で獲れる南の魚ですが、やはり潮流の変化なのか、最近は都内でもしばしば見かけます。
見てくれは鰹にソックリですが、赤身と言える部位はなく、全身が脂の乗ったトロ。
拍子切りした長芋で脂を中和し、その脂に負けない濃口醤油(九州?)で美味しくいただきました。
⚫︎揚物:鱧と松茸の春巻き
名残りの鱧と松茸を春巻きの皮で包み、食欲をそそるキツネ色に揚げました。
松茸は旬の終わりで傘が開き切っているので、細く千切りにしたとのこと。でもそこはやはり香りが命の松茸!
ひと齧りすると、分厚く鋭利なその香りが怒涛のようにラッコを襲いました。
二口目は酢橘を絞って味変。これは二本でも三本でもいただきたい。
⚫︎焼物:シロゴマフエダイ
尾鷲産。南の高級魚ですが、海流の変化に応じて北上したのか、尾鷲でつかまりました。
その半身を二枚並べて串打ちし、皮目に振り塩をしてから炭火で炙りました。
串を外して2cm厚に見定め、包丁を垂直に下ろします。
♪ザクッ、ザクザクッ♪
強火の遠火でカリッカリに焼き上げられた皮目を切る音が、何とも言えず心地良い。
身の中心は半レア。脂が煌めきます。
まさにこれがポワソン・ナクレ。真珠のような光沢に思わずウットリとしてしまいました。
添え物は信州産の紫花豆。ラッコの親指ぐらいの大きさ。柔らかくしっとりと煮上げておりました。
⚫︎焼物:ミスジと茗荷もろみ味噌
炭火で両面を軽く炙ったミスジ(牛の肩甲骨の裏側)に茗荷ともろみ味噌の和え物、完熟実山椒の粒々を包んでいただきます。
うううううっ、ウンマイ!
思わず唸ってしまう美味。
自家製なのかな、このもろみ味噌。あまり好んでいただかない薬味だけれど、この味噌は抜群にウンマイ。これだけで日本酒が一合呑めちゃいそう。
それに完熟した実山椒の熟れ熟れの痺れ感。この三位一体は完璧!
添え物は茸の和え物と殻付きの揚げ栗。
栗は殻のまま蒸して、さらに素揚げした手間暇かけた逸品。それを花が開くように四つ割りにしてご提供。ラッコは歯が丈夫なので、殻ごとガシガシガシ・・・
これって反則かな、グフッヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎炊合せ:焼き穴子と小蕪
京都産の小蕪を枕に横たわる穴子の半身。蒸して炙った江戸前仕様。軽く付け焼きにしているので、香りも素敵だし、ふんわり触感とパリッと食感の二つを同時に味わえます。
これも好きだなぁ、アハッヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎ご飯物:
・白飯
・かやくご飯
・牛肉:時雨煮
・鱧:有馬煮
・香の物:昆布、胡瓜、蕪
・赤出汁:零余子、アラメ(海草)?
土鍋炊きした白飯を二膳、お揚げと人参、ゴボウのかやくご飯を一膳、牛肉の時雨煮と鱧の有馬煮を薬味に美味しくいただきました。
汁物は零余子とアラメ?の赤出汁。ホッと溜息をつくような美味しさです。
⚫︎十割蕎麦:摩周
ご飯物を三膳も胃に入れたのに、さらにお蕎麦を二枚もいただいてしまいました。
その都度本山葵を摺りおろし、分葱の細切りとともに薬味皿を添えてくださいます。
そのお心遣いに加え、何より蕎麦つゆが抜群にウンマイ。出汁と返しが完璧。このお汁はラッコの栄養ドリンク、ダハッ(^◇^)
⚫︎デザート:富有柿
山梨産の富有柿。種なしです。艶々の直方体。
柿、美味しいなぁ・・・
⚫︎デザート:ラム無花果のアイス最中
杏仁豆腐などの四種類の中から選べます。
ラッコはいつもラム無花果のアイス最中で決まり。
最中の皮は京都のチョメチョメチョメ(秘密です)からのお取り寄せ。
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・宝剣:純米、広島
・誠鏡:燗酒、広島
・みむろ杉:純米、奈良
・蒼空:純米、美山錦、京都
日本酒は二合くらい
4.21