3回
2025/08 訪問
年寄りのすべて
事前に電話予約して訪問。駅から向かう道すがら頭の中にフジファブリックがリフレインする。さいごの〜うなぎに〜今年も〜なったな〜そう、今年4件目は地元の越後屋さんで締めようかと…何度目かの訪問だけどここの鰻はポテンシャルが高いものを見繕っている感じ。ネタがいいからあとは腕次第。関東風、関西風どちらでも対応できる柔軟性があるが、慣れ親しんだ関東風で注文。多分串打ちからなので提供まで時間がかかる。その間を楽しむのもうなぎ所以。イチローズモルトのハイボールを待ち時間用に頼んだが生憎イチローズモルト切らしていた。角とシーバスならあるとの事なのでシーバスのハイボールを注文。うなぎは「色8,800円」で。時価の天然物にしようかと尋ねたら今日はないって。やはり事前予約が必要でお値段は20,000円〜との事。こちらの電話番号教えておくと入荷を知らせてくれる様だ。四つ木の銘店で天然物3万円だから越後屋さんの方が安い。そんなこんなしている間にこの夏最後の鰻重が到着!おっ、なんかえらい事になっちゃてんじゃん⁈蒲焼に両サイド挟まれなぜかイクラトッピングの白焼き!これを見てシーバス追加発注。おじさん酔わせて何しようってんだい!先ずは蒲焼をそのままご飯と一緒に。うん、柔らかくて美味しい。甘すぎないタレと脂が多すぎない身が絶妙なハーモニーを奏でる。本当に越後屋さんはうなぎのポテンシャルを引き出すのが上手い。今日は三河産との事。一色うなぎだね。ついで山椒をかけてひとくち。締まった味わいに変わる、美味い。シーバスをゴクゴク。イクラ白焼きに齧り付くと皮目の食感に身のふっくらが混じり合う。そこにね、イクラが弾けるって寸法さ。イクラの塩味と脂が白焼きと交わり、銀河系とアンドロメダが衝突した様なスペーススペクタルな味覚宇宙が広がる。もう拍手しちゃうよ美味ーい、ブラボー、Buono!いゃあ、もういつ死んでも良い、よかないけど。という訳で平日日中、家内に内緒で若者のすべてじゃなく、年寄りのすべては終わったのじゃ、ご馳走さまです♪
2025/08/20 更新
2022/07 訪問
地元の人気店初来訪
開店10分前に到着。平日の為列の二番目に並ぶ。基本電話予約優先の様だが、開店と同時に座敷席に案内される。メニューからうな重「色」を注文。関東風か関西風か選べるようで手堅く関東風でお願いした。10分足らずで供される。思ったより大分早い。今日のうなぎは愛知三河産の養殖もの。うなぎの風味が濃厚なので最初のひと口は山椒をまぶさず頂くようにと説明があった。提供するうなぎへの自信を感じる。肝吸いをひと口啜り、うな重と対面。アドバイスの通りそのまま頂く。箸でひと口大に身を崩す。まずはうなぎだけ口に運ぶ。香ばしい香りを鼻腔に感じながら咀嚼。うん、ふっくらとした端正な味わいの身に適度な甘みのたれが上品に交わる。そしてやや遅れて皮目の香ばしい香りと食感が楽しい。単純に美味しい。ご飯と共に味わうと最高のマリアージュ。うなぎ、たれ、ご飯のC Major コード。食べながら楽しくなる。浜松や都内の銘店と比べても遜色ないどころか優っているんじゃないか!半身をあっという間に平らげ、残りは味変と言うか山椒をまぶして頂く。山椒の香りがたち爽やかな味わいに変わる、が山椒なしの方が個人的には良かったかな。鰻の質が良いから薬味が要らない感じ。たれもむやみに甘くなく、うなぎの美味しさを引き出しつつ、更に味わいを高めている。合間に肝吸いや香の物を挟み平らげる。肝の苦みも良いアクセントだった。添えられたメロンにほのぼのしながら口直し。次回は関西風で頂くことにしよう。
2025/10/11 更新
18時の予約でやや過ぎた頃伺う。名前を言ってないのだがお待ちしてましたと奥まった6人がけのテーブルへ通される。一人でデカいテーブル席に殿と腰を据える。メニューとお茶を渡され、透かさずイチローズモルトのハイボールを注文。ドリンクが来るまでに今夜の構成を考える。おっ、イチローズと一緒に運ばれて来た酒のつまみがグレードアップしているじゃないか、今までは骨せんべいだけだったが鮪の赤身が添えられている。夜はこうなのかな。イチローズをちびちび飲みながら骨せんべいを齧る。夜の帷は既に落ちているが窓の外は灯りに照らされた緑が映る。良い時間の流れだ。1杯目のイチローズが無くなる頃白焼きが届く。愛知三河産の鰻だ。一服の絵画のように散りばめられた白焼き。思わず見入ってしまう。見入る為に顔を近づければ炭で燻された香ばしい匂いが鼻腔を擽る。白黒の世界に赤山椒がはっとする緊張感をもたらし、箸で崩される一歩手前の宇宙の完璧さを保つ。お代わりしたイチローズを一口飲んで落ち着く。いきなり白焼きに行くのはこの秩序に相応しくなさそうだ。徐に手前の銀杏の殻を外して口に放り込む。銀杏の風味を味わいイチローズで口の中を整える。意を決して一口大に切り分けられた白焼きをそのまま食べる。皮目の香ばしい風味が広がりホクホクの身が優しく脂を包み込む。なるほど、こうしてこの絵は昇華してゆくのか。赤山椒を身に乗せて塩を付けて頂く。赤山椒の熟れた旨味が白焼きと混じり合い3Dの様な立体感をもたらす。イチローズも良いが、ここから先は日本酒の出番だな。どれどれ、清水清三郎商店の「作」があるじゃないか、すみませんと声をかけ「作」のどんな銘柄が置いてあるか尋ねると一升瓶を持って来てくれた。「作 和悦」とある。一度飲んでみたいと思っていたから一合頂く。フルーティで艶やかだが切れ味がある。旨い、白焼きのベストパートナーが見つかった。一人悦に入る。皿の上の宇宙は今俺の胃袋の中でカオスに変わっている。口の中で起こる超新星爆発的美味しさはブラックホールとなり皿の上の星々を飲み込んでいく、などと馬鹿げた幻想に耽っているとデススターの様なお盆がテーブルに運ばれて来た。いよいよである。盆を鳥瞰する。手前に重が鎮座し椀、香の物、メロンが取り囲む。山椒が凛と佇み出番を待つ。重の蓋を開ける。すぐに香ばしい匂いが鼻に流れ込んでくる。良い照り具合の蒲焼が目に入る。またもう一つの宇宙が現れた。山椒をかけずそのまま頂く。白焼きと同じ三河産、口の中に皮目の香ばしさと身の柔らかい旨味とタレと混じり合った脂が渾然一体となって渦巻く。大将渾身の焼き!美味過ぎるでしょう、そのまま黙々と半身を食べ尽くす。残り半分となったところで山椒を振り掛ける。もう一つ別の香りが加わり華やかさを添える。味も締まった感じとなり、脂の旨みに奥行きを感じる。そして、右手と口をフル稼働しただひたすらに味わう。ちょっと冷めた肝吸いを啜り、デザートに添えられたメロンで落ち着く。メロンを味わっても先程までの味が舌に残像となっている。あぁ、鱈腹喰った。超絶満足至極!今夜は鰻を中心に広がる宇宙を堪能した。会計を終え店を出る。アプリで呼んだタクシーが見えた。さて、帰りますか、ご馳走さまです♪♯♯♯
そういや今夜は最後まで俺一人だったなあ…