67回
2019/09 訪問
時間とともに変化する素晴らしい景色が楽しめます。
2014年5月7日には、大阪で人気があったというお店が、松山市の松山城に近いアクセスのいいところに移転してきた。オープン翌日のランチに行くと、程よい温度で提供された馬肉のカルパッチョが出てきた。地方でオープンしたてのランチで馬肉を出す? 衝撃的だった。その考えと、品質に魅了された。
のちにミシュランガイドでは ”伝統料理は意識せず、地物の野菜や魚介を使って季節を表現する。” と評される。彼は伝統料理も深く理解していて、新しい知見もよく勉強しているようで、そのうえでの表現。派手さはないが合理的なバランスのとれたアレンジや、組み合わせが鮮やか。独自の世界観を感じる個性的で素晴らしい仕事だった。
だが、しかし、2019年5月にはその場所を閉め、松山市の隣の伊予市のアクセスが良くないところに移転するという。JRの普通列車しか止まらない無人駅から徒歩30分くらい。イタリア料理のシェフはときどきアクセスの悪いところにお店を出すことがあり困ってしまうが、それはそれでマニア心をくすぐる。8月末にようやくオープンしたというのでやってきた。
JR四国の特急停車駅の伊予市駅からタクシーで10分とすこし。お店はかなりかっこいい。大きな窓からの景色は海まで見渡せる。時間とともに変化する素晴らしい景色が楽しめます。ふらりと連れてこられて、隈研吾さん設計のオーベルジュのダイニングって言われたら信じちゃいそう。
一番好きなイタリア料理店での素敵な1回目のディナー。虫の声も心地よい。
2019/10/29 更新
夏の18時ごろの風景は移り変わりが美しく驚いたが、年末の18時はもう真っ暗で残念だった。今の18時は空の色がとても美しい。
でも僕はイタリア料理店に風景を楽しむためにはこない。素敵なシェフの素晴らしい仕事を楽しみにくる。五感を使い、優れた職人の仕事を最大限理解したい。
よく知る宮川シェフのアプローチはもはやほっとする。愛媛で素敵なイタリア料理店に行くことができることに感謝したい。