噛むヨークさんが投稿した銀座 盡(東京/銀座)の口コミ詳細

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掲載保留銀座 盡銀座、有楽町、東銀座/イノベーティブ、創作料理

1

  • 夜の点数:4.7

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.6
      • |サービス 4.6
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.4
      • |酒・ドリンク -
1回目

2017/07 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.6
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.4
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

作品と時間軸を操るアーティスト

素晴らしい作品です。

ある生産者さんのとうもろこしについての会話の中で佐藤シェフはその野菜達をこう呼んだ。


そんなシェフの料理に心揺さぶられた。

素材の選び方から、皿の構成、そして佐藤さんの柔らかな接客。
幸せに包まれる食後感。

伺った事はなかったが、芦屋ですごいお店と聞いた事があったドーヴァの佐藤シェフが銀座に移転。
今回お誘いいただいて訪問した。


まず、味の決め方への考えが非常に面白い。

酸味は比較的強く効かせています。
皿数と一人で作る事で時間が長くなってしまう為、酸味で口と胃を刺激して活性化させたいんです。

そう佐藤さんはいう。

1皿の中での構成ではなく、コースの時間などをも考慮に入れた時間軸に対しての味の決め方。


そしてもう一つ印象的なのが、匠なコース内の温度管理、風味管理、構成。

胃を活性化する温かいスープに始まり、偶に挟む、冷たい皿で起伏に富ませる事でとても楽しんでいただけるコース作り。
生のヨコワはしっかり常温に、バターを挟んだバケットの熱すぎずともバターが溶ける絶妙な温度帯など各皿の中での温度管理も素晴らしい。
そして、揚げ物の後に酸の効いた皿を持ってくる事や、最後にしっかりと強い炭の風味を効かせた焼物を続けて持ってくる事による圧倒的なクライマックス感。


その中でも印象的だったお皿を数皿。


〜庄内こうのさんのとうもろこし炭焼きのピュレ、白とうもろこしのピュレ、枝豆〜


2色のとうもろこしのピュレが重なり合う。

ミルクのクリーミーさを纏い、穏やかに甘く微笑む白とうもろこしのピュレ。

中心にはとうもろこしの味と風味を圧縮したような黄色いとうもろこしのピュレ。
その無尽蔵に引き出された甘みに呼応するようにつけられた塩味は極めて強い。

その中心部の強い味わいと周りの白いピュレが混ざり合い、お互いに響きあう。

中に浮く、枝豆の濃い青々とした味わいとサクッとした食感が夏の日差しに向かって伸びる力強さを感じさせてくれる。

敢えて皿の中で不均一に決めた塩気と食材の強さが生み出す味わいに感嘆した一皿。


そしてしっかりとした技術と考えによって構成された一皿も印象的。


〜阿蘇赤牛サガリの炭火焼、雲南省松茸の炭火焼、茄子の炭火焼、コンソメとピノ・ノワールのソース〜

軽やかだったソースから一転。
しっかりとしたフォンとゼラチン質があるソース。そのソースがとても印象的。

牛大腿骨と牛脛肉からとったコンソメを煮詰め、ほんに香り付けのピノ・ノワールを加えたソース。
コンソメだが強い香ばしさと純粋な肉の味を凝縮した様な旨味。
その香ばしさが炭により焦げ一歩寸前までカリッと焼きこまれた赤牛や松茸にしっかりと同調する。

その通常のコンソメとは違う風味が素晴らしい炭火焼との親和性を持っていた。
聞くと、やはり普通のコンソメとは一つ違う。通常はコンソメのベースを取る際は肉や骨を焼かない事が多いが、シェフは軽く焼いて香ばしさを出してから取るという。

その既存のフォンの取り方に媚びず、自身の炭火焼に合わせたコンソメの取り方だ。

炭火で焼かれた井さん赤牛は脂を含みながらも表面をカリッとクリスピーに焼きこまれ、中はぷるっと瑞々しさを残す。
松茸も香りは穏やかながらも表面に香ばしさをまとってその魅力のかけらを伝えてくれた。

炭火の魅力としっかりとしたソースが来る事の満足感が詰まったメインに相応しい一皿。


他のお料理もとても美味しい。
素材の質がまずとても良い上、面白い素材が揃う。

短いけど太くかっこよかったとシェフがいう2kgオーバーの太刀魚のフリットは油乗り抜群でとろけたし、沼島直送の黄金鯵のフライも肉厚でふわふわとエアリー。

対馬と聞いて紅瞳かと思った喉黒は更に脂乗りが凄い。
3mm程厚みの脂と皮がキャラメリゼされたようにカリッと焼き上げられる。
トロッととろけながらも香ばしさによって喉黒が持つ緩さや脂臭さを感じさせず、極上の焼物と化していた。

そして美味かつ驚いたのが海女さんが磯で取るという愛知のムール貝。日本の他産地のムールとは全く違うしまった肉質と水っぽい臭みのない香りの上質さはとても楽しめた。

最後のバターとフュメドポワソンで炊き込んだつや姫は魚の旨味をほんのり甘いバターの香りが包み込み、バルサミコを纏ってカリッと焼きこまれた穴子と共に至福の丼を形成していた。


少し気になった点を幾つか。

・最初にスープとして提供する喉黒を使ったフュメの仄かな深海魚系のぬめっとした香り。
鯛などに比べるとピュアさがない為、喉黒ならば初めにそのままのスープは少し不適切な気も。

・米粉と米油を使った太刀魚のフリットの衣の油ぎれの少し悪い点と重み。
そしてキリッと酸味の効いたソースは手前でなく奥の切り身にかける方が手前から食べ始める為、味の濃度として嬉しい。

・雲丹と烏賊にかけるソースがシャバシャバな為、現在の盛り付では海苔が湿気りがちかつ食べにくい点。

・最後のメインの焼物2つの皿は温度管理をしているとの事であったが、もう若干皿温を上げていただけると嬉しいと感じた。


全体としてはまず、
素材の質、産地、調味料共に選び抜かれている印象。
塩は塊から砕いてふるうというゲランド。
魚は築地に加え、付き合いがある沼島からの極上の素材達。
野菜や米、海苔、卵まで小さな生産者さんから取るなど拘りが感じられる。
炭は香り付けには土佐備長炭。

その拘りはそのような能書きを抜きにしても美味。


お料理は日本料理の繊細な素材の扱い方に、フレンチをベースにしたソースで軽やかな旨味を加えたオリジナルのスタイル。
油分はほぼソースに加えず、ゼラチン質もほぼないソースが多いがきちんとそのベースには各種素材からのフォンが加えられているのはフランス料理的。
ビネガー類をかなりレデュクションして使うのもフレンチを感じる部分。

なので素材は脂乗りが良い魚をメインに付加する油分は最小限。塩気はどれもジャスト。

調理は全て仕込みから全て1人で行うとの事で一斉スタートで3時間ほどはかかるよう。

店内は少し弧を描いた檜のカウンターで6席。
銅を所々に用いた店内は高級感もある。
調理が全て目の前で行われる為、ライブ感も楽しめる。

サービスは佐藤シェフの穏やかな説明と雰囲気でとても心地よく過ごさせていただいた。
本当に素敵な一夜をありがとうございました!!

お誘いいただいた方や良くご一緒してくださる楽しい先輩方にも本当に感謝。

素材という作品を用いて作品を作り上げるアーティスト佐藤慶さん。
その幸せな作品を一度、味わいに訪れてみては如何だろうか。


〜いただいたもの〜

対馬佐須支所喉黒と太刀魚、明石牡蠣とゲランドの塩でとったフュメドポワソン

淡路2kg超太刀魚の白ワインブレゼの米粉フリット、エシャロット 玉葱 浅葱 バルセートラウデンセ ジュドシトロンのソース 紅大根?のジュリエンヌ

淡路40kgヨコワ、バルサミコ 牡蠣 玉葱 北海道山山葵のソース、淡路海水とワインビネガーのソース、芽葱

利尻赤雲丹、舞鶴剣先烏賊、愛媛愛南町海苔、ワインビネガー 帆立出汁 青りんご酢 浅葱のソース、レモンのジュ

根釧牛乳とゲランドの塩から作った自家製のバターとそのホエーで作ったパンのバーガー

愛知磯つきムール貝、そのジュと白ワイン 玉葱 柑橘 パセリ

沼島黄金鯵のフライ、奈良の平飼い卵と千鳥酢のタルタル

庄内こうのさんのとうもろこし炭焼きのピュレ、白とうもろこしのピュレ、枝豆

対馬佐須支所900g喉黒の炭火焼、バルサミコとヒオウギ貝のソースを塗って焼き上げて

阿蘇井信行さん赤牛の炭火焼、雲南省松茸の炭火焼、茄子の炭火焼、牛大腿骨を軽く焼いてとったフォンブランに牛スネを加えたコンソメとピノ・ノワールのソース

庄内井上農場のつや姫とフュメドポワソンとバターの炊き込みご飯、江戸前穴子の白ワインブレゼのバルサミコナッペ炭火焼

大納言のあんこ

ほうじ茶、ワインなど

  • 対馬佐須支所喉黒と太刀魚、明石牡蠣とゲランドの塩でとったフュメドポワソン。あらは軽く炭焼きにしてからとってある。塩気も抑えめ。喉黒由来のゼラチン質のとろみがある。

  • 奥の柳2本は忠綱との事。

  • 淡路2kg超太刀魚の白ワインブレゼの米粉フリット、エシャロット 玉葱 浅葱 バルセートラウデンセ ジュドシトロンのソース 紅大根?のジュリエンヌ

  • 脂のりよくはらみ側は特にとろっとろな太刀魚。奥の腹身側には酸のあるソースがなく、手前にだけソースをかけている。逆のがいいなぁ。太刀魚自体は素晴らしい。

  • 淡路40kgヨコワ、バルサミコ 牡蠣 玉葱 北海道山山葵のソース、淡路海水とワインビネガーのソース、芽葱

  • 山葵。鮫肌で皮付きを直前におろしているよう。良い辛味。

  • ヨコワは網どりとの事で軽い血のような酸味とトロ側は粒子の細かく口どけの良い脂がいい感じ。常温に戻した温度管理も完璧。

  • 利尻赤雲丹、舞鶴剣先烏賊、愛媛愛南町海苔、ワインビネガー 帆立出汁 青りんご酢 浅葱のソース、レモンのジュ

  • 海苔を下にしたドレッセだと少し湿気ってしまうので勿体無い印象。

  • 赤雲丹は粒立ち良くクリーミーでえぐみもなく美味。

  • 根釧牛乳とゲランドの塩から作った自家製のバターとそのホエーで作ったパンのバーガー。ほんのりと冷たい塩気が効いたバターに表面をカリッカリに焼き上げたある軽く温かいパン。温度管理が完璧。美味。

  • 愛知磯つきムール貝、そのジュと白ワイン 玉葱 柑橘 パセリ

  • ムールの味わいとしてブルターニュのより綺麗かも。

  • 自家製のバゲット

  • かなり薄いクラストがカリッカリで香ばしく中はしっとりエアリーでふんわり。かなり軽やかに食べられるバゲット。

  • 沼島黄金鯵のフライ、奈良の平飼い卵と千鳥酢のタルタル

  • 平飼いの卵の卵黄の色合いは蟹を食べさせると。蟹の甲羅のパウダーを混ぜるのかなぁ。綺麗で濃厚な味わいの黄身。

  • 黄身がとろっとする程度に火を入れて少量の千鳥酢と合わせたシンプルなタルタル。肉厚な鯵はふわふわ。

  • 庄内こうのさんのとうもろこし炭焼きのピュレ、白とうもろこしのピュレ、枝豆

  • 素材の味最強。絶品!!

  • 対馬佐須支所900g喉黒の炭火焼、バルサミコとヒオウギ貝のソースを塗って焼き上げて

  • 脂乗り抜群。皮目がとろっとろで身はジューシーでふわり。皮表面はバルサミコの糖分がキャラメリゼされたような風味でカリッカリに焼き上げてある。美味。

  • 阿蘇井信行さん赤牛の炭火焼、雲南省松茸の炭火焼、茄子の炭火焼、牛大腿骨を軽く焼いてとったフォンブランに牛スネを加えたコンソメとピノ・ノワールのソース

  • 茄子も炭火で皮が炭化する迄焼き上げて剥いたものでとろっとろ。赤茄子系かな?

  • 庄内井上農場のつや姫とフュメドポワソンとバターの炊き込みご飯、江戸前穴子の白ワインブレゼの炭火焼。白ワインで蒸した後に骨切りをしてあるとの事。

  • 精米仕立ての米をその場で炊き上げ、別に炭火焼にした穴子を丼ぶり的に上に。米に加えたバターのほんのり甘い香りや穴子のバルサミコの軽い甘みや焦げなど風味に満ちる。穴子は5mm程の厚みでまだ力ない印象。

  • 和三盆で炊き上げた大納言

  • ほうじ茶。ほうじ茶だと煎りたてだと更に嬉しいなぁ。

2017/07/13 更新

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