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この口コミは、あのミシュラン星付き店、あの赤提灯屋に弟子入りしなさいさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数:4.1
2025/02 訪問
夜の点数:4.1
日本酒好きならば訪れなければ損
2025/02/24 更新
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「こんなに贅沢な夜があるのか」。
9年目を迎え、やっと訪店。
ここで過ごす時間は、ただの食事ではない。超高級な日本酒、超希少な日本酒が惜しげもなく注がれ、それに合わせて料理が繰り出される。いや、むしろ日本酒が主役でありながら、料理がそれを受け止め、さらに引き上げる。この関係性が、あまりに見事だった。
お店は階段で3階まで上がらなければいけない。
店内は日本料理屋の雰囲気でもなければ、フランス料理屋の雰囲気でもない。
少しばかり、食堂とだかを彷彿させるレトロ感だ。
このイメージは、サービスが提供されると一蹴されることになる。
まさにペアリングだ。
日本酒を知る者だけが手にできる体験
メニューを開いて注文する、そんな店ではない。
ここでは、目の前の酒に応じた料理が出され、料理に応じた酒が注がれる。ペアリングという単語では収まらない、この組み合わせの妙。
“どの酒を選ぶかで、皿の表情が変わる。どの料理を口にするかで、酒の輪郭が際立つ。”
これを操る小田桐さんの心意気に興味を持ち始めるだろう。
このように、お酒とお料理の組み合わせによって無限大もの表現をもち、特に日本酒という世界がいかに奥深いものなのかを、身体で理解させられる。
しかも並ぶのは、どこでも飲めるような銘柄ではない。市販されていないような超レアものや、逸品が次々と現れる。日本酒好きが訪れないのは、もはや損とすら言えるだろう。
和食フレンチという枠を超えた料理
料理は一言で言えば「和食フレンチ」だ。
だが、単なる融合ではない。
たとえば、繊細な和の技術が仕込まれた皿に、フレンチの濃厚さがそっと忍び込む。あるいは、フレンチらしい大胆な構成の料理が、日本酒に寄り添うように調律されている。口に運ぶたび、料理そのものが持つ温度や香り、食感が、酒と拮抗するのではなく、呼応し合う。
香り高いポルチーニ茸に黒トリュフをふんだんにかけたクリームスープに対して、ワインのような飲み方をさせる日本酒もあれば、出汁のような包容力を持つものもある。その一つひとつに応じた皿が生まれ、すべてが計算され尽くされている。
なお、料理自体の質は、食材は極めて良質な物を厳選してあり、完成された皿は東京の一等地にあるフレンチレストランの中でも引けを取らないほど洗練されている。
小田桐氏の存在感
この店のすべてを司るのが、マスターである小田桐さんだ。
フレンチの経験を持ちながら、日本酒を知り尽くしているのだろう。勉強なる。日本酒の話題取ってみても、冗長ではなく、しかし核心を突いた答えが返ってくる。まるで、このカウンターの向こうに広がる日本酒の世界を、すべて把握しているかのような語り口。知識の誇示ではなく、共に楽しもうとする姿勢が心地よい。
見た目は男性ウケしないイケメンなのだが、話をしてみればわかる。お淑やかであり、クセがない。穏やかだが、常にお客の状況に目を配り、一足先のサービスを提供してくれる。
あの星付きの店は弟子入りした方が良いのではないか。
そして、彼が選ぶ酒は全て料理に合っていた。
これほどまでに、クセのある古酒でさえも様相を変えて口に運んでしまった。
どの一本も、どの盃も、こちらの思考を強制的に止めるほどのインパクトを持つ。
「こんな日本酒があったのか」と、驚きとともに頷かざるを得ない。しかし、これはお酒だけでなく、料理の質、そして、この雰囲気を作り上げている小田桐さんさんの世界なのだろう。
コースは、1.8万、2.1万、2.4万円があり、提供される日本酒の種類の差だけである。
今回は2.4万円にしたが、1.8万円でも十分なパフォーマンスだろう。
もちろん、とことん日本酒を極めたい人や日本酒好きならば2.4万円でよいだろう。
最後に
再び来るべき優良店である。
日本酒好きは、問答無用で行くべき店だ。