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この口コミは、あのミシュラン星付き店、あの赤提灯屋に弟子入りしなさいさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数：4.2
2025/08 訪問
夜の点数：4.2
京の真髄、静謐と品の極みに遊ぶ
2025/08/19 更新
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18時半に訪問。天然氷が玄関にあしらわれ、ひと足踏み入れた瞬間に、涼やかな気が心を包む。カウンターではなく個室に案内されたが、その空間設計にも一切の妥協はない。目にも涼しい夏の設え、向日葵を添えた前菜が、その日一日の物語を優しく起こす。
白味噌椀は、味噌の重さを出汁の儚さで包むという構成。濃さで押すのではなく、引き算のうまさで舌を納得させる。鱧のお造りは火入れの妙に尽きる。奈良の極細素麺も、噛めば甘みを感じるほどの調和。
終盤には鱧のカツ丼。これが唯一、味がやや強すぎる印象だが、それは室町和久傳にも通じる流儀であり、京料理の世界観として受け入れるべきかもしれない。酒のペアリングは申し分ない。香り、温度、器すらも含めて、計算され尽くした“設計”であった。
器はすべてが美術品。料理との対話が成立するよう、意図と余白が込められている。ここには「映え」や「演出」はなく、本物の京料理に向き合う真摯さがある。
【総評】
星を得て久しい店であるが、それに甘えることなく、料理、器、空間、接客すべてにおいて研ぎ澄まされた世界を提供してくれる。
“再訪すべき懐石料理店”とは、こういう店を言うのだろう。
そして思う。ミシュランの星が安易に振りまかれた現代において、本当に星の意味を体現する数少ない店のひとつではないかと。
納得の一つ星と言える。
また訪れるべき優れた懐石料理屋である。