3回
2018/08 訪問
とにかく、好き。佐藤シェフの、蒸す、焼く、揚げる。
突然ですが・・・・どことも違う盡さんのお料理が大好きです。
お料理の一つ一つにこれだけの手間をかけたら一日が24時間で足りるのかしら、と不思議になるほどで、
カウンターのみ6席、1回転も納得してしまいます。
佐藤シェフの物言いは、あくまでもソフトで、どのようにしてお料理を完成していくかを丁寧に説明してくださいます。
そして最後に、「こうやって食べてやって下さい」と仰います。
ご自分の作られたお料理をいつくしむような言葉に、しっかりいただこう、と思うのです。
この日は、ご一緒下さった皆様も素晴らしい方ばかり。
何の下情報もなく盡さんのお料理を楽しもうとしていらっしゃる、その温かい空気に包まれての、お料理です。
(ご一緒様、なにせあれだけ飲んでいたので(;'∀')間違えていたら訂正してください。)
◇ブイヨン
美味しい物じゃないです。と仰る、胃を温めるスターター。
今回は、巨大な大和蛤にどんこ。美味しいです。
◇愛媛の豆鯵 海ぶどう
米粉に米油でフリットに。
前回にくらべて「酸」は感じず、白バルサミコの甘みと、海ぶどう本来の塩気でいただきます。
お醤油や砂糖を一切使わないという、シェフのお料理の奥深さを感じます。
◇青森の鰹
北の漁師さんは船上神経締めをしないそう。
あえてその鰹を使うところが面白い。和紙に包んで運ぶのだそうです。
焼いた皮目がパリン、と音を立てます。
◇帆立のシャンパン蒸し、しらかわ、 バターを少し
2.6kgの大きなシラカワと、帆立貝をシャンパンで5時間蒸したものを合わせて、自家製バターをほんの少し。
一口頂いて、その優しくふくよかなお出汁に、ハッと声を上げてしまいました。
◇鮎の炭火焼き
甘露煮かと思うほど艶やかですが、頭までパリパリの炭火焼き。
エシャレットを2時間煮詰めたというタレは鮎のうまみを邪魔しない、ですが経験したことのない味わいがプラスされていました。
◇背徳のパンとバター
自家製バターをたっぷりの、もはやシグニチャー。
ご自身は市販のバターが苦手で、ご自身で作ってしまったとの事。
私も実は苦手ですが、こちらのバターは別物。
◇炭火焼き太刀魚 海苔巻き
リンゴ酢でまろやかさをプラスした、トロトロの太刀魚。
海苔は、あえてパリパリには焼かず、本来の味わいを十分に楽しみます。凄い海苔でした。
◇鮟肝 焼き締めたパイ
甘く調理されていない鮟肝に意外な驚き。パイの質も凄い。
◇トマト
一晩塩水に漬けたトマトは、旨みが凝縮し、トマトの凄さを認識しました。
パプリカのソースも香しい。
◇アヒージョ パン
先程のパンと違う、クラストがパリパリと薄く、クラムモッチリのもの。
プチトマトの酸味が程よい旨みの詰まったオイルを付けるとたまらない。
◇のどぐろの炭火焼き
白ワインで蒸ししてから炭火で焼いたとの事。。苦手な脂が抜けて、見事にふっくら。
◇蟹味噌ソースの蒸鮑
唯一ガツンと濃厚な赤ワインに合わせた一品
◇〆の圧巻のスープご飯
炊き上がったご飯に、葱と毛ガニを軽くまぜ、その後強火で煽ります。
炒飯ではなく、水分を飛ばすためだけに必要な作業とのこと。まずそれだけ一口。見事な香ばしさ!
目の前でずっと炊き続けていたブイヨンだけを取り、新たに巨大な大和蛤を加えます。
こちらもノックアウト級に美味しい。
それを掛けたスープご飯!!
粒の際立つご飯に蛤出汁が染み渡ります。お腹はパンパンでしたがお代わりしてしまいました。
◇白石さんの和菓子とお茶
盡 さんのもう一つの名物、和菓子職人白石さんのお菓子とお茶。
今回は気持ちが、ぱぁっと明るくなるような、玉蜀黍を使ったお菓子です。
甘みがスッと引く上品なお菓子でした。
「やっぱり、変態ですよね~」と失礼にもシェフに話しかけると、
穏やかに笑って「ありがとうございます」と。 妙な会話ですが・・・
次々いただいた素晴らしいワインの酔いも手伝って(笑)
美味しいものを突き詰めて、いつも求めていらっしゃる佐藤シェフと白石さん。
また次には違った世界を見せて下さるに違いなく、何とかまたまたお伺いしたいと決意いたしました。
あ~~幸せなひと時でした。
ご一緒の素敵な皆様もありがとうございました。
大変大変ごちそうさまでした。
ブイヨン為の銅鍋 蛤が大きすぎて縮尺が変
そのブイヨン
豆鯵のフリット 海ぶどう
鰹
帆立のシャンパン蒸し、しらかわ バターを少し
背徳のはみ出すバターパン
ツヤツヤの鮎
時間をかけて焼き上げられて
鮟肝と葱香るパイ
太刀魚光りすぎ(;'∀')
アヒージョ
蟹味噌と鮑の肝に浸かった鮑
トマトとパプリカ
ノドグロの炭火焼きはワインで蒸してから
毛蟹と葱のご飯
新たにお出汁に巨大蛤を加えて
そして、かけてしまう、スープご飯
玉蜀黍ソースのひまわり
2019/01/25 更新
2017/11 訪問
妥協を許さないシェフの姿は美しい
この日は敬愛するレビュアー様がお誘い下さり、伺うことができました。
既に何回か訪問なさっているレビュアー様が、絶賛されている数少ないお店のひとつに伺えるのは、本当に幸せです。
一斉スタートの時間ちょうどに店内から「掛け声」が聞こえました。そしてドアが開きます。
カーテンをくぐると6席のカウンター。秘密倶楽部か・・・。
素敵なシェフと感じの良いスタッフの皆様にご挨拶。皆さんとってもソフト。
一番奥のお席に陣取ると、目の前に作り物のようなパンが重なって、その奥に使い込まれたような氷室。
銅のお鍋が光り、雰囲気満点です。
さて、早速、この日頂いたものです。
飲み物は泡からスタートし、ペアリングでお願いしました。
◇桜えびのフィメ・ド・ポワソン
「美味しい物じゃないです」と、独特のトーンでおっしゃいます。桜えび香る、本日のメニューにしばしば現れるお出汁です。
◇太刀魚のフリット
薄い米粉を纏い、さっくり歯が入ったと思えばトロっと溶けていきます。
ちどり酢とお出汁を合わせたもので頂きますが、まさにストライク。もう既に、ここで虜になりました。
美しいお皿に芸術的なもりつけで、ため息。
持ち上げて、お出汁を飲み干す勇気がない事に、ため息。
◇白子の茶碗蒸し
白子は香ばしく焼かれて、香りが立っています。
◇馬糞雲丹と烏賊
小さなお丼には烏賊をちどり酢や山葵で和えたもの。その上にたっぷりの馬糞雲丹。
甘みが濃厚な雲丹。脱水してる?そのくらい濃厚。
小さいながらも食べごたえがある一品。
◇五島の鰹
後に出されるしまあじと同じ船で捕られたもの。ラグビーボールのような形をしているそう。
皮目が焦げるぎりぎり位待てパリッと焼かれ、その周辺の脂が溶けてトロリとしています。
鰹では無い、何かをいただいているようでした。
◇五島のしまあじ
葱を擦った薬味を添えて。鰹もそうでしたが塩梅が素晴らしい。私が望む塩加減です。
◇パンに自家製バターをたっぷり鋏んで
圧倒的に美味しいです。バターを作るときに出たホエーを使ってパンを焼くそうで、口触りも香りも素晴らしい。
もう一つあったら、それだけで赤ワイン1本行けそう。そして幸せになれそう。
◇白川の蒸し物
大きなホタテはただダシをとるだけのために、との事。
美味しく頂きましたけどね(笑)
やはり圧巻だったのは、2時間かけて蒸しあげた白川。旨味がここまで凝縮されるとは・・・。
お写真でわかっていただけるか、2時間蒸してこのふっくら感!
◇牡蠣のグラタン
◇岐阜の鴨
◇和牛のイチボ
理想の火入れ。肉汁が飲めるように溢れます。
◇菜の花と真丈・桜エビのダシのごはん
美しい2段重ねの器で。
ここまでで、かなり頂いたのになんだかすっきりしています。
フードファイトのようにこれでもかっ!と豪華に頂くコースは苦手です。
こちらは本当に最後までシェフのこだわりを堪能することができ、良い時間を過ごしたと思えるのです。
◇甘味 紅葉が川を流れる様子?
和菓子職人さん、独特の抜け感がありシェフとシンクロしますが、プロとしてのこだわりも相当なもの。
甘みが苦手なのですが、これは本当に大好きでした。
モッチリ銀杏が良い薫り、干菓子がスッと溶ける。これが、甘味屋さんに出ていたら人生初、通うお店になるかもしれません。
折々にお料理の説明をして下さるシェフはあくまでも静かですが、イメージ通りの味を引き出すための努力や、試行錯誤、こだわりはビンビン伝わってくる感じです。
つくづく思ったのは、私はシェフのような、変態的(褒め言葉です)プロフェッショナルのお料理に魅かれるのだな・・・ということ。
困難でも、本気でまた伺いたいと思うお店がまた1件。
本当に本当に、ごちそうさまでした。
作り物のように美しいパンたち
泡でスタート
桜えびのフィメ・ド・ポワソン
太刀魚のフリット
白子の茶碗蒸し
馬糞雲丹と烏賊
馬糞雲丹と烏賊
五島の鰹
五島のしまあじ
パンに自家製バターをたっぷり鋏んで
自家製バター、下に溜まったのがホエー
白川の蒸し物
牡蠣のグラタン
岐阜の鴨
和牛のイチボ
2018/08/05 更新
11月1日、さっそく掲載保留になりました・゜・(つД`)・゜・
ギリギリ、最期の盡さんに伺えて良かった。
お疲れ様でした。佐藤シェフ、白石さん、ありがとうございました。
※ ※ ※ ※ ※
秋の盡 。
今回も佐藤シェフの天才ぶり、一品ごとのクオリティに驚愕し、
唯一無二であることをまさまざと見せ付けられ、
ある意味、片思いのような切ない気持ちで食事を終えました・・・
「秋刀魚の肝ソース」と聞いたら、味を想像できるように思いませんか?
苦手かもしれない・・・頭をちらっとよぎりますが、予想をはるかに超える、良い意味の裏切られ方に息をのみます。
小さな器に、3切れの秋刀魚が重なっていて、2切れ目からソースに浸かっています。
一番上はパリッとした皮目、炭火の香り、甘い身を楽しみましたが、
2切れ目・・・
確かにさんまの肝ではあるけれど、帆立の出汁とシャンパンを合わせ、雑味が出る小腸などはすべてピンセットで取り除き、あとはどんな魔法をかけたのか、
「美しい」としか言いようのない極上のスープに昇華していました。
きっと、二度とこんなソースには出逢えない、と思うのです。
一つ一つ、奇跡のように素晴らしいお料理ばかりでした。
さて、ラインナップを思い出して。
◇ お出汁 今回はホタテの滋味を感じるものでした。
◇ 鵡川のオスのシシャモ
大きな本シシャモはホクホクぬ。この季節の喜びですね。
甘味はエシャロットを煮詰めて出したもの、それに白バルサミコ。柑橘を霧吹きですっと吹きかけます。
◇ 愛媛の鰹
じっくり焼いてサクッと音が出るほどの皮目。
2切れ目、温めた皿に京都の千鳥酢と魚の出汁をスッと垂らしてあり、しっとりと。
◇ 帆立とシャンパンを5時間以上蒸して、そのお出汁で更に蒸した、金目鯛
この黄金に輝くスープの素晴らしさも、私ごときには形容できません。
通訳してくれる、機械が欲しい・・・
◇ 秋刀魚の肝ソース
◇ バター嫌いの佐藤シェフが美味しく感じるられる、手作りバターをたっぷり挟んだパン
もはやメインディッシュの感あり。
◇ 次のパンのお供。バターと愛媛県産の牡蠣と葱のアヒージョ
◇ 炭火で串焼きした鰆 有明の海苔で巻いて手渡し
フワフワでジュースが滴ります。
皮目にさっと、リンゴ酢とエシャロットのソースで甘味と仄かな酸味、夢中でいただきました。
◇ ノドグロの炭火焼
脂が乗りすぎているのを、ワインにつけて脂を落として、炭火でじっくり焼き。
パリッとした皮とフワフワの身は旨味が爆発。
◇鉄鍋ご飯に、シャンパン漬けのイクラを濾して掛けたTKG
帆立と魚のアラのスープで炊きあげた、お焦げたっぷりの鉄鍋ご飯。
イクラの裏ごしをかけて、更にトッピング。
※ここから、和菓子師の白石さんにバトンタッチしてティーセレモニー
◇ まずは美しいお茶椀で、ほうじ茶 ハッと生き返るような香ばしさです。
◇ 栗のきんとんと、栗蒸羊羹 紅葉をかたどったお干菓子
私が唯一大好きなデサートを出してくださるのも、やっぱり盡 さんだけで、これも唯一無二。
お茶を淹れる姿も美しく見惚れます。
◇ お煎茶を二番煎じまでしっかりいただきました。
帰り。
佐藤シェフからお土産の「カヌレ」を手渡していただきながら、
この時間が終わってしまったことが、本当に切ないのです。
やはり盡 さんは、永遠のマイ・ベスト・レストランです。
本当に本当に、素晴らしい体験をありがとうございました。
ごちそうさまでした。