6回
2025/05 訪問
「銀座 鮨 あらい」師弟の絆であふれる銀座の粋なカウンター
◇中トロ(青森 下前港) 一球目は必ず鮪。 ほんのり温かなシャリに広がる艶やかな旨み。いつになく山葵を効かせた引き締めで抜群のバランスをつくり、シャリの醸す酸味によってグッと引き立つ極上の味。
◇中トロ(青森 下前港) 恍惚とさせるしなやかなフォルム。 口に放つと、一瞬で溶け出し、絹のようなシルキーな甘旨味を強かに炸裂させる。 言葉に詰まる芯のある美味さ。
◇赤身(青森 下前) 凛としたシャープな酸味を浮かばせ、シャリによって引き締まった美味さに江戸前の粋が宿る。
◇大トロ(青森 下前) 口内の温度でとろける脂に浮かぶ上質な旨味。そのミルキーな味わいがシャリに抱き合い、極上の余韻と多幸感を与える。ただただ旨さに向き合い、浸る握り。
暖簾
2025/08/22 更新
2025/04 訪問
「銀座 鮨 あらい」寿司屋としての生き様
今年で10年となる節目を迎える「鮨 あらい」さん。
当初はお任せ昼8000円、夜18000円から始まりながらも、昨今の物価高騰と共に価格を上げざるを得ない状況だ。
仮に5万円のコース設定だとして、高いモノを使っているから高い値段を取って良いわけではない。
劇場型のような派手な演出もせず、ネタ自慢すら一切しない。
丁重なサービスに重きを置き、ただ目の前のお客においしいお料理を楽しんでもらう。
その姿勢は今でも昼1回転、夜2回転を当然のように熟す。
たとえ夜更かししたとしても朝の河岸には必ず顔を出し、仲卸との絶大なる信頼と周囲に存在感をつくる。
軍艦に使った特大の小柱、愛弟子であるめいさんも今日は同じものを市場で持っていたよ!と、何気ない会話のなかにも新井氏の優しさや寿司屋としての確固たるプライドを感じさせる。
"5万を頂く心構え"、その説得力が見事なまでに食べ手に共鳴を生み、帰路に感じる清々しい余韻。
「シャリを~」のお声がいつになく長くて威勢がいい、そしてお弟子さんとの一体感が自然と活気に繋がる。
この日は貝を主役とするような構成。
抜群のぷるんとしたウォーター感でしっとり馴染んでいく生トリガイ、その潤いに香りのベクトルを比例させた極上の一貫。
続くミル貝はシャリと硬めに合わせて握れば、歯応えのある咀嚼ごとに膨らむミネラルと立ち上がるネタの色。
肉厚でオーバーサイズの赤貝。鮨おばなさんで教わった通り、色は悪いがシャリを染めるミネラルと膨らむ香りは間違いなく堂々たる一級品。
初めて頂いたのが牡蠣。噛まずとも滑らかに口どけていきながら、酢橘の酸味にグッと主張するクリアな身の旨さ。
雑味のないナチュラルな口どけが生む美味しさに、思わずため息を覚えるほどに魅了させる。
鮪の感想は写真に記載。
握り好きなら誰もが唸りを上げる、贅沢なランチを楽しませて頂きました。
最後に頂いたものは以下の通り。
「昼のおまかせ握り」
◇中トロ
◇血合いぎし
◇小鰭
◆三つ葉とお揚げのお椀
◇スミイカ(富津)
◇真鯛
◇トリガイ
◇赤貝
◇ミル貝
◇牡蠣(長崎)
◇クエ
◇小柱 軍艦
◇赤身
◇霜降り
◇雲丹
◇煮穴子
◇干瓢巻き
◇玉子
□鮨 あらい
所在地:東京都中央区銀座8-10-2
ルアンビル 2F/B1F
電話番号:03-6264-5855
営業時間:12:00〜,18:00~,20:30~
定休日:水曜日
滞在時間:約2時間
お会計:40,450円税込/人
予約:ご常連様のお席にお誘い
暖簾
◇中トロ 入店するとすぐに柵から切り落とされると常温に戻すように置かれ、すぐさま握る挨拶代わりの一貫目。
口に放り込んだファーストタッチは醤油に帯びる仄かな塩気の浸透とシャリから心地よく醸す酸味は、咀嚼で同化するほどに見事なる旨さを炸裂!! 鮨あらいが誇る鮪のポテンシャルの高さをいきなり魅せつける。
◇血合いぎし 見るからにしっとり滑らかなフォルム。
血合いらしい穏やかな酸味と甘みが両立し、噛むほどにライトな旨みへとシャリが導き、そして満ちる。
◇赤身 しなやかにシャリと同化しながら酸味を広げ、心地よい歯切れから旨さを滲ませる爽やかな一貫。
◇霜降り 薄い切り付けは鞍掛けのように重力にしなるフォルム。
脱水されたかのようなじっとりと放つミルキーな旨味。醤油由来のコクを滞留させながらシャリの酸味で醸し上げると、必然的に抑えきれない旨さに! 口どけても尚あと引く味わいに満ちる至極の一貫。
2025/07/02 更新
2024/10 訪問
「銀座 鮨 あらい」シャリのキレが生む、ポテンシャル高き一体感。そして花形の本鮪がうめぇ!
銀座8丁目にある白を基調としたスタイリッシュなルアンビル。
土曜のお昼、いつものようにエレベーターを上がるとお祝いのお花が飾られている。
暖簾を潜ると、一番のお客として新井氏含めたお弟子さん方の活気あふれるお声でお出迎え。
店内にも綺麗に飾られた胡蝶蘭は開店9周年をお祝いするお花だ。
周年と時を同じくして、あの美しい漆の付け台から木曽檜に総入れ替えとなり、天井の障子から明かりを通す空間は、やわらかな調光のもと温かみのある趣きへと変える。
待ち焦がれた8名のゲストが揃ったところで一斉スタートとなりました。
シャリの旨さ際立つ、研ぎ澄まされたネタと共に圧巻の握り攻め!
怒涛の17カンにイクラの小丼付き。
ランチとあってひと回り大きなポーションで食べ応えも与えてくれるため、握り好きには堪らない。
まずは温かなお椀でアイドリングさせると、初っ端は花形の鮪からはじまり、鮪で締めるようにご自慢のマグロの旨さをグッと魅せつける。
やま幸の鮪を使う鮨店の中でもトップクラスの美味しさで、冬を目前としながら乗り始めた旨味で魅了させる。
そして特筆すべきはシャリ。
特に一貫目に込み上げる酸味のファーストタッチが格別で、その後もネタの色を浮き彫りにするかのように醸しだす。
シャリの美味しさが一体感を生み、個性を伸ばすかのようにフィットさせる。
この日はほとんどネタの説明はなかったが、どれも甲乙つけ難いほどに旨さを咲かせてくれた。
ご常連で固めたカウンターは笑いの絶えないひとときとなり、育てるお弟子さんへの愛情が伝わってくる場面が居心地を掴んでいく。
9年前は無名だったと笑顔で仰る新井氏。
その直向きな姿勢と惹きつける技術と味で素晴らしき功績となる銀座の名店。
訪れるには狭き門であるが、チャンスを与えられたなら「鮨あらい」が誇るポテンシャルを存分に体感して頂きたい素晴らしき鮨店です。
最後に頂いたものと簡単な感想は以下に記載。
「昼のおまかせ握り」
◆本三つ葉とお揚げのお椀
◇中トロ
◇中トロ
◇小鰭
◇スミイカ
◇真鯛
◇縞鯵
◇アラ
◇鰤
◇ミル貝
◇赤貝
◇小柱 巻物
◇車海老
◇赤身
◇大トロ
◇いくら小丼
◇馬糞雲丹(北海道 浜中町)
◆しじみのお吸い物
◇穴子
◇干瓢 巻物
◇玉子
温かなお椀にシャッキリとした三つ葉の青みが膨らみ、胡麻の香りを乗せながら優しく味覚を包んでアイドリング。
「シャリをー」と長い掛け声を皮切りにして、始まる握りは花形である鮪から。
中トロは部位違いで2カンを続け、特に一口目でグッと引き立つ酢の酸味と鼻から抜けていく心地よい香りが堪らない。
シャリの酸味で引っ張り出すかのような穏やかな旨味。噛み締めて深まる旨さ、そしてハイトーンでつなげるシャリの存在感!
思わず笑顔が綻ぶ美味しさの初球。
続く中トロの口当たりはまるで絹のように実に滑らか。女性をエスコートするようなデリケートなタッチに優しく溶け出し、甘みと香りをふんだんに醸すと、そっと儚く口どけていく。
同じく"やま幸"の鮪を使う「鮨おばな」さんで頂くあの味とどこかリンクさせてくれる素晴らしい鮪。
続いては小鰭。この流れなら通常の鮨店では中盤過ぎの展開が多いが、この日は序盤で強弱の"強"を持ってきたかのよう。
口に放り込んだ瞬間に身の酸味が先に主張し、噛みしめるとシャリの酸味が立ち上がり作られる心地よい一体感。そのなかでも身から旨味が滲むように味わいを深めて染めていく。
ネタとシャリの両立を感じさせる、"粋"が息づく握り。
この流れを汲むのはスミイカ。
滑らかなタッチとサクサクと歯応えを楽しみながら、酢橘の香りと酸味を起点にしながら山葵の清涼感でしっかり引き立つ身の旨さ。
切りつける段階からほんのりと染まっま飴色が際立つ真鯛。
厚みがありながらも驚くほどの柔らかさと奥にあるムチムチとした歯応え。噛み締める度に引き立つ身の甘みとシャリの甘みが合致し、ふと気付けば潤沢なる美味さに満ちている。美味しい!
滑らかな口当たりの縞鯵から淡白なアラ、脂の乗った鰤へと繋げて、抜群の香りとミネラルで彩る赤貝。
この日は小柱と干瓢が巻物として構成されるが、大きな一口と共に海苔の隠れた主役級の旨さも存分に愉しませてくれる。
終盤になって再びやってきた鮪。
しっとり放たれる凛とした旨味は、咀嚼で感じる持ち味の強さは僅かな余韻をももたらすほど。
さらに大トロの旨さを引き出すシャリの存在感、噛む度にしっとりねっとり甘みを伝えながらグッと味覚を掴んでいく。
いくらの小丼はお弟子さんが任されて仕立てたもの。軟らかな解けと心地よい出汁感に柑橘系の香りでさっぱりとした旨さをアシスト。
まだまだ続くは、雲丹の軍艦もお弟子さんが握る。
贅沢なほどガッツリと乗せる雲丹は霧多布水産の馬糞雲丹。生ならではの口の温度だけで溶け出すと凛としたミネラルと化し、そこに海苔が補う磯感で旨さを形成!
一瞬の出来事ながら、余韻が醸す味わいは格別。
焼き上がった穴子は全員分の煮詰めを乗せたら一度に提供。
パリッとした皮目と身はふんわりとさせた食感の緩急に押し出される香ばしさ。ツメは控えながら追いかけるように甘みを与え、どこか隠し味にえんみを含ませたかのような味の攻めぎ合いが美味さとして着地させる!
淡白なネタと脂の強いネタとも綺麗に交わるシャリのキレの良さ。解けがよく、込み上げる酸味はネタに寄り添いつつもリードし、雑味のない旨味として広げてくれる。終始、ポテンシャルの高さを魅せながらも食べ疲れさせない印象でしかない。
□鮨 あらい
所在地:東京都中央区銀座8-10-2
ルアンビル 2F/B1F
電話番号:03-6264-5855
営業時間:12:00〜,18:00~,20:30~
定休日:水曜日
滞在時間:2時間
お会計:40,800円税込/人
予約:常連様のお席にお誘い
2024/12/30 更新
2024/02 訪問
「銀座 鮨 あらい」鮪の魅力を繊細且つダイナミックに炸裂させる日本屈指の鮨処
食べログアワードGOLDに輝く銀座の名店「鮨 あらい」さん。
お昼から贅沢すぎる握りばかりで攻めるランチにお伺い。
春節を迎えた中国からのインバウンドで賑わう銀座のなか、12時に合わせて暖簾を潜ります。
活気をみせるお弟子さんに負けない新井氏の通るお声と共に招き入れて頂きました。
この日は珍しくお客は全員男性ばかり。
モノトーンな服装の8名が揃ったところで一斉スタートとなりました。
お料理はおまかせのみの提供となります。
頂いたものは以下の通り。
「昼のおまかせ握り 36,300円」
◆三つ葉とお揚げのお椀
◇中トロ:腹
◇中トロ:背
◇小鰭
◇赤貝(閖上)
◇わらさ
◇スミイカ
◇真鯛
◇ハタ(千葉 鴨川)
◇かんぬき 昆布〆
◇白甘鯛
◇蛸
◆沢庵
◇〆鯖
◇車海老
◇赤身
◇大トロ
◆白子雑炊
●しじみのお椀
◇雲丹(利尻:福うに)
◇穴子
・生ビール
鮪の魅力を存分に魅せつける握りは鮨あらいの極み!
この日の鮪は宮城気仙沼から2つの個体を使い分け、中トロのお腹は126kgに対して、背中は37kgと柔らかいものを好んで使っている。
大トロ含めて柵の状態から綺麗に切り落とされるが、この柵が実に惚れ惚れするほどに美しい。手にする重力に非力なしなやかさは視覚からも伝わってくるほど。
丁寧に切り付けられ常温に戻った頃に、「シャリをー」のお声とともに指拭きがセットされれば、いざ握りへ。
珍しく初っ端から自慢の鮪を2カン連続で攻め立てる!
まずはシャリに鞍のようにかかるお腹の中トロ。
口に放り込むと、口内に接する温度だけでトロけてシャリと同化し、ねっとり絡んでいくほどに凛とした甘みをシャリに宿す!
その吐息からも綺麗な余韻と思わずつくため息。美味い!
立て続けに背中の中トロ。
一貫目よりもミルキーに甘みを広げ、身の脂の旨味をダイレクトに放つ!
そして後味に厚みのある香りが華やかに彩る、儚い美味さ引き立つ一貫。
終盤に差し掛かると、忘れかけた頃にやってきた赤身。
鉄の風味と重なるシャリの酸味。ひと噛み毎にこの芯を持つ香りがしっかりと引き出され、赤身の確かな美味さを最大限に表現!
赤身で唸らせる、これが鮨あらいの極みとばかりに魅せつける!
鮪の最後を飾ったのが大トロ。
口に放り込んだ瞬間にシャリと一体になり、そのままミルキーな甘旨味に包まれる!
まるで禁断かのような"噛む"ことで、その旨味はトルクを増せば一瞬のピークを残して口どけていく。
鮪好きには堪らない4カンを大堪能!
基本的に寝かす仕事は好きじゃないと仰る新井氏。
その代わり、朝に時間をかけて塩や酢で〆る仕事を惜しまない。
〆過ぎず、ムチっとした食感を残す小鰭。
引き出される酸味はシャリとジャストに重なり、噛みしめるほどに身の味わいをしっかり楽しませてくれる。
塩で軽く〆た真鯛。
噛む作業が旨味を生み出すトルクとなり、中盤に立ち上がる山葵をワンポイントに、後味により引き立つ旨味。
握りとしてジャストすぎる一体感が、ただただ美味い。
逆にかんぬきは昆布締めで2晩寝かし、光り物らしいギラつきに飾り包丁を入れて。
噛むたびにほんのりと香りを立て、山葵が内から極クリアな甘みを浮かび上がらせる。
古典的な蛸の握りも噛むことで引立される格別な味わいに。
〆鯖に浅葱の香りを合致させ、温かなシャリの酸味に綺麗な相乗をみせる車海老の香り。
雲丹は盛り盛りにパリッとした美味い海苔で軍艦スタイル。
冷たさに極クリアなミネラルを放つ雲丹、口中を抵抗なく包めば、海苔の磯感とともに海を感じる極上の美味しさに!
素材とシャリを合致させた素晴らしい味わい。
最後は焦がしながらも煮詰めを絡ませた江戸前フォルムの穴子。
熱々の香ばしさとツメの甘みが全体を包んで、風味豊かに表現する粋な旨さ。
お昼とあって、シャリはやや大きめなポーションの17カンと食べ応えは十分で、以前よりもシャリの柔らかさを感じつつも、ネタとのジャストな纏まりを生む酸味が絶妙に引き立てる。
さり気なく最高のピンネタを揃えた握り好きが思わず唸る、ランチ握りを堪能させて頂きました。
両脇で仕事をするお弟子さんを交えた掛け合いがゲストを和ませ、不思議とフロア全体の一体感を演出。
また初めてお手洗いを利用しましたが、銀座の真ん中に居ることを忘れさせるほどに落ち着いた和の空間づくり。
気がつけば通い続ける理由がそこにある、日本を代表する素晴らしい鮨店です。
□鮨 あらい
所在地:東京都中央区銀座8-10-2
ルアンビル 2F/B1F
電話番号:03-6264-5855
営業時間:12:00〜,18:00~,20:30~
定休日:水曜日
滞在時間:2時間
お会計:39,300円税込/人
予約:常連様のお席にお誘い
2024/02/21 更新
2023/05 訪問
「銀座 鮨 あらい」一品のお料理と真摯に向き合うことに気付かせてくれる銀座の名鮨
銀座を代表する鮨の名店「鮨 あらい」さん。
お腹を空かせて土曜日のランチにお伺い。
☆The Tabelog Award 2023 Gold 受賞店
☆食べログ 百名店 寿司TOKYO 2022 選出店
場所は銀座駅より5分ほど。
GINZA SIXからワンブロック越えた真っ白なルアンビル2階。
エレベーターを降りると一気に凛とさせる空間となり、入口にかかる白い暖簾の文字に高まる期待。
ネクタイをシュッと整えたら、いざ中へ。
大将と両脇にお弟子さんを率いた体制で威勢よくお出迎え頂きました。
和の温かみに溢れるカウンターは8席となり、その鏡のように黒光りする漆の付け台が素晴らしいほどに目を惹く。
天井は気持ち低く、奥行きを感じさせるジャストなサイズ感と、照明や調度品など細部まで行き届いた和空間。
久兵衛やすし匠といった名店で修行を重ね、銀座の一等地に堂々と構える大将の新井祐一氏。
派手なことはしない。安定感のある間合いやペースを自然とつくり、そこにのめり込んでいく空気は通うほど堪らなくクセにさせる。時折、膨らむ会話も客の心を掴むもの。
また、季節や状態に合わせたネタのベストな仕立て方に細心の注意を払われ、見事に理想とする味へと着地。
メニューはおまかせのみの提供となります。
頂いたものは以下の通り。
「昼 おまかせ握り」
◆三つ葉の煮浸し(茨城)
◇鮃
◇アオリイカ
◇春子鯛
◇赤貝
◇とり貝(石川 七尾)
◇ミル貝
◇蛸 塩茹で
◇塩鯵
◇赤身(舞鶴)
◇背トロ
◇中トロ 腹ナカ(舞鶴)
◇大トロ(噴火湾)
◇小鰭
◇鰹
●しじみのお出汁
◇車海老
◇蛤
◇雲丹 手巻き
◇穴子
◇玉子
◉生ビール
一言で表現するならシャリが美味い!
そしてネタと相乗させてつくられる一体感は、まさに極上の一貫!
ランチとあって握りは気持ち大きめのポーションで握られていく。
シャリの解けから一粒のおいしさに満ちているのを感じさせてくれ、立ち上がる酸味は土台としての役割をしっかりと発揮。
ネタに合わせてシャリの温度を変えていくと、酢の立ち方も上手く緩急を付けるようにネタとの一体感を高めてくれる。
そしてやっぱり鮪が美味い!
赤身は冷たいうちに握ることで常温では失うツルッとした口当たりとシャリをぶつけて、旨味をストレートにグッと引き出す。
中トロは背トロと腹ナカ、どちらも冬の鮪には出せない落ち着いた旨みをシャリとともに形成させる味はまさに格別!
写真は鮪のみで、その他のネタは以下にて簡単なコメントを記載させて頂きます。
◆三つ葉の煮浸し(茨城)
綺麗な三つ葉の香りと、まだハリのある食感。
お出汁の円やかな旨みに包まれながら、落ち着かせるように胃をアイドリングさせてくれる。
◇鮃
13時間しっかりと重しを乗せて脱水されたもの。
口に放り込むと、シャリの酸味と山葵の辛さが交わって抜けていき、しっかりと踏み込む歯ごたえから引き出される昆布の上質な旨み。
身の甘みと融合させて旨さにあふれる抜群の初球!
◇アオリイカ
生姜をひとつまみ乗せて、醤油を纏わせて。
シャリの温かさに自然と膨らんでくる生姜の風味とシャリの酸味であらわになる身の旨さ。口へとしっとり馴染んで綺麗な美味さをストレートに届ける!
◇春子鯛
むっちりとした身には縦に均一に入る飾り包丁。
ストレスなく咀嚼で瑞々しくバラけ、醤油のコクが身の甘みに刺激されるほどにどんどん膨らむ旨味!
乗せた柚子の皮が香りでバランスよく彩る。
◇赤貝
見事なまでに立派に花開く素晴らしいフォルム。
口に入る瞬間からすでに香りを放ち、瑞々しさにシャリの酸味が漂うように美味しいひと口へと誘う。
これこそ赤貝!と言わんばかりの職人技!
◇とり貝(石川 七尾)
こちらも大判で極めてフレッシュ。しっとりと口へ馴染んでも一切の雑味がなく、ミネラルを放ちながら山葵が粋に締める。
珍しく産地を伝える新井氏のお気持ち通り、文句なしで美味い!
◇ミル貝
ザクザクと踏み込んでいくと、身は抑えられた水分量でシャリと交わり、醤油が融合させて生まれる美味しさ!
◇蛸 塩茹で
煮詰めるのではなく塩茹でにこだわる鮨あらい。
シンプルなフォルムは柔らかながら、心地よい咀嚼から塩気を響かせていつまでも噛んでいたいほど!
ジワジワ溢れるえんみに山葵の清涼感のバランスを添える。
◇塩鯵
脂が多めの鯵とあり塩でしっかり〆た鯵。シャリとネタの間に浅葱と小ネギを忍ばせて2等分で提供。
口に当たる身の塩気、薬味の香りを立てながらシャリと心地よく膨らむ大きな旨さと香りの余韻!
めちゃくちゃ美味しい!
◇赤身(舞鶴)
敢えて冷たいうちのツルッとした食感を合わせたいとする握り。
透明感をもたせるように口に馴染み、赤身らしい落ち着きのある旨さをグッと真っ直ぐ表現!
温度を上げる鮪ではないとされる意図を伺える一貫。
ただただ美味い!
◇背トロ
背びれの下の筋肉部位。
敢えてやや強めの醤油でしっかり身の旨味を引き立て、夏の鮪のようなフレッシュな旨味に満ちた極上の握り。
鮪とシャリ、その膨らむ味に思わずうっとりさせるほどの一体感!
◇腹ナカ(舞鶴)
先ほどの背トロよりも馴染みと甘み共に上がり、そのミルキーな旨味がスッと溶けるように口どける!
シャリがそのトロけを補い、すっきり美味しい余韻の極致へ!
◇大トロ(噴火湾)
蛇腹の大トロらしいフォルム。
脂が乗りながらもどこか爽やかさを兼ね備え、舌に伝わるシャリの酸味を上書きするようにしっとり溶けて降りてくる醤油を纏った旨味。咀嚼で一体となるほどに、この上ない美味しさに!
◇小鰭
しっかり脱水されるように旨味を凝縮させ、噛む度に締まった旨味がギュッと膨らみシャリを染める!
古典的且つ江戸前らしいストレートな味わいに満ちた一貫。
◇鰹
しなやかにしっとりとシャリに馴染めば、フワーと立ち上がる浅葱の香り。そして乗せた醤油が身の旨味をベストに引き出す確実な美味さ。
●しじみのお出汁
クリアな口当たりながら、しっかりと届ける旨みは胃に染み渡る描写をも感じさせる。
◇車海老
ネタに合わせて温度を高め、シャリは抵抗なくほぐれるのその空気感から伝わる酸味が身の甘みと香りを見事に綺麗に浮き上がらせる!
これもシャリとの一体感が素晴らしい。
◇蛤
乗せられたツメは甘くともほろ苦さを伝え、全体を優しく包むように味と香りをリード。滑らかな身とシャリのバランスが口で合致し、しっかりとした美味しさを完成させる。
◇雲丹 手巻き
パリッとした海苔の上にシャリを敷き、素晴らしいほどに形の綺麗な雲丹を大胆に盛り盛りにしてそっと包んだもの。
口に入れた瞬間に行き場を無くし押し出される雲丹!クリアで雑味のないミネラル感のある旨みに仄かなえんみが響き、旨さをグッと引き立てる!
◇穴子
焼き立て熱々。身はふわっと解けてシャリと混ざり、ほろ苦いツメの香りと身の風味が一つに。心地よく鼻から抜けると共に一瞬の旨さのピークが煌めく。
◇玉子
しっとりとカステラのような仕様で、落ち着いた甘さを楽しめる2切れ。
ランチ握りとあって、皆さん同様に追加はされずに満たされた模様。
鮪しか写真を許されませんが、他のネタもしっかり印象づけるものばかり。
一貫の完成度の高さに恍惚とさせ、普段味わえない空気はひたすら鮨と向き合わせてくれる特別なひととき。
何かそんな食べ手としての心を洗ってくれる場所のようにも感じさせます。
一つの料理と相対することのできる素晴らしい鮨店「鮨 あらい」さんです。
□鮨 あらい
所在地:東京都中央区銀座8-10-2
ルアンビル 2F/B1F
電話番号:03-6264-5855
営業時間:12:00〜,18:00~,20:30~
定休日:水曜日
滞在時間:2時間
お会計:36,300円税込/人
予約:常連様のお席にお誘い
2023/05/31 更新
2021/07 訪問
『銀座 鮨あらい』親方のお人柄で惹きつける最高の空間とひととき
言わずと知れた鮨界の名店「鮨あらい」さん。
やま幸の鮪でも一番良いものを仕入れる銀座の高級鮨店です。
もはや説明不要の親方の経歴は銀座久兵衛からすし匠を経て、2015年に独立されたエリート街道。
現在は2階に大将のお席、地下に二番手さんの個室と2フロア体制で構える大所帯です。
場所は銀座駅と新橋駅の中間の銀座八丁目、銀座SIXまで地下道で歩けば比較的快適にたどり着けます。
2階の内観は凛とした明るい木の風合いで統一されており、綺麗な一枚板のカウンターが一直線に8席。
目立つは漆塗りの美しい深みある付け台、置かれた一貫が映り込むほどの鏡面の輝きに圧倒されます。
握りは、気持ちやや硬めのシャリで一粒の質感が残り、初動はほぐれやすく、それでいて噛めば纏まり、温かめの温度でネタとの一体感を強く感じられました。
特に鮪には抜群の相性を発揮し、旨みをさらに上手に持ち上げるバランスに優れたシャリになっています。
ランチの握りのみのコースをお願いしました。
この日のメニューはこちら。
◇真子鰈
◇真蛸
◇アラの昆布締め
◇烏賊
◇赤身
◇中トロ(背中)
◇中トロ(お腹)
◇大トロ
◇おはぎ
◇小鰭
◇鯵
◇車海老
◇雲丹巻き
◇しじみの出汁
◇雲丹軍艦
◇煮蛤
◇トロ巻き
◇玉子
◇干瓢巻き ※追加
〜滞在時間:2時間20分〜
予約:常連様からお誘い
花形でもあるご自慢のやま幸の鮪は中盤に5貫のラッシュ!
2種類の雲丹も素晴らしい味わい!
全体的にその日一番良いネタを贅沢に使った江戸前寿司を堪能できました。
写真は鮪のみ許されているので、文章でしかお伝えできないのがもったいないほどの内容です。
◇真子鰈
しっとりとした身の馴染みと絶妙なえんみ、温かなシャリが違和感なくほぐれていきます。
シャリのファーストアタックは好感触です。
◇真蛸
硬すぎず柔らかすぎずちょうど良い塩梅、シャリの温かみで蛸の香りが心地よく広がります。
◇アラの昆布締め
包まれたシャリの温度で旨みを強く感じる一体感。
◇烏賊
細かく縦に包丁が入り、ねっとりした口当たりは馴染み良く、弾力と甘みを楽しめました。
◇赤身
夏の爽やかな風味に山葵の爽快感とシャリの酸味はバランスに優れた一貫。
◇中トロ(背中)
ネタがシャリを包み込むフォルムのまま、口の中でトロがシャリを優しく包み、纏まるほどに旨みが膨らみ、綺麗にトロけます。
◇中トロ(お腹)
口へ放り込むとトロけていき、そのトロけを必死に阻止しようとするも間に合わず、贅沢すぎる余韻だけが取り残されます。
◇大トロ
華やかなフォルムに負けないトロけ、余韻の幅は長くて極上の一貫。
ストレートに美味しい!
◇おはぎ
溢れんばかりにシャリに乗せられたおはぎ。
しっかり刻まれたネギと沢庵は口に入れた瞬間から抜群の香りを楽しめ、口いっぱいに広がるトロの旨みにため息しか出ない。
◇小鰭
噛みしめるほどに酸味が染み渡り、温かなシャリと綺麗に纏まる。
◇鯵
寝かせてあるためか旨味は十分凝縮され、包丁の入れられた身はさらに柔らから。
軽く圧をかけるだけで高まった鯵の旨みがジュワーっと溢れ出します。
鮪に劣らない美味しさでした!
◇車海老
直前に湯がいた身はプリンとした弾力、シャリとの一体感は風味をさらに豊かに感じさせます。
◇雲丹巻き(北海道礼文島)
柔らかな雲丹を贅沢にも巻物に。
圧をかけると真っ先に雲丹の味が広がり、そのコクに醤油の力強さがシンクロし、シャリと馴染んでいくごとに美味しさを大きく膨らませていきます。
◇雲丹軍艦(福井県小浜)
とろっとした雲丹が山盛りにされ、口に入れれば抜群の甘みが染み渡り、トロける速さはスッキリと余韻良く。
◇煮蛤
ツメの深い甘みはやわらかな弾力に馴染み、温かなシャリが綺麗に纏めます。
◇トロ巻き
しっとりした海苔を破るとトロが瞬く間に全体を包みこみ、シャリの酸味と合わさっていくほどに美味しさが形成。
素晴らしい鮪ゆえの味わい!
◇玉子
上品なサイズは見るからにしっとり。
カステラのような甘さの玉子焼き。
◇干瓢巻き ※追加
スルッとほどける食感、シャリと纏りよく。
美味しく頂きました。
常連さまのみの回転でしたので、終始、笑の絶えない時間を過ごさせて頂きました。
また親方の統率力には圧巻で、多くのお弟子さんを抱え、お客様に育てられて成長する過程のほんの一瞬を垣間見ることができました。
コロナ禍ともあり、新規のお客様を入れていないと思いますので、ネタなどは特に説明なく提供されました。
個人的には素晴らしいネタを使われているのだから、口に入れる前の妄想を掻き立てるほんの一押しがあったなら更に最高でした。
全てにおいて凌駕する銀座の高級寿司「鮨あらい」さん。常連客を惹きつけてやまない独自のスタイルがここにあります。
2021/08/29 更新
暖簾を潜った瞬間、新井氏の「いらっしゃ〜い!」を筆頭にして、弟子たちが重なるように迎えてくれる清々しい第一声。
握りの始まりを告げる「シャリをー」のお声にも、すかさずバックヤードから皆揃って「ハイ!」と気持ちのいい掛け声。
同時にその声のトーンや伸ばすような響きに、今日はどんな時間を過ごせるのか愉しみで堪らない。
親と子のような師弟関係。
カウンターの両脇に立たせる実践でも厳しい指導を受けながら経験を積み、必然と生まれる阿吽の呼吸。
この日は、あれ?と思うほどに優しく包丁を代わると、鯵を見本として一枚切り付け、後は弟子が真似るように次の握りまでに仕上げる。
"鮨 あらい一門"の絆のようなものが伝わってくる温かな瞬間を垣間見ることができる。
そんな頑張っているお弟子さんにはどこか優しく接したくなる気持ちに応えるように、彼らも会話の内容を覚えてくれている安心感が店全体の居心地へと繋げていく。
昨今の温暖化の影響で、通年して出回るようになったネタでも、本来の"旬"とする時期にしか使わないのもあらい流。
その代表的なネタは「春子鯛」。見事なる脱水から引き出される澄んだ甘みを確かめているうち、気がつけば魅了されている。
そして特筆すべきは「牡蠣」。
他では味わえない驚きのクリアさ且つミルキーで、一切の雑味や違和感すら与えない。
5月いっぱいで終わりというこの特別な握りは、香りを一つにして極上の余韻へと誘われる。
「鯵」にはちょこんと乗せた浅葱が中にも忍ばせてあり、驚異のトロんとした瑞々しさと香りを同調させて着地する一体感あふれる旨さを爆発!
大判の「赤貝」は"おばな"譲りの色は悪いが香りと味は一級品との教えにさり気なく合致。
一瞬でミネラルと化し、雑味のないミネラルで海を感じさせる「生雲丹」。
江戸前らしさあふれる「穴子」で粋な〆となりました。
鮪の感想は写真に記載。
酢香りに抱かれ、ネタを感じる。
握り好きなら誰もが唸る、最上級に贅沢なランチを堪能させて頂きました。
最後に頂いたものは以下の通り。
「昼のおまかせ握り」
◇中トロ(青森 下前)
◇中トロ(青森 下前)
◇小鰭
◆三つ葉とお揚げのお出汁
◇春子鯛
◇赤貝
◇真鯛
◇イカ
◇白甘鯛
◇ミル貝
◇牡蠣(長崎)
◇車海老
◇鯵
◇赤身(青森 下前)
◆しじみのお出汁
◇大トロ(青森 下前)
◇雲丹
◇穴子
◇玉子
□鮨 あらい
所在地:東京都中央区銀座8-10-2
ルアンビル 2F/B1F
電話番号:03-6264-5855
営業時間:12:00〜,18:00~,20:30~
定休日:水曜日
滞在時間:約2時間
お会計:43,900円税込/人
予約:ご常連様のお席にお誘い